JP2017071764A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち室温では粘度が高く流動しにくいが、加熱して軟化させることで樹脂が流動し、所定の形状に成形することが一般的に行なわれている。
しかし、一般的な可塑剤を混合した系では、溶融性は向上するものの、衝撃強度など成形後の機械物性が損なわれるという問題がある。
すなわち、本発明は、2種以上のセグメント(a)が化学結合された樹脂(A)と非結晶性樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物(T)であって、樹脂(A)が、非結晶性樹脂(B)に対して相溶するセグメント(a1)と、非結晶性樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有している樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリエステル(a11)としては、非結晶性樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
ジオール成分(x)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
必要によりジオール成分(x)と併用される3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらの官能基を有するジオール(x’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x)と、官能基を有するジオール(x’)と、ジカルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合の含有量としては結晶性ポリエステル(a11)を構成するカルボン酸の総モル数に基づいて20モル%以下が好ましい。
セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレタン(a12)としては、非結晶性樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレア(a13)としては、非結晶性樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリアミド(a14)としては、非結晶性樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、非結晶性樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
例えば、以下の(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
(w111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(w112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
例えば、(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体等が挙げられる。
(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
例えば、(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物等が挙げられる。
(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
非結晶性樹脂(B)に相溶しない化合物として、例えば、長鎖アルキルモノアルコール(好ましくは炭素数18〜42)、長鎖アルキルモノカルボン酸(好ましくは炭素数18〜42)、水酸基を少なくとも1個有するポリブタジエン、水酸基を少なくとも1個有するジメチルシロキサン等が挙げられ、好ましくは炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコール、炭素数18〜42の長鎖アルキルモノカルボン酸等である。セグメント(a2)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコールとして、例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等が好ましい。
本発明においては、樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、及びアミド基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。このようにセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、及びアミド基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されてなる樹脂(A)は、本発明における樹脂(A)として好ましい。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
なお、本発明における「非結晶性」とは示差走査熱量計(DSC)におけるASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)において、測定の第1回目の昇温過程で階段状の吸熱量変化を示し、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
なお、熱可塑性樹脂(T)のガラス転移点が2個以上存在する場合は、最も低い温度を示す温度をガラス転移点(TgT)とする。
その際に、非結晶性樹脂(B)の溶解性パラメーターをSPB、セグメント(a1)の溶解性パラメーターをSPa1、セグメント(a2)の溶解性パラメーターをSPa2とすると、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(2)と(3)の両方を満たすことが好ましい。
|SPa2−SPB|≧1.9 (3)
上記式中、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
セグメント(a1)とセグメント(a2)のSP値は、各セグメントを構成する化合物のSP値である。
なお、セグメント(a1)を2種以上含む場合は、それらの含有重量比率による相加平均で算出し、セグメント(a2)が2種以上含む場合も同様である。
同様に、関係式(3)の左辺の値は、非結晶性樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から好ましくは1.9以上であり、更に好ましくは2.0以上である。関係式(3)の左辺の値の上限は、好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。
関係式(2)及び(3)を両方満たすことにより、樹脂(A)による加熱時の可塑化と冷却時の再結晶が起こりやすくなり、熱性形成及び衝撃強度が向上する。
混合する温度は樹脂粘度の観点から80〜270℃が好ましく、90〜250℃がより好ましく、100〜230℃が更に好ましく、110〜200℃が最も好ましい。
また、この成形品を塗装する方法としては、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電スプレー法、浸漬法、ローラー法、刷毛塗り法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塗料としては、ポリエステルメラミン、エポキシメラミン、アクリルメラミン及びアクリルウレタン樹脂塗料等の種々の塗料が挙げられる。塗装膜厚(乾燥後膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが塗膜物性の観点から好ましくは10〜50μm、更に好ましくは15〜40μmである。
また、該成形品に印刷する方法としては、種々の印刷法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷及びオフセット印刷が挙げられる。印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるものが挙げられる。
また、樹脂成形品は、自動車内装材、例えばインストルメントパネル、ドアトリムなどに好適に利用される。
〔セグメント(a1−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸696部と1,6−ヘキサンジオール424部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、セグメント(a1−1)を得た。セグメント(a1−1)のSP値(SPa1)は9.9であった。
〔セグメント(a1−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、アジピン酸813部、エチレングリコール691部、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、Mwが5000になった時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは304部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、セグメント(a1−2)を得た。セグメント(a1−2)のSP値(SPa1)は11.2であった。
〔セグメント(a2−1)〕
セグメント(a2−1)としてはベヘニルアルコールそのものを用いた。セグメント(a2−1)のSP値(SPa2)は9.3である。
比較製造例1及び2では、比較のためのセグメント(a’−1)、セグメント(a’−2)及び樹脂(A’−1)、(A’−2)を製造した。
〔樹脂(A−1)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セグメント(a1−1)950部とセグメント(a2−1)19部を仕込み、180℃で3時間均一化した。100℃まで冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート2部を仕込み、更に100℃で3時間反応させ、樹脂(A−1)を得た。樹脂(A−1)のSP値(SPA)は9.8、Mwは17,000であった。
製造例5
〔樹脂(A−2)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セグメント(a1−2)305部とセグメント(a2−1)18部を仕込み、200℃で3時間均一化した。100℃まで冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート1部を仕込み、更に100℃で3時間反応させ、樹脂(A−2)を得た。樹脂(A−2)のSP値(SPA)は11.0、Mwは5,000であった。
〔非結晶性樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、プロピレングリコール525部、テレフタル酸350部、アジピン酸50部、安息香酸30部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tgが30℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して非結晶性樹脂(B−1)を取り出した。非結晶性樹脂(B−1)のSP値(SPB)は11.7、Mwは3,000であった。
〔非結晶性樹脂(B−2)の合成〕
攪拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、「PTMG2000」(三菱化学株式会社製のMn2,000のポリテトラメチレングリコール、水酸基価56.1)522.6部(1モル部)、無水フタル酸77.4部(2モル部)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.9部(0.03モル部)を仕込み、窒素雰囲気下、0.20MPa、120±10℃で1時間反応させハーフエステル化を行った。
ハーフエステル化後、エチレンオキシド(EO)36.4部(3モル部)を120±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、5時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、未反応のEOを0.1MPaにて1時間減圧除去した。90℃まで冷却した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製「キョーワード600」)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水し、ポリオール(1)を得た。
更に、撹拌機及び温度計を備えた四つ口フラスコに、得られたポリオール(1)247.3部、「PTMG1000」(三菱化学株式会社製のMn1,000のポリテトラメチレングリコール、水酸基価112.2)25.9部、エチレングリコール16.1部、MDI 97.2部及びジメチルアセトアミド(DMAC)613.5部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。反応後の系中のNCO%は0.010%であった。ついで、n−ブチルアルコール6.1部を加えて、1時間末端停止反応を行った後、DMACを減圧留去することにより、非結晶性樹脂(B−2)を得た。非結晶性樹脂(B−2)のTgは−40℃であった。非結晶性樹脂(B−2)のSP値(SPB)は10.9、Mwは40,000であった。
〔比較のための樹脂(A’−1)〕
樹脂(A’−1)として、セグメント(a2−1)のベヘニルアルコールそのものを用いた。
〔比較のための樹脂(A’−2)〕
樹脂(A’−2)としてセグメント(a1−2)そのものを用いた。樹脂(A’−2)のMwは4,900であった。
製造例及び比較製造例で得られた樹脂(A)及び非結晶性樹脂(B)の重量比が1対9の配合比となるように表1の配合比(重量部)に従い、供給フィーダーを調整し、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物(T)を作成した。
上記で測定したTgT及び(Tg1−Tg2)を表1に示す。
混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:透明
○:一部濁りあり
×:全体に濁りあり
得られた熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度及び成形性について、測定方法、評価方法、判定基準を以下に説明する。
アイゾット衝撃値(単位:J/m)をASTM D256に準拠して測定した。なお、この値は一般には50J/m以上であることが好ましい。
JIS K6758に規定される試験方法に基づき、樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を測定し、これを成形性の目安とした。
成形性の判定基準は下記に従った。
○:1g/10分以上
×:1g/10分未満
一方、非結晶性樹脂(B)に相溶するセグメント(a1)をもたない比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、成形性が不良であった。また、非結晶性樹脂(B)に相溶しないセグメント(a2)をもたない比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強度が不良であった。
Claims (7)
- 2種以上のセグメント(a)が化学結合された樹脂(A)と非結晶性樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物(T)であって、樹脂(A)が、非結晶性樹脂(B)に対して相溶するセグメント(a1)と、非結晶性樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有している樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂(A)が結晶性樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 非結晶性樹脂(B)のみのガラス転移点Tg1(℃)と、非結晶性樹脂(B)と樹脂(A)との混合物の非結晶性樹脂(B)に由来するガラス転移点Tg2(℃)が下記の関係式(1)を満たす請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
Tg1−Tg2≦15 (1) - 熱可塑性樹脂組成物(T)のガラス転移点TgT(℃)が50℃以下である請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基及びアミド基からなる群から選ばれる1種類以上の有機基で結合されている請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
- セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(2)と(3)の両方を満たす請求項1〜5いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
|SPa1−SPB|≦1.9 (2)
|SPa2−SPB|≧1.9 (3)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは非結晶性樹脂(B)のSP値を表す。 - 非結晶性樹脂(B)/樹脂(A)の重量比が50/50〜97/3である請求項1〜6いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
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