JP2017067726A - カルマン渦流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流路11とカルマン渦発生柱12とが内部に形成されたボディ10と、カルマン渦発生柱12が発生させたカルマン渦を計測して流体の流量を得る流量計測部20とを備え、流量計測部20は、圧電素子21と、圧電素子21が流路11に配置されるようにボディ10に取り付けられる圧電素子ホルダ25と、圧電素子21の電極よりも耐腐食性が高い材料により形成される薄膜部30,31とを有し、圧電素子ホルダ25は、樹脂材料により一体に形成される一対の板状部25a,25bにより圧電素子21を挟んだ状態で収容し、薄膜部30,31は、板状部25a,25bと電極との間に配置されるカルマン渦流量計を提供する。
【選択図】図4
Description
特許文献1に開示されるカルマン渦流量計は、薄板状の受圧板の周囲にダイヤフラムを形成して流路を構成する管に固定し、ダイヤフラムにより流路から隔離された中空部に配置された振動ピックアップ素子によってカルマン渦による受圧板の振動を検出するものである。
一方、特許文献1に従来技術として開示されるように、受圧片に収容した渦検出器を流路に配置する構造の場合、流体から発生する腐食性ガスが受圧片を透過して渦検出器が腐食してしまう可能性がある。
本発明の一態様にかかるカルマン渦流量計は、流通方向に沿って流体が流通する流路と、該流路を流通する流体にカルマン渦を発生させる渦発生体とが内部に形成された本体部と、前記流通方向の前記渦発生体の下流側に配置されるとともに前記渦発生体が発生させた前記カルマン渦を計測して前記流体の流量を得る流量計測部とを備え、前記流量計測部は、板状に形成される圧電材料と該圧電材料に接合される電極とを有する圧電素子と、該圧電素子を内部に収容するとともに前記圧電素子が前記流路に配置されるように前記本体部に取り付けられる収容部と、前記電極よりも耐腐食性が高い材料により形成される薄膜部とを有し、前記収容部は、樹脂材料により一体に形成される一対の板状部により前記圧電素子を挟んだ状態で収容し、前記薄膜部は、前記板状部と前記電極との間に配置される。
このように、本発明の一態様にかかるカルマン渦流量計によれば、圧電素子を収容する樹脂材料を透過する腐食性ガスにより圧電素子の電極が腐食することを抑制可能なカルマン渦流量計を提供することができる。
このようにすることで、板状に形成される圧電材料の第1面および第2面に接合される一対の電極が一対の板状部を透過した腐食性ガスにより腐食することを抑制することができる。
このようにすることで、薄膜部の厚さを圧電素子の厚さの1/20以上として腐食性ガスによる電極の腐食を薄膜部によって十分に抑制することができる。また、薄膜部の厚さを圧電素子の厚さの1/5以下として薄膜部の剛性を十分に低くし、板状部から伝達されるカルマン渦による振動を、薄膜部を介して圧電素子に確実に伝達することができる。
このようにすることで、腐食性ガスによる電極の腐食を薄膜部によって十分に抑制するとともに薄膜部の剛性を十分に低くし、板状部から伝達されるカルマン渦による振動を、薄膜部を介して圧電素子に確実に伝達することができる。
このようにすることで、薄膜部を接着剤により電極に接合するという比較的簡易な作業によって組み立てを容易にしつつ、圧電素子の電極が腐食性ガスで腐食することを抑制することができる。また、接着剤を薄膜部の周囲に充填することにより、カルマン渦による振動の伝達性を向上させ、それに伴って圧電素子の感度を向上させることができる。
このようにすることで、薄膜部を蒸着によって電極に形成することにより、薄膜部を電極に接着する工程が不要となるため組み立てを容易にしつつ、圧電素子の電極が腐食性ガスで腐食することを抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態のカルマン渦流量計について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のカルマン渦流量計100は、流通方向(図1の左から右へ向かう方向)に沿って流体が流通する流路11が内部に形成されたボディ(本体部)10と、流路11を流通する流体の流量を計測する流量計測部20と、ボディ10の流路11の流入口11aと連通する流入流路が内部に形成される流入流路部材40と、ボディ10の流路11の流出口11bと連通する流出流路が内部に形成される流出流路部材41と、ボディ10および制御基板(図示略)を内部に収容するケーシング50と、制御基板に接続されるとともに外部の制御装置(図示略)と通信するためのケーブル60とを備える。
フッ素樹脂材料は、耐熱性および耐薬品性のある材料である一方でガス透過性を有する。そのため、フッ素樹脂材料の厚みが薄い場合、フッ化水素,塩化水素,硝酸,オゾン等の腐食性ガスがフッ素樹脂材料を透過する可能性がある。
図2は、第1実施形態のカルマン渦流量計100の要部を示す部分縦断面図であり、図1に示すケーシング50およびケーブル60を省略したものである。
図2に示すように、ボディ10の内部には、流体の流通方向に沿った上流側にカルマン渦発生柱(渦発生体)12が形成され、流通方向のカルマン渦発生柱12の下流側に流量計測部20が配置されている。カルマン渦発生柱12は、流路11を流通する流体にカルマン渦KV(図5参照)を発生させる柱状部材である。
図8(図2に示すボディの平面図)に示すように、挿入穴13の内周面には、挿入穴13に挿入された流量計測部20が挿入穴13回りに回転しないように保持するための凹溝部13aおよび凹溝部13bが形成されている。
そのため、流通方向に沿って流通する流体がカルマン渦発生柱12の底部12bに衝突すると、流路11の幅方向の中央を通過する軸線Xを中心として幅方向に一定間隔を空けた位置に、それぞれ複数のカルマン渦KVからなる2列の渦列が形成される。
図5に示すカルマン渦KVは、ある時点で流路11を流通する流体が形成するカルマン渦KVを示したものである。カルマン渦KVは、図5に示す相対的な位置関係を保持したまま流通方向に沿って移動する。
図3および図4(図3に示すカルマン渦流量計の部分拡大図)に示すように、流量計測部20は、外部から与えられる振動に応じた電圧を出力する圧電素子21と、圧電素子21を内部に収容する圧電素子ホルダ(収容部)25と、圧電素子21の表面に配置される一対の薄膜部30,31とを有する。
図11(図2に示す圧電素子の側面図)に示すように、圧電素子21は、板状に形成される圧電材料22と、圧電材料22の第1面22aおよび第2面22bに接合される一対の電極23,24とを有する。電極23は、圧電材料22の第1面22aの全面を覆うように接合され、はんだ接合部23bを介して電線23aと導通するように接続されている。同様に、電極24は、圧電材料22の第2面22bの全面を覆うように接合され、はんだ接合部24bを介して電線24aと導通するように接続されている。
電極23,24は、例えば、銀または銀とパラジウムの合金により形成されている。
圧電素子ホルダ25は、図4に示すように、一対の板状部25a,25bと底部25cとをフッ素樹脂材料により一体に形成した部材である。圧電素子ホルダ25は、一対の板状部25a,25bと底部25cとにより袋状に形成される保持穴25dを有する。
圧電素子ホルダ25は、一対の板状部25a,25bにより圧電素子21を挟んだ状態で保持穴25dに収容する。
図3に示すカルマン渦流量計100を製造する際には、図6に示す状態からボディ10の挿入穴13へ圧電素子ホルダ25を挿入し、図7に示す状態とする。
最後に、圧電素子ホルダ25の保持穴25dへ圧電素子21を挿入し、凹所25gに充填材27を充填して図4に示す状態とする。なお、圧電素子21には、一対の薄膜部30,31が予め接合されているものとする。圧電素子ホルダ25の保持穴25dへ圧電素子21を挿入する前に圧電素子ホルダ25をボディ10に固定しているのは、溶接部26を形成する際の熱が圧電素子21に伝達されないようにするためである。
図4に示すように、一対の薄膜部30,31は、一対の電極23,24よりも耐腐食性が高く、かつ腐食性ガスを透過させない金属材料により膜状に形成される部材である。
薄膜部30,31を形成する材料は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼を用いることができる。また、例えば、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)等のニッケル合金を用いることができる。
0.3mm≦Th1≦0.8mm (1)
20μm≦Th2≦60μm (2)
0.3mm≦Th3≦0.4mm (3)
1/20≦Th2/Th3≦1/5 (4)
式(4)は、薄膜部30,31の厚さTh2が、圧電素子21の厚さTh3の1/20以上かつ1/5以下であることを示している。
図6に示すように、薄膜部30,31の幅と圧電素子21の幅とはWで一致している。そのため、圧電素子21の表面に配置される電極23,24の幅方向の全面が薄膜部30,31によって覆われた状態となっている。
ここで、接着剤により薄膜部30,31が接合された圧電素子21または蒸着により薄膜部30,31が形成された圧電素子21を、圧電素子ホルダ25の一対の板状部25a,25bに取り付ける工程について説明する。
以上のようにして、図11に示す圧電素子21を一対の板状部25a,25bの間に取り付けることができる。
この変形例にかかるカルマン渦流量計100aは、図12に示すように、一対の板状部25a,25bの間に薄膜部30a,31aを予め挿入しておき、その後に圧電素子21を取り付ける例である。
以上のようにして、図12に示す圧電素子21を一対の板状部25a,25bの間に取り付けることができる。
本実施形態のカルマン渦流量計100によれば、板状に形成される圧電材料22とそれに接合される電極23,24とを有する圧電素子21は、フッ素樹脂材料により一体に形成される一対の板状部25a,25bにより挟まれた状態で圧電素子ホルダ25に収容されるとともに流路11に配置される。流路11を流通する流体(例えば、フッ化水素酸)から腐食性ガスが発生する場合、流路11に配置された圧電素子ホルダ25の内部に一対の板状部25a,25bを透過した腐食性ガスが侵入するが、電極23,24よりも耐腐食性が高い金属材料により形成される薄膜部30,31が板状部25a,25bと電極23,24との間に配置されるため、電極23,24の腐食が抑制される。
このように、本実施形態のカルマン渦流量計100によれば、圧電素子21を収容するフッ素樹脂材料を透過する腐食性ガスにより圧電素子21の電極23,24が腐食することを抑制できる。
このようにすることで、板状に形成される圧電材料22の第1面22aおよび第2面22bに接合される一対の電極23,24が一対の板状部25a,25bを透過した腐食性ガスにより腐食することを抑制することができる。
このようにすることで、薄膜部30,31の厚さTh2を圧電素子21の厚さTh3の1/20以上として腐食性ガスによる電極23,24の腐食を薄膜部30,31によって十分に抑制することができる。また、薄膜部30,31の厚さTh2を圧電素子21の厚さTh3の1/5以下として薄膜部30,31の剛性を十分に低くし、板状部25a,25bから伝達されるカルマン渦KVによる振動を、薄膜部30,31を介して圧電素子21に確実に伝達することができる。
以下、本発明の第2実施形態のカルマン渦流量計100bについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のカルマン渦流量計100bは、第1実施形態のカルマン渦流量計100の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
第1実施形態のカルマン渦流量計100は、圧電素子ホルダ25に取り付けられた圧電素子21が圧電素子ホルダ25の凹所25gから突出せずに凹所25gに収容されるものであった。
それに対して本実施形態のカルマン渦流量計100bは、圧電素子ホルダ25に取り付けられた圧電素子21aが圧電素子ホルダ25の凹所25gから突出する長さに形成されるものである。
図14に示すカルマン渦流量計100cは、図13に示す圧電素子ホルダ25を変形した圧電素子ホルダ25’を備える。この圧電素子ホルダ25’は、一対の板状部25a,25bを圧電素子ホルダ25’の上端まで延びるように形成し、圧電素子21aを圧電素子ホルダ25’の下端から上端に至る領域で保持するようにしたものである。
変形例のカルマン渦流量計100cによれば、圧電素子21aの圧電素子ホルダ25への取り付けを容易に行うことを可能にしつつ、圧電素子21aをより確実に保持することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 流路
12 カルマン渦発生柱(渦発生体)
13 挿入穴
20 流量計測部
21,21a 圧電素子
22 圧電材料
22a 第1面
22b 第2面
23,24 電極
25 圧電素子ホルダ(収容部)
25a,25b 板状部
26 溶接部
27 充填材
30,31 薄膜部
40 流入流路部材
41 流出流路部材
100,100a,100b,100c カルマン渦流量計
KV カルマン渦
X 軸線
Claims (6)
- 流通方向に沿って流体が流通する流路と該流路を流通する流体にカルマン渦を発生させる渦発生体とが内部に形成された本体部と、
前記流通方向の前記渦発生体の下流側に配置されるとともに前記渦発生体が発生させた前記カルマン渦を計測して前記流体の流量を得る流量計測部とを備え、
前記流量計測部は、
板状に形成される圧電材料と該圧電材料に接合される電極とを有する圧電素子と、
該圧電素子を内部に収容するとともに前記圧電素子が前記流路に配置されるように前記本体部に取り付けられる収容部と、
前記電極よりも耐腐食性が高い材料により形成される薄膜部とを有し、
前記収容部は、樹脂材料により一体に形成される一対の板状部により前記圧電素子を挟んだ状態で収容し、
前記薄膜部は、前記板状部と前記電極との間に配置されるカルマン渦流量計。 - 前記圧電素子は、前記圧電材料の第1面および第2面に接合される一対の前記電極を有し、
一対の前記薄膜部は、一対の前記板状部と一対の前記電極との間に配置される請求項1に記載のカルマン渦流量計。 - 前記薄膜部の厚さは、前記圧電素子の厚さの1/20以上かつ1/5以下である請求項1または請求項2に記載のカルマン渦流量計。
- 前記圧電素子の厚さは0.3mm以上かつ0.4mm以下であり、前記薄膜部の厚さは20μm以上かつ60μm以下である請求項3に記載のカルマン渦流量計。
- 前記薄膜部は、接着剤により前記電極に接合されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカルマン渦流量計。
- 前記薄膜部は、前記電極に蒸着によって形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカルマン渦流量計。
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