本発明の実施の形態について図1乃至図8を参照しながら説明する。以下の説明において、具体的な数値に言及した場合、例えば、角度について「90°」、回転数について「2000R1pm」、時間について「20ms」等のように言及した場合、当該数値と完全に一致する場合だけでなく、当該数値と略同一である場合も含むものとする。また、位置関係等に言及した場合、例えば、平行、直交、反対等のように言及した場合、完全に平行、直交、反対等である場合だけでなく、略平行、略直交、略反対等である場合を含むものとする。
最初に、本発明の第1の実施の形態による打込機の一例である釘打機1について図1乃至図5を参照しながら説明する。
図1及び図2に示されているように釘打機1は、ハウジング2と、モータ3と、動力伝達部4と、圧縮空気供給部5と、打込部6と、圧縮空気を充填可能な蓄圧室7と、ノーズ部8と、マガジン9と、釘打機1の動作を制御する制御基板部25とを備えている。釘打機1は、蓄圧室7内に充填された圧縮空気を用いて打込部6を上死点から下死点へ高速で移動させることで止具である釘を木材等の被打込材に打込む工具であり、蓄圧室7内に圧縮空気を再充填可能に構成されている。図1及び図2は、釘打機1全体の内部構造を示す一部断面側面図であり、図1は、打込部6が上死点に位置している状態を示す図、図2は、打込部6が上死点に位置している状態を示す図である。なお、図1において図中に示されている上を上方向、下を下方向、前を前方向、後を後方向と定義する。さらに、釘打機1を後方から見た場合の左を左方向、右を右方向と定義する。
ハウジング2は、釘打機1の外郭をなす部分であり、ナイロンまたはポリカーボネイト等の樹脂から構成されている。ハウジング2は、ハンドルハウジング21と、モータハウジング22と、接続ハウジング23と、収容ハウジング24とを有している。
ハンドルハウジング21は、ユーザによって把持される部分であり、前後方向に延びる略円筒形状をなしている。ハンドルハウジング21は、トリガ21A、スイッチ機構21B、後述の打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D及び放出用操作部21E(図6)を備えている。
トリガ21Aは、打込を行うためのスイッチであり、ハンドルハウジング21の前部下側に設けられている。スイッチ機構21Bは、ハンドルハウジング21内部の前部に収容されており、制御基板部25に打込を行うための打込信号を出力する。スイッチ機構21Bは、ノーズ部8の下端部が被打込材に押し付けられて後述のプッシュレバー8Aが上方に移動した状態で、トリガ21Aが上方に押し込まれた場合、すなわち、トリガ21Aの操作が行われた場合に制御基板部25に打込信号を出力する。
打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D及び放出用操作部21Eは、ハンドルハウジング21の右側面に前後方向に並んで設けられている。打込開始用操作部21Cは、釘打機1による打込作業を行うことができる状態にするためのボタン式の操作部であり、ユーザによって押圧操作された場合、打込開始信号を制御基板部25に出力する。再充填用操作部21Dは、蓄圧室7内に圧縮空気を再充填するためのボタン式の操作部であり、ユーザによって押圧操作された場合、再充填信号を制御基板部25に出力する。放出用操作部21Eは、蓄圧室7内の圧縮空気をハウジング2外部に放出(大気放出)するためのボタン式の操作部であり、ユーザによって押圧操作された場合、放出信号を制御基板部25に出力する。放出用操作部21Eは、主に作業終了時にユーザによって操作される。打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D及び放出用操作部21Eが押圧操作された場合の釘打機1の動作の詳細については後述する。再充填用操作部21Dは、本発明における「第1操作部」の一例であり、放出用操作部21Eは、本発明における「第2操作部」の一例である。
モータハウジング22は、前後方向に延びており、モータ3と、第1ワンウェイクラッチ3Aと、第2ワンウェイクラッチ3Bと、動力伝達部4と、圧縮空気供給部5とを収容している。図3は、モータハウジング22内に収容されたモータ3、動力伝達部4及び圧縮空気供給部5を示す部分拡大図である。
図3に示されているように、モータ3は、モータハウジング22内部の前後方向略中央に収容されている。モータ3は、回転軸31と、ロータ32と、ステータ33とを備えた3相ブラシレスモータであり、回転軸31を正転方向及び逆転方向に回転可能に構成されている。回転軸31は、前後方向に延びる軸であって、回転駆動力を出力する。回転軸31の前端部は、ステータ33の前端よりも前方に突出しており、第1ワンウェイクラッチ3Aを介して動力伝達部4に接続されている。回転軸31の後端部は、ステータ33の後端よりも後方に突出しており、第2ワンウェイクラッチ3Bを介して圧縮空気供給部5に接続されている。回転軸31の前端部及び後端部のそれぞれは、本発明における「一端部」及び「他端部」の一例であり、前後方向は、本発明における「回転軸の軸方向」の一例である。
ロータ32は、永久磁石を有しており、回転軸31と一体回転可能に構成されている。ロータ32が正転方向(前面視において反時計回り)に回転すると、回転軸31はロータ32と一体に正転方向に回転し、ロータ32が逆転方向(前面視において時計回り)に回転すると、回転軸31はロータ32と一体に逆転方向に回転する。ステータ33は、ロータ32の半径方向外方に設けられ、ロータ32と対向するように配置された3相巻線(U相、V相、W相)を有している。また、ステータ33の後方には、後方視において円環形状をなす円環基板22Aが設けられている。円環基板22Aには、6個のFET22Bを含む後述のインバータ回路22C及びロータ32の回転位置を検出するための後述の3個のホールIC22D(図6)が実装されている。なお、釘打機1の電気的構成の詳細については後述する。
第1ワンウェイクラッチ3Aは、回転軸31の正転方向の回転のみを動力伝達部4に伝達する機構であり、回転軸部3Cを有している。回転軸部3Cは、モータ3の回転軸31が正転方向に回転した場合のみ正転方向(前面視において反時計回り)に回転する。なお、回転軸31が逆転方向(前面視において時計回り)に回転した場合、回転軸31の前部は、第1ワンウェイクラッチ3A内において空転する。第2ワンウェイクラッチ3Bは、回転軸31の逆転方向の回転のみを圧縮空気供給部5に伝達する機構であり、モータ3の回転軸31が逆転方向に回転した場合のみ逆転方向に回転する。なお、回転軸31が正転方向に回転した場合、回転軸31の後部は第2ワンウェイクラッチ3B内において空転する。第1ワンウェイクラッチ3Aは、本発明における「正転伝達部」の一例であり、第2ワンウェイクラッチ3Bは、本発明における「逆転伝達部」の一例である。
動力伝達部4は、モータハウジング22内部においてモータ3の前方に収容されている。動力伝達部4は、モータ3の回転軸31の回転力を打込部6に伝達する機構であり、減速部41及び駆動部42を備えている。
減速部41は、第1ワンウェイクラッチ3Aを介して伝達された回転軸31の正転方向の回転を減速して駆動部42に伝達する遊星歯車機構であり、モータハウジング22内部において第1ワンウェイクラッチ3Aの前方に設けられている。減速部41は、第1ワンウェイクラッチ3Aの回転軸部3Cと噛合した複数の遊星ギヤと、回転軸部3Cと同軸的に配置されたリングギヤと、回転軸部3Cと同軸的に設けられたキャリア41Aを有している。キャリア41Aは、その前端が駆動部42と接続されており、減速された回転軸31の正転方向の回転を駆動部42に伝達する。キャリア41Aは、モータ3が駆動して回転軸31の正転方向の回転が第1ワンウェイクラッチ3Aを介して伝達されることで、前面視において反時計回り(図4の回転方向R1)に回転する。本実施の形態において減速部41は、多段の遊星歯車機構であるが一段の遊星歯車機構であっても良い。
駆動部42は、モータハウジング22の内部において減速部41の前方に位置しており、伝達軸42A、ピンホイール42Bを備えている。駆動部42は、打込部6を上死点方向に移動させて蓄圧室7内の圧力を上昇させる打込準備動作と、蓄圧室7内の圧力を利用して該打込部6を下死点方向に移動させる打込動作と、を行う。駆動部42は、本発明における「打込機構」の一例である。
伝達軸42Aは、前後方向に延びる軸であって、その後端は減速部41のキャリア41Aに同軸的に接続され、前端はピンホイール42Bに同軸的に接続されている。伝達軸42Aは、キャリア41Aと同軸一体に回転し、キャリア41Aの回転力をピンホイール42Bに伝達する。また、伝達軸42Aの外周には、図示せぬ逆回転防止部材が取付けられており、伝達軸42Aは前面視において時計回りに回転不能(逆転不能)に構成されている。例えば、逆回転防止部材は、モータハウジング22の内面に固定されたワンウェイクラッチである。
図4は、打込部6が下死点に位置している状態を示す図2のIV−IV断面図である。図4に示されているように、ピンホイール42Bは、前面視において略円形状をなしており、伝達軸42Aと同軸一体回転するように設けられている。ピンホイール42Bは、モータ3が駆動し、回転軸31が回転することによって、回転方向R1に伝達軸42Aと一体に回転する。図3に戻り、ピンホイール42Bは、前面視において円形状をなす2個の円板部42Cと、複数のピン42Dとを有している。2個の円板部42Cは、前後方向において所定の間隔を空けて同軸的に設けられている。複数のピン42Dは、前後方向に延びており、前側の円板部42Cの後面の縁周部と後側の円板部42Cの前面の縁周部とを接続している。図4に示されているように、複数のピン42Dは、円板部42Cの周方向において略4分の3に亘って一定の間隔で設けられている。
圧縮空気供給部5は、外部空気を取り込んで圧縮することで、圧縮空気を生成するロータリ式圧縮機であり、供給管5Aを介して蓄圧室7内に生成した圧縮空気を供給する。圧縮空気供給部5は、モータハウジング22の内部においてモータ3の後方に位置しており、外郭部51及び圧縮回転軸52を備えている。圧縮空気供給部5は、本発明における「圧縮気体供給部」の一例である。
外郭部51は、圧縮空気供給部5の外郭をなす部分であり、前後方向に延びる略円筒形状をなす円筒部51Aと、円筒部51Aの前端を閉塞する前閉塞部51Bと、円筒部51Aの後端を閉塞する後閉塞部51Cとを有している。図5は、圧縮空気供給部5を示す図3のV−V断面図である。図5に示されているように、円筒部51Aの内周面51Dは、前後方向に延びる円筒形状空間を画成しており、円筒形状空間は、円筒部51Aの中心軸Aに関して偏心している。また、円筒部51Aの右側下部には、外部空気を円筒部51A内部に取り込むための吸気口51aが設けられている。さらに、円筒部51Aの上部には、生成した圧縮空気を排出する排出口51bが上下方向に延びるように形成されている。排出口51bは、供給管5Aを介して蓄圧室7内に連通しており、排出口51bから排出された圧縮空気は、蓄圧室7内に供給される。
図3に示されているように、圧縮回転軸52は、前後方向に延びる軸であり、前閉塞部51B及び後閉塞部51Cに回転可能に支承されるとともに円筒部51A内の円筒形状空間に挿通されている。図5に示されているように、圧縮回転軸52は、円筒部51Aと同軸的に設けられており、圧縮回転軸52の前端は、第2ワンウェイクラッチ3Bに接続されている。圧縮回転軸52は、モータ3の回転軸31が逆転方向に回転すると、当該逆転方向の回転力によって図5に示されている回転方向R2(前面視において時計回り)に回転する。
また、圧縮回転軸52の外周部には、圧縮回転軸52の周方向に一定の間隔で複数のベーン52Aが設けられている。ベーン52Aは、前後方向に延びる平板状の部材であって、圧縮回転軸52の半径方向外方及び内方に往復摺動可能に設けられている。
ここで、圧縮空気供給部5による圧縮空気の生成について説明する。圧縮回転軸52が回転すると、複数のベーン52Aは、遠心力によって圧縮回転軸52の半径方向外方に移動し、複数のベーン52Aのそれぞれの半径方向外方端部は、円筒部51Aの内周面51Dに当接する。複数のベーン52Aのそれぞれの半径方向外方端部が内周面51Dに当接した状態となると、円筒部51A内部(円筒形状空間)は、複数のベーン52Aによって複数の部屋に区画される。円筒部51A内部が複数の部屋に区画された状態で圧縮回転軸52の回転が継続すると、当該区画された複数の部屋のうちの吸気口51aと連通している部屋に外部空気が取り込まれる。当該外部空気が取り込まれた部屋は、圧縮回転軸52の回転に伴い、円筒部51A内の下側に移動すると、吸気口51aとの連通が遮断されて密閉される。圧縮回転軸52がさらに回転し、外部空気が取り込まれた密閉された部屋の体積は徐々に小さくなるとともに当該取り込まれた外部空気は圧縮されていく。その後、さらに圧縮回転軸52が回転すると、当該外部空気を取り込んだ部屋が円筒部51A内の上側に移動し、排出口51bと連通すると、圧縮された外部空気が供給管5Aを介して蓄圧室7内に供給される。
供給管5Aは、ハウジング2内に収容されており、一端が圧縮空気供給部5に接続され、他端が蓄圧室7に接続されている。供給管5Aは、圧縮空気供給部5内部と蓄圧室7内部とを連通させる管であり、圧縮空気供給部5が生成した圧縮空気を蓄圧室7内に供給するための供給路を提供している。また、図1乃至図3に示されているように、供給管5A上には、一方向バルブ5B及び電磁バルブ5Cが設けられている。
一方向バルブ5Bは、供給管5A内において圧縮空気の流れを一方向にのみ制限する逆止弁であり、圧縮空気供給部5から蓄圧室7に向かう方向のみを許容している。すなわち、一方向バルブ5Bは、圧縮空気が蓄圧室7から圧縮空気供給部5へ逆流することを防止している。一方向バルブ5Bは、本発明における「逆流防止手段」の一例である。
電磁バルブ5Cは、供給管5A上の蓄圧室7近傍に設けられている。また、電磁バルブ5Cは、制御基板部25に接続されており、制御基板部25から後述の放出信号が出力された場合に、弁を開状態として蓄圧室7内に充填された圧縮空気を蓄圧室7外部に放出する。電磁バルブ5Cは、本発明における「放出手段」の一例である。
図1に戻り、ハウジング2の接続ハウジング23は、上下方向に延び、ハンドルハウジング21の後部とモータハウジング22の後部とを接続している。接続ハウジング23は、モータ3を制御する制御基板部25を収容するとともに電源接続部23Aを有している。制御基板部25の詳細については後述する。
電源接続部23Aは、接続ハウジング23の後面に上下方向に延びて形成されており、電池パックPを着脱可能に保持するように構成されている。電池パックPは、モータ3、制御基板部25等の電源となる複数の二次電池セルを有している。当該二次電池セルの電力は、電池パックPが電源接続部23Aに接続された状態で、モータ3、制御基板部25等に供給される。
図1、図2及び図4に示されているように収容ハウジング24は、上下方向に延びる略円筒形状をなしており、ハンドルハウジング21の前部及びモータハウジング22の前部に接続されている。収容ハウジング24は、シリンダ26と、打込部6と、蓄圧室7と、ピストンバンパ27とを備えている。
シリンダ26は、収容ハウジング24の内部に設けられており、上下方向に延びる略円筒形状をなしている。シリンダ26は、打込部6の上下方向の移動を案内するとともに、打込部6の上下方向以外の運動、すなわち、往復動以外の運動を規制する。
打込部6は、下方へ移動して釘を打撃する部材であって、シリンダ26内の上端部に位置する上死点(図1に示されている位置)と下部に位置する下死点(図2及び図4に示されている位置)との間を往復摺動可能に設けられている。打込部6は、ピストン6Aと、打撃部材6Bと、ラック部6Cとを備えている。
ピストン6Aは、上下に延びる略円柱形状をなしており、上死点と下死点との間を往復摺動可能にシリンダ26内に支持されている。ピストン6Aの外周面はシリンダ26の内周面に摺接しており、ピストン6Aの外周面とシリンダ26の内周面との間には、シリンダ26内におけるピストン6Aの上側の空間と下側の空間との連通を遮断するシール部が設けられている。
図3及び図4に示されているように、打撃部材6Bは、上下方向に延びる板状の部材であって、上端はピストン6Aの底面視における中央に接続されている。打撃部材6Bの下端部は、ノーズ部8内に配置された図示せぬ釘を打撃する部分であり、打込部6が上死点に位置する状態においてノーズ部8の上方に位置し、打込部6が下死点に位置する状態において、ノーズ部8の下端近傍に位置するように構成されている。また、打撃部材6Bの下端部には、図4に示されているように、打込部6が下死点に位置していることを検出するためのマグネット6Dが埋設されている。
図4に示されているように、ラック部6Cは、打撃部材6Bの右側面に打撃部材6Bと一体に設けられており、上下方向に同一間隔に形成された複数の歯を有している。ラック部6Cの複数の歯は、ピンホイール42Bの複数のピン42Dと噛合可能に構成されている。ラック部6Cと複数のピン42Dとが噛合した状態で、ピンホイール42Bが回転方向R1に回転すると、打込部6は下死点から上方向、すなわち上死点方向に移動する。
図1及び図2に示されているように、蓄圧室7は、収容ハウジング24内の上部に設けられている。蓄圧室7は、第1壁部7A及び第2壁部7Bを有しており、内部には密閉空間7aが画成されており、密閉空間7aには圧縮空気が充填されている。第1壁部7Aは、上下方向に延びる筒形状の上部が閉塞された形状をなしている部分であり、アルミ合金で形成されている。第2壁部7Bは、第1壁部7Aの下部内周面とシリンダ26の上部外周面とを接続している部分であり、圧力センサ7Cを有している。圧力センサ7Cは、制御基板部25に接続されており、蓄圧室7内(密閉空間7a)の圧力を検出し、当該検出した圧力の値を示す信号(圧力値信号)を制御基板部25に出力する。また、第2壁部7Bの後部には、上下方向に貫通する長孔7bが形成されており、蓄圧室7内と供給管5A内とを連通している。
密閉空間7aは、第1壁部7Aの内面と、第2壁部7Bの上面と、シリンダ26の上端面及び内周面と、打込部6のピストン6Aの上面とによって画成されている。密閉空間7aの体積は、打込部6の往復動に伴って変化し、打込部6が上死点に位置している状態で最も小さくなり、蓄圧室7内の圧力は最大となる。また、打込部6が下死点に位置している状態で密閉空間7aの体積は最も大きくなり、蓄圧室7内の圧力は最小となる。本実施の形態においては、密閉空間7aに圧縮空気が充填されているが、これに限られず、密閉空間7aの体積が圧縮された場合に蓄圧室7内の圧力が高まる構成であればよく、例えば、窒素ガス等が充填されている構成であってもよい。圧縮空気は、本発明における「圧縮気体」の一例である。
ピストンバンパ27は、シリンダ26の下端部内部に設けられた緩衝材である。ピストンバンパ27は、打込部6が高速で上死点から下死点まで移動してきた場合に、打込部6のピストン6Aによって圧縮され、打込による衝撃を吸収する。また、ピストンバンパ27は、ピストン6Aの下死点位置よりも下方への移動を規制している。
ノーズ部8は、収容ハウジング24の下部から下方に延びて設けられており、プッシュレバー8A及び磁気センサ8B(図4)を備えており、内部には上下方向に延びる打出孔8a(図4)が形成されている。プッシュレバー8Aは、ノーズ部8の先端が被打込材に押し付けられていることを検出する部材であり、ノーズ部8の前部において、下方に付勢された状態で設けられている。プッシュレバー8Aは、ノーズ部8の下端部が被打込材に押し付けられた状態となると、上方に移動する。図4に示されているように、磁気センサ8Bは、ノーズ部8の下部に設けられており、打込部6の打撃部材6Bの下端部に埋設されたマグネット6Dの磁気を検出する。磁気センサ8Bは、制御基板部25に接続されており、マグネット6Dの磁気を検出した場合、すなわち、打込部6が下死点に位置している場合に制御基板部25に磁気検出信号を出力する。打出孔8aは、釘を収容可能、且つ打撃部材6B及びラック部6Cが挿通可能に構成されている。打出孔8aに収容された釘は、打撃部材6Bに打撃され打出孔8aの下端から打出される。磁気センサ8Bは、本発明における「下死点検出手段」の一例である。
マガジン9は、ノーズ部8の後部から後方に延出するように設けられている。マガジン9内には釘が束状に複数本内蔵されており、ノーズ部8の打出孔8a内に釘を供給するように構成されている。
次に図6に基づいて、釘打機1の電気的構成について説明する。図6は、釘打機1の電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。
図6に示されているように、円環基板22Aは、インバータ回路22C及び3個のホールIC22Dを備えており、制御基板部25は、電流検出回路25A、制御信号出力回路25B及び制御部25Cを有している。
インバータ回路22Cは、電池パックPの二次電池に接続されており、6個のFET22Bを含んでいる。6個のFET22Bは、3相ブリッジ形式に接続されており、6個のFET22Bの各ゲートは制御信号出力回路25Bに接続され、各ドレイン又は各ソースは、モータ3のスター結線されたコイルU、V、Wに接続されている。6個のFET22Bは、制御信号出力回路25Bから出力される制御信号に基づいてロータ32を正転又は逆転方向に回転させるスイッチング動作を行ってモータ3に電力を供給する。3個のホールIC22Dは、円環基板22Aの前面においてロータ32と対向する位置に設けられており、ロータ32の回転位置に応じた信号(回転位置信号)を制御部25Cに出力する。
電流検出回路25Aは、インバータ回路22Cと電池パックPとの間に設けられたシャント抵抗25Dの電圧降下値を取り込んでモータ3に流れる電流(モータ電流値)を検出し、検出したモータ電流値に応じた信号(電流値信号)を制御部25Cに出力する回路である。電流検出回路25Aは、本発明における「電流検出手段」の一例である。
制御信号出力回路25Bは、6個のFET22Bのそれぞれのゲートと制御部25Cとに接続されている。制御信号出力回路25Bは、制御部25Cから出力された駆動信号に基づいて6個のFET22Bの各ゲートに制御信号を出力する回路である。
制御部25Cは、釘打機1の動作制御に用いる処理プログラム、各種データに基づいて演算を行う図示せぬ中央処理装置(CPU)を有する演算部と、当該処理プログラム、各種データ、各種閾値等を記憶するための図示せぬROM及びデータを一時記憶するための図示せぬRAMを有する記憶部と、時間を計測する計時部とを備えている。なお、本実施の形態において、制御部25Cはマイコンである。
制御部25Cは、スイッチ機構21B、打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D、放出用操作部21E、圧力センサ7C、磁気センサ8B及び電磁バルブ5Cに接続されている。制御部25Cには、打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D、放出用操作部21E、圧力センサ7C及び磁気センサ8Bのそれぞれが出力した打込信号、打込開始信号、再充填信号、放出信号、圧力値信号及び磁気検出信号が入力され、制御部25Cは、入力された各種信号に基づいてモータ3及び電磁バルブ5Cを制御し、釘打機1の動作制御を行う。
制御部25Cは、3個のホールIC22Dから出力された回転位置信号に基づいて、6個のFET22Bをスイッチングするための駆動信号を形成し、その駆動信号を制御信号出力回路25Bに出力する。これにより、コイルU、V、Wのうちの通電されるコイルを順次切換え、ロータ32(回転軸31)を正転又は逆転方向に回転させる。
次に、図7乃至図11を参照しながら、制御部25Cによる釘打機1の動作制御について、釘打機1の動作と併せて説明する。図7乃至図11は、制御部25Cによる動作制御を示すフローチャートであり、図7は電池パックP装着後の処理を示すフローチャート、図8及び図9は打込開始用操作部21Cが押圧操作された場合の処理を示すフローチャート、図10は再充填用操作部21Dが押圧操作された場合の処理を示すフローチャート、図11は放出用操作部21Eが押圧操作された場合の処理を示すフローチャートである。
図7に示されているように、接続ハウジング23の電源接続部23Aに電池パックPが接続されると、制御部25Cに電源が供給され、制御部25Cによる動作制御が開始される。
制御部25Cによる動作制御が開始されると、S201において、打込開始用操作部21Cがユーザによって押圧操作されたか否かを判断する。打込開始用操作部21Cが押圧操作されたか否かは、打込開始信号の入力の有無で判断する。
打込開始用操作部21Cがユーザによって押圧操作されていないと判断した場合(S201:No)、S202において、再充填用操作部21Dがユーザによって押圧操作されたか否かを判断する。再充填用操作部21Dが押圧操作されたか否かは、再充填信号の入力の有無で判断する。
再充填用操作部21Dがユーザによって押圧操作されていないと判断した場合(S202:No)、S203において、放出用操作部21Eがユーザによって押圧操作されたか否かを判断する。放出用操作部21Eが押圧操作されたか否かは、放出信号の入力の有無で判断する。
放出用操作部21Eがユーザによって押圧操作されていないと判断した場合(S203:No)、S201に戻り、打込開始用操作部21Cがユーザによって押圧操作されたか否かを判断する。すなわち、打込開始用操作部21C、再充填用操作部21D及び放出用操作部21Eのいずれかの操作部が押圧操作されるまでは、S201〜S203を繰返す操作待機状態となる。
まず、図8及び図9を参照しながら、S201〜S203を繰返す操作待機状態において、打込開始用操作部21Cがユーザによって押圧操作された場合について説明する。S201において、打込開始用操作部21Cがユーザによって押圧操作されたと判断した場合(S201:Yes)、図8に示されているようにS204で、モータ3を制御して回転軸31を正回転させる、すなわち、打込準備動作を開始する。
回転軸31が正転方向に回転を開始すると、回転軸31の回転(回転力)は第1ワンウェイクラッチ3A及び減速部41を介して駆動部42に伝達され、ピンホイール42Bが図4に示されている回転方向R1に回転を開始する。ピンホイール42Bが回転方向R1に回転を開始すると、ピンホイール42Bの複数のピン42Dと打込部6のラック部6Cとが噛合し、打込部6が図4に示されている下死点位置(初期状態位置)から上死点方向に移動開始する。打込部6の上死点方向への移動により蓄圧室7内の圧力は上昇していく。
S204における処理の後、すなわち、打込準備動作の開始後、S205において、モータ電流値が所定の電流閾値未満である否かを判断する。モータ電流値が所定の電流閾値未満であるか否かの判断は、電流検出回路25Aから出力された電流値信号に基づいてモータ電流値を算出し、算出したモータ電流値と予め記憶された所定の電流閾値を比較することで行う。なお、所定の電流閾値は、釘詰まり等が発生しているか否かを判断するための閾値であり、打込部6の下死点から上死点方向への移動開始時及び移動開始直後にモータ電流値が所定の電流閾値以上である場合には、回転軸31(ロータ32)がロックされているか、又は、回転軸31に過大なトルクがかかっている状態となっている虞があり、打出孔8a内での釘詰まり等が発生している可能性が非常に高い状態であると考えられる。所定の電流閾値は、本発明における「所定閾値」の一例である。
モータ電流値が所定の電流閾値未満でないと判断した場合(S205:No)、釘詰まり等が発生している可能性が高いため、S206で、回転軸31の回転を停止させる(モータ3への電力供給を停止させる)。さらに、その後、S207において、電磁バルブ5Cに放出信号を出力し、電磁バルブ5Cを開状態として、蓄圧室7内の圧縮空気をハウジング2外に放出(大気放出)する。これにより、蓄圧室7内の圧力が大気圧となり、打込部6に下死点方向への付勢力がかかっていない状態となる。このため、ユーザは容易に打込部6を上死点方向に移動させることができ、打出孔8a内に詰まった釘を取り除く等の処置を行うことができる。
S206で、回転軸31の回転を停止させ、S207で電磁バルブ5Cを開状態として蓄圧室7内の圧縮空気を大気放出した後、制御部25Cによる動作制御は終了する。なお、一旦、電池パックPを電源接続部23Aから外し、再度、電池パックPを接続し直すことで、制御部25Cによる動作制御は、S201から再び開始される。
一方、モータ電流値が所定の電流閾値未満であると判断した場合(S205:Yes)、
S208において、打込部6が打込部を上死点と下死点との中間点よりも僅かに上方の位置(待機側位置)まで移動したか否かを判断する。打込部6が待機位置まで移動したか否かは、ホールIC22Dから出力された回転位置信号に基づいてロータ32の回転角度を検出(算出)することにより行う。または、磁気センサ等を用いて、打込部6が待機位置となったことを検出する構成であってもよい。
打込部6が待機位置まで移動していないと判断した場合(S208:No)は、S205に戻る。すなわち、モータ電流値が所定の電流値未満を維持しながら打込部6が待機位置に移動するまで、S205及びS208の判断を繰り返しながら回転軸31の正回転を継続させる。なお、ステップ208でピンホイール42Bが一回転以上しても打撃部が待機位置に移動していない場合は、打込部6のラック部6Cの破損、ピンホイール42Bの複数のピン42Dの破損などの不具合の可能性があるため、ステップS206、ステップS207に進み、蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外に放出するように制御しても良い。
一方、打込部6が待機位置まで移動したと判断した場合(S208:Yes)、S209において、モータ3の駆動を停止させ、すなわち、回転軸31の正回転を停止させ、打込部6を待機位置で待機させる。なお、待機位置においては、打込部6のラック部6Cとピンホイール42Bの複数のピン42Dとが噛合している状態であるため、回転軸31の回転が停止した場合であっても、ピンホイール42Bと一体に回転する伝達軸42Aは逆回転防止部材によって逆転不能であるため、打込部6は待機位置に留まる。
S209で回転軸31の正回転を停止させ、打込部6を待機位置で待機させた後は、図9に示されているように、S210で再充填用操作部21Dが押圧操作されたか否かを判断する。再充填用操作部21Dが押圧操作されていないと判断した場合(S210:No)、S211で放出用操作部21Eが押圧操作されたか否かを判断する。
放出用操作部21Eが押圧操作されていないと判断した場合(S211:No)、S212において、スイッチ機構21Bから打込信号が出力されたか否かを判断する。上述したように、打込信号は、上述のトリガ21Aの操作が行われた場合に、スイッチ機構21Bから出力される。
打込信号が出力されていないと判断した場合(S212:No)、S210に戻る。すなわち、S209で打込部6を待機位置で待機させた後は、再充填用操作部21D及び放出用操作部21Eのいずれか一の操作部が押圧操作されるか、又は、トリガ21Aの操作が行われるまでS210〜S212の判断を繰返す操作待状態となる。
打込信号が出力されたと判断した場合(S212:Yes)、S213において、回転軸31を再び正回転させ、釘を被打込材に打込む。
S213において、回転軸31が正回転を再開すると、ピンホイール42Bがさらに回転し、打込部6は蓄圧室7内の圧縮空気による下死点方向への付勢力に抗して上死点方向にさらに移動する。打込部6が上死点方向に移動するに従って、蓄圧室7内の圧力はさらに上昇していき、打込部6が上死点に達すると(図1及び図3の状態)、蓄圧室7内の圧力は最大となる。
打込部6が上死点に達すると、ピンホイール42Bの複数のピン42Dが形成されていない部分がラック部6Cと対向する状態となり、複数のピン42Dとラック部6Cとの噛合が解除される。当該噛合が解除されると、蓄圧室7内の圧力に抗して打込部6を上死点方向に移動させる力(ピンホイール42Bの回転力)がラック部6Cに伝達されなくなり、打込部6は、蓄圧室7内の最大に高まった圧縮空気の圧力によって上死点から下死点方向に高速で移動する。打込部6が上死点から下死点方向に高速で移動すると、ノーズ部8の打出孔8a内に収容されている釘が打撃部材6Bの下端部によって打撃され、被打込材に打ち込まれる。
S213で打込が行われた後は、S214において、打込部6の上死点から下死点への移動開始から所定期間内に、打込部6が下死点に位置したか否かを判断する。当該判断は、ホールIC22Dから出力される回転位置信号に基づいてロータ32の回転角度を検出(算出)することにより、打込部6の上死点から下死点への移動開始タイミング、すなわち、打込開始タイミングを検出し、当該打込開始から所定期間内に、磁気センサ8Bから磁気検出信号が出力されたか否かで判断する。
打込開始から所定期間内に打込部6が下死点に位置していないと判断した場合(S212:No)、打込過程において釘詰まり等が発生し、打込部6が正常に下死点まで移動していない(打込が正常に完了していない)可能性が高いと考えられるため、図8に示されているように、S206で回転軸31の回転を停止させ、S207で電磁バルブ5Cを開状態として蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外に放出(大気放出)する。
図9に戻り、打込開始から所定期間内に、打込部6が下死点に位置していると判断した場合(S214:Yes)、図8に示されているようにS204に戻り、上述の制御を繰り返す。すなわち、打込開始用操作部21Cが押圧操作された場合(S201:Yes)、釘詰まり等が発生せず、且つ、再充填用操作部21D又は放出用操作部21Eが押圧操作されない限り、打込完了毎に打込部6を待機位置まで移動させ、ユーザによるトリガ21Aの操作を待つ制御が行われる。
次に、図10を参照しながら、再充填用操作部21Dがユーザによって押圧操作された場合について説明する。図7に示されているS202又は図8に示されているS210において再充填用操作部21Dが押圧操作されたと判断した場合(S202:Yes又はS210:Yes)、図10に示されているようにS215で、打込部6が下死点に位置しているか否かを判断する。打込部6が下死点に位置していないと判断した場合(S215:No)、S216で電磁バルブ5Cを開状態として、蓄圧室7内の圧縮空気を大気放出する。S216で大気放出し、蓄圧室7内の圧力が大気圧となった後、S217で回転軸31を正回転させ打込部6のラック部6Cとピンホイール42Bの複数のピン42Dとの噛合を解除し、打込部6を自重で下死点に移動させる。なお、この場合、マガジン9からノーズ部8の打出孔8aへの釘の供給は停止されており、打出孔8aから釘は打ち出されないように構成されている。または、再充填用操作部21Dが操作された場合、制御部25Cは釘の無いことの確認を、既存の空打ち防止機構を用いて検出し、釘が無いと制御部25Cが判断したら、打込部6のラック部6Cとピンホイール42Bの複数のピン42Dとの噛合を解除するように制御しても良い。
S217で、打込部6を自重で下死点に移動させた後、S215に戻り、再度、打込部6が下死点に位置しているか否かを判断する。すなわち、打込部6が下死点に位置するまで、S215〜S217を繰り返す。
S215で、打込部6が下死点に位置していると判断した場合(S215:Yes)、S218において、蓄圧室7内の初期圧(打込部6が下死点に位置している場合の圧力)が許容最大圧力未満であるか否かを判断する。なお、蓄圧室7内の初期圧の検出は、圧力センサ7Cが出力する圧力値信号に基づいて算出する。
蓄圧室7内の初期圧が許容最大圧力以上の場合(S218:No)、蓄圧室7の密閉性を維持するシール部材等に過大な負担がかかり、当該シール部材等の劣化が早まる虞があるため、S219で、電磁バルブ5Cを開状態として、蓄圧室7内の圧縮空気を大気放出し、大気圧とする。
S219で、蓄圧室7内の圧力を大気圧とした後、又は、S218で、蓄圧室7内の初期圧が許容最大圧力未満であると判断した場合(S218:Yes)、S220で当該初期圧が打込規定圧力以上であるか否かを判断する。打込規定圧力は、所望の打込力を得るために必要な圧力である。蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力以上であると判断した場合(S220:Yes)、蓄圧室7内の初期圧は所望の打込力を得るために適切な圧力であるため、図7のS201に戻り、再び、S201〜S203を繰り返す操作待状態となる。
一方、S220で、蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力未満であると判断した場合(S220:No)、S221で、モータ3を制御して回転軸を逆回転させ、蓄圧室7内に圧縮空気を再充填(供給)する。S221で回転軸31(ロータ32)を逆転方向に回転させると、回転軸31の逆転方向の回転力が第2ワンウェイクラッチ3Bを介して圧縮空気供給部5の圧縮回転軸52に伝達され、圧縮回転軸52が図5に示されている回転方向R2に回転し、蓄圧室7内への圧縮空気の再充填が開始される。
S221で、圧縮空気供給部5を駆動し、圧縮空気の蓄圧室7内への再充填を開始した後、S222で、再び、蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力以上であるか否かを判断する。蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力以上でないと判断した場合(S222:No)、S221に戻る。すなわち、蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力以上となるまで、S221及びS222を繰り返しながら、蓄圧室7内に圧縮空気の供給を継続する。
S222で、蓄圧室7内の初期圧が打込規定圧力以上であると判断した場合(S222:Yes)、S223で回転軸31の逆転方向の回転を停止させ、図7のS201に戻り、再び、S201〜S203を繰返す操作待状態となる。
次に、図11を参照しながら、放出用操作部21Eがユーザによって押圧操作された場合について説明する。図7に示されているS203又は図8に示されているS211において放出用操作部21Eが押圧操作されたと判断した場合(S203:Yes又はS211:Yes)、図11に示されているS224で、打込部6が下死点に位置しているか否かを判断する。打込部6が下死点に位置していないと判断した場合(S224:No)、S225及びS226で、打込部6を下死点に移動させる。S225及びS226における処理は、図10に示されているS216及びS217における処理と同一であるため、説明を省略する。または、打込部6が下死点に位置しているか否かを検出しなくても、打込部6のラック部6Cとピンホイール42Bの複数のピン42Dとの噛合を解除しておけば、空気を充填する時の圧力によって、打込部6はゆっくりと下死点に移動するので、圧縮空気充填時にある程度圧力が上昇すると打込部6は下死点に移動が完了している。
打込部6が下死点に位置していると判断した場合(S224:Yes)S227で、電磁バルブ5Cを開状態として、蓄圧室7内の圧力を大気圧とし、制御部25Cによる動作制御を終了する。なお、一旦、電池パックPを電源接続部23Aから外し、再度、電池パックPを接続し直すことで、制御部25Cによる動作制御は、S201から再び開始される。
上述したように本発明の実施の形態による釘打機1は、ハウジング2と、圧縮空気を充填可能な蓄圧室7と、ハウジング2内に上死点と下死点との間を往復可能に設けられ下死点方向への移動によって釘を被打込材に打込むとともに上死点方向への移動によって蓄圧室7内の圧力を上昇させる打込部6と、回転軸31を正転方向(図4の回転方向R1)及び逆転方向(回転方向R1とは逆回転方向)に回転可能なモータ3と、モータ3を制御する制御部25Cと、回転軸31の正転方向の回転力のみを伝達する第1ワンウェイクラッチ3Aと、第1ワンウェイクラッチ3Aから伝達された正転方向の回転力によって駆動され打込部6を上死点方向に移動させ蓄圧室7内の圧力を上昇させ蓄圧室7内の圧力を利用して打込部6を下死点方向に移動させて釘を打込む打込動作とを行う駆動部42と、回転軸31の逆転方向の回転力のみを伝達する第2ワンウェイクラッチ3Bと、ハウジング2内に収容され第2ワンウェイクラッチ3Bから伝達された逆転方向の回転力によって駆動されて圧縮空気を生成し生成した圧縮空気を蓄圧室7に供給する圧縮空気供給部5と、を備えている。
上記構成によると、蓄圧室7に圧縮空気を供給(再充填)可能な圧縮空気供給部5がハウジング内に収容されているため、蓄圧室7への圧縮空気の供給(再充填)のために、別途コンプレッサ等を作業現場に持ち込む必要がなく、当該コンプレッサ等の運搬の手間を省くことができる。このため、簡易に圧縮空気の再充填を行うことができ、利便性を向上させることができる。また、作業スペースにおいてコンプレッサ等を載置するためのスペースを確保する必要がなく、作業性を向上させることができる。
また、釘打機1における第1ワンウェイクラッチ3Aは、回転軸31の軸方向における一端部(前端部)に接続され、第2ワンウェイクラッチ3Bは、回転軸31の軸方向における他端部(後端部)に接続されているため、一の駆動源すなわちモータ3のみで駆動部42及び圧縮空気供給部5を駆動することができる。このため、駆動部42を駆動するためのモータの他に、別途、圧縮空気供給部5を駆動するためのモータを設ける必要がなく、釘打機1の大型化及び製造コストを抑制することができる。
また、釘打機1においては、圧縮空気の生成にロータリ式圧縮機を用いているため、レシプロ式圧縮機を用いて圧縮空気を生成する構成と比較して、釘打機1を小型化することができる。
また、釘打機1は、手動操作可能な再充填用操作部21Dを備えており、制御部25Cは、再充填用操作部21Dが押圧操作された場合、回転軸31を逆転方向に回転させて、圧縮空気供給部5を駆動し、蓄圧室7に圧縮空気を供給するように構成されている。このような構成によると、ユーザの操作によって、蓄圧室7に圧縮空気を供給することができる。このため、ユーザの所望のタイミングで圧縮空気の供給を行うことができ、利便性が向上する。
また、釘打機1は、蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部に放出する電磁バルブ5Cを備えているため、蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部に放出することができる。このため、蓄圧室内の圧縮空気を蓄圧室外部に放出できない構成と比較して、蓄圧室7の密閉性を維持するためのシール部材等にかかる負担を軽減することができ、当該シール部材等の劣化を抑制することができる。
また、釘打機1は、打込部6が下死点に位置することを検出する磁気センサ8Bを備えており、制御部25Cは、打込部6の上死点から下死点への移動開始時から所定期間内に打込部6が下死点に位置していない場合、電磁バルブ5Cを制御して開状態とし、蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部へ放出するように構成されている。
このため、打込部6の上死点から下死点への移動開始時から所定期間内に打込部6が下死点に位置していない場合、すなわち、釘詰まり等によって打込(打込部6の上死点から下死点への移動)が正常に完了しない状態が発生した場合、圧縮空気を蓄圧室7外部へ放出し、蓄圧室7内の圧縮空気を大気圧とすることができる。これにより、打込部6にかかる下死点方向への付勢力をなくすことができ、当該釘詰まり等を解消するための処置を簡易に行うことができる。
また、釘打機1は、モータ3に流れる電流を検出する電流検出回路25Aを備えており、制御部25Cは、駆動部42によるS204の打込準備動作の開始後(打込部6の下死点位置から上死点方向への移動開始後)、当該検出された電流が所定の電流閾値以上になった場合、電磁バルブ5Cを制御して蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部へ放出するように構成されている。
このような構成によると、打込準備動作の開始後、モータ3を流れる電流が所定電流値以上になった場合、すなわち、打込中に釘詰まり等が発生した場合、圧縮空気を蓄圧室7外部へ放出し、蓄圧室7内の圧縮気体を大気圧とすることができる。これにより、打込部6にかかる付勢力をなくすことができ、当該釘詰まり等を解消するための処置を簡易に行うことができる。
また、釘打機1は、手動操作可能な放出用操作部21Eを備えており、制御部25Cは、放出用操作部21Eが押圧操作された場合、放出用操作部21Eを制御して蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部へ放出するように構成されている。
このような構成によると、ユーザの操作によって、蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部に放出することができる。このため、ユーザの所望のタイミングで圧縮空気の放出を行うことができ、利便性が向上する。
また、釘打機1においては、蓄圧室7内の圧縮空気の放出に電磁バルブを用いているため、簡易な構成で制御部25Cが圧縮空気の放出を行うことができる。
本発明による打込機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記の実施の形態において、打込機の一例として、釘を打込む釘打機1を例示したが、ねじ、ステープル等、止具(機械的接合金具)を打出す工具全般に対して適用可能である。なお、打出される止具の具体例としては、釘の他に、当該技術分野における一般的なもの全てが対象であり、例えば、釘、ねじ、ステープル、鋲、リベット等が考えられる。
また、上述した実施の形態では、駆動源として、回転軸31を回転させる電動式のモータ3を用いた釘打機1を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明はその他、エンジン、ソレノイド等の他の駆動源を備えた打込機にも適用可能である。
また、上述した実施の形態では、電磁バルブ5Cを用いて蓄圧室7内の圧縮空気を蓄圧室7外部に放出する構成であったが、手動操作可能に構成された排出用のバルブを用いて、ユーザによる手動操作によって当該放出を行う構成であってもよい。このように構成すると、モータ3を駆動するための電源等がない状態でもユーザが圧縮気体の放出を行うことができるため、利便性を向上させることができる。