JP2017074023A - 樹液捕集装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
第2発明の樹液捕集装置の製造方法は、第1発明において、前記側壁形成工程において、前記半導体基板にフォトレジストを塗布またはシート状のフォトレジストを熱融着し、該フォトレジストの前記流路に相当する部分を除去して前記側壁を形成することを特徴とする。
第3発明の樹液捕集装置の製造方法は、第1発明において、前記側壁形成工程において、前記半導体基板の前記流路に相当の部分を除去して前記側壁を形成することを特徴とする。
第4発明の樹液捕集装置の製造方法は、第2発明において、側壁形成工程後に前記側壁を親水化する親水化工程、又は前記天井形成工程後に流路中を親水化する親水化工程をさらに備えることを特徴とする。
第5発明の樹液捕集装置の製造方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記樹液捕集装置は、前記流路に接続された排出路を有する排出部をさらに備え、前記排出路は前記側壁形成工程において、前記流路の一対の側壁を形成するとともに、前記排出路の一対の側壁を形成し、前記天井形成工程において前記流路の天井部を形成するとともに、前記排出路の天井部を形成することを特徴とする。
第2発明によれば、流路の側壁をフォトレジストで形成するので、半導体基板に対して垂直な側壁を形成でき、流路の断面積を広くできる。その結果、樹液が流路に流入しやすくなる。
第3発明によれば、半導体基板により流路の底部と側壁とが一体形成されるので、捕集プローブの強度を高くできる。
第4発明によれば、側壁または天井部を含む流路中が親水化されているので、樹液が流路に流入しやすくなる。
第5発明によれば、捕集プローブを形成すると同時に排出部を形成できるので、製造工程を簡略化できる。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る樹液捕集装置1について説明する。
本実施形態の樹液捕集装置1は、特に師管液を捕集するのに適している。
図1に示すように、樹液捕集装置1は、支持部10と、3つの捕集プローブ20と、一対の電気抵抗プローブ30とを備えている。なお、捕集プローブ20の数は3つに限られず、1つでもよいし、複数でもよい。
支持部10は、プローブ20、30を支持する部材である。支持部10は、平面視長方形の板材であり、片方の長辺部に全てのプローブ20、30が支持されている。支持部10は、その長手方向の長さが全てのプローブ20、30を所定の間隔で配置できる長さを有していればよく、短手方向の長さは特に限定されない。
各プローブ20、30は、棒状の部材であり、支持部10の縁(長辺部)に片持ち梁状に形成されている。各プローブ20、30の先端部は三角形等、尖った形に形成されているのが好ましい。プローブ20、30の先端部が尖った形に形成されていれば、プローブ20、30を植物の細部に挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができる。これにより、プローブ20、30を植物の細部にスムースに突き刺して設置できる。また、プローブ20、30を植物の細部に突き刺す際にプローブ20、30の先端部が破損することを防止できる。
捕集プローブ20は師管液や導管液等の樹液が流入する流路21を有するプローブである。捕集プローブ20の内部には軸心に沿って流路21が形成されている。流路21は、捕集プローブ20の先端から基端に掛けて形成されている。そのため、捕集プローブ20は中空の針の様な形状を有している。
図1に示すように、電気抵抗プローブ30は一対の電気抵抗測定用電極31が設けられたプローブである。一対の電気抵抗測定用電極31は、その電気抵抗測定用電極31間に存在する物質、例えば植物の師管液や導管液の電気抵抗を測定するための電極である。電気抵抗測定用電極31は、上記のごとき電気抵抗プローブ30の先端部に配設することができる大きさのものであれば、特に限定されない。例えば、アルミニウム(Al)薄膜を電気抵抗測定用電極31として採用することができる。
つぎに、樹液捕集装置1によって樹液を捕集する方法について説明する。
まず、測定対象となる植物の新梢末端に、樹液捕集装置1を取り付ける。
具体的には、図5に示すように、樹液捕集装置1の全てのプローブ20、30を植物の細部に突き刺して取り付ける。このとき、導管XYおよび師管PHに沿って、プローブ20、30を配置する。
つぎに、図6から図13に基づき、樹液捕集装置1の製造方法を説明する。
前述のごとく、樹液捕集装置1はMEMS技術を用いて、シリコン基板SBやSOI基板等の半導体基板を加工することで形成されている。以下では、シリコン基板SBを加工する例を説明するが、SOI基板を加工する場合もほぼ同様である。
図6に示すように、加工前のシリコン基板SBは平面視矩形の薄板である。準備工程では、まず、シリコン基板SBに対して化学薬品を用いて表面洗浄を行う。つぎに、シリコン基板SBの両面に、酸化拡散炉を用いて熱酸化膜を形成する。ここで、シリコン基板SBにおいて、予めpH測定用素子25、電気抵抗測定用電極31、電極パッド26、32および配線からなるセンサ部を形成する側の熱酸化膜を残し、その反対側の熱酸化膜は、化学溶液等により、エッチングしておく。
つぎに、図7に示すように、シリコン基板SBに形成された熱酸化膜上に、pH測定用素子25、電気抵抗測定用電極31、電極パッド26、32および配線からなるセンサ部を形成する。
つぎに、図8に示すように、シリコン基板SBにプローブ形状のフォトリソグラフィを行い、ICP−RIE等のドライエッチングにより不要部分を除去してプローブ形状の原形を形成する。
つぎに、図10に示すように、シリコン基板SB上の捕集プローブ20、液溜部11およびそれらの周囲を含む領域に、シート状のフォトレジストR1を熱融着する。シート状のフォトレジストR1としては、熱融着でき、かつ、ある程度の強度を有するものであれば特に限定されない。なお、シート状のフォトレジストR1を熱融着するのに代えて、シリコン基板SBにフォトレジストを塗布してもよい。
以上のように、流路21の側壁23は硬化したフォトレジストR1で形成されている。一般に、フォトレジストR1は疎水性であるため、そのままでは樹液が流路21に流入しにくい。そこで、側壁23を親水化する処理を行う。側壁23を親水化することで、樹液が流路21に流入しやすくなる。
CxHy + O* → CO2↑ + H2O (1)
つぎに、図12に示すように、硬化したフォトレジストR1の上に別のシート状のフォトレジストR2を熱融着する。ここで、フォトレジストR2を、1つの流路21を構成する一対の側壁23の上端に架け渡して熱融着する。また、フォトレジストR2により液溜部11の開口部を閉塞する。
つぎに、本発明の第2実施形態に係る樹液捕集装置2について説明する。
本実施形態の樹液捕集装置2は、特に導管液を捕集するのに適している。
図14に示すように、樹液捕集装置2は、第1実施形態に係る樹液捕集装置1において、捕集プローブ20と電気抵抗プローブ30とを同じ長さにした形態である。その余の構成は第1実施形態に係る樹液捕集装置1と同様であるので同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の樹液捕集装置2は、捕集プローブ20の長さを除き、第1実施形態に係る樹液捕集装置1と同様の構成である。そのため、第1実施形態と同様の方法で製造できる。
つぎに、本発明の第3実施形態に係る樹液捕集装置3について説明する。
(樹液捕集装置3)
図15に示すように、樹液捕集装置3は、第1実施形態に係る樹液捕集装置1において、さらに排出部40を備えた構成である。排出部40は各液溜部11に対して1つ設けられている。排出部40は液溜部11に貯留された樹液を排出するために用いられる。
前記排出部40は、第1実施形態における製造方法と同様の方法で、捕集プローブ20とともに形成できる。以下では、第1実施形態における製造方法との相違部分のみを説明する。
プローブ形成工程では、シリコン基板SBにプローブ形状および排出部40の形状のフォトリソグラフィを行い、ICP−RIE等のドライエッチングにより不要部分を除去してプローブ形状および排出部40の形状の原形を形成する。その後、プローブ20、30および排出部40が片持ち梁状になるように、シリコン基板SBの裏面の一部をエッチバックする。
側壁形成工程では、シリコン基板SB上の捕集プローブ20、液溜部11、排出部40およびそれらの周囲を含む領域に、シート状のフォトレジストR1を熱融着する。なお、シート状のフォトレジストR1を熱融着するのに代えて、シリコン基板SBにフォトレジストを塗布してもよい。
親水化工程では、流路21の側壁23を親水化するとともに、排出路41の側壁を親水化する。
天井形成工程では、硬化したフォトレジストR1の上にシート状のフォトレジストR2を熱融着する。ここで、フォトレジストR2を、排出路41を構成する一対の側壁の上端に架け渡して熱融着する。
フォトレジストの親水化の試験を行った。
まず、試料として、シリコン基板の表面にシート状のフォトレジスト(SU−8)を貼り付けたものを用意した。
つぎに、樹液の長期モニタリングを想定し、親水化処理効果の持続性について試験を行った。
親水化処理を行った試料に対して、所定時間ごとに、フォトレジスト(SU−8)表面の接触角を測定した。その結果を図16に示す。図16より、親水化処理後少なくとも20日間は、接触角が5°未満であり、十分に親水性が維持できることが確認された。このことから、フォトレジストの親水化処理効果は樹液の長期モニタリングに耐えうることが確認された。
10 支持部
11 液溜部
12 排出孔
20 捕集プローブ
21 流路
22 底部
23 側壁
24 天井部
30 電気抵抗プローブ
40 排出部
41 排出路
Claims (5)
- 樹液が流入する流路を有する捕集プローブを備える樹液捕集装置の製造方法であって、
半導体基板に前記流路の一対の側壁を形成する側壁形成工程と、
シート状のフォトレジストを前記一対の側壁の上端に架け渡して熱融着し、該フォトレジストの不要部分を除去して前記流路の天井部を形成する天井形成工程と、を備える
ことを特徴とする樹液捕集装置の製造方法。 - 前記側壁形成工程において、前記半導体基板にフォトレジストを塗布またはシート状のフォトレジストを熱融着し、該フォトレジストの前記流路に相当する部分を除去して前記側壁を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の樹液捕集装置の製造方法。 - 前記側壁形成工程において、前記半導体基板の前記流路に相当の部分を除去して前記側壁を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の樹液捕集装置の製造方法。 - 前記側壁形成工程後に前記側壁を親水化する親水化工程、又は、前記天井形成工程後に前記流路中を親水化する親水化工程をさらに備える
ことを特徴とする請求項2記載の樹液捕集装置の製造方法。 - 前記樹液捕集装置は、前記流路に接続された排出路を有する排出部をさらに備え、
前記排出部の排出路は、前記側壁形成工程において、前記流路の一対の側壁を形成するとともに、前記排出路の一対の側壁を形成し、
前記天井形成工程において、前記流路の天井部を形成するとともに、前記排出路の天井部を形成する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の樹液捕集装置の製造方法。
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