JP5769928B2 - 造粒肥料 - Google Patents

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Description

本発明は、畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料に関する。
畜糞焼成灰の一種である鶏ふん燃焼灰とパームやし焼却灰との混合物に水を加えて造粒肥料(粒径2〜4mm)を製造することが提案されてある(特許文献1)。また、畜糞焼成灰と鉱酸を反応させた肥料組成物を製造することも提案されてある(特許文献2)。一方、腐植酸又は腐植酸塩(以下、総称して「腐植酸等」という。)のリン酸の土壌への固定化防止、根の活力向上、土壌の保肥力向上などの長所を利用し、それと苦土分とを混合して腐植酸苦土肥料とすることの提案もある(特許文献3)。たとえば、亜炭や草炭等の若年炭と硝酸を反応させて得られた腐植酸を塩基性マグネシウム含有物質で中和して腐植酸苦土肥料を製造することが知られている(特許文献4)。
特開2008−239382号公報 特開2006−297187号公報 特開2006−96628号公報 特公昭40−14122号公報
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、畜糞焼成灰の多くは微粉状であるため、特許文献1のように水を用いて造粒した場合など、造粒物の硬度が必要以上に高くなり、施用の際、速やかに崩壊し土壌に均一に混和されることが困難であった。また、畜糞燃焼灰には肥料成分として有用な例えばリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれているが、一部水溶性の成分も含まれるため、原料の吸湿や水を用いた混練作業や造粒操作時に原料の粘性が高くなったり、装置内への原料付着や固結が多くなったりして造粒肥料製造時の歩留まりが悪かった。また、一般的に水溶性塩はバインダー効果を有するため、粒硬度が上昇する傾向があった。
第二に、特許文献2に記載の畜糞焼成灰と鉱酸を反応させた肥料組成物では、相当量の鉱酸を使って処理物のpHを中性から弱酸性側までもっていく必要があり、肥料としての有効成分の含有量が低下する場合があった。また、一度中和工程で処理した後、別工程で造粒するなど、大掛かりな設備を必要とするばかりでなく、最終製品とするまでに非常に手間がかかることが多かった。さらに、鉱酸処理により大部分の成分が水溶化するため、本来のク溶性成分主体である畜糞燃焼灰の緩効性肥料としての特性を失ってしまう恐れがあった。
第三に、特許文献3に記載の腐植酸苦土肥料では、粉立ちの少ない粒状の苦土肥料が得られるという優れた効果が得られるが、畜糞焼成灰に腐植酸又は腐植酸塩などを添加した場合に粒状の肥料がうまく得られるかどうかはこの文献からは明らかではない。また、畜糞焼成灰に腐植酸又は腐植酸塩などを添加した粒状肥料を施肥した場合に、植物の生育状態がどのようになるかについてもこの文献からは明らかではない。これらの点は、特許文献4に記載の腐植酸苦土肥料でも同様である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、肥料成分の特性を損なうことが少なく、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を提供することを目的とする。
本発明によれば、畜糞焼成灰と、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上とを含有してなる、造粒肥料が提供される。
この構成によれば、畜糞焼成灰に、さらに腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分を加えるため、造粒物の硬度が必要以上に高くなることを抑制でき、その結果、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることができる。
本発明によれば、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<造粒肥料>
本実施形態によれば、畜糞焼成灰と、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上とを含有してなる、造粒肥料が提供される。これらの腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分によって、畜糞焼成灰を含む造粒物の硬度が必要以上に高くなることを抑制できる。その結果、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることができる。
さらには、これらの腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分は、造粒操作時に装置内への畜糞焼成灰を含む原料の付着や固結を軽減するので造粒肥料の製造歩留まりが向上する。また、このなかで腐植酸は畜糞燃焼灰のpHを下げるので、得られた造粒肥料は窒素揮散が生じ難いものとなる。さらに、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分は、畜糞焼成灰と組み合わせることによって、植物の発芽率の向上効果および増収効果を相乗的に増大させる。
<畜糞焼成灰>
本実施形態で用いる畜糞焼成灰は、いずれの哺乳動物・鳥類の糞から得られる焼成灰であってもよく、例えば、牛、豚、山羊、羊、犬、猫などの家畜のみならず、鶏、アヒル、鴨、七面鳥などの家禽から得られる糞の焼成灰であってもよい。もちろん、野生の哺乳動物・鳥類の糞の焼成灰であってもよいが、入手の容易性や安全性の面では家畜・家禽の糞の焼成灰であることが好ましく、肥料取締法上で化成肥料原料として認可されている鶏ふん燃焼灰(肥料取締法上は「鶏糞」ではなく「鶏ふん」と記載する)であることが好ましい。
また、畜糞焼成灰は、これらの哺乳動物・鳥類の糞を含む原料を燃焼して得られる焼成灰であればよく、特に燃焼温度および燃焼設備を限定するものではないが、例えば鶏ふん、豚糞、牛糞等の家畜糞・家禽糞を800〜1000℃で焼成したものであり、これらの少なくとも一種が用いられる。これらの中でも好ましくは肥料取締法上で認可されている鶏ふん燃焼灰である。なお、家畜糞または家禽糞は、舎飼の家畜から集められたものが主であり飼育現場でオガクズやモミガラ・ワラといった敷料が使用されており、これらの夾雑物や泥土が混入していることがある。本実施形態で用いる畜糞焼成灰は、これらの夾雑物や泥土が混入している家畜糞または家禽糞を燃焼して得られる焼成灰であってもよい。
本実施形態では、畜糞焼成灰、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭の合計質量を100質量%とした場合に畜糞焼成灰の含有率が70質量%以上99質量%以下であれば、造粒の際の製造歩留および施肥時の崩壊性が良好になり、植物の発芽率および収量も良好であるため好ましい。また、この含有率が75質量%以上97質量%以下であればより好ましく、80質量%以上91質量%以下であれば一層好ましい。
<畜糞炭化物>
本実施形態で用いる畜糞炭化物は、いずれの哺乳動物・鳥類の糞から得られる炭化物であってもよく、例えば、牛、豚、山羊、羊、犬、猫などの家畜のみならず、鶏、アヒル、鴨、七面鳥などの家禽から得られる糞の炭化物であってもよい。もちろん、野生の哺乳動物・鳥類の糞の炭化物であってもよいが、入手の容易性や安全性の面では家畜・家禽の糞の炭化物であることが好ましい。これらの中でも好ましくは肥料取締法上で化成肥料原料として認可されている鶏ふんの炭化物である。
また、畜糞炭化物は、これらの哺乳動物・鳥類の糞を含む原料を炭化して得られる炭化物であればよく、特に炭化温度及び炭化設備を限定するものではないが、例えば鶏ふん、豚糞、牛糞等の家畜糞・家禽糞を350〜400℃の炭化炉により炭化したものである。なお、炭化炉での炭化の際には酸素を遮断した状態であることが好ましいが、酸素が若干存在しても炭化は可能である。なお、家畜糞または家禽糞は、舎飼の家畜から集められたものが主であり飼育現場でオガクズやモミガラ・ワラといった敷料が使用されており、これらの夾雑物や泥土が混入していることがある。本実施形態で用いる畜糞炭化物は、これらの夾雑物や泥土が混入している家畜糞または家禽糞を炭化して得られる炭化物であってもよい。
本実施形態では、畜糞焼成灰、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭の合計質量を100質量%とした場合に畜糞炭化物の含有率が1質量%以上20質量%以下であれば、造粒の際の製造歩留および施肥時の崩壊性が良好になり、輸送中に造粒物が崩壊するおそれもなく、畜糞焼成灰と相乗効果を発揮して植物の発芽率および収量を向上させるため好ましい。また、この含有率が2質量%以上10質量%以下であればより好ましく、3質量%以上5質量%以下であれば一層好ましい。
<若年炭>
本実施形態で用いる若年炭は、石炭化が不十分なまま地中に堆積した植物遺体を含み、炭素含有量が70質量%以下、揮発分33質量%以上、総発熱量6100cal以下のものを含む。例えば亜炭、緑青炭などが挙げられる。
本実施形態では、畜糞焼成灰、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭の合計質量を100質量%とした場合に若年炭の含有率が1質量%以上10質量%以下であれば、造粒の際の製造歩留および施肥時の崩壊性が良好になり、輸送中に造粒物が崩壊するおそれもなく、肥料の造粒性が悪化することもなく、畜糞焼成灰と相乗効果を発揮して植物の発芽率および収量を向上させるため好ましい。また、この含有率が1質量%以上7質量%以下であればより好ましく、1質量%以上5質量%以下であれば一層好ましい。
<腐植酸又は腐植酸塩>
本実施形態で用いる腐植酸(「フミン酸」ともいう)又は腐植酸塩(以下、両者を「腐植酸等」という。)は、泥炭や風化炭等天然に産出される天然腐植酸、亜炭の硝酸酸化等により人工的に製造される人工腐植酸、及び天然腐植酸又は人工腐植酸を例えばナトリウム、カリウム、アンモニア、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ物質で中和した腐植酸塩から選ばれた少なくとも一種を含む。これらの中でも好ましくは、水に対し難溶性塩であるマグネシウム塩である。
本実施形態では、畜糞焼成灰、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭の合計質量を100質量%とした場合に腐植酸又は腐植酸塩の含有率が1質量%以上30質量%以下であれば、造粒の際の製造歩留および施肥時の崩壊性が良好になり、輸送中に造粒物が崩壊するおそれもなく、窒素揮発率も抑制でき、畜糞焼成灰と相乗効果を発揮して植物の発芽率および収量を向上させるため好ましい。また、この含有率が3質量%以上20質量%以下であればより好ましく、5質量%以上10質量%以下であれば一層好ましい。
<その他の資材>
本実施形態の造粒肥料には、通常の造粒肥料に混合することができる各種資材を造粒肥料全体を100質量%とした場合に最大20質量%以下であれば含有させることができる。これらの資材を例示すれば、例えば石灰、珪石、粘土、天然石等の天然無機資材、あるいは石灰窒素、熔成りん肥、珪酸質肥料等の肥料などである。このようにその他の資材を混合することによって、本実施形態の造粒肥料に施肥の目的に応じてさらに多彩な特性を付与することが可能になる。
<造粒の仕方>
本実施形態の造粒肥料の粒度は、取扱容易性および肥料散布機や配合肥料用原料の要求特性として1.0mm以上であることが好ましく、特に2.0mm以上4.0mm以下であることが好ましい。
造粒は、畜糞焼成灰と腐植酸等、所望により畜糞炭化物、若年炭、各種の資材を混合し、水を加えて例えば転動装置、傾斜皿形造粒機、圧縮成型機など常法の装置を用いて行うことができる。
得られた造粒肥料は、粉化抑制のため、ワックス、油脂類により温度30〜60℃で1〜10分間加熱処理することもできる。ワックス、油脂類としては、例えばパラフィンワックス、蜜ろう、カルナバワックス等のワックス、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、例えば牛脂等の油脂、例えば牛脂硬化油、大豆硬化油、菜種硬化油等の油脂の硬化油などが用いられる。これらの中でも粉化抑制の面ではパラフィンワックスが最適である。粉化抑制効果を向上するためには、ワックス、油脂類の使用量は、その含有率が0.1〜1.0質量%であることが好ましい。
<循環型・持続的農業への対応>
畜糞燃焼灰等を活用した化成肥料は、耕種農家と畜産農家をつなぐ「循環型農業」資材として有用であるばかりではなく、近年の肥料原料の枯渇の恐れや価格高騰に対し未利用資源の活用といった面からも有用な資材である。さらに、畜糞燃焼灰の含有成分はク溶性成分が主体の緩効性であり、降雨による流亡が少ない環境保全型農業に合致した資材である。一方、圃場でも環境保全型農業による持続性が求められ、「健康な土づくり」を第一に考える必要がある。これまで、農業生産上では肥料成分の補給が第一であったが、新しい視点として、土壌の物理性、化学性、生物性の改良が提案されている。指標として次のようなものがあげられる。
土壌の物理性:土壌の硬さ、作土の厚さ、緻密度、保水性、透水性、通気性
土壌の化学性:陽イオン交換容量、養分の保持力、pH、酸化還元
土壌の生物性:土壌生物の豊かさや有機物分解性
ここで、本実施形態の畜糞焼成灰と、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上とを含有してなる、造粒肥料を開発した当初目的は、これらの腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分によって、畜糞焼成灰を含む造粒物の硬度が必要以上に高くなることを抑制し、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることであった。
その結果、畜糞焼成灰と、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上とを含有してなる、造粒肥料を開発してみたところ、含有成分の特性(ク溶性成分)は大きく変化する事なく、造粒操作時に装置内への畜糞焼成灰を含む原料の付着や固結を軽減するので造粒肥料の製造歩留まりが向上し、運搬時には造粒肥料が容易に崩壊しないが、その一方で施肥時には土中で容易に崩壊して均一な状態に施肥・土壌混和できることが判明した。
さらに、予想外なことに、これらの腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分は、畜糞焼成灰と組み合わせることによって、植物の発芽率の向上効果および増収効果を相乗的に増大させることも判明した。また、開発した造粒肥料の効果はこれだけにとどまらなかった。驚いたことに、これらのうち腐植酸は畜糞燃焼灰のpHを下げるため、得られた造粒肥料は窒素揮散が生じ難いものであることも判明した。
これらのすべての予想外の結果の原因として考えられるのが、畜糞焼成灰は無機物が主体であるのに対して、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭は有機物が主体であるという点である。このように、畜糞焼成灰を含む造粒物の硬度が必要以上に高くなることを抑制し、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることを目的に、畜糞焼成灰に組み合わせるべき成分を探索した結果、偶然にも腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭を見いだすことになった。そして、これらの成分はいずれも有機物が主体の成分であったために、意図せずして無機物に有機物をバランスよく組み合わせることとなり、肥料成分の補給のみならず、土づくり効果も発揮したと想定される。
ここで、有機物の施用による土づくりは、物理性においては土壌の団粒構造の促進、化学性においては地力の指標の改善、生物性においては土壌生物の多様化が図られるなど以下のような様々な効果がうたわれている。
有機物施用の効果
未分解の粗大有機物が土壌にすき間をつくり「通気性」が良くなる。
未分解の粗大有機物により土壌生物が増え、「土壌生物のバランス」が改善される。
有機物の微生物分解で生成される腐植により「団粒構造」が促進強化される。
土が柔らかくなり、「通水性や保水性」が改善される。
腐植により陽イオン交換容量が増加し「保肥力」が高まる。
有機物が徐々に分解され微量要素を含む「土壌養分供給力」が高まる。
腐植がアルミニウムと結合してリン酸固定力が低下するので、「リン酸の肥効」が高まる。
ここで、望ましい土壌の物理性を表現する言葉として次のようなものがある。
土が柔らかい
作土層が厚い
不透水層がない
保水性が良く排水性が良い
通気性が良い(根には酸素が不可欠、酸素濃度 10%前後で生育の遅れが発生、5%以下で生育が止まる)
三相分布(固相、気相、液相)が適切である
これらのすべての要素を兼ね備えた望ましい土壌の物理性を表現したものが団粒構造の発達した土壌である。団粒構造とは、粘土鉱物が微量要素などと共に有機物の微生物分解によって生成された腐植や土壌動物の糞などにより互いにくっつきあって出来た隙間だらけのかたまりのまたそのかたまりである。そのため、一見相反するように考えられる「水はけが良くて、水持ちが良い」土壌になる。
すなわち、本実施形態では、畜糞焼成灰を含む造粒物の硬度が必要以上に高くなることを抑制し、容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和できる畜糞焼成灰を成分とする造粒肥料を得ることを目的に、畜糞焼成灰に組み合わせるべき成分を探索した結果、偶然にも腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭を見出すことになった。そして、これらの成分はいずれも有機物が主体の成分であったために、意図せずして無機物に有機物をバランスよく組み合わせることとなり、土壌中に施肥した際に、造粒肥料が容易に崩壊し均一な状態に施肥・土壌混和された後、土壌中において畜糞焼成灰が腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭などにより互いにくっつきあって出来た隙間だらけのかたまり(一次粒子)のまたそのかたまり(2次粒子)からなる団粒構造が構成されたのではないかと想定される。
その結果、予想外なことに、これらの腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物、及び若年炭から選ばれた一種又は二種以上の成分は、畜糞焼成灰と組み合わせることによって、植物の発芽率の向上効果および増収効果を相乗的に増大させるという驚くべき結果が得られたのではないかと想定される。もっともこのメカニズムはあくまでも後知恵に基づく仮説であり、実際にはどのようなメカニズムでこのような驚くべき結果が得られたのかは定かではない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜20 比較例1>
鶏ふんを950℃で焼成して鶏ふん燃焼灰(ク溶性リン酸C−P:15.4質量%、ク溶性カリウムC−KO:19.1質量%、ク溶性苦土C−MgO:6.1質量%、含水率:0.0質量%、pH:11.2)を得た。この鶏ふん燃焼灰に、腐植酸、腐植酸塩、畜糞炭化物又は若年炭を表1に示す割合で混合した後、この混合物100質量部あたり10質量部の水を加えリボンブレンダーにて混練した。これをパン型造粒機(直径1.0mm)を用い、50回転/分で回転させ適宜水を噴霧しながら造粒した。80℃で5時間乾燥した後、粒径2〜4mmのものを篩分け選別して造粒肥料を製造し水中崩壊性を評価した。それらの結果を表1に示す。
水中崩壊性は、「肥料登録の手引き」1980年、肥料協会新聞部発行、に従って行った。すなわち、水中に置かれた篩い目2.0mmの篩上に、50粒の造粒肥料を互いに接触しないように適宜広げて載置し、20時間静置後の篩い残分を測定し、篩下に消失した割合(%)を算出した。測定は5回行いその平均値を求めた。
なお、腐植酸は亜炭10質量部(無水換算)に対し硝酸を5質量部(無水換算)を加え、70℃で20分間酸化分解して製造されたものを用いた。腐植酸塩はマグネシウム塩(商品名「アヅミン」デンカアヅミン社製)を用いた。鶏ふん炭化物は市販品(商品名「炭太郎」十文字チキンカンパニー社製)を用いた。若年炭はロシア産の亜炭を用いた。各種資材は熔成りん肥(商品名「ようりん」日之出化学社製)を用いた。
つぎに、実施例4、5、比較例1で製造された造粒肥料100質量部と硫酸アンモニウム(商品名「21.0硫酸アンモニア」宇部興産社製)100質量部をポリ袋に入れて混合した後、30℃、相対湿度85%で1ヶ月間保管し、窒素揮散率を求めた。それらの結果を表2に示す。
窒素揮散率は、アンモニア態窒素量をケルダール蒸留法(肥料分析法に準ずる)により測定し、保管前のアンモニア態窒素量と保管後のアンモニア態窒素量より窒素揮散率(質量%)を求めた。測定は3連制の平均値とした。pH(H2O)は肥料分析法に準じ、固液比1:10で測定した。測定は3連制の平均値とした。
<実施例21、22、比較例2>
実施例4、実施例5、比較例1において、鶏ふん燃焼灰のかわりに豚糞焼却灰を用いたこと以外は同様にして造粒肥料を製造した(それぞれ実施例21、実施例22、比較例2とする。)。その結果、崩壊性は実施例21が98.6%、実施例22が92.6%、比較例2が52.5%であった。
なお、用いた豚糞焼却灰は、豚糞を900℃で焼成して製造されたものであり、ク溶性リン酸C−P:8.6質量%、ク溶性カリウムC−KO:3.3質量%、ク溶性苦土C−MgO:5.7質量%、含水率:0.0質量%、pH:10.6、である。
実施例と比較例の対比から、本実施例の造粒肥料は崩壊性がよいことから、速やかに崩壊し、分散性に優れたものであることがわかる。また、造粒肥料の製造時、ミキサーやパン型造粒機に付着した原料について、原料投入量(乾物換算の使用量)と造粒肥料の回収量(篩分前)より歩留まりを求めた結果、比較例1は82.3質量%、実施例1〜20は95.0質量%以上であった。
つぎに、実施例2、7、11、15、比較例1で製造された造粒肥料を用いて、以下の栽培試験を行い肥料効果(肥効)を確認した。すなわち、褐色低地土を500mLと造粒肥料を良く混合し、ノイバウエルポット(直径11cm、高さ6.5cm、容量650mL)に入れ、20粒のコマツナ(品種:楽天)を播種し28日間栽培を行い、発芽率(播種した種子の中で発芽した割合、播種7日目に測定)、地上部の重さ(地上部の葉茎の重さ)を測定した。肥料成分は窒素、リン酸、カリウムをそれぞれ成分として、ポットあたり100mgとし不足分は硫酸アンモニウム、過リン酸石灰、塩化カリウム(全て肥料グレード)を用いて補った。栽培は各区3ポットの平均値とした。それらの結果を表3に示す。比較例1に比べて、実施例では発芽率が向上し、また地上部の重さも重くなり増収となった。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、上記実施例では、鶏ふん燃焼灰および豚糞焼却灰を用いたが特にこれらの畜糞燃焼灰に限定する趣旨ではない。例えば、他にも牛糞燃焼灰等を用いても良い。この場合にも、当然ながら鶏ふん燃焼灰および豚糞焼却灰と同様の作用効果を得ることができる。

Claims (1)

  1. 畜糞焼成灰及び腐植酸からなる、造粒肥料であって、
    前記畜糞焼成灰及び前記腐植酸の合計質量を100質量%とした場合に前記畜糞焼成灰の含有率が70〜99質量%であり、
    前記腐酸の含有率が1〜30質量%であり、
    粒径が2〜4mmである造粒肥料。
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