JP2017025145A - ポリイミド、ポリアミド酸、及び、フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有することが可能なポリイミドを提供する。【解決手段】ノルボルニル基を有す脂環式イミド構造単位を芳香族基を有す連結基で2個連結された繰り返し単位を有することを特徴とするポリイミド。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド、ポリアミド酸、及び、フィルムに関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器等の分野においては、衝撃や落下によってディスプレイ等に利用したガラス基板が割れるといった問題から、ガラスのように光透過性が高くかつ十分に高度な耐熱性を有するとともに、軽くて柔軟な素材の出現が求められてきた。そして、このようなガラス代替用途等に用いる素材として、高度な耐熱性を有し、かつ、軽くて柔軟なポリイミドが着目されている。
このようなポリイミドとしては、例えば、芳香族ポリイミド(例えば、DuPont社製の商品名「カプトン」)が知られている。しかしながら、このような芳香族ポリイミドは、十分な柔軟性と高度な耐熱性とを有するポリイミドではあるものの、褐色を呈し、光透過性が必要とされるガラス代替用途や光学用途等に使用できるものではなかった。
そのため、近年では、ガラス代替用途等に使用可能な十分な光透過性を有する脂環式ポリイミドの開発が進められており、例えば、国際公開第2011/099518号(特許文献1)においては、特定の一般式で記載される繰り返し単位を有するポリイミドが開示されている。このような特許文献1に記載のようなポリイミドは、十分な光透過性と高度な耐熱性とを有するものであった。なお、このようなポリイミドの分野においては、上記特許文献1に記載のポリイミドと同等程度あるいはそれ以上の特性(光透過性、耐熱性等)を有するポリイミドの出現が望まれている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有することが可能なポリイミド、そのポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能なポリアミド酸、並びに、前記ポリイミドを用いたフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリイミドを下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものとすることにより、光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有するものとすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
[式(1)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、R4は下記一般式(2−1)〜(2−3):
で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
なお、このような一般式(1)で表される繰り返し単位を有する本発明のポリイミドが、十分に高度な耐熱性を示す理由は必ずしも定かではないが、その繰り返し単位が剛直な芳香環を有する構造であるため、ポリイミドが化学的に十分に安定な構造を有するものとなり、これにより十分に高度な耐熱性が達成されるものと本発明者らは推察する。
また、上記本発明のポリイミドにおいては、前記繰り返し単位として、前記一般式(1)中のR4が上記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位を含有することが好ましい。また、上記本発明のポリイミドにおいては、前記繰り返し単位として、前記一般式(1)中のR4が上記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位を含有するものである場合、かかるポリイミドが溶媒に溶解するものであることが好ましい。なお、上記本発明のポリイミドが前記一般式(1)中のR4が上記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位を有するものである場合には、キャスト溶媒や有機溶媒等に、より十分に溶解させること(キャスト溶媒により十分に溶解するポリイミドとすること)も可能となり、ポリイミドの状態で長期間保存した後、かかるキャスト溶媒に溶解せしめて別途加工することが可能となる。すなわち、本発明のポリイミドは、その繰り返し単位の種類に応じて、ポリイミドとして安定して長期保存した後に加工することも可能とすることができ、これにより長期保存性及び加工性をより高度なものとすることも可能である。
また、本発明のポリアミド酸は、下記一般式(3):
[式(3)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、R4は下記一般式(2−1)〜(2−3):
で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。なお、このようなポリアミド酸は、上記本発明のポリイミドを製造する場合に反応中間体として得ることができる。また、このようなポリアミド酸は、該ポリアミド酸をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解して得られる濃度0.5g/dLの前記ポリアミド酸の溶液を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計により測定した固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましい。なお、かかるポリアミド酸は、例えば、前記ポリアミド酸と有機溶媒とを含むポリアミド酸溶液(樹脂溶液:ワニス)として利用してもよく、これにより各種形状のポリイミドを効率よく製造することも可能となる。
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。なお、このようなポリアミド酸は、上記本発明のポリイミドを製造する場合に反応中間体として得ることができる。また、このようなポリアミド酸は、該ポリアミド酸をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解して得られる濃度0.5g/dLの前記ポリアミド酸の溶液を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計により測定した固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましい。なお、かかるポリアミド酸は、例えば、前記ポリアミド酸と有機溶媒とを含むポリアミド酸溶液(樹脂溶液:ワニス)として利用してもよく、これにより各種形状のポリイミドを効率よく製造することも可能となる。
さらに、本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなることを特徴とするフィルムである。
本発明によれば、光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有することが可能なポリイミド、そのポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能なポリアミド酸、並びに、前記ポリイミドを用いたフィルムを提供することも可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[ポリイミド]
本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
[式(1)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、R4は下記一般式(2−1)〜(2−3):
で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
このような一般式(1)中のAは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、該芳香族基中に含まれる芳香環を形成する炭素の数(なお、ここにいう「芳香環を形成する炭素の数」とは、その芳香族基が炭素を含む置換基(炭化水素基など)を有している場合、その置換基中の炭素の数は含まず、芳香族基中の芳香環が有する炭素の数のみをいう。例えば、2−エチル−1,4−フェニレン基の場合、芳香環を形成する炭素の数は6となる。)が6〜30のものである。このように、一般式(1)中のAは、置換基を有していてもよく、かつ、炭素数が6〜30の芳香環を有する2価の基(2価の芳香族基)である。このような芳香環を形成する炭素の数が前記上限を超えると一般式(1)の酸二無水物を原料として得られるポリイミドが着色する傾向となる。また、透明性及び精製の容易さの観点からは、前記2価の芳香族基の芳香環を形成する炭素原子の数は、6〜18であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましい。
また、このような2価の芳香族基としては、上記炭素の数の条件を満たすものであればよく、特に制限されないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ターフェニル、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、キンクフェニル等の芳香族系の化合物から2つの水素原子が脱離した残基(なお、このような残基としては、脱離する水素原子の位置は特に制限されないが、例えば、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基、9,10−アントラセニレン基等が挙げられる。);及び該残基中の少なくとも1つの水素原子が置換基と置換した基(例えば、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン基)等を適宜利用することができる。なお、このような残基において、前述のように、脱離する水素原子の位置は特に制限されず、例えば、前記残基がフェニレン基である場合においてはオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよい。
このような2価の芳香族基としては、ポリイミドを製造した際にポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点から、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基が好ましい。すなわち、このような2価の芳香族基としては、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ターフェニレン基が好ましい。また、このような2価の芳香族基の中でも、上記観点でより高い効果が得られることから、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基がより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基が更に好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基が最も好ましい。
このような2価の芳香族基としては、耐熱性がより優れたものとなるといった観点からは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基が好ましい。また、このような2価の芳香族基の中でも、上記観点でより高い効果が得られることから、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基がより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基が最も好ましい。
また、一般式(1)中のAにおいて、前記2価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。このような2価の芳香族基が有してよい置換基の中でも、ポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点から、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基がより好ましい。このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数が10を超えると、ポリイミドの耐熱性が低下する傾向にある。また、このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このような置換基として選択され得るアルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(1)中のR1として選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなR1として選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR1として選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
前記一般式(1)中のR1としては、より高度な耐熱性が得られること、原料の入手が容易であること、精製がより容易であること、等といった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式(1)中の複数のR1は、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
また、前記一般式(1)中のR4は、上記一般式(2−1)〜(2−3)で表される基
のうちの少なくとも1種である。このようなR4として選択され得る基としては、溶媒に対する溶解性がより高度なものとなるといった観点からは、一般式(2−1)で表される基であることが好ましく、また、耐熱性(軟化温度)が向上するといった観点からは、一般式(2−3)で表される基であることが好ましい。
のうちの少なくとも1種である。このようなR4として選択され得る基としては、溶媒に対する溶解性がより高度なものとなるといった観点からは、一般式(2−1)で表される基であることが好ましく、また、耐熱性(軟化温度)が向上するといった観点からは、一般式(2−3)で表される基であることが好ましい。
また、このようなポリイミドとしては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を主として含有するものが好ましい。また、このような一般式(1)で表される繰り返し単位を主として含有するポリイミドにおいては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が全繰り返し単位に対して40〜100モル%(より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80モル%〜100モル%、特に好ましくは85モル%〜100モル%、最も好ましくは95〜100モル%)であることが好ましい。なお、このようなポリイミドにおいては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、例えば、公知のポリイミドに利用することが可能な他の繰り返し単位を適宜利用することができる。
このようなポリイミドとしては、5%重量減少温度が350℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら室温(25℃)から徐々に加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。なお、測定に際しては、測定値の再現性の観点から、試料の質量を1.0mg〜10mg(より好ましくは1.7mg〜4.0mg)として利用することが好ましい。前記試料の質量を前記範囲とすることで、試料の質量を変えて測定しても再現性のある値を測定できる。
また、このようなポリイミドとしては、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上のものが好ましく、230〜500℃のものがより好ましく、250〜500℃のものが特に好ましい。このようなガラス転移温度(Tg)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このようなガラス転移温度(Tg)は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を使用して測定することができる。
さらに、このようなポリイミドとしては、軟化温度が200℃以上のものが好ましく、300〜500℃のものがより好ましい。このような軟化温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような軟化温度は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を使用して、ペネトレーションモードにより測定することができる。また、測定に際しては、縦:2mm、横2mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、11〜12μmとすることが好ましい。)を形成して試料として利用することが好ましい。
また、このようなポリイミドとしては、熱分解温度(Td)が400℃以上のものが好ましく、450〜600℃のものがより好ましい。このような熱分解温度(Td)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような熱分解温度(Td)は、TG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めることができる。なお、測定に際しては、測定値の再現性の観点から、試料の質量を1.0〜10mg(より好ましくは1.7mg〜4.0mg)として利用することが好ましい。前記試料の質量を前記範囲とすることで、試料の質量を変えて測定しても再現性のある値を測定できる。なお、このような熱分解温度(Td)は、5%重量減少温度の測定と同一の装置を用いて、同一の条件(窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件)を採用して同時に測定することもできる。
さらに、このようなポリイミドの数平均分子量(Mn)としては、ポリスチレン換算で1000〜1000000であることが好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜5000000であることが好ましい。このような重量平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましい。このような分子量分布が前記下限未満では製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一なフィルムを得にくい傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。
なお、このようなポリイミドにおいては、分子量の測定が困難な場合には、そのポリイミドの製造に用いるポリアミド酸の粘度に基づいて、分子量等を類推して、用途等に応じたポリイミドを選別して使用してもよい。
また、このようなポリイミドとしては、フィルムを形成した場合に透明性が十分に高いものであることが好ましく、全光線透過率が80%以上(更に好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものがより好ましい。このような全光線透過率は、ポリイミドの種類等を適宜選択することにより容易に達成することができる。なお、このような全光線透過率としては、本発明のポリイミドを用いて縦:25mm、横20mm、厚み11〜12μm(より好ましくは12μm)の大きさのポリイミドフィルムを形成して試料とし、測定装置として、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて測定した値を採用することができる。なお、厚みが11〜12μmの範囲にあれば、厚みを変えて測定しても基本的に再現性のある値を測定できる。
また、このようなポリイミドは、線膨張係数が0〜100ppm/Kであることが好ましく、10〜80ppm/Kであることがより好ましい。このような線膨張係数が前記上限を超えると、線膨張係数の範囲が5〜20ppm/Kである金属や無機物と組合せて複合化した場合に熱履歴で剥がれが生じやすくなる傾向にある。また、前記線膨張係数が、前記下限未満では溶解性の低下やフィルム特性が低下する傾向にある。
このようなポリイミドの線膨張係数の測定方法としては、縦20mm、横5mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、11〜12μmとすることが好ましい。)を形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより得られる値を採用する。
また、このようなポリイミドとしては、その組成によっては、溶媒に十分に溶解するものとすることが可能である。このような溶媒としては、例えば、製造時に利用する有機溶媒(重合溶媒)やキャスト溶媒等が挙げられる。なお、このような有機溶媒(重合溶媒)やキャスト溶媒については後述する。
さらに、本発明のポリイミドとしては、前記溶媒に対して、より十分に溶解するものとするといった観点からは、前記一般式(1)で表されかつ該式(1)中のR4が前記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位(かかる繰り返し単位を、以下、場合により単に「繰り返し単位(I)」と称する。)を有するポリイミドが好ましい。このように、本発明のポリイミドとしては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位として、前記一般式(1)中のR4が前記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位(前記繰り返し単位(I))を含有し、かつ、溶媒に溶解するものであること(溶媒溶解性を有するポリイミドであること)が好ましい。
また、本発明のポリイミドは、溶媒に溶解するものである場合には、溶媒に溶解した形態のもの(ポリイミドの溶液)として利用してもよい。このようなポリイミドの溶液に用いる溶媒としては、後述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法や、後述のポリイミドを製造するための方法として好適に利用可能な方法において説明する有機溶媒(重合溶媒)と同様のものや、後述のキャスト溶媒を適宜好適に利用することができる。
また、このようなポリイミドの溶液としては、例えば、後述のポリイミドを製造するための方法として好適に利用可能な方法を実施して、得られるポリイミドが製造時に用いた有機溶媒(重合溶媒)に溶解するものである場合には、反応後に得られた反応液をそのまま、前記ポリイミドの溶液として用いてもよい。すなわち、このようなポリイミドの溶液は、例えば、有機溶媒中において下記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と下記一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用いて(後述の工程(I)を実施した後に前記反応液から下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離することなく、前記反応液をそのまま用いて)、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化し、有機溶媒中でポリイミドを調製することにより、前記ポリイミドと前記有機溶媒とを含有する溶液を得ることにより製造してもよい。
また、このように、本発明のポリイミドを溶液の状態として利用する場合には、そのポリイミドの溶液は、各種の加工品を製造するための塗工液等として好適に利用することも可能である。なお、このようなポリイミドの溶液においては、前記ポリイミドの含有量(溶解量)は特に制限されないが、1〜75質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、製膜等に利用した場合に成膜後の膜厚が薄くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶媒(例えばキャスト溶媒等)に不溶となる傾向にある。さらに、このようなポリイミド溶液には、使用目的等に応じて、酸化防止剤(フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、核剤、樹脂添加剤(フィラー、タルク、ガラス繊維など)、難燃剤、加工性改良剤・滑材等の添加剤を更に添加してもよい。なお、これらの添加剤としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができ、市販のものを利用してもよい。
このように、本発明のポリイミドは、その組成によっては、種々の溶媒中に十分に溶解した状態のものとすることも可能である。また、このようなポリイミドの中でも、加工前の保存性や、溶媒に溶解させた後の加工性をより高度なものとするといった観点からは、キャスト溶媒のうちの少なくとも1種に溶解するもの(より好ましくは、より低沸点の溶媒としてキャスト溶媒に好適に利用されるCH2Cl2及びCHCl3のうちのいずれか又は双方に溶解するもの)がより好ましい。このように、様々な溶媒の中でも、いわゆるキャスト溶媒のうちの少なくとも1種に溶解することが可能なポリイミドは、保存時には、十分に高度な保存安定性を有するポリイミドの状態で保管できるにもかかわらず、使用時に、キャスト溶媒に対する溶解させて加工できるため、各種用途に用いるための材料等として特に有用である。以下、本発明のポリイミドとして好適に利用することが可能な、キャスト溶媒の少なくとも1種に溶解するポリイミド(以下、場合により「キャスト用のポリイミド」と称する。)について簡単に説明する。
このようなキャスト溶媒の少なくとも1種に溶解するポリイミド(上記本発明のポリイミドとして好適なポリイミド)としては、上記一般式(1)で表されかつ該式(1)中のR4が前記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位(繰り返し単位(I))を含有するポリイミドが挙げられ、中でも、前記繰り返し単位(I)を全繰り返し単位に対して40モル%以上含有してなるポリイミドを好適なものとして挙げることができる。このようなポリイミドにより、十分に高度な耐熱性及び光透過性を有するとともに、キャスト溶媒に対する溶解性に十分に優れ、キャスト溶媒に溶解させて各種形状に加工することも可能となり、十分に高い加工性を有するとともに、ポリイミドの状態で保存でき、長期保存後の品質の劣化も十分に防止することが可能なポリイミドを提供することが可能となる。
なお、前記繰り返し単位(I)の全繰り返し単位に対する含有比率が前記下限未満(40モル%未満)ではガラス代替用途や光学用途等のフィルムとした際の特性や物性が低下する傾向にある。また、前記繰り返し単位(I)の全繰り返し単位に対する含有比率は、耐熱性の観点からは、80モル%以上であることがより好ましく、85モル%〜100モル%であることが更に好ましく、95〜100モル%であることが特に好ましい。
また、ここにいう「キャスト溶媒」とは、ポリマーの溶液を調製して基板に塗布して、ポリマーの塗膜や成形品等を形成する場合に溶剤として使用される溶媒をいい、キャスト後にポリマー溶液から、当該溶剤が蒸散によって除去可能であるような溶媒をいう。このような「キャスト溶媒」としては、キャスト後の蒸散性、除去性の点で重合時に用いる有機溶媒(重合溶媒)とは異なる溶媒を好適に利用できる。
このようなキャスト溶媒としては、特に制限されるものではないが、溶解性、揮発性、蒸散性、除去性、成膜性、生産性、工業的入手性、リサイクル性、既設設備の有無、価格の観点から、沸点が200℃以下のハロゲン系溶剤が好ましく、ジクロロメタン(沸点40℃)、トリクロロメタン(沸点62℃)、四塩化炭素(沸点77℃)、ジクロロエタン(沸点84℃)、トリクロロエチレン(沸点87℃)、テトラクロロエチレン(沸点121℃)、テトラクロロエタン(沸点147℃)、クロロベンゼン(沸点131℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)がより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロメタン(クロロホルム)が更に好ましい。なお、このようなキャスト溶媒は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、キャスト用のポリイミドとしては、塩化メチレン(沸点:40℃)及びクロロホルム(沸点:62℃)のうちのいずれか又は双方に溶解するものが、加工性の観点から特に好ましい。なお、上記繰り返し単位(I)を含有するものとすること(より好ましくは、上記繰り返し単位(I)を全繰り返し単位に対して40モル%以上含有するものとすること)で、そのポリイミドを、塩化メチレン(沸点:40℃)及びクロロホルム(沸点:62℃)のうちのいずれか又は双方に溶解するものとすることが可能である。
また、前記キャスト用ポリイミドは、上述のようなキャスト溶媒の少なくとも1種に十分に溶解することから、ポリイミドの状態で長期間保存した後、かかるキャスト溶媒に溶解せしめて別途加工することが可能であるため、長期保存性及び加工性が十分に高いものとなる。なお、本発明においては、25℃の条件でポリイミドが前記キャスト溶媒に0.01質量%(より好ましくは0.1質量%)以上の割合で溶解する場合を、キャスト溶媒に溶解するものと判断する。なお、このようなポリイミドのキャスト溶媒への溶解量(質量%)は、キャスト溶媒にポリイミドの小片や粉体を投入し、投入量と残存量に基づいて算出することができる。
また、このようなポリイミドを溶解させるキャスト溶媒としては、沸点が200℃以下のものであることが好ましく、20〜150℃のものであることがより好ましく、30〜120℃であることが更に好ましく、40〜100℃であることが特に好ましい、60℃〜100℃であることが最も好ましい。このような沸点が前記上限を超えるとフィルム作成時(キャスト後の乾燥時)に、溶剤を除去することが困難となり、フィルム中に溶剤が残存してしまう傾向にあり、他方、前記下限未満では大気圧下、常温でフィルム作成が困難となり、加圧下や低温下という特殊な条件下で実施しなくてはならない傾向にある。
このように、前記繰り返し単位(I)を含有するポリイミド(より好ましくは前記繰り返し単位(I)を全繰り返し単位に対して40モル%以上含有するポリイミド)は、より容易にキャスト溶媒に溶解させることが可能である。そのため、本発明のポリイミドは、比較的低沸点のキャスト溶媒に溶解させて、得られた溶液を用いて加工(製膜等)を行うことも可能となる(キャスト溶媒から製膜等の加工を行うことも可能である)。また、比較的低沸点のキャスト溶媒に溶解させて得られた溶液を用いて加工(製膜等)を行う場合には、加工時に、高温での加熱を不要とすることも可能であり、これにより環境負荷をより低減でき、最終製品の製造プロセス上も、より有利なものとすることも可能である。また、比較的低沸点のキャスト溶媒に溶解せしめた後、その溶解液からキャスト溶媒を除去するといった簡便な方法で各種形状に加工でき、高温での加熱が必ずしも必要ないことから、厚膜フィルムやブロック体などのような、厚みの大きな形状に加工しても、脱水による発泡等が生じることを十分に抑制することも可能であり、各種形状に、より容易に加工することも可能である。また、既に加工した後においても、再度キャスト溶媒に溶解させることが可能であることから、各種形態にした後に再度利用することや、各種形態に加工して保存(保管)することも可能である。
また、このようなポリイミドにおいて、イミド化率は特に制限されるものではないが、溶解性の観点からは、40%以上であることが好ましい。また、このようなイミド化率としては、耐熱性の観点からは、80%以上であることがより好ましく、85〜100%であることが更に好ましく、95〜100%であることが特に好ましい。このようなイミド化率は、測定対象のポリイミドをDMSO−d6またはCDCl3中に溶解させた試料を用いてNMRスペクトルを測定し、1H−NMRのグラフから10ppm付近(10ppm±1ppm)のN−HのHの積分値と測定対象のポリイミドの原料化合物である酸二無水物に由来する3.3ppmのHの積分値を求め、次に、前記2つの積分値の比率を利用して、それらを相対比較することで算出することが出来る。この場合、積分比(イミド化率)は、先ず、原料化合物の酸二無水物及びジアミンについて、それらが可溶な重溶媒(DMSO−d6等)に溶解させた試料を調製し、これらの1H−NMRスペクトルをそれぞれ測定し、それらの1H−NMRのグラフにおいて、酸二無水物のHの位置(ケミカルシフト)と積分値及びジアミンの中のHの位置(ケミカルシフト)と積分値を求め、かかる酸二無水物のHの位置と積分値及びジアミンのHの位置と積分値を基準に用いて、前記測定対象のポリイミドの1H−NMRのグラフにおいて10ppm付近のN−HのHの積分値に対して、相対比較することにより算出した値を採用する。なお、このような測定に際して、1H−NMRスペクトルを測定するポリイミドの量は、重溶媒(好ましくはDMSO−d6)に対して0.01〜5.0mass%となる量とし、原料化合物の酸二無水物の量及びジアミンの量は、それぞれそれらが可溶な重溶媒(DMSO−d6等)に対して0.01〜5.0mass%となるようにして利用する。なお、このようなイミド化率の測定に際しては、ポリイミドの量、原料化合物の酸二無水物の量及びジアミンの量(上記濃度)は、同一の濃度にして測定する。また、前記1H−NMR測定には、測定装置としてNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)を採用する。
また、このようなキャスト用のポリイミドとしては、保管上の観点からは、粉体状のものとしてもよい。このような粉体状のポリイミドとしては、平均粒子径が1〜10000μmであることが好ましく、10〜5000μmであることがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では化学イミド化で得られた粉体状のポリイミドを分離(遠心分離、ろ過分離、沈降分離)する際に分離が困難となり、濾過性の悪化や濾過材の目詰まり、濾過時間の長時間化、さらにはリンス液による洗浄効率の低下、リンス液の乾燥に長時間を要する等といった問題が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとスラリー濃度上昇による濾過性や撹拌性の悪化、粉体内部に残存する溶剤や副生物の除去が困難になるとともに、カサ密度の低下、溶剤乾燥に長時間を要する等といった問題が生じる傾向にある。なお、このような平均粒子径は光学顕微鏡によって直接観察する方法や、動的光散乱法、レーザー回折法などの方法により測定される値を採用することができる。また、ここにいう粒子径は、粒子が球形ではない場合には、その粒子の最大の外接円の直径をいう。
また、このようなキャスト用のポリイミドは、本発明のポリイミドの好適な一実施形態でありつつ、溶媒の中でも、特に、上述のようなキャスト溶媒のうちの少なくとも1種に十分に溶解させることが可能なものであることから、ポリイミドの状態で長期間保存した後、かかるキャスト溶媒に溶解せしめ、用いる用途に応じて適宜加工することが可能なものである。このように、キャスト用のポリイミドは、上述のようなキャスト溶媒のうちの少なくとも1種に十分に溶解させることが可能なものであることから、長期保存性及び加工性が、より高度なものとなる。また、このようなキャスト用のポリイミドは、塩化メチレン(沸点:40℃)又はクロロホルム(沸点:62℃)のいずれか又は双方の溶媒(キャスト溶媒の中でも比較的低沸点のキャスト溶媒)に容易に溶解するものとすることも可能であるため、それらの溶媒に溶解させて得られた塗布液を、ガラス等の基板上に塗布し、溶媒を比較的低温(例えば100℃程度以下)で除去することで、ポリイミドフィルムを得ることもでき、最終製品を製造する過程において、例えば250℃程度以上の高温(例えば熱イミド化に際しては400℃程度の加熱が採用される場合もある。)での熱処理を採用することを不要とすることができる。そのため、かかる観点からも加工性が十分に高いものであるといえる。
なお、このように、キャスト加工性の観点からは、より低沸点のキャスト溶媒に溶解することが好ましいが、このようなキャスト用のポリイミドは、キャスト溶媒以外にも、重合時に利用する有機溶媒に溶解するものであってもよい。すなわち、このようなキャスト用のポリイミドは、重合時に利用する有機溶媒に溶解するものであっても好適に利用できる。また、この場合、例えば、製造時に得られるポリイミドと、有機溶媒との溶液(反応液)をそのまま利用して、各種形状に加工することも可能となる。このような重合時に利用する有機溶媒としては、後述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法およびポリイミドを製造するための方法として好適に利用可能な方法において有機溶媒として例示するものを適宜利用してもよい。また、このような重合時に利用する有機溶媒であって、ポリイミドを溶解させるための溶媒としては、より高度な溶解性を得るといった観点から、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。
以上、本発明のポリイミドについて説明したが、このような本発明のポリイミドを製造するための方法については後述する。以下、先に、本発明のポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能な、本発明のポリアミド酸について説明する。
[ポリアミド酸]
本発明のポリアミド酸は、下記一般式(3):
本発明のポリアミド酸は、下記一般式(3):
[式(3)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、R4は下記一般式(2−1)〜(2−3):
で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするものである。
このようなポリアミド酸は、本発明のポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能なものである(本発明のポリイミドを製造する際の反応中間体(前駆体)としても得ることが可能なものである。)。このような一般式(3)中のR1、R4及びAは、上記一般式(1)中のR1、R4及びAと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1、R4及びAと同様である。
このようなポリアミド酸としては、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.1〜2.0dL/gであることがより好ましい。このような固有粘度[η]が0.05dL/gより小さいと、これを用いてフィルム状のポリイミドを製造した際に、得られるフィルムが脆くなる傾向にあり、他方、3.0dL/gを超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、例えばフィルムを製造した場合に均一なフィルムを得ることが困難となる。また、このような固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解させて、測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用いる。
また、このようなポリアミド酸としては、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を主として含有するものがより好ましい。さらに、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を主として含有するポリアミド酸としては、上記一般式(3)で表される繰り返し単位の含有量が全繰り返し単位に対して40〜100モル%(より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80モル%〜100モル%、特に好ましくは85モル%〜100モル%、最も好ましくは95〜100モル%)であることが好ましい。なお、このようなポリアミド酸においては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、例えば、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物に由来する繰り返し単位等が挙げられる。なお、このような他のテトラカルボン酸二無水物については後述する。
また、本発明のポリアミド酸としては、上記一般式(3)で表され、該式(3)中のR4が上記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位(I’)を、全繰り返し単位に対して40モル%以上含有してなるものが好ましい。なお、前記繰り返し単位(I’)の総量は、そのポリアミド酸を用いて得られるポリイミドのキャスト溶媒に対する溶解性の観点から、60〜100モル%であることがより好ましく、90〜100モル%であることが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
本発明のポリアミド酸は、有機溶媒に含有せしめて、ポリアミド酸の溶液(樹脂溶液:ワニス)の形態として利用してもよい。このようなポリアミド酸の溶液(樹脂溶液:ワニス)によれば、各種形態のポリイミドを効率よく製造することが可能である。このようなポリアミド酸の溶液に用いる有機溶媒としては、後述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法において、有機溶媒として説明するものと同様のものを好適に利用することができる。このような観点から、前記ポリアミド酸の溶液(本発明のポリアミド酸と有機溶媒とを含有する溶液)は、後述のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法を実施して、反応後に得られた反応液をそのままポリアミド酸の溶液(ポリアミド酸溶液)とすることで調製してもよい。
このように、本発明のポリアミド酸をポリアミド酸溶液の形態にして利用する場合、前記ポリアミド酸溶液中の前記ポリアミド酸の含有量は特に制限されないが、1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満ではポリアミド酸の分子量が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドの製造が困難となる傾向にある。なお、このようなポリアミド酸溶液は、上記本発明のポリイミドの製造する際に好適に利用することができる。以下、このような本発明のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法について説明する。
(ポリアミド酸を製造するための方法)
このようなポリアミド酸を製造するための方法としては、特に制限されず、例えば、有機溶媒の存在下、下記一般式(4):
このようなポリアミド酸を製造するための方法としては、特に制限されず、例えば、有機溶媒の存在下、下記一般式(4):
[式(4)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(201)〜(203):
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(201)〜(203):
で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を得る工程を含む方法を好適に利用することができる。
このようなポリアミド酸を製造するための方法(ポリアミド酸を製造するためための方法として好適に利用可能な方法)に用いるテトラカルボン酸二無水物は、上記一般式(4)で表される化合物である。このような一般式(4)中のR1及びAは、上記一般式(3)中のR1及びAと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(3)中のR1及びAと同様である。すなわち、このような一般式(4)中のR1及びAは、上記一般式(1)中のR1及びAと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1及びAと同様である。また、このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。なお、このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な方法については後述する。
また、前記芳香族ジアミンとしては、上記一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含有するものを用いる。このような一般式(201)〜(203)で表される化合物としては、得られるポリアミド酸を用いて形成されるポリイミドの溶媒への溶解性をより高いものとするといった観点からは、一般式(201)で表される化合物が好ましく、また、耐熱性(軟化温度)が向上するといった観点からは、一般式(203)で表される化合物が好ましい。なお、このような一般式(201)〜(203)で表される化合物としては、それぞれ市販のものを適宜用いてもよい。また、このような芳香族ジアミンは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
なお、例えば、ポリアミド酸を上記一般式(3)で表される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を含有するものとする場合、かかるポリアミド酸の製造の際に、前記芳香族ジアミンとして、上記一般式(201)〜(203)で表される化合物とともに、上記一般式(201)〜(203)で表される化合物以外の他の芳香族系のジアミン化合物を組み合わせて含有せしめたものを利用して、反応後(製造後)のポリアミド酸に、上記一般式(3)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含有せしめてもよい。
このような他の芳香族系のジアミン化合物としては、ポリイミドやポリアミド酸の製造に用いることが可能な公知のジアミン化合物を適宜利用することができ、特に制限されず、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル,3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン等が挙げられる。
また、前記工程に用いる有機溶媒としては、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの両者を溶解することが可能な有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;などが挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンとの使用割合は、特に制限されないが、前記芳香族ジアミンが有するアミノ基1当量に対して、前記テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を0.2〜2当量とすることが好ましく、0.3〜1.2当量とすることがより好ましい。このようなテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの好適な使用割合が前記下限未満では重合反応が効率よく進行せず高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記と同様に高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にある。
さらに、前記有機溶媒の使用量としては、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの総量が、反応溶液の全量に対して1〜80質量%(より好ましくは5〜50質量%)になるような量であることが好ましい。このような有機溶媒の使用量が前記下限未満では効率よくポリアミド酸を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高粘度化により攪拌が困難となり、高分子量体が得られない傾向にある。
また、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンとを反応させる際に、反応速度の向上と高重合度のポリアミド酸を得るという観点から、前記有機溶媒中に塩基性化合物を更に添加してもよい。このような塩基性化合物としては特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、テトラブチルアミン、テトラヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、ピリジン、イソキノリン、α−ピコリン等が挙げられる。また、このような塩基性化合物の使用量は、前記テトラカルボン酸二無水物1当量に対して、0.001〜10当量とすることが好ましく、0.01〜0.1当量とすることがより好ましい。このような塩基性化合物の使用量が前記下限未満では添加効果が発現しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色等の原因になる傾向にある。
また、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンとを反応させる際の反応温度は、これらの化合物を反応させることが可能な温度に適宜調整すればよく、特に制限されないが、15〜100℃とすることが好ましい。また、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンとを反応させる方法としては、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの重合反応を行うことが可能な方法を適宜利用でき、特に制限されず、例えば、大気圧中、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下において、前記芳香族ジアミンを溶媒に溶解させた後、前記反応温度において前記テトラカルボン酸二無水物を添加し、その後、10〜48時間反応させる方法を採用してもよい。このような反応温度や反応時間が前記下限未満では十分に反応させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。
このようにして、有機溶媒の存在下、前記テトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンとを反応させて、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を得ることができる。
また、このようにして得られるポリアミド酸を、上記一般式(3)で表される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を含有するものとする場合には、かかるポリアミド酸の製造の際に、前記テトラカルボン酸二無水物及び前記芳香族ジアミンとしての上記一般式(201)〜(203)で表される化合物とともに、他のテトラカルボン酸二無水物及び/又は他の芳香族系のジアミン化合物を用いて、これらを反応させる方法等を適宜採用してもよい。
なお、このようなテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、芳香族テトラカルボン酸を使用する場合は、分子内CTによる着色を防止するため、その使用量は得られるポリイミドが十分な透明性を有することが可能となるような範囲内で適宜変更することが好ましい。
また、このような他のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合においては、前記テトラカルボン酸二無水物及び前記他のテトラカルボン酸二無水物(反応系に存在する全てのテトラカルボン酸二無水物)中の酸無水物基の総量を、前記芳香族ジアミンのアミノ基1当量に対して0.2〜2当量(より好ましくは0.3〜1.2当量)とすることが好ましい。
また、前記工程を実施した後に、前記有機溶媒中から上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離する場合、その単離方法は特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
なお、本発明のポリアミド酸として好適な、上述の繰り返し単位(I’)を、全繰り返し単位に対して40モル%以上含有してなるポリアミド酸を製造する場合においては、目的とするポリアミド酸の組成に応じて、前記繰り返し単位(I’)の含有比率が前述の範囲(全繰り返し単位に対して40モル%以上)となるように、芳香族ジアミンとして一般式(201)で表される化合物を選択的に利用すればよい。
以上、本発明のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法について説明したが、以下、このようなポリアミド酸を製造する際に用いる前記テトラカルボン酸二無水物(一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物)を製造するための方法として好適に利用可能な方法について説明する。
(テトラカルボン酸二無水物を製造するための方法)
このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な方法としては、例えば、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基と、パラジウム触媒と、下記一般式(5):
このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な方法としては、例えば、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基と、パラジウム触媒と、下記一般式(5):
[式(5)中、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される酸無水物と、下記一般式(6):
で表される酸無水物と、下記一般式(6):
[式(6)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、R2、R3はそれぞれ独立に脱離基を示す。]
で表される芳香族化合物とを含む混合液中で、前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させて、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る方法を挙げることができる。
で表される芳香族化合物とを含む混合液中で、前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させて、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る方法を挙げることができる。
このような方法に利用する一般式(5)で表される酸無水物において、式中のR1は上記本発明のポリアミド酸において説明したもの(上記一般式(3)中のR1)と同様であり、その好適なものも同様である。そのため、このような一般式(5)で表される酸無水物としては、例えば、無水ナジック酸、5−メチル無水ナジック酸、5,6−ジメチル無水ナジック酸、5−エチル−6−メチル無水ナジック酸、5,6−ジエチル無水ナジック酸、5−メチル−6−イソプロピル無水ナジック酸、5−n−ブチル無水ナジック酸等が挙げられる。なお、このような一般式(5)で表される酸無水物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような一般式(5)で表される酸無水物としては、市販のものを適宜利用してもよい。
上記一般式(6)で表される芳香族化合物において、式中のAは上記本発明のポリアミド酸において説明したもの(上記一般式(3)中のA)と同様であり、その好適なものも同様である。
また、前記一般式(6)中、R2及びR3はそれぞれ独立に脱離基を示す。このようなR2又はR3で表される脱離基は、いわゆる還元的ヘック反応が可能となるようなものであればよく、特に制限されず、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基等が挙げられる。このようなR2及びR3で表される脱離基の中でもハロゲン原子がより好ましく、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がより好ましく、臭素原子、ヨウ素原子が特に好ましい。このような芳香族化合物としては、ジヨードベンゼン、ジヨードビフェニル、ジブロモベンゼン、2,5−ジブロモ−p−キシレン、ジエチルジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモナフタレン等が挙げられる。なお、このような芳香族化合物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような芳香族化合物としては、市販のものを適宜利用してもよい。
また、このようなテトラカルボン酸二無水物を得るための方法として好適な方法においては、上記一般式(5)で表される酸無水物及び上記一般式(6)で表される芳香族化合物とともに、前記還元剤、前記塩基、前記パラジウム触媒を含有する混合液を利用する。このように、前記混合液中にパラジウム触媒を含有せしめることにより、パラジウム触媒の存在下において、反応をより効率よく進行せしめることが可能となる。
このようなパラジウム触媒としては、特に制限されず、公知のパラジウム触媒を適宜利用することができ、例えば、パラジウム錯体やパラジウムを担体に担持した触媒を好適に利用することができる。このようなパラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等が挙げられる。このようなパラジウム触媒としては、反応収率の観点からは、酢酸パラジウム、塩化パラジウム又はこれらに他の配位子(他の錯イオンや他の分子:例えば、酢酸パラジウムの場合、酢酸イオン以外の錯イオンや分子)が更に結合した錯体を用いることがより好ましく、酢酸パラジウム又はこれに配位子(他の錯イオンや他の分子)が更に結合した錯体を用いることが特に好ましい。なお、このようなパラジウム触媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて利用することができる。また、このようなパラジウム触媒として好適な、酢酸パラジウムに他の配位子他の錯イオンや他の分子が更に結合した錯体としては、例えば、トランス−ジ−(μ−アセテート)ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(Herrmann’s触媒)等の錯体が挙げられる。
また、前記混合液には、パラジウムに配位子として結合する化合物を更に含有させることが好ましい。このようなパラジウムに配位子として結合する化合物としては、例えば、ホスフィン化合物(有機リン化合物:例えば、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、オルト−ビス(ジメチルアミノホスフィノ)トルエン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等)等が挙げられる。このような化合物を用いることで、混合液中において、パラジウム錯体と配位子が結合した新たなパラジウム錯体を形成して反応せしめることも可能であり、これにより、反応効率を向上させることが可能となる。また、このようなパラジウムに配位子として結合する化合物としては、反応効率の観点から、ホスフィン化合物を用いることが好ましく、中でも、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、オルト−ビス(ジメチルアミノホスフィノ)トルエン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを用いることがより好ましい。
また、このようなパラジウム触媒においては、触媒中のパラジウムが2価のものがより好ましく、式:PdX2[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る1価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物(又は構造)を含むものを好適に利用できる。
また、前記塩基としては、特に制限されず、いわゆる還元的ヘック反応に用いることが可能な公知の塩基を適宜利用することができる。このような塩基としては、特に制限されず、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。また、このような塩基としては、例えば、式:NR3[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミンを利用してもよい。このような式:NR3で表されるアミンにおいて、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜20(より好ましくは1〜5)の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることが好ましい。このような炭素数が前記上限を超えると精製が困難となる傾向にある。また、このような塩基としては、反応収率向上の観点から、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムを用いることがより好ましく、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを用いることが更に好ましい。なお、このような塩基は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて利用することができる。
また、前記還元剤としては、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。このような還元剤を用いることにより、効率よく還元的ヘック反応を進行させることが可能となり、十分に効率よく目的生成物を得ることが可能となる。このような還元剤(水素源)としては、反応効率の観点から、ギ酸が好ましい。
また、前記混合液においては、上記一般式(5)で表される酸無水物、上記一般式(6)で表される芳香族化合物、前記還元剤、前記塩基、前記パラジウム触媒の他に、更に溶媒を含有させることが好ましい。このように溶媒を用いることにより、溶媒中においてより効率よく反応を進行させることが可能となる。このような溶媒としては、公知の溶媒を用いることでき、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。このような溶媒の中でも、反応収率がより向上することや、用いる各成分の溶解性が高いこと等から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを用いることがより好ましい。
なお、前記混合液中に、前記還元剤及び前記塩基を含有させる方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記還元剤(例えばギ酸等)と、前記塩基(例えばトリエチルアミン等)とをそれぞれ添加することにより、前記還元剤及び前記塩基を混合液中に含有させてもよく、また、前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩を混合液中に添加することにより、混合液中に前記還元剤と、前記塩基とを含有させてもよい。このような前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩としては、例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアミン塩等が挙げられる。
また、このような混合液中の一般式(5)で表される酸無水物の含有量は、前記一般式(6)で表される芳香族化合物1モルに対して0.5〜10モルとすることが好ましく、1.5〜5モルとすることがより好ましい。このような一般式(5)で表される酸無水物の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中の一般式(5)及び(6)で表される化合物の総量は、1〜80質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましい。このような総量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中のパラジウム触媒の含有量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量が、前記一般式(5)で表される化合物のモル量の0.00001〜0.1倍モル(より好ましくは0.0001〜0.05倍モル)となる量とすることが好ましい。このようなパラジウム触媒の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向がある。
なお、前記混合液に、パラジウムに配位子として結合する化合物(好ましくはホスフィン化合物)を更に含有させる場合において、該化合物の含有量は、パラジウム触媒中のパラジウムのモル量に対して0.5〜10倍モル(より好ましくは1〜5倍モル)となる量とすることが好ましい。このような化合物の含有量が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向がある。
また、このような混合液中の塩基の含有量としては、前記一般式(2)で表される化合物のモル量に対して0.5〜10.0倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような塩基の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、前記混合液中の前記還元剤の含有量としては特に制限されないが、前記還元剤のモル量が、前記一般式(2)で表される化合物のモル量の0.5〜10倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような還元剤の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このような混合液中の溶媒の含有量としては、混合液の全量に対して、20〜99質量%とすることが好ましく、50〜95質量%とすることがより好ましい。このような溶媒の使用量が前記下限未満では副生成物が増加する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応効率が低下する傾向にある。
また、本発明においては、前記混合液中で、前記酸無水物と前記芳香族化合物とを反応させる。このような反応の概略を反応式で示すと、下記反応式(I):
[反応式(I)中、R1、R2、R3、Aは、それぞれ上記一般式(4)〜(6)中のR1、R2、R3、Aと同義である。]
で表されるようなものとなる。なお、反応式(I)中の塩基としては、前述のものを適宜利用すればよく、例えば、式:NR3[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミン等を用いてもよい。また、反応式(I)中のパラジウム触媒としては、前述のパラジウム触媒を適宜利用でき、例えば、式:PdX2[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る一価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物を含む触媒等を用いてもよい。このような反応式(I)は、パラジウム触媒の存在下、いわゆる還元的ヘック反応により、前記酸二無水物と前記芳香族化合物とを反応させる工程の概略を示すものである。このように、パラジウム触媒と、一般式(2)で表される酸二無水物と、一般式(6)で表される芳香族化合物と、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基とを含有する混合液中において、還元的ヘック反応により、パラジウム触媒の存在下、前記酸二無水物と前記芳香族化合物との反応を進行せしめて、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸無水物を製造することができる。
で表されるようなものとなる。なお、反応式(I)中の塩基としては、前述のものを適宜利用すればよく、例えば、式:NR3[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミン等を用いてもよい。また、反応式(I)中のパラジウム触媒としては、前述のパラジウム触媒を適宜利用でき、例えば、式:PdX2[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る一価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物を含む触媒等を用いてもよい。このような反応式(I)は、パラジウム触媒の存在下、いわゆる還元的ヘック反応により、前記酸二無水物と前記芳香族化合物とを反応させる工程の概略を示すものである。このように、パラジウム触媒と、一般式(2)で表される酸二無水物と、一般式(6)で表される芳香族化合物と、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基とを含有する混合液中において、還元的ヘック反応により、パラジウム触媒の存在下、前記酸二無水物と前記芳香族化合物との反応を進行せしめて、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸無水物を製造することができる。
このような反応における雰囲気ガスの条件としては、原料及び生成物の安定性の観点から、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。このような不活性ガスとしては、特に制限されず、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。また、このような反応の際の反応温度は、用いる原料化合物やパラジウム触媒の種類によっても異なるものであり、特に制限されず、例えば、20〜180℃としてもよく、より高い反応効率が得られるといった観点からは、40〜150℃に加熱することがより好ましく、50〜120℃に加熱することが更に好ましい。このような反応温度の温度条件が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。また、このような反応の反応時間は、0.5〜20時間(より好ましくは2〜15時間)とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このようにして、前記混合液を用いて適宜加熱する等して、還元的ヘック反応を進行せしめることによって、十分に効率よく一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることができる。
また、前述のようにしてテトラカルボン酸二無水物を調製した場合、前記還元的ヘック反応を進行せしめた混合液(反応液)から反応溶媒等を減圧下で留去する工程を更に施してもよい。また、このような反応溶媒等を減圧下で留去する工程においては、前記混合液(反応液)に対して、反応溶媒以上の高沸点溶媒を予め添加しておくことで、反応溶媒を留去後、反応溶媒以上の高沸点溶媒を存在せしめることが可能となり、得られる混合物の撹拌性が向上する傾向にある。このような反応溶媒以上の高沸点溶媒としては、特に制限はされず、反応溶媒以上の沸点を有する既知の溶媒を適宜利用することができ、例えば、炭素数10以上の炭化水素系溶媒、炭素数6以上のエーテル系溶媒、炭素数8以上のエステル系溶媒を用いることができる。
また、還元的ヘック反応を進行せしめた混合液(反応液)を得た後においては、より純度の高い目的物を得るといった観点から、目的化合物の種類に応じて、精製工程を適宜実施してもよい。このような精製工程は特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができる(公知の条件等を適宜利用できる)。なお、このような精製工程としては、精製の容易さの観点からは、超強酸を用いた精製を利用してもよい。このような超強酸としては、特に制限されないが、反応収率向上の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸が好ましい。
以上、テトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な方法(上述の方法を。以下、場合により単に「第一の製法」と称する。)を説明したが、このようなテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法は、これに制限されるものではなく、他の方法を利用してもよい。このようなテトラカルボン酸二無水物を製造するための他の方法としては、例えば、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基と、パラジウム触媒と、下記一般式(501):
[式(501)中、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるジエステル化合物と、上記一般式(6)で表される芳香族化合物とを含む混合液中で、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物とを反応させて、下記一般式(401):
で表されるジエステル化合物と、上記一般式(6)で表される芳香族化合物とを含む混合液中で、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物とを反応させて、下記一般式(401):
[式(401)中、Aは置換基を有していてもよく、かつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR1は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示し、複数のR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるテトラエステル化合物を得る工程(A)と、
前記テトラエステル化合物を、酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る工程(B)とを含む方法(以下、場合により「第二の製法」と称する。)を採用することができる。
で表されるテトラエステル化合物を得る工程(A)と、
前記テトラエステル化合物を、酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る工程(B)とを含む方法(以下、場合により「第二の製法」と称する。)を採用することができる。
このような工程(A)に用いる、還元剤、塩基、パラジウム触媒、上記一般式(6)で表される芳香族化合物は、それぞれ、前述のものと同様のものである(その好適なものも同様である。)。また、このような第二の製法において用いるジエステル化合物に関して、前記一般式(501)中のR1は、前記テトラカルボン酸二無水物において説明したもの(上記一般式(4)中のR1)と同様のものであり、その好適なものも同様である。
また、一般式(501)中のR10として選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜5のアルキル基である。このような炭素数が5を超えると精製が困難となる。また、このようなR10として選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR10として選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
このような一般式(501)で表されるジエステル化合物としては、例えば、ナジック酸ジメチルエステル、5−メチルナジック酸ジメチルエステル、5,6−ジメチルナジック酸ジメチルエステル、5−エチル−6−メチルナジック酸ジメチルエステル、5,6−ジエチルナジック酸ジメチルエステル、5−メチル−6−イソプロピルナジック酸ジメチルエステル、5−n−ブチルナジック酸ジメチルエステル等が挙げられる。なお、このような一般式(501)で表されるジエステルを製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような一般式(501)で表されるジエステル化合物としては、市販のものを適宜利用してもよい
また、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物としては、かかる化合物をより効率よく製造できることから、一般式:R10−OH(式中、R10は炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)で表されるアルコールと、上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させて得られるものを用いることが好ましい。すなわち、前記第二の製法においては、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物を得るために、一般式:R10−OH(式中、R10は炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)で表されるアルコールと、上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させて、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物を得る工程(C)を更に含むことが好ましい。
また、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物としては、かかる化合物をより効率よく製造できることから、一般式:R10−OH(式中、R10は炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)で表されるアルコールと、上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させて得られるものを用いることが好ましい。すなわち、前記第二の製法においては、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物を得るために、一般式:R10−OH(式中、R10は炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)で表されるアルコールと、上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させて、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物を得る工程(C)を更に含むことが好ましい。
このようなジエステル化合物を得る工程(C)に用いるアルコールは、一般式:R10−OHで表されるものである。このようなアルコールを表す式中のR10は、一般式(501)中のR10と同様のものであり、その好適なものも同様である。また、工程(C)に用いる上記一般式(5)で表される酸無水物は、前述の第一の製法において説明したものと同様のものである(その好適なものも同様である。)。
このようなジエステル化合物を得る工程(C)においては、アルコール(R10−OH)と上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させる。このような反応の際の条件は特に制限されず、これらの化合物(前記アルコール及び前記酸無水物)を反応させて、前記酸無水物中の無水物基をエステルとすることが可能な条件を適宜採用して、反応を進行せしめればよい。そして、このような反応をより効率よく進行させるといった観点からは、酸触媒を利用することが好ましい。このような酸触媒としては特に制限されず、前記酸無水物中の無水物基をアルコールと反応させてエステル化する際に利用することが可能な公知の触媒を適宜利用することができる。また、このような酸触媒としては、市販のものを利用してもよい。
前記ジエステル化合物を得る工程(C)において、アルコール(R10−OH)と上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させる際には、反応収率向上の観点から、アルコール(R10−OH)を化学量論比以上に過剰に利用して、過剰分を溶媒として利用してもよい。また、工程(C)においては、アルコール以外に、別途、他の溶媒を用いてもよい。このような他の溶媒としては、公知の溶媒を用いることでき、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。このような溶媒の中でも、反応収率がより向上することや、用いる各成分の溶解性が高いこと等から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを用いることがより好ましい。
工程(C)において、アルコール(R10−OH)と上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させる際の温度条件としては特に制限されないが、30〜140℃とすることが好ましく、50〜120℃とすることがより好ましい。このような温度条件が前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にあり、他方、前記下限未満では反応収率が低下する傾向にある。なお、より効率よく反応を進行させるといった観点からは、アルコール(R10−OH)の種類に応じて、還流条件となるように加熱して反応を進行させることが好ましい。このようにして、アルコール(R10−OH)と上記一般式(5)で表される酸無水物とを反応させることで、工程(A)に用いるジエステル化合物を効率よく得ることができる。なお、このようなジエステル化合物を調製した後においては、その種類に応じて、精製工程を適宜施してもよい。
また、工程(A)においては、前記還元剤と、前記塩基と、前記パラジウム触媒と、前記ジエステル化合物と、前記芳香族化合物とを含む混合液を用いる。このような混合液を用いることで、混合液中にパラジウム触媒が含まれることから、パラジウム触媒の存在下において反応を進行せしめることが可能となる。なお、前記混合液には、パラジウムに配位子として結合する化合物を更に含有させてもよく、かかるパラジウムに配位子として結合する化合物は、上述の第一の製法において説明したものと同様のものを用いることができる(その好適なものも同様のものである。)
なお、このような混合液中の反応により得られる一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に関して、式(401)中のR1及びR10はそれぞれ上記一般式(501)中のR1及びR10と同義であり(その好適なものも同様である。)、また、式(401)中のAは上記一般式(6)中のAと同義である(その好適なものも同様である。)。このような反応により得られる一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に関して、式(401)中のR1、R10及びAは、その原料化合物として用いられる上記一般式(501)で表される化合物及び上記一般式(6)で表される化合物に由来したものとなる。
なお、このような混合液中の反応により得られる一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に関して、式(401)中のR1及びR10はそれぞれ上記一般式(501)中のR1及びR10と同義であり(その好適なものも同様である。)、また、式(401)中のAは上記一般式(6)中のAと同義である(その好適なものも同様である。)。このような反応により得られる一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に関して、式(401)中のR1、R10及びAは、その原料化合物として用いられる上記一般式(501)で表される化合物及び上記一般式(6)で表される化合物に由来したものとなる。
また、このような混合液においては、上記一般式(501)で表されるジエステル化合物、上記一般式(6)で表される芳香族化合物、前記還元剤、前記塩基、前記パラジウム触媒の他に、更に溶媒を含有させることが好ましい。このように溶媒を用いることにより、溶媒中においてより効率よく反応を進行させることが可能となる。このような溶媒としては、公知の溶媒を用いることができ、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。このような溶媒の中でも、反応収率がより向上することや、用いる各成分の溶解性が高いこと等から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを用いることがより好ましい。
なお、前記混合液中に、前記還元剤及び前記塩基を含有させる方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記還元剤(例えばギ酸等)と、前記塩基(例えばトリエチルアミン等)とをそれぞれ添加することにより、前記還元剤及び前記塩基を混合液中に含有させてもよく、また、前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩を混合液中に添加することにより、混合液中に前記還元剤と、前記塩基とを含有させてもよい。このような前記還元剤(例えばギ酸)と前記塩基とからなる塩としては、例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアミン塩等が挙げられる。
また、このような混合液中の一般式(501)で表されるジエステル化合物の含有量は、前記一般式(6)で表される芳香族化合物1モルに対して0.5〜10モルとすることが好ましく、1.5〜5モルとすることがより好ましい。このような一般式(501)で表されるジエステル化合物の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中の一般式(501)で表される化合物及び一般式(6)で表される化合物の総量は、1〜80質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましい。このような総量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、このような混合液中のパラジウム触媒の含有量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量が、前記一般式(501)で表される化合物のモル量の0.00001〜0.1倍モル(より好ましくは0.0001〜0.05倍モル)となる量とすることが好ましい。このようなパラジウム触媒の含有量が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向にある。
なお、前記混合液に、パラジウムに配位子として結合する化合物(好ましくはホスフィン化合物)を更に含有させる場合において、該化合物の含有量は、パラジウム触媒中のパラジウムのモル量に対して0.5〜10倍モル(より好ましくは1〜5倍モル)となる量とすることが好ましい。このような化合物の含有量が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応が過剰に進行し、制御しにくくなる傾向にある。
また、このような混合液中の塩基の含有量としては、前記一般式(501)で表される化合物のモル量に対して0.5〜10.0倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような塩基の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
また、前記混合液中の前記還元剤の含有量としては特に制限されないが、前記還元剤のモル量が、前記一般式(501)で表される化合物のモル量の0.5〜10倍モル(より好ましくは1.0〜5.0倍モル)となる量とすることが好ましい。このような還元剤の含有量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このような混合液中の溶媒の含有量としては、混合液の全量に対して、20〜99質量%とすることが好ましく、50〜95質量%とすることがより好ましい。このような溶媒の使用量が前記下限未満では副生成物が増加する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応効率が低下する傾向にある。
このような混合液中での前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物との反応の概略を、反応式で示すと、下記反応式(II):
[反応式(II)中、R1、R2、R3、R10、Aは、それぞれ、上記一般式(501)、上記一般式(6)及び上記一般式(401)中のR1、R2、R3、R10、Aと同義である。]
で表されるようなものとなる。なお、反応式(II)中の塩基としては、前述のものを適宜利用すればよく、例えば、式:NR3[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミン等を用いてもよい。また、反応式(II)中のパラジウム触媒としては、前述のパラジウム触媒を適宜利用でき、例えば、式:PdX2[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る一価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物を含む触媒等を用いてもよい。このような反応式(II)は、パラジウム触媒の存在下、いわゆる還元的ヘック反応により、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物とを反応させる工程の概略を示すものである。このように、工程(A)においては、パラジウム触媒と、一般式(501)で表されるジエステル化合物と、一般式(6)で表される芳香族化合物と、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基とを含有する混合液中において、還元的ヘック反応により、パラジウム触媒の存在下、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物との反応を進行せしめて、上記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を製造する。
で表されるようなものとなる。なお、反応式(II)中の塩基としては、前述のものを適宜利用すればよく、例えば、式:NR3[式中、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る1価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基等]で表されるアミン等を用いてもよい。また、反応式(II)中のパラジウム触媒としては、前述のパラジウム触媒を適宜利用でき、例えば、式:PdX2[式中、Xは2価のパラジウム錯体を形成し得る一価のイオン(例えば、酢酸イオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン等)を示す。]で表される化合物を含む触媒等を用いてもよい。このような反応式(II)は、パラジウム触媒の存在下、いわゆる還元的ヘック反応により、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物とを反応させる工程の概略を示すものである。このように、工程(A)においては、パラジウム触媒と、一般式(501)で表されるジエステル化合物と、一般式(6)で表される芳香族化合物と、ギ酸、2−プロパノール及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤と、塩基とを含有する混合液中において、還元的ヘック反応により、パラジウム触媒の存在下、前記ジエステル化合物と前記芳香族化合物との反応を進行せしめて、上記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を製造する。
このような反応における雰囲気ガスの条件としては、原料及び生成物の安定性の観点から、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。このような不活性ガスとしては、特に制限されず、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。また、このようなジエステル化合物と前記芳香族化合物との反応の際の反応温度は、用いる原料化合物やパラジウム触媒の種類によっても異なるものであり、特に制限されず、例えば、20〜180℃としてもよく、より高い反応効率が得られるといった観点からは、40〜150℃に加熱することがより好ましく、50〜120℃に加熱することが更に好ましい。このような反応温度の温度条件が前記下限未満では反応効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。また、このようなジエステル化合物と前記芳香族化合物との反応の反応時間は、0.5〜20時間(より好ましくは2〜15時間)とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副生成物が増加する傾向にある。
このようにして、工程(A)において、前記混合液を用いて適宜加熱する等して、還元的ヘック反応を進行せしめることによって、十分に効率よく一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を得ることができる。なお、このような還元的ヘック反応を進行せしめた混合液(反応液)を得た後においては、該混合液から前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を、公知の方法(例えば、貧溶媒を利用することで析出させて分離する方法等)を適宜採用して分離してもよい。
工程(B)は、前記テトラエステル化合物を、酸触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る工程である。このように、工程(B)は、工程(A)により得られたテトラエステル化合物を、上述のような所定の加熱工程によりテトラカルボン酸二無水物とする工程である。
工程(B)に用いる酸触媒としては特に制限されないが、精製の容易さの観点から、均一系酸触媒であることが好ましい。このような均一系酸触媒としては特に制限されず、工程(B)における反応に用いることが可能な公知の均一系酸触媒を適宜利用することができる。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ヘプタフルオロイソプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ヘプタフルオロデカンスルホン酸、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、クロロジフルオロ酢酸をあげることができる。また、このような均一系酸触媒としては、反応収率向上の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、クロロジフルオロ酢酸がより好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホン酸が更に好ましい。なお、このような均一系酸触媒としては、1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、前記均一系酸触媒の使用量としては、特に制限されないが、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物(テトラカルボン酸二無水物の原料化合物)の使用量(モル量)に対して、均一系酸触媒の酸のモル量が0.001〜2.00モル当量(より好ましくは0.01〜1.00モル当量)となるような量とすることが好ましい。このような均一系酸触媒の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えた場合には、触媒を利用することにより得られる効果をそれ以上向上させることが困難となり、却って経済性が低下する傾向にある。なお、ここにいう均一系酸触媒の酸のモル量は、前記均一系酸触媒中の官能基(例えばスルホン酸基(スルホ基)やカルボン酸基(カルボキシル基)等)換算によるモル量である。
また、前記均一系酸触媒の使用量は、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物100質量部に対して0.1〜200質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることがより好ましい。このような均一系酸触媒の使用量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると副反応物が生成しやすくなる傾向にある。
さらに、工程(B)においては、炭素数1〜5のカルボン酸(以下、場合により単に「低級カルボン酸」という。)を用いる。このような低級カルボン酸の炭素数が前記上限を超えると、製造及び精製が困難となる。また、このような低級カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられ、中でも、製造及び精製の容易さの観点から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、ギ酸、酢酸がより好ましい。このような低級カルボン酸は1種を単独で或は2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このような低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸)の使用量としては特に制限されないが、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような低級カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)の使用量が前記下限未満では収量が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が低下する傾向にある。また、前記低級カルボン酸中における前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物の含有量としては、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
以上、工程(B)に用いる酸触媒及び炭素数1〜5のカルボン酸について説明したが、次いで、工程(B)における加熱工程について説明する。なお、ここにいう加熱工程は、酸触媒を用いて、前記低級カルボン酸中において、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を加熱する工程(加熱工程)である。なお、このような加熱工程においては、前記酸触媒を用いて、前記低級カルボン酸中において、前記テトラエステル化合物を加熱して、前記テトラエステル化合物中のエステル基を、酸無水物基とすることが可能な条件であれば適宜採用することができ、エステルを酸無水物とすることが可能な公知の反応において採用されるような条件を適宜利用することができる。
このような加熱工程においては、先ず、前記低級カルボン酸中における加熱が可能となるように、前記低級カルボン酸、前記テトラエステル化合物及び前記酸触媒の混合物を調製することが好ましい。このような混合物の調製方法は特に制限されず、加熱工程に利用する装置などに応じて適宜調製すればよく、例えば、同一の容器内にこれらを添加(導入)することで調製してもよい。また、このような加熱工程においては、前記低級カルボン酸に更に他の溶剤を添加して利用してもよい。このような溶剤(他の溶媒)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒;エーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトンやMEKなどのケトン系溶媒;DMF、NMP、DMI、DMAc等のアミド系溶媒が挙げられる。
また、このような加熱工程においては、前記低級カルボン酸とともに無水酢酸を利用してもよい。このように無水酢酸を利用することにより、反応時に生成された水と無水酢酸を反応させて酢酸を形成させることが可能となり、反応時に生成される水の除去を効率よく行うことが可能となる。また、このような無水酢酸を利用する場合において、該無水酢酸の使用量は特に制限されないが、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような無水酢酸の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると収量が低下する傾向にある。
また、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の温度条件としては特に制限されないが、加熱温度の上限を180℃(より好ましくは150℃、更に好ましくは140℃、特に好ましくは130℃)とすることが好ましく、他方、前記加熱温度の下限を80℃(より好ましくは100℃、更に好ましくは110℃)とすることが好ましい。このような加熱の際の温度範囲(温度条件)としては、80〜180℃とすることが好ましく、80〜150℃とすることがより好ましく、100〜140℃とすることが更に好ましく、110〜130℃とすることが特に好ましい。このような温度条件が前記下限未満では反応が十分に進行せず、目的とするテトラカルボン酸二無水物を十分に効率よく製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒活性が低下する傾向にある。また、このような加熱温度は、上記温度条件の範囲内において、前記均一系酸触媒の沸点よりも低い温度に設定することが好ましい。このように加熱温度を設定することにより、より効率よく生成物を得ることができる。
また、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物(原料化合物)を前記低級カルボン酸中において加熱する際の圧力条件(反応時の圧力条件)としては特に制限されず、常圧下であっても、加圧条件下であっても或は減圧条件下であってもよく、いずれの条件下であっても反応を進行させることが可能である。そのため、加熱工程の際には、例えば、特に圧力を制御せずに、還流を採用する場合には溶媒となる低級カルボン酸の蒸気等による加圧条件下で反応を行ってもよい。また、このような圧力条件としては、0.001〜10MPaとすることが好ましく、0.1〜1.0MPaとすることが更に好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では低級カルボン酸が気化してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応で生成する低級カルボン酸エステルが揮発せず、エステル交換の平衡反応が進行しにくくなる傾向にある。なお、このような反応は、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物(原料化合物)と低級カルボン酸とから、テトラカルボン酸二無水物と低級カルボン酸エステルと水とが生成される反応(正反応)となるが、かかる反応は平衡反応であり、濃度等のバランスによって、テトラカルボン酸二無水物と低級カルボン酸エステルと水とから、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物(原料化合物)と低級カルボン酸が生成される逆反応も生じ得る。そのため、系中の成分の濃度等を適宜変更することで効率よく反応を進行させることも可能となる。
また、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の雰囲気ガスとしては特に制限されず、例えば、空気であっても不活性ガス(窒素、アルゴン等)であってもよい。なお、反応で生成する低級カルボン酸エステルや水を効率良く揮発させ、反応をより効率よく進行させるために(エステル交換の平衡反応を生成系に傾向させるために)、上記のガス(望ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス)をバブリングしてもよく、反応機(反応容器)の気相部に通気させながら撹拌してもよい。
また、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の加熱時間としては、特に制限されないが、0.5〜100時間とすることが好ましく、1〜50時間とすることがより好ましい。このような加熱時間が前記下限未満では反応が十分に進行せず、十分な量のカルボン酸無水物を製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応がそれ以上進行せず、生産効率が低下して経済性等が低下する傾向にある。
また、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際には、均一に反応を進行せしめるという観点から、前記テトラエステル化合物が導入された前記低級カルボン酸を撹拌しながら反応を進行せしめてもよい。また、正反応をより効率よく進行せしめるといった観点から、例えば、前記還流時に、蒸気を適宜留去しながら減少した分の低級カルボン酸を連続的に追加して加熱を行ってもよい。
このようにして、工程(B)において加熱工程を実施することで、前記一般式(401)で表されるテトラエステル化合物から、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を効率よく得ることが可能となる。なお、このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物においては、式(4)中のR1及びAは、上記一般式(3)中のR1及びAと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(3)中のR1及びAと同様である。
なお、このようなテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な、上述の第一の製法及び第二の製法は、一酸化炭素を利用せずにテトラカルボン酸無水物を製造することも可能な方法であることから、より安全性の高い条件下でテトラカルボン酸無水物を製造することも可能な方法であるといえる。
以上、テトラカルボン酸二無水物を製造するための方法として好適に利用可能な方法について説明したが、以下、上述の本発明のポリイミドを製造するための方法として好適に利用可能な方法について説明する。
(本発明のポリイミドを製造するための方法)
本発明のポリイミドを製造するための方法としては、例えば、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸をイミド化して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得る方法を好適に利用することができる。
本発明のポリイミドを製造するための方法としては、例えば、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸をイミド化して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得る方法を好適に利用することができる。
このようなポリイミドを製造するための方法(好適に利用可能な方法)に用いる上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸は、上記本発明のポリアミド酸において説明したものと同様のものである。
このようなイミド化の方法は、ポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を60〜400℃(より好ましくは150〜350℃)の温度条件で加熱処理を施すことによりイミド化する方法や、いわゆる「イミド化剤」を用いてイミド化する方法を採用することが好ましい。
このような加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合において、前記加熱温度が60℃未満では反応の進行が遅れる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きたりする傾向にある。また、加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合の反応時間(加熱時間)は0.5〜5時間とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きる傾向にある。
また、いわゆる「イミド化剤」を利用してイミド化する方法を採用する場合、イミド化剤の存在下、溶媒中で上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸をイミド化することが好ましい。このような溶媒としては、上記本発明のポリアミド酸を製造するための方法において説明した有機溶媒と同様のものを好適に用いることができる。
このようなイミド化剤としては、公知のイミド化剤を適宜利用することができ、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンなどの3級アミンなどを挙げることができる。また、イミド化剤を添加してイミド化する場合におけるイミド化の際の反応温度は、−40℃〜200℃とすることが好ましく、0〜180℃であることがより好ましく、30〜150℃であることが更に好ましい。また、反応時間は0.1〜48時間とすることが好ましい。このような反応温度や時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。また、このようなイミド化剤の使用量としては、特に制限されず、ポリアミド酸中の上記一般式(5)で表される繰り返し単位1モルに対して数ミリモル〜数モル(好ましくは0.05〜4.0モル程度)とすればよい。
また、このようなイミド化剤を用いた化学イミド化に際しては、前記イミド化剤として、縮合剤(カルボン酸無水物、カルボジイミド、酸アジド、活性エステル化剤等)と反応促進剤(三級アミン等)とを組み合わせたもの(併用したもの)を用いることが好ましい。このように、縮合剤(カルボン酸無水物、カルボジイミド、酸アジド、活性エステル化剤等のいわゆる脱水縮合剤)と反応促進剤(三級アミン等)とを組み合わせて用いることで、低温の条件下(より好ましくは100℃以下程度の温度条件下)で、ポリアミド酸をより効率よく脱水閉環してイミド化することが可能となる。
このような縮合剤としては、特に制限されないが、例えば、無水酢酸や無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などのカルボン酸無水物、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)などの酸アジド、カストロ試薬などの活性エステル化剤、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)などの脱水縮合剤を挙げることができる。このような縮合剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸が好ましく、無水酢酸、無水プロピオン酸がより好ましく、無水酢酸が更に好ましい。このような縮合剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記反応促進剤としては、前記ポリアミド酸を縮合させてポリイミドとする際に利用することが可能なものであればよく、公知の化合物を適宜利用することができる。このような反応促進剤は、反応中に副生する酸を補足する酸補足剤としても機能し得る。そのため、このような反応促進剤を用いることで、反応の加速と副生する酸による逆反応が抑制され効率よく反応を進行せしめることが可能となる。このような反応促進剤としては、特に制限されないが、酸補足剤としての機能も兼ねるものがより好ましく、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミン等を挙げることができる。このような反応促進剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジンがより好ましく、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンが更に好ましい。このような反応促進剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、このようなイミド化剤を用いた化学イミド化に際しては、例えば、触媒量の反応促進剤(DMAPなど)と共沸脱水剤(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を添加して、ポリアミド酸がイミドになる際に生じる水を共沸脱水により除去して、化学イミド化してもよい。このように、化学イミド化(イミド化剤を用いたイミド化)に際しては、前記反応促進剤とともに、共沸脱水剤を適宜利用してもよい。このような共沸脱水剤としては特に制限されず、反応に用いる材料の種類等に応じて、公知の共沸脱水剤の中から適宜選択して利用すればよい。
また、このような本発明のポリイミドを製造するための方法においては、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸が、前述の本発明のポリアミド酸を製造するための方法により得られたものであることが好ましい。
さらに、本発明のポリイミドを製造するための方法しては、有機溶媒の存在下、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。なお、かかる工程は、上記本発明のポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法において説明したポリアミド酸を得る工程と同様の工程である(用いる有機溶媒、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンや反応条件等も、ポリアミド酸を製造するための方法として好適に利用可能な方法において説明したものと同様である。)。このように、本発明のポリイミドを製造するための方法としては、有機溶媒の存在下、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を得る工程(I)と、前記ポリアミド酸をイミド化して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得る工程(II)とを含む方法であることが好ましい。このように、本発明のポリイミドを製造するための方法を、工程(I)及び工程(II)を含む方法とした場合には、一連の工程でポリイミドをより効率よく製造することが可能である。
なお、このような工程(I)及び工程(II)を含む方法を利用する場合であって、前記イミド化に際して、加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合には、前記工程(I)を実施した後に、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離することなく、有機溶媒中において上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い、前記反応液に対して溶媒を蒸発除去する処理(乾燥処理)を施して溶媒を除去した後、前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用してもよい。このような溶媒を蒸発除去する処理により、上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸をフィルム状などの形態にして単離した後、加熱処理を施すこと等が可能となる。
このような溶媒を蒸発除去する処理の方法における温度条件としては0〜180℃であることが好ましく、30〜150℃であることがより好ましい。このような乾燥処理における温度条件が前記下限未満では溶媒を十分に蒸発させて除去することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶媒が沸騰し気泡やボイドを含むフィルムになる傾向にある。この場合において、例えばフィルム状のポリイミドを製造する場合においては、得られた反応液をそのまま基材(例えばガラス板)上に塗布し、前記溶媒を蒸発除去する処理及び加熱処理を施せばよく、簡便な方法でフィルム状のポリイミドを製造することが可能となる。なお、このような反応液の塗布方法としては特に制限されず、公知の方法(キャスト法など)を適宜採用することができる。また、前記反応液から上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離して利用する場合、その単離方法としては特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
また、工程(I)及び工程(II)を含む方法を利用する場合であって、「イミド化剤」を利用してイミド化する方法を採用する場合、「イミド化剤」を利用してイミド化する方法がそもそも溶媒(より好ましくは上記本発明のポリアミド酸を製造するための方法において説明した有機溶媒)中でイミド化することが好ましい方法であることから、例えば、有機溶媒中において上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(201)〜(203)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い(工程(I)を実施した後に前記反応液から上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離することなく、前記反応液をそのまま用い)、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化する方法を好適に採用することができる。
また、「イミド化剤(好ましくは縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたもの)」を利用してイミド化する方法を採用する場合に用いる溶媒としては、上述のような観点(前記反応液をそのまま用いるといった観点)から、上記本発明のポリアミド酸の製造方法において説明した有機溶媒(重合時に用いた溶媒:重合溶媒)であることが好ましく、中でも、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどであることが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミドであることがより好ましい。このような有機溶媒(重合溶媒)は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記反応液(上記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用いて、前記反応液にイミド化剤を添加してイミド化する場合においては、有機溶媒(重合溶媒)は、沸点が20℃以上のものであることが好ましく、50〜250℃のものであることが好ましい。このような沸点が前記下限未満では大気圧下、常温での重合が困難となり、加圧下や低温下という特殊な条件下で実施しなくてはならない傾向にあり、他方、前記上限を超えると粉体状のポリイミドを得た場合に、その洗浄後、乾燥する工程において、かかる有機溶媒(溶剤)を除去することが困難となり、得られるポリイミド中に溶剤が残存してしまう傾向にある。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合においては、化学イミド化の際の温度条件は、−40℃〜200℃とすることが好ましく、−20℃〜150℃とすることがより好ましく、0〜150℃とすることが更に好ましく、50〜100℃とすることが特に好ましい。このような温度が前記上限を超えると望ましくない副反応が進行しポリイミドが得られない傾向にあり、他方、前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が進行しなくなりポリイミドが得られない傾向にある。このように、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせて利用する場合には、−40℃〜200℃といった比較的低温の温度域でイミド化することが可能であるため、環境負荷をより少ないものとすることが可能であり、製造プロセス上も有利な方法とすることが可能である。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合、縮合剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜10.0モルとすることが好ましく、1〜5モルとすることが更に好ましい。このような縮合剤(イミド化剤)の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、イミド化剤として、縮合剤及び反応促進剤を組み合わせたものを利用する場合、前記反応促進剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜4.0モルとすることが好ましく、0.5〜2モルとすることが更に好ましい。このような反応促進剤の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、このような化学イミド化を行う際の雰囲気条件としては、空気中の酸素による着色や、空気中の水蒸気による分子量低下を防止するとの観点から、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気や真空下とすることが好ましい。また、このような化学イミド化を行う際の圧力条件としては特に制限されるものではないが、0.01hPa〜1MPaであることが好ましく、0.1hPa〜0.3MPaであることがより好ましい。このような圧力が前記下限未満では、溶剤、縮合剤、反応促進剤が気体化して化学量論性が崩れ、反応に悪影響を与えて、十分に反応を進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、望ましくない副反応が進行したり、ポリアミド酸の溶解性が低下してイミド化する前に析出してしまう傾向にある。
また、このようにして得られるポリイミドが、前記有機溶媒(重合溶媒)に溶解した状態で得られる場合、適宜濃縮してポリイミドを析出させてもよく、あるいは、ポリイミドが溶解しない溶媒中に滴下することでポリイミドを析出させて回収してもよい。なお、このように、ポリイミドが溶解しない溶媒中に滴下することで、沈殿物としてポリイミドを得ることも可能となり、この場合には、粉末状(粒子状)のポリイミドとすることも可能となる。
さらに、このようにして得られるポリイミドが、前記有機溶媒(重合溶媒)に溶解した状態で得られる場合、ポリイミドが有機溶媒(重合溶媒)に溶解した溶液を、各種形態に加工するための塗工液として利用してもよい。なお、ポリイミドが、キャスト溶媒のうちの少なくとも1種に溶解するポリイミドである場合には、ポリイミドが有機溶媒(重合溶媒)に溶解した溶液から析出させて、ポリイミドとして長期保存した後、加工することも可能となり、より高度な長期保存性及び加工性を付与することが可能となる。
なお、このようにして得られるポリイミドを、上記一般式(1)で表される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を含有するものとする場合には、その製造に用いるポリアミド酸を、上記一般式(3)で表される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を含有するものとしてもよい。例えば、上述の本発明のポリイミドを製造するための方法を、前記工程(I)及び(II)を含む方法とする場合、工程(I)において、上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物とともに他のテトラカルボン酸二無水物を用い、これらを前記芳香族ジアミンと反応させた後、工程(II)を施してもよい。このような一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物としては、上記本発明のポリアミド酸を製造するための方法において説明したものと同様のものを適宜利用することができる。
また、本発明によって得られるポリイミドを、例えば、上記繰り返し単位(I)を全繰り返し単位に対して40モル%以上含有するポリイミドとする場合には、その製造に用いるポリアミド酸を、上述の、前記繰り返し単位(I’)を全繰り返し単位に対して40モル%以上含有するポリアミド酸とすることが好ましい。
このようにして得られる本発明のポリイミドは、用いるテトラカルボン酸無水物の共役部位が限定されていることで、得られるポリイミド分子鎖間の電子授受が起こりづらい構造となると考えられ、その結果として、当該ポリイミドは透明性が十分に高いものとなる。そのため、本発明のポリイミドは、例えば、ガラス代替用途や光学用途等に十分に使用可能な十分に高い透明性を有する基板やフィルム等の材料(素材)として好適に利用できる。
また、このような本発明のポリイミドは、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、複写機用シームレスポリイミドベルト(いわゆる転写ベルト)、透明電極基板(有機EL用透明電極基板、太陽電池用透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板等)、層間絶縁膜、センサー基板、イメージセンサーの基板、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等を製造するための材料として特に有用である。
なお、このようにして得られる前記ポリイミドは、無色透明であるばかりか、十分に高度な耐熱性を有するものとすることが可能であるとともに、その組成に応じて、十分に高度な溶媒溶解性を有するものとすることも可能である。このように、本発明によれば、十分に簡便な方法で製造でき(前記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物が十分に簡便な方法で得られるため、結果としてポリイミドも十分に簡便に製造することが可能となる。)、光透過性が十分に高く、溶媒に対する溶解性に十分に優れ、しかも十分に高度な耐熱性を有するポリイミドを提供することも可能となる。
[フィルム]
本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるものである。このような本発明のフィルム(ポリイミドフィルム)は、上記本発明のポリイミドからなるものであればよく、特に制限されないが、前述のポリイミドの溶液又はポリアミド酸の溶液を用いて得られたものであることがより好ましい。なお、このようなポリイミドフィルムは、キャスト溶媒のうちの少なくとも1種に溶解するポリイミドからなるものとすることも可能であり、この場合には、ポリイミドとキャスト溶媒とからなるポリイミドの溶液を用いて、フィルム状に加工することで、容易に製造することも可能である。このように、加工容易性の観点から、本発明のフィルムとしては、ポリイミドとキャスト溶媒とからなるポリイミドの溶液を用いて得られたものであることがより好ましい。
本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるものである。このような本発明のフィルム(ポリイミドフィルム)は、上記本発明のポリイミドからなるものであればよく、特に制限されないが、前述のポリイミドの溶液又はポリアミド酸の溶液を用いて得られたものであることがより好ましい。なお、このようなポリイミドフィルムは、キャスト溶媒のうちの少なくとも1種に溶解するポリイミドからなるものとすることも可能であり、この場合には、ポリイミドとキャスト溶媒とからなるポリイミドの溶液を用いて、フィルム状に加工することで、容易に製造することも可能である。このように、加工容易性の観点から、本発明のフィルムとしては、ポリイミドとキャスト溶媒とからなるポリイミドの溶液を用いて得られたものであることがより好ましい。
また、前記ポリイミドの溶液を用いて得られるフィルムは、前記ポリイミドの溶液を適宜基板上に塗布した後、塗膜から溶媒を除去するといった簡便な方法により製造することが可能であるため、プロセス上有利である。特に、キャスト溶媒の中でもより低沸点の溶媒を利用したポリイミド溶液を用いた場合には、製膜時に高温での加熱が不要であり、より低温で製膜することが可能であるため、より効率よく発泡等の発生を抑制して均一な製膜を行うことも可能であるばかりか、より簡便に製膜(フィルム化)できるため、環境負荷をより低減することもできる。
また、このようなポリイミドフィルムの形態は、フィルム状であればよく、特に制限されず、各種形状(円盤状、円筒状(フィルムを筒状に加工したもの)等)に適宜設計することができ、前記ポリイミド溶液を用いて製造した場合には、より容易に、その設計を変更することも可能である。
さらに、本発明のフィルムの厚みは特に制限されないが、1〜500μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では強度が低下し取扱いが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、複数回の塗工が必要となる場合が生じたり、加工が複雑化する場合が生じる傾向にある。
このような本発明のフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるため、透明性、耐熱性、機械特性、力学特性、耐久性、靱性等のフィルム特性に優れたものとすることも可能となる。また、本発明のフィルムは、十分に高い透明性と耐熱性とを有するものとなることから、例えば、フレキシブル配線基板用フィルム、液晶配向膜に用いるフィルム、有機EL用透明導電性フィルム、有機EL照明用フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル有機EL用基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブルディスプレイ用フロントフィルム、フレキシブルディスプレイ用バックフィルム、ポリイミドベルト、コーティング剤、バリア膜、封止材、層間絶縁材料、パッシベーション膜、TABテープ、FPC、COF、光導波路、カラーフィルター基材、半導体コーティング剤、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、イメージセンサー、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等の用途に適宜利用できる。なお、本発明のフィルムを透明導電性フィルムや透明電極基板等として利用する場合、例えば、有機ELや太陽電池等に用いるフィルム又は基板等に適宜応用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各実施例で得られた化合物やフィルム等の特性の評価方法について説明する。
<分子構造の同定>
合成例や実施例で得られた化合物の分子構造の同定は、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−460、FT/IR−4100)及びNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)、FD−MS測定器(日本電子株式会社製、商品名:JMS−700V)を用いて、IR、NMR及びFD−MSスペクトルを測定することにより行った。
合成例や実施例で得られた化合物の分子構造の同定は、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−460、FT/IR−4100)及びNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)、FD−MS測定器(日本電子株式会社製、商品名:JMS−700V)を用いて、IR、NMR及びFD−MSスペクトルを測定することにより行った。
<軟化温度の測定>
軟化温度は、実施例1〜3で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦2mm、横2mmの大きさのフィルム(フィルムの厚みは、測定値に影響しないため、各実施例で得られたフィルムの厚み[実施例1:11μm、実施例2:12μm、実施例3:26μm]のままとした。)をそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、ペネトレーションモード、昇温速度10℃/分の条件を採用して、30℃〜400℃における前記試料の変化を測定した。このようにして軟化温度を測定した。
軟化温度は、実施例1〜3で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦2mm、横2mmの大きさのフィルム(フィルムの厚みは、測定値に影響しないため、各実施例で得られたフィルムの厚み[実施例1:11μm、実施例2:12μm、実施例3:26μm]のままとした。)をそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、ペネトレーションモード、昇温速度10℃/分の条件を採用して、30℃〜400℃における前記試料の変化を測定した。このようにして軟化温度を測定した。
<5%重量減少温度の測定>
実施例1〜3で得られたポリイミドの5%重量減少温度は、それぞれ、1.7〜4.0mgのフィルム形状の試料(実施例1:4.0mg、実施例2:1.7mg、実施例3:2.6mg)をアルミ製サンプルパンに入れ、測定装置としてTG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素ガスを流しながら(窒素雰囲気下)、室温(25℃)から600℃の範囲で10℃/分の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。なお、5%重量減少温度は、試料の重さが1.7〜4.0mgの範囲内にあれば、基本的に試料の重さを変化させても再現性を持った値を測定することができる。
実施例1〜3で得られたポリイミドの5%重量減少温度は、それぞれ、1.7〜4.0mgのフィルム形状の試料(実施例1:4.0mg、実施例2:1.7mg、実施例3:2.6mg)をアルミ製サンプルパンに入れ、測定装置としてTG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素ガスを流しながら(窒素雰囲気下)、室温(25℃)から600℃の範囲で10℃/分の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。なお、5%重量減少温度は、試料の重さが1.7〜4.0mgの範囲内にあれば、基本的に試料の重さを変化させても再現性を持った値を測定することができる。
<熱分解温度(Td)の測定>
実施例1〜3で得られたポリイミドの熱分解温度(Td)は、5%重量減少温度の測定の際に同時に測定を行った。すなわち、前述の<5%重量減少温度の測定>において採用している方法と同様にして、TG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、1.7〜4.0mgのフィルム形状の試料(実施例1:4.0mg、実施例2:1.7mg、実施例3:2.6mg)をアルミ製サンプルパンに入れ、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めた。
実施例1〜3で得られたポリイミドの熱分解温度(Td)は、5%重量減少温度の測定の際に同時に測定を行った。すなわち、前述の<5%重量減少温度の測定>において採用している方法と同様にして、TG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、1.7〜4.0mgのフィルム形状の試料(実施例1:4.0mg、実施例2:1.7mg、実施例3:2.6mg)をアルミ製サンプルパンに入れ、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めた。
<固有粘度[η]の測定>
各実施例でフィルム等を製造する際に中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として、濃度0.5g/dLのポリアミド酸の測定試料を調製し、30℃の温度条件下において測定した。
各実施例でフィルム等を製造する際に中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として、濃度0.5g/dLのポリアミド酸の測定試料を調製し、30℃の温度条件下において測定した。
<線膨張係数(CTE)の測定>
線膨張係数は、実施例1〜2で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mmの大きさのフィルム(厚みは、測定値に影響しないため、各実施例で得られたフィルムの厚み[実施例1:11μm、実施例2:12μm]のままとした。)をそれぞれ形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
線膨張係数は、実施例1〜2で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mmの大きさのフィルム(厚みは、測定値に影響しないため、各実施例で得られたフィルムの厚み[実施例1:11μm、実施例2:12μm]のままとした。)をそれぞれ形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
<全光線透過率の測定>
ポリイミドの全光線透過率は、日本電色工業社製のヘーズメーター(商品名「NDH−5000」)を用い、実施例1〜2で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦25mm、横20mm、厚み11〜12μm(実施例1:11μm、実施例2:12μm)の大きさの測定用の試料をそれぞれ形成して測定した。
ポリイミドの全光線透過率は、日本電色工業社製のヘーズメーター(商品名「NDH−5000」)を用い、実施例1〜2で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦25mm、横20mm、厚み11〜12μm(実施例1:11μm、実施例2:12μm)の大きさの測定用の試料をそれぞれ形成して測定した。
<イミド化率の測定>
実施例4で得られたポリイミドのイミド化率は、以下のようにして測定した。すなわち、先ず、各実施例で得られたポリイミドをDMSO−d6またはCDCl3中に溶解させた試料を用いてNMRスペクトルを測定し、1H−NMRのグラフから10ppm付近(10ppm±1ppm)のN−HのHの積分値と測定対象のポリイミドの原料化合物である酸二無水物に由来する3.3ppmのHの積分値を求め、次に、前記2つの積分値の比率を利用して、それらを相対比較することで算出した。
実施例4で得られたポリイミドのイミド化率は、以下のようにして測定した。すなわち、先ず、各実施例で得られたポリイミドをDMSO−d6またはCDCl3中に溶解させた試料を用いてNMRスペクトルを測定し、1H−NMRのグラフから10ppm付近(10ppm±1ppm)のN−HのHの積分値と測定対象のポリイミドの原料化合物である酸二無水物に由来する3.3ppmのHの積分値を求め、次に、前記2つの積分値の比率を利用して、それらを相対比較することで算出した。
<キャスト溶媒への溶解性の評価>
5ccのスクリュー管に、実施例4で得られたポリイミド(2mg)を投入しそこに塩化メチレン(1g)を加え、蓋をした。1時間ほど静置し、塩化メチレンに対する溶解性を25℃の温度条件下において判断した。また、塩化メチレン(1g)の代わりにクロロホルム(1g)を利用する以外は同様の方法を採用して、各実施例等で得られたポリイミド(2mg)のクロロホルム(1g)に対する溶解性を25℃の温度条件下において判断した。また、溶解性の程度は、以下のA、Bの基準で判断した。
A:すべて溶解しており、ポリイミド溶液中に固体が確認できず、十分に高度な溶解性を有する。
B:ポリイミド溶液中に固体が残存し、その残存量からポリイミド溶液の濃度(ポリイミドの溶解量)は0.01質量%未満となり、溶解性がない(試験前の形状と変化無し)。
5ccのスクリュー管に、実施例4で得られたポリイミド(2mg)を投入しそこに塩化メチレン(1g)を加え、蓋をした。1時間ほど静置し、塩化メチレンに対する溶解性を25℃の温度条件下において判断した。また、塩化メチレン(1g)の代わりにクロロホルム(1g)を利用する以外は同様の方法を採用して、各実施例等で得られたポリイミド(2mg)のクロロホルム(1g)に対する溶解性を25℃の温度条件下において判断した。また、溶解性の程度は、以下のA、Bの基準で判断した。
A:すべて溶解しており、ポリイミド溶液中に固体が確認できず、十分に高度な溶解性を有する。
B:ポリイミド溶液中に固体が残存し、その残存量からポリイミド溶液の濃度(ポリイミドの溶解量)は0.01質量%未満となり、溶解性がない(試験前の形状と変化無し)。
(合成例1:テトラカルボン酸二無水物の調製)
先ず、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(12.3g、75.0mmol)、1,4−ジヨードベンゼン(12.4g、37.5mmol)、酢酸パラジウム(168mg、0.750mmol)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル(590mg、1.50mmol)を500mLの三口フラスコの内部に導入した後、フラスコ内部の雰囲気ガスを窒素に置換した。次に、前記三口フラスコの内部に、N,N−ジメチルホルムアミド(180mL)、トリエチルアミン(14.6mL、105mmol)及びギ酸(3.96mL、105mmol)を更に添加して、混合液を得た。次いで、前記混合液を80℃の温度条件で6時間撹拌して反応液を得た。なお、得られた反応液中においては、前記酢酸パラジウム(パラジウム触媒)に由来した黒色のパラジウム(Pd(0))の粉末(パラジウム黒)が析出した。
先ず、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(12.3g、75.0mmol)、1,4−ジヨードベンゼン(12.4g、37.5mmol)、酢酸パラジウム(168mg、0.750mmol)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−ジメチルアミノビフェニル(590mg、1.50mmol)を500mLの三口フラスコの内部に導入した後、フラスコ内部の雰囲気ガスを窒素に置換した。次に、前記三口フラスコの内部に、N,N−ジメチルホルムアミド(180mL)、トリエチルアミン(14.6mL、105mmol)及びギ酸(3.96mL、105mmol)を更に添加して、混合液を得た。次いで、前記混合液を80℃の温度条件で6時間撹拌して反応液を得た。なお、得られた反応液中においては、前記酢酸パラジウム(パラジウム触媒)に由来した黒色のパラジウム(Pd(0))の粉末(パラジウム黒)が析出した。
次に、前記反応液から濾過によりパラジウム黒の粉末を除き、濾液を得た。次いで、前記濾液を60℃で加熱しながら、減圧下で固体(固形分)が析出するまで濃縮して、固体(固形分)が析出した濃縮液を得た。その後、前記濃縮液にメタノール(250mL)を加え、前記固形分をメタノール中に分散させて、25℃の温度条件で3時間撹拌して分散液を得た。次に、前記分散液中に分散した固体を濾過により分離して、得られた固体を真空条件下、80℃の温度条件で3時間静置し、前記固体に付着している溶媒(N,N−ジメチルホルムアミドやメタノール等)を除去して、生成物(3.08g、収率:20.2%)を得た。
このようにして得られた生成物(化合物)の構造確認のために、IR測定、NMR測定及びFD−MS測定を行った。このようにして得られた化合物のIRスペクトルを図1に示し、1H−NMR(DMSO−d6)スペクトルを図2に示し、FD−MSスペクトルを図3に示す。
図1〜3に示す結果からも明らかなように、得られた化合物は下記一般式(7):
で表されるテトラカルボン酸二無水物(目的化合物)であることが確認された(なお、図3に示すFD−MSスペクトルにおいては上記目的化合物の質量数(406)と一致する位置にピークが確認された。)。なお、このような化合物を得るための反応の概略を反応式(A)に示す。
(実施例1)
<工程(a−1):ポリアミド酸の調製>
合成例1で採用している方法と同様の方法を採用して得られた化合物(上記一般式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物)を用いて、以下のようにして、ポリアミド酸を調製した。すなわち、先ず、窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノトリフェニルアミン(上記一般式(201)で表される化合物)を0.826g(3.00mmol)、上記一般式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物を1.2193g(3.00mmol)導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を8.18g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、80℃条件下で3時間撹拌して、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。このようにしてポリアミド酸を調製した。
<工程(a−1):ポリアミド酸の調製>
合成例1で採用している方法と同様の方法を採用して得られた化合物(上記一般式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物)を用いて、以下のようにして、ポリアミド酸を調製した。すなわち、先ず、窒素雰囲気下において、20mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノトリフェニルアミン(上記一般式(201)で表される化合物)を0.826g(3.00mmol)、上記一般式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物を1.2193g(3.00mmol)導入した。次いで、前記スクリュー管内に、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を8.18g添加し、混合液を得た。次に、得られた混合液を、窒素雰囲気下、80℃条件下で3時間撹拌して、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。このようにしてポリアミド酸を調製した。
なお、このようにして得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、その固有粘度[η]は0.508dL/gであった。
<工程(b−1):ポリイミドの調製(熱イミド化工程)>
上述の工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いて、熱イミド化によりポリイミドを調製した。すなわち、先ず、前記反応液(工程(a−1)により得られたポリアミド酸の溶液)を、硬化後の厚み(最終的に得られるフィルムの厚み)が11μmとなるように、ガラス板(大きさ:縦75mm、横50mm、厚み1mm)上にスピンコートして、前記ガラス板上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃に変更して1時間静置することにより塗膜を硬化せしめ、ガラス板上にフィルムを形成した。そして、前記フィルムの形成されたガラス板をオーブンから取り出し、90℃の水に0.5時間浸け、ガラス板上からフィルムを回収して、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み11μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
上述の工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いて、熱イミド化によりポリイミドを調製した。すなわち、先ず、前記反応液(工程(a−1)により得られたポリアミド酸の溶液)を、硬化後の厚み(最終的に得られるフィルムの厚み)が11μmとなるように、ガラス板(大きさ:縦75mm、横50mm、厚み1mm)上にスピンコートして、前記ガラス板上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブンに投入し、温度条件を60℃として、窒素雰囲気下において4時間静置した後、温度条件を350℃に変更して1時間静置することにより塗膜を硬化せしめ、ガラス板上にフィルムを形成した。そして、前記フィルムの形成されたガラス板をオーブンから取り出し、90℃の水に0.5時間浸け、ガラス板上からフィルムを回収して、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み11μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図4に示す。図4に示す結果からも明らかなように、1701cm−1及び1774cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。なお、このようなIRスペクトルの測定結果と、用いたモノマーの種類から、得られたフィルムを形成するポリイミドは、上記一般式(1)で表され、該式(1)中の複数のR1がいずれも水素原子であり、該式(1)中のR4が一般式(2−1)で表される基であり、かつ、該式(1)中のAがフェニレン基である、繰り返し単位を含むものであることが分かった。
また、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、上述のように目視により確認したところ、無色透明であったことから、十分に透明性が高いことが確認され、これにより十分に光透過性が高いものであることが分かった。また、このようなポリイミドからなるフィルムは、全光線透過率が87.7%であったことから、この点からも十分に光透過性が高いものであることが分かった。さらに、このようにして得られたフィルムを形成するポリイミドの軟化温度を熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)により測定したところ、軟化温度は356℃であった。なお、このようにして得られたフィルム状のポリイミドの熱重量分析(TGA)による5%重量減少温度を測定したところ、5%重量減少温度は460℃であった。また、このようなポリイミドの熱分解温度(Td)は、470℃であることが確認された。また、このようなポリイミドの線膨張係数(CTE)は85.9ppm/Kであった。
(実施例2)
<工程(a−2):ポリアミド酸の調製>
芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノトリフェニルアミンを0.826g(3.00mmol)用いる代わりに、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ピペラジン(上記一般式(203)で表される化合物)を0.973g(3.00mmol)用いた以外は、実施例1で採用する工程(a−1)と同様にして、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。なお、このようにして得られた反応液(ポリアミド酸のジメチルアセトアミド溶液)を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.356dL/gであった。
<工程(a−2):ポリアミド酸の調製>
芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノトリフェニルアミンを0.826g(3.00mmol)用いる代わりに、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ピペラジン(上記一般式(203)で表される化合物)を0.973g(3.00mmol)用いた以外は、実施例1で採用する工程(a−1)と同様にして、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。なお、このようにして得られた反応液(ポリアミド酸のジメチルアセトアミド溶液)を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.356dL/gであった。
<工程(b−2):ポリイミドの調製(熱イミド化工程)>
工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いる代わりに、上記工程(a−2)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用い、更に、硬化後の厚みが11μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートする代わりに、硬化後の厚みが12μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートした以外は、実施例1で採用する工程(b−1)と同様にして、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み12μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いる代わりに、上記工程(a−2)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用い、更に、硬化後の厚みが11μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートする代わりに、硬化後の厚みが12μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートした以外は、実施例1で採用する工程(b−1)と同様にして、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み12μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図5に示す。図5に示す結果からも明らかなように、1702cm−1及び1774cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。なお、このようなIRスペクトルの測定結果と、用いたモノマーの種類から、得られたフィルムを形成するポリイミドは、上記一般式(1)で表され、該式(1)中の複数のR1がいずれも水素原子であり、該式(1)中のR4が一般式(2−3)で表される基であり、かつ、該式(1)中のAがフェニレン基である、繰り返し単位を含むものであることが分かった。
また、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、上述のように目視により確認したところ、無色透明であったことから、十分に透明性が高いことが確認され、これにより十分に光透過性が高いものであることが分かった。また、このようなポリイミドからなるフィルムは、全光線透過率が89.7%であったことから、この点からも十分に光透過性が高いものであることが分かった。さらに、このようにして得られたフィルムを形成するポリイミドの軟化温度を熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)により測定したところ、軟化温度は369℃であった。なお、このようにして得られたフィルム状のポリイミドの熱重量分析(TGA)による5%重量減少温度を測定したところ、5%重量減少温度は438℃であった。また、このようなポリイミドの熱分解温度(Td)は、448℃であることが確認された。また、このようなポリイミドの線膨張係数(CTE)は61.2ppm/Kであった。
(実施例3)
<工程(a−3):ポリアミド酸の調製>
芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノトリフェニルアミンを0.826g(3.00mmol)用いる代わりに、2−フェノキシ−1,4−ジアミノベンゼン(上記一般式(202)で表される化合物)を0.600g(3.00mmol)用いた以外は、実施例1で採用する工程(a−1)と同様にして、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。なお、このようにして得られた反応液(ポリアミド酸のジメチルアセトアミド溶液)を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.326dL/gであった。
<工程(a−3):ポリアミド酸の調製>
芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノトリフェニルアミンを0.826g(3.00mmol)用いる代わりに、2−フェノキシ−1,4−ジアミノベンゼン(上記一般式(202)で表される化合物)を0.600g(3.00mmol)用いた以外は、実施例1で採用する工程(a−1)と同様にして、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。なお、このようにして得られた反応液(ポリアミド酸のジメチルアセトアミド溶液)を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるジメチルアセトアミド溶液を調製し、ポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した結果、固有粘度[η]は0.326dL/gであった。
<工程(b−3):ポリイミドの調製(熱イミド化工程)>
工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いる代わりに、上記工程(a−3)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用い、更に、硬化後の厚みが11μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートする代わりに、硬化後の厚みが26μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートした以外は、実施例1で採用する工程(b−1)と同様にして、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み26μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
工程(a−1)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用いる代わりに、上記工程(a−3)により得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)を用い、更に、硬化後の厚みが11μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートする代わりに、硬化後の厚みが26μmとなるように反応液(ポリアミド酸の溶液)をスピンコートした以外は、実施例1で採用する工程(b−1)と同様にして、ポリイミドからなるフィルムを得た。なお、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、縦75mm、横25mm、厚み26μmの大きさのものであり、また、その色を目視にて確認したところ、無色透明のものであった。
このようにして得られたフィルムのIRスペクトルを測定した。得られたフィルムのIRスペクトルを図6に示す。図6に示す結果からも明らかなように、1706cm−1及び1773cm−1にイミドカルボニルのC=O伸縮振動が見られることから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。なお、このようなIRスペクトルの測定結果と、用いたモノマーの種類から、得られたフィルムを形成するポリイミドは、上記一般式(1)で表され、該式(1)中の複数のR1がいずれも水素原子であり、該式(1)中のR4が一般式(2−2)で表される基であり、かつ、該式(1)中のAがフェニレン基である、繰り返し単位を含むものであることが分かった。
また、このようにして得られたポリイミドからなるフィルムは、上述のように目視により確認したところ、無色透明であったことから、十分に透明性が高いことが確認され、これにより十分に光透過性が高いものであることが分かった。さらに、このようにして得られたフィルムを形成するポリイミドの軟化温度を熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)により測定したところ、軟化温度は336℃であった。なお、このようにして得られたフィルム状のポリイミドの熱重量分析(TGA)による5%重量減少温度を測定したところ、5%重量減少温度は443℃であった。また、このようなポリイミドの熱分解温度(Td)は、453℃であることが確認された。
[実施例1〜3で得られたポリイミドに関して]
実施例1〜3で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)は、いずれも5%重量減少温度が438℃以上となっており、更に、熱分解温度(Td)が448℃以上となっていた。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例1〜3)は、十分に高度な耐熱性を有するものであることも分かった。なお、本発明のポリイミド(実施例1〜3)は、いずれも目視により無色透明のものであることが確認されており、この点から十分に高度な透明性(光透過性)を有したものであることが分かった。なお、実施例1〜2で得られたフィルムの全光線透過率は、それぞれ87.7%(実施例1)、89.7%(実施例2)であり、かかる観点からも十分に高度な光透過性を有することが分かった。さらに、実施例1〜3で得られたポリイミドはいずれも、軟化温度も336℃以上となっており、かかる観点からも十分に高度な耐熱性を有するものであることが分かった。
実施例1〜3で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)は、いずれも5%重量減少温度が438℃以上となっており、更に、熱分解温度(Td)が448℃以上となっていた。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例1〜3)は、十分に高度な耐熱性を有するものであることも分かった。なお、本発明のポリイミド(実施例1〜3)は、いずれも目視により無色透明のものであることが確認されており、この点から十分に高度な透明性(光透過性)を有したものであることが分かった。なお、実施例1〜2で得られたフィルムの全光線透過率は、それぞれ87.7%(実施例1)、89.7%(実施例2)であり、かかる観点からも十分に高度な光透過性を有することが分かった。さらに、実施例1〜3で得られたポリイミドはいずれも、軟化温度も336℃以上となっており、かかる観点からも十分に高度な耐熱性を有するものであることが分かった。
このような実施例1〜3で得られたポリイミドの特性の評価結果から、本発明のポリイミドは、光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有するものとして利用可能であることが分かった。
(実施例4)
<ポリアミド酸の調製工程>
実施例1で採用した上記工程(a−1)と同様の工程を採用して、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。
<ポリアミド酸の調製工程>
実施例1で採用した上記工程(a−1)と同様の工程を採用して、反応液[ポリアミド酸の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド)]を得た。
<ポリイミドの調製工程(化学イミド化工程)>
20mLスクリュー管に、上述のようにして得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)の半分(半量)を添加した後、更に、反応促進剤としてのトリエチルアミン0.209mL(1.50mmol)と、縮合剤としての無水酢酸0.459g(4.50mmol)とを添加して、前記スクリュー管内において、混合液を調製した。次に、得られた混合液を80℃の温度条件下において2時間撹拌した。なお、このような2時間の撹拌の後においても前記混合液は均一な溶液であった(沈殿やコロイド等、粒状物は確認されず、均一な液体であった。)。その後、前記混合液をメタノール15mL中へ滴下することにより、白色の沈殿(粒子状)を析出させた。次に、このようにして析出した白色の沈殿(粒子状)を濾過によって回収した。その後、得られた白色の沈殿(粒子状)をメタノール(5mL)で2回洗浄した(洗浄工程)。次いで、洗浄後の沈殿を真空条件下、80℃の温度条件で3時間静置することにより乾燥せしめて(乾燥工程)、白色固体を得た。
20mLスクリュー管に、上述のようにして得られた反応液(ポリアミド酸の溶液)の半分(半量)を添加した後、更に、反応促進剤としてのトリエチルアミン0.209mL(1.50mmol)と、縮合剤としての無水酢酸0.459g(4.50mmol)とを添加して、前記スクリュー管内において、混合液を調製した。次に、得られた混合液を80℃の温度条件下において2時間撹拌した。なお、このような2時間の撹拌の後においても前記混合液は均一な溶液であった(沈殿やコロイド等、粒状物は確認されず、均一な液体であった。)。その後、前記混合液をメタノール15mL中へ滴下することにより、白色の沈殿(粒子状)を析出させた。次に、このようにして析出した白色の沈殿(粒子状)を濾過によって回収した。その後、得られた白色の沈殿(粒子状)をメタノール(5mL)で2回洗浄した(洗浄工程)。次いで、洗浄後の沈殿を真空条件下、80℃の温度条件で3時間静置することにより乾燥せしめて(乾燥工程)、白色固体を得た。
このようにして、白色固体として得られた化合物の分子構造を同定するため、IRスペクトルを測定した。得られたIRスペクトルを図7に示す。図7に示す結果からも明らかなように、1704cm−1及び1775cm−1にイミドのC=O伸縮振動が見られることから、得られた化合物はポリイミドであることが確認された。なお、このようなIRスペクトルの測定結果と、用いたモノマーの種類から、得られたポリイミド(白色固体)は、上記一般式(1)で表され、該式(1)中の複数のR1がいずれも水素原子であり、該式(1)中のR4が一般式(2−1)で表される基であり、かつ、該式(1)中のAがフェニレン基である、繰り返し単位を含むものであることが分かった。
また、このようにして得られた白色固体(ポリイミド)を重DMSO−d6に溶解させ、1H−NMRでイミド化率を測定したところ、得られたポリイミドのイミド化率は95%であることが確認された。なお、このようなNMR測定の結果として、1H−NMRスペクトルを図8に示す。
また、このような実施例4で得られたポリイミド(実施例1で得られたポリイミドが含有する繰り返し単位と同様の繰り返し単位を含有するポリイミド)に関して、キャスト溶媒への溶解性を上述の評価方法にて評価したところ、塩化メチレン(1g)に対する溶解性の評価結果は「A(すべて溶解しており、ポリイミド溶液中に固体が確認できない状態)」であり、また、クロロホルム(1g)に対する溶解性の評価結果も「A(すべて溶解しており、ポリイミド溶液中に固体が確認できない状態)」であった。更に、実施例4で得られたポリイミドは、そのポリイミドの調製工程において、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した状態で均一な溶液が得られていたことから、DMAcに対しても十分に高度な溶解性を有することが確認された。
このような結果からも明らかなように、実施例4で得られたポリイミド(上記一般式(1)で表され、該式(1)中の複数のR1がいずれも水素原子であり、該式(1)中のR4が一般式(2−1)で表される基であり、かつ、該式(1)中のAがフェニレン基である繰り返し単位を含むポリイミド)は、塩化メチレン(ジクロロメタン)、クロロホルム(トリクロロメタン)といった溶媒(いわゆるキャスト溶媒として利用される溶媒)に十分な濃度で溶解することが確認され、十分に高度な加工性があることが確認された。なお、ポリアミド酸のワニス等と比較して、加工前に十分に安定した化合物(ポリイミド)の状態で保存できるため、実施例4で得られたポリイミドは、特に、長期保存後に加工する場合の材料等として好適に利用できること(ポリアミド酸と比較して保存時の品質の劣化を十分に防止できるため、長期保存後に加工する場合においても十分な品質を有するポリイミドの製品を製造することが可能であり、長期保存後に各種用途に応用する場合に、その材料として好適に利用できること)が分かった。
以上説明したように、本発明によれば、光透過性が十分に高く且つ十分に高度な耐熱性を有することが可能なポリイミド、そのポリイミドを製造する際に好適に利用することが可能なポリアミド酸、並びに、前記ポリイミドを用いたフィルムを提供することが可能となる。
したがって、本発明のポリイミドは、例えば、フレキシブル配線基板、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、複写機用シームレスポリイミドベルト(いわゆる転写ベルト)、透明電極基板(有機EL用透明電極基板、太陽電池用透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板等)、層間絶縁膜、各種のガスバリアフィルム基板材料、センサー基板、イメージセンサーの基板、発光ダイオード(LED)の反射板(LED照明の反射板:LED反射板)、LED照明用のカバー、LED反射板照明用カバー、カバーレイフィルム、高延性複合体基板、半導体向けレジスト、リチウムイオンバッテリー、有機メモリ用基板、有機トランジスタ用基板、有機半導体用基板、カラーフィルタ基材等を製造するための材料として特に有用である。
Claims (5)
- 下記一般式(1):
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリイミド。 - 前記繰り返し単位として、前記一般式(1)中のR4が上記一般式(2−1)で表される基である繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
- 前記ポリイミドが溶媒に溶解するものであることを特徴とする請求項2に記載のポリイミド。
- 下記一般式(3):
で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリアミド酸。 - 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドからなることを特徴とするフィルム。
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