JP2017071122A - ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性と耐衝撃性との物性バランスに優れ、かつ耐折り曲げ割れ性にも優れると共に、低コストで製造可能なポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を提供する。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂発泡層の両面に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層を有する、全体見掛け密度0.03〜0.3g/cmのポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1であって、発泡層はポリスチレン系樹脂2、ポリエチレン系樹脂3、及びスチレン系エラストマー4を含有するポリスチレン系樹脂組成物から構成されており、ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂2の含有量が60〜94質量%、ポリエチレン系樹脂3の含有量が5〜30質量%、スチレン系エラストマー4の含有量が1〜10質量%であり(ただし、合計量を100質量%とする)、樹脂層はポリエチレン系樹脂8を含むポリエチレン系樹脂組成物から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体に関する。
従来、板状のポリスチレン系樹脂発泡体は、その発泡体特有の剛性、軽量性を利用し、ディスプレイ材、包装材、食品容器等の素材として使用されている。また最近では、剛性向上、帯電防止等の機能性付与のため、ポリスチレン系樹脂発泡層に樹脂層を積層したポリスチレン系樹脂板状積層発泡体が検討されている。
一方、これらのポリスチレン系樹脂発泡板は、用途によっては剛性、軽量性の他に緩衝性(クッション性)、耐衝撃性、耐割れ性(折り曲げた際などに割れない)等の物性を要求されることがある。
ポリスチレン系樹脂発泡体の耐衝撃性等の機械的物性を改良するために、ポリスチレン系樹脂発泡層にスチレン系エラストマーを含有させ、少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を積層した共押出積層発泡体が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2006−297838号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている共押出積層発泡体は、容器等への熱成形用途に用いられることが考慮されており、発泡層に含まれるスチレン系エラストマー等のゴム成分が比較的多いため、耐衝撃性には優れたものであるが、板状の緩衝材として使用する場合等、用途によっては、より高い剛性が望まれる場合があった。また、スチレン系エラストマーは高価であるため、コスト面に関してさらなる改善の余地を残すものであった。
本発明は、上記要請に鑑みなされたものであって、剛性と耐衝撃性との物性バランスに優れ、かつ耐折り曲げ割れ性にも優れると共に、低コストで製造可能なポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を提供することを課題とする。
本発明は、以下に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を提供する。
<1>ポリスチレン系樹脂発泡層の両面に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層を有する、全体見掛け密度0.03〜0.3g/cmのポリスチレン系樹脂板状積層発泡体であって、該発泡層はポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーを含有するポリスチレン系樹脂組成物から構成されており、該ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の含有量が60〜94質量%、ポリエチレン系樹脂の含有量が5〜30質量%、スチレン系エラストマーの含有量が1〜10質量%であり(ただし、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーの合計量を100質量%とする)、該樹脂層はポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物から構成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<2>前記ポリスチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの質量比が、100:15〜100:80であることを特徴とする<1>に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<3>前記発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1と表層部の平均気泡径D2が、それぞれ0.15〜0.8mmであり、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1が0.7以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<4>前記ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体厚みが30mm以下であることを特徴とする<1>から<3>のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<5>前記樹脂層の片面あたりの坪量が、3〜50g/mであることを特徴とする、<1>から<4>のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<6>前記ポリエチレン系樹脂組成物が帯電防止剤を含むことを特徴とする、<1>から<5>のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<7>前記発泡層の独立気泡率が、60%以上であることを特徴とする<1>から<6>のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
<8>前記発泡層と樹脂層との接着強度が0.5N/25mm以上であることを特徴とする<1>から<7>のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体によれば、ポリスチレン系樹脂発泡層の両面に共押出により積層接着されたポリエチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂層を有すると共に、発泡層のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、スチレン系エラストマーを特定の割合とすることで、剛性と耐衝撃性との物性バランスに優れ、かつ耐折り曲げ割れ性にも優れたポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を低コストで提供することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の製造に用いる押出機の概略図である。
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体は、ポリスチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層と略称する)の両面に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層(以下、単に樹脂層と略称する)を有するポリスチレン系樹脂板状積層発泡体であり、該発泡層はポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーを含有するポリスチレン系樹脂組成物から構成され、該樹脂層はポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物から構成されたものである。
[発泡層]
(ポリスチレン系樹脂)
本発明において、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂組成物におけるポリスチレン系樹脂は、スチレンを主体とする重合体であり、スチレン単独重合体のみならず、スチレンと共重合し得るビニル系単量体とスチレンとの共重合体を用いることができる。具体的には、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物等が挙げられる。また、これらのポリスチレン系樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明におけるポリスチレン系樹脂は、スチレン成分が50モル%以上のものであり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル等が挙げられる。これらの中でも、発泡体製造時の押出発泡性、発泡体の耐衝撃性と剛性のバランス、コスト性の観点から、低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることが好ましい。
低密度ポリエチレンを用いる場合、押出発泡性や発泡体の物性バランスの観点から、JIS K 7210−1:2014(試験温度:190℃、荷重2.16kg)に基づいて測定される低密度ポリエチレン樹脂のMFRが、5g/10min以下であることが好ましい。また、その下限は、概ね0.1g/10min以上である。
なお、一般に、低密度ポリエチレンとは、長鎖分岐構造を有する密度0.91g/cm以上0.93g/cm未満のポリエチレン系樹脂をいう。また、本発明におけるポリエチレン系樹脂は、エチレン成分が50モル%以上のものであり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーは、既知の一般的なスチレン系エラストマーを用いることができる。例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、SEBSと略称する)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、SBBSと略称する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等を挙げることができる。これらの中でも、樹脂層との接着性や回収原料としての使いやすさの観点から、SEBS、SBBSを好適に用いることができる。
なお、上記したスチレン系エラストマーについては、例えば、「プラスチックエージ」、第101頁〜第106頁(June1985)等に詳述されている。また、スチレン系エラストマーのスチレン成分比率については、本発明の目的、効果が達成される範囲であれば特に限定されるものではないが、概ね20〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜45質量%である。
(ポリスチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂の含有量)
ポリスチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂の含有量は、5〜30質量%である。ポリエチレン系樹脂の含有量が低すぎると、発泡層と樹脂層との接着性が低下し、発泡体の表面状態が悪化するおそれがあると共に、発泡体の耐衝撃性を確保するために組成物中におけるスチレン系エラストマーの含有量を増加させる必要が生じるため、発泡体の剛性を高めることが難しくなると共に、コスト高につながるおそれがある。
また、ポリエチレン系樹脂の含有量が高すぎると、発泡体の外観が悪化するおそれがあると共に、発泡体の高い独立気泡率を維持することが困難となり、剛性が低下するおそれがある。
上記観点から、ポリエチレン系樹脂の含有量の下限は7質量%が好ましく、より好ましくは10質量%である。一方、含有量の上限は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(ポリスチレン系樹脂組成物中のスチレン系エラストマーの含有量)
ポリスチレン系樹脂組成物中のスチレン系エラストマーの含有量は、1〜10質量%である。スチレン系エラストマーの含有量が少なすぎると、発泡体の耐衝撃性や耐折り曲げ割れ性が低下するおそれがあると共に、ポリスチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂の分散状態が悪化し、発泡体の表面状態が悪化するおそれがある。また、スチレン系エラストマーの含有量が多すぎると、発泡体の剛性を高めることが難しくなると共に、コスト高につながるおそれがある。
上記観点から、スチレン系エラストマーの含有量の下限は1.5質量%であることが好ましく、より好ましくは2質量%である。一方、含有量の上限は9質量%であることが好ましく、より好ましくは8質量%である。
(ポリエチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの質量比)
ポリスチレン系樹脂組成物中におけるポリエチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの質量比は、100:15〜100:80であることが好ましい。これらの質量比を上記範囲とすることで、発泡層と樹脂層との接着性が良好であると共に、発泡体の剛性、耐衝撃性及びコスト性のバランスにより優れる発泡体を得ることができる。
上記観点から、ポリエチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの質量比は、100:15〜100:70であることがより好ましく、さらに好ましくは100:15〜100:60である。
(ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の含有量)
ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の含有量は、60〜94質量%である。この際、ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーの合計量を100質量%とする。
(ポリスチレン系樹脂組成物に配合可能な樹脂)
本発明の発泡層を構成するポリスチレン系樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記したポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂以外のその他の樹脂を配合することができる。その場合、その他の樹脂の配合量は、ポリスチレン系樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは0質量部である。
[樹脂層]
(ポリエチレン系樹脂)
樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルや、これら2種以上の混合物を用いることができる。また、回収原料としての使いやすさの観点から、樹脂層として発泡層と同一のポリエチレン系樹脂を使用することが好ましい。
樹脂層にポリスチレン系樹脂を用いる場合、又は共押出により発泡層の両面に樹脂層を積層接着しない場合、発泡体の表層部の柔軟性が低下し、発泡体の耐折り曲げ割れ性が低下するため、折り曲げた際に発泡体が割れやすくなる。本発明においては、共押出により発泡層の両面に樹脂層として上記したポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物を積層接着することで、発泡体の表層部の柔軟性を高めることができ、耐折り曲げ割れ性に優れた発泡体となる。
(その他の樹脂成分)
また、樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂組成物はポリエチレン系樹脂のみであってもよいが、ポリエチレン系樹脂組成物には、上記ポリエチレン系樹脂のほか、他の樹脂成分を配合することができる。これらの樹脂成分としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、スチレン系エラストマーやそれらの水添物等を挙げることができる。ポリプロピレン系樹脂としては、メタロセン系重合触媒を用いて重合されたポリプロピレン系樹脂(m−PP)等を好適に用いることができ、この場合、ヒンジ性(繰り返し折り曲げ性)を高めることができる。また、スチレン系エラストマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等を好適に用いることができ、この場合、樹脂層と発泡層との接着性を高めることができる。
他の樹脂成分を配合する場合、その配合量は、発泡層と樹脂層との間で接着し、本発明の所期の目的を達成できる範囲であればよいが、樹脂層のポリエチレン系樹脂組成物100質量%に対して、概ね50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、最も好ましくは25質量%以下である。
他の樹脂成分としてスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系エラストマーを配合する場合、樹脂層と発泡層との接着性を高める観点から、その下限は、樹脂層のポリエチレン系樹脂組成物100質量%に対して、概ね3質量%が好ましく、より好ましくは5質量%である。また、その上限は、概ね50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
(添加剤)
さらに、樹脂層には、本発明の目的を阻害しない範囲において添加剤を添加することができる。添加剤の種類は特に制限されるものではないが、機能性添加剤として、発泡体への埃等の付着を防止できる帯電防止剤を添加することが好ましい。帯電防止剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとが繰り返し結合した構造を有するブロック共重合体等の高分子型帯電防止剤を用いることができる。具体的には、三洋化成工業株式会社製のペレスタット(商標)VL300、ペレスタットHC250、ペレクトロン(商標)HS、ペレクトロンPVH等を挙げることができる。また、他の機能性添加剤として、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、着色剤等を添加することもできる。
帯電防止剤を添加する場合、その添加量は、帯電防止剤の性能にもよるが、樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂組成物100質量%に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
[ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体]
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体は、前記ポリスチレン系樹脂組成物から構成された発泡層の両面に、共押出により前記ポリエチレン系樹脂組成物から構成された樹脂層を積層接着させたポリスチレン系樹脂板状積層発泡体である。以下に、本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の詳細を説明する。
(全体見かけ密度)
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体の見かけ密度は0.03〜0.3g/cmである。全体見かけ密度が低すぎる場合には、発泡体の剛性や強度を維持することが困難となるおそれがある。また、全体見かけ密度が高すぎる場合には、積層発泡体の軽量性を維持することが困難となるおそれがある。
上記観点から、発泡体の全体見かけ密度は0.035〜0.2g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.04〜0.15g/cmである。
なお、本発明におけるポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体見かけ密度は、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体から適宜寸法にて切り出された発泡体片(例えば、長さ10cmの寸法にて、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全幅にわたってその幅方向に切断して得られる発泡体片)からなる試験片の重量(g)を、その試験片の外形寸法から求められる体積(cm)で除した値を単位換算(g/cm)して求められる。
(全体厚み)
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体厚みは、発泡体の軽量性や生産性の観点から、30mm以下であることが好ましく、より好ましくは25mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。また、全体厚みの下限は、発泡体の剛性の観点から、概ね0.5mm以上であり、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上である。
なお、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体厚みは、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全幅にわたって幅方向に1cm間隔で測定される厚み(mm)の算術平均値として求めることができる。
(発泡層の独立気泡率)
発泡層の独立気泡率は、優れた剛性、耐衝撃性等の物性を得る観点から60%以上が好ましく、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
上記独立気泡率:S(%)は、ASTMD2856−70(1976再認定)に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型等を使用して測定される試験片の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(cm)から、下記式(1)により算出できる。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)・・・(1)
但し、上記式中の、Va、W、ρは以下の通りである。
Va: 測定に使用した試験片の見かけ容積(cm
W: 試験片の重量(g)
ρ: 試験片を構成する樹脂組成物の密度(g/cm
なお、樹脂組成物の密度ρ(g/cm)は、試験片の重量W(g)及び測定に使用した試験片を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られたサンプルの体積(cm)から求めることができる。
(発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1、及び表層部の平均気泡径D2)
発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1、及び表層部の平均気泡径D2は、それぞれ0.15〜0.8mmであると共に、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1が0.7以上であることが好ましい。
上記気泡径と気泡径の比は、発泡層の中央部だけでなく表層部においても十分に発泡が進むことで達成されるものである。本発明においては、発泡層の両面に樹脂層を共押出により積層接着させることで、発泡体製造時に発泡体表面付近の発泡層の冷却を抑制することができ、発泡層の表層部の気泡が十分に成長するように調整することができる。これにより、発泡層の表層部が柔軟になり、発泡体の耐曲げ割れ性をさらに向上させることができる。
発泡体の表面状態や表面平滑性の観点から、平均気泡径D1及び平均気泡径D2は、それぞれ0.20〜0.7mmであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.6mmである。また、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1は、0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.0以上である。なお、D2/D1の上限は、特に限定されるものではないが、概ね1.3以下であり、好ましくは1.2以下である。
発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1は、次のように測定される。
まず、発泡体の押出方向(MD)、及び幅方向(TD)に沿って発泡体をスライスし、それぞれの方向の垂直断面写真を撮影する。次に、押出方向、及び幅方向の各断面写真において、発泡体の両表面から厚み方向中心に向かって、発泡体の全厚みの1/4の位置に押出方向あるいは幅方向に沿って二本の直線を引き、該二本の直線によって囲まれた領域から、20個以上の気泡を無作為に選択し、投影画像の拡大率を考慮した水平フェレ径(発泡体の押出方向、及び幅方向に対して水平方向のフェレ径)をそれぞれ測定する。次に、測定した各気泡の水平フェレ径の算術平均値を算出し、押出方向の平均水平フェレ径、及び幅方向の平均水平フェレ径を求める。これらの平均水平フェレ径を乗じた値の平方根により算出される値を発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1とする。
発泡層の表層部の平均気泡径D2は、次のように測定される。
まず、発泡体の押出方向(MD)、及び幅方向(TD)に沿って発泡体をスライスし、それぞれの方向の垂直断面写真を撮影する。次に、押出方向、及び幅方向の各断面写真において、発泡体の厚み方向に沿って直線を引き、該直線と交わる気泡のうち、最も表面側に存在する気泡について、投影画像の拡大率を考慮した水平フェレ径をそれぞれ測定する。各断面写真において、同様な測定を片表面側の気泡についてそれぞれ10箇所以上(両表面側の気泡を合わせて計20箇所以上)に対して行う。次に、測定した各水平フェレ径の算術平均値を算出し、押出方向の平均水平フェレ径、及び幅方向の平均水平フェレ径を求める。これらの平均水平フェレ径を乗じた値の平方根により算出される値を発泡層の表層部の平均気泡径D2とする。
(樹脂層の坪量)
樹脂層の片面あたりの坪量は、3〜50g/mであることが好ましい。樹脂層の片面あたりの坪量を上記範囲とすることで、より安定して樹脂層を均一に積層できると共に、軽量かつ耐衝撃性や耐曲げ割れ性に優れた発泡板を得ることができる。また、コスト性や軽量性の観点から、発泡体の片面あたりの坪量の上限は、40g/mであることが好ましく、より好ましくは30g/m、さらに好ましくは20g/mである。
樹脂層の片面あたりの坪量は、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体製造時の樹脂層の押出機吐出量をもとに求めることができる。後述するように、発泡層の外側に樹脂層が積層された筒状の発泡体をロールなどにて挟み込み、筒状の発泡体の内面を融着させて発泡板を得る場合には、樹脂層の片面あたりの坪量は、ポリエチレン系樹脂層の押出機吐出量をL(kg/hr)、発泡体引取速度をM(m/min)、発泡体全幅をN(m)として、以下の式(2)により求めることができる。
樹脂層の片面あたりの坪量(g/m)=(L×10/2)/(M×N×60)・・・(2)
なお、発泡層と樹脂層とを切り分けることができる場合には、切り分けた樹脂層の坪量は、その重量と面積から1m当たりの重量(g)に換算することにより求めることができる。
(発泡層と樹脂層との接着強度)
ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の発泡層と樹脂層との接着強度は、優れた外観(表面状態、表面平滑性)を得る観点から、0.5N/25mm以上が好ましく、より好ましくは0.6N/25mm以上、さらに好ましくは0.7N/25mm以上である。
接着強度は、JIS Z 0237(1991)「8.3.2 90°引きはがし法」に準拠して測定できる。具体的には、まず、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体から、押出方向、及び幅方向に沿って長さ250mm×幅25mmの寸法にそれぞれ切り出し、試験片とする。次に、試験片に対して、引きはがし速度300mm/minの条件にて、樹脂層を押出方向(MD)、及び幅方向(TD)に剥離し、その時の荷重を接着強度として測定する。この接着強度の測定を、押出方向、及び幅方向に沿って同様に切り出したそれぞれ3つの試験片に対して行い、測定値の算術平均値を算出し、単位換算して接着強度とする。
なお、樹脂層の坪量が小さい等の理由で、接着強度測定時、樹脂層が破断しやすく、測定が困難な場合は、樹脂層の表面側をテープ等で補強し、測定しても構わない。
(本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の製造方法)
以下、本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の製造方法の一実施形態を説明する。図1に本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の製造に用いる押出機の概略図を示す。
本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1の製造方法は、まず、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂2、ポリエチレン系樹脂3、スチレン系エラストマー4、その他必要に応じて添加される気泡調整剤等の添加剤を第1押出機5に供給して加熱混練し、発泡剤6を圧入して更に混練し、発泡適正温度に調整し、発泡層形成用樹脂溶融物7とする。
また同時に、樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂8、その他必要に応じて添加される帯電防止剤9等の添加剤や揮発性可塑剤11を第2押出機10に供給して加熱混練し、適正温度に調整し、樹脂層形成用樹脂溶融物12とする。
上記発泡層形成用樹脂溶融物7と樹脂層形成用樹脂溶融物12の吐出量を制御して環状ダイ13に導入する。環状ダイ13内で発泡層形成用樹脂溶融物7と樹脂層形成用樹脂溶融物12とを合流積層させてから、共押出して発泡層形成用樹脂を発泡させることにより、発泡層の外周面に樹脂層が積層接着された筒状積層発泡体を製造する。この筒状積層発泡体を引き取りながらピンチロールに通過させて、筒状積層発泡体の内側の発泡層の内面同士を融着させることにより、ポリスチレン系樹脂発泡層の両面側にポリエチレン系樹脂層が積層接着された本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1を得ることができる。
なお、共押出では、発泡層形成用樹脂溶融物7に樹脂層形成用樹脂溶融物12の温度をできるだけ近づけた方がより独立気泡率の高い発泡板が得られるため好ましい。また、共押出により発泡層の外面、及び内面の両面に樹脂層が積層接着された筒状積層発泡体を製造し、筒状の冷却装置であるマンドレルに沿わせ、切り開いてシート状の積層発泡体を得て、その後加熱炉等で平板化し、本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1を得ることもできる。
上記した製造方法のうち、本発明の発泡体を得やすいことから、環状ダイ13を用いて発泡層の外周面に樹脂層が積層接着された筒状積層発泡体を製造し、この筒状積層発泡体を引き取りながらピンチロールに通過させて、筒状積層発泡体の内側の発泡層の内面同士を融着させることでポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1を得ることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体1の製造に用いられる環状ダイ13、押出機等の各種装置は、従来押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを適宜用いることができる。
発泡層形成用樹脂溶融物7の発泡適正温度とは、発泡するのに最適な粘弾性を示す温度を意味する。発泡適正温度は、ポリスチレン系樹脂2の種類や溶融粘度、発泡剤6の種類や添加量によって適宜定まるものであるが、通常、130℃以上170℃以下程度の範囲である。
(気泡調整剤)
発泡層形成用樹脂溶融物7に添加される気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
気泡調整剤の添加量は、発泡層を構成する樹脂100質量部に対して、概ね0.05〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
(発泡剤)
発泡剤6としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭素数2以上7以下の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等の炭素数1以上3以下のハロゲン化脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、又はメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の炭素数2以上8以下の脂肪族エーテル、等の有機物理発泡剤、窒素、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤が挙げられる。
上記した発泡剤6は、2種以上を混合して使用することが可能である。発泡剤6は、上記した中でもポリスチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点から、有機系物理発泡剤が好ましく、特にノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好ましい。
発泡剤6の添加量は、発泡剤6としてイソブタン30質量%とノルマルブタン70質量%とのブタン混合物等の有機系物理発泡剤を用いる場合、発泡層6を構成する樹脂100質量部に対して、概ね0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部、より好ましくは2〜6質量部である。なお、発泡剤6としては、物理発泡剤以外の発泡剤を併用して用いることもできる。
(揮発性可塑剤)
本発明の発泡体の製造方法においては、発泡層形成用樹脂溶融物7と樹脂層形成用樹脂溶融物12とを共押出する際に、適正発泡温度での、樹脂層形成用樹脂溶融物12の溶融伸びを向上させ、樹脂層形成用樹脂溶融物12の伸びを発泡層形成用樹脂溶融物7の伸びに対応させるために、樹脂層形成用樹脂溶融物12には揮発性可塑剤11が添加されることが好ましい。
揮発性可塑剤11は、樹脂層形成用樹脂溶融物12中に存在している状態で、溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、樹脂層形成後に、樹脂層より揮発してその樹脂層から除去されるものが用いられる。
揮発性可塑剤11としては、例えば、炭素数2以上7以下の脂肪族炭化水素、炭素数1以上3以下のハロゲン化脂肪族炭化水素、炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、又は炭素数2以上8以下の脂肪族エーテル等から選択される1種、又は2種以上で構成されるものが好ましく用いられ、これらの中でも、ポリエチレン系樹脂との相溶性、取扱いの容易さ等の観点から、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素が好ましい。炭素数2〜7の脂肪族炭化としては、具体的には、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
揮発性可塑剤11の添加量については、樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂組成物100質量部に対して、概ね1〜10質量部であることが好ましい。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体について、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造装置として、バレル内径90mmの押出機と、該押出機に接続されたバレル内径120mmの押出機とからなるタンデム型の発泡層形成用押出機(第1押出機)の出口に共押出用環状ダイ(リップ径100mm)を取付け、さらに該共押出用環状ダイに、バレル内径50mmの樹脂層形成用押出機(第2押出機)を連結させた共押出装置を用いた。
なお、上記製造装置に導入する発泡層用及び樹脂層用の各材料は、以下のものを用いた。
[ポリスチレン系樹脂発泡層]
ポリスチレン系樹脂(PS樹脂):PSジャパン社製 ポリスチレン GX154
ポリエチレン系樹脂(PE樹脂):住友化学社製 低密度ポリエチレン F102
スチレン系エラストマー
SEBS:旭化成社製 スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体 タフテックH1041
SBBS:旭化成社製 スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体 タフテックP1500
[ポリエチレン系樹脂層]
LD:日本ユニカー社製 低密度ポリエチレン NUC8321
LL:日本ポリエチレン社製 直鎖状低密度ポリエチレン ノバテックLL UJ960
PS:PSジャパン社製 ポリスチレン HH102
HD:東ソー社製 高密度ポリエチレン ニポロンハード4000
m−PP:日本ポリプロ社製 メタロセン系ポリプロピレン ウィンテックWXK1233
SEBS:旭化成社製 スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体 タフテックH1041
帯電防止剤:三洋化成社製 高分子型帯電防止剤 ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体 ペレクトロンHS
(実施例1)
発泡層形成用のポリスチレン系樹脂GX154、ポリエチレン系樹脂F102、スチレン系エラストマーSEBS、H1041を表1に示す含有量となるように第1押出機に供給し、気泡調整剤としてタルク35%マスターバッチを1.0質量部添加し、加熱、溶融、混練し、これに発泡剤としてブタン5.7質量部を注入し、136℃に調整して、発泡層形成用樹脂溶融混合物とし、吐出量96.8kg/hrで共押出用環状ダイ中に導入した。
同時に、ポリエチレン系樹脂層形成用のポリエチレン系樹脂NUC8321、帯電防止剤ペレクトロンHSを表1に示す配合量にて第2押出機に供給して、加熱、溶融、混練し、これに揮発性可塑剤としてブタン4.5質量部を注入し、160℃に調整して樹脂層形成用樹脂溶融混合物とし、吐出量9.4kg/hrで共押出用環状ダイに導入した。
共押出用環状ダイ中で、発泡層形成用樹脂溶融混合物と樹脂層形成用樹脂溶融混合物とを合流させ、発泡層形成用樹脂溶融混合物の外周面に樹脂層形成用樹脂溶融混合物を積層してから筒状に共押出して、筒状積層発泡体を形成した。該筒状発泡体を15.7m/minの速度で引き取りながらピンチロールで挟み込んで、この内面同士を融着させることにより幅500mm、厚み5.0mmのポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
(実施例2、11、比較例2〜4)
実施例1より、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、スチレン系エラストマーを表1に示す含有量に変更し、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
(実施例3、4)
実施例1より、表2に示す全体見かけ密度、全体坪量となるように発泡剤、気泡調整剤の量等を調整しポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
なお、実施例3では、気泡調整剤としてタルク35%マスターバッチを1.3質量部添加し、発泡剤としてブタン4.4質量部を注入し、発泡層形成用樹脂溶融混合物の温度を138℃に調整すると共に、樹脂層形成用樹脂溶融混合物の吐出量を7.2kg/hrとし、該筒状発泡体の引取り速度を11.9m/minとした。また、実施例4では、気泡調整剤としてタルク35%マスターバッチを1.6質量部添加し、発泡剤としてブタン3.0質量部を注入し、発泡層形成用樹脂溶融混合物の温度を140℃に調整すると共に、樹脂層形成用樹脂溶融混合物の吐出量を4.6kg/hrとし、該筒状発泡体の引取り速度を7.7m/minとした。
(実施例5〜8、比較例1)
実施例1より、樹脂層形成用の樹脂を表1に示す種類、配合量に変更し、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
(実施例9)
実施例1より、発泡層形成用のスチレン系エラストマーを表1に示す種類(SBBS、P1500)に変更し、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
(実施例10)
実施例1より、樹脂層形成用の樹脂に帯電防止剤を添加せず、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体を得た。
(比較例5)
実施例1より、ポリエチレン系樹脂層を積層せず、単層のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。
Figure 2017071122
得られた上記実施例1〜11及び比較例1〜5のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体について、全体の見かけ密度、厚み、坪量、独立気泡率、樹脂層の片面あたりの坪量、発泡層の中央部の平均気泡径(D1)及び表層部の平均気泡径(D2)、気泡径比(D2/D1)、発泡層と樹脂層の接着強度を前記した方法により測定した。その結果を表2に示す。
発泡層の中央部の平均気泡径(D1)及び表層部の平均気泡径(D2)については、それぞれ20個の気泡(表層部の平均気泡径の測定については、両面側の表層部の気泡について、片面あたりそれぞれ10箇所)を前記方法により測定して算出した。
樹脂層の片面あたりの坪量については、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体製造時の樹脂層の押出機吐出量をもとに算出した。
また、比較例1の接着強度は、発泡層と樹脂層とが融着していたため測定を行わなかった。
また、得られた上記実施例1〜11及び比較例1〜5のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体について、曲げ弾性率、パンクチャー衝撃強度を下記条件で測定し、また、折り曲げ割れ、表面状態(外観)を下記基準で評価した。その結果を表2に示す。
(曲げ弾性率)
発泡体の曲げ弾性率の測定は、JIS K 7203(1982)に基づき、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の押出方向(MD)と幅方向(TD)のそれぞれについて測定した。ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体から、押出方向、及び幅方向に沿って長さ100mm×幅25mmの寸法にそれぞれ切り出し、試験片(試験片の厚みは、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体と同じである)とした。
次に、前記試験片を用い、支点先端のR=5mm、圧支先端のR=5mm、支点間距離50mm、曲げ速度10mm/minの条件にて曲げ弾性率の測定試験を行った。押出方向、幅方向それぞれ5個の試験片について測定を行い、得られた押出方向についての曲げ弾性率の測定値、幅方向についての曲げ弾性率の測定値について算術平均値をそれぞれ求め、押出方向(MD)の曲げ弾性率(MPa)、幅方向(TD)の曲げ弾性率(MPa)とした。
(パンクチャー衝撃強度)
耐衝撃性については、パンクチャー衝撃強度により評価を行った。
パンクチャー衝撃強度は、JIS P 8134(1976)に基づいて、温度23℃、湿度50%の環境下、ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体から押出方向に沿って長さ120mm×幅120mmの寸法で切り出した試験片を用いて測定した。5個の試験片について測定、単位換算を行い、算術平均値を求め、パンクチャー衝撃強度とした。
(耐曲げ割れ性)
折り曲げた際の表面の割れの発生状態を以下の試験方法で評価した。
ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体から押出方向に沿って長さ100mm×幅25mmの寸法で切り出した試験片を、短手方向を軸に速度100mm/minで180°折り曲げた。5個の試験片について試験を行い、目視により以下の基準で評価した。
○:全ての試験片で割れなし
×:いずれかの試験片で割れあり
(表面状態(外観))
表面状態(外観)を目視により以下の基準で評価した。
○:表面に凹凸なし
△:表面に若干の凹凸あり
×:表面に凹凸あり、模様発生
Figure 2017071122
表2に示す結果から、本発明に係る実施例1〜11の構成のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体は、曲げ弾性率、パンクチャー衝撃強度、折り曲げ割れ、表面状態(外観)の全てについて、バランスのとれた優れた結果が得られた。
これに対して、樹脂層にポリスチレンを用いた比較例1、発泡層のポリエチレン成分の配合量を少なくした比較例4、樹脂層を積層しなかった比較例5は、折り曲げ割れが確認された。また、発泡層にスチレン系エラストマーを配合しなかった比較例2、発泡層のポリエチレン成分の配合量を本発明の範囲外とした比較例3、4は表面状態(外観)が劣っていた。さらに、発泡層にスチレン系エラストマーを配合しなかった比較例2、発泡層のポリエチレン成分の配合量を多くした比較例3は独立気泡率が低下し、曲げ弾性率の低下が確認された。
これらの結果から、本発明のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体は、剛性、耐衝撃性、耐曲げ割れ性等の物性バランスに優れたポリスチレン系樹脂板状積層発泡体であることが確認された。
1 ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体
2 ポリスチレン系樹脂
3 ポリエチレン系樹脂
4 スチレン系エラストマー
5 第1押出機
6 発泡剤
7 発泡層形成用樹脂溶融物
8 ポリエチレン系樹脂
9 帯電防止剤
10 第2押出機
11 揮発性可塑剤
12 樹脂層形成用樹脂溶融物
13 環状ダイ

Claims (8)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡層の両面に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層を有する、全体見掛け密度0.03〜0.3g/cmのポリスチレン系樹脂板状積層発泡体であって、
    該発泡層はポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーを含有するポリスチレン系樹脂組成物から構成されており、該ポリスチレン系樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の含有量が60〜94質量%、ポリエチレン系樹脂の含有量が5〜30質量%、スチレン系エラストマーの含有量が1〜10質量%であり(ただし、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びスチレン系エラストマーの合計量を100質量%とする)、該樹脂層はポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物から構成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  2. 前記ポリスチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの質量比が、100:15〜100:80であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  3. 前記発泡層の厚み方向中央部の平均気泡径D1と表層部の平均気泡径D2が、それぞれ0.15〜0.8mmであり、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1が0.7以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  4. 前記ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体の全体厚みが30mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  5. 前記樹脂層の片面あたりの坪量が、3〜50g/mであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂組成物が帯電防止剤を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  7. 前記発泡層の独立気泡率が、60%以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
  8. 前記発泡層と樹脂層との接着強度が0.5N/25mm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂板状積層発泡体。
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