JP2017071514A - 鶏糞灰肥料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鶏糞の処理方法として、専用鶏糞ボイラーなどで燃焼させて熱回収あるいは発電などに利用するとともに、悪臭の発生を防止して鶏糞を減容化し、感染性病原菌などを滅菌した臭気のない灰、すなわち鶏糞灰として処理する方法において、前記鶏糞灰を更に有効に利用する為に、土壌の水分で崩壊する粒状化した鶏糞灰肥料及びその製造方法の提供。【解決手段】鶏糞灰と、樹皮熟成堆肥又は腐葉土とを混合した混合物を含み、粒状に成型されている鶏糞灰肥料。鶏糞灰に、樹皮熟成堆肥又は腐葉土を混合して混合物を生成する工程S102と、混合物を粒状物に造粒する工程S108とを備える鶏糞灰肥料の製造方法。鶏糞灰と樹皮熟成堆肥又は腐葉土が、7:3の重量比で混合されることが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、鶏糞灰を原料として含有する鶏糞灰肥料及びその製造方法に関し、特に、鶏糞灰を含有し且つ水中で崩壊するように粒状化した鶏糞灰肥料及びその製造方法に関する。
従来より、鶏糞は乾燥処理した乾燥鶏糞肥料や発酵処理した発酵鶏糞堆肥とし、有機肥料として利用されている。一方で、鶏糞は、悪臭、衛生害虫の発生源となるなどの問題点があり、環境面からも適切な処理が求められている。
近年、鶏糞の処理方法として、専用鶏糞ボイラーなどで燃焼させて熱回収あるいは発電などに利用するとともに、悪臭の発生を防止して鶏糞を減容化し、感染性病原菌などを滅菌した臭気のない灰、すなわち鶏糞灰として処理する方法が用いられている。
鶏糞灰は、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の成分を多く含むため肥料原料として用いることが提案されている(特許文献1)。しかし、鶏糞灰は、そのままの状態で散布すると風などで広範囲に飛散し、アルカリ性が強いため環境面に悪影響を及ぼす場合がある。そのような背景から、鶏糞灰を粒状化することが試みられているが(特許文献2)、鶏糞灰をそのまま水を加えて造粒し粒状化しても、水中での崩壊性が極めて低く、粒状の肥料として鶏糞灰を土壌中の水分によって粒が崩壊せず、土壌との十分な混和が期待できず、肥料効果が十分に発現されなかった。
また、鶏糞灰にリン酸を反応させて熟成させて肥効の持続する肥料を提供する技術(特許文献3)、鶏糞灰に硫酸を反応させて速緩効性肥料を提供する技術(特許文献4)、鶏糞灰にアルカリ土類金属化合物を混合し鉱酸を添加してリン酸カリ複合肥料を製造する技術(特許文献5)などがそれぞれ提案されている。さらに、鶏糞灰に塩酸を添加して熟成させた後に造粒し、粒状化した鶏糞灰肥料が水中で崩壊するようにした技術(特許文献6)についても提案されている。
本発明の目的は、土壌の水分で崩壊する粒状化した鶏糞灰肥料及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の鶏糞灰肥料は、鶏糞灰と、樹皮熟成堆肥又は腐葉土とを混合して粒状物に造粒された鶏糞灰肥料であることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の鶏糞灰肥料の製造方法は、鶏糞灰に、粉状に粉砕されたバーク堆肥又は腐葉土を混合して混合物を生成する工程と、当該混合物を粒状物に造粒する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の鶏糞灰肥料は、鶏糞灰に、樹皮熟成堆肥又は腐葉土を混合して粒状化することにより、水分に対する崩壊性を有し、土壌中で容易に崩壊するので、鶏糞灰を作物の肥料として有効に利用することができる。鶏糞灰のみの粒状物では、水に対する崩壊性を有さず、また、粉上のままでは取り扱いが面倒であるのに対して、本発明では、鶏糞灰に樹皮熟成堆肥又は腐葉土を混合するという比較的容易な工程を行うことで、水分に崩壊する粒状の鶏糞灰肥料を低コストで製造することが可能となり、作物の肥料として鶏糞灰の利用を促進し、さらに高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本発明の実施の形態では、鶏糞灰に、樹皮熟成堆肥(バーク堆肥)又は腐葉土を混合し、その混合物をペレットミルでペレット状に成型して、粒状化した鶏糞灰肥料が製造される。樹皮熟成堆肥又は腐葉土のいずれか一方または両方を鶏糞灰に混合し、その混合物を粒状化することで、水分により崩壊する粒状の鶏糞灰肥料を製造することができる。以下においては、鶏糞灰に樹皮熟成堆肥を混合する場合について説明するが、腐葉土を混合する場合、又は樹皮熟成堆肥と腐葉土の両方を混合する場合にも同様の説明が適用される。
図1は、本発明の実施の形態における粒状化肥料の製造方法を示すフローチャートである。まず、原料として、鶏糞灰と樹皮熟成堆肥をそれぞれ規定量分用意する(S100)。
鶏糞灰は、養鶏業から排出される鶏の糞を焼却処分して得られる灰であり、その種類は、産卵鶏、ブロイラーなどのいずれのもので使用することができる。樹皮熟成堆肥も、種類を問わず市販されている広葉樹又は針葉樹又はその両方を用いた樹皮熟成堆肥が使用可能であり、用意された樹皮熟成堆肥をふるい機によりふるいにかけ、所定サイズ以下(例えば、10mm以下)に整粒されたものが用いられる。
好ましくは、鶏糞灰と樹皮熟成堆肥との混合割合は、重量比において、1:9〜9:1の間で調整可能である。ただし、混合割合については、鶏糞灰の割合が大きくなるほど、水に対する崩壊性が相対的に低くなり、鶏糞灰の割合が小さくなるほど、粒の単位体積あたりの鶏糞灰の有効成分の量が少なくなる。発明者の試行錯誤の結果、鶏糞灰の有効成分の量や水分に対する崩壊しやすさのバランスなどの観点から、鶏糞灰と樹皮熟成堆肥の重量比7:3が特に好ましい重量比である。
用意された鶏糞灰と樹皮熟成堆肥を攪拌機で混ぜ合わせ、鶏糞灰と樹皮熟成堆肥の混合物を生成する(S102)。
生成された混合物の水分を計測し(S104)、通常は水分を加えて、規定の水分値に調整する(S106)。規定水分値は、例えば17%±2%である。
水分調整された混合物をペレットミルにより造粒する(S108)。ペレットミルを用いることにより、円柱形状のペレットに造粒される。そして、できあがったペレット(粒状物)を目視にて外観チェックを行い、全体的に形状、硬さに不備がないことを確認する(S110)。
造粒されたペレットは、ブロワー式乾燥機に貯蔵し、冷却乾燥される(S112)。冷却乾燥後、製袋機で袋詰めされ(S114)、出荷される。
岩手県内のブロイラー業者から入手した鶏糞灰と、出願人が自社で製造している国産樹皮を用いた樹皮熟成堆肥(バーク堆肥)を用意し、鶏糞灰と樹皮熟成堆肥の重量比7:3の割合で混合し、上述した手順にて粒状の鶏糞灰・樹皮熟成堆肥混合肥料を製造した。
製造した肥料の成分分析は、以下の表1の通りであった。リンやカリウムを多量に含んでいることに加えて、マグネシウムやケイ酸などの有効成分も含んでいる。また、酸性土壌を中和する石灰、苦土も含有している。
(比較試験)
比較試験では,(a)鶏糞灰と樹皮熟成堆肥を混合させた粒状肥料と、(b)鶏糞灰のみの粒状肥料との水分に対する崩壊の度合いを比較した。実験条件は以下の通りである。
比較試験では,(a)鶏糞灰と樹皮熟成堆肥を混合させた粒状肥料と、(b)鶏糞灰のみの粒状肥料との水分に対する崩壊の度合いを比較した。実験条件は以下の通りである。
<試験条件>
(1)試験体
(a)鶏糞灰と樹皮熟成堆肥を混合させた粒状肥料
本発明の実施の形態において述べた製造方法により製造された粒状混合肥料であって、鶏糞灰:樹皮熟成堆肥の重量比=7:3のもの
(b)鶏糞灰のみの粒状肥料
(a)で用いた鶏糞灰のみをペレットミルによりペレット化したもの
(1)試験体
(a)鶏糞灰と樹皮熟成堆肥を混合させた粒状肥料
本発明の実施の形態において述べた製造方法により製造された粒状混合肥料であって、鶏糞灰:樹皮熟成堆肥の重量比=7:3のもの
(b)鶏糞灰のみの粒状肥料
(a)で用いた鶏糞灰のみをペレットミルによりペレット化したもの
(2)試験環境
室温:24.5℃
水温:18℃
室温:24.5℃
水温:18℃
(3)試験方法
試験体(a)、(b)を別々の容器に入れ、それぞれ水に浸漬させ、時間経過による形状の変化を目視により観察した。
試験体(a)、(b)を別々の容器に入れ、それぞれ水に浸漬させ、時間経過による形状の変化を目視により観察した。
(4)試験結果
(i)目視による観察の結果、浸漬から1時間経過後、試験体(b)については、水が若干濁る程度で、その形状に変化は見られなかった。
(i)目視による観察の結果、浸漬から1時間経過後、試験体(b)については、水が若干濁る程度で、その形状に変化は見られなかった。
一方、試験体(a)については、各粒の表面が崩れ始め、各粒の3割程度が水に溶解している状態が見られた。また、溶解していない残り部分についても、その表面が膨らみ、ふやけた状態となっているのが見られた。
(ii)浸漬から4時間経過後、試験体(b)については、1時間経過時と比較して、水の濁りが若干濃くなっている状態が見られたが、各粒の形状については、水を吸収し膨張した状態などの状態変化は見られず、形状に変化は見られなかった。
一方、試験体(a)については、粒状の固形体は見られず、全て溶解した。
試験結果により、試験体(b)については、従来からの知見の通り、水への崩壊性が極めて低いことが確認されるとともに、本発明である試験体(a)については、浸漬させると4時間程度で全容する水に対する崩壊性が確認され、土壌中の水分によっても粒が崩壊し、土壌に混和することが判明した。
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
Claims (4)
- 鶏糞灰と、樹皮熟成堆肥又は腐葉土とを混合した混合物を含み、
該混合物が粒状に成型されていることを特徴とする鶏糞灰肥料。 - 請求項1において、
前記鶏糞灰と前記樹皮熟成堆肥又は腐葉土が、7:3の重量比で混合されることを特徴とする鶏糞灰肥料。 - 鶏糞灰に、樹皮熟成堆肥又は腐葉土を混合して混合物を生成する工程と、
当該混合物を粒状物に造粒する工程とを備えることを特徴とする鶏糞灰肥料の製造方法。 - 請求項3において、
前記鶏糞灰と前記樹皮熟成堆肥又は腐葉土が、7:3の重量比で混合されることを特徴とする鶏糞灰肥料の製造方法。
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- 2015-10-05 JP JP2015197449A patent/JP6072188B1/ja active Active
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