JP2017066354A - ポリアミド酸、ポリアミド酸溶液、ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドを用いたフィルム - Google Patents

ポリアミド酸、ポリアミド酸溶液、ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドを用いたフィルム Download PDF

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雅貴 野口
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大輔 渡部
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Abstract

【課題】 黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることが可能なポリイミドを提供すること。
【解決手段】 特定の一般式で表される繰り返し単位(A1)と、特定の一般式で表される繰り返し単位(B1)と、特定の一般式で表される繰り返し単位(C1)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有することを特徴とするポリイミド。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアミド酸、ポリアミド酸溶液、ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドを用いたフィルムに関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたディスプレイや液晶ディスプレイ等のディスプレイ機器の分野等において、ガラスのように光透過性が高くかつ十分に高度な耐熱性を有するとともに、軽くて柔軟な材料の出現が求められてきた。そして、このようなガラス代替用途等に用いる材料として、高度な耐熱性を有し、かつ、軽くて柔軟なポリイミドからなるフィルムが着目されている。
このようなポリイミドとしては、例えば、芳香族ポリイミド(例えば、DuPont社製の商品名「カプトン」)が知られている。しかしながら、このような芳香族ポリイミドは、十分な柔軟性と高度な耐熱性とを有するポリイミドではあるものの、褐色を呈し、光透過性が必要とされるガラス代替用途や光学用途等に使用できるものではなかった。
そのため、近年では、ガラス代替用途等に使用するために、十分な耐熱性と光透過性とを有する脂環式ポリイミドの開発が進められており、例えば、国際公開第2011/099518号(特許文献1)においては、特定の一般式で記載される繰り返し単位を有するポリイミドが開示されている。
国際公開第2011/099518号
上記特許文献1に記載のようなポリイミドは十分な耐熱性を有するとともに、十分に無色透明といえるものであり、様々な用途に応用可能なものである。しかしながら、ポリイミドの分野においては、黄色度(イエローインデックス)を基準としてより高い水準で着色性を低くすることが求められている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることが可能なポリイミド、そのポリイミドを含有するポリイミド溶液、並びに、そのポリイミドを用いたフィルムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記ポリイミドを製造するために好適に利用することが可能なポリアミド酸、及び、そのポリアミド酸を含有するポリアミド酸溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記繰り返し単位(A1)と、下記繰り返し単位(B1)と、下記繰り返し単位(C1)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有することにより、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることが可能なものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
[式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(A1)と、
下記一般式(2):
[式(2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(B1)と、
下記一般式(3):
[式(3)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(C1)と、
からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有することを特徴とするものである。
上記本発明のポリイミドとしては、線膨張係数が60ppm/K以下であり、かつ、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して150nm以下であることが好ましい。
上記本発明のポリイミドとしては、前記繰り返し単位(B1)を全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%含有するものであることが好ましい。このような比率で前記繰り返し単位(B1)を含有するポリイミドは、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることを可能としつつ、線膨張係数の値を十分に低いとすること及び厚み方向のリタデーション(Rth)の値を十分に低い値とすることをも可能とし、これらの特性をよりバランスよく有するものとすることが可能となる傾向にある。
また、本発明のポリアミド酸は、下記一般式(4):
[式(4)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(A2)と、
下記一般式(5):
[式(5)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(B2)と、
下記一般式(6):
[式(6)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(C2)と、
からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C2)である場合、を除く)を含有することを特徴とするものである。
また、本発明のポリアミド酸溶液は、上記本発明のポリアミド酸と有機溶媒とを含むことを特徴とするものである。このようなポリアミド酸溶液(樹脂溶液:ワニス)によれば、各種形態のポリイミドを効率よく製造することが可能である。
さらに、本発明のポリイミド溶液は、上記本発明のポリイミドと有機溶媒とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなることを特徴とするものである。
本発明によれば、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることが可能なポリイミド、そのポリイミドを含有するポリイミド溶液、並びに、そのポリイミドを用いたフィルムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記ポリイミドを製造するために好適に利用することが可能なポリアミド酸、及び、そのポリアミド酸を含有するポリアミド酸溶液を提供することが可能となる。
合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物のIRスペクトルを示すグラフである。 合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物のH−NMR(DMSO−d)スペクトルを示すグラフである。 合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物のFD−MSスペクトルである。 合成例3で中間体として得られた化合物(5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル(テトラエステル化合物)のIRスペクトルを示すグラフである。 合成例3で中間体として得られた化合物(5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル(テトラエステル化合物)のH−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 合成例3で中間体として得られた化合物(5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル(テトラエステル化合物)の13C−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物のIRスペクトルを示すグラフである。 合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物のH−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物の13C−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例5で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 比較例1で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 比較例2で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 実施例7で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。 比較例4で得られたポリイミドのIRスペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[ポリイミド]
本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
[式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(A1)と、
下記一般式(2):
[式(2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(B1)と、
下記一般式(3):
[式(3)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(C1)と、
からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有することを特徴とするものである。以下、先ず、各繰り返し単位について説明する。
〈繰り返し単位(A1)〉
本発明のポリイミドが含有し得る繰り返し単位(A1)は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位(なお、かかる一般式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す)である。
このような一般式(1)中のR、R、Rとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えるとガラス転移温度が低下し十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなR、R、Rとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR、R、Rとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
前記一般式(1)中のR、R、Rとしては、ポリイミドを製造した際に、より高度な耐熱性が得られるという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のR、R、Rは精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
また、前記一般式(1)中のRとして選択され得るアリーレン基は、炭素数が6〜40のアリーレン基である。また、このようなアリーレン基の炭素数としては6〜30であることが好ましく、12〜20であることがより好ましい。このような炭素数が前記下限未満ではポリイミドの耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られたポリイミドの溶媒に対する溶解性が低下して、フィルム等への成形性が低下する傾向にある。
また、前記一般式(4)中のRとしては耐熱性と溶解性のバランスの観点から、下記一般式(7)〜(10):
[式(9)中、R10は、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、式(10)中、Qは、式:−C−、−CONH−C−NHCO−、−NHCO−C−CONH−、−O−C−CO−C−O−、−OCO−C−COO−、−OCO−C−C−COO−、−OCO−、−NC−、−CO−C−CO−、−C1310−、−(CH−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH、−(CH−、−O−C−C(CH−C−O−、−O−C−SO-C−O−、−C(CH−C−C(CH−、−O−C−C−O−及び−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
このような一般式(9)中のR10としては、得られるポリイミドの耐熱性の観点から、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
また、上記一般式(10)中のQとしては、耐熱性と溶解性のバランスという観点から、式:−CONH−、−O−C−O−、−O−C−C−O−、−O−、−C(CH−、−CH−、又は−O−C−C(CH−C−O−、で表される基が好ましく、式:−CONH−、−O−C−C(CH−C−O−、又は−O−で表される基が特に好ましく、式:−O−C−C(CH−C−O−、又は−O−で表される基が最も好ましい。
また、前記一般式(1)中のRとして選択され得る一般式(7)〜(10)で表される基としては、ガラス転移温度を十分に高い温度とすることができるとともに線膨張係数を十分に低い値とすることができ、これらの特性のバランスが向上し、より高度な耐熱性が得られるという観点からは、一般式(9)又は(10)で表される基であることがより好ましく、一般式(10)で表される基が特に好ましい。
さらに、前記一般式(1)中のRとして選択され得る基としては、線膨張係数をより低いものとすることができ、更に高度な耐熱性が得られるという観点からは、一般式(9)で表される基、又は、一般式(10)で表され且つ前記Qが−CONH−、−COO−、−CO−、−C−で表される基(より好ましくは−CONH−又は−COO−で表される基、特に好ましくは−CONH−で表される基)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。更に、前記一般式(1)中のRとしては、得られるポリイミドに、より高度なフレキシブル性(柔軟性)を付与することができるという観点からは、一般式(7)で表される基、又は、一般式(10)で表され且つ前記Qが−O−、−S−、−CH−、−O−C−O−で表される基のうちの少なくとも1種(より好ましくは−O−、−CH−で表される基のうちの1種、更に好ましくは−O−で表される基)である基であることが好ましい。
また、前記一般式(1)中のRとして選択され得る基としては、線膨張係数を十分に低い値とすることができるとともに、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値を十分に低い値とすることができ、線膨張係数の値と厚み方向のリタデーション(Rth)の値のバランスをより向上させて、ディスプレイやその周辺機器向け材料として、より好適に使用することが可能となるといった観点から、上記一般式(10)で表され且つ前記Qが−O−、−O−C−C(CH−C−O−、−O−C−C−O−、−O−C−O−、−CONH−、−C−で表される基のうちの少なくとも1種(前記Qはより好ましくは−O−、−O−C−C(CH−C−O−、−CONH−、−C−で表される基のうちの1種であり、更に好ましくは、−O−、−CONH−で表される基である。)である基であることが好ましい。
また、前記一般式(1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、精製が困難になる。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の上限値は、より精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の下限値は、原料化合物の安定性の観点から、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(1)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
このような一般式(1)で表される繰り返し単位(A1)は、下記一般式(101):
[式(101)中、R、R、R、nは前記一般式(1)中のR、R、R、nと同義であり(その好適なものも前記一般式(1)中のR、R、R、nと同義である。)、Rは前記一般式(1)中のRと同義である(その好適なものも前記一般式(1)中のRと同義である。)。]
で表される原料化合物(A)と、下記一般式(102):
[式(102)中、Rは炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
で表される芳香族ジアミンとに由来して形成させることができる。例えば、このような一般式(1)で表される繰り返し単位(A1)は、前記原料化合物(A)と前記芳香族ジアミンとを反応させて、後述する繰り返し単位(A2)を含むポリアミド酸を形成し、これをイミド化することで、ポリイミド中に含有させることができる。具体的な反応条件やイミド化の方法として好適に採用し得る条件等については後述する。
なお、このような一般式(101)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2011/099517号に記載の方法や国際公開第2011/099518号に記載の方法等を採用してもよい。
また、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンにおいて、式(102)中のRは、上記一般式(1)中のRと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のRと同様である。
このような一般式(102)で表される芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル,3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、o−トリジンスルホン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、4,4’−ジアミノトリフェニルアミン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ピペラジン、2−フェノキシ−1,4−ジアミノベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、N,N−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)[1,1’−ビフェニル]−4、4’−ジカルボキシレート、4,4’’−ジアミノ−p−テルフェニル、N,N’−ビス(4−アミノベンゾイル)−p−フェニレンジアミン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル ビス(4−アミノベンゾエート)等が挙げられる。
このような芳香族ジアミンを製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このような芳香族ジアミンとしては市販のものを適宜用いてもよい。また、このような一般式(102)で表される芳香族ジアミンは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
〈繰り返し単位(B1)〉
本発明のポリイミドが含有し得る繰り返し単位(B1)は、上記一般式(2)で表される繰り返し単位(なお、上記一般式(2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す)である。
このような一般式(2)中のAは、前述のように、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、該芳香族基中に含まれる芳香環を形成する炭素の数(なお、ここにいう「芳香環を形成する炭素の数」とは、その芳香族基が炭素を含む置換基(炭化水素基など)を有している場合、その置換基中の炭素の数は含まず、芳香族基中の芳香環が有する炭素の数のみをいう。例えば、2−エチル−1,4−フェニレン基の場合、芳香環を形成する炭素の数は6となる。)が6〜30のものである。このように、一般式(1)中のAは、置換基を有していてもよく、かつ、炭素数が6〜30の芳香環を有する2価の基(2価の芳香族基)である。このような芳香環を形成する炭素の数が前記上限を超えると、その繰り返し単位を含有するポリイミドの着色を十分に抑制することが困難となる傾向にある。また、透明性及び精製の容易さの観点からは、前記2価の芳香族基の芳香環を形成する炭素の数は、6〜18であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましい。
また、このような2価の芳香族基としては、上記炭素の数の条件を満たすものであればよく、特に制限されないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ターフェニル、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、キンクフェニル等の芳香族系の化合物から2つの水素原子が脱離した残基(なお、このような残基としては、脱離する水素原子の位置は特に制限されないが、例えば、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基、9,10−アントラセニレン基等が挙げられる。);及び該残基中の少なくとも1つの水素原子が置換基と置換した基(例えば、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン基)等を適宜利用することができる。なお、このような残基において、前述のように、脱離する水素原子の位置は特に制限されず、例えば、前記残基がフェニレン基である場合においてはオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよい。
このような2価の芳香族基としては、ポリイミドを製造した際にポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点から、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基が好ましい。すなわち、このような2価の芳香族基としては、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ターフェニレン基が好ましい。また、このような2価の芳香族基の中でも、上記観点でより高い効果が得られることから、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基がより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基が更に好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基が最も好ましい。
また、一般式(2)中のAにおいて、前記2価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。このような2価の芳香族基が有してよい置換基の中でも、ポリイミドを製造した際にポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点から、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基がより好ましい。このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数が10を超えると、ポリイミドのモノマーとして用いた場合に、得られるポリイミドの耐熱性が低下する傾向にある。また、このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、ポリイミドを製造した際に、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このような置換基として選択され得るアルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、このような2価の芳香族基の中でも、ポリイミドを製造した際にポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点からは、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ターフェニレン基であることが好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基であることがより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基であることが更に好ましく、最も好ましいのは、置換基を有していてもよいフェニレン基である。
さらに、このような2価の芳香族基の中でも、より高度な耐熱性が得られるといった観点からは、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ターフェニレン基であることが好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基であることがより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基であることが更に好ましく、最も好ましいのは、置換基を有していてもよいフェニレン基である。
また、一般式(2)中のAにおいて、前記2価の芳香族基が有してよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。このような2価の芳香族基が有してよい置換基の中でも、ポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点から、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基がより好ましい。このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数が10を超えると、ポリイミドの耐熱性が低下する傾向にある。また、このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このような置換基として選択され得るアルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(2)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
前記一般式(2)中のRとしては、ポリイミドを製造した際に、より高度な耐熱性が得られること、原料の入手が容易であること、精製がより容易であること、等といった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
また、このような一般式(2)で表される繰り返し単位において、式(2)中のRは、上記一般式(1)中のRと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のRと同様である。
このような一般式(2)で表される繰り返し単位(B1)は、下記一般式(201):
[式(201)中、Aは前記一般式(2)中のAと同義であり(その好適なものも前記一般式(2)中のAと同義である。)、複数のRはそれぞれ前記一般式(2)中のRと同義である(その好適なものも前記一般式(2)中のRと同義である。)。]
で表される原料化合物(B)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとに由来して形成させることができる。例えば、このような一般式(2)で表される繰り返し単位(B1)は、前記原料化合物(B)と前記芳香族ジアミン(上述の上記一般式(102)で表される芳香族ジアミン)とを反応させて、後述する繰り返し単位(B2)を含むポリアミド酸を形成し、これをイミド化することでポリイミド中に含有させることができる。なお、具体的な反応条件やイミド化の方法として好適に採用し得る条件等については後述する。
また、このような原料化合物(B)を製造するための方法は特に制限されないが、例えば、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基と、パラジウム触媒と、下記一般式(202):
[式(202)中、Rはそれぞれ前記一般式(2)中のRと同義である(その好適なものも前記一般式(2)中のRと同義である。)。]
で表される酸無水物と、下記一般式(203):
[式(203)中、Aは前記一般式(2)中のAと同義であり(その好適なものも前記一般式(2)中のAと同義である。)、X,Yはそれぞれ独立に脱離基を示す。]
で表される芳香族化合物とを含む混合液中で、前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させて前記原料化合物(B)を得る方法(I)を好適に採用することができる(なお、このような方法(I)は、いわゆる還元的ヘック反応を利用して前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させる方法である。)。以下、このような原料化合物(B)を得るために好適に採用することが可能な方法(I)について説明する。
このような方法(I)に用いられる一般式(202)で表される酸無水物において、式中のRは上記一般式(2)中のRと同様であり、その好適なものも同様である。そのため、このような一般式(202)で表される酸無水物としては、例えば、無水ナジック酸、5−メチル無水ナジック酸、5,6−ジメチル無水ナジック酸、5−エチル−6−メチル無水ナジック酸、5,6−ジエチル無水ナジック酸、5−メチル−6−イソプロピル無水ナジック酸、5−n−ブチル無水ナジック酸等が挙げられる。なお、このような一般式(202)で表される酸無水物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような一般式(202)で表される酸無水物としては、市販のものを適宜利用してもよい。
また、上記一般式(203)で表される芳香族化合物において、式中のAは上記一般式(2)中のAと同様であり、その好適なものも同様である。また、前記一般式(203)中、X及びYはそれぞれ独立に脱離基を示す。このようなXやYで表される脱離基は、いわゆる還元的ヘック反応により、一般式(202)で表される酸無水物と一般式(203)で表される芳香族化合物とを反応させることが可能となるようなものであればよく、特に制限されず、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基等が挙げられる。
このようなX及びYとして選択され得る脱離基としては、中でも、ハロゲン原子がより好ましく、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がより好ましく、臭素原子、ヨウ素原子が特に好ましい。また、このような芳香族化合物としては、ジヨードベンゼン、ジヨードビフェニル、ジブロモベンゼン、2,5−ジブロモ−p−キシレン、ジエチルジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモナフタレン等が挙げられる。なお、このような芳香族化合物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような芳香族化合物としては、市販のものを適宜利用してもよい。
また、上記方法(I)に用いられるパラジウム触媒としては、特に制限されず、公知のパラジウム触媒を適宜利用することができ、例えば、パラジウム錯体やパラジウムを担体に担持した触媒を好適に利用することができる。このようなパラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等が挙げられる。このようなパラジウム触媒としては、反応収率の観点からは、酢酸パラジウム、塩化パラジウム又はこれらに他の配位子(他の錯イオンや他の分子:例えば、酢酸パラジウムの場合、酢酸イオン以外の錯イオンや分子)が更に結合した錯体を用いることがより好ましく、酢酸パラジウム又はこれに配位子(他の錯イオンや他の分子)が更に結合した錯体を用いることが特に好ましい。なお、このようなパラジウム触媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて利用することができる。また、このようなパラジウム触媒として好適な、酢酸パラジウムに他の配位子他の錯イオンや他の分子が更に結合した錯体としては、例えば、トランス−ジ−(μ−アセテート)ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(Herrmann’s触媒)等の錯体が挙げられる。
また、前記方法(I)においては、前記混合液に、パラジウムに配位子として結合する化合物を更に含有させることが好ましい。このようなパラジウムに配位子として結合する化合物としては、例えば、ホスフィン化合物(有機リン化合物:例えば、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、オルト−ビス(ジメチルアミノホスフィノ)トルエン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等)等が挙げられる。このような化合物を用いることで、混合液中において、パラジウム錯体と配位子が結合した新たなパラジウム錯体を形成して反応せしめることも可能であり、これにより、反応効率を向上させることが可能となる。また、このようなパラジウムに配位子として結合する化合物としては、反応効率の観点から、ホスフィン化合物を用いることが好ましく、中でも、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、オルト−ビス(ジメチルアミノホスフィノ)トルエン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを用いることがより好ましい。
また、このようなパラジウム触媒においては、触媒中のパラジウムが2価のものがより好ましく、式:PdX[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る1価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物(又は構造)を含むものを好適に利用できる。
また、上記方法(I)に用いられる塩基としては、特に制限されず、いわゆる還元的ヘック反応に用いることが可能な公知の塩基を適宜利用することができる。このような塩基としては、特に制限されず、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等をあげることができる。また、このような塩基としては、例えば、式:NR[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミンを利用してもよい。このような式:NRで表されるアミンにおいて、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜20(より好ましくは1〜5)の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることが好ましい。このような炭素数が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。また、このような塩基としては、反応収率向上の観点から、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムを用いることがより好ましく、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを用いることが更に好ましい。なお、このような塩基は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて利用することができる。
また、上記方法(I)に用いられる還元剤としては、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。このような還元剤を用いることにより、効率よく還元的ヘック反応を進行させることが可能となり、十分に効率よく目的生成物を得ることが可能となる。このような還元剤(水素源)としては、反応効率の観点から、ギ酸が好ましい。
また、前記混合液においては、上記一般式(202)で表される酸無水物、上記一般式(203)で表される芳香族化合物、前記還元剤、前記塩基、前記パラジウム触媒の他に、更に溶媒を含有させることが好ましい。このように溶媒を用いることにより、溶媒中においてより効率よく反応を進行させることが可能となる。このような溶媒としては、公知の溶媒を用いることでき、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。このような溶媒の中でも、反応収率がより向上することや、用いる各成分の溶解性が高いこと等から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを用いることがより好ましい。
なお、前記混合液中に、前記還元剤及び前記塩基を含有させる方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記還元剤(例えばギ酸等)と、前記塩基(例えばトリエチルアミン等)とをそれぞれ添加することにより、前記還元剤及び前記塩基を混合液中に含有させてもよく、また、前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩を混合液中に添加することにより、混合液中に前記還元剤と、前記塩基とを含有させてもよい。このような前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩としては、例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアミン塩等が挙げられる。
また、このような混合液中の一般式(202)で表される酸無水物の含有量は、前記一般式(203)で表される芳香族化合物1モルに対して0.5〜10モルとすることが好ましく、1.5〜5モルとすることがより好ましい。このような一般式(2)で表される酸無水物の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中の一般式(202)及び(203)で表される化合物の総量は、1〜80質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましい。このような総量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中のパラジウム触媒の含有量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量が、前記一般式(202)で表される化合物のモル量の0.00001〜0.1倍モル(より好ましくは0.0001〜0.05倍モル)となる量とすることが好ましい。このようなパラジウム触媒の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向がある傾向にある。
なお、前記混合液に、パラジウムに配位子として結合する化合物(好ましくはホスフィン化合物)を更に含有させる場合において、該化合物の含有量は、パラジウム触媒中のパラジウムのモル量に対して0.5〜10倍モル(より好ましくは1〜5倍モル)となる量とすることが好ましい。このような化合物の含有量が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向がある傾向にある。
また、このような混合液中の塩基の含有量としては、前記一般式(202)で表される化合物のモル量に対して0.5〜10.0倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような塩基の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、前記混合液中の前記還元剤の含有量としては特に制限されないが、前記還元剤のモル量が、前記一般式(202)で表される化合物のモル量の0.5〜10倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような還元剤の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このような混合液中の溶媒の含有量としては、混合液の全量に対して、20〜99質量%とすることが好ましく、50〜95質量%とすることがより好ましい。このような溶媒の使用量が前記下限未満では副生成物が増加する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応効率が低下する傾向にある。
このような混合液中において前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させる際に、その雰囲気ガスの条件としては、特に制限されないが、原料及び生成物の安定性の観点から、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。このような不活性ガスとしては、特に制限されず、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
また、混合液中において前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させる際の反応温度は、用いる原料化合物やパラジウム触媒の種類によっても異なるものであり、特に制限されないが、例えば、20〜180℃としてもよく、より高い反応効率が得られるといった観点からは、40〜150℃に加熱することがより好ましく、50〜120℃に加熱することが更に好ましい。このような反応温度の温度条件が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。また、このような反応の反応時間は、0.5〜20時間(より好ましくは2〜15時間)とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このようにして、前記混合液を用いて適宜加熱することにより、いわゆる還元的ヘック反応を進行せしめることによって、十分に効率よく一般式(201)で表される原料化合物(B)を得ることができる。
〈繰り返し単位(C1)〉
本発明のポリイミドが含有し得る繰り返し単位(C1)は、上記一般式(3)で表される繰り返し単位(なお、上記一般式(3)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。)である。
前記一般式(3)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、このような一般式(3)中の複数のRのうち、同一の炭素原子に結合している2つのRは、それらが一緒になってメチリデン基(=CH)を形成していてもよい。すなわち、上記一般式(3)中の同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になって、該炭素原子(ノルボルナン環構造を形成する炭素原子のうち、Rが2つ結合している炭素原子)に二重結合によりメチリデン基(メチレン基)として結合していてもよい。
前記一般式(3)中の複数のRとしては、ポリイミドを製造した際に、より高度な耐熱性が得られること、原料の入手(調製)がより容易であること、精製がより容易であること、等といった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
また、前記一般式(3)中のR及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種である。このようなR及びRとして選択され得るアルキル基の炭素数が10を超えると、ポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなR及びRとして選択され得るアルキル基としては、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR及びRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(3)中のR及びRは、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られること、原料の入手が容易であること、精製がより容易であること、等といった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基であることが特に好ましい。また、このような式(3)中のR及びRは、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
また、前記一般式(3)中の複数のR、R及びRは、いずれも水素原子であることが特に好ましい。このように、前記一般式(3)で表される繰り返し単位において、R、R及びRで表される置換基がいずれも水素原子である場合には、当該化合物の収率が向上し、より高度な耐熱性が得られる傾向にある。
また、このような一般式(3)で表される繰り返し単位において、式(3)中のRは、上記一般式(1)中のRと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のRと同様である。
このような一般式(3)で表される繰り返し単位(C1)は、下記一般式(301):
[式(301)中、複数のRはそれぞれ前記一般式(3)中のRと同義であり(その好適なものも前記一般式(3)中のRと同義である。)、R、Rはそれぞれ前記一般式(3)中のR、Rと同義である(その好適なものも前記一般式(3)中のR、Rと同義である。)。]
で表される原料化合物(C)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとに由来して形成させることができる。例えば、このような一般式(3)で表される繰り返し単位(C1)は、前記原料化合物(C)と前記芳香族ジアミン(上述の上記一般式(102)で表される芳香族ジアミン)とを反応させて、後述する繰り返し単位(C2)を含むポリアミド酸を形成し、これをイミド化することでポリイミド中に含有させることができる。なお、具体的な反応条件やイミド化の方法として好適に採用し得る条件等については後述する。
また、このような原料化合物(C)を製造するための方法は特に制限されないが、例えば、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下において、下記一般式(302):
[式(302)中、複数のRはそれぞれ前記一般式(3)中のRと同義であり(その好適なものも前記一般式(3)中のRと同義である。)、R、Rはそれぞれ前記一般式(3)中のR、Rと同義である(その好適なものも前記一般式(3)中のR、Rと同義である。)。]
で表されるノルボルネン系化合物をアルコール及び一酸化炭素と反応させて、下記一般式(303):
[式(303)中、複数のRはそれぞれ前記一般式(3)中のRと同義であり(その好適なものも前記一般式(3)中のRと同義である。)、R、Rはそれぞれ前記一般式(3)中のR、Rと同義であり(その好適なものも前記一般式(3)中のR、Rと同義である。)、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるカルボニル化合物を得る工程(i)と、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより原料化合物(C)を得る工程(ii)とを含む方法(II)を好適に採用することができる。以下、このような方法(II)を説明する。
先ず、上述の方法(II)の工程(i)について説明する。このような工程(i)に用いられる一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物において、式(302)中のR、R及びRは、上記一般式(3)中のR、R及びRとそれぞれ同様のものであり、その好適なものも上記一般式(3)中のR、R及びRとそれぞれ同様である。このような一般式(302)で表される化合物としては、例えば、5,5’−ビビシクロ[2.2.1]ヘプト―2−エン(別名:5,5’−ビ−2−ノルボルネンともいう。(CAS番号:36806−67−4)、3−メチル−3’−メチレン−2,2’−ビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−5,5’−ジエン)(CAS番号:5212−61−3)、5,5’−ビスビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,2’−ジオール(CAS番号:15971−85−4)等が挙げられる。このような一般式(302)で表される化合物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
また、前記工程(i)に用いられるアルコールとしては、特に制限されるものではないが、精製の容易さの観点から、下記一般式(304):
OH (304)
[式(304)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示す(言い換えると、前記一般式(303)中のRとして選択され得る原子及び基のうちの水素原子以外のものである。)。]
で表されるアルコールであることが好ましい。
また、このような一般式(304)中のRとして選択され得るアルキル基は炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このような複数のRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。また、このような複数のRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(304)中のRとして選択され得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基である。このようなシクロアルキル基の炭素数が10を超えると精製が困難となる。また、このような複数のRとして選択され得るシクロアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、3〜8であることがより好ましく、5〜6であることが更に好ましい。
さらに、前記一般式(304)中のRとして選択され得るアルケニル基は、炭素数が2〜10のアルケニル基である。このようなアルケニル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このような複数のRとして選択され得るアルケニル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、2〜5であることがより好ましく、2〜3であることが更に好ましい。
また、前記一般式(304)中のRとして選択され得るアリール基は、炭素数が6〜20のアリール基である。このようなアリール基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このような複数のRとして選択され得るアリール基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが更に好ましい。
また、前記一般式(304)中のRとして選択され得るアラルキル基は、炭素数が7〜20のアラルキル基である。このようなアラルキル基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このような複数のRとして選択され得るアラルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、7〜10であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。
さらに、前記一般式(304)中の複数のRとしては、精製がより容易となるという観点から、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル基、アリル基、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。なお、前記一般式(304)中の複数のRは、それぞれ、同一のものであっても異なっていてもよいが、合成上の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
このように、工程(i)に用いられる一般式(304)で表されるアルコールとしては、炭素数が1〜10のアルキルアルコール、炭素数が3〜10のシクロアルキルアルコール、炭素数が2〜10のアルケニルアルコール、炭素数が6〜20のアリールアルコール、炭素数が7〜20のアラルキルアルコールを用いることが好ましい。
このようなアルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられ、中でも、得られる化合物の精製がより容易となるという観点から、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。また、このようなアルコールは1種を単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、工程(i)においては、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下において、前記アルコール(好ましくはROH)及び一酸化炭素(CO)と、前記一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物とを反応せしめることで、前記一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物中のオレフィン部位の炭素に、それぞれ下記一般式(305):
−COOR (305)
[式(305)中、Rは前記一般式(304)中のRと同義である(その好適なものも同様である。)。]
で表されるエステル基(かかるエステル基は導入される位置ごとにRが同一であっても異なっていてもよい。)を導入することが可能となり、これにより、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を得ることができる。このように、工程(i)においては、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下、アルコール(好ましくはROH)及び一酸化炭素(CO)を用いて、前記カルボニル化合物中のオレフィン部位の炭素に、エステル基を導入する反応(以下、かかる反応を場合により単に「エステル化反応」と称する。)を利用して、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を得る。
このようなエステル化反応に用いるパラジウム触媒としては特に制限されず、パラジウムを含有する公知の触媒を適宜用いることができ、例えば、パラジウムの無機酸塩、パラジウムの有機酸塩、担体にパラジウムを担持した触媒等が挙げられる。また、このようなパラジウム触媒としては、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(式:Pd(CHCOO)(NO)等が好適なものとして挙げられる。
また、このような工程(i)に用いられるパラジウム触媒(前記エステル化反応に用いられるパラジウム触媒)としては、副生成物の生成をより十分に抑制することができ、より高い選択率で、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を製造することが可能となるといった観点から、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(式:Pd(CHCOO)(NO)で表される触媒)を含有するパラジウム触媒(以下、場合により、単に「Pd(OAc)(NO)」と称する。)を用いることが好ましい。
また、このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を含有するパラジウム触媒においては、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))の含有量が金属換算で(パラジウム触媒中の全パラジウム量に対して)10モル%以上であることが好ましい。このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムの含有比率が前記下限未満では、副生成物の生成を十分に抑制することが困難となり、十分に高い選択率で前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を製造することが困難となる傾向にある。また、前記パラジウム触媒としては、より高度な水準で副生成物の生成を抑制することができ、より高い選択率でエステル化合物を製造することが可能となるといった観点から、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))の含有比率が、金属換算で(パラジウム触媒中の全パラジウム量に対して)、30モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることが更に好ましく、50モル%以上であることが特に好ましく、70モル%〜100モル%であることが最も好ましい。
また、前記エステル化反応に用いられるパラジウム触媒として、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を含有するものを用いる場合において、Pd(OAc)(NO)以外に含有し得る他の触媒(他のパラジウム触媒成分)としては、特に制限されず、オレフィン部位に一酸化炭素及びアルコールを反応させる際(エステル化の際)に利用することが可能な公知のパラジウム系の触媒成分(例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等)を適宜利用することができる。
さらに、このようなパラジウム触媒中に含有され得る亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム以外の成分(パラジウム系の触媒成分)としては、重合物等の副生成物の生成の抑制、選択性向上の観点からは、酢酸パラジウムを用いることが好ましい。また、前記パラジウム触媒としては、重合物等の副生成物の生成の抑制、選択性向上の観点からは、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))と酢酸パラジウムとの混合触媒、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))のみからなる触媒を、より好適に利用することができる。
なお、このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、2005年6月7日に発行されたDalton Trans(vol.11)の第1989頁から第1992頁に記載された方法(著者:Vladimir I, Bakhmutov,et al.)等を適宜利用してもよい。
また、工程(i)に用いられる酸化剤(前記エステル化反応に用いられる酸化剤)としては、エステル化反応において前記パラジウム触媒中のPd2+がPdに還元された場合に、そのPdをPd2+に酸化することが可能なものであればよい。このような酸化剤としては、特に制限されず、例えば、銅化合物、鉄化合物等が挙げられる。また、このような酸化剤としては、具体的には、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、酢酸第二銅、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。
さらに、このような工程(i)において(前記エステル化反応において)、前記アルコールの使用量は、前記一般式(303)で表される化合物を得ることが可能な量であればよく、特に制限されず、例えば、前記一般式(303)で表される化合物を得るために理論上必要となる量(理論量)以上に前記アルコールを加えて、余剰のアルコールをそのまま溶媒として使用してもよい。
また、工程(i)において(前記エステル化反応において)、前記一酸化炭素は必要量を反応系に供給できればよい。そのため、前記一酸化炭素としては、一酸化炭素の高純度ガスを用いる必要は無く、前記エステル化反応に不活性なガス(例えば窒素)と一酸化炭素とを混合した混合ガスを用いてもよい。また、このような一酸化炭素の圧力は特に制限されないが、常圧(約0.1MPa[1atm])以上10MPa以下であることが好ましい。さらに、前記一酸化炭素を反応系に供給する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用でき、例えば、前記アルコールと前記一般式(302)で表される化合物と前記パラジウム触媒とを含む混合液中に一酸化炭素をバブリングにより供給する方法や、反応容器を用いる場合においてはその容器中の雰囲気ガスに一酸化炭素を導入することで一酸化炭素を反応系に供給する方法等を適宜採用できる。
また、前記アルコールと前記一般式(302)で表される化合物と前記パラジウム触媒とを含む混合液中に一酸化炭素を供給する場合には、一酸化炭素を一般式(302)で表される化合物に対して0.002〜0.2モル当量/分(より好ましくは0.005〜0.1モル当量/分、更に好ましくは0.005〜0.05モル当量/分)の割合(供給速度)で供給することが好ましい。このような一酸化炭素の供給割合が前記下限未満では反応速度が遅くなり、重合物等の副生物が生成され易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となる傾向にある。なお、原料である一般式(302)で表される化合物1モルに対して、理論上、4モル当量の一酸化炭素が反応することから、例えば、前記割合(供給速度)が0.1モル当量/分であれば、一般式(302)で表される化合物1モルに対して、理論量の4モル当量を導入するためには、40分(4[モル当量]/0.1[モル当量/分]=40分)要することとなる。また、このような供給速度で一酸化炭素を供給するための方法としては、前記アルコールと前記一般式(302)で表される化合物と前記パラジウム触媒とを含む混合液中にバブリングにより一酸化炭素を供給する方法を採用することが好ましい。
また、前記一酸化炭素をバブリングにより供給する場合、前記バブリングの具体的な方法は特に制限されず、公知のバブリングの方法を適宜採用でき、例えば、いわゆるバブリングノズルや、多数の孔が設けられた管等を適宜用いて、混合液中に一酸化炭素をバブリングして供給すればよい。
さらに、前記一酸化炭素の供給速度の制御方法は、特に制限されず、公知の制御方法を適宜採用すればよく、例えば、バブリングにより一酸化炭素を供給する場合には、前記バブリングノズルや、多数の孔が設けられた管等に特定の割合でガスを供給できるような公知の装置を用いて、一酸化炭素の供給速度を前記割合に制御する方法を採用してもよい。また、バブリングにより一酸化炭素を供給する場合において、反応容器を用いた場合には、バブリングノズルや管等を同容器の底部付近に調整することが好ましい。これは、底部に存在する一般式(302)で表される化合物とバブリングノズル等から供給される一酸化炭素との接触を促進させるためである。
また、前記エステル化反応において、前記パラジウム触媒の使用量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量が前記一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物に対して0.001〜0.1倍モル(より好ましくは0.001〜0.01倍モル)となる量とすることが好ましい。このようなパラジウム触媒の使用量が前記下限未満では反応速度の低下により収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると生成物中からパラジウムを除くことが困難となり、生成物の純度が低下する傾向にある。
また、前記酸化剤の使用量は、一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物に対して2〜16倍モル(より好ましくは2〜8倍モル、更に好ましくは2〜6倍モル)とすることが好ましい。このような酸化剤の使用量が前記下限未満ではパラジウムの酸化反応を十分に促進できず、その結果副生成物が多く生成する傾向にあり、他方、前記上限を超えると精製が困難となり、生成物の純度が低下する傾向にある。
また、前記一般式(302)で表されるノルボルネン系化合物と、アルコール及び一酸化炭素との反応(エステル化反応)には溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては特に制限されず、エステル化反応に利用可能な公知の溶媒を適宜利用でき、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
さらに、前記エステル化反応においては、前記酸化剤等から酸が副生されることから、かかる酸を除去するために塩基を添加してもよい。このような塩基としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム等の脂肪酸塩が好ましい。また、このような塩基の使用量は酸の発生量等に応じて適宜調整すればよい。
また、前記エステル化反応の際の反応温度条件としては特に制限されないが、0℃〜200℃{より好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは10〜60℃程度、特に好ましくは20〜50℃程度の温度}であることが好ましい。このような反応温度が前記上限を超えると、収量が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にある。また、前記エステル化反応の反応時間は特に制限されないが、30分〜24時間程度とすることが好ましい。
また、前記エステル化反応における雰囲気ガスとしては、特に制限されず、エステル化の反応に利用可能なガスを適宜利用することができ、例えば、エステル化反応に不活性なガス(窒素、アルゴン等)、一酸化炭素、一酸化炭素と他のガス(窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、アルゴン等)との混合ガスとしてもよく、触媒や酸化剤に対して影響を与えないという観点から、一酸化炭素、エステル化反応に不活性なガス、一酸化炭素とエステル化反応に不活性なガスとの混合ガスが好ましい。なお、前記混合液中に一酸化炭素を供給する方法として、バブリングにより一酸化炭素を導入する方法を採用する場合には、例えば、反応前に雰囲気ガスをエステル化反応に不活性なガスからなるものとしておき、上述のバブリングにより反応を開始して、結果的に雰囲気ガスが一酸化炭素とエステル化反応に不活性なガスとの混合ガスとなるようにして反応を進めてもよい。
さらに、前記エステル化反応における圧力条件(雰囲気ガスの圧力条件:反応容器内で反応を進行せしめる場合には容器内のガスの圧力の条件)は特に制限されないが、0.05MPa〜15MPaであることが好ましく、常圧(0.1MPa[1atm])〜15MPaであることがより好ましく、0.1MPa〜10MPaであることが更に好ましく、0.11MPa〜5MPaであることが特に好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では反応速度が低下し目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となったり、反応を実施できる設備が限定される傾向にある。
このようにしてエステル化反応を進行せしめることで、式(303)中のRがいずれも水素原子以外の基である前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物(テトラエステル化合物)を得ることができる。また、式(303)中のRがいずれも水素原子である前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を製造する場合には、前記エステル化反応により上記式:−COORで表される基を導入した後に、かかる基をRが水素原子である式:−COOHで表される基に変換するために、加水分解処理やカルボン酸とのエステル交換反応を施してもよい。このような反応の方法は特に制限されず、式:−COORで表される基(エステル基)を式:−COOH(カルボキシ基)とすることが可能な公知の方法を適宜採用することができる。
このようにして、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を得ることができる。なお、前記一般式(303)中の複数のRは、それぞれ前記一般式(3)中のRと同義であり、その好適なものも前記一般式(3)中のRと同義である。また、前記一般式(303)中のR、Rはそれぞれ前記一般式(3)中のR、Rと同義であり、その好適なものも前記一般式(3)中のR、Rと同義である。
さらに、前記一般式(303)中の複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種である。このようなRとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基は、前記一般式(304)中のRとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基として説明したものと、それぞれ同様のものである(その好適なものも同様である。)。
なお、前記一般式(303)中の複数のRとしては、精製がより容易となるという観点から、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル基、アリル基、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。なお、前記一般式(2)中の複数のRは、それぞれ、同一のものであっても異なっていてもよいが、合成上の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
次に、方法(II)の工程(ii)について説明する。このような工程(ii)は、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより原料化合物(C)を得る工程である。
このような工程(ii)に用いられる酸触媒としては、均一系酸触媒であっても不均一系酸触媒(固体触媒)であってもよく、特に制限されるものではないが、精製の容易さの観点からは、均一系酸触媒であることが好ましい。また、このような均一系酸触媒としては特に制限されず、カルボン酸を無水物とする反応やエステル化合物を酸無水物とする反応に用いることが可能な公知の均一系酸触媒を適宜利用することができる。このような均一系酸触媒としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ヘプタフルオロイソプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ヘプタフルオロデカンスルホン酸、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、クロロジフルオロ酢酸を挙げることができる。
また、このような均一系酸触媒としては、反応収率向上の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、クロロジフルオロ酢酸がより好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸が更に好ましい。なお、このような均一系酸触媒としては、1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このような工程(ii)において、前記酸触媒(より好ましくは均一系酸触媒)の使用量としては、特に制限されないが、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物(テトラカルボン酸二無水物の原料化合物)の使用量(モル量)に対して、酸触媒の酸のモル量が0.001〜2.00モル当量(より好ましくは0.01〜1.00モル当量)となるような量とすることが好ましい。このような酸触媒の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えた場合には、精製がやや困難となり生成物の純度が低下する傾向にある。なお、ここにいう酸触媒の酸のモル量は、前記酸触媒中の官能基(例えばスルホン酸基(スルホ基)やカルボン酸基(カルボキシ基)等)換算によるモル量である。
さらに、このような工程(ii)にいて、前記酸触媒(より好ましくは均一系酸触媒)の使用量は、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。このような酸触媒の使用量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副反応物が生成しやすくなる傾向にある。
また、このような工程(ii)においては、炭素数1〜5のカルボン酸(以下、場合により単に「低級カルボン酸」と称する。)を用いる。このような低級カルボン酸の炭素数が前記上限を超えると、製造及び精製が困難となる。また、このような低級カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられ、中でも、製造及び精製の容易さの観点から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、ギ酸、酢酸がより好ましい。このような低級カルボン酸は1種を単独で或は2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このような低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸)の使用量としては特に制限されないが、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような低級カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)の使用量が前記下限未満では収量が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が低下する傾向にある。
また、前記工程(ii)においては、前記カルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱するため、前記カルボニル化合物を前記低級カルボン酸中に含有せしめることが好ましい。このような低級カルボン酸中における前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物の含有量としては、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。このようなカルボニル化合物の含有量が前記下限未満では収量が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が低下する傾向にある。
以上、前記工程(ii)に用いられる一般式(303)で表されるカルボニル化合物、酸触媒及び炭素数1〜5のカルボン酸について説明したが、次いで、これらを用いた加熱工程(前記カルボニル化合物を、酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱する工程)について説明する。
なお、前記工程(ii)において、前記カルボニル化合物が、一般式(303)で表されかつ該式中のRがいずれも水素原子である化合物(テトラカルボン酸)である場合には、前記加熱工程によって、前記カルボニル化合物(テトラカルボン酸)から、テトラカルボン酸二無水物と水とが生成される反応(正反応)が進行する。そして、このような正反応と、テトラカルボン酸二無水物と水とから前記カルボニル化合物(テトラカルボン酸)が生成される逆反応とは、平衡反応である。また、本発明において、前記カルボニル化合物が、一般式(303)で表されかつ該式中のRが水素原子以外の基である化合物である場合には、前記加熱工程によって、前記カルボニル化合物と前記低級カルボン酸とから、テトラカルボン酸二無水物と低級カルボン酸のエステル化合物と水とが生成される反応(正反応)が進行する。そして、このような正反応と、カルボン酸無水物と低級カルボン酸のエステル化合物と水とから、前記カルボニル化合物と低級カルボン酸とが生成されてしまう逆反応とは、平衡反応である。そのため、このような加熱工程においては、系中の成分の濃度等を適宜変更することで効率よく反応(正反応)を進行させることも可能である。
また、このような加熱工程において採用し得る条件(加熱温度や雰囲気の条件等を含む。)は特に制限されず、前記酸触媒を用いて前記低級カルボン酸中において前記カルボニル化合物を加熱し、これにより前記カルボニル化合物中のエステル基及び/又はカルボキシ基(カルボン酸基)を、酸無水物基とすることが可能な方法(条件)であれば、その条件を適宜採用することができ、例えば、酸無水物基を形成することが可能な公知の反応において採用されるような条件を適宜利用することができる。
また、このような加熱工程に際しては、先ず、前記低級カルボン酸中における加熱が可能となるように、前記低級カルボン酸、前記カルボニル化合物及び前記酸触媒の混合物を調製することが好ましい。このような混合物の調製方法は特に制限されず、加熱工程に利用する装置などに応じて適宜調製すればよく、例えば、同一の容器内にこれらを添加(導入)することで調製してもよい。
また、このような加熱工程においては、前記低級カルボン酸に更に他の溶剤を添加して利用してもよい。このような溶剤(他の溶媒)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒;エーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトンやMEKなどのケトン系溶媒;DMF、NMP、DMI、DMAc等のアミド系溶媒が挙げられる。
また、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の温度条件としては特に制限されないが、加熱温度の上限を180℃(より好ましくは150℃、更に好ましくは140℃、特に好ましくは130℃)とすることが好ましく、他方、前記加熱温度の下限を80℃(より好ましくは100℃、更に好ましくは110℃)とすることが好ましい。このような加熱の際の温度範囲(温度条件)としては、80〜180℃とすることが好ましく、80〜150℃とすることがより好ましく、100〜140℃とすることが更に好ましく、110〜130℃とすることが特に好ましい。このような温度条件が前記下限未満では反応が十分に進行せず、目的とするテトラカルボン酸二無水物を十分に効率よく製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒活性が低下する傾向にある。また、このような加熱温度は、上記温度条件の範囲内において、前記均一系酸触媒の沸点よりも低い温度に設定することが好ましい。このように加熱温度を設定することにより、より効率よく生成物を得ることができる。
また、前記加熱工程においては、より効率よくカルボン酸無水物を生成するといった観点から、前記混合物(前記低級カルボン酸、前記カルボニル化合物及び前記酸触媒の混合物)を加熱により還流する工程を含んでいてもよい。このように、前記加熱工程に還流工程を含むことにより、より効率よくカルボン酸無水物を製造することが可能となる。すなわち、前記加熱工程において、加熱の初期段階においては、反応が十分に進行していないため、水等の副生成物がほとんど生成されていないこととなる。したがって、反応がある程度進むまでの間(加熱の初期段階)は、留出成分(蒸気)を除去しなくても、副生成物(水等)の影響をそれほど受けることなく、カルボン酸二無水物を製造する正反応を効率よく進行させることが可能である。そのため、特に、加熱の初期段階においては、還流することで低級カルボン酸をより効率よく利用して正反応を効率よく進行させることが可能となり、これによりカルボン酸無水物をより効率よく生成することが可能となる。
ここで、前記正反応の進行の程度は、蒸気中に含まれている副生成物(例えば水や低級カルボン酸のエステル化合物)の量等を確認することにより判断することができる。そのため、還流工程を施す場合には、蒸気中の副生成物(例えば低級カルボン酸のエステル化合物)の量等を確認しながら、効率よく反応が進行するように還流時間を適宜設定し、その後、加熱しながら留出成分の除去工程を施してもよい。このようにして留出成分の除去工程を施すことにより、反応系から副生成物(例えば低級カルボン酸のエステル化合物及び水)を除去することができ、前記正反応をより効率よく進行させることが可能となる。また、前記留出成分の除去工程時には、留出成分(蒸気)を適宜留去した場合に低級カルボン酸が減少する場合(例えば、副生成物として、低級カルボン酸のエステル化合物と水とが生成されて、カルボン酸が消費され、その蒸気を留去することで、結果的にカルボン酸が減少するような場合等)には、その減少した分の低級カルボン酸を適宜追加(場合により連続的に追加)して加熱を行うことが好ましい。このようにして、低級カルボン酸を追加(場合により連続的に追加)することで、例えば、前記カルボニル化合物が、一般式(303)で表されかつ該式中のRが水素原子以外の基である化合物である場合等には、正反応を更に効率よく進行せしめることが可能となる。
また、このような加熱工程が前記混合物を還流する工程を含む場合、その還流の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用でき、用いるカルボニル化合物の種類等に応じて好適な条件に適宜変更することができる。
また、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の圧力条件(反応時の圧力条件)としては特に制限されず、常圧下であっても、加圧条件下であっても或は減圧条件下であってもよく、いずれの条件下であっても反応を進行させることが可能である。そのため、加熱工程の際には、例えば、特に圧力を制御せずに、例えば、前述の還流工程を採用する場合には溶媒となる低級カルボン酸の蒸気等による加圧条件下で反応を行ってもよい。また、このような圧力条件としては、0.001〜10MPaとすることが好ましく、0.1〜1.0MPaとすることが更に好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では低級カルボン酸が気化してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、加熱による反応で生成される低級カルボン酸のエステル化合物が揮発せず、前記正反応が進行しにくくなる傾向にある。
また、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の雰囲気ガスとしては特に制限されず、例えば、空気であっても不活性ガス(窒素、アルゴン等)であってもよい。なお、反応で生成する副生成物(低級カルボン酸のエステル化合物や水)を効率良く揮発させ、反応をより効率よく進行させるために(エステル交換の平衡反応を生成系により傾向させるために)、上記のガス(望ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス)をバブリングしてもよく、反応機(反応容器)の気相部に通気させながら撹拌してもよい。
また、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の加熱時間としては、特に制限されないが、0.5〜100時間とすることが好ましく、1〜50時間とすることがより好ましい。このような加熱時間が前記下限未満では反応が十分に進行せず、十分な量のカルボン酸無水物を製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応がそれ以上進行せず、生産効率が低下して経済性等が低下する傾向にある。
また、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際には、均一に反応を進行せしめるという観点から、前記カルボニル化合物が導入された前記低級カルボン酸(より好ましくは前記低級カルボン酸、前記カルボニル化合物及び前記酸触媒の混合物)を撹拌しながら反応を進行せしめてもよい。
さらに、このような一般式(303)で表されるカルボニル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する工程(加熱工程)においては、前記低級カルボン酸とともに無水酢酸を利用することが好ましい。すなわち、本発明においては、前記加熱の際に無水酢酸を利用することが好ましい。このように無水酢酸を利用することにより、反応時に生成された水と無水酢酸とを反応させて酢酸を形成させることが可能となり、反応時に生成される水の除去を効率よく行うことが可能となり、前記正反応をより効率よく進行させることが可能となる。また、このような無水酢酸を利用する場合、該無水酢酸の使用量は特に制限されないが、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような無水酢酸の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると収量が低下する傾向にある。
また、このように無水酢酸を利用する場合においても、加熱の際の温度条件、圧力条件、雰囲気ガスの条件、加熱時間の条件等は、上述の加熱工程において説明した条件を採用することが好ましい。また、このように、無水酢酸を利用する場合、反応時に生成された水と無水酢酸とを反応させて酢酸を形成させることが可能となり、蒸気の留去等を行わなくても、反応時に生成される水の除去を効率よく行うことが可能となるばかりか、無水酢酸と水とから酢酸が形成されて、テトラカルボン酸二無水物が生成される反応(正反応)が、より効率よく進行することとなる。そのため、このように無水酢酸を利用する場合においては、前記加熱工程において、前記還流する工程を採用して、効率よく反応を進行せしめることが可能である。このような観点から、無水酢酸を利用する場合においては前記加熱工程が前記混合物を還流する工程であることが好ましい。このようにして、無水酢酸を利用して還流を施した場合には、その使用量などに応じて蒸気の留去や低級カルボン酸の追加といった工程を施すことなく、還流工程を施すだけで反応を十分に進行せしめることも可能となり、より効率よくテトラカルボン酸二無水物を製造することも可能となる。
前記工程(ii)においては、前述のような加熱工程を施すことで、前記一般式(303)で表されるカルボニル化合物から、上記一般式(301)で表されるテトラカルボン酸二無水物を効率よく得ることができる。
〈ポリイミド〉
本発明のポリイミドは、上述のように、前記繰り返し単位(A1)と、前記繰り返し単位(B1)と、前記繰り返し単位(C1)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有するものである。
このように、本発明のポリイミドは、前記繰り返し単位(A1)、前記繰り返し単位(B1)及び前記繰り返し単位(C1)のうちの少なくとも2種の繰り返し単位を含有するものであるが、そのうち、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、は除かれる。なお、「全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合」について、「全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合」を例に挙げて説明すると、「全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合」とは、前記ポリイミドが2種以上の繰り返し単位を含む場合であっても、そのポリイミドに含まれる2種以上の全ての繰り返し単位が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位のみである場合(例えば、RやR等の種類が異なる2種以上の一般式(1)で表される繰り返し単位(A1)のみを含有するポリイミドである場合)をいう。
このように、本発明のポリイミドは、前記繰り返し単位(A1)、前記繰り返し単位(B1)及び前記繰り返し単位(C1)のうちの少なくとも2種の繰り返し単位を含有し、該少なくとも2種の繰り返し単位がそれぞれ異なる種類の一般式で表されるものとなる(全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)であるポリイミド、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)であるポリイミド、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)であるポリイミドを除いたものとなる)。このような本発明のポリイミドとしては、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)とを組み合わせて含有するポリイミド;前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミド;前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミド、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドを例示できる。
このような本発明のポリイミドのうち、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)とを組み合わせて含有するポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)との含有比率が、モル比([単位(A1)]:[単位(B1)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A1)の含有比率が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、このようなポリイミドが前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(C1)との含有比率が、モル比([単位(A1)]:[単位(C1)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A1)の含有比率が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、このようなポリイミドが前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合、前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)との含有比率が、モル比([単位(B1)]:[単位(C1)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(B1)の含有比率が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合には、前記繰り返し単位(A1)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A1)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
さらに、前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合には、前記繰り返し単位(B1)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(B1)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合には、前記繰り返し単位(C1)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(C1)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、本発明のポリイミドにおいては、製造の容易さの観点から、そのポリイミド中に含まれる前記一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位中のRがいずれも、同一のものであることが好ましい。すなわち、本発明のポリイミドとしては、一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が一般式(1)で表される場合、全ての繰り返し単位が一般式(2)で表される場合、全ての繰り返し単位が一般式(3)で表される場合、を除く)を含有するものであって、且つ、該少なくとも2種の繰り返し単位中の複数のRの種類がいずれも同一であることが好ましい。
また、本発明のポリイミドにおいては、線膨張係数を十分に低い値とすることができるとともに、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値を十分に低い値とすることができ、線膨張係数の値と厚み方向のリタデーション(Rth)の値のバランスがより向上して、ディスプレイやその周辺機器向け材料として使用する場合に、より効率よくディスプレイの画質向上に寄与するとの観点から、繰り返し単位として、少なくとも前記繰り返し単位(B1)を含有するものであることが好ましい。なお、このような繰り返し単位(B1)を含有するポリイミドによって、線膨張係数の値と厚み方向のリタデーション(Rth)の値のバランスがより向上する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、前記繰り返し単位(B1)を含有するポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(B1)が屈曲してねじれた構造であるため、その構造に由来して分子鎖の分極率異方性が弱められ、結果として、面内方向の屈折率と面外方向の屈折率との差を小さくすることが可能となって、ポリイミドの厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値を十分に低い値とすることが可能となり、更には、その構造に前記繰り返し単位(A1)及び/又は(C1)を組み合わせることで、剛直なセグメントを分子鎖中に導入することが可能となり、分子鎖の面内配向性を高くすることが可能となってポリイミドの線膨張係数も十分に低い値とすることが可能となる。そのため、前記繰り返し単位(B1)を前記繰り返し単位(A1)及び/又は(C1)と組み合わせることによって、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることを可能としながら、線膨張係数の値と厚み方向のリタデーション(Rth)の値を共に十分に低い値とすることをも可能とし、これらの各特性をよりバランスよく有するものとするものとすることが可能となるものと本発明者らは推察する。
また、このような繰り返し単位(B1)を含有するポリイミドとしては、線膨張係数の値と厚み方向のリタデーション(Rth)の値をよりバランスよく有するものとするといった観点からは、前記繰り返し単位(B1)を全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%含有することが好ましく、10〜90モル%含有することがより好ましく、20〜80モル%含有することが更に好ましく、30〜70モル%含有することが特に好ましい。なお、このような繰り返し単位(B1)の含有量が前記下限未満では、厚み方向のリタデーション(Rth)の値を十分に低い値とすることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると線膨張係数の値が高くなる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドとしては、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)の合計量(前記一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位の総量)が全繰り返し単位に対して50〜100モル%(更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは90〜100モル%)であること)が好ましい。このような合計量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にある。
なお、このようなポリイミドにおいては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、ポリイミドの繰り返し単位として利用できる公知の繰り返し単位等が挙げられる。
また、本発明のポリイミドとしては、5%重量減少温度が350℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら室温(25℃)から徐々に加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。なお、測定に際しては、試料の質量を1.0mg〜10mg(より好ましくは1.5mg〜4.0mg)として利用することが好ましい。前記試料の質量を前記範囲とすることで、仮に試料の質量を変えて測定しても、同一のポリイミドに対しては同一の値を測定できる。
また、このようなポリイミドとしては、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上のものが好ましく、230〜500℃のものがより好ましく、250〜500℃のものが特に好ましい。このようなガラス転移温度(Tg)が前記下限未満ではポリイミドとして各種用途に利用する際に十分な水準の耐熱性を得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このようなガラス転移温度(Tg)は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を使用して測定することができる。
さらに、このようなポリイミドとしては、軟化温度が300℃以上のものが好ましく、350〜550℃のものがより好ましい。このような軟化温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような軟化温度は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を使用して、ペネトレーションモードにより測定することができる。また、測定に際しては、試料のサイズ(縦、横、厚み等)は測定値に影響するものではないため、用いる熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)の治具に装着可能なサイズに、試料のサイズを適宜調整すればよい。なお、軟化温度とガラス転移温度は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を使用して、同一の条件を採用して同時に測定することもできる。
また、このようなポリイミドとしては、熱分解温度(Td)が400℃以上のものが好ましく、450〜600℃のものがより好ましい。このような熱分解温度(Td)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような熱分解温度(Td)は、TG/DTA220熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めることができる。なお、測定に際しては、試料の質量を1.0〜10mg(より好ましくは5mg〜10mg)として利用することが好ましい。前記試料の質量を前記範囲とすることで、仮に試料の質量を変えて測定しても、同一のポリイミドに対しては同一の値を測定できる。さらに、このような熱分解温度(Td)は、5%重量減少温度の測定と同一の装置を用いて、同一の条件(窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件)を採用して同時に測定することもできる。
さらに、このようなポリイミドの数平均分子量(Mn)としては、ポリスチレン換算で1000〜1000000であることが好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜5000000であることが好ましい。このような重量平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましい。このような分子量分布が前記下限未満では製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一なフィルムを製造することが困難となる傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。
なお、このようなポリイミドにおいては、分子量の測定が困難な場合には、そのポリイミドの製造に用いるポリアミド酸の粘度に基づいて、分子量等を類推して、用途等に応じたポリイミドを選別して使用してもよい。
また、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、全光線透過率が80%以上(更に好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものがより好ましい。このような全光線透過率が前記下限未満ではより高度な水準の無色透明性を達成することが困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、ヘイズ(濁度)が5〜0(更に好ましくは4〜0、特に好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。このようなヘイズの値が前記上限を超えると、より高度な水準の無色透明性を達成することが困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、黄色度(YI)が5〜0(更に好ましくは4〜0、特に好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。このような黄色度が前記上限を超えると、より高度な水準の無色透明性を達成することが困難となる傾向にある。
このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、ポリイミドの種類等を適宜選択することにより容易に達成することができる。なお、このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)としては、測定装置として、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて、厚みが5〜20μmのポリイミドからなるフィルムを測定用の試料として用いて測定した値を採用することができる。また、黄色度は、測定装置として、日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて、厚みが5〜20μmのポリイミドからなるフィルムを測定用の試料として用いて測定した値を採用することができる。なお、全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、厚みが5〜20μmのポリイミドからなるフィルムであれば、厚みが十分に薄く、測定値に影響がでないことから、同一のポリイミドからは同一の値を測定できる。そのため、全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)の測定には、前記範囲の厚みを有するフィルムを利用すればよい。また、測定試料の縦、横の大きさは、前記測定装置の測定部位に配置できるサイズであればよく、縦、横の大きさは適宜変更してもよい。なお、このような全光線透過率は、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、ヘイズ(濁度)は、JIS K7136(2000年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、黄色度(YI)はASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求める。
このようなポリイミドは、線膨張係数が100ppm/K以下であることが好ましく、80ppm/K以下であることがより好ましく、70ppm/K以下であることが更に好ましく、60ppm/K以下であることが特に好ましく、50ppm/K以下であることが最も好ましい。また、このようなポリイミドは、線膨張係数が0〜100ppm/Kであることが好ましく、10〜80ppm/Kであることがより好ましい。このような線膨張係数が前記上限を超えると、線膨張係数の範囲が5〜20ppm/Kである金属や無機物と組合せて複合化した場合に熱履歴で剥がれが生じやすくなる傾向にある。また、前記線膨張係数が、前記下限未満では溶解性の低下やフィルム特性が低下する傾向にある。
このようなポリイミドの線膨張係数の測定方法としては、縦20mm、横5mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、5〜50μmとすることが好ましい。)を形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより得られる値を採用する。
このようなポリイミドは、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が、厚み10μmに換算して、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、25nm以下であることが特に好ましい。すなわち、前記リタデーション(Rth)の値は−150nm〜150nm(より好ましくは−100nm〜100nm、更に好ましくは−50〜50nm、特に好ましくは−25〜25nm)であることが好ましい。このような厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が前記上限を超えると、ディスプレイ機器に使用した際に、コントラストが低下するとともに視野角が低下してしまう傾向にある。なお、前記リタデーション(Rth)の絶対値が前記範囲内となると、ディスプレイ機器に使用した際に、コントラストの低下を抑制する効果及び視野角を改善する効果がより高度なものとなる傾向にある。このように、ディスプレイ機器に使用した場合に、コントラストの低下をより高度に抑制でき、且つ、視野角をより改善することが可能となるといった観点で、厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値はより低い値となることが好ましい。
このような「厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値」は、測定装置としてAXOMETRICS社製の商品名「AxoScan」を用い、後述のようにして測定したポリイミドフィルムの屈折率(589nm)の値を前記測定装置にインプットした後、温度:25℃、湿度:40%の条件下、波長590nmの光を用いて、ポリイミドフィルムの厚み方向のリタデーションを測定し、求められた厚み方向のリタデーションの測定値(測定装置の自動測定(自動計算)による測定値)に基づいて、フィルムの厚み10μmあたりのリタデーション値に換算した値(換算値)を求め、その換算値から絶対値を算出することにより求めることができる。このように、「厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値」は、前記換算値の絶対値(|換算値|)を算出することで求めることができる。なお、測定試料のポリイミドフィルムのサイズは、測定器のステージの測光部(直径:約1cm)よりも大きければ良いため、特に制限されないが、縦:76mm、横52mm、厚み5〜20μmの大きさとすることが好ましい。
また、厚み方向のリタデーション(Rth)の測定に利用する「前記ポリイミドフィルムの屈折率(589nm)」の値は、リタデーションの測定対象となるフィルムを形成するポリイミドと同じ種類のポリイミドからなる未延伸のフィルムを形成した後、かかる未延伸のフィルムを測定試料として用いて(なお、測定対象となるフィルムが未延伸のフィルムである場合には、そのフィルムをそのまま測定試料として用いることができる。)、測定装置として屈折率測定装置(株式会社アタゴ製の商品名「NAR−1T SOLID」)を用い、589nmの光源を用いて、23℃の温度条件で、測定試料の面内方向(厚み方向とは垂直な方向)の589nmの光に対する屈折率を測定して求めることができる。なお、測定試料が未延伸のため、フィルムの面内方向の屈折率は、面内のいずれの方向においても一定となり、かかる屈折率の測定により、そのポリイミドの固有の屈折率を測定することができる(なお、測定試料が未延伸のため、面内の遅延軸方向の屈折率をNxとし、遅延軸方向と垂直な面内方向の屈折率をNyとした場合、Nx=Nyとなる)。このように、未延伸のフィルムを利用してポリイミドの固有の屈折率(589nm)を測定して、得られた測定値を上述の厚み方向のリタデーション(Rth)の測定に利用する。ここにおいて、測定試料のポリイミドフィルムのサイズは、前記屈折率測定装置に利用できる大きさであればよく、特に制限されず、1cm角(縦横1cm)で厚み5〜20μmの大きさとしてもよい。
また、本発明のポリイミドとしては、線膨張係数が60ppm/K以下(更に好ましくは0〜40ppm/K、特に好ましくは10〜25ppm/K)であり、且つ、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が、厚み10μmに換算して150nm以下(更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下)であるものがより好ましい。ここにおいて、線膨張係数の値が前記上限を超えるとディスプレイ材料として使用する際に、組み合わせる基板との線膨張係数の差が非常に大きく、熱処理時に線膨張係数の差に起因する応力が発生し、ポリイミドフィルムにヒビ割れが発生する傾向にある。また、前記リタデーション(Rth)の絶対値が前記上限を超えるとディスプレイの画質の低下(コントラストの低下、視野角の低下など)を引き起こす傾向にある。なお、前記線膨張係数が前記条件を満たし、且つ、前記リタデーション(Rth)の絶対値が前記条件を満たす場合には、十分に低い線膨張係数と、十分に低い厚み方向のリタデーション(Rth)とを、よりバランスよく有するものとなるため、ディスプレイ及びその周辺機器向けの部材として使用する際に、組み合わせる基板との線膨張係数の差を小さくすることが可能であり、また、ディスプレイの画質の低下をより十分に抑制することが可能となり、特にディスプレイ及びその周辺機器向け等の用途に好適に利用できる。このように、上記条件を満たすポリイミドは、線膨張係数の値とリタデーション(Rth)の絶対値とを、よりバランスよく有するものとなる(なお、特にガラス基板との線膨張係数の差を小さくすること、及び、ディスプレイの画質向上効果を高めること、といった観点からは、両者はより低い値とすることが望ましく、上記条件を満たすものが好ましい。)。
このようなポリイミドの形状は特に制限されず、例えば、フィルム形状や粉状としたり、更には、押出成形によりペレット形状等としてもよい。このように、本発明のポリイミドは、フィルム形状にしたり、押出成形によりペレット形状としたり、公知の方法で各種の形状に適宜成形することもできる。
また、このようなポリイミドは、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、複写機用シームレスポリイミドベルト(いわゆる転写ベルト)、透明電極基板(有機EL用透明電極基板、太陽電池用透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板等)、層間絶縁膜、センサー基板、イメージセンサーの基板、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等を製造するための材料として特に有用である。また、このようなポリイミドは、上述のような用途以外にも、その形状を粉状体としたり、各種成形体とすること等により、例えば、自動車用部品、航空宇宙用部品、軸受部品、シール材、ベアリング部品、ギアホイールおよびバルブ部品などに、適宜利用することも可能である。
なお、このような本発明のポリイミドを製造するために好適に採用することが可能な方法は後述する。以上、本発明のポリイミドについて説明したが、次に、本発明のポリアミド酸について説明する。
[ポリアミド酸]
本発明のポリアミド酸は、下記一般式(4):
[式(4)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(A2)と、
下記一般式(5):
[式(5)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(B2)と、
下記一般式(6):
[式(6)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
で表される繰り返し単位(C2)と、
からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C2)である場合、を除く)を含有することを特徴とするものである。
〈繰り返し単位(A2)〉
本発明のポリアミド酸が含有し得る繰り返し単位(A2)は、上記一般式(4)で表される繰り返し単位である。このような一般式(4)中のR、R、R、R及びnは、上記一般式(1)中のR、R、R、R及びnと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR、R、R、R及びnと同様である。
〈繰り返し単位(B2)〉
本発明のポリアミド酸が含有し得る繰り返し単位(B2)は、上記一般式(5)で表される繰り返し単位である。このような一般式(5)中のR、R及びAは、上記一般式(2)中のR、R及びAと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(2)中のR、R及びAと同様である。
〈繰り返し単位(C2)〉
本発明のポリアミド酸が含有し得る繰り返し単位(B2)は、上記一般式(6)で表される繰り返し単位である。このような一般式(6)中のR、R、R及びRは、上記一般式(3)中のR、R、R及びRと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(2)中のR、R、R及びRと同様である。
〈ポリアミド酸〉
本発明のポリアミド酸は、前記繰り返し単位(A2)と、前記繰り返し単位(B2)と、前記繰り返し単位(C2)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C2)である場合、を除く)を含有する。
このような本発明のポリアミド酸としては、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸;前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸;前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を例示できる。
このような本発明のポリアミド酸のうち、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸においては、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)との含有比率が、モル比([単位(A2)]:[単位(B2)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A2)の含有比率が前記下限未満ではポリイミドの黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様にポリイミドの黄色度が上昇する傾向にある。
また、このようなポリアミド酸が前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸である場合、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(C2)との含有比率が、モル比([単位(A2)]:[単位(C2)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A2)の含有比率が前記下限未満ではポリイミドの黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様にポリイミドの黄色度が上昇する傾向にある。
また、このようなポリアミド酸が前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸である場合、前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)との含有比率が、モル比([単位(B2)]:[単位(C2)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。このような繰り返し単位(B2)の含有比率が前記下限未満ではポリイミドの黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様にポリイミドの黄色度が上昇する傾向にある。
さらに、前記ポリアミド酸が、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸である場合には、前記繰り返し単位(A2)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A2)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A1)と前記繰り返し単位(B1)と前記繰り返し単位(C1)とを組み合わせて含有するポリイミドである場合には、前記繰り返し単位(A1)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(A1)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、前記ポリアミド酸が、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸である場合には、前記繰り返し単位(B2)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(B2)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、前記ポリアミド酸が、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸である場合には、前記繰り返し単位(C2)の含有量が全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。このような繰り返し単位(C2)の含有量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると同様に黄色度が上昇する傾向にある。
また、本発明のポリアミド酸においては、製造の容易さの観点から、そのポリアミド酸中に含まれる前記一般式(4)〜(6)で表される繰り返し単位中のRがいずれも、同一のものであることが好ましい。すなわち、本発明のポリアミド酸としては、一般式(4)〜(6)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が一般式(4)で表される場合、全ての繰り返し単位が一般式(5)で表される場合、全ての繰り返し単位が一般式(6)で表される場合、を除く)を含有するものであって、且つ、該少なくとも2種の繰り返し単位中の複数のRの種類がいずれも同一であることが好ましい。
さらに、このようなポリアミド酸としては、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)の合計量(前記一般式(4)〜(6)で表される繰り返し単位の総量)が全繰り返し単位に対して50〜100モル%(更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは90〜100モル%)であること)が好ましい。このような合計量が前記下限未満では黄色度が上昇する傾向にある。
また、このようなポリアミド酸としては、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.1〜2.0dL/gであることがより好ましい。このような固有粘度[η]が0.05dL/gより小さいと、これを用いてフィルム状のポリイミドを製造した際に、得られるフィルムが脆くなる傾向にあり、他方、3.0dL/gを超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、例えばフィルムを製造した場合に均一なフィルムを得ることが困難となる。また、このような固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解させて、測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用いる。
なお、このようなポリアミド酸においては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、ポリアミド酸の繰り返し単位として利用できる公知の繰り返し単位を適宜用いることができる。
また、このようなポリアミド酸は、本発明のポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能なものである(本発明のポリイミドを製造する際の反応中間体(前駆体)として得ることが可能なものである。)。以下、このようなポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法について説明する。
〈ポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法〉
本発明のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法としては、例えば、上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、
上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンと、
を有機溶媒の存在下において反応させて、上記本発明のポリアミド酸を得る方法を挙げることができる。
なお、このような方法に用いる前記原料化合物(A)〜(C)は上記本発明のポリイミドにおいて説明したものと同様のものであり(その好適なものも同様のものであり)、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンも上記本発明のポリイミドにおいて説明したものと同様のものである(その好適なものも同様のものである)。また、このような一般式(102)で表される芳香族ジアミンは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよいが、製造の容易さの観点からは、1種を単独で用いることが好ましい。
前記有機溶媒としては、前記原料化合物(A)〜(C)と前記芳香族ジアミンとの両者を溶解することが可能な有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;などが挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記原料化合物(A)〜(C)からなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(かかる化合物を、以下、場合により、単に「テトラカルボン酸二無水物」と称する。)の使用量(前記原料化合物(A)〜(C)の総量)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンの使用量との割合は、特に制限されないが、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンが有するアミノ基1当量に対して、反応に用いられるテトラカルボン酸二無水物中の全ての酸無水物基の量が0.2〜2当量となるような量とすることが好ましく、0.3〜1.2当量とすることがより好ましい。このようなテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンの好適な使用割合が前記下限未満では重合反応が効率よく進行せず高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記と同様に高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にある。
さらに、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(A)と前記原料化合物(B)との含有比率を、モル比([化合物(A)]:[化合物(B)])で5:95〜95:5とすることが好ましく、10:90〜90:10とすることがより好ましい。
また、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(A)と前記原料化合物(C)との含有比率を、モル比([化合物(A)]:[化合物(C)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。
また、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(B)と前記原料化合物(C)との含有比率が、モル比([化合物(B)]:[化合物(C)])で5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。
さらに、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(A)の含有量が、前記原料化合物(A)〜(C)の総量に対してモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。また、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(B)の含有量が、前記原料化合物(A)〜(C)の総量に対してモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。さらに、前記ポリアミド酸として、前記繰り返し単位(A2)と前記繰り返し単位(B2)と前記繰り返し単位(C2)とを組み合わせて含有するポリアミド酸を製造する場合においては、前記原料化合物(C)の含有量が、前記原料化合物(A)〜(C)の総量に対してモル比で5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。
さらに、前記有機溶媒の使用量としては、反応に用いられるテトラカルボン酸二無水物の量(反応に用いられる原料化合物(A)〜(C)の総量)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンの量との合計量(反応物[基質]の総量)が、反応溶液の全量に対して1〜80質量%(より好ましくは5〜50質量%)になるような量であることが好ましい。このような有機溶媒の使用量が前記下限未満では効率よくポリアミド酸を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高粘度化により攪拌が困難となり、高分子量体が得られない傾向にある。
また、前記テトラカルボン酸二無水物(前記原料化合物(A)〜(C)からなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させる際に、反応速度の向上と高重合度のポリアミド酸を得るという観点から、前記有機溶媒中に塩基性化合物を更に添加してもよい。このような塩基性化合物としては特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、テトラブチルアミン、テトラヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、ピリジン、イソキノリン、α−ピコリン等が挙げられる。また、このような塩基性化合物の使用量は、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物1当量に対して、0.001〜10当量とすることが好ましく、0.01〜0.1当量とすることがより好ましい。このような塩基性化合物の使用量が前記下限未満では添加効果が発現しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色等の原因になる傾向にある。
また、前記テトラカルボン酸二無水物(前記原料化合物(A)〜(C)からなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させる際の反応温度は、これらの化合物を反応させることが可能な温度に適宜調整すればよく、特に制限されないが、15〜100℃とすることが好ましい。また、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンとを反応させる方法としては、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの重合反応を行うことが可能な方法を適宜利用でき、特に制限されず、例えば、大気圧中、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下において、芳香族ジアミン類を溶媒に溶解させた後、前記反応温度において上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を添加し、その後、10〜48時間反応させる方法を採用してもよい。このような反応温度や反応時間が前記下限未満では十分に反応させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。
このようにして、有機溶媒の存在下、前記原料化合物(A)と前記原料化合物(B)と前記原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させることにより、上記本発明のポリアミド酸(前記繰り返し単位(A2)と、前記繰り返し単位(B2)と、前記繰り返し単位(C2)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C2)である場合、を除く)を含有するポリアミド酸)を得ることができる。
なお、本発明によって得られるポリアミド酸に、前記繰り返し単位(A2)、前記繰り返し単位(B2)及び前記繰り返し単位(C2)以外の他の繰り返し単位を含有するものとする場合には、かかるポリアミド酸の製造の際に、前記原料化合物(A)〜(C)以外の他のテトラカルボン酸二無水物を用いて、これらを前記芳香族ジアミンと反応させればよい。
このような他のテトラカルボン酸二無水物としては特に制限されないが、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物等をが挙げることができる。
以上、本発明のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法について説明したが、次に、上記本発明のポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法について説明する。
〈ポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法〉
このようなポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法としては、例えば、上記本発明のポリアミド酸をイミド化して、上記本発明のポリイミドを得る方法が挙げられる。
このようなイミド化の方法は、上記本発明のポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、ポリアミド酸をイミド化し得る公知の方法を適宜採用することができ、例えば、上記本発明のポリアミド酸を60〜400℃(より好ましくは150〜350℃)の温度条件で加熱処理を施すことによりイミド化する方法や、いわゆる「イミド化剤」を用いてイミド化する方法を採用することが好ましい。
このような加熱処理を施すことによりポリアミド酸をイミド化する方法を採用する場合において、前記加熱温度が60℃未満では反応の進行が遅れる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きたりする傾向にある。また、加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合の反応時間(加熱時間)は0.5〜5時間とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きる傾向にある。
また、いわゆる「イミド化剤」を利用してイミド化する方法を採用する場合、イミド化剤の存在下、溶媒中で上記本発明のポリアミド酸をイミド化することが好ましい。このような溶媒としては上記本発明のポリイミド酸の製造方法に用いる有機溶媒と同様のものを好適に用いることができる。
このようなイミド化剤としては、公知のイミド化剤を適宜利用することができ、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンなどの3級アミンなどを挙げることができる。また、イミド化剤を添加してイミド化する場合におけるイミド化の際の反応温度は、−40℃〜200℃とすることが好ましく、0〜180℃であることがより好ましく、30〜150℃であることが更に好ましい。また、反応時間は0.1〜48時間とすることが好ましい。このような反応温度や時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。また、このようなイミド化剤の使用量としては、特に制限されず、ポリアミド酸中の上記一般式(5)で表される繰り返し単位1モルに対して数ミリモル〜数モル(好ましくは0.05〜4.0モル程度)とすればよい。
また、このようなイミド化剤を用いた化学イミド化に際しては、前記イミド化剤として、縮合剤(カルボン酸無水物、カルボジイミド、酸アジド、活性エステル化剤等)と反応促進剤(三級アミン等)とを組み合わせたもの(併用したもの)を用いることが好ましい。このように、縮合剤(カルボン酸無水物、カルボジイミド、酸アジド、活性エステル化剤等のいわゆる脱水縮合剤)と反応促進剤(三級アミン等)とを組み合わせて用いることで、低温の条件下(より好ましくは100℃以下程度の温度条件下)で、ポリアミド酸をより効率よく脱水閉環してイミド化することが可能となる。
このような縮合剤としては、特に制限されないが、例えば、無水酢酸や無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などのカルボン酸無水物、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)などの酸アジド、カストロ試薬などの活性エステル化剤、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)などの脱水縮合剤を挙げることができる。このような縮合剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸が好ましく、無水酢酸、無水プロピオン酸がより好ましく、無水酢酸が更に好ましい。このような縮合剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記反応促進剤としては、前記ポリアミド酸を縮合させてポリイミドとする際に利用することが可能なものであればよく、公知の化合物を適宜利用することができる。このような反応促進剤は、反応中に副生する酸を補足する酸補足剤としても機能し得る。そのため、このような反応促進剤を用いることで、反応の加速と副生する酸による逆反応が抑制され、より効率よく反応を進行せしめることが可能となる。このような反応促進剤としては、特に制限されないが、酸補足剤としての機能も兼ねるものがより好ましく、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミン等を挙げることができる。このような反応促進剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジンがより好ましく、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンが更に好ましい。このような反応促進剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、このようなイミド化剤を用いた化学イミド化に際しては、例えば、触媒量の反応促進剤(DMAPなど)と共沸脱水剤(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を添加して、ポリアミド酸がイミドになる際に生じる水を共沸脱水により除去して、化学イミド化してもよい。このように、化学イミド化(イミド化剤を用いたイミド化)に際しては、前記反応促進剤とともに、共沸脱水剤を適宜利用してもよい。このような共沸脱水剤としては特に制限されず、反応に用いる材料の種類等に応じて、公知の共沸脱水剤の中から適宜選択して利用すればよい。
また、このようなポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法においては、上記本発明のポリアミド酸が、上述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法において説明した方法で製造されたものであることが好ましい。
また、このようなポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法においては、上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを有機溶媒の存在下において反応させて、上記本発明のポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。なお、かかる工程は、前記ポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用する方法として説明した方法と同様のものである(用いる有機溶媒、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンや反応条件等も同様である。)。
このように、ポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法においては、上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物と、上記芳香族ジアミンとを有機溶媒の存在下において反応させて、上記本発明のポリアミド酸を得る工程(I)と、前記ポリアミド酸をイミド化して、上記本発明のポリイミドを得る工程(II)とを含む方法であることが好ましい。このような工程(I)及び工程(II)を含む方法を採用した場合には、一連の工程でポリイミドをより効率よく製造することが可能である。
なお、このような工程(I)及び工程(II)を含む方法を利用する場合であって、前記イミド化に際して、加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合には、前記工程(I)を実施した後に、上記本発明のポリアミド酸を単離することなく、有機溶媒中において前記テトラカルボン酸二無水物と上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記本発明のポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い、前記反応液に対して溶媒を蒸発除去する処理(溶媒除去処理)を施して溶媒を除去した後、前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用してもよい。このような溶媒を蒸発除去する処理により、上記本発明のポリアミド酸をフィルム状などの形態にして単離した後、加熱処理を施すこと等が可能となる。このような溶媒を蒸発除去する処理(溶媒除去処理)の方法における温度条件としては0〜180℃であることが好ましく、30〜150℃であることがより好ましい。このような乾燥処理における温度条件が前記下限未満では溶媒を十分に蒸発させて除去することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶媒が沸騰し気泡やボイドを含むフィルムになる傾向にある。この場合において、例えばフィルム状のポリイミドを製造する場合においては、得られた反応液をそのまま基材(例えばガラス板)上に塗布し、前記溶媒を蒸発除去する処理及び加熱処理を施せばよく、簡便な方法でフィルム状のポリイミドを製造することが可能となる。なお、このような反応液の塗布方法としては特に制限されず、公知の方法(キャスト法など)を適宜採用することができる。また、前記反応液から上記本発明のポリアミド酸を単離して利用する場合、その単離方法としては特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
また、工程(I)及び工程(II)を含む方法を利用する場合であって、「イミド化剤」を利用してイミド化する方法を採用する場合、「イミド化剤」を利用してイミド化する方法がそもそも溶媒(より好ましくは上記本発明のポリアミド酸の製造方法において説明した有機溶媒)中でイミド化することが好ましい方法であることから、例えば、有機溶媒中において上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記本発明のポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い(工程(I)を実施した後に前記反応液から上記本発明のポリアミド酸を単離することなく、前記反応液をそのまま用い)、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化する方法を好適に採用することができる。
また、「イミド化剤(好ましくは縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたもの)」を利用してイミド化する方法を採用する場合に用いる溶媒としては、上述のような観点(前記反応液をそのまま用いるといった観点)から、上述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法において説明した有機溶媒(重合時に用いた溶媒:重合溶媒)であることが好ましく、中でも、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどであることが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミドであることがより好ましい。このような有機溶媒(重合溶媒)は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記反応液(上記本発明のポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用いて、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化する場合においては、有機溶媒(重合溶媒)は、沸点が20℃以上のものであることが好ましく、50〜250℃のものであることが好ましい。このような沸点が前記下限未満では大気圧下、常温での重合が困難となり、加圧下や低温下という特殊な条件下で実施しなくてはならない傾向にあり、他方、前記上限を超えると粉体状のポリイミドを得た場合に、その洗浄後、乾燥する工程において、かかる有機溶媒(溶剤)を除去することが困難となり、得られるポリイミド中に溶剤が残存してしまう傾向にある。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合においては、化学イミド化の際の温度条件は、−40℃〜200℃とすることが好ましく、−20℃〜150℃とすることがより好ましく、0〜150℃とすることが更に好ましく、50〜100℃とすることが特に好ましい。このような温度が前記上限を超えると望ましくない副反応が進行しポリイミドが得られない傾向にあり、他方、前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が進行しなくなりポリイミドが得られない傾向にある。このように、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせて利用する場合には、−40℃〜200℃といった比較的低温の温度域でイミド化することが可能であるため、環境負荷をより少ないものとすることが可能であり、製造プロセス上も有利な方法とすることが可能である。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合、縮合剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜10.0モルとすることが好ましく、1〜5モルとすることが更に好ましい。このような縮合剤(イミド化剤)の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合、前記反応促進剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜4.0モルとすることが好ましく、0.5〜2モルとすることが更に好ましい。このような反応促進剤の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、このような化学イミド化を行う際の雰囲気条件としては、空気中の酸素による着色や、空気中の水蒸気による分子量低下を防止するとの観点から、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気や真空下とすることが好ましい。また、このような化学イミド化を行う際の圧力条件としては特に制限されるものではないが、0.01hPa〜1MPaであることが好ましく、0.1hPa〜0.3MPaであることがより好ましい。このような圧力が前記下限未満では、溶剤、縮合剤、反応促進剤が気体化して化学量論性が崩れ、反応に悪影響を与えて、十分に反応を進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、望ましくない副反応が進行したり、ポリアミド酸の溶解性が低下してイミド化する前に析出してしまう傾向にある。
また、このようにして得られるポリイミドが、前記有機溶媒(重合溶媒)に溶解した状態で得られる場合、適宜濃縮してポリイミドを析出させてもよく、あるいは、ポリイミドが溶解しない溶媒中に滴下することでポリイミドを析出させて回収してもよい。なお、このように、ポリイミドが溶解しない溶媒中に滴下することで、沈殿物としてポリイミドを得ることも可能となり、この場合には、粉末状(粒子状)のポリイミドとすることも可能となる。
なお、このようにして得られるポリイミドに、前記繰り返し単位(A1)、(B1)及び(C1)以外の他の繰り返し単位を含有させる場合には、その製造に用いるポリアミド酸を、前記繰り返し単位(A2)、(B2)及び(C2)以外の他の繰り返し単位を含有するものとしてもよい。例えば、前記工程(I)及び(II)を含む方法を採用する場合、工程(I)において、前記原料化合物(A)〜(C)からなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、前記原料化合物(A)〜(C)以外の他のテトラカルボン酸二無水物との混合物を用い、これらの混合物を前記芳香族ジアミンと反応させた後、工程(II)を施してもよい。
このようにして得られるポリイミドは、上記本発明のポリイミドにおいて説明したものと同様のものとなる。このようにして得られる本発明のポリイミドは、様々な用途に適宜利用することができ、例えば、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、複写機用シームレスポリイミドベルト(いわゆる転写ベルト)、透明電極基板(有機EL用透明電極基板、太陽電池用透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板等)、層間絶縁膜、センサー基板、イメージセンサーの基板、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等を製造するための材料として好適に利用することもできる。
以上、上記本発明のポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法について説明したが、次に、本発明のポリアミド酸溶液について説明する。
[ポリアミド酸溶液]
本発明のポリアミド酸溶液は、上記本発明のポリアミド酸と有機溶媒とを含むものである。このようなポリアミド酸溶液(樹脂溶液:ワニス)に用いる有機溶媒としては、上述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法に用いる有機溶媒と同様のものを好適に利用することができる。そのため、本発明のポリアミド酸溶液は、上述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法を実施して、反応後に得られた反応液をそのままポリアミド酸溶液とすることで調製してもよい。すなわち、本発明のポリアミド酸溶液は、上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを前記有機溶媒の存在下において反応させて、上記本発明のポリアミド酸を作製し、前記ポリアミド酸と前記有機溶媒とを含有する溶液を得ることにより製造してもよい。
このようなポリアミド酸溶液における前記ポリアミド酸の含有量は特に制限されないが、1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満ではポリイミドフィルムの製造が困難になる傾向にあり、、他方、前記上限を超えると、同様にポリイミドフィルムの製造が困難になる傾向にある。なお、このようなポリアミド酸溶液は、上記本発明のポリイミドの製造に好適に利用することができ、各種形状のポリイミドを製造するために好適に利用できる。例えば、このようなポリアミド酸溶液を各種基板の上に塗布し、これをイミド化して硬化することで、容易にフィルム形状のポリイミドを製造することもできる。
以上、本発明のポリアミド酸溶液について説明したが、次に、本発明のポリイミド溶液について説明する。
[ポリイミド溶液]
本発明のポリイミド溶液は、上記本発明のポリイミドと有機溶媒とを含むものである。このようなポリイミド溶液に用いる有機溶媒としては、上述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法において説明した有機溶媒と同様のものを好適に利用することができる。また、本発明のポリイミド溶液は、上述のポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法を実施して、得られるポリイミドが、製造時に用いた有機溶媒に溶解するものである場合には、反応後に得られた反応液をそのままポリイミド溶液として、調製してもよい。
また、本発明のポリイミド溶液は、有機溶媒中において、上記一般式(101)で表される原料化合物(A)と、上記一般式(201)で表される原料化合物(B)と、上記一般式(301)で表される原料化合物(C)とからなる群の中から選択される少なくとも2種の化合物(ただし、全ての化合物が原料化合物(A)である場合、全ての化合物が原料化合物(B)である場合、全ての化合物が原料化合物(C)である場合、を除く)と、上記一般式(102)で表される芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記本発明のポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用いて(上述のポリイミドを製造するための方法として好適に採用することが可能な方法において説明した工程(I)を実施した後にポリアミド酸を単離することなく、得られた反応液をそのまま用いて)、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化し、有機溶媒中でポリイミドを調製することにより、前記ポリアミド酸と前記有機溶媒とを含有する溶液を得ることにより製造してもよい。
また、本発明のポリイミド溶液としては、前記有機溶媒がキャスト溶媒であることが好ましい。ここにいう「キャスト溶媒」とは、ポリマーの溶液を調製して基板に塗布して、ポリマーの塗膜や成形品等を形成する場合に溶剤として使用される溶媒をいい、キャスト後にポリマー溶液から、当該溶剤が蒸散によって除去可能であるような溶媒をいう。このような「キャスト溶媒」としては、キャスト後の蒸散性、除去性の点で重合時に用いる有機溶媒(重合溶媒)とは異なる溶媒を好適に利用できる。また、このようなキャスト溶媒としては、特に制限されるものではないが、溶解性、揮発性、蒸散性、除去性、成膜性、生産性、工業的入手性、リサイクル性、既設設備の有無、価格の観点から、沸点が200℃以下のハロゲン系溶剤が好ましく、ジクロロメタン(沸点40℃)、トリクロロメタン(沸点62℃)、四塩化炭素(沸点77℃)、ジクロロエタン(沸点84℃)、トリクロロエチレン(沸点87℃)、テトラクロロエチレン(沸点121℃)、テトラクロロエタン(沸点147℃)、クロロベンゼン(沸点131℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)がより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロメタン(クロロホルム)が更に好ましい。なお、このようなキャスト溶媒は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このようなポリイミド溶液は、各種の加工品を製造するための塗工液等として好適に利用することも可能である。なお、このようなポリイミド溶液においては、前記ポリイミドの含有量(溶解量)は特に制限されないが、1〜75質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、製膜等に利用した場合に成膜後の膜厚が薄くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとキャスト溶媒に不溶となる傾向にある。さらに、このようなポリイミド溶液には、使用目的等に応じて、酸化防止剤(フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、核剤、樹脂添加剤(フィラー、タルク、ガラス繊維など)、難燃剤、加工性改良剤・滑材等の添加剤を更に添加してもよい。なお、これらの添加剤としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができ、市販のものを利用してもよい。
以上、本発明のポリイミド溶液について説明したが、次に、本発明のフィルムについて説明する。
[フィルム]
本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるものである。このような本発明のフィルム(ポリイミドフィルム)は、上記本発明のポリイミドとして説明したポリイミドからなるフィルムであればよい。そのため、本発明のフィルムは、例えば、上記本発明のポリアミド酸溶液を用いて得られたものであってもよい。
このようなポリイミドフィルムの形態は、フィルム状であればよく、特に制限されず、各種形状(円盤状、円筒状(フィルムを筒状に加工したもの)等)に適宜設計することができ、前記ポリイミド溶液を用いて製造した場合には、より容易に、その設計を変更することも可能である。
また、本発明のフィルムの厚みは特に制限されないが、1〜500μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では強度が低下し取扱いが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、複数回の塗工が必要となる場合が生じたり、加工が複雑化する場合が生じる傾向にある。
さらに、本発明のフィルムは、例えば、フレキシブル配線基板用フィルム、液晶配向膜に用いるフィルム、有機EL用透明導電性フィルム、有機EL照明用フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル有機EL用基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブルディスプレイ用フロントフィルム、フレキシブルディスプレイ用バックフィルム、ポリイミドベルト、コーティング剤、バリア膜、封止材、層間絶縁材料、パッシベーション膜、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、光導波路、カラーフィルター基材、半導体コーティング剤、耐熱絶縁テープ、電線エナメル等の用途に適宜利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[特性の評価方法について]
先ず、各実施例等において得られた化合物等の特性の評価方法について説明する。
<分子構造の同定>
各合成例や実施例等で得られた化合物の分子構造の同定は、その化合物に応じて、赤外吸収スペクトル測定(IR測定)、核磁気共鳴スペクトル測定(NMR測定)、FD−MSスペクトル測定等の測定を適宜採用することで行った。なお、IR測定及びNMR測定には、測定装置として、それぞれ、IR測定機(Thermo Scientific社製、商品名:Nicolet380 FT−IR分光装置)、NMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600)を用いた。また、FD−MSスペクトル測定には、FD−MS測定器(日本電子株式会社製、商品名:JMS−700V)を用いた。
<黄色度(YI)の測定>
黄色度(YI)は、各実施例等で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)をそのまま測定用の試料として用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて、ASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。
<全光線透過率>
全光線透過率(単位:%)は、各実施例等で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)をそのまま測定用の試料として用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
各実施例等で得られたポリイミドのガラス転移温度(Tg)の値(単位:℃)は、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」を用いて、前記実施例及び比較例で得られたポリイミドからなるフィルムから前記測定装置の治具に装着できる大きさに切りだした試料(試料サイズは測定値に影響しない)をそれぞれ利用して、下記の軟化温度の測定の方法と同一方法(同一条件)を採用して測定した。
<線膨張係数(CTE)の測定>
各実施例等で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mmの大きさのフィルム(フィルムの厚みは測定値に影響するものではないため、厚みは各実施例で製造されたフィルムの厚みをそのまま採用した。)をそれぞれ形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
<固有粘度[η]の測定>
各実施例等において中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として、濃度0.5g/dLのポリアミド酸の測定試料を調製し、30℃の温度条件下において測定した。
<屈折率の測定>
各実施例及び各比較例で製造したポリイミドフィルムの屈折率(589nmの光に対する屈折率)は、各実施例及び各比較例で採用した方法と同様にして製造したポリイミドフィルム(未延伸のフィルム)から1cm角(縦横1cm)のフィルム(フィルムの厚みは測定値に影響するものではないため、厚みは製造されたフィルムの厚みをそのまま採用した。)を切り出して測定試料として用い、測定装置として屈折率測定装置(株式会社アタゴ製の商品名「NAR−1T SOLID」)を用い、589nmの光源を用い、23℃の温度条件で、589nmの光に対する面内方向(厚み方向と垂直な方向)の屈折率(ポリイミドの固有の屈折率)を測定することにより求めた。
<厚み方向のリタデーション(厚み方向の位相差:Rth)の絶対値の測定>
厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値は、各実施例及び各比較例で製造したポリイミドフィルムをそのまま測定試料とし、測定装置としてAXOMETRICS社製の商品名「AxoScan」を用い、各々のポリイミドフィルムの屈折率(上述の屈折率の測定により求められたフィルムの589nmの光に対する屈折率)の値をインプットした後、温度:25℃、湿度:40%の条件下、波長590nmの光を用いて、厚み方向のリタデーションを測定した後、求められた厚み方向のリタデーションの測定値(測定装置の自動測定による測定値)を用いて、フィルムの厚み10μmあたりのリタデーション値に換算した値(換算値)を求め、その換算値から絶対値を算出することにより求めた。
[各実施例等で用いる原料化合物について]
<テトラカルボン酸二無水物>
以下、各実施例等においてポリイミドの製造に利用したテトラカルボン酸二無水物の合成方法について説明する。
(合成例1:テトラカルボン酸二無水物Aの合成)
テトラカルボン酸二無水物Aとして、下記一般式(I):
で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物を合成した。なお、このようなテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)は、国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に準拠して合成した。
(合成例2:テトラカルボン酸二無水物Bの合成)
テトラカルボン酸二無水物Bとして、下記一般式(II):
で表される5,5’−(1,4−フェニレン)ビス(ヘキサヒドロ−4,7−メタノイソベンゾフラン−1,3−ジオン)を合成した。
すなわち、先ず、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(12.3g、75.0mmol)、1,4−ジヨードベンゼン(12.4g、37.5mmol)、酢酸パラジウム(168mg、0.750mmol)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル(590mg、1.50mmol)を500mLの三口フラスコの内部に導入した後、フラスコ内部の雰囲気ガスを窒素に置換した。次に、前記三口フラスコの内部に、N,N−ジメチルホルムアミド(180mL)、トリエチルアミン(14.6mL、105mmol)及びギ酸(3.96mL、105mmol)を更に添加して、混合液を得た。次いで、前記混合液を80℃の温度条件で6時間撹拌して反応液を得た。なお、得られた反応液中においては、前記酢酸パラジウム(パラジウム触媒)に由来した黒色のパラジウム(Pd(0))の粉末(パラジウム黒)が析出した。
次に、前記反応液から濾過によりパラジウム黒の粉末を除き、濾液を得た。次いで、前記濾液を60℃で加熱しながら、減圧下で固体(固形分)が析出するまで濃縮して、固体(固形分)が析出した濃縮液を得た。その後、前記濃縮液にメタノール(250mL)を加え、前記固形分をメタノール中に分散させて、25℃の温度条件で3時間撹拌して分散液を得た。次に、前記分散液中に分散した固体を濾過により分離して、得られた固体を真空条件下、80℃の温度条件で3時間静置し、前記固体に付着している溶媒(N,N−ジメチルホルムアミドやメタノール等)を除去して、生成物(3.08g、収率:20.2%)を得た。
このようにして得られた生成物(化合物)の構造確認のために、IR測定、NMR測定及びFD−MS測定を行った。このようにして得られた化合物のIRスペクトルを図1に示し、H−NMR(DMSO−d)スペクトルを図2に示し、FD−MSスペクトルを図3に示す。図1〜3に示す結果から、得られた化合物は上記一般式(II)で表される化合物であることが確認された(なお、図3に示すFD−MSスペクトルにおいては上記目的化合物の質量数(406)と一致する位置にピークが確認された。)
(合成例3:テトラカルボン酸二無水物Cの合成)
テトラカルボン酸二無水物Cとして、下記一般式(III):
で表される5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸−5,5’,6,6’−二無水物を合成した。
すなわち、先ず、1000mLのガラス製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業製の商品名「ハイパーグラスターTEM−V型」)の容器に、メタノール(410mL)、CuCl(II)(40.8g、304mmol)、下記一般式(i):
で表される5,5’−ビビシクロ[2.2.1]ヘプト―2−エン(別名:5,5’−ビ−2−ノルボルネンともいう。13.8g、74.1mmol)及び、Pd(OAc)(NO)(83.2mg、Pd換算で0.37mmol)を添加して混合液を得た。なお、Pd(OAc)(NO)は2005年に発行されたDalton Trans(vol.11)の第1991頁に記載された方法を採用して製造した。
次いで、前記容器の内部に存在する混合液に対してガラス管を介してガスをバブリングできるようにガラス管を配置した。次に、前記容器を密閉して内部の雰囲気ガスを窒素で置換した。その後、前記容器に真空ポンプを繋ぎ、容器内を減圧にした(容器内の圧力:0.015MPa)。次に、前記混合液中にガラス管を介して一酸化炭素を前記原料化合物に対して0.015モル当量/分の割合(流量)でバブリングにより供給しながら、温度:25〜30℃、圧力:0.13MPaの条件を維持するようにして、前記混合液を2.5時間撹拌した後、温度条件を変えて、温度:40℃、圧力:0.13MPaの条件を維持するようにして、更に2時間撹拌して、反応液を得た。
次いで、前記容器の内部から一酸化炭素を含む雰囲気ガスを除き、30〜40℃の範囲に温度を維持しながら、前記反応液をエバポレーターで濃縮することにより前記反応液中からメタノールを除去(留去)して、反応生成物を得た。その後、前記反応生成物にクロロホルム(200ml)を加え、セライト濾過した後、ろ液を5%塩酸および飽和炭酸水素ナトリウムで分液し、有機層を集めた。次に、このようにして集めた前記有機層に対して、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを20g加えて1時間撹拌した。次いで、前記有機層から前記乾燥剤をろ別し、前記乾燥剤をろ別した後の前記有機層を濃縮して、生成物(白色〜淡黄色固体、収量26.8g、収率85.6%)を得た。
なお、このようにして得られた生成物の構造確認を、IR測定、NMR(H−NMR、13C−NMR)測定により行ったところ(IRスペクトルを図4に示し、H−NMR及び13C−NMR(CDCl)スペクトルをそれぞれ図5(H−NMR)、図6(13C−NMR)に示す。)、その測定結果(図4〜6)から、生成物は、下記一般式(ii):
で表される5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル(テトラエステル化合物)であることが確認された。
次に、上述のようにして得られた一般式(ii)で表されるテトラエステル化合物(5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル)5gを酢酸72g中に溶解させた溶液を準備し、前記溶液を容量が200mLの還流管付きのフラスコ中に添加した。次いで、前記溶液中に酸触媒(均一系酸触媒)としてトリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)0.089gを添加した。なお、このような酸触媒の使用量(前記溶液中への添加量)は、前記一般式(ii)で表されるテトラエステル化合物に対する酸触媒中の官能基(スルホン酸)のモル比([テトラエステル化合物のモル量]:[触媒中の官能基(スルホン酸)のモル量)])が、1:0.05となる量(テトラエステル化合物に対する触媒の酸のモル量が0.05モル当量となる量)であった。
次に、前記フラスコ内の雰囲気ガスを窒素に置換した後、窒素気流下、大気圧の条件で、前記溶液をマグネチックスターラにて撹拌しながら加熱し、前記フラスコ内の温度を118℃にして還流を0.5時間行った(還流工程)。このような還流工程後、前記フラスコ内の温度を118℃に維持するように、加熱し続けながら、リービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に、滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程(以下、「工程(i)」と称する。)を施した。なお、このような工程(i)においては、蒸気の留去を開始した後、2時間経過した後から、フラスコ内の液中(反応溶液中)に白色の沈殿物が生成されていることが確認された。また、このような工程(i)においては、1時間ごとに、系外に留去した留出液を質量測定とガスクロマトグラフとにより分析して反応の進行の程度を確認した。なお、このような分析により、留出液中には酢酸、酢酸メチル、水が存在することが確認された。そして、このような工程(i)において蒸気の留去を開始した後、5時間経過した後に酢酸メチルの留出が止まったことから、加熱を止めて、前記工程(i)を終了した。なお、留去開始から5時間経過後までの酢酸メチルの留出量(総量)は2.9gであった。また、酢酸メチルの留出が止まるまでの間(反応を終了させるまでの間)に留去された酢酸の量は59gであった。
このようにして、工程(i)を施した後に、フラスコ内の溶液から酢酸を留去して濃縮液を得た後、該濃縮液に対して濾紙を用いた減圧濾過を行って白色の固形分を得た。そして、得られた白色の固形分を酢酸エチルで洗浄し、乾燥することにより、3.1gの白色粉末を得た。
このようにして得られた白色粉末(生成物)の構造確認のために、IR測定及びNMR(H−NMR、13C−NMR)測定を行った。このようにして得られたIRスペクトルを図7に、H−NMR及び13C−NMR(DMSO−d)スペクトルをそれぞれ図8、図9に示す。図7〜9に示す結果等からも明らかなように、実施例2で得られた生成物は、上記一般式(III)で表される5,5’−ビ−2−ノルボルネン−5,5’,6,6’−テトラカルボン酸−5,5’,6,6’−二無水物であることが確認された。なお、原料(上記一般式(ii)で表されるテトラエステル化合物)の仕込み量(使用量)から算出される生成物の理論量に対する収率を求めたところ、収率は79.6%であることが確認された。さらに、得られた生成物を目視にて確認したところ、白色であって着色は確認されなかった。
<芳香族ジアミン>
各実施例等においてポリイミドの製造に利用した芳香族ジアミンについて、その化合物の化学式と略称(略号)とを以下に示す。
なお、上記芳香族ジアミンはいずれも市販品(4、4’−DDE:東京化成株式会社製、BAPP:東京化成株式会社製)を利用した。
(実施例1)
〈ポリアミド酸の調製工程〉
窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.601g(3.00mmol)導入するとともに、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)0.610g(1.50mmol)と、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)0.576g(1.50mmol)とを導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を7.15g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌することにより、ポリアミド酸を生成せしめ、かかるポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)を得た。なお、このようにして得られた反応液[ポリアミド酸溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.511dL/gであった。
〈ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)〉
前記ポリアミド酸の調製工程により得られた前記反応液(ポリアミド酸溶液)を、大型スライドグラス(松浪硝子工業株式会社製の商品名「S9213」、縦:76mm、横52mm、厚み1.3mm)上にスピンコートし、ガラス板上に塗膜を形成した(なお、スピンコートに際しては、塗膜の乾燥後の厚みが10μm程度となるように反応液の使用量を調製しながらスピンコートした)。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃(最終加熱温度)に変更して1時間静置することにより前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドからなるフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスをオーブンから取り出し、90℃のお湯の中に0.5時間浸け、前記ガラス基板からフィルムを剥離して回収することにより、ポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み9μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図10に示す。図10に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1777cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(2)])で50:50で含むポリイミドであることが明らかである。
(実施例2)
〈ポリアミド酸の調製工程〉
窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.601g(3.00mmol)導入するとともに、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)0.610g(1.50mmol)と、上記合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物C(上記一般式(III)で表される化合物)0.496g(1.50mmol)とを導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を6.82g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌することにより、ポリアミド酸を生成せしめ、かかるポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)を得た。なお、このようにして得られた反応液[ポリアミド酸溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.430dL/gであった。
〈ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)〉
前記ポリアミド酸の調製工程により得られた前記反応液(ポリアミド酸溶液)を用いて、大型スライドグラス(松浪硝子工業株式会社製の商品名「S9213」、縦:76mm、横52mm、厚み1.3mm)上にスピンコートし、ガラス板上に塗膜を形成した(なお、スピンコートに際しては、塗膜の乾燥後の厚みが10μm程度となるように反応液の使用量を調製しながらスピンコートした)。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃(最終加熱温度)に変更して1時間静置することにより前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドからなるフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスをオーブンから取り出し、90℃のお湯の中に0.5時間浸け、前記ガラス基板からフィルムを剥離して回収することにより、ポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み8μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図11に示す。図11に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1773cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(3)で表される繰り返し単位[なお、式中のRがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(2)]:[一般式(3)])で50:50で含むポリイミドであることが明らかである。
(実施例3)
ポリアミド酸の調製工程において、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)の使用量を0.576g(1.50mmol)から0.116g(0.300mmol)に変更するとともに、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)の使用量を0.610g(1.50mmol)から1.10g(2.70mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)及びポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み8μmの大きさのフィルム)を得た。
なお、得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は0.583dL/gであった。また、このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図12に示す。図12に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1778cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(2)])で10:90で含むポリイミドであることが明らかである。
(実施例4)
ポリアミド酸の調製工程において、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)の使用量を0.576g(1.50mmol)から1.04g(2.70mmol)に変更するとともに、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)の使用量を0.610g(1.50mmol)から0.122g(0.300mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)及びポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み12μmの大きさのフィルム)を得た。
なお、得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は0.552dL/gであった。また、このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図13に示す。図13に示す結果からも明らかなように、1698cm−1及び1774cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(2)])で90:10で含むポリイミドであることが明らかである。
(実施例5)
ポリアミド酸の調製工程において、20mLのスクリュー管内に、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)0.576g(1.50mmol)と、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)0.610g(1.50mmol)とを導入する代わりに、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)0.385g(1.00mmol)と、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)0.407g(1.00mmol)と、上記合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物C(上記一般式(III)で表される化合物)0.331g(1.00mmol)とを導入する以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)及びポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み9μmの大きさのフィルム)を得た。
なお、得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は0.468dL/gであった。また、このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図14に示す。図14に示す結果からも明らかなように、1700cm−1及び1776cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(3)で表される繰り返し単位[なお、式中のRがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(2)]:[一般式(3)])で100/3:100/3:100/3で含むポリイミドであることが明らかである。
(実施例6)
ポリアミド酸の調製工程において、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)0.610g(1.50mmol)の代わりに、上記合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物C(上記一般式(III)で表される化合物)0.496g(1.50mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)及びポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み10μmの大きさのフィルム)を得た。
なお、得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は0.675dL/gであった。また、このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図15に示す。図15に示す結果からも明らかなように、1699cm−1及び1774cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]と、上記一般式(3)で表される繰り返し単位[なお、式中のRがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(3)])で50:50で含むポリイミドであることが明らかである。
(比較例1)
〈ポリアミド酸の調製工程〉
窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を5.01g(25.0mmol)導入するとともに、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)10.2g(25.0mmol)を導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を60.7g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、80℃で5時間撹拌することにより、ポリアミド酸を生成せしめ、かかるポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)を得た。なお、このようにして得られた反応液[ポリアミド酸溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.829dL/gであった。
〈ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)〉
前記ポリアミド酸の調製工程により得られた前記反応液(ポリアミド酸溶液)を、大型スライドグラス(松浪硝子工業株式会社製の商品名「S9213」、縦:76mm、横52mm、厚み1.3mm)上にスピンコートし、ガラス板上に塗膜を形成した(なお、スピンコートに際しては、塗膜の乾燥後の厚みが10μm程度となるように反応液の使用量を調製しながらスピンコートした)。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃(最終加熱温度)に変更して1時間静置することにより前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドからなるフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスをオーブンから取り出し、90℃のお湯の中に0.5時間浸け、前記ガラス基板からフィルムを剥離して回収することにより、ポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み19μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図16に示す。図16に示す結果からも明らかなように、1781cm−1及び1701cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]を100モル%の割合で含むポリイミドであることが明らかである。
(比較例2)
〈ポリアミド酸の調製工程〉
窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.601g(3.00mmol)導入するとともに、上記合成例3で得られたテトラカルボン酸二無水物C(上記一般式(III)で表される化合物)0.9910g(3.00mmol)を導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を6.01g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、室温(25℃)で3時間撹拌することにより、ポリアミド酸を生成せしめ、かかるポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)を得た。なお、このようにして得られた反応液[ポリアミド酸溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.579dL/gであった。
〈ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)〉
前記ポリアミド酸の調製工程により得られた前記反応液(ポリアミド酸溶液)を、大型スライドグラス(松浪硝子工業株式会社製の商品名「S9213」、縦:76mm、横52mm、厚み1.3mm)上にスピンコートし、ガラス板上に塗膜を形成した(なお、スピンコートに際しては、塗膜の乾燥後の厚みが10μm程度となるように反応液の使用量を調製しながらスピンコートした)。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃(最終加熱温度)に変更して1時間静置することにより前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドからなるフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスをオーブンから取り出し、90℃のお湯の中に0.5時間浸け、前記ガラス基板からフィルムを剥離して回収することにより、ポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み12μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図17に示す。図17に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1774cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(3)で表される繰り返し単位[なお、式中のRがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]を100モル%の割合で含むポリイミドであることが明らかである。
(比較例3)
〈ポリアミド酸の調製工程〉
窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.180g(0.900mmol)導入するとともに、上記合成例1で得られたテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)0.346g(0.900mmol)を導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を2.7g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、室温(25℃)で12時間撹拌することにより、ポリアミド酸を生成せしめ、かかるポリアミド酸を含有する反応液(ポリアミド酸溶液)を得た。なお、このようにして得られた反応液[ポリアミド酸溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は1.00dL/gであった。
〈ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)〉
前記ポリアミド酸の調製工程により得られた前記反応液(ポリアミド酸溶液)を、大型スライドグラス(松浪硝子工業株式会社製の商品名「S9213」、縦:76mm、横52mm、厚み1.3mm)上にスピンコートし、ガラス板上に塗膜を形成した(なお、スピンコートに際しては、塗膜の乾燥後の厚みが10μm程度となるように反応液の使用量を調製しながらスピンコートした)。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃(最終加熱温度)に変更して1時間静置することにより前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドからなるフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスをオーブンから取り出し、90℃のお湯の中に0.5時間浸け、前記ガラス基板からフィルムを剥離して回収することにより、ポリイミドからなるフィルム(縦:76mm、横52mm、厚み13μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、1778cm−1及び1709cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表1に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−である。)である。]とを100モル%の割合で含むポリイミドであることが明らかである。
表1に示す結果からも明らかなように、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物として少なくともテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)を用いるポリイミド(実施例1〜5及び比較例1)においては、原料化合物(モノマー)としてテトラカルボン酸二無水物Bとともにテトラカルボン酸二無水物A及び/又はテトラカルボン酸二無水物Cを用いた場合(実施例1〜5)に黄色度(YI)が1.3以下となっているのに対して、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物としてテトラカルボン酸二無水物Bを単独で用いた場合(比較例1)には黄色度(YI)が1.6となっており、テトラカルボン酸二無水物Bとともにテトラカルボン酸二無水物A及び/又はテトラカルボン酸二無水物Cを組み合わせて用いることで、黄色度(YI)をより低い値(0により近い値)とすることが可能であり、着色(黄変)が更に高い水準で低減されたポリイミドが得られることが確認された。
このような結果から、繰り返し単位として、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例1〜5)は、全ての繰り返し単位が上記一般式(2)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例1)よりも、黄色度(YI)がより低い値となることが分かった。
また、表1に示す結果からも明らかなように、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物として少なくともテトラカルボン酸二無水物C(上記一般式(III)で表される化合物)を用いるポリイミド(実施例2及び5〜6、並びに、比較例2)においては、原料化合物(モノマー)としてテトラカルボン酸二無水物Cとともにテトラカルボン酸二無水物A及び/又はテトラカルボン酸二無水物Bを用いた場合(実施例2及び5〜6)に黄色度(YI)が1.9以下となっているのに対して、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物としてテトラカルボン酸二無水物Cを単独で用いた場合(比較例2)に黄色度(YI)が2.1となっており、テトラカルボン酸二無水物Bとともにテトラカルボン酸二無水物A及び/又はテトラカルボン酸二無水物Cを組み合わせて用いることで、黄色度(YI)をより低い値(0により近い値)とすることが可能であり、着色(黄変)が更に高い水準で低減されたポリイミドが得られることが確認された。
このような結果から、繰り返し単位として、上記一般式(3)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例2及び5〜6)は、全ての繰り返し単位が上記一般式(3)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例2)よりも、黄色度(YI)がより低い値となることが分かった。
さらに、表1に示す結果からも明らかなように、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物として少なくともテトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)を用いるポリイミド(実施例1、3〜6及び比較例3)においては、テトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)とともにテトラカルボン酸二無水物B及び/又はテトラカルボン酸二無水物Cを用いた場合(実施例1、3〜6)に黄色度(YI)が1.9以下となっているのに対して、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物としてテトラカルボン酸二無水物Aを単独で用いた場合(比較例3)には黄色度(YI)が2.2となっており、テトラカルボン酸二無水物Aとともにテトラカルボン酸二無水物B及び/又はテトラカルボン酸二無水物Cを組み合わせて用いることで、黄色度(YI)をより低い値(0により近い値)とすることが可能であり、着色(黄変)が更に高い水準で低減されたポリイミドが得られることが確認された。
このような結果から、繰り返し単位として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(2)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例1、3〜6)は、全ての繰り返し単位が上記一般式(1)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例3)よりも、黄色度(YI)がより低い値となることが分かった。
また、表1に示す結果からも明らかなように、実施例1〜6で得られたポリイミドはいずれもガラス転移温度(Tg)が230℃を超えており、Tgを基準とした耐熱性が十分に高い水準のものとなることが分かった。さらに、実施例1〜6で得られたポリイミドはいずれも全光線透過率も88%以上となっており、比較例1〜3で得られたポリイミドと対比しても同等程度のものとなっており、十分に透明性が高いものであることが分かった。また、表1に示す結果からも明らかなように、実施例1〜6で得られたポリイミドはいずれも線膨張係数(CTE)が59ppm/K以下となっており、比較例1〜3で得られたポリイミドと対比しても同等程度のものとなっており、線膨張係数がポリイミドとして十分な水準にあることが分かった。
このように、表1に示す結果から、実施例1〜6で得られたポリイミドは、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とするものであることが分かった。また、実施例1〜6で得られたポリイミドは、比較例1〜3で得られたポリイミドと対比しても耐熱性(Tg)、全光線透過率、線膨張係数(CTE)といった特性がほぼ同等であり、本発明のポリイミド(実施例1〜6)の構成によって、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることを可能としながら、耐熱性(Tg)、全光線透過率、線膨張係数(CTE)といった特性を十分な水準でバランスよく有するものとすることも可能であることが分かった。
また、表1に示す結果からも明らかなように、全ての繰り返し単位が上記一般式(1)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例3)においては、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して139nmとなっていた。これに対して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例1、3〜5)においては、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して93nm以下となっていた。このように、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する系のポリイミド(実施例1、3〜5、比較例3)においては、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を更に含有する場合(実施例1、3〜5)に、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値を、より低減させることが可能であることが分かった。
また、表1に示す結果からも明らかなように、全ての繰り返し単位が上記一般式(3)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例2)においては、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して80nmとなっていた。これに対して、上記一般式(3)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例2、実施例5)においては、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して24nm以下となっていた。このように、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する系のポリイミド(実施例2、実施例5、比較例2)においては、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を更に含有する場合(実施例2、実施例5)に、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値をより低減させることが可能であることが分かった。
このような結果から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する系のポリイミドにおいては、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を組み合わせて含有せしめることで、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値をより低減させることが可能となることが分かった。
さらに、表1に示す結果からも明らかなように、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する系のポリイミド(実施例1〜5及び比較例1)の中では、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例1〜5)によって、線膨張係数がより低い値となることも分かった。
このような結果から、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例1〜5)によれば、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることができるばかりか、線膨張係数(CTE)をより低い値とすることができ、更には、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値もより低い値とすることも可能となって、これらの特性を十分な水準でよりバランスよく有するポリイミドとすることが可能であることも分かった。
(実施例7)
ポリアミド酸の調製工程において、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.601g(3.00mmol)用いる代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を1.23g(3.00mmol)用い、更に、ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)において、塗膜を硬化する際の最終加熱温度の温度条件を350℃から300℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用してポリイミドからなるフィルム(縦76mm、横52mm、厚み7μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図18に示す。図18に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1776cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表2に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−C−C(CH−C−O−である。)である。]と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−C−C(CH−C−O−である。)である。]とを、モル比([一般式(1)]:[一般式(2)])で50:50で含むポリイミドであることが明らかである。
(比較例4)
ポリアミド酸の調製工程において、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を5.01g(25.0mmol)用いる代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を8.21g(20.0mmol)用い、上記合成例2で得られたテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)の添加量を10.2g(25.0mmol)から8.13g(20.0mmol)に変更し、更に、ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)において、塗膜を硬化する際の最終加熱温度の温度条件を350℃から300℃に変更した以外は、比較例1と同様の方法を採用してポリイミドからなるフィルム(縦76mm、横52mm、厚み20μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図19に示す。図19に示す結果からも明らかなように、1776cm−1及び1708cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表2に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(2)で表される繰り返し単位[式中のAがフェニレン基であり、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−C−C(CH−C−O−である。)である。]を100モル%の割合で含むポリイミドであることが明らかである。
(比較例5)
ポリアミド酸の調製工程において、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)を0.180g(0.900mmol)用いる代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を0.332g(0.900mmol)用い、更に、ポリイミドの調製工程(熱イミド化工程)において、塗膜を硬化する際の最終加熱温度の温度条件を350℃から300℃に変更した以外は、比較例3と同様の方法を採用してポリイミドからなるフィルム(縦76mm、横52mm、厚み13μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、1778cm−1及び1704cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。このようにして得られたポリイミドの特性の評価結果を表2に示す。
なお、このようにして得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類や仕込み量及びIRスペクトルの結果等から、上記一般式(1)で表される繰り返し単位[なお、式中のR、R、Rがいずれも水素原子であり、かつ、Rが上記一般式(10)で表される基(式中のQが−O−C−C(CH−C−O−である。)である。]を100モル%の割合で含むポリイミドであることが明らかである。
表2に示す結果からも明らかなように、原料化合物(モノマー)のテトラカルボン酸二無水物に、テトラカルボン酸二無水物A(上記一般式(I)で表される化合物)とテトラカルボン酸二無水物B(上記一般式(II)で表される化合物)とを組み合わせて用いて得られたポリイミド(実施例7)においては、原料化合物(モノマー)としてテトラカルボン酸二無水物Bを単独で用いて得られたポリイミド(比較例4)及び原料化合物(モノマー)としてテトラカルボン酸二無水物Aを単独で用いて得られたポリイミド(比較例5)よりも、黄色度がより低い値(0により近い値)となっており、着色(黄変)が更に高い水準で低減されたポリイミドが得られることが確認された。
このような結果から、繰り返し単位として、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例7)は、全ての繰り返し単位が上記一般式(2)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例4)及び全ての繰り返し単位が上記一般式(1)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例5)よりも、黄色度(YI)がより低い値となることが分かった。
また、表2に示す結果からも明らかなように、実施例7で得られたポリイミドはガラス転移温度(Tg)が230℃を超えており、Tgを基準とした耐熱性が十分に高い水準のものとなることが分かった。さらに、実施例7で得られたポリイミドはいずれも全光線透過率も88%以上となっており、比較例2〜3で得られたポリイミドと対比しても同等程度のものとなっており、十分に透明性が高いものであることが分かった。また、表1に示す結果からも明らかなように、実施例7で得られたポリイミドはいずれも線膨張係数(CTE)が67ppm/K以下となっており、比較例4〜5で得られたポリイミドと対比しても同等程度のものとなっており、線膨張係数がポリイミドとして十分な水準にあることが分かった。
このように、表2に示す結果から、実施例7で得られたポリイミドは、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とするものであることが分かった。また、実施例7で得られたポリイミドは、比較例4〜5で得られたポリイミドと対比しても、耐熱性(Tg)、全光線透過率、線膨張係数(CTE)といった特性がほぼ同等であり、本発明のポリイミド(実施例7)の構成によって、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることを可能としながら、耐熱性(Tg)、全光線透過率、線膨張係数(CTE)といった特性を十分な水準でバランスよく有するものとすることも可能であることが分かった。
また、表2に示す結果からも明らかなように、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有するポリイミド(実施例7及び比較例4)は、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して7.5nm以下となっていた。これに対して、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有しないものであって、全ての繰り返し単位が上記一般式(1)で表される繰り返し単位であるポリイミド(比較例5)においては、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して11nmとなっていた。また、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有するポリイミド(実施例5及び比較例4)の中でも、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例7)は、線膨張係数がより低い値となっていた。このような結果から、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とともに上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する本発明のポリイミド(実施例7)によれば、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることができるばかりか、線膨張係数(CTE)をより低い値とすることができ、更には、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値もより低い値とすることも可能となって、これらの特性を十分な水準でよりバランスよく有するポリイミドとすることが可能であることも分かった。
以上説明したように、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることが可能なポリイミド、そのポリイミドを含有するポリイミド溶液、並びに、そのポリイミドを用いたフィルムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記ポリイミドを製造するために好適に利用することが可能なポリアミド酸、及び、そのポリアミド酸を含有するポリアミド酸溶液を提供することを目的とする。
このような本発明のポリイミドは、例えば、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、各種のガスバリアフィルム基板(フレキシブルガスバリアフィルム等)、タッチパネル用フィルム、複写機用シームレスポリイミドベルト(いわゆる転写ベルト)、透明電極基板(有機EL用透明電極基板、太陽電池用透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板等)、層間絶縁膜、センサー基板、イメージセンサーの基板、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等を製造するための材料等として有用である。また、本発明のポリイミドは、上述のように、黄色度(イエローインデックス)をより低い値とすることも可能であることから、より高度な透明性が要求されるような用途(例えばフレキシブル配線基板用フィルム、有機EL用透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、透明電極基板、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー等)に利用するためのフィルムを製造するための材料等として特に有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1):
    [式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(A1)と、
    下記一般式(2):
    [式(2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(B1)と、
    下記一般式(3):
    [式(3)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(C1)と、
    からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B1)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C1)である場合、を除く)を含有することを特徴とするポリイミド。
  2. 線膨張係数が60ppm/K以下であり、かつ、波長590nmで測定される厚み方向のリタデーション(Rth)の絶対値が厚み10μmに換算して150nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
  3. 前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(B1)を全繰り返し単位に対するモル比で5〜95モル%含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド。
  4. 下記一般式(4):
    [式(4)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(A2)と、
    下記一般式(5):
    [式(5)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(B2)と、
    下記一般式(6):
    [式(6)中、複数のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基及びニトロ基よりなる群から選択される1種を示すか、又は、同一の炭素原子に結合している2つのRが一緒になってメチリデン基を形成していてもよく、R及びRはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、Rは炭素数6〜40のアリール基を示す。]
    で表される繰り返し単位(C2)と、
    からなる群の中から選択される少なくとも2種の繰り返し単位(ただし、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(A2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(B2)である場合、全ての繰り返し単位が繰り返し単位(C2)である場合、を除く)を含有することを特徴とするポリアミド酸。
  5. 請求項4に記載のポリアミド酸と有機溶媒とを含むことを特徴とするポリアミド酸溶液。
  6. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドと有機溶媒とを含むことを特徴とするポリイミド溶液。
  7. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドからなることを特徴とするフィルム。
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