以下、図面を参照にして本発明にかかる光学シート、スクリーン、及び表示装置について説明する。
図1は、本実施形態の表示装置10を示す。
本実施形態の表示装置10は、プロジェクター20と、プロジェクター20から画像光を照射されるスクリーン40と、を有する。スクリーン40は、後述するように、入射光に対して及ぼす拡散特性を経時的に変化させることができ、これにより、スペックルを目立たなくすることができる。このようなスクリーン40の機能に関連し、表示装置10は、電力源30及び制御装置35を有する。電力源30は、スクリーン40に対して電圧を印加する。制御装置35は、電力源30からの印加電圧を調整して、スクリーン40の状態を制御する。また、制御装置35は、プロジェクター20の動作を制御してもよい。一例として、制御装置35は、汎用コンピューターとすることができる。
プロジェクター20は、画像を形成する光、すなわち画像光を、スクリーン40へ投射する。図示された例において、プロジェクター20は、コヒーレント光を発振するコヒーレント光源21と、コヒーレント光源21の光路を調整する図示しない走査装置と、を有する。コヒーレント光源21は、一例として、レーザー光を発振するレーザー光源から構成される。コヒーレント光源21は、互いに異なる波長域の光を生成する複数のコヒーレント光源を有するようにしてもよい。反射型のスクリーン40の場合、観察者Eは、第1面40a側からスクリーン40で反射した画像を観察することができる。プロジェクター20は、制御装置35とは別の図示しない制御装置を内部に設け、その内部の制御部分によって制御されるように構成してもよい。
図2は、本実施形態のスクリーン40へ光を照射する方法を示す。
図示された例において、プロジェクター20は、ラスタースキャン方式にて、スクリーン40上にコヒーレント光を投射する。図2に示すように、プロジェクター20は、スクリーン40上の全域を走査するよう、コヒーレント光を投射する。走査は、高速で実施される。プロジェクター20は、形成すべき画像に応じ、コヒーレント光源21からのコヒーレント光の射出を停止する。すなわち、スクリーン40上の画像が形成されるべき位置のみにコヒーレント光を投射する。この結果、スクリーン40上に画像が形成される。プロジェクター20の動作は、制御装置35によって制御される。
図3は、本実施形態のスクリーン40の断面の一部を示す。
まず、スクリーン40について説明する。図3に示す例において、スクリーン40は、複数の粒子を有した光学シート50と、電力源30と接続された電極41,42と、を有する。光学シート50の一方の主面上に、第1電極41が面状に広がっており、光学シート50の他方の主面上に、第2電極42が面状に広がっている。また、図3に示すスクリーン40は、第1電極41を覆ってスクリーン40の一方の最表面を形成する第1カバー層46と、第2電極42を覆ってスクリーン40の他方の最表面を形成する第2カバー層47と、を有する。
画像光が透過する第1電極41及び第1カバー層46は、透明である。第1電極41及び第1カバー層46は、それぞれ、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であることがより好ましい。なお、可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JISK0115準拠品)を用いて、測定波長380nmから780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
第1電極41をなす導電材料として、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、InZno(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛酸化物)、Agナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。一方、第1カバー層46は、第1電極41及び光学シート50を保護するための層である。この第1カバー層46は、透明樹脂、例えば優れた安定性を有するポリエチレンテレフタレート、あるいはポリカーボネートやアクリル樹脂、メタクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー等から、形成することができる。
第2電極42は、第1電極41と同様に構成することができる。ただし、第2電極42は、反射型のスクリーン40の場合には透明である必要はない。したがって、反射型のスクリーン40の第2電極42は、例えば、アルミニウムや銅等の金属薄膜によって形成され得る。金属膜からなる第2電極42は、反射型のスクリーン40において、画像光を反射する反射層としても機能することができる。また、第2カバー層47は、第1カバー層46と同様に構成することができる。
光学シート50は、一対の基材51,52と、一対の基材51,52間に設けられた粒子層55と、を有する。第1基材51は、第1電極41を支持しており、第2基材52は、第2電極42を支持している。粒子層55は、第1基材51と第2基材52の間に封止されている。
第1基材51及び第2基材52は、粒子層55を封止することができ、且つ、第1電極41、第2電極42及び粒子層55の支持体として機能し得る強度を有した材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等から構成される。なお、図3に示す例において、画像光は、スクリーン40の第1基材51を透過する。したがって、第1基材51は透明であって、第1電極41及び第1カバー層46と同様の可視光透過率を有することが好ましい。
粒子層55は、多数の粒子60と、粒子60を保持する保持部56と、を有する。保持部56は、粒子60を動作可能に保持している。図4に示すように、保持部56は、多数のキャビティ56aを有しており、各キャビティ56a内に粒子60が収容されている。各キャビティ56aの内寸法は、当該キャビティ56a内の粒子60の外寸法よりも大きくなっている。したがって、粒子60は、キャビティ56a内で動作可能となっている。保持部56は、溶媒57によって膨潤している。キャビティ56a内において、保持部56と粒子60との間は溶媒57で満たされている。溶媒57によって膨潤した保持部56によれば、粒子60の円滑な動作を安定して確保することができる。
溶媒57は、粒子60の動作を円滑にするために用いられる。溶媒57は、保持部56が膨潤することによってキャビティ56a内に保持されるようになる。溶媒57は、粒子60が電場に対応して動作することを阻害しないよう、低極性であることが好ましい。低極性の溶媒57として、粒子60の動作を円滑化させる種々の材料を用いることができる。溶媒57には、一例として、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、及び直鎖アルカン等を用いることができる。
保持部56には、一例として、エラストマー材料からなるエラストマーシート等を用いることができる。エラストマーシートとしての保持部56は、溶媒57を膨潤することが可能である。エラストマーシートの材料としては、一例として、シリコーン樹脂、(微架橋した)アクリル樹脂、(微架橋した)スチレン樹脂及びポリオレフィン樹脂等を用いることができる。
キャビティ56aは、保持部56内において、スクリーン40の面方向に高密度で分布している。また、キャビティ56aは、スクリーン40の法線方向ndには、完全に層をなして重なることはない。すなわち、キャビティ56aの全体がスクリーン40の法線方向ndに対して完全に2つ以上並ぶことはない。
粒子60は、図1に示したプロジェクター20から投射される画像光の進行方向を変化させる機能、例えば、画像光を拡散、反射又は屈折させる機能を有する。粒子60は、比誘電率が異なる第1部分61及び第2部分62を含む。すなわち、この粒子60が電場内に置かれると、粒子60内に電気双極子モーメントが発生する。このとき、粒子60は、その双極子モーメントのベクトルが電場のベクトルと真逆を向く位置へ向けて動作するようになる。
したがって、第1電極41及び第2電極42の間に電圧が印加され、第1電極41及び第2電極42の間に位置する光学シート50に電場が発生すると、粒子60は、電場に対して安定した姿勢、すなわち電場に対して安定した位置及び向きとなるようにキャビティ56a内で動作する。このスクリーン40は光拡散機能を有した粒子60の動作にともなって、その拡散波面を変化させる。
例えば、制御装置35は、電力源30の印加電圧を制御することによって、粒子60を180°未満の角度範囲内で繰り返し回転させることができる。したがって、第1部分61及び第2部分62のうちの少なくとも一方を選択して、観察者側に位置させることが可能となる。
さらに、制御装置35は、スクリーン40の法線方向に沿って観察者側から粒子60の第1部分61が第2部分62の少なくとも一部を覆うよう、電力源30の印加電圧により、粒子60の向き及び位置の少なくとも一方を制御することができる。したがって、第1部分61と第2部分62が厳密に同一色でない場合においても、粒子60を動作させながら画像を表示している間、スクリーン40の色味が変化することを効果的に感知されにくくすることが可能となる。
比誘電率が異なる第1部分61及び第2部分62を含む粒子60は、公知技術を含む様々な方法で製造できる。例えば、有機物又は無機物の球状粒子を、粘着テープ等を用いて単層に配列させ、球状粒子と異なる正負に帯電する樹脂成分の層又は無機物層を半球面に蒸着する方法(蒸着法、例えば、特開昭56−67887号公報参照)、回転ディスクを用いる方法(例えば、特開平6−226875号公報参照)、比誘電率が異なる2種類の液滴をスプレー法やインクジェット法を用いて空気中で接触させて1つの液滴にする方法(例えば、特開2003−140204号公報参照)、及びマイクロチャンネル方法(例えば、特開2004−197083号公報参照)等、を用いる。
特開2004−197083号公報に提案されているように、比誘電率が互いに異なる第1部分61及び第2部分62は、帯電特性の互いに異なる材料を用いて形成することができる。一般にマイクロチャンネル方法では、互いに油性/水性(O/W型)又は水性/油性(W/O型)の関係にある連続相と粒子化相とを用いる。そして、連続相が移送される第1マイクロチャンネルから、第2マイクロチャンネルに流れる流動媒体の粒子化相内に、二種類の帯電特性の互いに異なる材料を含む連続相を、順次吐出することにより、二相ポリマー粒子60で、且つ、電荷的に(±)の極性を有する双極性粒子60を製造する。
本実施形態のマイクロチャンネル方法においては、まず、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性媒体中に、この媒体に対して不溶性の重合性樹脂成分を分相して連続相を形成する。連続相中の重合性樹脂成分は、互いに異なる正負に帯電する重合性モノマーで形成する。次に、重合性モノマーを第1マイクロチャンネルに移送させ、次いで、この連続相を、第2マイクロチャンネル内を流れる水性又は油性の粒子化相中に、連続又は間欠的に順次吐出する。次に、粒子化相中に吐出した吐出物がマイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に粒子化されるので、この粒子中の重合性樹脂成分をUV照射下及び/又は加熱下において重合硬化させる。このようにして、粒子60が適宜調製される。
粒子60に用いられる重合性樹脂成分としては、官能基又は置換基の種類によって、それぞれ(−)帯電性と(+)帯電性を示す傾向にあるモノマー種が挙げられる。したがって、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)帯電性及び(−)帯電性を示す傾向を周知の上で、好ましくは同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて、適宜好適に使用する。その他、重合開始剤等のモノマー以外の添加剤は、材料全体での帯電性を失わないように調整して添加される。
少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分において、その官能基又置換基としては、例えば、カルボニル基、ビニル基、フェニル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、ハロゲン基、スルホン酸基、エポキシ基、及び、ウレタン結合等を挙げることができる。このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組み合わせて適宜好適に使用することができる。(−)帯電性又は(+)帯電性を示す傾向にある重合性モノマーとしては、特開2004−197083号公報に提案されているものを用いればよい。
マイクロチャンネル方法で粒子60を製造する場合、連続相をなす二種の重合性樹脂成分の合流時における速度や合流方向等、並びに、連続相の粒子相への吐出時における速度や吐出方向等を調整することにより、得られる粒子60の外形状、粒子60における第1部分61及び第2部分62の界面の形状等を、調整することができる。
図3に示された粒子60の例では、第1部分61と第2部分62の体積比率は、同一である。また、粒子60の第1部分61と第2部分62の界面は、平面状に形成される。すなわち、粒子60は球形状に形成され、第1部分61と第2部分62は半球状に形成される。
図4は、本実施形態のスクリーン40の粒子層55の粒子60を示す。
連続相をなす二種の重合性樹脂成分が、拡散成分を含む場合、粒子60の第1部分61及び第2部分62に内部拡散機能を付与することができる。図4に示すように、粒子60の第1部分61は、第1主部66a及び第1主部66a内に分散した第1拡散成分66bを有する。同様に、粒子60の第2部分62は、第2主部67a及び第2主部67a内に分散した第2拡散成分67bを有する。
すなわち、図4に示した球状粒子60は、第1部分61の内部を進む光及び第2部分62の内部を進む光に対して、拡散機能を発現することができる。ここで、第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bとは、粒子60内を進む光に対し、反射や屈折等によって、光の進路方向を変化させる作用を及ぼし得る成分のことである。このような第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bの光拡散機能は、例えば、粒子60の第1主部66a及び第2主部67aをなす材料とは異なる屈折率を有する材料から第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bを構成することにより、あるいは、光に対して反射作用を及ぼし得る材料から第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bを構成することにより、付与される。
第1主部66a及び第2主部67aをなす材料とは異なる屈折率を有する第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bとして、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、金属化合物、気体を含有した多孔質物質等が挙げられる。また、第1拡散成分66b及び第2拡散成分67bは、単なる気泡でもよい。
粒子60は、単一色が好ましい。すなわち、第1部分61と第2部分62は、同一色であることが好ましい。第1部分61と第2部分62の色は、顔料や染料等の色材を添加することにより、調整することができる。顔料や染料は、特開2005−99158号公報、特許第2780723号公報、及び、特許第5463911号公報等で開示されたものを用いればよい。
粒子60に対して用いる単一色とは、スクリーン40で画像の表示を行っていない状態において、粒子60が光学シート50内で動作したとしても、図1に示した反射型のスクリーン40の表示側面40aを観察する観察者が、通常の観察力でスクリーン40の色の変化を認識できない程度に一様な色を有していることを意味する。すなわち、粒子60の第1部分61がスクリーン40の第1面40aに向いている状態でのスクリーン40の第1面40aと、粒子60の第2部分62がスクリーン40の第1面40aに向いている状態でのスクリーン40の第1面40aとを、画像の表示を行っていない状態で観察者が通常の注意力で観察した際に、同一の色として認識される場合、粒子60が単一色であるとする。
具体的には、粒子60の第1部分61がスクリーン40の第1面40aに向いている状態でのスクリーン40の第1面40aと、粒子60の第2部分62がスクリーン40の第1面40aに向いている状態でのスクリーン40の第1面40aとの色差ΔE*ab(=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2〕1/2)が、1.5以下となっていることが好ましい。なお、色差ΔE*abは、JIS Z8730に準拠して、コニカミノルタ社製の色彩計(CM−700d)を用いて計測されたL*a*b*表色系における明度ΔL*及び色度a*,b*に基づいて特定された値とする。また、スクリーン40が反射型である場合には、反射光の明度ΔL*及び色度a*,b*に基づいて特定された色差ΔE*abの値で評価し、スクリーン40が透過型である場合には、透過光の明度ΔL*及び色度a*,b*に基づいて特定された色差ΔE*abの値で評価する。
このように、粒子60を単一色とすることで、画像等を表示していない時のスクリーン40を一定の色にすることが可能となる。そして、スクリーン40に画像を表示する際に、色味が変化したように感知されることが少なくなる。この結果、スクリーン40の色変化にともなった画質の劣化を効果的に回避することが可能となる。
粒子層55、光学シート50、及び、スクリーン40は、一例として以下のように製造する。
粒子層55は、例えば、特開平1−28259号公報に開始された方法により製造することができる。まず、粒子60を重合性シリコーンゴムに分散させたインキを作製する。次に、このインキを平滑な基材上にコーター等で延伸し、加熱及び乾燥等で重合させ、シート化する。以上の手順により、粒子60を保持した保持部56が得られる。次に、保持部56をシリコーンオイル等の溶媒57に一定期間浸漬する。その後、保持部56が膨潤することで、シリコーンゴム等からなる保持部56と粒子60との間に、溶媒57で満たされた隙間が形成される。この結果、溶媒57及び粒子60を収容したキャビティ56aが形成され、粒子層55が製造される。
次に、特開2011−112792号公報に開示された製造方法により、粒子層55を用いてスクリーン40を製造する。まず、図4に示す一対の第1基材51及び第2基材52によって粒子層55を覆い、ラミネート又は接着剤等を用いて粒子層55を封止する。これにより、光学シート50が製造される。次に、光学シート50上に第1電極41及び第2電極42を設け、さらに、第1カバー層46及び第2カバー層47を積層することで、スクリーン40が得られる。
このような方法を用いることにより、容易に大型の光学シート50及びスクリーン40を製造することが可能となる。
次に、本実施形態の粒子層55と粒子60の関係について説明する。
図5は、本実施形態のスクリーン40の粒子層55の厚みと粒子60の直径がT=(1+(√3)/2)Dの関係の場合を示す。
本実施形態のスクリーン40は、粒子60が粒子層55に単層に並べられる。ここで、単層とは、スクリーン40の法線方向ndに対して、粒子層55に粒子60が完全に2つ重なることがない。すなわち、粒子層55と粒子60の関係は、少なくとも以下の条件式(1)を満足する。なお、粒子60は、粒子層55に規則的に並ぶ必要はなく、不規則に並んでもよい。
ただし、
Tは、粒子層55の厚み、
Dは、キャビティ56aの直径、
である。
条件式(1)の下限を下回ると、粒子層55の厚みTがキャビティ56aの直径Dよりも小さくなってしまう。条件式(1)の上限を上回ると、電気力線に対して平行な方向に複数の粒子60が配置されることになり、粒子60間の静電的な相互作用によって粒子60の回転に支障をきたすおそれがある。
また、粒子層55と粒子60の関係は、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
ただし、
Tは、粒子層55の厚み、
Dは、キャビティ56aの直径、
である。
条件式(2)を満足することによって、粒子層55を薄膜化することができ、粒子層55内の電界強度が大きくなり、粒子60の回転を円滑にすることが可能となる。
図6は、本実施形態のスクリーン40の粒子層55の厚みと粒子60の直径がT=3D/2の関係を示す。
さらに、粒子層55と粒子60の関係は、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
ただし、
Tは、粒子層55の厚み、
Dは、キャビティ56aの直径、
である。
条件式(3)を満足することによって、粒子層55を薄膜化し、且つ、塗工時に粒子60が吐出口に溜まることを抑制することが可能となる。
このように、粒子層55と粒子60の関係が条件式(1)を満足し、粒子層55に粒子60を単層に配置させるためには、前述したインキを延伸する際に、インキを突出するノズルと基材との隙間が粒子60の2倍より狭くなるようにコーターの位置を調節する。また、条件式(2)及び条件式(3)を満足させる際も同様に、コーターの位置を調節し、インキを突出するノズルと基材との隙間がそれぞれ(1+(√3)/2)Dより狭く、又は3D/2よりも広くする。
粒子層55の厚みは、コーターのギャップ及び隙間等の塗工条件と、インキの溶剤濃度によって変化する。なぜならば、インキの溶剤濃度が変化すると、インキの粘度が変化し、且つ、乾燥時に溶剤が揮発するため、粒子層55の厚みが変化するからである。
保持部56に対する粒子60の配合比は、粒子層55の厚みによって適切な値が異なる。粒子60を単層に配置する粒子層55において、膨潤前の粒子60の充填率は、粒子層55の厚みが粒子60の直径と等しく、粒子60が2次元に最密充填配列をとるとき最大となり、61%と計算される。ただし、粒子60の充填率とは、粒子層55の体積全体に対する全粒子60の体積の割合である。例えば、粒子60の数は同じで、粒子層55の厚みが粒子60の直径の1+(√3)/2倍の粒子層55を考えると、充填率は32%と計算される。
粒子60の配合比は、粒子層55の厚みに応じて、粒子60の充填率が32%以上61%未満とすることが好ましい。充填率が32%より小さいと、粒子が少なすぎるため漏れ光が多くなってしまう可能性がある。充填率を61%以上とすると、塗工時に粒子60が吐出口に溜まってしまう可能性がある。
粒子60の混合比から粒子層55の充填率を予想するためには、シリコーンゴムの硬化前後の体積変化を予め測定しておけばよい。特にシリコーンゴムの体積変化が無視できるならば両者は等しいと考えられる。
次に、図1に示した表示装置10を用いて画像を表示する際の作用について説明する。
まず、制御装置35からの制御によって、プロジェクター20のコヒーレント光源21がコヒーレント光を発振する。プロジェクター20からの光は、図示しない走査装置によって光路を調整され、スクリーン40に照射される。走査装置は、図2に示したようにスクリーン40上を光が走査するように光路を調整する。ただし、コヒーレント光源21によるコヒーレント光の射出は、制御装置35によって制御される。制御装置35は、スクリーン40上に表示したい画像に対応して、コヒーレント光源21からのコヒーレント光の射出を停止する。プロジェクター20に含まれる走査装置の動作は、人間の目Eでは分解不可能な程度にまで高速になっている。したがって、観察者は、時間を隔てて照射されるスクリーン40上の各位置に照射された光を同時に観察することになる。なお、プロジェクター20は、制御装置35とは別の図示しない制御装置を内部に設け、その内部の制御装置によって制御されるように構成してもよい。
スクリーン40上に投射された光は、第1カバー層46及び第1電極41を透過して、光学シート50に到達する。この光は、光学シート50の粒子60で拡散反射し、スクリーン40の観察者側となる種々の方向へ向けて射出する。したがって、観察者は、スクリーン40の観察者側となる各位置において、スクリーン40上の各位置からの反射光を観察することができる。この結果、観察者は、スクリーン40上のコヒーレント光が照射されている領域に対応した画像を観察することができる。
また、コヒーレント光源21が、互いに異なる波長域のコヒーレント光を射出する複数の光源を含むようにしてもよい。この場合、制御装置35は、各波長域の光に対応した光源を、他の光源から独立して制御する。この結果、スクリーン40上にカラー画像を表示することが可能となる。
ところで、一般に、コヒーレント光を用いてスクリーン上に画像を形成する場合、斑点模様のスペックルが観察されるようになる。スペックルの一原因は、レーザー光に代表されるコヒーレント光が、スクリーン上に拡散した後に、光センサ面上、又は、人間の場合は網膜上に干渉パターンを生じさせるためと考えられる。とりわけ、ラスタースキャンによってスクリーンにコヒーレント光を照射する場合、スクリーン上の各位置には一定の入射方向からコヒーレント光が入射する。したがって、ラスタースキャンを採用した場合、スクリーンの各点で発生するスペックル波面はスクリーンが揺動しない限り不動となり、スペックルパターンが画像と共に観察者に視認されると、表示画像の画質を著しく劣化させることになる。
一方、本実施形態の表示装置10のスクリーン40は、拡散波面を経時的に変化させるようになっている。スクリーン40での拡散波面が変化すれば、スクリーン40上でのスペックルパターンが経時的に変化するようになる。そして、拡散波面の経時的な変化を十分に高速にすると、スペックルパターンが重ねられ、平均化される。これによって、観察者にスペックルを目立たなくさせることが可能となる。
図1に示すように、スクリーン40は、一対の第1電極41及び第2電極42を有する。第1電極41及び第2電極42は、電力源30に電気的に接続している。すなわち、電力源30は、第1電極41及び第2電極42に電圧を印加することができる。第1電極41と第2電極42の間に電圧が印加されると、第1電極41と第2電極42の間に位置する光学シート50に電場が形成される。
図4に示すように、光学シート50の粒子層55には、比誘電率の異なる第1部分61及び第2部分62を有した粒子60が、動作可能に保持されている。この粒子60は、そもそも帯電している、又は、少なくとも電場が形成されると双極子モーメントが発生することから、形成された電場のベクトルに応じて動作する。そして、光の進行方向を変化させる機能、例えば反射機能や拡散機能を有した粒子60が、図4に示した矢印Aの方向に回転動作すると、スクリーン40の拡散特性が経時的に変化する。この結果、観察者に対してスペックルを目立たなくさせることができる。
なお、図4の矢印Laは、プロジェクター20からスクリーン40へ照射された画像光であり、矢印Lbは、スクリーン40で拡散された画像光である。また、粒子60の第1部分61及び第2部分62の間で、比誘電率が異なるとは、スペックル低減機能を発現し得る程度に比誘電率が異なっていれば十分である。したがって、粒子60の第1部分61及び第2部分62の間で比誘電率が異なるか否かは、動作可能に保持された粒子60が、電場ベクトルの変化にともなって動作し得るか否かにより、判定することができる。
ここで、粒子60が保持部56に対して動作する原理は、粒子60の電荷又は双極子モーメントが電場ベクトルに対して安定的な位置関係となるように、粒子60の向き及び位置を変化させる、というものである。したがって、粒子層55に一定の電場が印加され続けると、粒子60の動作は一定期間後には停止する。その一方で、スペックルを目立たなくするには、粒子60の保持部56に対する動作が継続する必要がある。そこで、電力源30は、粒子層55に形成される電場が経時的に変化するよう、電圧を印加する。本実施形態では、電力源30は、光学シート50内に生成させる電場のベクトルを反転させるように、第1電極41と第2電極42の間に電圧を印加する。
図7は、スクリーン40へ印加される電圧の一例を示す。
図7に示すように、本実施形態の第1電極41と第2電極42の間の電圧は、X[V]と−Y[V]が交互に印加される。印加電圧のX[V]と−Y[V]は、絶対値が同一でも異なっていてもよい。また、3つ以上の異なる値の電圧を印加するようにしてもよい。さらに、通常の交流電圧を採用する等、印加電圧が連続的に変化するようにしてもよい。
なお、粒子60は、保持部56に形成されたキャビティ56a内に収容されている。そして、図4に示したように、粒子60は略球状の外形を有している。また、粒子60を収容するキャビティ56aは、略球状の内形を有している。したがって、粒子60は、図4の紙面に直交する方向に延びる回転軸線raを中心として、回転振動することができる。ただし、粒子60を収容するキャビティ56aの大きさに依存して、粒子60は、繰り返し回転運動だけでなく、並進運動も行うことができる。さらに、キャビティ56aには、溶媒57が充填されている。溶媒57は、粒子60の保持部56に対する動作を円滑にする。
次に、実際に作製した粒子層55の例を説明する。
図8は、実施例1の粒子層55を示す。
本実施形態の粒子層55の実施例1として、直径が90μmの粒子60を用いて作製した。塗工には、ベーカー式アプリケーターを使用した。アプリケーターのギャップは150μm、保持部56に対する粒子60の配合比は重量比で37%である。有機溶剤を標準量と2倍量の2水準で作製した。
保持部56としてのシリコーンオイルの膨潤前の厚みは、マイクロメーターで測定し、有機溶剤標準量の場合119μm、有機溶剤2倍量の場合100μmであった。光学顕微鏡で観察したところ、粒子層55でのスクリーン40の法線方向ndに対する粒子60の重なりは、ほぼ観察されなかった。なお、粒子60の配合量は等しいが厚みが小さいため、有機溶剤2倍量の粒子層55の方が有機溶剤標準量の粒子層55よりも、粒子60が密に存在していた。これらのサンプルの場合、シリコーンオイル浸漬後、1.2倍に膨張し、粒子層55の厚みは、有機溶剤標準量の場合143μm、有機溶剤2倍量の場合120μmで、約108μmの径のキャビティ56aが生成された。
図9は、実施例2の粒子層55を示す。
本実施形態の粒子層55の実施例2として、直径が50μmの粒子60を用いて作製した。塗工には、ベーカー式アプリケーターを使用した。アプリケーターのギャップは75μm、保持部56に対する粒子60の配合比は重量比で37%である。
保持部56としてのシリコーンオイルの膨潤前の厚みは、マイクロメーターで測定し、65μmであった。光学顕微鏡で観察したところ、粒子層55でのスクリーン40の法線方向ndに対する粒子60の重なりは、ほぼ観察されなかった。このサンプルの場合、シリコーンオイル浸漬後、1.2倍に膨張し、粒子層55の厚みは、78μmで、約60μmの径のキャビティ56aが生成された。
図10は、比較例の粒子層55を示す。
比較例の粒子層55として、直径が90μmの粒子60を用いて作製した。塗工には、ベーカー式アプリケーターを使用した。アプリケーターのギャップは350μm、保持部56に対する粒子60の配合比は重量比で55%である。
保持部56としてのシリコーンオイルの膨潤前の厚みは、マイクロメーターで測定し、224μmであった。光学顕微鏡で観察したところ、粒子層55でのスクリーン40の法線方向ndに対する粒子60の重なりが観察された。このサンプルの場合、シリコーンオイル浸漬後、1.2倍に膨張し、粒子層55の厚みは、269μmで、約108μmの径のキャビティ56aが生成された。
図11は、他の実施形態のスクリーン40の断面の一部を示す。
図11に示すように、光学シート50及びスクリーン40は、曲面に製造してもよい。曲面に製造するには、シート層55をシート化する際に、曲面上で加熱し、重合させればよい。その後、予め曲面に形成された基材51,52を積層すればよい。
図12は、第1部分61と第2部分62の色を異ならせた例の粒子60を示す。
例えば、上述した実施形態において、第1部分61と第2部分62は、同一の色を有する例を示したが、この例に限る必要はない。第1部分61及び第2部分62の一方は、透明でもよい。第1部分61及び第2部分62の一方が透明であれば、粒子60は透明でない他方の色として把握される。したがって、粒子60の向き、姿勢、位置が変化したとしても、光学シート50及びスクリーン40は、一定の色を有する。したがって、画像を表示する際に、スクリーン40の色変化にともなった画質の劣化を効果的に回避することが可能となる。
図13は、第1部分61と第2部分62の体積比率を異ならせた例の粒子60を示す。
上述した実施形態において、第1部分61と第2部分62は、同一の体積比率を有する例を示したが、この例に限る必要はない。粒子60に占める第1部分61の体積比率と粒子60に占める第2部分62の体積比率が異なるようにしてもよい。図13に示す例では、第1部分61の体積比率が第2部分62の体積比率よりも大きい。このような粒子60を用いた場合、スクリーン40に光が照射されている間、スクリーンの法線方向ndに沿って観察者側から第1部分61が第2部分62の少なくとも一部を覆うようにすることが容易になる。さらに、粒子60の回転動作にともなって図13の二点鎖線で示された位置まで第2部分62が移動する場合、スクリーン40の法線方向ndに沿った観察者側から第1部分61によって第2部分62を完全に覆い隠すことが可能となる。したがって、第1部分61と第2部分62が厳密に同一色でない場合においても、粒子60を動作させながら画像を表示している間、スクリーン40の色味が変化することを効果的に感知されにくくすることが可能となる。
図14は、光吸収機能を有する例の粒子60を示す。
粒子60の駆動を制御することにより、第1部分61及び第2部分62の色の相違に大きな影響を受けることなく、スクリーン40の色味変化を効果的に感知されにくくすることができる場合には、第1部分61及び第2部分62の一方が、光吸収機能を有するようにしてもよい。図14に示す例では、第1部分61は光拡散性を有し、第2部分62は光吸収機能を有する。第2部分62の光吸収機能は、一例として、第2部分62が光吸収性の色材、具体的にはカーボンブラックやチタンブラック等の顔料を含むことにより、発現され得る。図14に示す粒子60では、プロジェクター20からの画像光Laとは異なる方向から入射する光Lcを、第2部分62によって吸収することができる。第2部分62によって吸収される光は、例えば、スクリーン40が設置された場所に存在する図示しない照明装置等からの環境光とすることができる。スクリーン40に入射する画像光La以外の光Lcを選択して吸収することにより、表示画像の明るさを損なうことなく、表示画像のコントラストを効率的に改善することが可能となる。
さらに、上述した実施形態において、スクリーン40が反射型スクリーンとして構成される例を示したが、この例に限らず、スクリーン40を透過型スクリーンとして構成してもよい。透過型のスクリーン40では、第2電極42、第2カバー層47、及び第2基材52は、第1電極41、第1カバー層46、及び第1基材51と同様に透明に構成され、同様の可視光透過率を有することが好ましい。また、粒子60に入射した光の透過率が反射率よりも高くなるよう、粒子60内に添加される拡散成分66b、67bの大きさや量を調整することが好ましい。
さらに、上述した実施形態において、正の帯電性を有するモノマーや負の帯電性を有するモノマーを合成樹脂の重合を用いて単一色の粒子60を作製し、この粒子60が帯電している例を示したが、この例に限る必要はない。溶媒57中での帯電特性が異なる複数部分を有する粒子60は、公知の材料を用いて、様々な方法で合成される。例えば、性能の異なる材料からなる板状体を二層積層し、この積層体を所望のサイズに粉砕することによって、粒子60を作製してもよい。帯電特性を有する材料は、例えば合成樹脂に、帯電制御剤を添加すればよい。帯電付与添加剤の例としては、静電気防止剤に用いられる、ポリアルキレングリコールを主成分とするポリマーに過塩素酸リチウム等を複合化させたイオン導電性付与剤を採用することができる。
さらに、上述した実施形態において、粒子60が球体である例を示したが、この例に限る必要はない。粒子60は、キャビティ56a内で動作可能であれば、回転楕円体、立方体、直方体、錐体、円筒体等の外径を有するようにしてもよい。球体以外の外形を有する粒子60を動作させることにより、粒子60の内部拡散機能によらず、表面反射によって、スクリーン40の拡散特性の経時変化を引き起こすことが可能となる。
さらに、光学シート50、粒子層55、及び粒子60を上述した実施形態で説明した方法とは異なる方法で製造してもよい。また、粒子60が、保持部56に対して動作可能に保持されれば、溶媒57が設けられていなくてもよい。
さらに、上述した実施形態において、スクリーン40の積層構造の一例を示したが、これに限らず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層をスクリーン40に設けてもよい。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよい。例えば、第1カバー層46、第2カバー層47、第1基材51、又は第2基材52等が、この機能層として働くようにしてもよい。機能層に付与される機能として、例えば、反射防止機能、耐擦傷性を有したハードコート機能、紫外線遮蔽機能、紫外線反射機能、又は防汚機能等が挙げられる。
図15は、複数の線状電極部を有するスクリーン40の例を示す。
さらに、上述した実施形態において、第1電極41及び第2電極42が、面状に形成され、粒子層55を挟むように配置される例を示したが、この例に限る必要はない。第1電極41及び第2電極42の少なくとも一つがストライプ状に形成されるようにしてもよい。図15に示す例では、第1電極41及び第2電極42の両方が、ストライプ状に形成されている。すなわち、第1電極41は線状に延びる複数の第1線状電極部41aを有し、複数の第1線状電極部41aはその長手方向に直交する方向に配列されている。第2電極42も第1電極41と同様に、線状に延びる複数の第2線状電極部42aを有し、複数の第1線状電極部41aはその長手方向に直交する方向に配列されている。
図15に示す例において、第1電極41をなす複数の第1線状電極部41a及び第2電極42をなす複数の第2線状電極部42aは、共に、光学シート50の観察者とは反対側の面上に配置されている。そして、第1電極41をなす複数の第1線状電極部41a及び第2電極42をなす複数の第2線状電極部42aは、同一の配列方向に沿って、交互に配列されている。図15に示された第1電極41及び第2電極42によっても、電力源30から電圧を印加されることにより、光学シート50の粒子層55に電場を形成することができる。
さらに、上述した実施形態において、プロジェクター20がラスタースキャン方式で、光をスクリーン40に投射する例について説明したが、この例に限る必要はない。プロジェクターがラスタースキャン方式以外の方式、例えば、各瞬間にスクリーンの全領域に画像光を投射するようにしてもよい。このようなプロジェクターを用いた場合においてもスペックルが生じることになるが、上述のスクリーンを用いることによって、スクリーン40での拡散波面が経時的に変化することになり、スペックルを効果的に目立たなくすることができる。さらに、背景技術の欄で説明した国際公開2012/033174に開示されたプロジェクターと組み合わせて、上述したスクリーンを用いることも可能である。このプロジェクターによれば、スペックルを有効に低減することができるが、このプロジェクターと上述のスクリーンとの組み合わせによれば、さらに効果的に、スペックルを目立たなくすることができる。
以上、本実施形態の光学シート50によれば、所定の厚みを有する透明な保持部56と、保持部56に形成されたキャビティ56a内に収容され比誘電率の異なる第1部分61と第2部分62を含む粒子60と、を有する粒子層55を備え、粒子層55と粒子60の関係は、以下の条件式(1)を満足するので、粒子層55の厚みTを薄膜化し、且つ、電気力線に対して平行な方向に複数の粒子60を配置することができず、粒子60間の静電的な相互作用によって粒子60の回転に支障をきたすおそれがなくなり、粒子60を円滑に動作させることができ、スペックルを十分に低減することが可能となる。
ただし、
Tは、前記粒子層の厚み、
Dは、前記キャビティの直径、
である。
また、本実施形態の光学シート50によれば、粒子層55と粒子60の関係は、条件式(1)に代えて、以下の条件式(2)を満足するので、粒子層55を薄膜化することができ、粒子層55内の電界強度が大きくなり、粒子60の回転を円滑にすることが可能となる。
また、本実施形態の光学シート50によれば、粒子層55と粒子60の関係は、条件式(1)に代えて、以下の条件式(3)を満足するので、粒子層55を薄膜化し、且つ、塗工時に粒子60が吐出口に溜まることを抑制することが可能となる。
また、本実施形態の光学シート50によれば、粒子層55を挟んだ基材51,52を備えるので、光学シート50の剛性を強くすることが可能となる。
また、本実施形態のスクリーン40によれば、光学シート50と、電圧を印加されることによって、粒子層56の粒子60を駆動するための電場を形成する電極41,42と、を備えるので、電極41,42によって形成される電場に応じて、比誘電率の異なる第1部分61と第2部分62を含む粒子60を的確に動作させることが可能となる。そして、反射拡散機能を有する粒子60が動作することによって、スクリーン40の拡散特性が経時的に変化し、スペックルを十分に低減することが可能となる。
また、本実施形態の表示装置10によれば、スクリーン40と、スクリーン40にコヒーレント光を照射するプロジェクター20と、を備えるので、プロジェクター20から照射されたコヒーレント光のスペックルを十分に低減することが可能となる。
また、本実施形態の表示装置10によれば、スクリーン40の電極41,42に電圧を印加する電力源30と、電力源30から電極41,42に印加される印加電圧を制御する制御装置35と、をさらに備え、制御装置35は、粒子層55で粒子60を動作させるよう、電力源30の印加電圧を制御するので、粒子60をさらに的確に動作させることができ、スペックルをさらに十分に低減することが可能となる。
また、本実施形態の表示装置10によれば、制御装置35は、180°未満の角度範囲内で粒子60を繰り返し回転させるよう、電力源30の印加電圧を制御するので、第1部分61及び第2部分62のうちの少なくとも一方を選択して、的確に観察者側に位置させることが可能となる。
また、本実施形態の表示装置10によれば、制御装置35は、スクリーン40の法線方向に沿って観察者側から第1部分61が第2部分62の少なくとも一部を覆うよう、電力源30の印加電圧により、粒子60の向き及び位置の少なくとも一方を制御するので、第1部分61と第2部分62が厳密に同一色でない場合においても、粒子60を動作させながら画像を表示している間、スクリーン40の色味が変化することを効果的に感知されにくくすることが可能となる。
なお、本実施形態では、いくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の組み合わせ又は変形が可能である。