JP2017066559A - 二層構造紡績糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸湿性、風合いに優れると同時に、工業洗濯を繰り返しても退色等を抑えうるだけの耐久性を有し、さらに毛羽立ちしづらくコスト面でも有利な布帛を得るのに適した紡績糸であり、特に溶接火花が付着しても穴があきづらい布帛を得るのに好適な紡績糸を提供すること。【解決手段】芯部にセルロース短繊維を配し、鞘部にセルロース短繊維及びポリエステル短繊維を配してなる二層構造紡績糸であって、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)が0.2〜1.5であり、セルロース短繊維が鞘部中に30〜50質量%含まれると共に二層構造紡績糸中に50質量%以上含まれ、かつ鞘部におけるポリエステル短繊維の混率を二層構造紡績糸の撚り係数で除した値が7〜13の範囲を満たすことを特徴とする二層構造紡績糸。【選択図】なし

Description

本発明は、風合い等に優れることは無論のこと、工業洗濯を繰り返しても色落ちや毛羽立ちが少なく、溶接火花が付着しても繊維の溶融による穴があきづらい布帛を得るのに好適な二層構造紡績糸に関するものである。
従来から綿とポリエステル繊維との混紡糸は、布帛に適度な寸法安定性や強度を与えることができるため、ユニフォーム衣料を構成する紡績糸として好適に使用されている。しかし、混紡糸は、両繊維を均一混合して紡績糸となしたものに過ぎないから、両繊維の短所を互いに補うことはできても、両繊維の特徴を十分に活かし切れないという点で問題があった。
そこで、前者を鞘部に後者を芯部に配した二層構造紡績糸が幾つか提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。この紡績糸を使用した布帛では、混紡糸使いのものと比べ、風合い、吸湿性などの点で顕著な効果が認められる傾向にある。
近年、上記の二層構造紡績糸を使用し、飲食店などで着用するサービスユニフォームや、食品工場、病院などで着用する白衣など多種多様なユニフォーム衣料が提案されている。そして、これらのユニフォーム衣料を着用した後は、洗浄はもとより殺菌を兼ねて工業洗濯するのが一般的であり、工業洗濯では高温洗浄、高温乾燥が伴うことから、これによる退色や審美性の低下を抑えうるだけの耐久性が求められていた。この点につき、特許文献1、2にかかる紡績糸では、布帛としたとき優れた吸湿性や肌触りなどが得られるが、高温洗浄や高温乾燥を伴う工業洗濯を繰り返すと、布帛が次第に退色し、ユニフォーム衣料としての色の統一感や審美性などが失われてしまうという問題があった。
そこで、布帛に応分の耐久性を付与するべく、ポリエステル短繊維に代えてポリエステル長繊維を使用したものや、綿を芯部にポリエステル短繊維を鞘部に配したものなどが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭61−160444号公報 特開平10−310943号公報 特開2013−60684号公報
しかし、ポリエステル長繊維を使用したものは、布帛としたとき相応の耐久性は得られる一方、長繊維を使用したことにより肌触りが低下するという問題がある。他方、特許文献3にかかる紡績糸も、同じく布帛に相応の耐久性は付加できるものの、紡績糸の鞘部をポリエステル短繊維のみで構成しているため、吸湿水性や肌触りが低下するという問題がある。
これに加え、特に特許文献3にかかる紡績糸では、布帛とした後の染色において、例えば液流染色の場合には、浴中で布帛が揉まれることで毛羽の発生し、他方、連続染色の場合にも、染色後、布帛を繰り返し工業洗濯すると、布帛表面に毛羽が多く発生するという問題がある。毛羽を抑えるには、予めポリエステル原綿を高ピリング加工しておくか、または原料加工を通じて予め毛羽伏せしておく必要があるが、このような加工を付加することはコスト面で大いに不利となる。
さらに、最近では、前記の二層構造紡績糸を使用したユニフォーム衣料を溶接現場において着用する機会も見受けられる。溶接現場では溶接火花が飛ぶため、当然のことながら火花から身を守る必要がある。しかし、特許文献3記載の紡績糸のように鞘部にポリエステル短繊維を配したものを用いると、火花が付着したときポリエステル短繊維が溶けてしまい、衣服に穴があくという問題があり、改善が求められている。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、吸湿性、風合いに優れると同時に、工業洗濯を繰り返しても退色等を抑えうるだけの耐久性を有し、さらに毛羽立ちしづらくコスト面でも有利な布帛を得るのに適した紡績糸であって、特に溶接火花が付着しても穴があきづらい布帛を得るのに好適な紡績糸を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明の要旨は以下の通りである。
すなわち、第一の発明としては、芯部にセルロース短繊維を配し、鞘部にセルロース短繊維及びポリエステル短繊維を配してなる二層構造紡績糸であって、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)が0.2〜1.5であり、セルロース短繊維が鞘部中に30〜50質量%含まれると共に二層構造紡績糸中に50質量%以上含まれ、かつ鞘部におけるポリエステル短繊維の混率を二層構造紡績糸の撚り係数で除した値が7〜13の範囲を満たすことを特徴とする二層構造紡績糸を要旨とする。
そして、第二の発明としては、前記セルロース短繊維が架橋改質されていることを特徴とする上記二層構造紡績糸を要旨とする。
本発明によれば、ユニフォーム衣料に好適な紡績糸が提供でき、中でも溶接現場で着用するユニフォーム衣料に好適なものが提供できる。本発明の紡績糸は、布帛とすることで優れた吸湿性、肌触り感が得られ、工業洗濯を繰り返しても退色し難く審美性に優れたものが得られる。さらに、その布帛は、洗濯を繰り返しても毛羽立ちしづらく、また、毛羽を抑えるための特別な加工を特段必要としないため、コストの点でも有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二層構造紡績糸は、芯部にセルロース短繊維を配し、鞘部にポリエステル短繊維とセルロース短繊維とを配してなるものである。本発明におけるセルロース短繊維としては、綿、リネン、ラミー、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック、リヨセルなどがあげられる。中でもユニフォーム衣料に最も好適であると共に、風合いや吸湿性等により優れる布帛を得るのに有利な綿が好適である。一方、ポリエステル短繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリマーからなる短繊維が好適であり、ポリマーは、各種添加剤成分又は共重合成分を含んでいてもよい。また、ポリマーは回収・再利用されたものでもよく、このようなポリマーを使用することで、省資源、環境保全に貢献できる。
両短繊維の繊維長、繊度としては、セルロース短繊維の場合、有効繊維長22.2〜38.1mm、繊度0.15〜5.5dtexが好ましく、ポリエステル短繊維の場合、有 効繊維長32〜51mm、繊度1.1〜4.4dtexが好ましい。
さらに、紡績糸の太さとしては、英式綿番手換算で5〜50番手であることが好ましい。太さが5番手未満すなわち5番手より太くなると、衣料分野に適した布帛を得難くなり、一方、50番手を超えるすなわち50番手より細くなると、紡績糸の可紡性が低下する傾向にあり、またユニフォーム用途として使用可能な強力や耐久性が得られない。
本発明の紡績糸は、布帛とすることで優れた吸湿性、風合いの他、耐工業洗濯等が得られる。本発明では、セルロース短繊維が布帛の吸湿性、風合い向上に寄与し、ポリエステル短繊維が耐工業洗濯性向上に寄与する。したがって、これらの特性をバランスよく発現させるには、紡績糸中にセルロース短繊維及びポリエステル短繊維をバランスよく配合させることが好ましく、その意味で、紡績糸の芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)を特定すると共に、繊維の混率をも特定する必要がある。
具体的に、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)としては、0.2〜1.5の範囲を満たす必要がある。質量比がこの範囲を外れると、布帛としたとき、吸湿性及び耐工業洗濯性の調和を欠くことになる。さらに、当該範囲を外れることは、紡績糸のカバリング不良の原因となることもあり、紡績糸の糸質及び布帛品位の点でも好ましくない。
一方、繊維の混率としては、具体的に、紡績糸全体に占めるセルロース短繊維の混率が50質量%以上である必要がある。セルロース短繊維の混率が50質量%を下回ると、同じく吸湿性及び耐工業洗濯性の調和を欠くことになる。
また、本発明の二層構造紡績糸を使用した布帛は、ユニフォーム衣料全般に適用でき、中でも溶接現場で着用するユニフォーム衣料に好適に使用できる。特に溶接現場では火花から身を守る必要があるから、火花が付着しても穴があきづらい衣服が求められる。そこで、本発明では、紡績糸鞘部に一定量の混率でセルロース短繊維を配合させると共に、芯部をセルロース短繊維により構成する必要がある。セルロース短繊維は火花が付着しても溶融しないからである。
具体的に、紡績糸鞘部にはセルロース短繊維を30質量%以上含ませる。ここでのセルロース短繊維の混率が30質量%を下回ると、ポリエステル短繊維の混率が必然的に増えることになるから、火花の付着によって溶融する繊維の割合が増え、結果、衣服に穴があき易くなる。ただし、セルロース短繊維の混率が増え過ぎると、布帛とした後、耐工業洗濯性が低下するため、鞘部におけるセルロース短繊維の混率は50質量%以下とする。そして、紡績糸芯部をセルロース短繊維により構成することで、火花により鞘部の繊維が溶融してもそれ以上溶融箇所が広がらないよう防ぎ止めることができる。この他、前記の通り、本発明の紡績糸では、芯部及び鞘部の質量比を0.2〜1.5の範囲に設定するが、溶接火花の防御は、芯部鞘部の協働により達成されるから、芯部鞘部の質量比に著しい偏りがあると、所望の耐性が得られない。その意味で、かかる質量比を0.2〜1.5の範囲に設定する。さらに、紡績糸中にセルロース短繊維が50質量%以上含まれている点も、同様の観点から重要であり、溶融しない繊維を一定以上配合することで、紡績糸全体として火花に対する耐性が付与される。このように、布帛の溶接火花による穴あきを抑えるには、繊維の組成、混率、さらには紡績糸の構造や繊維の配置方法をも鋭意工夫する必要があり、これらの相乗効果として、穴あき抑制という格別な効果が奏される。
本発明の紡績糸は、以上に加え、洗濯を繰り返しても毛羽立ちの少ない布帛を得る点においても有用である。布帛表面が毛羽立つと、ピリングが発生し易くなり、衣服の外観を大きく損ねることになる。ポリエステル短繊維からなる紡績糸は一般にピリングを誘発し易く、本発明ではそのポリエステル短繊維を鞘部に多く含むことから、通常の条件下で紡績しただけでは、後にピリングを多発しうるものしか得られない。このため、ピリングを抑制するための特別な工夫が必要となる。そこで、本発明者らは、この点につき検討したところ、ポリエステル短繊維の混率に応じて適切な撚り状態を採用すれば、ピリングを抑えうることに気付いた。つまり、ポリエステル短繊維の混率が増えるにつれて、撚り係数を増やせばよいのである。これは、撚り数を増やすと繊維同士が強く結束するからであり、これにより繊維の飛び出しすなわち毛羽が低減し、ピリングも減らすことができるのである。ただし、撚り数を増やし過ぎると、紡績糸の強度が低下し、風合いも損なわれることになるから、この点の配慮も必要となる。これらの点を受け、風合い等も考慮して検討したところ、鞘部におけるポリエステル短繊維の混率を二層構造紡績糸の撚り係数で除した値として、好ましくは7〜13、より好ましくは9〜11の範囲を採用し、こうすることで、風合い等を維持しつつピリングを抑えることができることを見出した。ここで、撚り係数とは、撚り係数=撚り数(回/インチ)/紡績糸の太さ(番手)1/2で算出される値である。
次に、本発明の紡績糸を得るための製法を例示する。
本発明の紡績糸は、例えば、セルロース短繊維からなる粗糸と、セルロース短繊維及びポリエステル短繊維を混紡した粗糸とを用意し、前者を芯側に後者を鞘側に配しながら同時に精紡するか、又はセルロース短繊維からなるスライバーと、セルロース短繊維及びポリエステル短繊維を混紡したスライバーとを用意し、前者を芯側に後者を鞘側に配しながら同時に粗紡することで複合粗糸を得、後にこの複合粗糸を精紡することにより、製造することができる。
そして、上記いずれの方法でも、紡績糸の撚り係数は、前記の通り、鞘部におけるポリエステル短繊維の混率に応じて決定する。この他にも、一旦撚りの甘い紡績糸を紡出した後、所定の撚り係数になるまで追撚してもよい。追撚には、ダブルツイスターやアップツイスター等が使用できる。
ここで先に例示した製法について詳しく述べると、前者の方法では、まず、一連の紡績工程によりそれぞれの粗糸を作製する。このとき、各々の粗糸には、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース短繊維及びポリエステル短繊維以外の短繊維が含まれていてもよい。続いてリング精紡機に各粗糸を導入し、芯側より鞘側の送出量を大きくしながら精紡する。このとき、各粗糸を同一ドラフト域に並行に導入する。導入すべき粗糸としては、基本的に芯側、鞘側それぞれ1本ずつでよいが、紡績糸の被覆性を高める観点から、複数の鞘側粗糸を用いて1本の芯側粗糸を覆うという方法も採用できる。
一方、後者の方法でも、まず、一連の紡績工程によりそれぞれのスライバーを作製する。スライバーには、効果を損なわない範囲でセルロース短繊維及びポリエステル短繊維以外の短繊維が含まれていてもよい。次いで、粗紡機に各スライバーを導入する。このとき、各スライバーを同一ドラフト域に並行に導入すると同時に、芯側スライバーをフライヤーヘッドから見てドラフト域の外側に、鞘側スライバーを内側に導入する。そして、芯側スライバーにおけるドラフト軸方向(ただし、糸進行方向)と、芯側スライバーのフロントローラー最終ニップ点とフライヤーヘッドとを結ぶ線(ただし、糸進行方向)とのなす角度が、水平面に投影した際に好ましくは0〜60°の範囲を満足するように設定する。さらに、好ましくは鞘側スライバーを芯側スライバーより速い速度で供給することで、鞘側をやや弛ませる一方で芯側をやや張った状態にする。こうすることで、フライヤーの回転による撚りが芯側スライバーへ集中的に伝播される結果、鞘側スライバーを芯側スライバーに巻き付けることができる。複合粗糸を得た後は、公知の精紡機を用いて紡出すれば、目的の二層構造紡績糸を得ることができる。
以上の紡績糸を用いることで、風合いや各種機能に優れたユニフォーム衣料を得ることができる。言うまでもなく、衣料は布帛となした後これを縫製することにより得ることができるが、本発明では布帛となす際、必要に応じて上記紡績糸と他の糸条とを併用してもよい。具体的には、合撚、混繊、引揃え、配列、交織、交編するなどして併用すればよい。他の糸条を併用する場合、本発明の紡績糸の混用比率としては、布帛100質量%に対して50質量%以上とすることが、本発明特有の効果を得る点で好ましい。ここで、他の糸条としては、任意のものが使用できるが、好ましくは本発明特有の効果を損ね難いものを選んで使用する。布帛とする際は、公知の織機、編機を使用するとよい。布帛の組織、密度については、特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。
さらに、本発明の紡績糸では、セルロース短繊維が架橋改質されていることが好ましい。 セルロース短繊維を架橋改質すると、セルロース短繊維の強度は下がる傾向にある。そうすると、衣料を着用する際又は工業洗濯する際に、毛羽やピリングの成長を抑えることができ、良好な外観を保つうえで有利となる。本発明の場合、ピリングは、ポリエステル短繊維を核(中心)としてその周囲にセルロース短繊維が絡みつくことで成長すると考えられるから、セルロース短繊維の強度を下げて脱落し易い状態にしておけば、ピリングは成長し難いものとなる。
加えて、セルロース短繊維を架橋改質することは、布帛の防しわ性、防縮性を高める点でも有効である。
セルロース短繊維を架橋改質するには、紡績糸を得た後、チーズ染色機等を使用して改質加工してもよいが、好ましくは、一旦布帛とした後、この布帛を改質加工することで、当該短繊維を架橋改質するのがよい。布帛を改質加工するには、液流染色機や連続染色機等が使用できるが、コストや生産性を考慮すれば、連続染色機を用いるのが好ましい。
セルロース短繊維の架橋改質に用いる架橋剤としては、ホルムアルデヒドや、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロピレン尿素、及びこれらのメチロール基の一部又は全部をメトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等があげられる。これらの架橋剤のうち、効率よく架橋改質する観点からグリオキザール系化合物からなる繊維素反応型樹脂が好適である。
布帛を改質加工するには、一般の架橋手段が適用可能であり、特に限定されるものではないが、具体的には架橋剤をガス状にして付与する方法、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法、泡加工法等があげられる。中でも架橋剤として、繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等を使用する場合にはパディング法が好ましく採用される。
さらに、改質加工の際は、架橋剤の反応を促進する目的で、触媒を併用することが好ましい。触媒としては、例えば、有機酸、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを用いることができる。また、改質加工の際、本発明の効果を阻害しない範囲で、可縫性向上剤、柔軟仕上げ剤等を併用してもよいし、抗菌加工、消臭加工、防汚加工等の機能加工を同時に行ってもよい。
加えて、改質加工は、上記手段以外にも、布帛の状態のまま上述の架橋剤と触媒とを付与し、縫製した後、加熱処理するポストキュア法、縫製品の状態でホルマリンと触媒ガスとを付与し熱処理する気相ホルマリン法、布帛の状態のまま上述の架橋剤と触媒とを付与して熱処理まで行うプレキュア法等も採用できる。熱処理温度としては、120〜200℃の範囲が好ましい。
このように、本発明では、布帛を改質加工することでセルロース短繊維を架橋改質できるが、その場合の架橋剤の付与量としては、改質加工前布帛の質量に対して1.0〜10.0質量%が好ましく、2.0〜7.0質量%がより好ましい。
以上のように、本発明によれば、ユニフォーム衣料に好適な紡績糸が提供でき、本発明の紡績糸を用いた布帛は、風合い、吸湿性、耐工業洗濯性に優れている。さらに、毛羽立ちしづらく製造コストの面でも有利であり、特に溶接火花に対する耐性に優れている。このため、本発明の紡績糸は、溶接現場で着用するユニフォーム衣料をはじめあらゆるユニフォーム衣料に適用でき、例えば、サービスユニフォーム、白衣、つなぎ服等、過酷な環境下で使用するユニフォーム衣料に好適であり、蒸れ感が少なく審美性に優れるものが提供できる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。布帛の特性は以下の方法により測定した。
1.耐工業洗濯性
JIS L1096記載のF−2法に基づいて試料を洗濯した後、60℃で30分間タンブラー乾燥する操作を1サイクルとして、これを20サイクル繰り返したとき、試料が洗濯前のもの(以下、洗濯前における試料の状態を「初期」ということがある)と比べどの程度退色したかを、グレースケールにより1級(不良)〜5級(良好)の5段階で目視評価した。
2.毛羽立ち、ピリング
上記「1.耐工業洗濯性」における洗濯・乾燥を20サイクル繰り返す前のものと後のもの(以下、20サイクル操作後における試料の状態を「20洗後」ということがある)とを各々用意し、まず両者を比べ「初期」のものと比べ「20洗後」のものがどの程度毛羽立ったのかを、グレースケールにより1級(不良)〜5級(良好)の5段階で目視評価した。次に、各試料をJIS L1076 8.1A法(ICI法)に基づいて10時間操作し、ピリングを級判定した。
3.溶接火花による穴あき
各々の試料を使用して同一規格の衣料を仕立てた後、それぞれの衣料を着用し、途中、溶接火花を積極的に10秒間又は30秒間衣服にあてる作業を含む同一の溶接作業を行い、作業後、衣服表面の穴あき状態を、下記2段階で評価した。
〇:穴あきは特に認められない。×:穴あきが認められる。
(実施例1)
繊度0.8dtex、有効繊維長29mmの綿繊維からなるスライバー(A)と、繊度0.8dtex、有効繊維長29mmの綿繊維及び繊度1.45dtex、有効繊維長38mmのポリエステル短繊維からなる混紡スライバー(B)とを準備した。混紡スライバー(B)における各繊維の混率は、表1記載の通りである。次いで、各スライバーを粗紡機に導入し、フライヤーヘッドから見て(A)をドラフト域外側、(B)を内側に配置して各々をドラフトし、後に(A)を芯側、(B)を鞘側に配しながら両者を重ね合わせ複合粗糸とした。
続いて、得られた複合粗糸を通常条件で精紡することで、英式綿番手20番手の二層構造紡績糸を得た。紡績糸における芯部鞘部の質量比、紡績糸全体に占める綿繊維及びポリエステル短繊維の混率、鞘部におけるポリエステル短繊維の混率を紡績糸の撚り係数で除した値(鞘部ポリエステル混率/撚り係数)を表1に示す。
そして、上記二層構造紡績糸を表経糸に、ポリエステル短繊維65質量%綿繊維35質量%で太さ45番手の混紡糸を裏経糸に配し、緯糸としてポリエステル短繊維65質量%綿繊維35質量%で太さ23番手の混紡糸を打ち込むことにより、表組織3/1・裏組織1/3の経二重織組織の生機を得た。この生機の密度としては、表経糸81本/吋、裏経糸27本/吋、緯糸56本/吋であった。
次に、生機を連続精練漂白機に投入し、通常条件で精練、漂白し、続いて連続染色機に投入し、ポリエステル短繊維は分散染料により、綿繊維はスレン染料によりそれぞれ染色し、エンジ色の織物とした。そして、下記処方(1)に示す組成の分散液を調製し、染色後の織物をこの分散液にパッダーを介して浸漬し、その後、マングルを使用してピックアップ率が70%となるように絞った。絞液後、テンターを用いて130℃、1分間の条件で乾燥し、さらに、170℃、1分間の条件で熱処理した。そして、熱処理後、サンフォライズ機を用いて防縮加工した。以上のようにして目的の織物に仕上げた。
・処方(1)
グリオキザール系樹脂(三木理研工業社製「リケンレジンRG−85」、固形分濃度45質量%) 100g/l
複合金属塩(三木理研工業社製、触媒「リケンフィクサーMX−18」、固形分濃度25質量%) 30g/l
エポキシ変性シリコーン系樹脂(三木理研工業社製、柔軟仕上げ剤「リケンソフナーS−103B」、固形分濃度15質量%) 70g/l
(実施例2、比較例1〜3)
スライバー(A)(B)を構成する繊維の混率、紡績糸における芯部鞘部の質量比、紡績糸全体に占める綿繊維及びポリエステル短繊維の混率、鞘部ポリエステル混率/撚り係数を表1に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様に行い、二層構造紡績糸及び織物を得た。
(比較例4)
ポリエステル短繊維65質量%綿繊維35質量%で太さ23番手、撚り係数3.8の混紡糸を用意し、二層構造紡績糸に代えてこの混紡糸を使用すること以外は、実施例1と同様に行い、織物を得た。
以上より得た紡績糸の構成詳細、並びに織物の物性詳細を表1に示す。
実施例にかかる織物は、表に示す通り溶接火花に対する耐性に優れており、溶接現場で着用するユニフォーム衣料に好適なものであることが確認できた。また、かかる織物は、工業洗濯を繰り返しても退色しづらく、毛羽立ちもピリングも少ないことから、あらゆるユニフォーム衣料に適用できることも確認できた。
これに対し、比較例1では、紡績糸の芯部に綿繊維が配されていなかったため、溶接火花による穴あきを芯部で十分に防ぎ止めることができなかった。さらに、紡績糸鞘部における綿繊維の混率が高過ぎたため、所望の耐工業洗濯性が得られず、色落ちが認められた。また、比較例2、3では、紡績糸の撚り係数が低く、糸から繊維が多く飛び出した結果、織物表面に毛羽が発生し、洗濯後にピリングが多発した。さらに、比較例4では、紡績糸全体に占めるポリエステル短繊維の混率が高いにも関わらず、撚り係数が低かったため、布帛には毛羽が多く見受けられ、ピリングも認められた。

Claims (2)

  1. 芯部にセルロース短繊維を配し、鞘部にセルロース短繊維及びポリエステル短繊維を配してなる二層構造紡績糸であって、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)が0.2〜1.5であり、セルロース短繊維が鞘部中に30〜50質量%含まれると共に二層構造紡績糸中に50質量%以上含まれ、かつ鞘部におけるポリエステル短繊維の混率を二層構造紡績糸の撚り係数で除した値が7〜13の範囲を満たすことを特徴とする二層構造紡績糸。
  2. 前記セルロース短繊維が架橋改質されていることを特徴とする請求項1記載の二層構造紡績糸。
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