JP2017063070A - 配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な工程を必要とすること無く、材料の無駄を省き、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減することが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供する。【解決手段】開口部を有する絶縁材料からなる基材30と、開口部に挿入されて基材を貫通し且つ基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材20とを含んでなる配線基板において、配線基板の一方の主面における基材の開口面積が、他方の主面における基材の開口面積よりも大きく、一方の主面における熱伝導性部材の第1の面積が他方の主面における熱伝導性部材の第2の面積よりも大きく、熱伝導性部材と基材との嵌合面の基材の厚み方向のうちの一部分の領域においてのみ、熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している。【選択図】図4
Description
本発明は、配線基板に関する。より詳細には、本発明は、絶縁材料からなる基材を貫通する開口部に挿入されて当該基材を貫通し且つ当該基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材を有することにより高い放熱性を有する配線基板に関する。
当該技術分野においては、絶縁性材料からなる基材を貫通するように良導体からなる熱伝導性部材を嵌合させてなる、高い放熱性と大きい電流容量とを兼備する配線基板が知られている(例えば、図5を参照)。このような配線基板の典型例としては、例えば、熱伝導性部材として厚銅部材を採用する厚銅配線基板等を挙げることができる。
上記のような厚銅配線基板によれば、例えば、当該基板の一方の主面において露出している厚銅部材の表面に高発熱部品(例えば、パワートランジスタ等)を配設し、他方の主面には厚銅部材と熱伝導可能な状態で放熱部材(例えば、アルミニウム製ヒートシンク等)を配設することにより、高発熱部品から発生する熱を効率良く放熱部材に伝導し、放散させることができる。
上記のような厚銅配線基板は、一般に、例えばパンチプレス等の加工機械を用いて厚銅板を打ち抜き、他の基材と積層したり、他の基材に形成された開口部に挿入して嵌合させたりすることによって製造される。
具体的には、例えば、厚銅板と当該厚銅板よりも肉厚の薄い銅箔とを重ね、厚銅板側から厚銅回路部の形状に打ち抜くと同時に、打ち抜いた厚銅回路部を銅箔に圧入した後、この厚銅回路部が圧入された打ち抜き嵌合体の全体を黒化処理した後、接着層を介して金属基板と積層一体化し、ついで銅箔部分を除去したり、銅箔に回路を形成したりすることにより、高い放熱性と大きな電流容量とを有する厚銅配線基板を効率的に製造することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
更に、受け台上に位置決めされた絶縁性支持材(基材)をパンチによって打ち抜き、当該打ち抜き済みの支持材の上面に、同じく位置決めされた厚銅板を乗せ、当該厚銅板を支持材の打ち抜き穴に沿って上記パンチによって打ち抜いた後、厚銅板の打ち抜き片の上面が支持材の上面と面一になるように押し上げて打ち抜き片と支持材とを嵌合させることにより、性能の優れた大電流厚銅配線基板を得ることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
上述した特許文献を始めとする従来技術に係る製造方法には、例えば、以下に列挙するような問題がある。
(X)厚銅部材の基材への圧入時の荷重(圧入荷重)が非常に高く、大型のプレス機を要する。
(Y)厚銅部材の基材への圧入に伴い基材の亀裂又は白化等が生ずる場合がある。
(Z)厚銅部材の基材への圧入時に両者を面一にするための正確な位置決めが可能なプレス制御が必要。
(X)厚銅部材の基材への圧入時の荷重(圧入荷重)が非常に高く、大型のプレス機を要する。
(Y)厚銅部材の基材への圧入に伴い基材の亀裂又は白化等が生ずる場合がある。
(Z)厚銅部材の基材への圧入時に両者を面一にするための正確な位置決めが可能なプレス制御が必要。
上記問題のような問題は、例えば、配線基板の製造コストの増大及び品質不良等に繋がる虞がある。即ち、当該技術分野においては、厚銅部材の基材への圧入時の荷重を低減すると共に厚銅部材の基材に対する位置決めをより容易に行うことができる新たな技術に対する要求が存在する。
本発明の第1の発明は、貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材と、前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材と、を含んでなる配線基板であって、前記開口部は、前記配線基板の一方の主面における開口面積が、他方の主面における開口面積よりも大きく、前記熱伝導性部材は、前記一方の主面における第1の面積が前記他方の主面における第2の面積よりも大きく、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面との嵌合面において、前記基材の厚み方向のうちの一部分の領域においてのみ、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している、配線基板を提供する。
この第1の発明に係る配線基板によれば、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減すると共に熱伝導性部材の基材に対する位置決めをより容易に行うことが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供することができる。加えて、複雑な工程を必要とすること無く、材料の無駄を省くこともできる。
本発明の第2の発明は、貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材と、前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材と、を含んでなる配線基板であって、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合しており、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面との嵌合面にイヤモンドライクカーボン膜が形成されている、配線基板を提供する。
この第2の発明に係る配線基板によれば、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減することが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供することができる。加えて、複雑な工程を必要とすること無く、材料の無駄を省くこともできる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の第1実施態様に係る配線基板(以降、「第1基板」と称呼される場合がある。)は、「貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材」と、「前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材」と、を含んでなる配線基板である。
上記基材を構成する絶縁材料は特に限定されず、配線基板の基材を構成する材料として広く使用されている材料を使用することができる。具体的には、例えば、紙又はガラスにフェノール樹脂又はエポキシ樹脂を含浸させた樹脂系材料等を上記絶縁材料として使用することができる。典型的には、ガラスエポキシ樹脂を上記絶縁材料として使用することができる。
一方、上記熱伝導性部材を構成する良導体は、良好な熱伝導性を有する良導体である限り特に限定されない。即ち、上記熱伝導性部材を構成する材料は、良好な電気伝導性と良好な熱伝導性とを兼備することが好ましい。これにより、上記熱伝導性材料が配線の一部として使用される配線基板が、高い熱伝導性のみならず、大きい電流容量を達成することができる。このような材料の具体例としては、例えば、金、銀、銅、銅モリブデン合金、アルミニウム等の金属を挙げることができる。
更に、第1基板においては、前記開口部は、前記配線基板の一方の主面における開口面積が、他方の主面における開口面積よりも大きく、前記熱伝導性部材は、前記一方の主面における第1の面積が前記他方の主面における第2の面積よりも大きい。
上記要件を満足する限り、熱伝導性部材の具体的な形状は特に限定されない。例えば、熱伝導性部材の形状の具体例としては、例えば台形(例えば、円錐台形及び角錐台形等)及び階段状等、様々な形状を挙げることができる。このような様々な形状を有する熱伝導性部材が圧入された本発明に係る配線基板の具体例を図1の(a)乃至(d)に示す。図1は、本発明に係る各種配線基板の主面と垂直に交わる平面による模式的な断面図である。尚、図1においては、向かって上側の主面における熱伝導部材の断面積の方が向かって下側の主面における熱伝導部材の断面積よりも大きい状態を例示したが、図1に対して上限が逆転した構成、即ち、熱伝導部材の断面積の大小関係が逆転した構成にしてもよいことは言うまでも無い。
図1からも明らかであるように、熱伝導性部材20は基材30における大きい方の開口部(図1においては上側の開口部)からのみ圧入可能となり、嵌合面40における熱伝導性部材20と基材30との接触により、配線基板10における基材30に対する熱伝導性部材20の位置が、当該配線基板10の主面に平行な面内方向のみならず同主面に垂直な厚み方向においても一意に定まる。これにより、上述した問題(Z)が軽減される。
また、このようにして基材に対する熱伝導性部材の位置が一意に定まるので、例えばプレス機等の加工機械により、基材が有する開口部に熱伝導性部材を圧入するのみで、第1基板を完成させることができる。即ち、第1基板は極めて簡潔な製造工程によって製造することができる。
更に、基材における小さい方の開口部から熱伝導性部材を取り出すことはできない。従って、小さい方の開口部が鉛直方向下向きとなるように基板を配置している場合は、たとえ熱伝導性部材と基材との接合強度が不十分であっても、基材に形成された空間から熱伝導性部材が自重により抜け落ちたり鉛直方向下向きにずれたりすることは無い。
加えて、第1基板においては、前記熱伝導性部材と前記基材との嵌合面において、前記基材の厚み方向のうちの一部分の領域においてのみ、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している。即ち、上記嵌合面の上記一部分以外の領域においては、熱伝導性部材と開口部の内周面とは締まり嵌めによって嵌合していない。具体的には、上記上記嵌合面の上記一部分以外の領域においては、熱伝導性部材と開口部の内周面とが、例えば、隙間嵌め又は中間嵌めによって嵌合している。
尚、上記「締まり嵌め」、「隙間嵌め」及び「中間嵌め」なる用語は、当業者に周知であるように、物体とその形状に対応する開口部(穴)との嵌め合いの形態を表す用語である。「締まり嵌め」(「力嵌め」と称呼される場合もある)とは、物体の方が穴よりも大きいため、例えば、圧入、焼き嵌め及び冷やし嵌め等の方法によって物体が穴に挿入され、挿入後は相当の力を加えないと物体を穴から抜き去ることができない。一方、「隙間嵌め」(「緩み嵌め」と称呼される場合もある)とは、物体の方が穴よりも小さいため、特段の力を加えなくとも挿入及び抜き去りが可能である。例えば、円形の物体を円形の穴に隙間嵌めした場合、両者が互いに摺動しながら回転することができる。
更に、「中間嵌め」とは、締まり羽目と隙間嵌めとの中間的な嵌め合いの形態である。これらの嵌め合いの形態に対応する公差については、例えばJIS規格によって定められている。本発明に係る配線基板の熱伝導性部材と開口部の内周面との嵌め合いにおける公差(嵌め合い公差)の具体的な値は、例えば、当該配線基板に要求される熱伝導性部材と基材との接合強度等に応じて適宜調整される。
従って、基材が有する開口部に熱伝導性部材を圧入するときに抗力を生ずる領域は、従来技術に係る配線基板においては嵌合面の全領域であるのに対し(例えば、図5に示した嵌合面40における黒塗り部分を参照)、第1基板においては嵌合面の一部分の領域(締まり嵌めによる嵌合領域)に限定される(例えば、図1に示した嵌合面40おける黒塗り部分を参照)。その結果、基材が有する開口部に熱伝導性部材を圧入するのに必要とされる荷重(圧入荷重)を低減することができる。これに伴い、圧入時に嵌合面に作用する応力も低減されるので、圧入に伴う基材の亀裂及び/又は白化等の品質不良も低減される。即ち、上述した問題(X)及び(Y)も軽減される。
更に、上記のような形状を有する熱伝導性部材及び当該熱伝導性部材が嵌め込まれる基材が有する開口部は、パンチプレス等の加工機械による打ち抜き(パンチ)等の単純な加工によって容易に作ることはできない。例えば、従来技術に係る配線基板の製造方法のように位置決めをして基材の上に乗せた熱伝導性部材をパンチによって打ち抜く方法によっては、上記のような形状を有する熱伝導性部材及び当該熱伝導性部材が嵌め込まれる基材が有する開口部を作ることはできない。
即ち、第1基板を構成する熱伝導性部材及び基材が有する開口部は、それぞれ事前に形成される。上記のような形状を有する熱伝導性部材は、例えば棒材等のような柱状の素材を切断及び/又は切削することによって作ることができる。従って、最終的な基板において熱伝導性部材が配設される位置に拘わり無く、熱伝導性部材を様々な形態の素材から作ることができるので、基板の製造に使用されずに廃棄される材料を低減することができる。また、配線基板の製造工程としては、このようにして予め作られた熱伝導性部材を、基材に予め形成された開口部に圧入して嵌合させる工程となるので、製造工程が簡潔である。
以上のように、第1基板によれば、上述した問題(X)乃至(Z)を全て軽減することができる。即ち、第1基板によれば、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減すると共に熱伝導性部材の基材に対する位置決めをより容易に行うことが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供することができる。
ところで、上述したように、第1基板においては、前記配線基板の一方の主面における熱伝導性部材の第1の面積が、他方の主面における熱伝導性部材の第2の面積よりも大きい。このような形状を有する熱伝導性部材の具体例については、図1の(a)乃至(d)を参照しながら既に説明した通りである。
上記具体例の中で、例えば、図1の(d)に示す配線基板10においては、熱伝導性部材20が側面に階段状の段差を有する形状を有し、基材30が有する開口部の内周面における当該段差に対応する箇所に当該段差と嵌合する段差が形成されている。基材30が有する開口部への熱伝導性部材20の圧入時には、これらの段差の嵌合により、配線基板10における基材30に対する熱伝導性部材20の位置を当該配線基板10の主面に垂直な厚み方向において確実に定めることができる。従って、このように側面に階段状の段差を有する形状は、熱伝導性部材の形状として特に好ましい。
そこで、本発明の1つの好ましい実施態様に係る配線基板において、前記熱伝導性部材と前記基材との嵌合面に段差が形成されて印籠構造となるように構成されている(例えば、図1の(d)を参照)。「印籠構造」とは、「インロー構造」とも表記され、当業者に周知であるように、2つの部品を嵌め合って組み立てるときに容易に位置決め(例えば、センタリング等)を行うことを可能とする構造を指す。一般には、一方の部品に設けられた凸部に嵌り合う内寸を有する形状を他方の部品に設けて、これらを嵌め合うことにより位置決めを行う。
例えば、図1の(d)に示した例においては、階段状の段差を有する嵌合面40のうち、締まり嵌め領域に該当する部分領域41(黒塗り部分)における熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面との嵌め合いにより、配線基板10の主面に平行な面内方向における位置決めを行うことができる。従って、部分領域41における熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面とによって構成される構造は上記「印籠構造」に該当する。嵌合面40の部分領域42(白抜き部分)における熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面との嵌め合いは締まり嵌めではなく、部分領域41に比べて嵌め合い公差が大きいが、部分領域42における熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面とによって構成される構造もまた上記「印籠構造」に該当すると言うことができる。
更に、図1の(d)に示した例における階段状の嵌合面40の部分領域43においては、熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面とが、配線基板10の主面に垂直な厚み方向において、互いに対向している。これにより、配線基板における基材に対する熱伝導性部材の位置を当該配線基板の主面に垂直な厚み方向においても、より確実に定めることができる。
加えて、本実施態様においては、前記嵌合面の前記段差よりも前記一方の主面に近い側の領域及び前記嵌合面の前記段差よりも前記他方の主面に近い側の領域のうち何れか一方の領域においてのみ、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している。例えば、図1の(d)に示した例においては、嵌合面40の段差よりも下側の主面に近い側の領域(部分領域41)においてのみ、熱伝導性部材20と基材30が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している。これにより、上述したように圧入荷重を低減することができ、圧入時に嵌合面に作用する応力も低減される。その結果、圧入に伴う基材の亀裂及び/又は白化等の品質不良も低減される。即ち、この場合もまた、上述した問題(X)及び(Y)が軽減される。
ところで、本発明者は、鋭意研究の結果、炭化水素又は炭素の同素体からなる非晶質炭素膜を嵌合面における熱伝導性部材と基材との間に介在させることにより、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の摩擦係数を低減することができることを見出した。圧入時の摩擦係数を低減する観点からは、嵌合面のうち少なくとも熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域に非晶質炭素膜を形成することが好ましい。更に、上記非晶質炭素膜を構成する材料としては、種々の非晶質炭素系材料を使用することができる。具体的には、上記非晶質炭素膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜であることが好ましい。
そこで、本発明のもう1つの好ましい実施態様に係る配線基板において、前記嵌合面のうち少なくとも前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。これにより、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の摩擦係数を低減することができるので、圧入荷重の低減に起因する製造コストの削減という効果が期待される。
尚、ダイヤモンドライクカーボン膜は、例えば、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)及びスパッタリング及び蒸着法等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)等の薄膜法によって成膜することができる。一般に、軟質のダイヤモンドライクカーボン膜は例えばプラズマCVD等のCVDによって成膜することができ、硬質のダイヤモンドライクカーボン膜は例えばイオンプレーティング及び真空蒸着法等のPVDによって成膜することができる。
ところで、上記のように、嵌合面における熱伝導性部材と基材との間に非晶質炭素膜(例えば、ダイヤモンドライクカーボン膜)を介在させることにより、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の摩擦係数を低減することができる。従って、例えば、図5に示した従来技術に係る配線基板のように2つの主面における熱伝導部材の面積が等しく且つ嵌合面の全体において熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している配線基板においても、熱伝導性部材と基材との間に非晶質炭素膜を介在させることにより、上述した問題(X)及び(Y)を軽減することができる。
また、この場合も、上記のように基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入の前に嵌合面における熱伝導性部材と基材との間(具体的には、熱伝導性部材及び/又は基材の嵌合面となる表面領域)に非晶質炭素膜(例えば、ダイヤモンドライクカーボン膜)を予め形成するからには、基材が有する開口部及び熱伝導性部材は圧入の前に形成されている必要がある。
従って、上述したように、熱伝導性部材を様々な形態の素材から作ることができるので、基板の製造に使用されずに廃棄される材料を低減することができる。また、配線基板の製造工程としては、このようにして予め作られた熱伝導性部材を、基材に予め形成された開口部に圧入して嵌合させる工程となるので、製造工程が簡潔である。
即ち、本発明の第2実施態様に係る配線基板(以降、「第2基板」と称呼される場合がある。)は、上述してきた本発明の各種実施態様に係る配線基板と同様に、「貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材」と、「前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材」と、を含んでなる配線基板である。
加えて、第2基板においては、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合しており、且つ、前記前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面との嵌合面にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。
上記のように、第2基板は、第1基板のように配線基板の一方の主面における熱伝導性部材の第1の面積が他方の主面における熱伝導性部材の第2の面積よりも大きいことを構成要件としない。その結果、第2基板においては、第1基板のように配線基板における基材に対する熱伝導性部材の位置が当該配線基板の主面に平行な面内方向のみならず同主面に垂直な厚み方向においても一意に定まる訳ではない。即ち、第2基板によっては、上述した問題(Z)は軽減されない。
しかしながら、上述した問題(Z)以外の問題については、第2基板によっても軽減することができる。即ち、第2基板によっても、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減することが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供することができる。加えて、複雑な工程を必要とすること無く、材料の無駄を省くこともできる。
尚、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板及び第2基板において、これらの配線基板としての機能の妨げとならない限り、熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域以外の熱伝導性部材の表面にもダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていてもよい。具体的には、例えば、回路素子(例えば、トランジスタ等の半導体素子等)が搭載される領域等、ダイヤモンドライクカーボン膜の存在が望ましくない領域を除く熱伝導性部材の表面にダイヤモンドライクカーボン膜が連続的に形成されていてもよい。
ところで、本発明者は、更なる研究の結果、上述した非晶質炭素膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)を熱伝導性部材と他の部材(例えば、アルミニウム製ヒートシンク等の放熱部材)との間に介在させることにより、熱伝導性部材と他の部材との密着性が高まり、熱伝導性部材から他の部材への熱伝導性を高めることができることを見出した。
そこで、上述したダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板又は第2基板において、配線基板の2つの主面のうちの少なくとも一方の主面において露出している熱伝導性部材の表面にもダイヤモンドライクカーボン膜を形成しておけば、この表面に接触するように放熱部品を配設することにより、配線基板全体としての放熱性を更に高めることができる。
この場合、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板又は第2基板において、放熱部材を更に備え、前記配線基板の2つの主面のうちの少なくとも一方の主面において露出している前記熱伝導性部材の露出面にも前記ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、前記露出面に形成された前記ダイヤモンドライクカーボン膜を介して前記熱伝導性部材と前記放熱部材とが熱伝導可能に接触するように構成されている。
尚、上述したように、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板及び第2基板においては、これらの配線基板としての機能の妨げとならない限り、熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域以外の熱伝導性部材の表面にもダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていてもよい。従って、熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と上記のように配線基板の主面における熱伝導性部材の露出面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜とが連続的に形成されていてもよい。
ところで、上記ダイヤモンドライクカーボン膜の少なくとも熱伝導性部材と接触する部分の硬度が過度に高い場合、当該ダイヤモンドライクカーボン膜と熱伝導性部材との密着性が低下する。その結果、圧入時にダイヤモンドライクカーボン膜が剥離したり熱伝導性部材から隣接する他の部材への熱伝導が悪化したりする虞がある。一方、上記ダイヤモンドライクカーボン膜の硬度が過度に低い場合、例えば、製造工程におけるダイヤモンドライクカーボン膜のハンドリング性が低下し、配線基板の製造効率及び/又は品質に悪影響を及ぼす虞がある。
そこで、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板又は第2基板において、前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第1DLC層を含み、前記第1DLC層が前記熱伝導性部材に接触するように配置されていることが好ましい。上記範囲のビッカース硬度を有する第1DLC層が熱伝導性部材に接触するようにダイヤモンドライクカーボン膜を構成することにより、上記問題を回避することができる。
ところが、本発明者は、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時における熱伝導性部材と基材との摩擦係数を低減するためには、基材と同等以上の高いビッカース硬度を有する硬質ダイヤモンドライクカーボンからなる層を上記ダイヤモンドライクカーボン膜が備えることが好ましいことを見出した。
そこで、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板又は第2基板において、前記嵌合面のうち少なくとも前記締まり嵌めに該当する領域において前記熱伝導性部材と前記基材との間に形成されている前記ダイヤモンドライクカーボン膜が1000HV以上且つ3000HV未満のビッカース硬度を有する硬質ダイヤモンドライクカーボンからなる第2DLC層を更に含み、前記第1DLC層が前記第2DLC層と前記熱伝導性部材との間に配置されていることが好ましい。これにより、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の摩擦係数を低減することができるので、圧入荷重を低減することができる。
尚、ダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板及び第2基板において、これらの配線基板としての機能の妨げとならない限り、熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域以外の熱伝導性部材の表面にも、上記第2DLC層を含むダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていてもよい。例えば、熱伝導性部材と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域及び熱伝導部材と放熱部材との接合面の両方において、ダイヤモンドライクカーボン膜が第1DLC層及び第2DLC層を含んでいてもよく、これらの領域及び接合面を含む連続的な領域に第1DLC層及び第2DLC層を含む(2層構造を有する)ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていてもよい。
ところで、上述したように、ダイヤモンドライクカーボン膜と他の部材との密着性を向上させる観点からは、少なくとも他の部材と接触する部分におけるダイヤモンドライクカーボン膜の硬度は低いことが好ましい。従って、高いビッカース硬度を有する第2DLC層をダイヤモンドライクカーボン膜が含む場合、この第2DLC層が他の部材(例えば、放熱部材)と直接接触する構成においては、ダイヤモンドライクカーボン膜と他の部材との密着性が不十分となる虞がある。このような場合、低いビッカース硬度を有する第3のDLC層を更に設け、この第3のDLC層と第1DLC層との間に第2DLC層を介在させる(挟む)ことが好ましい。
そこで、第2DLC層を含むダイヤモンドライクカーボン膜を備える第1基板又は第2基板において、前記第2DLC層を含む前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第3DLC層を更に含み、前記第2DLC層が前記第1DLC層と前記第3DLC層との間に配置されていることが好ましい。これにより、高いビッカース硬度を有する第2DLC層をダイヤモンドライクカーボン膜が含む場合であっても、当該ダイヤモンドライクカーボン膜と他の部材との密着性を確保し、当該配線基板に所望の性能(例えば、放熱性)を発揮させることができる。
ところで、上述したように、本発明に係る配線基板によれば、基材が有する開口部への熱伝導部材の圧入荷重が低減されるので、圧入に起因する基材の亀裂及び/又は白化等の品質不良は低減される。しかしながら、このような品質不良をより確実に低減するためには、圧入時の応力集中をできる限り防止することが好ましい。
上記のような観点から、熱伝導性部材の形状は鋭利な角部を有していないことが好ましい。従って、例えば、本発明に係る配線基板の主面に平行な平面による熱伝導性部材の断面形状が多角形(例えば、四角形)である場合、当該多角形の角部は(例えば、R2.0mmにて)面取りされていることが好ましい。より好ましくは、上記平面による熱伝導性部材の断面形状は円形又は楕円形である。
上記によれば、圧入時における熱伝導性部材の角部への応力集中を有効に防止することができるので、圧入に起因する基材の品質不良をより確実に低減することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下に図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
(実施形態1)
<製造方法>
添付図面を参照しながら、本発明に係る配線基板の製造方法について以下に説明する。図2は、本発明の1つの実施形態に係る配線基板の製造方法を説明する模式的なフローチャートである。
<製造方法>
添付図面を参照しながら、本発明に係る配線基板の製造方法について以下に説明する。図2は、本発明の1つの実施形態に係る配線基板の製造方法を説明する模式的なフローチャートである。
先ず、ステップS1において、熱伝導部材20としての厚銅部材を、後述する基板30とは別個に製作する。本例においては、直径30mmの円柱状の銅製の棒材を切削して直径20mmの小径部分を同心円状に作り、直径30mmの大径部分と直径20mmの小径部分とを含むように当該棒材を切断した。これにより、大小2つの円板が重なった形状を有する階段状の熱伝導部材20を製作した。
次に、ステップS2において、熱伝導部材20の底面(図2における下側に向いている面)及び小径部分の側面にダイヤモンドライクカーボン膜50を成膜した。本例においては、ダイヤモンドライクカーボン膜50を構成するDLC層のうち、軟質ダイヤモンドライクカーボンからなるDLC層はプラズマCVDによって成膜し、硬質ダイヤモンドライクカーボンからなるDLC層はイオンプレーティングによって成膜した。
一方、上記ステップS1及びS2とは別個に、ステップS3において、ガラスエポキシ樹脂を基材30とする基板を製作した。詳しくは後述するように、基材30の表面には基板上の銅配線31を配設し、基材30の内部には基板内の銅配線32を配設した。更に、基板の中央部には、熱伝導部材20の形状に合わせた開口部(穴)を形成した。即ち、熱伝導部材20の小径部分と基板の穴(基材30が有する開口部の内周面)とが印籠構造を構成するようにした。加えて、本例においては、図2に示すように、熱伝導部材20と基材30との嵌合面に段差が形成されている。これにより、基板10における基材30に対する熱伝導性部材20の位置が、基板10の主面に平行な面内方向のみならず同主面に垂直な厚み方向においても一意に定めることができた。
そして、ステップS4において、上記のようにして製作した基板(の基材30が有する開口部)に熱伝導部材20を圧入し、基板10とした。本例においては、ダイヤモンドライクカーボン膜50が成膜されている熱伝導部材20の小径部分の側面と基材が有する開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合し、ダイヤモンドライクカーボン膜50が成膜されていない熱伝導部材20の大径部分の側面と基材が有する開口部の内周面とは隙間嵌めによって嵌合するように構成した。
更に、本例においては、ステップS5において、基板10の上面(熱伝導部材20の大径部分側)の主面上に銅めっき33を施した。
<モジュール>
上記のようにして製作された基板10の上面には接合剤61を介して回路素子60としてトランジスタを搭載し、下面には放熱部材34としてアルミニウム製のヒートシンクを搭載した。当該モジュールの上面図(平面図)を図3に示す。図3に示すように、基板10の上面には、めっき層33が形成されており、熱伝導部材20は直接的には見えないので、破線の円によって熱伝導部材20の大径部分及び小径部分を示した。回路素子60は10mm四方の大きさを有するトランジスタであり、熱伝導部材20の中央付近に接合剤61を介して搭載した。
上記のようにして製作された基板10の上面には接合剤61を介して回路素子60としてトランジスタを搭載し、下面には放熱部材34としてアルミニウム製のヒートシンクを搭載した。当該モジュールの上面図(平面図)を図3に示す。図3に示すように、基板10の上面には、めっき層33が形成されており、熱伝導部材20は直接的には見えないので、破線の円によって熱伝導部材20の大径部分及び小径部分を示した。回路素子60は10mm四方の大きさを有するトランジスタであり、熱伝導部材20の中央付近に接合剤61を介して搭載した。
次に、図3中に示した線A−A’を含む平面による基板10を含む上記モジュールの断面図を図4に示す。本例においては、階段状の段差が形成された熱伝導性部材20と基材30との嵌合面40において、基板10の下面側(熱伝導性部材20の小径部分側)は締まり嵌め領域21とし、基板10の上面側(熱伝導性部材20の大径部分側)は隙間嵌め領域22とした。
更に、図4中に示した破線の四角形によって囲まれた部分の拡大図を図4の右下に示す。本例においては、熱伝導部材20側から順に、軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第1DLC層51、硬質ダイヤモンドライクカーボンからなる第2DLC層52及び軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第3DLC層53を含む3層構造を有するダイヤモンドライクカーボン膜50を熱伝導部材20の下面側及び小径部分の側面に成膜した。
尚、最外層である第3DLC層53は、熱伝導部材20の圧入時に基材30との摩擦により相当量が削れてしまったが、完全に除去されはしなかった。更に、圧入時の熱伝導部材20と基材30との摩擦係数は第2DLC層52によって低減され、圧入荷重が有効に低減された。加えて、熱伝導部材20の小径部分の下面にもダイヤモンドライクカーボン膜50を形成したことにより、基板10と放熱部材34とを(例えばネジ留めによって)密着させたときに、軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第1DLC層51及び第3DLC層53が適度に潰れ、熱伝導部材20と放熱部材34との密着性が高まった。これにより、熱伝導部材20から放熱部材34への熱伝導性が高まり、結果として基板10全体としての放熱性が向上した。
上記のような本発明の効果につき、本発明の種々の実施態様に係る種々の構成を有する実施例及び従来技術に係る配線基板に相当する比較例を用いて、より詳細に検証した結果につき、以下に詳しく説明する。
上述したようにして、以下の表1に列挙する実施例1乃至5及び比較例1に係る各種配線基板のサンプルを製作し、熱伝導部材の圧入荷重及び熱伝導部材から放熱部材への熱伝導性につき、それぞれ評価した。評価結果についても以下の表1に併せて列挙する。
表1に列挙した評価結果につき、サンプル毎に以下に説明する。
(実施例1)
実施例1は嵌合面に段差が形成された印籠構造を有し且つ3層のDLC層を有するダイヤモンドライクカーボン膜を備えるサンプルである。実施例1においては圧入荷重が低く且つ熱伝導性も高いことが確認された。
(実施例2)
実施例2は実施例1から第3DLC層を除いたサンプルである。圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層を備えるので圧入荷重は実施例1と同様に低かったものの、熱伝導性が若干低下した。これは、最外層の軟質DLC層が無いために熱伝導部材(厚銅部材)と放熱部材との密着性が低下したためであると考えられる。
(実施例1)
実施例1は嵌合面に段差が形成された印籠構造を有し且つ3層のDLC層を有するダイヤモンドライクカーボン膜を備えるサンプルである。実施例1においては圧入荷重が低く且つ熱伝導性も高いことが確認された。
(実施例2)
実施例2は実施例1から第3DLC層を除いたサンプルである。圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層を備えるので圧入荷重は実施例1と同様に低かったものの、熱伝導性が若干低下した。これは、最外層の軟質DLC層が無いために熱伝導部材(厚銅部材)と放熱部材との密着性が低下したためであると考えられる。
(実施例3)
実施例3は実施例2から第2DLC層を除いたサンプルである。圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層が無いため圧入荷重が若干増大した。一方、軟質DLC層である第1DLC層が存在するにも拘わらず熱伝導性が若干低下した。これは、第1DLC層により熱伝導部材と放熱部材との密着性は良好であるものの、硬質DLC層に比べて軟質DLC層の熱伝導性が低いことから、全体としての熱伝導性が低下したと考えられる。
(実施例4)
実施例4はダイヤモンドライクカーボン膜を全く備えないサンプルである。従って、熱伝導部材と放熱部材との密着性が悪く、熱伝導性は比較例と同等レベルに留まった。一方、嵌合面に段差が形成された印籠構造は有しており且つ本発明により嵌合面の一部分の領域においてのみ締まり嵌めとなっているため、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっている比較例1と比較すると、圧入荷重は低かった。
実施例3は実施例2から第2DLC層を除いたサンプルである。圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層が無いため圧入荷重が若干増大した。一方、軟質DLC層である第1DLC層が存在するにも拘わらず熱伝導性が若干低下した。これは、第1DLC層により熱伝導部材と放熱部材との密着性は良好であるものの、硬質DLC層に比べて軟質DLC層の熱伝導性が低いことから、全体としての熱伝導性が低下したと考えられる。
(実施例4)
実施例4はダイヤモンドライクカーボン膜を全く備えないサンプルである。従って、熱伝導部材と放熱部材との密着性が悪く、熱伝導性は比較例と同等レベルに留まった。一方、嵌合面に段差が形成された印籠構造は有しており且つ本発明により嵌合面の一部分の領域においてのみ締まり嵌めとなっているため、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっている比較例1と比較すると、圧入荷重は低かった。
(比較例1)
比較例1は、ダイヤモンドライクカーボン膜を全く備えない上に、嵌合面に段差が形成された印籠構造をも有していないサンプルである。即ち、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっており且つダイヤモンドライクカーボン膜が無ために圧入荷重が高い。加えて、ダイヤモンドライクカーボン膜が無いために熱伝導部材と放熱部材との密着性が悪く、熱伝導性も低い。
(実施例5)
実施例5は、嵌合面に段差が形成された印籠構造を有していないものの、3層のDLC層を有するダイヤモンドライクカーボン膜を備えるサンプルである。従って、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっているにも拘わらず、圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層を備えるので圧入荷重は比較例1よりも低かった。また、熱伝導部材と放熱部材との密着性も良好であり、熱伝導性も高かった。
比較例1は、ダイヤモンドライクカーボン膜を全く備えない上に、嵌合面に段差が形成された印籠構造をも有していないサンプルである。即ち、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっており且つダイヤモンドライクカーボン膜が無ために圧入荷重が高い。加えて、ダイヤモンドライクカーボン膜が無いために熱伝導部材と放熱部材との密着性が悪く、熱伝導性も低い。
(実施例5)
実施例5は、嵌合面に段差が形成された印籠構造を有していないものの、3層のDLC層を有するダイヤモンドライクカーボン膜を備えるサンプルである。従って、嵌合面の全体が締まり嵌めとなっているにも拘わらず、圧入時の摩擦係数の低減に有効な硬質DLC層を備えるので圧入荷重は比較例1よりも低かった。また、熱伝導部材と放熱部材との密着性も良好であり、熱伝導性も高かった。
以上のように、本発明の種々の実施態様に係る配線基板(実施例1乃至5)は、それぞれの構成に応じて、圧入荷重及び熱伝導性の少なくとも何れか一方において、従来技術に係る配線基板(比較例1)に勝る性能を示した。即ち、本発明に係る配線基板によれば、基材が有する開口部への熱伝導性部材の圧入時の荷重を低減すると共に熱伝導性部材の基材に対する位置決めをより容易に行うことが可能な、高い放熱性を有する配線基板を提供することができることが確認された。加えて、前述したように、本発明に係る配線基板によれば、複雑な工程を必要とすること無く、材料の無駄を省くこともできる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
(付記)
尚、本発明においては、以下のような構成を有する実施形態も想定される。
[付記項1]
前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第1DLC層を含み、
前記第1DLC層が前記熱伝導性部材に接触するように配置されている、
配線基板。
尚、本発明においては、以下のような構成を有する実施形態も想定される。
[付記項1]
前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第1DLC層を含み、
前記第1DLC層が前記熱伝導性部材に接触するように配置されている、
配線基板。
[付記項2]
付記項1に記載の配線基板であって、
前記嵌合面のうち少なくとも前記締まり嵌めに該当する領域において前記熱伝導性部材と前記基材との間に形成されている前記ダイヤモンドライクカーボン膜が1000HV以上且つ3000HV未満のビッカース硬度を有する硬質ダイヤモンドライクカーボンからなる第2DLC層を更に含み、
前記第1DLC層が前記第2DLC層と前記熱伝導性部材との間に配置されている、
配線基板。
付記項1に記載の配線基板であって、
前記嵌合面のうち少なくとも前記締まり嵌めに該当する領域において前記熱伝導性部材と前記基材との間に形成されている前記ダイヤモンドライクカーボン膜が1000HV以上且つ3000HV未満のビッカース硬度を有する硬質ダイヤモンドライクカーボンからなる第2DLC層を更に含み、
前記第1DLC層が前記第2DLC層と前記熱伝導性部材との間に配置されている、
配線基板。
[付記項3]
付記項2に記載の配線基板であって、
前記嵌合面のうち少なくとも前記締まり嵌めに該当する領域において前記熱伝導性部材と前記基材との間に形成されている前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第3DLC層を更に含み、
前記第2DLC層が前記第1DLC層と前記第3DLC層との間に配置されている、
配線基板。
付記項2に記載の配線基板であって、
前記嵌合面のうち少なくとも前記締まり嵌めに該当する領域において前記熱伝導性部材と前記基材との間に形成されている前記ダイヤモンドライクカーボン膜が100HV以上且つ600HV未満のビッカース硬度を有する軟質ダイヤモンドライクカーボンからなる第3DLC層を更に含み、
前記第2DLC層が前記第1DLC層と前記第3DLC層との間に配置されている、
配線基板。
10…配線基板、20…熱伝導性部材、21…締まり嵌め領域、22…隙間嵌め領域、30…基材、31…銅配線(基板上)、32…銅配線(基板内)、33…めっき、34…放熱部材、40…嵌合面、41、42及び43…嵌合面の部分領域、150…ダイヤモンドライクカーボン膜、51…第1DLC層(軟質)、52…第2DLC層(硬質)、53…第3DLC層(軟質)、60…回路素子、並びに61…接合部材。
Claims (5)
- 貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材と、
前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材と、
を含んでなる配線基板であって、
前記開口部は、前記配線基板の一方の主面における開口面積が、他方の主面における開口面積よりも大きく、
前記熱伝導性部材は、前記一方の主面における第1の面積が前記他方の主面における第2の面積よりも大きく、
前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面との嵌合面において、前記基材の厚み方向のうちの一部分の領域においてのみ、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している、
配線基板。 - 請求項1に記載の配線基板であって、
前記熱伝導性部材と前記基材との嵌合面に段差が形成された印籠構造となるように構成されており、
前記嵌合面の前記段差よりも前記一方の主面に近い側の領域及び前記嵌合面の前記段差よりも前記他方の主面に近い側の領域のうち何れか一方の領域においてのみ、前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している、
配線基板。 - 請求項1又は2に記載の配線基板であって、
前記嵌合面のうち少なくとも前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合している領域にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている、
配線基板。 - 貫通する開口部を有し、絶縁材料からなる基材と、
前記開口部に挿入され、前記基材を貫通し且つ前記基材と嵌合された良導体からなる熱伝導性部材と、
を含んでなる配線基板であって、
前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面とが締まり嵌めによって嵌合しており、
前記熱伝導性部材と前記開口部の内周面との嵌合面にイヤモンドライクカーボン膜が形成されている、
配線基板。 - 請求項3又は4に記載の配線基板であって、
放熱部材を更に備え、
前記配線基板の2つの主面のうちの少なくとも一方の主面において露出している前記熱伝導性部材の表面にも前記ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、
前記露出面に形成された前記ダイヤモンドライクカーボン膜を介して前記熱伝導性部材と前記放熱部材とが熱伝導可能に接触するように構成されている、
配線基板。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112021007321T5 (de) | 2021-06-02 | 2024-02-29 | Fanuc Corporation | Verfahren zur herstellung eines montageelements mit einem schritt zum einpassen eines vorstehenden teils und eines ausgesparten teils |
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-
2015
- 2015-09-24 JP JP2015186266A patent/JP2017063070A/ja active Pending
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