(第1実施形態)
以下、本発明に関する加工データ作成装置を、レーザ加工装置1と共に、レーザ加工システム100を構成するデータ作成装置7に具体化した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(レーザ加工システム100の概略構成)
先ず、第1実施形態に関するレーザ加工システム100の概略構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。レーザ加工システム100は、レーザ加工装置1と、本発明の加工データ作成装置に相当するデータ作成装置7を有しており、データ作成装置7によって作成された加工データに従って、レーザ加工装置1を制御することで、加工対象物(例えば、ワークW)の表面上に対して、パルスレーザLを2次元走査してマーキング加工を行うように構成されている。
(レーザ加工装置1の概略構成)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、第1実施形態に関するレーザ加工装置1は、レーザ加工装置本体部2と、レーザコントローラ5と、電源ユニット6により構成されている。
レーザ加工装置本体部2は、ワークWに対してパルスレーザLを照射し、当該パルスレーザLを2次元走査して、ワークWの表面上にマーキング加工を行い得る。そして、レーザコントローラ5は、コンピュータで構成され、データ作成装置7と双方向通信可能に接続されると共に、レーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6と電気的に接続されている。データ作成装置7は、パーソナルコンピュータ等から構成され、加工データの作成等に用いられる。そして、レーザコントローラ5は、データ作成装置7から送信された加工データ、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6を駆動制御する。
尚、図1は、レーザ加工システム100及びレーザ加工装置1の概略構成を示すものであるため、レーザ加工装置本体部2等を模式的に示している。従って、当該レーザ加工装置本体部2の具体的な構成については、後述する。
(レーザ加工装置本体部2の概略構成)
次に、レーザ加工装置本体部2の概略構成について、図1、図2に基づいて説明する。尚、レーザ加工装置本体部2の説明において、図1の左方向、右方向、上方向、下方向が、それぞれレーザ加工装置本体部2の前方向、後方向、上方向、下方向である。従って、レーザ発振器21のパルスレーザLの出射方向が前方向である。本体ベース11及びパルスレーザLに対して垂直な方向が上下方向である。そして、レーザ加工装置本体部2の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置本体部2の左右方向である。
レーザ加工装置本体部2は、パルスレーザLと可視レーザ光Mをfθレンズ20から同軸上に出射するレーザヘッド部3(図2参照)と、レーザヘッド部3が上面に固定される略箱体状の加工容器(図示せず)とから構成されている。
図2に示すように、レーザヘッド部3は、本体ベース11と、パルスレーザLを出射するレーザ発振ユニット12と、光シャッター部13と、光ダンパー14と、ハーフミラー15と、ガイド光部16と、反射ミラー17と、光センサ18と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20等から構成され、略直方体形状の筐体カバー(図示せず)で覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22と、取付台23とから構成されている。レーザ発振器21は、ファイバコネクタと、集光レンズと、反射鏡と、レーザ媒質と、受動Qスイッチと、出力カプラーと、ウィンドウとをケーシング内に有している。ファイバコネクタには、光ファイバFが接続されており、電源ユニット6を構成する励起用半導体レーザ部40から出射された励起光が、光ファイバFを介して入射される。
集光レンズは、ファイバコネクタから入射された励起光を集光する。反射鏡は、集光レンズによって集光された励起光を透過すると共に、レーザ媒質から出射されたレーザ光を高効率で反射する。レーザ媒質は、励起用半導体レーザ部40から出射された励起光によって励起されてレーザ光を発振する。レーザ媒質としては、例えば、レーザ活性イオンとしてネオジウム(Nd)が添加されたネオジウム添加ガドリニウムバナデイト(Nd:GdVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムバナデイト(Nd:YVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)結晶等を用いることができる。
受動Qスイッチは、内部に蓄えられた光エネルギーが或る一定値を超えたとき、透過率が高くなるという性質を持った結晶である。従って、受動Qスイッチは、レーザ媒質によって発振されたレーザ光をパルス状のパルスレーザとして発振するQスイッチとして機能する。受動Qスイッチとしては、例えば、クロームYAG(Cr:YAG)結晶やCr:MgSiO4結晶等を用いることができる。
出力カプラーは、反射鏡とレーザ共振器を構成する。出力カプラーは、例えば、表面に誘電体層膜をコーティングした凹面鏡により構成された部分反射鏡で、波長1064nmでの反射率は、80%〜95%である。ウィンドウは、合成石英等から形成され、出力カプラーから出射されたレーザ光を外部へ透過させる。従って、レーザ発振器21は、受動Qスイッチを介してパルスレーザを発振し、ワークW表面にマーキング加工を施す為のパルスレーザLとして、パルスレーザを出力する。
ビームエキスパンダ22は、パルスレーザLのビーム径を変更するものであり、レーザ発振器21と同軸に設けられている。取付台23は、レーザ発振器21がパルスレーザLの光軸を調整可能に取り付けられ、本体ベース11の前後方向中央位置よりも後側の上面に対して、各取付ネジ25によって固定されている。
光シャッター部13は、シャッターモータ26と、平板状のシャッター27とから構成されている。シャッターモータ26は、ステッピングモータ等で構成されている。シャッター27は、シャッターモータ26のモータ軸に取り付けられて同軸に回転する。シャッター27は、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路を遮る位置に回転した際には、光シャッター部13に対して右方向に設けられた光ダンパー14へ、パルスレーザLを反射する。一方、シャッター27がビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路上に位置しないように回転した場合には、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLは、光シャッター部13の前側に配置されたハーフミラー15に入射する。
光ダンパー14は、シャッター27で反射されたパルスレーザLを吸収する。尚、光ダンパー14の発熱は、本体ベース11に熱伝導されて冷却される。ハーフミラー15は、パルスレーザLの光路に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置される。ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLのほぼ全部を透過する。又、ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLの一部を、45度の反射角で反射ミラー17へ反射する。反射ミラー17は、ハーフミラー15のパルスレーザLが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
ガイド光部16は、可視レーザ光として、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ28と、可視半導体レーザ28から出射された可視レーザ光Mを平行光に収束するレンズ群(図示せず)とから構成されている。可視レーザ光Mは、レーザ発振器21から出射されるパルスレーザLと異なる波長である。ガイド光部16は、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置に対して右方向に配置されている。この結果、可視レーザ光Mは、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置において、ハーフミラー15の前側面にあたる反射面に対して45度の入射角で入射され、45度の反射角でパルスレーザLの光路上に反射される。即ち、可視半導体レーザ28は、可視レーザ光MをパルスレーザLの光路上に出射する。
反射ミラー17は、パルスレーザLの光路に対して平行な前後方向に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置され、ハーフミラー15の後側面において反射されたパルスレーザLの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー17は、反射面に対して45度の入射角で入射されたパルスレーザLを、45度の反射角で前側方向へ反射する。
光センサ18は、パルスレーザLの発光強度を検出するフォトダイオード等で構成され、反射ミラー17のパルスレーザLが反射される略中央位置に対して、図2中、前側方向に配置されている。この結果、反射ミラー17で反射されたパルスレーザLが入射されることになる為、光センサ18は、この入射されたパルスレーザLの発光強度を検出する。従って、光センサ18を介してレーザ発振器21から出力されるパルスレーザLの強度を検出することができる。
ガルバノスキャナ19は、本体ベース11の前側端部に形成された貫通孔29の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット12から出射されたパルスレーザLと、ハーフミラー15で反射された可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査する。ガルバノスキャナ19は、ガルバノX軸ミラーを有するガルバノX軸モータ31と、ガルバノY軸ミラーを有するガルバノY軸モータ32と、本体部33により構成されている。ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32は、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入、保持されて本体部33に取り付けられている。
ガルバノX軸モータ31において、ガルバノX軸ミラーは、走査ミラーとして、モータ軸の先端部に取り付けられており、パルスレーザLと可視レーザ光Mを、ワークW表面上においてX軸方向に走査する際に用いられる。そして、ガルバノY軸モータ32において、ガルバノY軸ミラーは、走査ミラーとして、モータ軸の先端部に取り付けられており、ガルバノX軸ミラーによって反射されたパルスレーザL及び可視レーザ光Mを、ワークW表面上においてY軸方向に走査する際に用いられる。
従って、当該ガルバノスキャナ19においては、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラー(即ち、ガルバノX軸ミラー、ガルバノY軸ミラー)を回転させることによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査する。この2次元走査方向は、ワークW表面の加工領域において、前後方向(X軸方向)と左右方向(Y軸方向)である。
fθレンズ20は、下方に配置されたワークW表面の加工領域に対して、ガルバノスキャナ19によって2次元走査されたパルスレーザLと可視レーザ光Mとを同軸に集光する。そして、当該fθレンズ20は、パルスレーザLや可視レーザ光M等を収束した焦点を、平面状の焦点面とすると共に、パルスレーザLや可視レーザ光Mの走査速度が一定になるように補正する。従って、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転を制御することによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mが、ワークW表面上において、所望の加工パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に2次元走査される。
(電源ユニットの概略構成)
次に、レーザ加工装置1における電源ユニット6の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、電源ユニット6は、励起用半導体レーザ部40と、レーザドライバ51と、電源部52と、冷却ユニット53とを、ケーシング55内に有している。電源部52は、励起用半導体レーザ部40を駆動する駆動電流を、レーザドライバ51を介して励起用半導体レーザ部40に供給する。レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力される駆動情報に基づいて、励起用半導体レーザ部40を直流でオンオフ駆動する。
励起用半導体レーザ部40は、光ファイバFによってレーザ発振器21に光学的に接続されている。励起用半導体レーザ部40は、レーザドライバ51から入力されるパルス状の駆動電流に対して、レーザ光を発生する閾値電流を超えた電流値に比例した出力の波長のレーザ光である励起光を、光ファイバF内に出射する。従って、レーザ発振器21には、励起用半導体レーザ部40からの励起光が光ファイバFを介して入射される。励起用半導体レーザ部40には、例えば、GaAsを用いたレーザバーを用いることができる。
冷却ユニット53は、電源部52及び励起用半導体レーザ部40を、所定の温度範囲内に調整する為のユニットであり、例えば、電子冷却方式により冷却することで、励起用半導体レーザ部40の温度制御を行っており、励起用半導体レーザ部40の発振波長を微調整する。尚、冷却ユニット53は、水冷式の冷却ユニットや、空冷式の冷却ユニット等を用いるようにしてもよい。
(レーザ加工システム100の制御系)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ加工装置1の全体を制御するレーザコントローラ5と、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、ガルバノドライバ57と、可視光レーザドライバ58等を有して構成されている。レーザコントローラ5には、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、光センサ18と、可視光レーザドライバ58等が電気的に接続されている。
レーザコントローラ5は、レーザ加工装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、RAM62、ROM63、時間を計測するタイマ64等を備えている。又、CPU61、RAM62、ROM63、タイマ64は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果や加工走査パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、データ作成装置7から送信された加工データに基づいて加工走査パターンのXY座標データを算出してRAM62に記憶する等の各種プログラムが記憶されている。
そして、CPU61は、ROM63に記憶されている各種の制御プログラムに基づいて各種の演算及び制御を行なうものである。例えば、CPU61は、データ作成装置7から入力された加工データに基づいて算出した加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報や、ガルバノスキャナ19のON・OFFを指示する制御信号等をガルバノコントローラ56に出力する。又、CPU61は、データ作成装置7から入力された加工データに基づいて設定した励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等の励起用半導体レーザ部40の駆動情報をレーザドライバ51に出力する。
レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力された励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等のレーザ駆動情報等に基づいて、励起用半導体レーザ部40を駆動制御する。具体的には、レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力されたレーザ駆動情報の励起光出力に比例した電流値のパルス状の駆動電流を発生し、レーザ駆動情報の励起光の出力期間に基づく期間の間、励起用半導体レーザ部40に出力する。これにより、励起用半導体レーザ部40は、励起光出力に対応する強度の励起光を出力期間の間、光ファイバF内に出射する。
ガルバノコントローラ56は、レーザコントローラ5から入力された加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報をガルバノドライバ57へ出力する。
ガルバノドライバ57は、ガルバノコントローラ56から入力された駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、パルスレーザLを2次元走査する。
可視光レーザドライバ58は、レーザコントローラ5から出力される制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28を含むガイド光部16の制御を行い、例えば、制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28から出射される可視レーザ光Mの発光タイミングや光量を制御する。
図1、図3に示すように、レーザコントローラ5には、データ作成装置7が双方向通信可能に接続されており、データ作成装置7から送信された加工内容を示す加工データ、レーザ加工装置本体部2の制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等を受信可能に構成されている。
(データ作成装置の制御系)
続いて、レーザ加工システム100を構成するデータ作成装置7の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、データ作成装置7は、データ作成装置7の全体を制御する制御部70と、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77と、CD−ROM79に対する各種データ、プログラム等の書き込み及び読み込みを行うためのCD−R/W78等から構成されている。
制御部70は、データ作成装置7の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU71と、RAM72と、ROM73と、時間を計測するタイマ74と、HDD75等を備えている。又、CPU71と、RAM72と、ROM73と、タイマ74は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。又、CPU71と、HDD75は、入出力インターフェース(図示せず)を介して接続され、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM72は、CPU71により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM73は、各種の制御プログラムやデータテーブルを記憶させておくものである。
そして、HDD75は、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、各種データファイルを記憶する記憶装置である。HDD75は、加工データを作成する為の加工データ作成処理プログラム(図4参照)、角度自動設定処理プログラム(図8、図13参照)、第2模様角度設定処理プログラム(図11参照)等を記憶している。
そして、CD−R/W78は、アプリケーションプログラム、各種データテーブル及びデータベースを構成する各データ群を、CD−ROM79から読み込む、又は、CD−ROM79に対して書き込む。即ち、データ作成装置7は、CD−R/W78を介して、加工データ作成処理プログラム(図4参照)、角度自動設定処理プログラム(図8、図13参照)、第2模様角度設定処理プログラム(図11参照)等をCD−ROM79から読み込み、HDD75に格納すると共に、種々のデータ群を記憶する。
尚、加工データ作成処理プログラム(図4参照)、角度自動設定処理プログラム(図8、図13参照)、第2模様角度設定処理プログラム(図11参照)等は、ROM73に記憶されていても良いし、CD−ROM79等の記憶媒体から読み込まれても良い。又、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して、ダウンロードされてもよい。
そして、データ作成装置7には、入出力インターフェース(図示せず)を介して、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77等が電気的に接続されている。従って、データ作成装置7は、入力操作部76や、液晶ディスプレイ77を用いて、加工データの作成や制御パラメータの設定等を行う際に利用される。
(加工データ作成処理プログラムの内容)
続いて、データ作成装置7において実行される加工データ作成処理プログラムの処理内容について、図4〜図12を参照しつつ詳細に説明する。当該データ作成処理プログラムは、パルスレーザLを照射することによって、所定の加工内容を示す加工データを作成する為のアプリケーションプログラムであり、データ作成装置7のCPU71によって実行される。
(加工データ作成処理プログラムで作成される加工データの内容)
当該加工データ作成処理プログラムによって作成される加工データは、閉領域であるオブジェクトの輪郭線の内側に対して、複数の直線線分からなる模様を配置すると共に、当該オブジェクトの輪郭線を、マーキング加工の対象から除外することによって、模様を付したオブジェクトのマーキング加工をワークW表面に施すためのデータである(図10、図12参照)。当該加工データをこのように構成することによって、レーザ加工装置1は、オブジェクトの輪郭線に係るマーキング加工に要する期間を短縮しつつ、オブジェクトのマーキング加工を行うことができる。
そして、当該加工データは、オブジェクトの輪郭線Oに関する情報を含むオブジェクトデータDと、オブジェクトの輪郭線O内部において、相互に平行に伸びる複数の模様線分(後述する第1模様線分Pa、第2模様線分Pb)からなる模様データとに基づいて生成される。加工データ、オブジェクトデータD及び模様データ(即ち、第1模様線分Pa、第2模様線分Pb)は、直交座標系上の各座標位置(直交座標系において、相互に直交する2本のグリッドの交点)を用いて定義づけられており、これらを構成する直線及び曲線は、多数の加工点の集合によって構成されている。
ここで、直交座標系は、レーザ加工システム100における各構成装置(例えば、レーザコントローラ5、データ作成装置7、ガルバノコントローラ56等)がワークW表面の加工領域上の各位置を擬似的に把握するために用いられており、相互に直交する座標軸であるX軸とY軸によって定義されている。そして、加工データ等を構成する各加工点の座標位置(XY座標データ)は、加工領域上でパルスレーザLの照射位置を移動させるべき目標位置に対応する。
尚、以下の説明において、直交座標系上における線分の角度は、直交座標系の原点に対して、X>0を示すX軸を0°とし、Y>0となる領域を経て、X<0を示すX軸を180°として定義する。即ち、直交座標系における原点を中心として、第1象限及び第2象限を用いて表現される角度によって、加工データの生成に関する種々の線分の角度を定義するものとする。
(加工データ作成処理プログラムの処理内容)
次に、第1実施形態に係るデータ作成装置7において、上述したような加工データを作成する際に実行される加工データ作成処理プログラムの処理内容について、図4等を参照しつつ詳細に説明する。
尚、当該加工データ作成処理プログラムは、ユーザの入力操作部76の操作によって、「オブジェクトの輪郭線O内部に模様を付す旨」「オブジェクトにおける輪郭線Oの描画を省略(即ち、加工内容から除外)する旨」が入力された状態で実行されるものとし、輪郭線Oの情報を含むオブジェクトデータDは、既に作成されており、データ作成装置7のRAM72内に格納されているものとする。
図4に示すように、加工データ作成処理プログラムの実行を開始すると、CPU71は、先ず、加工データの基礎となるオブジェクトデータDの入力を受け付けたか否かを判断する(S1)。具体的には、CPU71は、当該加工データ作成処理プログラムにおいて、RAM72内のオブジェクトデータDが読み込まれたか否かを判断する。オブジェクトデータDの入力を受け付けている場合(S1:YES)、CPU71は、S2に処理を移行する。一方、オブジェクトデータDの入力を受け付けていない場合(S1:NO)、CPU71は、エラー報知処理(S17)に処理を移行し、加工データの基礎となるオブジェクトデータDが入力されていない旨を、液晶ディスプレイ77に表示して報知する。エラー報知処理(S17)終了後、CPU71は、加工データ作成処理プログラムを終了する。
S2においては、CPU71は、受け付けたオブジェクトデータDに対して、輪郭線置換処理を実行し、オブジェクトデータDに係るオブジェクトの輪郭線Oを、複数の輪郭線分に置換する。具体的には、CPU71は、オブジェクトデータDにおけるオブジェクトの輪郭線Oを構成する各加工点を、一直線状に配置されるもの毎に区分することで一の輪郭線分とし、オブジェクトの輪郭線O全てを、多数の輪郭線分に置き換える。輪郭線置換処理(S2)によって、輪郭線Oを複数の輪郭線分に置換することによって、各輪郭線分は、当該輪郭線分の長さである線分長の情報と、直交座標系において当該輪郭線分が為す角度である線分角度の情報を有することになる。オブジェクトデータDに係るオブジェクトの輪郭線O全体を、複数の輪郭線分に置換した後、CPU71は、S3に処理を移行する。
尚、オブジェクトデータにおけるオブジェクトの輪郭線Oには、直線部分のみならず、曲線部分が含まれ得る。この場合における輪郭線置換処理(S2)では、例えば、線分長の短い多数の輪郭線分であって、置換元である輪郭線Oの曲線部分の曲率に対応した線分角度をそれぞれ有する輪郭線分に置換される。
ここで、輪郭線置換処理(S2)の処理内容について、図5に示す具体例を挙げて詳細に説明する。図5に示す具体例においては、オブジェクトデータDに係るオブジェクトは、半正三角形(正三角形を半分にしたもの)を示す直角三角形であって、当該直角三角形に係る短辺、長辺及び斜辺にあたる輪郭線Oを有しているものとする。
図5に示すように、当該オブジェクトデータDに対して輪郭線置換処理(S2)を実行すると、直角三角形を示すオブジェクトの輪郭線Oは、短辺に相当する直線線分である第1輪郭線分Oaと、長辺に相当する直線線分である第2輪郭線分Obと、斜辺に相当する直線線分である第3輪郭線分Ocとに置換される。これにより、第1輪郭線分Oaは、直交座標系における線分角度が0°となる方向に伸び、所定の線分長を有することになり、第2輪郭線分Obは、直交座標系における線分角度が90°となる方向に伸び、第1輪郭線分Oaの線分長の(√3)倍の線分長を有することになる。又、第3輪郭線分Ocは、直交座標系における線分角度が120°となる方向に伸び、第1輪郭線分Oaの線分長の2倍の線分長を有することになる。
S3では、CPU71は、輪郭線置換処理(S2)で置換された複数の輪郭線分に基づいて、ヒストグラム生成処理を実行する。具体的には、CPU71は、オブジェクトデータDの輪郭線Oを構成する各輪郭線分の線分角度に基づく階級に対して、各輪郭線分の線分長に基づく度数の分布を示すヒストグラムを生成する。このヒストグラムにおける階級は、直交座標系において定義された0°〜180°の範囲を、所定値(例えば、2°)毎に区分して構成される。そして、当該ヒストグラムにおける度数は、所定の線分角度を示す階級に属する輪郭線分についての線分長の累積値を示す。ヒストグラム生成処理(S3)を終了すると、CPU71は、S4に処理を移行する。
ヒストグラム生成処理(S3)の処理内容について、既に説明した図5に示す具体例を用いて詳細に説明する。上述したように、この具体例によれば、直角三角形を為すオブジェクトの輪郭線Oは、第1輪郭線分Oaと、第2輪郭線分Obと、第3輪郭線分Ocとに置換されており、夫々の輪郭線分は、線分角度及び線分長の情報を有している。図6に示すように、0°を示す線分角度が属する階級は、第1輪郭線分Oaの線分長に相当する度数を示し、90°を示す線分角度が属する階級は、第2輪郭線分Obの線分長に相当し、0°を示す線分角度が属する階級の(√3)倍の度数を示す。又、120°を示す線分角度が属する階級は、第3輪郭線分Ocの線分長に相当し、0°を示す線分角度が属する階級の2倍の度数を示す。尚、180°を示す線分角度が属する階級は、0°を示す階級を等しい為、同様に、第1輪郭線分Oaの線分長に相当する度数を示す。この具体例では、図6に示すヒストグラムを生成した後、CPU71は、S4に処理を移行する。
ここで、CPU71は、ヒストグラム生成処理(S3)を終了した段階で、オブジェクトの輪郭線O内部に配置される模様データにおいて、相互に平行に伸びる複数の模様線分が為す模様角度を設定する為の模様内容設定ウィンドウ80を、液晶ディスプレイ77に表示する。模様角度は、直交座標系における複数の模様線分の角度を示し、当該模様線分が伸びる方向を意味する。模様内容設定ウィンドウ80の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
そして、S4では、CPU71は、後述する模様内容設定ウィンドウ80のヒストグラム表示部82において、ヒストグラム生成処理(S3)で生成したヒストグラムを表示する。ヒストグラム表示部82にヒストグラムを表示した後、CPU71は、S5に処理を移行する。
(模様内容設定ウィンドウ80の構成)
ここで、液晶ディスプレイ77上に表示される模様内容設定ウィンドウ80について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7に示すように、模様内容設定ウィンドウ80は、模様角度手動設定部81と、ヒストグラム表示部82と、模様角度操作部83と、模様角度値設定部84と、プレビュー画像表示部85と、交差模様設定部86と、設定完了ボタン87とを有している。
模様角度手動設定部81は、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して配置される一種類の模様線分(以下、第1模様線分Pa)の模様角度を、ユーザの手動操作に基づく任意の角度に設定する際に用いられ、所謂、チェックボックスによって構成される。ユーザは、入力操作部76の操作によって、模様角度手動設定部81のチェックボックスに対して、チェックを付すか否かで、第1模様線分Paの模様角度(以下、第1模様角度α)を手動で設定するか、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムに基づき自動的に設定するかの何れかを任意に設定し得る。
ヒストグラム表示部82は、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムを表示することによって、オブジェクトにおける輪郭線Oの構成を、ユーザに対して統計的に示している。当該ヒストグラム表示部82は、後述する模様角度操作部83と協働することによって、オブジェクトの輪郭線Oの内に占める割合の小さな角度を、ユーザに対して直感的に報知することができ、もって、第1模様角度αを手動設定する際の利便性を高めている。
模様角度操作部83は、入力操作部76の操作によって、模様データを構成する第1模様線分Paの第1模様角度αを入力・設定する際に用いられ、所謂、スライダによって構成されている。模様角度操作部83は、入力操作部76の操作を受け付けることで、最小値である0°から最大値である180°の数値範囲の間における任意の数値を設定することができる。模様角度操作部83上をスライド移動可能なノブからは、直線状の基準線が、上方に位置するヒストグラム表示部82へ向かって伸びるように表示されている。この基準線を目安にすることで、ユーザは、第1模様角度αを直感的に手動設定することができる。
模様角度値設定部84は、後述する角度自動設定処理(S9)で設定された第1模様角度αの数値を微調整する際に用いられ、入力操作部76の操作信号に基づいて、0°〜180°の間の任意の数値の入力を受け付ける。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、模様内容設定ウィンドウ80の模様角度値設定部84に数値を入力することで、第1模様角度αを所望の角度に調整することができる。
プレビュー画像表示部85は、現在設定されている条件の下で、当該加工データ作成プログラムによって作成されている加工データのプレビュー画像を表示する。プレビュー画像表示部85に表示されるプレビュー画像は、現在のオブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、現在設定されている第1模様角度αの第1模様線分Paを付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す。尚、プレビュー画像表示部85における第1模様線分Paの第1模様角度αは、模様角度操作部83、模様角度値設定部84に対する入力操作や、後述する角度自動設定処理(S9)の処理結果に応じて変化する。
交差模様設定部86は、オブジェクト内部に付す模様の構成として、第1模様線分Paのみで構成される模様ではなく、交差模様を採用する場合に用いられ、所謂、チェックボックスによって構成される。交差模様とは、模様角度操作部83、模様角度値設定部84に対する入力操作や、後述する角度自動設定処理(S9)の処理結果に基づく第1模様角度αで伸びる複数の第1模様線分Paと、当該第1模様線分Paに対して交差すると共に、相互に平行に伸びる複数の第2模様線分Pbによって構成される模様である。当該模様角度としては、所謂、クロスハッチングが具体例として挙げられ、この場合に生成される加工データは、図12に示すような加工内容を示す。ユーザは、入力操作部76の操作によって、交差模様設定部86のチェックボックスに対して、チェックを付すか否かで、第1模様線分Pa及び第2模様線分Pbからなる交差模様を付すか、第1模様線分Paのみで構成される模様を付すかの何れかを任意に設定し得る。
設定完了ボタン87は、模様角度操作部83、模様角度値設定部84に対する入力操作や、後述する角度自動設定処理(S9)の処理結果に基づく値を、第1模様線分Paの第1模様角度αとして確定し、第1模様角度αの設定を完了する際に操作される。
再び図4を参照しつつ、S5以後の処理内容について説明する。模様内容設定ウィンドウ80を液晶ディスプレイ77に表示してS5に移行すると、CPU71は、模様角度手動設定部81に対する入力操作部76の操作信号に基づいて、第1模様線分Paの第1模様角度αについて、模様角度操作部83を用いた手動設定を行うか否かを判断する。第1模様角度αの手動設定が有効である場合(S5:YES)、CPU71は、S6に処理を移行する。一方、第1模様角度αの手動設定が有効ではない場合(S5:NO)、CPU71は、角度自動設定処理(S9)に処理を移行する。
S6においては、CPU71は、模様角度操作部83に対する入力操作部76の操作信号に基づいて、スライダ入力受付処理を実行し、模様角度操作部83におけるノブの位置に対応する角度を受け付けて、第1模様線分Paの第1模様角度αとして設定する。スライダ入力受付処理(S6)で受け付けた第1模様角度αをRAM72に格納した後、CPU71は、S7に処理を移行する。
S7では、CPU71は、スライダ入力受付処理(S6)によって設定された第1模様角度αに従って、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像の内容を更新表示する。これにより、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像は、現在のオブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、スライダ入力受付処理(S6)によって設定された第1模様角度αの第1模様線分Paを付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示すことになる。その後、CPU71は、S8に処理を移行する。
S8に移行すると、CPU71は、入力操作部76の操作信号に基づいて、第1模様線分Paに係る第1模様角度αの手動設定を終了するか否かを判断する。具体的には、CPU71は、入力操作部76の操作信号に基づいて、模様内容設定ウィンドウ80の設定完了ボタン87に対する操作が行われたか否かを判断する。第1模様角度αの手動設定を終了する場合(S8:YES)、CPU71は、S14に処理を移行する。一方、第1模様角度αの手動設定を終了しない場合(S8:NO)、CPU71は、S6に処理を戻し、第1模様角度αの手動設定を再度受け付ける。
第1模様角度αの手動設定が有効ではない場合(S5:NO)に移行するS9においては、CPU71は、角度自動設定処理(S9)に移行し、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムを用いて、第1模様線分Paの第1模様角度αを自動的に設定する。当該角度自動設定処理(S9)では、CPU71は、HDD75から角度自動設定処理プログラム(図8参照)を読み出して実行する。
(第1実施形態に係る角度自動設定処理プログラムの処理内容)
ここで、角度自動設定処理(S9)で実行される角度自動設定処理プログラムの処理内容について、図8、図9を参照しつつ詳細に説明する。角度自動設定処理(S9)に移行すると、CPU71は、先ず、ピーク検出処理(S21)を実行して、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムにおいて、高い度数を示すピークFpを検出する。検出したピークFpに関する情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S22に処理を移行する。
ピーク検出処理(S21)の処理内容について、図9に示す具体例に基づき詳細に説明する。尚、図9に示す具体例は、図5に示す直角三角形のオブジェクトにおける輪郭線Oに対して輪郭線置換処理(S2)を行い、これに対するヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラム(図6参照)に対する処理内容である。
この場合におけるピーク検出処理(S21)では、CPU71は、当該ヒストグラムにおいて、0°を示す線分角度が属する階級の度数と、90°を示す線分角度が属する階級の度数と、120°を示す線分角度が属する階級の度数と、180°を示す線分角度が属する階級の度数を、ピークFpとして夫々検出する。こうして検出した4つのピークFpに関する情報(例えば、階級の情報)をRAM72に格納した後、CPU71は、S22に処理を移行する。
S22においては、CPU71は、ピーク間隔算出処理を実行し、ピーク検出処理(S21)で検出したピークFpの内、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムにおいて隣り合う2つのピークFpの間隔(以下、ピーク間隔Wp)を、夫々算出する。当該ピーク間隔Wpは、2つのピークFpの階級値を境界とする線分角度の範囲を示す。当該ヒストグラムにおける全てのピーク間隔Wpを算出した後、CPU71は、ピーク間隔Wpに関する情報をRAM72に格納し、S23に処理を移行する。
図9に示す具体例においては、ピーク間隔算出処理を実行することで、CPU71は、0°を示す線分角度に係る階級のピークFpと、90°を示す線分角度に係る階級のピークFpと、120°を示す線分角度に係る階級のピークFpと、180°を示す線分角度に係る階級のピークFpに基づいて、3つのピーク間隔Wpを算出する。この場合には、0°〜90°の範囲を示すピーク間隔Wpと、90°〜120°の範囲を示すピーク間隔Wpと、120°〜180°の範囲を示すピーク間隔Wpが算出される。
S23では、CPU71は、最大ピーク間隔特定処理を実行し、RAM72に格納されている各ピーク間隔Wpの情報に基づいて、ピーク間隔算出処理(S22)で算出したピーク間隔Wpの内で最大のピーク間隔Wp(以下、最大ピーク間隔)を特定する。特定した最大ピーク間隔を示す情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S24に処理を移行する。
図9に示す具体例によれば、最大ピーク間隔特定処理(S23)を実行すると、CPU71は、ピーク間隔算出処理(S22)で算出した3つのピーク間隔Wpの内、0°〜90°の範囲を示すピーク間隔Wpを、最大ピーク間隔として特定する。
S24に移行すると、CPU71は、最大ピーク間隔特定処理(S23)の処理結果に基づいて、模様角度決定処理を実行して、第1模様線分Paの第1模様角度αを決定する。具体的には、CPU71は、最大ピーク間隔に特定されたピーク間隔Wpの境界値の中点に相当する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定する。このように決定することによって、CPU71は、ピーク検出処理(S21)で検出されたピークFp及び当該ピークFpの最頻値を基準とした所定範囲を避けて、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定することができる。決定した第1模様線分Paの第1模様角度αを示す情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S25に処理を移行する。
図9に示す具体例の場合、模様角度決定処理(S24)を実行することによって、CPU71は、最大ピーク間隔に特定された0°〜90°の範囲を示すピーク間隔Wpの中点に相当する45°を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定する。このように決定することによって、CPU71は、ピーク検出処理(S21)で検出されたピークFpに相当する線分角度である0°、90°、120°、180°の何れにも一致することはなく、且つ、これらの近似する線分角度を避けて、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定することができる。
S25においては、CPU71は、模様角度決定処理(S24)で決定された第1模様角度αに従って、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像の内容を更新表示する。これにより、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像は、現在のオブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、模様角度決定処理(S24)によって決定された第1模様角度αの第1模様線分Paを付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す。その後、CPU71は、角度自動設定処理プログラムを終了して、加工データ作成処理プログラム(図4参照)のS10に処理を移行する。
再び図4を参照しつつ、S10以後の処理内容について説明する。S10においては、CPU71は、入力操作部76の操作信号に基づいて、模様角度決定処理(S24)で決定された第1模様角度αに対して微調整を行うか否かを判断する。具体的には、CPU71は、入力操作部76によって、模様角度値設定部84に対する操作が行われたか、設定完了ボタン87に対する操作が行われたかによって、第1模様角度αに対して微調整を行うか否かを判断する。模様角度値設定部84に対する操作によって、第1模様角度αに対して微調整を行う場合(S10:YES)、CPU71は、S11に処理を移行する。一方、設定完了ボタン87の操作によって、第1模様角度αに対して微調整を行わないと判断した場合(S10:NO)、CPU71は、S14に処理を移行する。
S11に移行すると、CPU71は、入力操作部76の操作信号に基づいて、数値入力受付処理を実行して、模様角度値設定部84に対して入力された数値を第1模様角度αとすることで、第1模様角度αの微調整を行う。模様角度値設定部84に入力された数値に基づく数値を、第1模様角度αとした後、CPU71は、S12に処理を移行する。
S12では、CPU71は、数値入力受付処理(S11)で微調整された第1模様角度αに従って、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像の内容を更新表示する。これにより、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像は、現在のオブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、数値入力受付処理(S11)によって微調整された第1模様角度αの第1模様線分Paを付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す。その後、CPU71は、S13に処理を移行する。
S13においては、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、第1模様線分Paに係る第1模様角度αの自動設定及び微調整を終了するか否かを判断する。具体的には、CPU71は、模様内容設定ウィンドウ80の設定完了ボタン87に対する入力操作が行われたか否かを判断する。第1模様角度αの自動設定及び微調整を終了する場合(S13:YES)、CPU71は、S14に処理を移行する。一方、第1模様角度αの自動設定及び微調整を終了しない場合(S13:NO)、CPU71は、S11に処理を戻し、第1模様角度αの微調整を再度受け付ける。
S14に移行すると、CPU71は、交差模様設定部86に対する入力操作部76の操作信号に基づいて、当該オブジェクト内部に配置される模様が交差模様であるか否かを判断する。交差模様が設定されている場合(S14:YES)、CPU71は、第2模様角度設定処理(S15)に処理を移行する。一方、交差模様が設定されていない場合(S14:NO)、CPU71は、S16に処理を移行する。
交差模様が設定されていない場合(S14:NO)、オブジェクトの内部に配置される模様は、第1模様角度αを為す複数の第1模様線分Paによって構成される。この場合、加工データの加工内容は、図10に示すように、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、第1模様角度αを為す複数の第1模様線分Paを付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す。
S15においては、CPU71は、S1〜S13までの処理によって設定された第1模様線分Paの第1模様角度αに基づいて、第2模様角度設定処理を実行し、交差模様を構成する複数の第2模様線分Pbの第2模様角度βを設定する。第2模様角度設定処理(S15)においては、CPU71は、HDD75から第2模様角度設定処理プログラムを読み出して実行する。
(第2模様角度設定処理プログラムの処理内容)
ここで、第2模様角度設定処理(S15)で実行される第2模様角度設定処理プログラムの処理内容について、図11を参照しつつ詳細に説明する。第2模様角度設定処理(S15)に移行すると、CPU71は、先ず、S14移行時において既に決定されている模様角度(即ち、第1模様角度α)を、RAM72から読み出して取得する(S31)。第1模様線分Paの第1模様角度αを示す情報を取得した後、CPU71は、S32に処理を移行する。
S32においては、CPU71は、第2模様角度特定処理を実行し、取得した第1模様線分Paの第1模様角度αに基づいて、第2模様線分Pbの第2模様角度βを特定する。具体的には、CPU71は、取得した第1模様線分Paの第1模様角度αに対して、90°を加算又は減算した数値を、第2模様線分Pbの第2模様角度βとして特定する。特定した第2模様線分Pbの第2模様角度βを示す情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S33に処理を移行する。
S33に移行すると、CPU71は、第2模様角度特定処理(S32)の処理結果に基づいて、既に作成されている模様データを更新する。具体的には、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、第1模様角度αを為す複数の第1模様線分Paと交差するように、第2模様角度βを為す複数の第2模様線分Pbを追加配置する。これにより、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部には、複数の第1模様線分Paと複数の第2模様線分Pbからなる交差模様が配置される(図12参照)。模様データを更新した後、CPU71は、S34に処理を移行する。
図12に示すように、この場合にオブジェクトの内部に配置される模様は、第1模様角度αを為す複数の第1模様線分Paと、第2模様角度βを為す複数の第2模様線分Pbとが直交する交差模様を示す。そして、この場合における加工データの加工内容は、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、複数の第1模様線分Pa及び複数の第2模様線分Pbによる交差模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す。
S34では、CPU71は、S33によって更新された模様データの模様(即ち、交差模様)に従って、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像の内容を更新表示する。これにより、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像は、現在のオブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、第1模様線分Pa及び第2模様線分Pbからなる交差模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示す(図12参照)。その後、CPU71は、第2模様角度設定処理プログラムを終了して、加工データ作成処理プログラム(図4参照)のS16に処理を移行する。
図4に示すように、加工データ作成処理プログラムのS16に移行すると、CPU71は、S1〜S15による処理結果に基づいて、加工データ生成処理を実行する。即ち、CPU71は、受け付けたオブジェクトデータDと、設定された模様データに基づいて、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、模様データに基づく模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様(例えば、図10、図12参照)を示す加工データを生成し、RAM72に格納する。加工データ生成処理(S16)を終了すると、CPU71は、加工データ作成処理プログラムを終了する。
尚、加工データ作成処理プログラムを終了した後、CPU71は、入力操作部76の操作信号に基づいて、作成された加工データをRAM72から読み出して、加工開始指示と共に、レーザコントローラ5に対して送信し得る。この場合、レーザコントローラ5のCPU61は、送信された加工開始指示及び加工データを受信すると、受信した加工データに従って、レーザドライバ51及びガルバノドライバ57を制御する。これにより、第1実施形態に係るレーザ加工装置1は、パルスレーザLによって、オブジェクト内部に対して模様データに基づく模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様(例えば、図10、図12参照)を、ワークW表面に描画することができる。
当該加工データにおいては、パルスレーザLによるマーキング加工の対象から、オブジェクトの輪郭線Oが除外されている為、ワークW表面に対するオブジェクトのマーキング加工について、その所要時間の短縮化に貢献することができる。図10、図12に示すように、当該オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外したとしても、オブジェクトの輪郭における大部分は、複数の模様線分(第1模様線分Pa、第2模様線分Pb)の端点によって表現される為、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
以上説明したように、第1実施形態に関するデータ作成装置7、加工データ生成処理プログラム及び加工データの生成方法(以下、データ作成装置7等)によれば、受け付けたオブジェクトデータDに係るオブジェクトの内側に、相互に平行な複数の模様線分からなる模様を配置し、オブジェクトの輪郭線OをパルスレーザLによる加工の対象から除外した加工データを作成することができ、もって、当該オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性の向上に貢献し得る。
図10、図12に示すように、この場合に作成される加工データにおいては、オブジェクトの輪郭線OがパルスレーザLによる加工対象から除外されている為、データ作成装置7等によれば、オブジェクトのマーキング加工に関する所要時間の短縮化に貢献することができる。
そして、当該データ作成装置7等によれば、角度自動設定処理(S9)を実行することによって、直交座標系上に定義された前記オブジェクトの輪郭線Oの構成に基づいて特定された第1模様角度αに従った複数の第1模様線分Paを有する模様を、オブジェクト内部に配置した加工データを形成することができる。この加工データによれば、当該オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外したとしても、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現することができる。即ち、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
又、当該データ作成装置7等によれば、輪郭線置換処理(S2)を実行することによって、オブジェクトの輪郭線Oを複数の輪郭線分に置換し、各輪郭線分の線分長及び直交座標系上における各輪郭線分の線分角度に基づいて、第1模様線分Paの第1模様角度αを特定する為、複数の第1模様線分Paと平行に伸びるオブジェクトの輪郭線Oを少なくして、当該輪郭線Oの大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現することができる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の模様線分の端点によって表現することができる加工データを生成するので、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
当該データ作成装置7等によれば、ヒストグラム生成処理(S3)によって、当該輪郭線分の線分角度に基づく階級に対して、前記輪郭線分の線分長に基づく度数の分布を示すヒストグラム(図6、図9参照)に基づいて、複数の第1模様線分Paの第1模様角度αを特定する(S9)為、複数の第1模様線分Paと平行に伸びるオブジェクトの輪郭線Oを確実に少なくして、当該輪郭線Oの大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現することができる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点で表現することができる加工データを生成することができるので、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
又、角度自動設定処理(S9)においては、ピーク検出処理(S21)によって、ヒストグラムにおけるピークFpを検出し、模様角度決定処理(S24)では、検出したピークFpに対応する線分角度及びその近似値にあたる所定範囲を避けて、第1模様線分Paの第1模様角度αを特定する為、第1模様線分Paの第1模様角度αを、オブジェクトの輪郭線Oの大部分と確実に相違する角度にすることができ、当該輪郭線Oの大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現できる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点をもって表現可能な加工データを生成することができるので、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
更に、角度自動設定処理(S9)においては、ピーク検出処理(S21)で検出したピークFpに基づいて、ピーク間隔算出処理(S22)、最大ピーク間隔特定処理(S23)を実行することで、当該ヒストグラムにおける最大ピーク間隔にあたる角度範囲を特定することができ、模様角度決定処理(S24)では、最大ピーク間隔にあたる角度範囲の中点に相当する線分角度を、第1模様角度αに決定する。これにより、当該オブジェクトにおける輪郭線分の線分角度の内、オブジェクトの輪郭線Oにおけるごく一部と同じ模様角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定することができる。即ち、当該データ作成装置7等によれば、第1模様線分Paの第1模様角度αを、オブジェクトの輪郭線Oの内、更に多くの部分と確実に相違する角度に決定することができ、当該輪郭線Oにおける更に多くの部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現できる。この結果、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現可能な加工データを生成するので、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
当該データ作成装置7等によれば、模様内容設定ウィンドウ80における模様角度操作部83や模様角度値設定部84に対して、入力操作部76を用いた手動操作を行うと、第1模様線分Paの第1模様角度αを、当該手動操作に応じたユーザ所望の角度に設定し得る(S6、S11)。これにより、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
又、当該データ作成装置7は、模様内容設定ウィンドウ80のプレビュー画像表示部85に、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、複数の模様線分からなる模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示すプレビュー画像を表示する(図7参照)。従って、当該データ作成装置7等によれば、プレビュー画像表示部85に表示されたプレビュー画像を視認することで、加工データの生成を完了する前、及びパルスレーザLによるマーキング加工を行う前に、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合におけるオブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を確認することができ、もって、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を、ユーザ所望の態様とする為の種々の対応を行うことができる。
当該データ作成装置7等によれば、第2模様角度設定処理(S15)を実行することによって、オブジェクト内部に対して、複数の第1模様線分Pa及び複数の第2模様線分Pbからなる交差模様を付した加工データを生成することができる。当該データ作成装置7等によれば、第1模様線分Paの第1模様角度αに基づいて、複数の第2模様線分Pbの第2模様角度βを特定する為、当該オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外したとしても、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、交差模様を構成する複数の第1模様線分Pa及び複数の第2模様線分Pbの端点によって表現することができる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、交差模様を構成する模様線分の端点によって表現可能な加工データを生成することができ、もって、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に関するレーザ加工システム100、レーザ加工装置1は、上述した第1実施形態に関するレーザ加工システム100、レーザ加工装置1と同一の基本的構成を有しており、角度自動設定処理プログラムの処理内容が相違する。従って、第1実施形態と同一の構成、処理内容に関する説明は省略する。
(第2実施形態に係る角度自動設定処理プログラムの処理内容)
第2実施形態に係る角度自動設定処理プログラムの処理内容について、図13、図14を参照しつつ詳細に説明する。第2実施形態に係る角度自動設定処理プログラムは、第1実施形態と同様に、データ作成装置7のHDD75に記憶されており、加工データ作成処理プログラム(図4参照)の角度自動設定処理(S9)に移行した場合に、CPU71によって読み出されて実行される。
(第2実施形態に係る角度自動設定処理プログラムの処理内容)
第1実施形態と同様に、角度自動設定処理(S9)に移行すると、CPU71は、先ず、谷検出処理(S41)を実行して、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムにおいて、低い度数を示す谷Fbを検出する。検出した谷Fbに関する情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S42に処理を移行する。
谷検出処理(S41)の処理内容について、図14に示す具体例に基づき詳細に説明する。ヒストグラム生成処理(S3)によって生成された図14に示すヒストグラムに対して、谷検出処理(S41)を実行すると、CPU71は、25°近傍に度数の低い底値部分を有する谷Fbと、90°近傍に度数の低い底値部分を有する谷Fbと、155°近傍に度数の低い底値部分を有する谷Fbを検出する。こうして検出した3つの谷Fbに関する情報(例えば、階級の情報)をRAM72に格納した後、CPU71は、S42に処理を移行する。
S42においては、CPU71は、谷幅算出処理を実行し、ヒストグラム生成処理(S3)で生成されたヒストグラムにおいて、谷検出処理(S41)で検出した谷Fbの幅(以下、谷幅Wb)を、夫々算出する。当該谷幅Wbは、当該谷Fbの両隣に位置する高い度数を示す部分に相当する線分角度の階級値を境界とする線分角度の範囲を示す。当該ヒストグラムにおける全ての谷幅Wbを算出した後、CPU71は、谷幅Wbに関する情報をRAM72に格納し、S43に処理を移行する。
図14に示す具体例においては、谷幅算出処理(S42)を実行することで、CPU71は、谷検出処理(S21)で検出した3つの谷Fbについて、夫々、谷幅Wbを算出する。この場合には、7°〜50°の範囲を示す谷幅Wbと、50°〜130°の範囲を示す谷幅Wbと、130°〜178°の範囲を示す谷幅Wbが算出される。
S43では、CPU71は、最大谷幅特定処理を実行し、RAM72に格納されている各谷幅Wbの情報に基づいて、谷幅算出処理(S42)で算出した谷幅Wbの内で最大の谷幅Wb(以下、最大谷幅)を特定する。特定した最大谷幅を示す情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S44に処理を移行する。
図14に示す具体例によれば、最大谷幅特定処理(S43)を実行すると、CPU71は、谷幅算出処理(S42)で算出した3つの谷Fbの谷幅の内、50°〜130°の範囲を示す谷幅Wbを、最大谷幅として特定する。
S44に移行すると、CPU71は、最大谷幅特定処理(S43)の処理結果に基づいて、模様角度決定処理を実行して、第1模様線分Paの第1模様角度αを決定する。具体的には、CPU71は、最大谷幅に特定された谷Fbにおける底値に相当する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定する。このように決定することによって、CPU71は、谷検出処理(S41)で検出された谷Fb及び当該谷Fbにおける底値を基準とした所定範囲内の何れかの角度範囲となるように、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定することができる。決定した第1模様線分Paの第1模様角度αを示す情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S45に処理を移行する。
図14に示す具体例の場合、模様角度決定処理(S44)を実行することによって、CPU71は、最大谷幅に特定された50°〜130°の範囲を示す谷Fbにおいて、底値に相当する90°を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定する。このように決定することによって、CPU71は、谷検出処理(S41)で検出された谷Fbの底値の何れか(この場合、25°、90°、155°)に一致若しくは近似する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定することができる。
S45においては、CPU71は、第1実施形態におけるS25の処理と同様に、模様角度決定処理(S44)で決定された第1模様角度αに従って、プレビュー画像表示部85におけるプレビュー画像の内容を更新表示する。その後、CPU71は、第2実施形態に係る角度自動設定処理プログラムを終了して、加工データ作成処理プログラム(図4参照)のS10に処理を移行する。
以上説明したように、第2実施形態に関するデータ作成装置7によれば、第1実施形態と同様に、受け付けたオブジェクトデータDに係るオブジェクトの内側に、相互に平行な複数の模様線分からなる模様を配置し、オブジェクトの輪郭線OをパルスレーザLによる加工の対象から除外した加工データを作成することができ、もって、当該オブジェクトの明瞭性や視認性の向上に貢献し得る。又、作成された加工データにおいては、オブジェクトの輪郭線OがパルスレーザLによる加工対象から除外されている為、データ作成装置7等によれば、オブジェクトのマーキング加工に関する所要時間の短縮化に貢献することができる。
当該データ作成装置7等によって作成された加工データによれば、当該オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外したとしても、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現することができる。即ち、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
そして、当該データ作成装置7等によれば、輪郭線置換処理(S2)、ヒストグラム生成処理(S3)によって、当該輪郭線分の線分角度に基づく階級に対して、前記輪郭線分の線分長に基づく度数の分布を示すヒストグラムに基づいて、複数の第1模様線分Paの第1模様角度αを特定する(S9)為、複数の第1模様線分Paと平行に伸びるオブジェクトの輪郭線Oを確実に少なくして、当該輪郭線Oの大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現することができる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点で表現可能な加工データを生成することができ、もって、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
第2実施形態に係る角度自動設定処理(S9)においては、谷検出処理(S41)によって、ヒストグラムにおける谷Fbを検出し、模様角度決定処理(S44)では、検出した谷Fbの底値及びその近似値にあたる所定範囲内に対応する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに特定する為、第1模様線分Paの第1模様角度αを、オブジェクトの輪郭線Oの大部分と確実に相違する角度にすることができ、当該輪郭線Oの大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現できる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点をもって表現可能な加工データを生成することができるので、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
更に、角度自動設定処理(S9)においては、谷検出処理(S41)で検出した谷Fbに基づいて、谷幅算出処理(S42)、最大谷幅特定処理(S43)を実行することで、当該ヒストグラムにおける最大谷幅にあたる角度範囲を特定することができ、模様角度決定処理(S44)では、最大谷幅に係る谷Fbの底値に相当する線分角度を、第1模様角度αに決定する。これにより、当該データ作成装置7等によれば、第1模様線分Paの第1模様角度αを、オブジェクトの輪郭線Oの内、更に多くの部分と確実に相違する角度に決定することができ、当該輪郭線Oにおける更に多くの部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現できる。即ち、当該データ作成装置7等によれば、確実に、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Paの端点によって表現可能な加工データを生成することができ、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
第2実施形態に係るデータ作成装置7等においても、模様内容設定ウィンドウ80における模様角度操作部83や模様角度値設定部84に対して、入力操作部76を用いた手動操作を行うと、第1模様線分Paの第1模様角度αを、当該手動操作に応じたユーザ所望の角度に設定し得る(S6、S11)。これにより、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
又、第2実施形態においても、模様内容設定ウィンドウ80のプレビュー画像表示部85には、オブジェクトデータDにおけるオブジェクト内部に対して、複数の模様線分からなる模様を付し、且つ、当該オブジェクトの輪郭線Oを除去した態様を示すプレビュー画像が表示される(図7参照)。従って、当該データ作成装置7等によれば、プレビュー画像表示部85に表示されたプレビュー画像を視認することで、加工データの生成完了前の時点で、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合におけるオブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を確認することができ、ユーザ所望の態様とする為の種々の対応を行うことができる。
第2実施形態に係るデータ作成装置7等においても、第2模様角度設定処理(S15)を実行することによって、交差模様を付した加工データを生成することができる。当該データ作成装置7等によれば、第1模様線分Paの第1模様角度αに基づいて、複数の第2模様線分Pbの第2模様角度βを特定する為、当該オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外したとしても、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、複数の第1模様線分Pa及び複数の第2模様線分Pbの端点によって表現することができる。これにより、当該データ作成装置7等によれば、オブジェクトの輪郭線Oにおける大部分を、交差模様を構成する模様線分の端点によって表現可能な加工データを生成することができ、もって、オブジェクトの輪郭線Oを加工対象から除外した場合であっても、オブジェクトの明瞭性や視認性及び輪郭の均一性を担保し得る。
尚、上述した実施形態において、データ作成装置7は、本発明における加工データ作成装置の一例である。そして、レーザ加工装置1及びレーザ加工システム100は、本発明におけるレーザ加工装置の一例であり、制御部70、CPU71、RAM72、HDD75は、本発明におけるデータ受付部、模様データ生成部、輪郭線除去部、加工データ生成部、角度特定部、輪郭線置換部、ヒストグラム生成部、ピーク検出部、谷検出部の一例である。又、入力操作部76、模様角度操作部83、模様角度値設定部84は、本発明における手動設定部の一例であり、液晶ディスプレイ77、プレビュー画像表示部85は、本発明におけるプレビュー表示部の一例である。そして、オブジェクトデータDは、本発明におけるオブジェクトデータの一例であり、輪郭線Oは、本発明における輪郭線の一例である。又、第1模様線分Pa、第2模様線分Pbは、本発明における複数の線分の一例であり、第1模様角度α、第2模様角度βは、本発明における模様角度の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、データ作成装置7は、角度自動設定処理(S9)の模様角度決定処理(S24)において、ピークFpに対応する線分角度及びその近似値にあたる所定範囲を避けて、第1模様線分Paの第1模様角度αを特定していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、模様角度決定処理(S24)においては、ピーク検出処理(S21)で検出したピークFpを基準とする半値幅を避けて、第1模様線分Paの第1模様角度αを特定するように構成することも可能である。
又、上述した実施形態では、CPU61は、模様角度決定処理(S24)において、最大ピーク間隔に特定されたピーク間隔Wpの境界値の中点に相当する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、最大ピーク間隔を、当該最大ピーク間隔の境界となる2つのピークFpの高さに比例して分割した点に相当する線分角度を、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定するように構成することも可能である。
図9の具体例をもって説明すると、最大ピーク間隔に特定された0°〜90°の範囲を示すピーク間隔Wpについて、0°を示す線分角度が属する階級の度数(第1輪郭線分Oaの線分長に相当)及び90°を示す線分角度が属する階級の度数(0°を示す線分角度が属する階級の(√3)倍)に基づいて比例分割して、第1模様線分Paの第1模様角度αに決定する。即ち、90°×(1/(1+√3))≒33°と算出され、最大ピーク間隔における低いピークFp寄りの点に対応する線分角度を、第1模様角度αに決定する
又、上述した実施形態において、ユーザ所望の模様角度を設定する為に、スライダ入力受付処理(S6)を実行し、模様角度操作部83におけるノブのスライド操作を受け付けていたが、ユーザの操作に伴い所望の模様角度を設定可能であれば、種々の態様を採用し得る。例えば、ユーザ所望の模様角度を設定する為のS6に相当する処理として、模様角度値設定部84に対する数値入力の操作を受け付けるように構成してもよい。
同様に、上述した実施形態においては、自動設定された模様角度をユーザ所望の模様角度に調整する為に、数値入力受付処理(S11)を実行し、模様角度値設定部84に対する数値の入力操作を受け付けていたが、ユーザの操作に伴い所望の模様角度に調整可能であれば、種々の態様を採用し得る。例えば、自動設定された模様角度をユーザ所望の模様角度に調整する為のS11に相当する処理として、模様角度操作部83におけるノブのスライド移動操作を受け付けるように構成してもよい。
そして、上述した実施形態では、第2模様角度設定処理(S15)の第2模様角度特定処理(S32)において、第1模様線分Paの第1模様角度αに対して、90°を加算又は減算した値を、第2模様線分Pbの第2模様角度βに設定していたが、この態様に限定されるものではない。第2模様角度特定処理(S32)における第2模様角度βの設定方法に関しては、第1模様角度αに基づいていれば良く、種々の方法を採用することができる。例えば、第1模様角度αを基準とした所定範囲を避けるように設定することを条件として、ヒストグラム生成処理(S3)で生成したヒストグラムを用いた角度自動設定処理プログラム(図8、図13参照)によって、第2模様角度βを設定してもよい。