JP2017066201A - オレフィン系樹脂、その製造方法および組成物並びに成形体 - Google Patents

オレフィン系樹脂、その製造方法および組成物並びに成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性、などの諸物性と透明性とのバランスに優れるオレフィン系樹脂およびプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のオレフィン系樹脂(β)は、エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有し下記要件(i)を満たすグラフト型重合体[R1]を含み、下記要件(I)を満たす。(i)主鎖を構成するエチレン系重合体が、エチレンから導かれる繰り返し単位を有し、かつ炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を主鎖中0mol%以上、10mol%未満の範囲で有する。(I)密度が895〜925kg/m3の範囲にある。【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有するグラフト型重合体を含むオレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、該樹脂を含むプロピレン系樹脂組成物、該樹脂から得られる成形体、該樹脂組成物から得られる成形体に関する。
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂は、生産に係るエネルギーが小さく、軽量かつリサイクル性にも優れることから、各産業界における、循環型社会を形成するための3R(Reduce、Reuse、Recycle)への取り組みのなかで、更に注目が高まっている。ポリオレフィン樹脂は、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されており、1種類の重合体が単独で用いられることもあるが、要求される性能に応じて、複数の樹脂が配合された樹脂組成物として使用されている。
例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は耐衝撃性・耐寒性・透明性に優れる点で包装材料に用いられているが、耐熱性や剛性に劣るため、プロピレン系樹脂と配合したプロピレン系樹脂組成物として用いられることが多い。特に食品用・医療用の包装容器においては、低温耐衝撃性、耐熱性、剛性等の諸物性に加え、それら諸物性と透明性(内容物の視認性)が高いバランスで求められている。
低密度ポリエチレン樹脂もしくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用い、さらにプロピレン‐エチレンブロック共重合体および造核剤を用いて、耐衝撃性を改良したプロピレン系樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
エチレン系樹脂をプロピレンブロック共重合体に配合し、特定の物性を有することで、耐衝撃性が改良されるプロピレン系樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
また、特許文献4には、特定のポリプロピレン樹脂と、特定のエチレン・α-オレフィン共重合体と、造核剤とを含むプロピレン系樹脂組成物、および該組成物から得られる成形体や容器が知られている。
上記のように従来から、剛性や耐熱性・耐衝撃性などの機械物性のバランスに優れた包装容器を製造するために、プロピレン系樹脂にエチレン系樹脂を添加することが行われてきたが、このようにして得られた組成物は、プロピレン系樹脂単味の場合に比べると透明性が劣後することが知られており、優れた機械物性バランスと高い透明性を両立するエチレン系樹脂およびそのプロピレン樹脂組成物が求められていた。
特開2001−26686号公報 特開2002−187996号公報 特開2002−187997号公報 国際公開第2010/074001号
耐熱性、耐衝撃性、などの諸物性と透明性とのバランスに優れるオレフィン系樹脂およびプロピレン系樹脂組成物を提供すること。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有するグラフト型重合体を含む樹脂が、耐熱性と透明性のバランスおよび、耐衝撃性と透明性のバランスに優れることを見出した。
すなわち、本発明は、例えば以下の[1]〜[14]に関する。
[1] エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有し下記要件(i)を満たすグラフト型重合体[R1]を含み、下記要件(I)を満たす、オレフィン系樹脂(β)。
(i)主鎖を構成するエチレン系重合体が、エチレンから導かれる繰り返し単位を有し、かつ炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を主鎖中0mol%以上、10mol%未満の範囲で有する。
(I)密度が895〜925kg/m3の範囲にある。
[2] 下記要件(II)を満たす、[1]に記載のオレフィン系樹脂(β)。
(II)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm1)が120〜165℃の範囲にある。
[3] 下記要件(III)を満たす、[1]または[2]に記載のオレフィン系樹脂(β)。
(III)熱キシレン不溶解量が3.0質量%未満である。
[4] 前記グラフト型重合体[R1]が、下記要件(ii)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
(ii)側鎖を構成するプロピレン系重合体が、プロピレンから導かれる繰り返し単位を側鎖中95〜100mol%の範囲で有し、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を側鎖中0〜5mol%の範囲で有する。
[5] 前記グラフト型重合体[R1]が、下記要件(iii)を満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
(iii)側鎖を構成するプロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上である。
[6] 下記要件(IV)を満たす、[1]〜[5]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
(IV)エチレンから導かれる繰り返し単位の割合が全繰り返し単位に対し10〜95mol%の範囲にある。
[7] 下記(A)および(B)の工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
(A)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
(B)周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で行われる、下記(B1)または(B2)の工程
(B1)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程
(B2)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンとを共重合する工程
[8] 前記周期表第4族の遷移金属化合物が、下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物である[7]に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
Figure 2017066201
(式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち相互に隣り合う二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[9] 工程(B)が重合温度90℃以上の溶液重合プロセスであることを特徴とする[7]または[8]に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
[10] プロピレン系樹脂(α)と[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)を含有するプロピレン系樹脂組成物。
[11] 前記プロピレン系樹脂(α)50〜98質量部およびオレフィン系樹脂(β)2〜50質量部(プロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との合計は100質量部である)を含有する[10]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[12] 前記オレフィン系樹脂(β)が、[7]〜[9]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法によって得られたものである、[10]または[11]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[13] [1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)から得られる成形体。
[14] [10]〜[12]のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体。
本発明のオレフィン系樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、などの諸物性と透明性とのバランスに優れ、本発明はさらに前記オレフィン系樹脂を含有するプロピレン系樹脂組成物を提供することができる。
実施例1〜4および比較例1〜3において、TMA軟化温度とヘーズの関係をプロットした図である。
以下、本発明のオレフィン系樹脂(β)、オレフィン系樹脂(β)の製造方法、プロピレン系樹脂組成物および成形体について詳説する。
<オレフィン系樹脂(β)>
本発明のオレフィン系樹脂(β)は、エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有し下記要件(i)を満たすグラフト型重合体[R1]を含み、下記要件(I)を満たす。
オレフィン系樹脂(β)は、下記要件(II)を満たすことが好ましく、下記要件(III)を満たすことも好ましく、下記要件(IV)を満たすことも好ましい。すなわち、オレフィン系樹脂(β)は、下記要件(II)〜(IV)のうち1つ以上を満たすことが好ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、3つ満たすことが最も好ましい。また、オレフィン系樹脂(β)は、下記要件(V)を満たすことも好ましい。
オレフィン系樹脂(β)は、グラフト型重合体[R1]のみで構成されていてもよいし、グラフト型重合体[R1]と、一種または二種以上の他のオレフィン系重合体から構成されていてもよい。オレフィン系樹脂(β)を構成するグラフト型重合体[R1]としては、一種の重合体でもよく、二種以上の重合体であってもよい。
他のオレフィン系重合体としては例えば、後述の製造方法でオレフィン系樹脂(β)を製造した場合には、末端不飽和ポリプロピレン等が挙げられる。後述の製造方法では、工程(A)で製造される末端不飽和ポリプロピレンを、工程(B)で用い、該末端不飽和ポリプロピレンの全部あるいは一部が、グラフト型重合体[R1]の側鎖となるが、一部は、工程(B)での共重合に寄与せず、オレフィン系樹脂(β)に含まれうる。本発明のオレフィン系樹脂(β)は、樹脂100質量%中に、グラフト型重合体[R1]を、通常は95〜5質量%、好ましくは80〜10質量%含む。
(I)密度が895〜925kg/m3の範囲にある。密度はJIS K7112に準拠して測定した値である。
(II)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm1)が120〜165℃の範囲にある。
(III)熱キシレン不溶解量が3.0質量%未満である。
(IV)エチレンから導かれる繰り返し単位の割合が全繰り返し単位に対し10〜95mol%の範囲にある。
(V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。
以下、グラフト型重合体[R1]および、上記要件(I)〜(V)について具体的に説明する。
〔グラフト型重合体[R1]〕
オレフィン系樹脂(β)は、前記グラフト型重合体[R1]を必須の構成成分として含む。該グラフト型重合体[R1]は、エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有するグラフト型重合体である。
なお、本発明において「グラフト型重合体」という語は、主鎖に対し側鎖が1本以上結合したポリマーである。
グラフト型重合体[R1]は、エチレン系重合体から構成される主鎖にプロピレン系重合体から構成される側鎖が化学的に結合した構造であるので、グラフト型重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(β)はエチレン系重合体単味やエチレン系重合体とプロピレン系重合体のブレンド物と比較すると、プロピレン系重合体に由来する耐熱性や剛性が効果的に付与される。さらにオレフィン系樹脂(β)は、グラフト型重合体[R1]を含むため、エチレン系重合体とプロピレン系重合体を良好に分散することができるため透明性にも優れる。また、オレフィン系樹脂(β)とプロピレン系樹脂を含む組成物にした場合、グラフト型重合体[R1]がプロピレン系樹脂に対し高い相溶性を示すことから、良好にオレフィン系樹脂(β)がプロピレン系樹脂に分散し、エチレン系重合体に由来する耐衝撃性や靱性が発現すると共に透明性にも優れる。
グラフト型重合体[R1]は、上述のとおり、主鎖および側鎖を有するグラフト共重合体である。グラフト型重合体[R1]は、下記要件(i)を満たす。グラフト型重合体[R1]は、下記要件(ii)を満たすことが好ましく、下記要件(iii)を満たすことも好ましい。すなわち、グラフト型重合体[R1]は、下記要件(ii)および(iii)のうち1つ以上を満たすことが好ましく、2つを満たすことがより好ましい。
(i)主鎖を構成するエチレン系重合体が、エチレンから導かれる繰り返し単位を有し、かつ炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を主鎖中0mol%以上、10mol%未満の範囲で有する。
(ii)側鎖を構成するプロピレン系重合体が、プロピレンから導かれる繰り返し単位を側鎖中95〜100mol%の範囲で有し、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を側鎖中0〜5mol%の範囲で有する。
(iii)側鎖を構成するプロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上である。
グラフト型重合体[R1]は、下記要件(iv)を満たすことがより好ましく、下記要件(v)を満たすこともより好ましい。すなわち、グラフト型重合体[R1]は、下記要件(iv)および(v)のうち少なくとも1つをさらに満たすことがより好ましく、2つを満たすことが特に好ましい。
(iv)主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量が50,000〜500,000である。
(v)側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量が5,000〜100,000である。
以下、これらの要件(i)〜(v)について具体的に説明する。
〔要件(i)〕
グラフト型重合体[R1]の主鎖はエチレン系重合体から構成される。主鎖を構成するエチレン系重合体は、エチレンから導かれる繰り返し単位を有し、かつ炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を主鎖中0mol%以上、10mol%未満の範囲で有する。
すなわち、エチレン系重合体は、エチレンから導かれる繰り返し単位を必須の構成単位として有し、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を、任意の構成単位として有していてもよい。
柔軟性や低温特性などの特性を発現させる観点からは、エチレン系重合体は、エチレンから導かれる繰り返し単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とからなる重合体であることが好ましい。
ここで炭素原子数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの直鎖状オレフィン、および4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の分岐状オレフィンを挙げることができ、中でもプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが更に好ましい。エチレンと共重合する炭素原子数3〜20のα−オレフィンとして1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、または1−オクテンを用いることで、最も柔軟性や低温特性と良好な機械物性をバランスすることができる。
グラフト型重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン系重合体における、エチレンから導かれる繰り返し単位の割合は、主鎖中、通常は90mol%以上100mol%未満であり、好ましくは92〜99.9mol%、より好ましくは94〜99mol%、さらにより好ましくは95〜98mol%の範囲である。なお「主鎖中」とは、主鎖に含まれる全繰り返し単位を100モル%とした際の割合を意味する。
また、グラフト型重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン系重合体における、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位の割合は、主鎖中0mol%以上、10mol%未満であり、好ましくは0.1〜8mol%、より好ましくは1〜6mol%、さらに好ましくは2〜5mol%の範囲である。
主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位およびα−オレフィンから導かれる繰り返し単位の割合が上記範囲にあることで、柔軟性や低温特性などのエチレン系重合体の特性を保持しつつ、側鎖として含まれるプロピレン系重合体との屈折率の差が小さいため透明性にも優れる。また、プロピレン系樹脂に配合した場合においても、剛性や耐熱性などのプロピレン系樹脂の特性および柔軟性や低温特性などのエチレン系重合体の特性を保持しながら高い透明性を発現することができる。一方、αオレフィンから導かれる繰り返し単位が10molパーセントを上回ると、プロピレン系重合体との屈折率差が大きくなり透明性が劣後する。
主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位およびα−オレフィンから導かれる繰り返し単位のモル比は、主鎖を製造する工程で重合反応系中に存在させるエチレンの濃度とα−オレフィンの濃度との割合を制御することにより調整できる。
なお、主鎖に含まれるエチレンから導かれる繰り返し単位およびα−オレフィンから導かれる繰り返し単位のモル比(mol%)は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを含まない条件下で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン組成を常法により求めることや、オレフィン系樹脂(β)のα−オレフィン組成から末端不飽和ポリプロピレンや側鎖に由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(ii)〕
グラフト型重合体[R1]の側鎖はプロピレン系重合体から構成される。側鎖を構成するプロピレン系重合体は、プロピレンから導かれる繰り返し単位を側鎖中95〜100mol%の範囲で有し、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を側鎖中0〜5mol%の範囲で有する。
側鎖を構成するプロピレン系重合体としては、好ましくはプロピレンから導かれる繰り返し単位を側鎖中99.5〜100mol%の範囲で有し、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を側鎖中0〜0.5mol%の範囲で有する。
なお「側鎖中」とは、側鎖に含まれる全繰り返し単位を100モル%とした際の割合を意味する。
すなわち、側鎖を構成するプロピレン系重合体は、その役割と特徴を損なわない範囲でプロピレン以外のエチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンが少量共重合されてもよい。
〔要件(iii)〕
グラフト型重合体[R1]は、側鎖を構成するプロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上である。
グラフト型重合体[R1]の側鎖が上記特徴を有することにより、側鎖は結晶性を示し、融点を持つ。グラフト型重合体[R1]の側鎖が高融点のアイソタクチックポリプリプロピレン系重合体であることが、オレフィン系樹脂(β)の耐熱性を高めることになる。さらにグラフト型重合体[R1]の側鎖がアイソタクチックポリプリプロピレン系重合体であることは、オレフィン系樹脂(β)のプロピレン樹脂への相溶性を高めることになる。このため、要件(iii)を満たすことにより、得られるプロピレン系樹脂組成物は、良好に耐衝撃性を発現しながら、剛性および硬度を良好に保持することができるため好ましい。
グラフト型重合体[R1]は、後述するオレフィン系樹脂(β)の製造工程(B)において、工程(A)で生成する末端不飽和ポリプロピレンとエチレンおよび任意に用いられるα−オレフィンとを共重合することにより得ることができる。すなわち、末端不飽和ポリプロピレンの組成および立体規則性が、グラフト型重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性に相当する。従って工程(A)で生成する末端不飽和ポリプロピレンの組成および立体規則性を公知の方法を用いて算出し、その組成および立体規則性をグラフト型重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性と定義できる。
〔要件(iv)〕
グラフト型重合体[R1]は、主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量が50,000〜500,000である。
重量平均分子量は、好ましくは、80,000〜300,000の範囲にあり、より好ましくは100,000〜200,000の範囲である。
前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められるポリエチレン換算の重量平均分子量である。
グラフト型重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量が上記範囲にあると、オレフィン系樹脂(β)において、機械強度を保持しながら樹脂の成形性(流動性)を向上させることができる。さらにオレフィン系樹脂(β)を含むプロピレン系樹脂組成物においても、剛性および靭性のバランスがより良好になる傾向がある。
一方、前記重量平均分子量が50,000より小さいと、オレフィン系樹脂(β)の機械強度が低下し、良好な物性バランスを得ることが困難になる場合があり、さらにオレフィン系樹脂(β)を含むプロピレン系樹脂組成物において、同様に機械強度が低下し良好な物性バランスを得ることが困難になる場合がある。また、前記重量平均分子量が500,000より大きいと、オレフィン系樹脂(β)の成形性が悪化し各種成形プロセスに適合できない恐れがあり、得られるプロピレン系樹脂においても、プロピレン系樹脂への分散不良がおこり所望の物性バランスを得ることが困難になる場合がある。
グラフト型重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量は、後述する製造工程において、重合系中のエチレン濃度を制御することで調整できる。エチレン濃度の制御方法としては、エチレン分圧調整や重合温度の調整が挙げられる。主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量の調整は重合系中に水素を供給することでも可能である。
主鎖を構成するエチレン系重合体の重量平均分子量は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを含まない条件下で製造した場合のエチレン系重合体を分析することや、オレフィン系樹脂(β)を分析し末端不飽和ポリプロピレンや側鎖に由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(v)〕
グラフト型重合体[R1]は、側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量が5,000〜100,000である。
すなわち、グラフト型重合体[R1]は、重量平均分子量が5,000〜100,000であるプロピレン系重合体であるマクロモノマーが主鎖を構成するエチレン系重合体に結合してなる構造を有し、プロピレン系重合体部位が側鎖となる。前記重量平均分子量は、好ましくは5,000〜60,000、さらに好ましくは10,000〜60,000の範囲である。
グラフト型重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量が上記範囲にあることで、オレフィン系樹脂(β)は耐熱性や剛性に優れ、さらに透明性にも優れる。さらにオレフィン系樹脂(β)を含むプロピレン系樹脂組成物においても良好な物性バランスと透明性を両立することができる。
グラフト型重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量が5,000より小さいと、プロピレン系重合体とエチレン系重合体との相溶化効果が十分でなく、上記のような物性バランスの発現と透明性の両立が困難な場合がある。
グラフト型重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量が100,000より大きいと、オレフィン系樹脂(β)の流動性が悪くなり、加工性の悪化の原因となる場合がある。また、オレフィン系樹脂(β)を含むプロピレン系樹脂組成物においても、オレフィン系樹脂(β)の流動性不良に起因する分散不良が起こり、透明性も悪化だけでなく、機械物性も低下する場合がある。
なお、側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量は上述した「要件(iii)」の記載と同様に、工程(A)で生成する末端不飽和ポリプロピレンから求めることができる。すなわち、工程(A)で生成する末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量を常法にて測定することで求めることができる。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる前記末端不飽和ポリプロピレンのポリプロピレン換算の重量平均分子量を、側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量として用いことができる。
側鎖を構成するプロピレン系重合体の重量平均分子量の調整方法としては、後述する製造工程(A)において、重合温度や重合圧力を調整する方法が挙げられる。
〔要件(I)〕
オレフィン系樹脂(β)は、密度が895〜925kg/m3の範囲にある。好ましくは900〜920kg/m3の範囲にある。この範囲あることによりエチレン系重合体とプロピレン系重合体の密度差が小さく透明性に優れる。製造時にエチレン系重合体とプロピレン系重合体の割合を調整することやエチレン系重合体のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を調節することによって前記範囲に調節できる。なお、前述のように密度はJIS K7112に準拠して測定した値である。
〔要件(II)〕
オレフィン系樹脂(β)は、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm1)が120〜165℃の範囲にあり、130〜160℃の範囲にあることが好ましく、135〜160℃の範囲にあることがより好ましい。
すなわち、オレフィン系樹脂(β)は、示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピークを120〜165℃、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜160℃の範囲に有する。
上記融解ピークが現れる温度、すなわち融点(Tm1)および後述する融解熱量(ΔH)は、試料をDSCにより一度昇温工程により融解させた後、30℃までの冷却工程により結晶化させ、2度目の昇温工程(昇温速度10℃/分)で現れる吸熱ピークを解析したものである。
上記範囲に観測される融点(Tm1)および融解熱量(ΔH)は、主にオレフィン系樹脂(β)を構成するグラフト型重合体[R1]のポリプロピレン側鎖に起因している。融点(Tm1)が上記範囲にあり、さらに好ましくは融解熱量(ΔH)が後述する範囲にあると、オレフィン系樹脂(β)はプロピレン系樹脂に良好に相溶することができ、その結果、オレフィン系樹脂(β)およびプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物は、剛性、耐熱性および靭性のバランスが良好となる。上記範囲の融点(Tm1)に調整する方法として、後述する製造工程(A)において、重合温度や重合圧力を調整する方法が挙げられる。
〔要件(III)〕
オレフィン系樹脂(β)は、熱キシレン不溶解量が3.0質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、より好ましくは2.0質量%未満である。
熱キシレン不溶解量は、次の方法で算出される値である。
試料を熱プレス(180℃、加熱5分間、冷却1分間)により厚み0.4mmのシート状にし、細かく裁断する。それを約100mg秤量し、325メッシュのスクリーンに包んで、密閉容器中にて30mlのp−キシレンに140℃で3時間浸漬する。次に、そのスクリーンを取り出し、80℃にて2時間以上、恒量になるまで乾燥する。熱キシレン不溶解量(wt%)は、次式で表わされる。
熱キシレン不溶解量(wt%)=100×(W3−W2)/(W1−W2)
W1:試験前のスクリーンおよびサンプルの合計の質量、W2:スクリーン質量、W3:試験後のスクリーンおよびサンプルの合計の質量
オレフィン系樹脂(β)が要件(III)を満たす場合には、オレフィン系樹脂(β)は、熱キシレン不溶解成分を全く含まないか、含んでも少量であるので、プロピレン系重合体に良好に分散することができ、その結果、所望の効果を発現する。一方、熱キシレン不溶解量が3wt%以上であると、プロピレン系樹脂組成物から得られた成形体においてブツと呼ばれる外観不良が生じる場合がある。
後述する製造方法に示した通り、重合工程から直接グラフト型重合体を得る方法を採用することで、熱キシレン不溶解成分が上記範囲のオレフィン系樹脂(β)を得ることができる。
〔要件(IV)〕
オレフィン系樹脂(β)は、エチレンから導かれる繰り返し単位の割合が全繰り返し単位に対し10〜95mol%の範囲にある。20〜90mol%の範囲にあることが好ましく、30〜90mol%の範囲にあることがより好ましい。
エチレンから導かれる繰り返し単位が上記範囲にあると、オレフィン系樹脂(β)はエチレン系重合体とプロピレン系重合体をバランスよく含んだ態様であることになり、それぞれの重合体に由来する特性を活用しながら、透明性を良好に発現することができる。
〔要件(V)〕
オレフィン系樹脂(β)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。前記極限粘度[η]は、好ましくは1.0〜4.0dl/g、より好ましくは1.0〜3.0dl/gである。前記極限粘度[η]が前記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(β)は十分な機械強度を有し、さらに良好な成形加工性も有する。
オレフィン系樹脂(β)は、下記要件(VI)〜(VII)のうち1つ以上を満たすことが好ましい。
〔要件(VI)〕
オレフィン系樹脂(β)は、前述の要件(II)に記載の範囲に融点(Tm1)を示す融解ピークの融解熱量(ΔH)が1〜90J/gの範囲にあることが好ましく、2〜80J/gの範囲にあることがより好ましく、3〜70J/gの範囲にあることが特に好ましい。
上記範囲の融解熱量(ΔH)に調整する方法として、後述する製造工程(B)において、製造工程(A)で製造される末端不飽和ポリプロピレンの使用量を調整する方法が挙げられる。
〔要件(VII)〕
オレフィン系樹脂(β)は、前述の要件(II)に記載の範囲に融点(Tm1)とは別に示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融解ピーク(Tm2)を90〜119℃の範囲に有することが好ましく、100〜116℃の範囲に有することがさらに好ましい。
上記融解ピークが現れる温度は、試料をDSCにより一度昇温工程により融解させた後、30℃までの冷却工程により結晶化させ、2度目の昇温工程(昇温速度10℃/分)で現れる吸熱ピークを解析したものである。
上記融解ピーク、主にオレフィン系樹脂(β)を構成するグラフト型重合体[R1]のエチレン系重合体から構成される主鎖に起因している。上記範囲に融解ピークを有すると、オレフィン系樹脂(β)は耐熱性や機械物性に優れるうえ、プロピレン系重合体との密度差が小さいく透明性に優れるため好ましい。上記範囲の融解ピークを有するオレフィン系樹脂(β)を得る方法として、製造時にエチレン系重合体とプロピレン系重合体の割合を調整することやエチレン系重合体のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を調節する方法が挙げられる。
オレフィン系樹脂(β)は、上記の通りエチレン系重合体からなる主鎖とプロピレン系重合体からなる側鎖をもつグラフト型重合体[R1]を含み、密度が895〜925kg/m3の範囲にある。したがって、オレフィン系樹脂(β)は通常のエラストマーのような物性を示すことはない。例えば、オレフィン系樹脂(β)の300%伸長からの弾性回復率は通常70%以下であり、好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは30%以下である。300%伸長からの弾性回復率が上記範囲にあることが、エチレン系重合体とプロピレン系重合体かの密度差が小さく、透明性を良好に発現する一因となる。
オレフィン系樹脂(β)は、着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質を含まないことが好ましい。
前記着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質としては、具体的には、ヘテロ原子含有化合物が挙げられ、前記ヘテロ原子含有化合物としては、塩素原子、臭素原子などハロゲン原子を含有する化合物、酸原子、硫黄原子などのカルコゲン原子を含有する化合物、窒素原子やリン原子などのプニクトゲン原子を含有する化合物などが挙げられる。前記酸素原子を含有する化合物としては、具体的には、無水マレイン酸や無水マレイン酸反応物が挙げられる。
また、前記着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質としては、金属原子含有化合物も挙げられ、具体的にはナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属含有化合物、マグネシウムやカルシウムのようなアルカリ土類金属含有化合物が挙げられる。
オレフィン系樹脂(β)は、前記ヘテロ原子含有化合物の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、さらにより好ましくは10ppm以下である。また、オレフィン系樹脂(β)は、前記金属原子含有化合物の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
<オレフィン系樹脂(β)の製造方法>
上述のオレフィン系樹脂(β)は、たとえば下記(A)、(B)の工程を含む製造方法により製造される。
(A)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
(B)周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で行われる、下記(B1)または(B2)の工程
(B1)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程
(B2)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンとを共重合する工程
以下、(A)、(B)の工程について順に説明する。
〔工程(A)〕
工程(A)は、グラフト型重合体[R1]のプロピレン系重合体から構成される側鎖の原料となる末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
本工程は、ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンを重合し末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
本発明において末端不飽和ポリプロピレンとは、下記末端構造(I)〜(IV)で表される末端不飽和をもつポリプロピレンを意味する。末端構造(I)〜(IV)における「Poly」は、末端構造と、該末端構造以外のプロピレン系重合体分子鎖との結合位置を示す。
Figure 2017066201
前記末端不飽和ポリプロピレンにおける末端不飽和の割合は1000炭素原子あたり通常0.1〜6個であるが、好ましくは0.4〜3.0個である。さらに、一般的に末端ビニルと呼ばれる末端構造(I)で表される末端不飽和割合は炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個であるが、好ましくは、0.2〜2.0個の範囲にある。
前記末端不飽和の定量は、末端不飽和ポリプロピレンの末端構造を1H−NMRで決定することにより求められる。1H−NMRは常法に従って測定すればよい。末端構造の帰属は、Macromolecular Rapid Communications 2000, 1103等に記載の方法に従って行うことができる。
例えば、末端構造(I)の場合、δ4.9〜5.1(2H)の積分値A、プロピレン系重合体に由来する全積分値をBとすると、1000炭素原子あたりの末端構造(I)の割合は1000×(A/2)/(B/2)の式で求められる。他の末端構造の割合を求める場合も、水素の比に注意しながら各構造に帰属されるピークの積分値に置き換えればよい。
前記末端不飽和のうち末端構造(I)の占める割合は通常、30%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましく60%以上である。なお、前述の末端不飽和のうち末端構造(I)の占める割合は、末端不飽和ポリプロピレンに含まれる1000炭素原子あたりに存在する前述の末端構造(I)〜(IV)のそれぞれの個数の和に対する、1000炭素原子あたりに存在する末端構造(I)の個数の比を百分率で表したものである。
遷移金属化合物[A]は後述する化合物[C]と組み合わせて末端不飽和ポリプロピレンを製造する重合触媒として機能する。
末端不飽和ポリプロピレンを製造するオレフィン重合用触媒としては、Resconi, L. JACS 1992, 114, 1025−1032などで古くから知られているが、オレフィン系共重合体[R1]の側鎖としては、アイソタクチック又はシンジオタクチックな末端不飽和ポリプロピレン、より好ましくはアイソタクチックな末端不飽和ポリプロピレンが好適である。
このような高立体規則性かつ、末端構造(I)を持つ末端不飽和ポリプロピレン含量の高いポリプロピレンを製造するのに用いられるオレフィン重合用触媒に含まれる遷移金属化合物[A]としては、特開平6−100579、特表2001−525461、特開2005−336091、特開2009−299046、特開平11−130807、特開2008−285443等により開示されている化合物を好適に用いることができる。
上記遷移金属化合物[A]としてより具体的には、架橋ビス(インデニル)ジルコノセン類又はハフノセン類からなる群から選択される化合物を好適な例として挙げることができる。より好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセン又はハフノセンである。さらに好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセンであり、ジルコノセンを選択することで、末端不飽和ポリプロピレンの挿入反応により生じる長鎖分岐ポリマーの生成が抑制され、オレフィン系樹脂(β)およびオレフィン系樹脂(β)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、所望の物性を発現する。一方、工程(A)において前記長鎖分岐ポリマーが多く生成される場合、オレフィン系樹脂(β)およびオレフィン系樹脂(β)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、耐熱性や機械強度などの物性を損なう恐れがある。
より具体的には、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド又はジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルを好適な化合物として用いることができる。
工程(A)は、気相重合、スラリー重合、バルク重合、溶液(溶解)重合のいずれの方法においても実施可能であり、特に重合形態は限定されない。
工程(A)が、溶液重合で実施される場合、重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、これらのうち、後処理工程の負荷低減の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、工程(A)の重合温度は、通常50〜200℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲、より好ましくは80〜130℃の範囲であり、重合温度を適切にコントロールすることで、所望の分子量及び立体規則性の末端不飽和ポリプロピレンを得ることが可能となる。
工程(A)の重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(A)における、ポリマー濃度は、定常運転時は、5〜50wt%であり、好ましくは、10〜40wt%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)の負荷及び生産性の観点から、15〜50wt%であることが好ましい。
工程(A)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000の範囲であり、より好ましくは5,000〜60,000の範囲であり、さらに好ましくは10,000〜60,000の範囲である。前記範囲の重量平均分子量を有する末端不飽和ポリプロピレンであることにより、後述する工程(B)において、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度をエチレンあるいはα−オレフィンに対して相対的に高めることができ、主鎖への導入効率が高くなる。一方、上記範囲を上回る場合、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度が相対的に低くなり、主鎖への導入効率が低くなる。また、上記範囲を下回る場合、融点が低下するなど実用上の問題がある場合がある。
工程(A)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜3.0、典型的には1.7〜2.5程度である。場合によっては、異なる分子量を有する末端不飽和ポリプロピレンの混合物を用いてもよい。
工程(A)において製造される末端不飽和ポリプロピレンの1H−NMRにて測定する末端不飽和の割合は、1000炭素原子あたり通常0.1〜6個であるが、より好ましくは0.4〜3.0個である。さらに末端構造(I)を持つ末端不飽和の割合、いわゆる末端ビニル量は、炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個であるが、好ましくは、0.2〜2.0個の範囲にある。末端ビニル量が少ない場合、後工程(B)における当該末端不飽和ポリプロピレンの主鎖への導入量が低くなり、グラフト型重合体[R1]の生成量が少なくなるため所望の効果が得られない場合がある。
1H−NMR測定による末端不飽和の量および各末端構造の割合の算出は、前述したとおり、例えばMacromolecular Rapid Communications 2000, 1103に記載の方法に従って行うことができる。
〔工程(B)〕
工程(B)は、周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で行われる、下記(B1)または(B2)の工程である。
(B1)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程
(B2)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンとを共重合する工程
なお、工程(B)では、共重合はα−オレフィンがエチレンと共に用いられることが好ましい。すなわち、工程Bは、周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で行われる(B1)の工程であることが好ましい。言い換えると、工程Bは、周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程であることが好ましい。
前記周期表第4族の遷移金属化合物は、特に限定されるものではないが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物である。前記周期表第4族の遷移金属化合物としては、下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物であることがより好ましい。すなわち、下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で工程(B)を行うことが好ましい。
なお、下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物を、架橋メタロセン化合物[B]とも記す。
Figure 2017066201
(式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち相互に隣り合う二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
工程(B)においては、高温にて十分な活性を発現し、高共重合性かつ高分子量化可能な触媒の選定が重要となる。末端ビニルポリプロピレン(前記末端構造(I))は、4位にメチル分岐を有し、立体的に嵩高い構造を有するので、直鎖状のビニルモノマーに比べ重合が難しい。また、末端ビニルポリプロピレンは、ポリマーが析出してくる低温条件では、共重合されにくい。このため、触媒には、好ましくは、90℃以上の重合温度にて十分な活性を発現し、主鎖を所望の分子量にする性能が求められる。
このような観点から、グラフト型重合体[R1]を多く含むオレフィン系樹脂(β)を得るには、工程(B)において、架橋メタロセン化合物[B]が好適に用いられる。
架橋メタロセン化合物[B]は、後述する化合物[C]と組み合わせて、工程(A)で製造される末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、好ましくは炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合するオレフィン重合用触媒として機能する。
以下、本発明で用いられる架橋メタロセン化合物[B]の化学構造上の特徴について説明する。
架橋メタロセン化合物[B]は、構造上、次の特徴[m1]および[m2]を備える。
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有するフルオレニル基(以下「置換フルオレニル基」ともいう。)である。
[m2]二つの配位子が、アリール(aryl)基を有する炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
以下、架橋メタロセン化合物[B]が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基)
式[B]中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示すものであり、末端ビニルポリプピレンを良好に取り込む構造として、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上がメチル基であり、残りが水素原子である構造が特に好ましい。
(置換フルオレニル基)
式[B]中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましい。
7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましい。
6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよい。
ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
重合活性の視点からは、R6およびR11がいずれも水素原子でないことが好ましく、R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことがさらに好ましく、R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。
また、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
5〜R12の例示および好ましい基としては、例えば、炭化水素基(以下「炭化水素基(f1)」と記載することがある。)(好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基)またはケイ素含有基(以下「ケイ素含有基(f2)」と記載することがある。)(好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基)が挙げられる。
その他、置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基を除く)を挙げることもできる。
炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。
ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、N−メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などが好適な例として挙げられる。
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式[II]〜[VI]で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
(架橋部)
式[B]中、R13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示し、Y1は炭素原子またはケイ素原子を示す。オレフィン重合体の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)基であるR13およびR14を有することである。製造上の容易性から、R13およびR14は互いに同一であることが好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6〜14、好ましくは6〜10の非置換アリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基がさらに好ましい。
(架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
式[B]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Qにおける炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3〜10の脂環族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
Qにおけるハロゲン化炭化水素基としては、Qにおける上記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
式[B]中、M1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示し、ハフニウム原子が末端不飽和ポリプロピレンを高効率で共重合し、また高分子量に制御できる点でも好ましい。末端不飽和ポリプロピレンを高効率で共重合し、また高分子量に制御できる性能を備えた触媒を用いることは、高い生産性を確保するために重要である。なぜなら、高い生産性を確保するために高温条件下で反応を行うことが望ましいが、高温条件下では生成分子量の低下が起こる傾向となるためである。
(好ましい架橋型メタロセン化合物[B]の例示)
以下に架橋型メタロセン化合物[B]の具体例を示す。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[II]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[III]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[IV]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[VI]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
Figure 2017066201
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架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、上記例示の化合物の「ジクロリド」を「ジフロライド」、「ジブロミド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」または「メチルエチル」などに代えた化合物、「シクロペンタジエニル」を「3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル」、「3,5−ジメチル−シクロペンタジエニル」、「3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル」または「3−メチル−シクロペンタジエニル」などに替えた化合物を挙げることもできる。
以上の架橋メタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、本出願人による国際公開第01/27124号パンフレット、国際公開第04/029062号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
以上のような架橋メタロセン化合物[B]は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
工程(B)は、溶液(溶解)重合において実施可能であり、重合条件については、オレフィン系ポリマーを製造する溶液重合プロセスを用いれば、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、好ましくは架橋メタロセン化合物[B]、より好ましくは前記一般式[B]におけるY1に結合しているR13、R14がフェニル基、あるいは、アルキル基またはハロゲン基により置換されたフェニル基であり、R7、R10がアルキル置換基を有する架橋メタロセン化合物[B]を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、工程(A)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、好ましくは炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の重合反応液を得る工程である。
工程(B)では、工程(A)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンが溶液状またはスラリー状にて工程(B)における反応器にフィードされる。フィード方法は、特段限定されるものではなく、工程(A)にて得られた重合液を連続的に工程(B)の反応器にフィードしても、工程(A)の重合液を一旦バッファータンクに溜めたのちに、工程(B)にフィードしてもよい。
工程(B)の重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、工程(B)の重合溶媒は、工程(A)の重合溶媒と同一でも異なっていてもよい。なお、これらのうち、工業的観点からはヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましく、さらにオレフィン系樹脂(β)との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、工程(B)の重合温度は、90℃以上であることが好ましく、90〜200℃の範囲がより好ましく、100〜200℃の範囲であることが特に好ましい。このような温度が好ましいのは、上述の重合溶媒として工業的に好ましく用いられるヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素中で、末端不飽和ポリプロピレンが良好に溶解する温度が90℃以上であるためである。より高温であることがポリプロピレン側鎖の導入量を向上させる上で好ましい。さらに生産性向上の観点からもより高温であることが好ましい。
工程(B)の重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
工程(B)の反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(B)における、ポリマー濃度は、定常運転時は、5〜50wt%であり、好ましくは、10〜40wt%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)負荷及び生産性の観点から、15〜35wt%であることが好ましい。
得られる共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、後述の化合物[C]の使用量により調節することもできる。分子量の調節に用いる化合物[C]としては具体的には、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ジエチル亜鉛等が挙げられる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
[化合物[C]]
本発明にかかるオレフィン系樹脂(β)の製造方法では、上述した工程(A)、(B)においてオレフィン重合用触媒として用いられる遷移金属化合物[A]および架橋メタロセン化合物[B]と共に、後述する化合物[C]を用いることが好ましい。
化合物[C]は、遷移金属化合物[A]および架橋メタロセン化合物[B]と反応して、オレフィン重合用触媒として機能するものであり、具体的には、[C1]有機金属化合物、[C2]有機アルミニウムオキシ化合物、および、[C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれるものである。以下、[C1]〜[C3]の化合物について順次説明する。
([C1]有機金属化合物)
本発明で用いられる[C1]有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(C1−a)で表わされる有機アルミニウム化合物、一般式(C1−b)で表わされる周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および一般式(C1−c)で表わされる周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、[C1]有機金属化合物には、後述する[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
Figure 2017066201
上記一般式(C1−a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+r+s=3である。)
Figure 2017066201
上記一般式(C1−b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
Figure 2017066201
上記一般式(C1−c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。
前記一般式(C1−a)で表わされる有機アルミニウム化合物としては、次のような一般式(C−1a−1)〜(C−1a−4)で表わされる化合物を例示できる。
Figure 2017066201
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは0<p≦3、好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物。
Figure 2017066201
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物。
Figure 2017066201
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは0<p≦3、好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物。
Figure 2017066201
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(C1−a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物として例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記一般式(C1−b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(C1−c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
またその他にも、[C1]有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを、前記[C1]有機金属化合物として使用することもできる。
上記のような[C1]有機金属化合物は、1種類単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
([C2]有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。
本発明で用いられる[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2017066201
(一般式(III)中、R17は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR18は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
Figure 2017066201
(一般式(IV)中、R19は前記一般式(III)におけるR17と同じ基を示す。)
前記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
([C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物[C3](以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
前記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017066201
(一般式(V)中、R20はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R21〜R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
20としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VI)または(VII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2017066201
(式(VI)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2017066201
(式(VII)中、Etはエチル基を示す。)
イオン化イオン性化合物(化合物[C3])の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、例えば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルウンバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の例えば周期表第1族または第2族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物([C3]遷移金属化合物[A]、架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
遷移金属化合物[A]、架橋メタロセン化合物[B]に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの[C2]有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
上記のような[C3]イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
有機金属化合物[C1]は、有機金属化合物[C1]と、工程(A)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C1/M)が、工程(B)においては架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C1/M)が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物[C2]は、有機アルミニウムオキシ化合物[C2]中のアルミニウム原子と、工程(A)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C2/M)が、工程(B)においては架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C2/M)が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物[C3]は、イオン化イオン性化合物[C3]と、工程(A)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C3/M)が、工程(B)においては架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C3/M)が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
〔工程(C)〕
オレフィン系樹脂(β)の製造方法は、工程(A)および(B)に加え、必要に応じて、工程(B)で生成する重合体を回収する工程(C)を含んでも良い。本工程は、工程(A)および(B)において用いられる有機溶剤を分離してポリマーを取り出し製品形態に変換する工程であり、溶媒濃縮、押し出し脱気、ペレタイズ等の既存のポリオレフィン樹脂を製造する過程であれば特段制限はない。
<成形体>
本発明のオレフィン系樹脂(β)から得られる成形体について説明する。オレフィン系樹脂(β)は、エチレン系重合体に由来する耐衝撃性や靱性などの特性と、耐熱性や剛性等のプロピレン系重合体に由来する特性を高度にバランスすることができることから、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の成形方法により、各種成形体に成形することができ、自動車部品、食品用途や医療用途などの容器、食品用途や電子材料用途等の包材、フィルム・シート・テープなど公知の多様な用途に適用することができる。
特にオレフィン系樹脂(β)からなる成形体は上記物性バランスに加え透明性に優れることから、内容物の視認性が求められる食品用途や医療用途などの容器や包材に好適である。
食品用途や医療用途などの容器としては、例えば、食器、レトルト容器、冷凍保存容器、レトルトパウチ、電子レンジ耐熱容器、冷凍食品容器、冷菓カップ、カップ、飲料ボトルなどの食品容器、レトルト容器、ボトル容器などや、輸血セット、医療用ボトル、医療用容器、医療用中空瓶、医療バッグ、輸液バッグ、血液保存バック、輸液ボトル薬品容器、洗剤容器、化粧品容器、香水容器、トナー容器などが挙げられる。
包材としては、例えば、食品包材、食肉包材、加工魚包材、野菜包材、果物包材、発酵食品包材、菓子包装材、酸素吸収剤包材、レトルト食品用包材、鮮度保持フィルム、医薬包材、細胞培養バック、細胞検査フィルム、球根包材、種子包材、野菜・キノコ栽培用フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、業務用ラップフィルム、家庭用ラップフィルム、ベーキングカートン、などが挙げられる。
なお、オレフィン系樹脂(β)から得られる成形体は、オレフィン系樹脂(β)と、オレフィン系樹脂(β)以外の成分とから得られる成形体であってもよい。オレフィン系樹脂(β)以外の成分としては、他の樹脂、ゴム、無機充填剤、添加剤などが挙げられる。添加剤としては、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等、結晶核剤などが挙げられる。
<プロピレン系樹脂組成物>
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂(α)と前記オレフィン系樹脂(β)を含有することを特徴とする。
前述のオレフィン系樹脂(β)は、任意の配合割合にて、プロピレン系樹脂(α)と良好に相容することから、本発明のプロピレン系樹脂組成物におけるプロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との含有割合に特段の制限はないが、プロピレン系樹脂本来の剛性や硬度などの物性を良好に保持しながら、耐衝撃性や靱性を改良する含有割合として、プロピレン系樹脂(α)は50〜98質量部であることが好ましく、より好ましくは60〜95質量部、さらに好ましくは65〜95質量部である。また、オレフィン系樹脂(β)は2〜50質量部が好ましく、より好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは5〜35質量部である。ただし、プロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との各質量部の合計は100質量部である。
プロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)の含有割合が上記範囲にあることにより、本発明のプロピレン系樹脂組成物はプロピレン系樹脂本来の剛性や硬度などの物性を良好に保持しながら、耐衝撃性や靱性が改良され、さらに各種成形品の製造に好適に使用することができる。
次に、プロピレン系樹脂(α)について以下に説明する。
プロピレン系樹脂(α)は、オレフィン系樹脂(β)とは異なるものであって、プロピレンの単独重合体であるか、または、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体から構成される。共重合体としては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても構わない。前述の炭素数4〜20のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。この中でも1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのα−オレフィンを好ましく用いることができる。
プロピレン系樹脂(α)は前記重合体のうち単独の重合体から構成されてもよいし、複数の重合体から構成されていてもよい。上記プロピレン樹脂(α)はチーグラーナッタ触媒等で重合される。
プロピレン系樹脂(α)としては、市販のプロピレン系樹脂の中から、特に制限なく用いることができる。市販のプロピレン系樹脂の例として、いわゆるホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、が挙げられる。
以下、プロピレン系樹脂(α)の好ましい態様について説明する。プロピレン系樹脂(α)は、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜500g/10分である。MFRの下限値は好ましくは0.2g/10分、より好ましくは0.3g/10分、上限値は好ましくは300g/10分、より好ましくは100g/10分、特に好ましくは50g/10分である。プロピレン系樹脂(α)のMFRが0.1g/10分より小さい場合、プロピレン系樹脂組成物中のプロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との分散性が悪化し、樹脂組成物の機械強度が低下する場合がある。プロピレン系樹脂(α)のMFRが500g/10分より大きい場合、プロピレン系樹脂(α)自体の強度が低下し、樹脂組成物の機械的強度が低くなる場合がある。
MFRはプロピレン系樹脂(α)の分子量の指標となるが、プロピレン系樹脂(α)はさらに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められるポリプロピレン換算の重量平均分子量が好ましくは8万〜90万、より好ましくは10万〜70万、特に好ましくは15万〜70万の範囲にある。
さらにプロピレン系樹脂(α)は、引張弾性率が500〜3000MPaであることが好ましく、より好ましくは600〜2500MPa、さらにより好ましくは650〜2200MPaである。引張弾性率は、JIS K7113−2に準拠し、2mm厚みのプレスシートを23℃で測定した値である。プロピレン系重合体(α)が上記範囲の引張弾性率であることで、プロピレン系重合体(α)を含むプロピレン系樹脂組成物は、高い剛性および高い硬度を有する。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、ゴム、無機充填剤、有機充填剤などを配合することができ、また耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等、結晶核剤などの添加剤を配合することができる。本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物においては、前記他の樹脂、他のゴム、無機充填剤、添加剤等の添加量は本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではない。
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物の調製方法は、溶融法、溶液法等、特に限定されないが、実用的には溶融混練方法が好ましい。溶融混練方法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混練方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各成分を、必要であれば付加的成分の項に記載の添加物等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混練押出機、混練ロール、バッチ混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練することにより調製することができる。
各成分の溶融混練温度(例えば、押出機ならシリンダー温度)は、通常170〜250℃、好ましくは180〜230℃である。さらに各成分の混練順序および方法は、特に限定されるものではない。
<プロピレン系樹脂組成物の成形体>
本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体について説明する。前記プロピレン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(β)にグラフト型重合体[R1]を含むことからエチレン系重合体が良好にプロピレン樹脂に分散しているものと推察される。そのため前記プロピレン樹脂組成物は、プロピレン系樹脂に由来する剛性を保持したまま耐衝撃性の向上を図れることができ、剛性と耐衝撃性のバランスに優れる。従って、前記プロピレン系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の成形方法により、各種成形体に成形することができ、自動車部品、食品用途や医療用途などの容器、食品用途や電子材料用途等の包材、フィルム・シート・テープなど公知の多様な用途に適用することができる。
特に本発明のプロピレン系樹脂組成物は上記物性バランスに加え透明性に優れることから、内容物の視認性が求められる食品用途や医療用途などの容器や包材に好適にである。
食品用途や医療用途などの容器としては、例えば、食器、レトルト容器、冷凍保存容器、レトルトパウチ、電子レンジ耐熱容器、冷凍食品容器、冷菓カップ、カップ、飲料ボトルなどの食品容器、レトルト容器、ボトル容器などや、輸血セット、医療用ボトル、医療用容器、医療用中空瓶、医療バッグ、輸液バッグ、血液保存バック、輸液ボトル薬品容器、洗剤容器、化粧品容器、香水容器、トナー容器などが挙げられる。
包材としては、例えば、食品包材、食肉包材、加工魚包材、野菜包材、果物包材、発酵食品包材、菓子包装材、酸素吸収剤包材、レトルト食品用包材、鮮度保持フィルム、医薬包材、細胞培養バック、細胞検査フィルム、球根包材、種子包材、野菜・キノコ栽培用フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、業務用ラップフィルム、家庭用ラップフィルム、ベーキングカートン、などが挙げられる。
フィルム・シート・テープとしては、例えば、偏光板用保護フィルム、液晶パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、マスキングフィルム、コンデンサー用フィルム、反射フィルム、積層体(ガラス含む)、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルムなどの保護フィルム、
その他の用途としては、例えば、家電製品の筐体、ホース、チューブ、電線被覆材、高圧電線用碍子、化粧品・香水スプレー用チューブ、医療用チューブ、輸液チューブ、パイプ、ワイヤーハーネス、自動二輪・鉄道車両・航空機・船舶等の内装材、インストルメントパネル表皮、ドアトリム表皮、リアーパッケージトリム表皮、天井表皮、リアピラー表皮、シートバックガーニッシュ、コンソールボックス、アームレスト、エアバックケースリッド、シフトノブ、アシストグリップ、サイドステップマット、リクライニングカバー、トランク内シート、シートベルトバックル、インナー・アウターモール、ルーフモール、ベルトモールなどのモール材、ドアシール、ボディシールなどの自動車用シール材、グラスランチャンネル、泥よけ、キッキングプレート、ステップマット、ナンバープレートハウジング、自動車用ホース部材、エアダクトホース、エアダクトカバー、エアインテークパイプ、エアダムスカート、タイミングベルトカバーシール、ボンネットクッション、ドアクッションなどの自動車内外装材、制振タイヤ、静動タイヤ、カーレースタイヤ、ラジコンタイヤなどの特殊タイヤ、パッキン、自動車ダストカバー、ランプシール、自動車用ブーツ材、ラックアンドピニオンブーツ、タイミングベルト、ワイヤーハーネス、グロメット、エンブレム、エアフィルタパッキン、家具・履物・衣料・袋物・建材等の表皮材、建築用シール材、防水シート、建材シート、建材ガスケット、建材用ウインドウフィルム、鉄芯保護部材、ガスケット、ドア、ドア枠、窓枠、廻縁、巾木、開口枠等、床材、天井材、壁紙、健康用品(例:滑り止めマット・シート、転倒防止フィルム・マット・シート、)、健康器具部材、衝撃吸収パッド、プロテクター・保護具(例:ヘルメット、ガード)、スポーツ用品(例:スポーツ用グリップ、プロテクター)、スポーツ用防具、ラケット、マウスガード、ボール、ゴルフボール、運搬用具(例:運搬用衝撃吸収グリップ、衝撃吸収シート)、制振パレット、衝撃吸収ダンパー、インシュレーター、履物用衝撃吸収材、衝撃吸収発泡体、衝撃吸収フィルムなどの衝撃吸収材、グリップ材、雑貨、玩具、靴底、靴底ソール、靴のミッドソール・インナーソール、ソール、サンダル、吸盤、歯ブラシ、床材、体操用マット、電動工具部材、農機具部材、放熱材、透明基板、防音材、クッション材、電線ケーブル、形状記憶材料、医療用ガスケット、医療用キャップ、薬栓、ガスケット、ベビーフード・酪農製品・医薬品・滅菌水等を瓶に充填後、煮沸処理、高圧蒸気滅菌等高温処理される用途のパッキング材、工業用シール材、工業用ミシンテーブル、ナンバープレートハウジング、ペットボトルキャップライナーなどのキャップライナー、文房具、オフィス用品、OAプリンタ脚、FAX脚、ミシン脚、モータ支持マット、オーディオ防振材などの精密機器・OA機器支持部材、OA用耐熱パッキン、アニマルケージ、ビーカー、メスシリンダー等の理化学実験機器、光学測定用セル、衣装ケース、クリアーケース、クリアーファイル、クリアーシート、デスクマット、繊維としての用途として、例えば、不織布、伸縮性不織布、繊維、防水布、通気性の織物や布、紙おむつ、生理用品、衛生用品、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、ガス分離膜、などが挙げられる。
プロピレン系樹脂組成物は、剛性と耐衝撃性のバランスが優れることに加え透明性に優れることから、内容物の視認性が求められる食品用途や医療用途などの容器や包材に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
以下の実施例において、オレフィン系樹脂(β)等の物性は、下記の方法によって測定した。
(オレフィン系樹脂(β)、(β’)、樹脂(B)および末端不飽和ポリプロピレンの物性測定方法)
(1)融点(Tm1およびTm2)および融解熱量ΔHの測定
融点(Tm1およびTm2)およびTm1の融解熱量ΔHの測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/分で200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、その融解ピークが現れる温度を融点(Tm1およびTm2)として求めた。また、Tm1の融解熱量ΔHは前記融解解ピークの面積を算出して求めた。なお融解ピークが多峰性の場合は、全体の融解ピークの面積を算出して求めた。
(2)密度
樹脂の密度(kg/m3)を、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した。
(3)熱キシレン不溶解量
試料を熱プレス(180℃、加熱5分−冷却1分)により厚み0.4mmのシート状にし、細かく裁断した。それを約100mg秤量し、325メッシュのスクリーンに包んで、密閉容器中にて30mlのp−キシレンに、140℃で3時間浸漬した。次に、そのスクリーンを取り出し、80℃にて2時間以上恒量になるまで乾燥した。熱キシレン不溶解量(wt%)は、次式で表わされる。
Figure 2017066201
W1:試験前のスクリーンおよびサンプルの質量、W2:スクリーン質量、W3:試験後のスクリーンおよびサンプルの質量。
(4)極限粘度測定
極限粘度測定[η]は135℃のデカリン中で測定した。
具体的には、約20mgの樹脂をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定した。
この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
Figure 2017066201
(5)13C−NMR測定
樹脂のエチレンおよびα−オレフィンの組成比分析、および末端不飽和ポリプロピレンの立体規則性(アイソタクチックペンタド分率(mmmm:〔%〕))の確認を目的に、次の条件で13C−NMR測定を実施した。
装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIII500CryoProbe Prodigy型核磁気共鳴装置、測定核:13C(125MHz)、測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:45°(5.00μ秒)、ポイント数:64k、測定範囲:250ppm(−55〜195ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:512回、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)、ケミカルシフト基準:ベンゼン−d6(128.0ppm)。
(6)1H−NMR測定
末端不飽和ポリプロピレンの末端構造の分析のため、次の条件で1H−NMR測定を実施した。
装置:日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置、測定核:1H(400MHz)、測定モード:シングルパルス、パルス幅:45°(5.25μ秒)、ポイント数:32k、測定範囲:20ppm(−4〜16ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:64回、測定溶媒:1,1,2,2,−テトラクロロエタン−d2、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:0.12Hz)、ケミカルシフト基準:1,1,2,2,−テトラクロロエタン(5.91ppm)。
(7)GPC測定
ポリマーの分子量分析のために、次の条件でGPC分析を実施した。
装置:Waters社製 Alliance GPC 2000型、カラム:TSKgel GMH6−HTx2 TSKgel GMH6−HTLx2(いずれも東ソー社製、内径7.5mmx長さ30cm)、カラム温度:140℃、移動相:オルトジクロロベンゼン(0.025%ジブチルヒドロキシトルエン含有)、検出器:示差屈折計、流量:1.0mL/分、試料濃度:0.15%(w/v)、注入量:0.5mL、サンプリング時間間隔:1秒、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)。
上記測定により得られたポリスチレン換算の平均分子量を、下記、オレフィン系樹脂β'−1、β'−2、β'−3はポリエチレンに換算し、末端不飽和ポリプロピレンM−1、M−2はポリプロピレンに換算した。
(8)TMA軟化温度
樹脂の耐熱性評価のために、熱機械分析装置(TMA)による軟化温度の測定を実施した。実施例または比較例に記載の方法で製造したオレフィン樹脂について、200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、10分余熱した後2分間加圧し、すぐに20℃に設定した油圧式熱プレス成形機で4分間冷却して2mm厚みのプレスシートを作製した。
得られたプレスシートを5mm角に切り出し、JIS K7196に準拠して、熱機械分析装置(TMA)を用いて、昇温速度5℃/minで1.0mmφの平面圧子に2kgf/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より針進入温度(℃)を求め、TMA軟化温度とした。
(9)ヘーズ試験
樹脂の透明性評価のために、ヘーズ試験を実施した。
実施例または比較例に記載の方法で製造したオレフィン樹脂について、200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、10分余熱した後2分間加圧し、すぐに20℃に設定した油圧式熱プレス成形機で4分間冷却して0.2mm厚みのプレスシートを作製した。
得られたプレスシートを、JIS K7136に準拠して、ヘーズを測定した。
(10)耐衝撃性試験(シャルピー衝撃試験)
樹脂の耐衝撃性評価のため、シャルピー衝撃試験を実施した。実施例または比較例に記載の方法で製造したオレフィン樹脂について、200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、10分余熱した後2分間加圧し、すぐに20℃に設定した油圧式熱プレス成形機で4分間冷却して4mm厚みのプレスシートを作製した。
シャルピー衝撃試験(〔kJ/m2〕)は、JIS K7111に従って、下記の条件で測定を行い評価した。
<試験条件>
温度:0℃、23℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
ノッチは機械加工である
以下、オレフィン系樹脂(β)の実施例および比較例について記載する。なお、分析および物性評価に必要な樹脂量を確保するため複数回重合を実施していることがある。
[実施例1]
工程(A):末端不飽和ポリプロピレン(M−1)の製造
触媒として使用したジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドは特許第3737134号に開示されている方法に従って合成した。
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、トルエン1.5Lを入れたのち、85℃に昇温した。そこに600rpmで重合器内部を撹拌しながらプロピレンを240リットル/hrで連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きプロピレンを連続的に供給した状態で、メチルアルミノキサン(PMAOとも記す)のトルエン溶液(1.5mol/L)を5.0mL(7.5mmol)、ついでジメチルシリルビス(2−メチル−4−フィニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.0020mol/L)を6.0mL(0.012mmol)加え、常圧下、85℃で30分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む5Lのメタノール中に加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、プロピレン系重合体(末端不飽和ポリプロピレン(M−1))63.4gを得た。得られた重合体の分析結果を表1に示す。
工程(B):オレフィン系樹脂(β−1)の製造
触媒として使用した下記式で示される化合物(1)は公知の方法によって合成した。
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、末端不飽和ポリプロピレン(M−1)5.0gとキシレン500mlを入れたのち、100℃に昇温し末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を溶解させた。そこに、600rpmで重合器内部を撹拌しながら、エチレン、1−ブテン、および水素をそれぞれ120リットル/hr、2.4リットル/hr、5.0リットル/hrで連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きエチレン、1−ブテンおよび水素を連続的に供給した状態で、トリイソブチルアルミニウム(iBu3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を1.0mL(1.00mmol)、前記化合物(1)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を5.0mL(0.01mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を6.25mL(0.025mmol)加え重合を開始した。
常圧下、重合温度を100℃に保持し、重合開始から20分後、さらに前記化合物(1)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を5.0mL(0.01mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を6.25mL(0.025mmol)加え、さらに20分間、常圧下、100℃で重合を行った。その後、重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、22.8gのオレフィン系樹脂(β−1)を得た。 オレフィン系樹脂(β−1)の分析結果を表2に示す。
後述の比較例1において末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を添加しない以外は実施例1と同様に重合して得られた樹脂(β’−1)を既述の方法で分析した結果を表3に示す。この樹脂(β’−1)を、オレフィン系樹脂(β−1)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
Figure 2017066201
[実施例2]
1−ブテンの供給量を3.6リットル/hrに変更して工程(B)を実施したこと以外は、実施例1と同様にオレフィン系樹脂を製造した。オレフィン系樹脂(β−2)を23.5g得た。オレフィン系樹脂(β−2)の分析結果を表2に示す。
[実施例3]
末端不飽和ポリプロピレン(M−1)の仕込み量を2.0gにして工程(B)を実施したこと以外は実施例2と同様にオレフィン系樹脂を製造した。オレフィン系樹脂(β−3)を19.7g得た。オレフィン系樹脂(β−3)の分析結果を表2に示す。
[実施例4]
末端不飽和ポリプロピレン(M−1)の仕込み量を10.0gにして工程(B)を実施したこと以外は実施例2と同様にオレフィン系樹脂を製造した。オレフィン系樹脂(β−4)を30.3g得た。オレフィン系樹脂(β−4)の分析結果を表2に示す。
後述の比較例2において末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を添加しない以外は実施例2と同様に重合して得られた樹脂(β’−2)を既述の方法で分析した結果を表3に示す。この樹脂(β’−2)を、オレフィン系樹脂(β−2)、オレフィン系樹脂(β−3)およびオレフィン系樹脂(β−4)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
[実施例5]
工程(A):末端不飽和ポリプロピレン(M−2)の製造
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、窒素流通下でトルエン500mLおよびメチルアルミノキサン(PMAOとも記す)のトルエン溶液(1.5mol/L)0.67mL(1.0mmol)を入れた。その後オートクレープを閉鎖し、85℃に昇温した。次に600rpmで重合器内部を撹拌しながらプロピレン分圧を0.3MPaに昇圧し、引き続き85℃を維持した。そこにジメチルシリルビス(2−メチル−4−フィニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.0010mol/L)を1.0mL(0.001mmol)圧入し重合を開始した。プロピレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、85℃で20分間重合を行った後、5mLのメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノールに加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、末端不飽和ポリプロピレン(M−2)14.9gを得た。得られた重合体の分析結果を表1に示す。
工程(B):オレフィン系樹脂(β−5)の製造
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、末端不飽和ポリプロピレン(M−2)25.0gとキシレン500mlを入れたのち、100℃に昇温し末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を溶解させた。そこに、600rpmで重合器内部を撹拌しながら、エチレン、1−ブテン、および水素をそれぞれ120リットル/hr、2.4リットル/hr、5.0リットル/hrで連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きエチレン、1−ブテンおよび水素を連続的に供給した状態で、トリイソブチルアルミニウム(iBu3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を1.0mL(1.00mmol)、前記化合物(1)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を5.0mL(0.01mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を6.25mL(0.025mmol)加え、常圧下、100℃で20分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、34.6gのオレフィン系樹脂(β−5)を得た。オレフィン系樹脂(β−5)の分析結果を表2に示す。
末端不飽和ポリプロピレン(M−2)を添加しない以外は上記実施例5と同様に重合してオレフィン系樹脂を製造した。得られたオレフィン系樹脂(β’−3)は10.6gであった。得られたオレフィン系樹脂(β’−3)の分析結果を表3に示す。この樹脂(β’−3)を、オレフィン系樹脂(β−5)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
オレフィン系樹脂(β−5)の耐衝撃性の前記方法により評価を行ったところ、1.07kJ/m2(試験温度0℃)、3.49kJ/m2(試験温度23℃)であった。
[比較例1]
末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を加えずに重合して工程(B)を実施したこと以外は実施例1と同様にオレフィン系樹脂を製造した。得られたオレフィン系樹脂(β’−1)は17.3gであった。得られたオレフィン系樹脂(β’−1)の分析結果を表2および表3に示す。
[比較例2]
末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を加えずに重合して工程(B)を実施したこと以外は実施例2と同様にオレフィン系樹脂を製造した。得られたオレフィン系樹脂(β’−2)は18.7gであった。得られたオレフィン系樹脂(β’−2)の分析結果を表2および表3に示す。
[比較例3]
内容積1Lのガラス製反応器に、末端不飽和ポリプロピレン(M−1)5.0gとオレフィン系樹脂(β’−2)18.5g、およびキシレン500mlを入れたのち、100℃に昇温し末端不飽和ポリプロピレン(M−1)およびオレフィン系樹脂(β’−2)を溶解させた。得られた溶液をメタノール中に加え重合体を析出させた。析出物を80℃にて10時間減圧乾燥し、23.5gの樹脂(B−1)を得た。得られたオレフィン系樹脂(B−1)の分析結果を表2に示す。
[比較例4]
内容積1Lのガラス製反応器に、末端不飽和ポリプロピレン(M−2)25.0gとオレフィン系樹脂(β’−3)9.6g、およびキシレン500mlを入れたのち、100℃に昇温し末端不飽和ポリプロピレン(M−2)およびオレフィン系樹脂(β’−3)を溶解させた。得られた溶液をメタノール中に加え重合体を析出させた。析出物を80℃にて10時間減圧乾燥し、34.6gの樹脂(B−2)を得た。得られたオレフィン系樹脂(B−2)の分析結果を表2に示す。
オレフィン系樹脂(B−2)の耐衝撃性の前記方法により評価を行ったところ、0.84kJ/m2(試験温度0℃)、1.19kJ/m2(試験温度23℃)であった。
上記、実施例1〜4および比較例1〜2において、TMA軟化温度とヘーズの関係をプロットした図が図1である。
Figure 2017066201
Figure 2017066201
Figure 2017066201
上記、実施例と比較例の対比について以下詳細に説明する。
(実施例1〜4と比較例1〜2の対比)
まず、単味のエチレン系重合体樹脂である比較例1(樹脂β’−1)および比較例2(樹脂β’−2)を対比すると、比較例1(樹脂β’−1)は比較例2(樹脂β’−2)よりもTMA軟化温度が高く耐熱性が向上していることが分かる。これは、比較例1(樹脂β’−1)は比較例2(樹脂β’−2)よりも1−ブテン(α−オレフィン)の割合が小さいことに由来すると考えられる。比較例1は比較例2よりもヘーズ値が高く、すなわち透明性が劣る。すなわち耐熱性と透明性は相反する傾向を示し、図1において破線で示したバランスとなっている。
一方、実施例1〜4に示したオレフィン重合体では、高度に透明性と耐熱性を両立していることが分かる。
(実施例1〜2と比較例3の対比)
実施例1および2(樹脂β−1及び樹脂β−2)は、図1において、実線で示したバランスとなる。樹脂β−1の主鎖を構成する共重合体に相当する樹脂β’−1に、樹脂β−1およびβ−2の製造に用いた末端不飽和ポリプロピレンM−1を単にブレンドした比較例3(樹脂B−1)では、耐熱性、透明性共に実施例1および2に対し大きく劣後しており、上記効果はグラフト型重合体[R1]を含むことによるものであることが分かる。
(実施例5と比較例4の対比)
比較例4は樹脂β’−3に末端不飽和ポリプロピレンM−2をブレンドした樹脂(樹脂B−2)であり、そのヘーズは47.6%、耐撃強度は0.84kJ/m2(試験温度0℃)、1.19kJ/m2(試験温度23℃)であった。それに対し実施例5で得られた樹脂(樹脂β−5)は、グラフト型重合体[R1]を含む樹脂であり、そのヘーズは15.0%、耐撃強度は、1.07kJ/m2(試験温度0℃)、3.49kJ/m2(試験温度23℃)であった。このことから、グラフト型重合体[R1]を含むことで、大幅に透明性が改善し、さらに室温および低温においても耐衝撃性も向上することが分かる。

Claims (14)

  1. エチレン系重合体から構成される主鎖およびプロピレン系重合体から構成される側鎖を有し下記要件(i)を満たすグラフト型重合体[R1]を含み、下記要件(I)を満たす、オレフィン系樹脂(β)。
    (i)主鎖を構成するエチレン系重合体が、エチレンから導かれる繰り返し単位を有し、かつ炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を主鎖中0mol%以上、10mol%未満の範囲で有する。
    (I)密度が895〜925kg/m3の範囲にある。
  2. 下記要件(II)を満たす、請求項1に記載のオレフィン系樹脂(β)。
    (II)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm1)が120〜165℃の範囲にある。
  3. 下記要件(III)を満たす、請求項1または2に記載のオレフィン系樹脂(β)。
    (III)熱キシレン不溶解量が3.0質量%未満である。
  4. 前記グラフト型重合体[R1]が、下記要件(ii)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
    (ii)側鎖を構成するプロピレン系重合体が、プロピレンから導かれる繰り返し単位を側鎖中95〜100mol%の範囲で有し、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位を側鎖中0〜5mol%の範囲で有する。
  5. 前記グラフト型重合体[R1]が、下記要件(iii)を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
    (iii)側鎖を構成するプロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上である。
  6. 下記要件(IV)を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
    (IV)エチレンから導かれる繰り返し単位の割合が全繰り返し単位に対し10〜95mol%の範囲にある。
  7. 下記(A)および(B)の工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
    (A)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
    (B)周期表第4族の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で行われる、下記(B1)または(B2)の工程
    (B1)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程
    (B2)(A)で製造される不飽和末端ポリプロピレンと、エチレンとを共重合する工程
  8. 前記周期表第4族の遷移金属化合物が、下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物である請求項7に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
    Figure 2017066201
    (式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち相互に隣り合う二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
    6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
    13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
    1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
    1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
    Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  9. 工程(B)が重合温度90℃以上の溶液重合プロセスであることを特徴とする請求項7または8に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
  10. プロピレン系樹脂(α)と請求項1〜6のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)を含有するプロピレン系樹脂組成物。
  11. 前記プロピレン系樹脂(α)50〜98質量部およびオレフィン系樹脂(β)2〜50質量部(プロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との合計は100質量部である)を含有する請求項10に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  12. 前記オレフィン系樹脂(β)が、請求項7〜9のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法によって得られたものである、請求項10または11に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  13. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂(β)から得られる成形体。
  14. 請求項10〜12のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体。
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