JP2017066375A - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017066375A
JP2017066375A JP2016177986A JP2016177986A JP2017066375A JP 2017066375 A JP2017066375 A JP 2017066375A JP 2016177986 A JP2016177986 A JP 2016177986A JP 2016177986 A JP2016177986 A JP 2016177986A JP 2017066375 A JP2017066375 A JP 2017066375A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
mass
cross
ethylene
olefin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016177986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6959724B2 (ja
Inventor
荒井 亨
Toru Arai
亨 荒井
留智 内田
Tometomo Uchida
留智 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denka Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denka Co Ltd filed Critical Denka Co Ltd
Publication of JP2017066375A publication Critical patent/JP2017066375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6959724B2 publication Critical patent/JP6959724B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

【課題】優れた軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性を有する樹脂組成物樹脂組成物及びその製造方法の提供。【解決手段】クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を含む樹脂組成物。ここでクロス共重合体とは配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性に優れる樹脂組成物及びその製造方法に関する。
<新規熱可塑性エラストマー>
軟質な熱可塑性エラストマー(以下TPE)は様々な用途に使用されているが、一般的に軟質性と耐熱性の両立が困難である。オレフィン系のランダム共重合体の場合、軟質になるほど結晶性が低下してしまう。A硬度が50から80程度のTPE、例えば、エチレン-αオレフィン共重合体やエチレン-酢酸ビニル共重合体の場合、その実用耐熱温度はその融点に等しく、約50℃から80℃程度である。そこで一般には軟質性と耐熱性に優れた水添ブロック共重合体と、ポリプロピレンと、オイルとを含む樹脂組成物(コンパウンド)が用いられる。水添ブロック共重合体はそれ自体比較的軟質で耐熱性に優れ、オイルとの相溶性に優れるため本用途に適している。
<水添ブロック共重合体>
水添ブロック共重合体は、スチレンと、ブタジエンやイソプレン等のジエンとを原料とし、アニオンリビング重合と引き続く水素化処理により製造されている。しかしながら、原料のジエンはしばしば市況が大きく変化し、イソプレンは供給会社が限定されてしまう。更にポリブタジエン鎖やポリイソプレン鎖には二重結合が含まれ、そのままでは耐久性、耐熱性が不足するので、水素化する必要がある。水素化する工程は水添ブロック共重合体のコストアップの原因になる。
さて、水添ブロック共重合体のソフトセグメントである水素化ジエン鎖はエチレンとαオレフィン(プロピレン又は1−ブテン)との共重合体鎖、別な見方ではエチレンとαオレフィンからなる非結晶性で軟質な共重合体鎖と見なすこともできる。そこでジエンを用いずに、エチレン、αオレフィン及びスチレンモノマーから直接、類似のブロック共重合体をリビング重合で製造しようとする試みもなされているが、技術的難易度が高い上に、1個の触媒から1個のポリマー分子しか得られないリビング重合故に、複雑な遷移金属化合物であるシングルサイト配位重合触媒(開始剤)のコストが著しく高く現実的ではない。
そのため、オレフィンに対する重合活性が高いシングルサイト配位重合触媒を活用し、非リビングプロセスによりブロック共重合体を製造しようとする研究が活発になっている。例えば、クロス共重合体製造技術の場合、シングルサイト配位重合触媒を用いて、ジビニルベンゼン含有オレフィンー芳香族ビニル化合物共重合体を合成し、次にこの共重合体の共存下、スチレン等のビニル化合物の重合を行い、共重合体中のジビニルベンゼンユニットを共重合してオレフィンー芳香族ビニル化合物共重合体鎖及びビニル化合物ポリマー鎖の両ブロック鎖を分子構造中に有するクロス共重合体を製造する技術が開示されている(特許文献1〜3)。しかしながら、本発明のクロス共重合体について記載はない。
クロス共重合体に好適に用いられるジビニルベンゼン含有オレフィン系共重合体は、含まれる比較的少量のジビニルベンゼンユニットの自己架橋を少なくしてクロス共重合体製造に十分なペンダントビニル基を確保し、かつソフトセグメントとして十分な分子量を有する必要がある。本発明に適する水素化ジエン鎖類似のエチレンとαオレフィンの共重合体鎖に少量のジビニルベンゼンを含有する共重合体を効率的に製造する方法、用いられる触媒については特許文献4に記載されている。しかしながら、特許文献4は、オイルについて開示していないし、本発明のクロス共重合体について開示していない。
配位重合工程とこれに続くラジカル重合工程を含むクロス共重合体の製造方法であって、配位重合工程において、シングルサイト配位重合触媒を用いて芳香族ポリエン共重合マクロマーを合成し、次にラジカル重合工程において、芳香族ポリエン共重合マクロマー、芳香族ビニル化合物及びイミド化不飽和ジカルボン酸無水物を共重合することを特徴とするクロス共重合体を製造する技術が開示されている(特許文献5)。特許文献5は、芳香族ポリエン共重合マクロマーとして、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体が例示されているが、本発明のクロス共重合体とはその構造が異なる。特許文献5は、エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が例示されている。しかしながら、特許文献5はポリプロピレン系樹脂の使用量について開示していない。
WO2000/037517号公報 WO2007/139116号公報 US6414102号公報 特開2010−43246号公報 特開2009−167387号公報
本発明は、軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性に優れる樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を含む樹脂組成物であり、
ここでクロス共重合体とは配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。
また、クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を含む樹脂組成物であり、
クロス共重合体とは、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有する共重合体であり、グラフトスルーを含み、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している共重合体である。
クロス共重合体が更に以下の条件を満たす該樹脂組成物であり、
(1)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量15質量%以上50質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上1質量%以下、残部がエチレン含量であり、
(2)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が10万以上60万以下であり、
(3)クロス化工程で得られるクロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が60〜95質量%である。
−40℃の貯蔵弾性率が7×10Pa以下であり、かつ140℃の貯蔵弾性率が1×10Pa以上である該樹脂組成物であり、
引張弾性率が1〜30MPa、破断伸びが300〜2000%、破断強度が1〜50MPaである該樹脂組成物であり、
エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量20質量%以上35質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上0.3質量%以下、残部がエチレン含量である該樹脂組成物であり、
引張弾性率が1〜30MPa、破断伸びが700〜2000%、破断強度が5〜50MPaである該樹脂組成物であり、
オイルが、パラフィン系オイルの樹脂組成物であり、
クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を混合する該樹脂組成物の製造方法であり、
ここでクロス共重合体は配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。
本発明は、優れた軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本明細書において、「〜」という記号は、両端の値「以上」及び「以下」の範囲を意味する。例えば、「A〜B」というのは、A以上でありB以下であるという意味である。また本明細書において指数表記は以下のように記載する場合がある。例えば、7.0E+08は7.0×10であることを示す。
<クロス共重合体>
本発明のクロス共重合体とは、配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。
クロス共重合体において、オレフィンは炭素数3〜12のオレフィンモノマーであり、例えば、αオレフィン、ノルボルネンやビニルシクロヘキサン等の環状オレフィンである。用いられるオレフィンモノマーは1種でも複数でも良い。好ましくは炭素数4〜12のαオレフィンであり、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンから選ばれる1種以上である。最も好ましくは、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンである。1−ヘキセン及び/又は1−オクテンが過半を占める複数のオレフィンモノマーも最も好ましい。
クロス共重合体において、芳香族ポリエンは、特に限定されずに、従来公知の芳香族ポリエンが使用可能である。重合反応促進の点及び得られる重合体の種々の物性点で、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数又は複数の芳香族基を有し、配位重合可能な芳香族ポリエンであり、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態において残された二重結合がアニオン重合可能又はラジカル重合可能な芳香族ポリエンが好ましい。好ましくは、ジビニルベンゼンである。ジビニルベンゼンとしては、オルトジビニルベンゼン、パラジビニルベンゼン及びメタジビニルベンゼンから選ばれる1種以上が好ましい。
クロス共重合体において、芳香族ビニル化合物モノマーとしては、スチレン及び各種の置換スチレン、例えば、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等が挙げられる。これらの中では、スチレン、p−メチルスチレン及びp−クロロスチレンから選ばれる1種以上が好ましく、スチレンがより好ましい。一般的なクロス共重合体の製造方法は、WO2000/037517号公報に記載の通りである。
以下、本発明の樹脂組成物に用いられるクロス共重合体の製造方法の詳細を説明する。
本配位重合工程におけるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成は、所定の重合条件下、触媒の選択又は重合液中のモノマー濃度により制御できる。重合液中のモノマー濃度は一般に、エチレンガスの分圧やオレフィンモノマーの分圧、又は、重合缶への計量されたモノマーの導入により制御できる。エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の分子量や分子量分布は、一般的には触媒の選択又は重合温度、或いは、適当な連鎖移動剤の添加により制御できる。
配位重合工程に用いられるシングルサイト配位重合触媒は、遷移金属化合物と助触媒から構成される。本発明には公知のシングルサイト配位重合触媒を用いることができる。シングルサイト配位重合触媒、特に遷移金属化合物は単独で用いても複数を用いても良い。例えば、WO2000/037517号公報、WO2007/139116号公報に記載のシングルサイト配位重合触媒を用いることができる。好ましくは、遷移金属化合物として下記一般式(1)、(2)及び(3)から選ばれる1種以上の遷移金属化合物が用いられる。
Figure 2017066375
一般式(1)中、Fluは、フルオレニル基又は置換フルオレニル基を示し、Cpはシクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基を示す。尚、上記の置換フルオレニル基は、置換可能な水素の少なくとも1つ以上が炭素数1〜4の炭化水素基で置き換えられているもので、隣り合う置換基は一体となって4〜8員環の環状構造を有しても良い。
又、上記の置換シクロペンタジエニル基は、置換可能な水素の少なくとも1つ以上が炭素数1〜2の炭化水素基で置き換えられているものであり、隣り合う置換基は一体となった環状構造を有さない。又、Yは、Flu及びCpに対して結合を有する置換メチレン基であり、メチレン基の置換基は、水素、炭素数1〜10の炭化水素基である。又、Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンから選ばれる金属である。又、Xは、ハロゲン、炭素数1〜15の炭化水素基、炭素数1〜15のアルコキシド基、炭素数1〜15のアミド基、炭素数3〜15のアルキルシラン基である。nは1又は2の整数である。尚、Xが複数の場合、複数のXは互いに結合を有していても良い。一般式(1)で示されるような遷移金属化合物は、特開2010−43246号公報に記載されている。
Figure 2017066375

一般式(2)中、A、Bはそれぞれ独立に存在するベンゾインデニル基又は置換ベンゾインデニル基であるか、又はインデニル基、置換インデニル基から選ばれる基である。Yは、A、Bと結合を有し、置換基として水素或いは炭素数1〜20の炭化水素基を有する置換硼素基である。Yの置換基は、1〜3個の窒素、硼素、珪素、燐、セレン、酸素又は硫黄原子を含んでいても良く、又、環状構造を有していても良い。Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜15のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数8〜12のアルキルアリール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は水素若しくは炭素数1〜22の炭化水素置換基を有するアミド基又はアミノ基である。nは1又は2の整数である。又、Xが複数である場合、複数のXは結合を有していてもよい。Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンである。一般式(2)で示されるような遷移金属化合物は、WO2001/068719号公報に記載されている。
Figure 2017066375


一般式(3)中、Cp1は非置換若しくは置換シクロペンタフェナンスリル基、非置換若しくは置換ベンゾインデニル基、非置換若しくは置換シクロペンタジエニル基、非置換若しくは置換インデニル基、又は非置換若しくは置換フルオレニル基から選ばれる基である。ここで置換シクロペンタフェナンスリル基、置換ベンゾインデニル基、置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、又は置換フルオレニル基とは、置換可能な水素の1個以上が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR基、SiR基又はPR基(Rは何れも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で置換されたシクロペンタフェナンスリル基、ベンゾインデニル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基である。Yは、Cp1、Zと結合を有し、他に水素若しくは炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲルミレン基、又は硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。又、Yは環状構造を有していてもよい。Zは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含み、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子でMに配位する配位子でYと結合を有し、他に水素若しくは炭素数1〜15の置換基を有する基である。Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。Xは、水素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数8〜12のアルキルアリール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は炭素数1〜6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。nは1又は2の整数である。一般式(3)で示されるような遷移金属化合物は、WO1999/014221号公報、EP416815A2号公報、US6254956号公報に記載されている。高分子量かつ自己架橋の少ない共重合体を活性よく与える点で、一般式(1)及び/又は(2)の遷移金属化合物が好ましい。
上記遷移金属化合物と共に用いる助触媒としては、特に限定されず、従来公知の遷移金属化合物と組み合わせて用いられている公知の助触媒を使用することができる。そのような助触媒として、重合反応に対する高活性の点で、メチルアルミノキサン(以下、メチルアルモキサン又はMAOと記すこともある)等のアルモキサン及び/又は硼素化合物が好ましい。助触媒としては、EP0872492A2号公報、特開平11−130808号公報、特開平9−309925号公報、WO2000/020426号公報、EP0985689A2号公報、特開平6−184179号公報に記載されている助触媒やアルキルアルミニウム化合物が挙げられる。アルモキサン等の助触媒は、遷移金属化合物の金属に対し、アルミニウム原子/遷移金属原子のモル比が0.1〜100000であることが好ましく、10〜10000であることがより好ましい。0.1以上だと有効に遷移金属化合物を活性化でき、100000以下だと助触媒の添加量を抑制することができるので経済的に有利となる。
一方、助触媒として硼素化合物を用いる場合には、硼素原子/遷移金属原子の比はモル比で0.01〜100が好ましく、0.1〜10がより好ましく、1.0が最も好ましい。0.01以上だと有効に遷移金属化合物を活性化することができ、100以下だと助触媒の添加量を抑制することができるので経済的に有利となる。尚、助触媒としてどのような材料を使う場合であっても、遷移金属化合物と助触媒は、重合設備外で混合、調製してもよく、重合時に設備内で混合してもよい。
クロス共重合体製造の配位重合工程でエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を製造するにあたっては、上記に例示した各モノマー、遷移金属化合物及び助触媒を接触させるが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方法を用いることができる。
これらの共重合の方法としては、溶媒を用いずに液状モノマー中で重合させる方法、或いは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等といった、飽和脂肪族、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素の単独溶媒又は混合溶媒を用いる方法が挙げられる。これらの中では、アルカン系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼンから選ばれる1種以上が好ましい。重合形態は溶液重合、スラリ−重合何れでもよい。必要に応じ、バッチ重合、連続重合、予備重合、多段式重合等の公知の方法を用いることができる。
単数のタンク式重合缶、連結された複数のタンク式重合缶、リニアやル−プを単数又は複数連結されたパイプ重合設備を用いることも可能である。パイプ状の重合缶には、動的或いは静的な混合機や除熱を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有してもよい。又、バッチタイプの予備重合缶を有していてもよい。重合温度は、−78〜200℃が好ましく、0〜160℃がより好ましく、30〜160℃が最も好ましい。−78℃未満だと工業的に不利になる場合があり、200℃を超えると遷移金属化合物の分解が起こる場合がある。重合時の圧力は、0.1〜100気圧が好ましく、1〜30気圧がより好ましく、1〜10気圧が最も好ましい。
本発明の製造方法のクロス化工程では、配位重合工程で得られたエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合を行う。本発明のクロス化工程では上記芳香族ビニル化合物モノマー以外に、配位重合工程で重合されずに重合液中に少量残存する芳香族ポリエンが重合されてもよい。
本発明のクロス化工程は、上記の配位重合工程の後に実施される。この際、配位重合工程で得られる共重合体は、クラムフォーミング法、スチームストリッピング法、脱揮槽、脱揮押出し機等を用いた直接脱溶媒法等、任意のポリマー回収法を用いて、重合液から分離、精製してクロス化工程に用いてもよい。しかしながら、配位重合後の重合液から、残留オレフィンを放圧後、或いは、放圧せずに、次のクロス化工程に用いるのが、経済的に好ましい。重合体を重合液から分離せずに、重合体を含んだ重合液をクロス化工程に使用できることが本発明の特徴の1つである。
クロス化工程においてアニオン重合開始剤を用いる場合、即ち、アニオン重合を行う場合の溶媒は、アニオン重合の際に連鎖移動等の不都合を生じない混合アルカン系溶媒、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン等の溶媒が好ましいが、重合温度が150℃以下であれば、トルエン、エチルベンゼン等の他の溶媒も用いることが可能である。重合形態は、アニオン重合に用いられる任意の公知の方法を用いることができる。本発明において、芳香族ビニル化合物モノマーとアニオン重合開始剤を加える順序は任意である。即ち、重合液に芳香族ビニル化合物モノマーを添加し、攪拌した後にアニオン重合開始剤を添加してもよく、アニオン重合開始剤を添加した後に芳香族ビニル化合物モノマーを添加してもよい。再現性がより良好で工業的に好ましい重合は前者である。本発明のクロス共重合体は、「配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程を含む製造方法であって、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られ、更に特定の条件を満たす共重合体」であり、特定の製造方法により得られる共重合体であるので、その構造は任意である。重合温度は、−78〜200℃が好ましく、0〜200℃がより好ましく、30〜150℃が最も好ましい。−78℃未満だと工業的に不利になる場合があり、150℃を超えると連鎖移動等が起こり、好ましくない場合がある。重合時の圧力は、0.1〜100気圧が好ましく、1〜30気圧がより好ましく、1〜10気圧が最も好ましい。
本発明のクロス化工程には、公知のアニオン重合開始剤を用いることができる。これらの中では、ビフェニル、ナフタレン、ピレン等のリチウム塩或いはナトリウム塩、アルキルリチウム化合物から選ばれる1種以上が好ましく、アルキルリチウム化合物が最も好ましい。アルキルリチウム化合物の中では、sec−ブチルリチウム、n(ノルマル)−ブチルリチウムから選ばれる1種以上が好ましい。又、多官能性開始剤、ジリチウム化合物、トリリチウム化合物を用いてもよい。更に必要に応じて公知のアニオン重合末端カップリング剤を用いてもよい。アニオン重合開始剤の使用量は、配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、メチルアルモキサンを用いる場合には、その中に含まれる酸素原子の当量以上が好ましく、2当量以上がより好ましい。配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、硼素化合物を用いる場合、その量はメチルアルモキサン中の酸素原子当量に比して、十分少ないため、アニオン重合開始剤の使用量を低減することが可能である。
クロス化工程においてラジカル重合開始剤を用いる場合、即ち、ラジカル重合を行う場合の条件としては、WO2000/037517号公報に記載している方法が採用される。本発明のクロス化工程の実施にあたっては、重合速度が大きいので、短時間に高いモノマー転換率が得られ、実質的に100%の転換率が容易に得られる点で、アニオン重合が好ましい。
以下本発明で用いられるクロス共重合体について説明する。本クロス共重合体は、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有し、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有し、グラフトスルー(grafting through)及び/またはグラフトフロム構造を含む重合体である。エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合していることは、以下の観察可能な現象で証明できる。ここでは代表的なエチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼンユニットを介して結合している例について示す。すなわち配位重合工程で得られたエチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体と、本共重合体とスチレンモノマーの存在下でのアニオン重合を経て得られるクロス共重合体の1H−NMR(プロトンNMR)を測定し、両者のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)のピーク強度を適当な内部標準ピーク(エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体に由来する適当なピーク)を用いて比較する。ここで、クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)のピーク強度(面積)が、エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して50%未満、好ましくは20%未満である。アニオン重合(クロス化工程)の際にスチレンモノマーの重合と同時にジビニルベンゼンユニットも共重合し、エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼンユニットを介して結合されるために、アニオン重合後のクロス共重合体ではジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)のピーク強度は大きく減少する。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)のピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失している。
別な観点から、本クロス共重合体において、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している(一例としてエチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼンユニットを介して結合している)ことは、以下の観察可能な現象で証明できる。すなわち本クロス共重合体に対し、適当な良溶媒と貧溶媒を使用し溶媒分別を行っても、含まれるエチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖をそれぞれのホモポリマーとして分別することができない。一例を以下に示す。
大型容器にアセトン400mlと攪拌子を入れ、マグネチックスターラー上で氷浴しつつ攪拌した。別容器にトルエンを40ml、クロス共重合体を4g加えて加熱攪拌し完全に溶解させた。溶解後、シリンジで熱溶液を吸い上げ、攪拌されている冷アセトン中にゆっくり滴下した。滴下終了後、析出したポリマー入りのアセトン懸濁液を減圧濾過し、フィルターに残った冷アセトン不溶ポリマーは自然乾燥後60℃で一晩真空乾燥した。濾液はエバポレーター用ナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧除去し、10ml程度の濃縮液を取り出した。ナスフラスコは少量のアセトンで数回洗浄し、洗浄液は濃縮液に加えた。これを約1Lの激しく攪拌したメタノール中に投入し、冷アセトン可溶ポリマーを析出させ、減圧濾過し、フィルター上のポリマーは自然乾燥後60℃で一晩真空乾燥した。冷アセトン可溶ポリマーは、比較的少量(使用したクロス共重合体に対し数質量%〜20質量%程度)であり、1H−NMR測定によりポリスチレンホモポリマーであることが確認できる。一方、冷アセトン不溶分は大部分(過半以上)を占め、冷アセトン不溶ポリマーの1H−NMRを測定すると、エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を共に観測することができ、含まれるエチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖をそれぞれのホモポリマーとして分別することができないことが示される。完全に溶媒分別されていることの検証のため以下の操作を行った。上記冷アセトン不溶ポリマーを用い、再度上記手順で溶媒分別を行い、冷アセトン不溶ポリマーを回収し、その1H−NMR測定を行った。得られたその組成(エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖の組成)に実質的に変化がないことが確認できる。実際には1回の溶媒分別で実質的に溶媒分別は完了している。
以上から本発明に用いられるクロス共重合体を規定する表現としては、クロス共重合体は、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有し、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有し、グラフトスルー(grafting through)及び/またはグラフトフロム構造を含む重合体である。さらに好ましくは以下の(1)〜(3)の条件をすべて満たす共重合体である。
(1)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量15質量%以上50質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上1質量%以下、残部がエチレン含量であり、
(2)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が10万以上60万以下であり、
(3)クロス化工程で得られるクロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が60〜95質量%である。
さらに別な観点から、本クロス共重合体を説明する。本クロス共重合体は、配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程を含む製造方法で得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、オレフィンモノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合され製造される共重合体である。クロス化工程において使用される芳香族ビニル化合物モノマーとしては、配位重合工程で重合液中に残留する未反応モノマーを用いても、これに新たに芳香族ビニル化合物モノマーを添加しても良い。重合液へのアニオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤の添加により、アニオン重合またはラジカル重合が開始されるが、この場合重合液中に、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエンユニットと比較し、圧倒的に多く含まれる芳香族ビニル化合物モノマーから実質的にアニオン重合またはラジカル重合が開始し、芳香族ビニル化合物モノマーを重合しながら、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエンユニットのビニル基も共重合しつつ、重合は進行する。そのため、得られるクロス共重合体は、主鎖であるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体とクロス鎖である芳香族ビニル化合物重合体鎖がグラフトスルー形式で結合した構造(交差結合)が多く含まれると考えられる。
以上から本発明に用いられるクロス共重合体を規定する表現としては、クロス共重合体は、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有し、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有し、グラフトスルー及び/またはグラフトフロム構造を含む重合体である。本クロス共重合体には、比較的少量の芳香族ビニル化合物(ポリスチレン)ホモポリマーが含まれていても良い。さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満たす共重合体であることが好ましい。
(1)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量15質量%以上50質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上1質量%以下、残部がエチレン含量であり、
(2)配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が10万以上60万以下であり、
(3)クロス化工程で得られるクロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が60〜95質量%である。
本クロス共重合体は、ポリプロピレン系樹脂及びオイルとの相溶性が良好であり、それ故、本発明の樹脂組成物は成分が良好に相溶し、オイルの染み出し(ブリードアウト)がなく、目的に応じ幅広い範囲でその軟質性を調整できるという特徴を示す。更に、低温でも一定の軟質性を維持し、高温でも一定の力学強度を維持することができる。
本クロス共重合体は上記(1)〜(3)の条件をすべて満たすことで、クロス共重合体は、基本的に軟質であり、ポリプロピレン系樹脂やオイルとの良好な相溶性と相まって、本発明の樹脂組成物の原料として好適に使用できる。
エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が上記範囲を超えると成形加工性が低下する場合がある。配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエン含量が上記範囲未満だと本発明の樹脂組成物の力学物性が低下する場合がある。配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエン含量が上記範囲を超えると成形加工性が低下する場合がある。配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以上6以下が好ましく、1.5以上4以下がより好ましく、1.8以上3以下が最も好ましい。配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体のオレフィン含量が上記範囲未満だと、クロス共重合体の結晶性が高くなり、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が低下し、樹脂組成物の軟質性が低下する場合がある。配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体のオレフィン含量が上記範囲を超えると得られる樹脂組成物の力学物性が低下する場合がある。
クロス化工程を経て最終的に得られるクロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合は60〜95質量%が好ましい。クロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が上記範囲未満だと、ポリプロピレン系樹脂やオイルとの相溶性が低下し、樹脂組成物の軟質性が低下し、オイルがブリードアウトする場合がある。クロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が上記範囲を超えると得られる樹脂組成物の力学物性が低下する場合がある。
クロス共重合体において、配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成は、オレフィン含量20質量%以上35質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上0.3質量%以下、残部がエチレン含量であることがより好ましい。本条件を満たすことにより、本発明の樹脂組成物は、更に高い耐熱性と力学物性を示すことができる。クロス共重合体中のオレフィン含量が上記範囲未満だと、低温で硬くなってしまい、上記−40℃の貯蔵弾性率条件を満たすことができない場合がある。クロス共重合体のオレフィン含量が上記範囲未満だと、エチレン連鎖由来の結晶性が増加するため、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が低下して、上記140℃の貯蔵弾性率条件を満たすことができない場合がある。
更にクロス共重合体のDSC測定より40〜140℃の範囲に観察される結晶融解熱の総和は70J/g以下が好ましい。クロス鎖の芳香族ビニル化合物重合体鎖の分子量は、目的に合わせて適宜変更可能であり特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)は1万以上15万以下が好ましく、2万以上10万以下がより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.0以上6.0以下が好ましい。クロス鎖の分子量は直接求めることが困難であるために、本明細書では、クロス共重合化されなかった芳香族ビニル化合物ホモポリマーの分子量と同一であるとして、溶媒分別等公知の適切な方法で分離して得た芳香族ビニル化合物ホモポリマーの分子量を用いて、クロス鎖の分子量を規定している。
最終的に得られるクロス共重合体に対する配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が上記範囲未満だと、得られるクロス共重合体のポリプロピレン系樹脂やオイルとの相溶性が低下し、樹脂組成物の軟質性が失われたり、オイルがブリードアウトしたりするため、上記−40℃での貯蔵弾性率の条件を満たすことができない場合がある。
<ポリプロピレン系樹脂>
ポリプロピレン系樹脂とはプロピレンを主体とする重合体である。好ましくはホモポリプロピレン(ホモPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、ランダムポリプロピレン或いはこれらの混合物である。樹脂組成物の耐熱性や剛性の点で、ホモポリプロピレンが好ましい。立体規則性はアイソタクティックでもシンジオタクティックでもよいが、樹脂組成物の耐熱性や剛性の点で、アイソタクティックが好ましい。ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンについては、例えば、特開平11−29690号公報、特開平11−29669号公報に記載してあるものも好適に使用できる。
<オイル>
オイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、又は、芳香族系オイルや流動パラフィン等の鉱物油系オイル、シリコンオイル、ヒマシ油、アマニ油、オレフィン系ワックス、鉱物系ワックス等のオイルが好ましい。オイルの中では、パラフィン系及び/又はナフテン系が好ましい。これらは出光興産株式会社から、ダイアナプロセスオイルとして入手できる。
ポリプロピレン系樹脂の使用量は、クロス共重合体100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜90質量部がより好ましい。オイルの使用量は、クロス共重合体100質量部に対して、20〜200質量部が好ましく、40〜180質量部が好ましく、110〜160質量部が最も好ましい。ポリプロピレン系樹脂がこれより多い場合、或いは、オイルがこれより少ない場合、得られる樹脂組成物の軟質性が失われてしまう場合がある。ポリプロピレン系樹脂がこれより少ない場合、或いは、オイルがこれより多い場合、得られる樹脂組成物の耐熱性や力学物性が低下したり、オイルがブリードアウトしたりする場合がある。
以下最終的に得られる本発明の樹脂組成物の軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性の観点から上記の規定を説明する。本発明の樹脂組成物は、軟質性、耐寒性、耐熱性を有するため、熱可塑性エラストマーとして極めて有用である。具体的には低温下でも一定の軟質性を維持する、軟質耐寒性エラストマーという特徴を有する。具体的には本発明の樹脂組成物において、粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率が−40℃で7×10Pa以下であることが好ましい。これは、本発明のクロス共重合体自身が低いガラス転移温度を有することに加え、オイルとの良好な相溶性を有するためである。本発明の樹脂組成物は、高温でも一定以上の弾性率や強度を維持し、溶融や流動を起こしにくいという、軟質耐熱性エラストマーの特徴を有している。具体的には本発明の樹脂組成物において、粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率が140℃で1×10Pa以上であることが好ましい。これは、用いられるクロス共重合体がポリプロピレン系樹脂と良好な相溶性を有するためと考えられる。
本発明の樹脂組成物は軟質でありながら良好な力学物性を有する。具体的には引張弾性率1〜30MPa、破断伸び300〜2000%、破断強度1〜50MPaであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の耐熱性は、具体的には粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率が140℃で3×10Pa以上であることがより好ましい。本発明の樹脂組成物の力学物性は、引張弾性率1〜30MPa、破断伸び700〜2000%、破断強度5〜50MPaであることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、その他の樹脂、エラストマー、ゴムを本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。又、一般的に樹脂組成物に添加される公知のフィラ−や安定剤、老化防止剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、軟化剤、滑剤、加工助剤、着色剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、発泡剤等を用いることができる。
本発明の樹脂組成物を製造するには、公知の適当な混練法を用いることができる。例えば、単軸、二軸のスクリュー押出機、バンバリー型ミキサー、プラストミル、コニーダー、加熱ロール等で溶融混合を行うことができる。溶融混合を行う前に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラー等で各原料を均一に混合してもよい。溶融混練温度はとくに制限はないが、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。
本発明の樹脂組成物の成形法としては、真空成形、射出成形、ブロー成形、押出し成形等公知の成形法を用いることができる。
以上、本発明の実施の形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[分析、評価方法]
実施例で得られた共重合体の分析は以下の手段によって実施した。
H−NMRスペクトル)
共重合体中のオレフィン、芳香族ビニル化合物の各ユニット含量の決定は、H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及びBRUCKER社製AC−250を用いた。重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、室温で溶解する場合は室温で測定し、室温で溶解しない場合は80〜100℃で測定した。公知の手法により、得られた各ユニット由来のピークの面積を比較して各ユニット含量や組成を求めた。クロス化工程を経て最終的に得られるクロス共重合体に含まれる、配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合も、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成とクロス共重合体の組成を比較することで求めた。クロス化工程で得られる芳香族ビニル重合体の質量%も同様にして求めた。
(ガスクロマトグラフィ分析)
樹脂中の芳香族ポリエン重合体の含量は、ガスクロマトグラフィ分析により求めた重合液中の未反応ジビニルベンゼン量と重合に用いたジビニルベンゼン量の差から求めた。
(分子量測定)
分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。測定は以下の条件で行った。
カラム:TSK−GEL MultiporeHXL-M φ7.8×300mm(東ソー社製)を2本直列に繋いで用いた。
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:THF
送液流量:1.0ml/min.
サンプル濃度:0.1wt/vol%
サンプル注入量:100μL
室温でTHF溶媒に不溶であるポリマーの分子量は、高温GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。東ソー社製HLC−8121GPC/HTを用い、カラムはTSKgelGMHHR−H(20)HT、φ7.8×300mm3本、オルトジクロロベンゼン、又はトリクロロベンゼンを溶媒とし140℃で測定した。
検出器:RI
サンプル濃度:0.1質量/体積%
サンプル注入量:100μL
送液流量:1.0ml/min.
(DSC測定)
DSC測定は、セイコー電子社製DSC6200を用い、窒素気流下で行った。即ち、樹脂10mgを用い、アルミナ10mgをレファレンスとして、アルミニウムパンを用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から240℃まで昇温した後に20℃/分で−120℃まで冷却した。その後240℃まで昇温速度10℃/分で昇温しながらDSC測定を行い、融点、結晶融解熱及びガラス転移点を求めた。
(MFR測定)
JIS K7210に準じ、200℃でのMFRを測定した。尚、荷重は98Nの条件にて測定した。
(サンプルシ−ト作製)
物性評価用の試料は加熱プレス法(温度250℃、時間5分間、圧力50kg/cm)により成形した各種厚さ(0.3、1.0、2.0mm)のシートを用いた。
(粘弾性測定:貯蔵弾性率)
加熱プレス法により得た厚み約0.3mmのフィルムから測定用サンプル(8mm×50mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−50℃〜+250℃の範囲で測定し、貯蔵弾性率を求めた。
測定に関わるその他測定パラメ−タ−は以下の通りである。
測定周波数1Hz
昇温速度4℃/分
サンプル測定長10mm
Test Type = Dynamic Temperature Ramp (DTempRamp)
Initial Static Force 5.0g
Auto Tension Sensitivity 1.0g
Max Auto Tension Rate 0.033mm/s
Max Applied Strain 1.5%
Min Allowed Force 1.0g
(引張試験:引張弾性率、破断点伸び(破断伸び)、破断点強度(破断強度))
JIS K6251に準拠し、1.0mm厚さシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、23±1℃の条件にて引張速度500mm/minにて測定した。
[原料の調整]
(i)触媒A
ジフェニルメチレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(下記の一般式(4)を参照)は、J.Am.Chem.Soc.,110,6255(1988)記載の製造方法を参考にし、ジフェニルフルベンとフルオレンを配位子原料として合成した。
Figure 2017066375
[実施例A](クロス共重合体の製造)
触媒として触媒A(ジフェニルメチレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド)を用い、以下のように実施した。
Figure 2017066375
表1に示す重合条件において、攪拌機、加熱冷却用ジャケット付き50L第一重合缶を使用し、シクロヘキサン溶媒21.3kg、1−ヘキセンモノマー(出光興産社製リニアレン)1.8kg及びジビニルベンゼン(DVB)79mmolを仕込み、内温40℃にて加熱攪拌した。乾燥窒素ガスを約100Lバブリングして系内及び重合液の水分をパージした。次いで、内温を約60℃に昇温し、トリイソブチルアルミニウム30mmolを加え、更にMAO(東ソーファインケム社製モデファイドMAO:MMAO)50mmolを加え、直ちにエチレンを導入した。重合缶圧力が0.85MPa(0.75MPaG)で安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、トリイソブチルアルミニウム1mmol、ジフェニルメチレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド70μmolを含むトルエン溶液30mlからなる触媒液をオ−トクレーブ中に加えて配位重合工程を開始した。内温を65℃、圧力は0.85MPaに維持しながら重合を実施した。所定のエチレン積算流量(1100L)でエチレン供給を停止、圧力を開放しつつオートクレーブの内温を65℃に維持した。重合液の少量(数十ml)をサンプリングし、メタノールに混合してポリマーを析出させることにより配位重合工程のポリマーサンプルを得た。本サンプリング液より、配位重合工程でのポリマー収量、組成、分子量を求めた。重合液を、攪拌機、加熱冷却用ジャケット付き50L第二重合缶に移送し、重合缶にスチレンモノマー1.0kgを加えて十分攪拌混合した後に、n−ブチルリチウム(BuLi)180mmolを添加し、65〜70℃を維持しながらクロス化工程(アニオン重合工程)を行うことでクロス共重合体を合成し、クロス共重合体の収量を求めた。得られた重合液を激しく攪拌した大量のメタノール液中に少量ずつ投入して、クロス共重合体を回収した。このクロス共重合体を、室温で1昼夜風乾した後に80℃、真空中、質量変化が認められなくなるまで乾燥した。
[実施例B、C]
実施例Aと同様の手順で、表1に示す重合条件で重合を実施した。
各実施例の配位重合工程で得られたエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体、及び、クロス化工程を経て得られたクロス共重合体の分析結果を表2に、クロス共重合体の評価結果を表3に示す。実施例A〜Cで得られたクロス共重合体は何れも本発明のクロス共重合体の条件を満たしている。本実施例A〜Cで得られたクロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、配位重合工程で得られたエチレンースチレンージビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して20%未満であった。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失していた。
Figure 2017066375

Figure 2017066375

(実施例1〜6、比較例1〜3)
以下のようにして、クロス共重合体、ポリプロピレン、オイルを含有する樹脂組成物を得た。
ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製PL2000型)を使用し、実施例A〜Cで得られたクロス共重合体、ホモポリプロピレン(プライムポリマー社製J106G)及びオイル(パラフィン系オイル、出光興産株式会社製PW−100)を表4に示す配合(質量部)で調製した。合計約45gの樹脂組成物を、200℃、回転速度100回/分、10分間混練し、サンプルを作製した。オイルは事前に不定形クラム状のクロス共重合体に室温で一昼夜吸収させてから混練に用いた。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製Irg1076)を用いた。
比較例として、本発明のクロス共重合体の代わりに、市販のSEBS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン、旭化成社、H−1053、スチレン含量29wt%)、公知文献記載のクロス共重合体(WO2007/139116号公報に従って得られたクロス共重合体(主鎖エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、主鎖スチレン含量24モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、クロス鎖ポリスチレン、ポリスチレン含量26質量%、200℃、加重98NでのMFR、23g/10min.))を使用し、実施例と同様に樹脂組成物を得た。オイルは実施例と同様に不定形クラム状のこれらの樹脂に室温で一昼夜吸収させてから混練に用いた。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。表中、例えば、3.2E+08は3.2×10を示し、5.2E+06は5.2×10を示す。
本発明の樹脂組成物は、軟質性、耐熱性、耐寒性、力学物性が良好であった。市販の水添ブロック共重合体(SEBS)を使用したり、公知文献記載のクロス共重合体を使用したりした場合、オイルのブリードアウト(染み出し)が激しく、それ以上の物性測定は行わなかった(比較例4〜6)。
特に本発明として最も好ましい条件、即ち配位重合工程で得られるエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量20質量%以上35質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上0.3質量%以下、残部がエチレン含量であるクロス共重合体である実施例A及びCのクロス共重合体を用いた樹脂組成物(実施例1〜4及び6)は、より高い耐熱性、具体的には粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率が140℃で3×10Pa以上を示し、力学物性は、引張弾性率1〜30MPa、破断伸び700〜2000%、破断強度5〜50MPaの範囲を満たした。
Figure 2017066375

本発明の樹脂組成物は、クロス共重合体、ポリプロピレン系樹脂、オイルとの相溶性が良いため、力学物性や耐熱性が向上し、オイルがブリードアウトしない。たりするという課題があった。本発明のクロス共重合体は、ソフトセグメントのガラス転移温度が比較的低いため、低温で硬くならず、オイルと混練してもブリードアウトしにくい。

Claims (9)

  1. クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を含む樹脂組成物。
    ここでクロス共重合体とは配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。
  2. クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を含む樹脂組成物。
    ここでクロス共重合体とは、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有する共重合体であり、エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している共重合体である。
  3. クロス共重合体が更に以下の条件を満たす請求項1又2に記載の樹脂組成物。
    (1)エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量15質量%以上50質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上1質量%以下、残部がエチレン含量であり、
    (2)エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が10万以上60万以下であり、
    (3)クロス化工程で得られるクロス共重合体に対するエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が60〜95質量%である。
  4. −40℃の貯蔵弾性率が7×10Pa以下であり、かつ140℃の貯蔵弾性率が1×10Pa以上である請求項1〜3のうちの1項に記載の樹脂組成物。
  5. 引張弾性率が1〜30MPa、破断伸びが300〜2000%、破断強度が1〜50MPaである請求項1〜4のうちの1項に記載の樹脂組成物。
  6. エチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体の組成が、オレフィン含量20質量%以上35質量%以下、芳香族ポリエン含量0.01質量%以上0.3質量%以下、残部がエチレン含量である請求項1〜5のうちの1項に記載の樹脂組成物。
  7. 引張弾性率が1〜30MPa、破断伸びが700〜2000%、破断強度が5〜50MPaである請求項1〜6のうちの1項に記載の樹脂組成物。
  8. オイルが、パラフィン系オイルである請求項1〜7のうちの1項に記載の樹脂組成物。
  9. クロス共重合体100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、オイル20〜200質量部を混練する請求項1〜8のうちの1項に記載の樹脂組成物の製造方法であり、
    ここでクロス共重合体は配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程により得られる共重合体であり、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、炭素数3〜12のオレフィンモノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン−オレフィン−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を用いて重合する製造方法で得られる共重合体である。

JP2016177986A 2015-09-29 2016-09-12 樹脂組成物及びその製造方法 Active JP6959724B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015190889 2015-09-29
JP2015190889 2015-09-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017066375A true JP2017066375A (ja) 2017-04-06
JP6959724B2 JP6959724B2 (ja) 2021-11-05

Family

ID=58491784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016177986A Active JP6959724B2 (ja) 2015-09-29 2016-09-12 樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6959724B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6959724B2 (ja) 2021-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4783324B2 (ja) エチレン−スチレン−ジエン共重合体、及びその製造方法
JP6622186B2 (ja) クロス共重合体及び樹脂組成物
KR100307037B1 (ko) 불포화공중합체,이공중합체의제조방법및이공중합체를함유한조성물
JP5435942B2 (ja) クロス共重合体の製造方法、得られるクロス共重合体、及びその用途
JP4726371B2 (ja) クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体の製造方法
WO2017056946A1 (ja) クロス共重合体及びその製造方法
JP3979995B2 (ja) オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体の製造方法
JP4781569B2 (ja) クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
JP5828700B2 (ja) 触媒組成物、触媒組成物を用いたノルボルネン系共重合体の製造方法、及びノルボルネン系共重合体、更には、その共重合体を用いた耐熱性フイル
JP5430117B2 (ja) 耐熱性クロス共重合体の製造方法、得られる耐熱性クロス共重合体、及びその用途
JP2010043232A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP6959724B2 (ja) 樹脂組成物及びその製造方法
JP6795917B2 (ja) クロス共重合体及びその製造方法
JPH0753767B2 (ja) α−オレフイン系ランダム共重合体の製造法
JP4750296B2 (ja) クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体及びその製造方法
JP2022025680A (ja) 組成物及びその製造方法
JP2000119457A (ja) エラストマー組成物及びその成型品
JP5626752B2 (ja) 芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物とのブロック共重合体の製造方法
JP2002265721A (ja) 重合体組成物
JP2010013575A (ja) 耐摩耗性、耐熱性、シボ保持性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその表皮シート
JP2000159837A (ja) 芳香族ビニル化合物−オレフィン−非共役ジエン共重合体及びその製造方法
JP2000198918A (ja) ポリフェニレンエ―テル樹脂組成物
KR100299078B1 (ko) 불포화 공중합체, 이 공중합체의 제조방법 및 이공중합체를 함유한 조성물
JP2002265722A (ja) 制振材
JP2000063784A (ja) 粘着剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201102

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20201102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6959724

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150