JP2017060907A - 紫外線硬化型塗料のキュアリング方法 - Google Patents

紫外線硬化型塗料のキュアリング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】後加熱工程を短縮化または省略することができて、良好な塗料硬化層を得ることのできる紫外線硬化型塗料のキュアリング方法を提供すること。【解決手段】紫外線硬化型塗料を塗布した被処理体の表面に、紫外線放射手段からの紫外線を照射する紫外線照射工程を経ることによって当該紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線硬化型塗料のキュアリング方法において、前記紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなり、前記紫外線照射工程において、前記被処理体が加熱され、当該被処理体の温度が制御されることによって一定の温度を維持した状態とされることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線硬化型塗料のキュアリング方法に関する。
紫外線硬化性樹脂は、紫外線を照射することによって硬化する感光材である。このような紫外線硬化性樹脂を硬化する技術は、UVキュアリング技術と称されている。このUVキュアリング技術によれば、例えば、被処理体上に塗布した紫外線硬化性樹脂を硬化することによって乾燥処理すること、および2つの被処理体の間に介在させた紫外線硬化性樹脂を硬化することによって当該2つの被処理体を接着処理することなどができる。
このUVキュアリング技術を利用した処理は、被処理体のサイズにもよるが、紫外線硬化性樹脂を硬化するために要する紫外線照射時間が数秒〜数分間であることから、省エネルギー処理である。また、紫外線を照射することのみによって紫外線硬化性樹脂を硬化することができることから、低温処理でもあるため、耐熱性に乏しいプラスチック、および精密な電子部品などを被処理体とすることもできる。
而して、UVキュアリング技術は、上述のような特徴により、様々な分野で利用されている。
具体的には、例えば、電子部品や光学部品の紫外線硬化性樹脂よりなる接着剤による接着処理、紫外線硬化性樹脂よりなる印刷インキの乾燥処理(定着処理)、並びに自動車部品、電化製品、建材およびプラスチック部品などにおける、紫外線硬化性樹脂よりなる着色用塗料の乾燥処理(例えば、特許文献1参照。)などに利用されている。また、塗料の分野においては、着色用塗料だけではなく、自動車および自動二輪車などの車体における艶出し用コーティング材料(ハードコート材料)の乾燥処理にも適用されている。
紫外線硬化性樹脂からなる紫外線硬化型塗料において、硬化(紫外線硬化)に寄与する主な成分は、光重合開始剤、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーである。
この紫外線硬化型塗料において、紫外線硬化は、例えば以下のような硬化反応(紫外線硬化反応)を経ることによってなされものである。
紫外線硬化型塗料に対して紫外線が照射されると、まず光重合開始剤により紫外線が吸収されることにより、当該光重合開始剤が活性化して、ラジカルまたはイオンが生成される。この生成したラジカルまたはイオンが、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーと反応(重合反応)することにより硬化が生じる。
一方、UVキュアリング技術において、紫外線放射手段としては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプが用いられている。
高圧水銀ランプは、石英ガラス製の発光管の中に、高純度の水銀と希ガスとが封入されてなるものであり、波長365nmを主波長とし、波長254nm、波長303nmおよび波長313nmの紫外線を効率よく放射する。
一方、メタルハライドランプは、発光管の中に、水銀と共に金属ハロゲン化物が封入されてなるものであり、波長200〜400nmの広範囲にわたる光、具体的には紫外線および可視光線を放射する。このメタルハライドランプは、高圧水銀ランプよりも長波長の紫外線の出力が高いものである。
UVキュアリング技術によって紫外線硬化型塗料よりなる塗料硬化層を形成する方法、すなわち紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、通常、図4に示すように、塗布工程、前加熱工程(プリベーク工程)、紫外線照射工程および後加熱工程(アフターベーク工程)をこの順に経ることにより、被処理体上に、紫外線硬化型塗料が硬化されてなる塗料硬化層(例えば、艶出し用コーティング層)が形成される。
具体的に説明すると、先ず、塗布工程においては、図4(a)に示すように、被処理体1の表面(図2(a)における上面)における塗料硬化層2B(図4(d)参照)を形成すべき領域の全域に、紫外線硬化型塗料2を塗布することにより、塗料塗布層2A(図4(b)参照)を形成する。
次いで、前加熱工程においては、図4(b)に示すように、塗布工程において塗料塗布層2Aが形成された被処理体1の表面を加熱する前加熱処理が行われる。
この前加熱工程を経ることにより、塗料塗布層2Aにおいて、当該塗料塗布層2Aを構成する紫外線硬化型塗料2に含有されている溶剤が蒸発される。
また、紫外線照射工程においては、図4(c)に示すように、前加熱工程において加熱された被処理体1の表面(塗料塗布層2A)に対して、紫外線放射手段からの光(紫外線)を照射する紫外線照射処理が行われる。
この紫外線照射工程を経ることにより、塗料塗布層2Aを構成する紫外線硬化型塗料2が紫外線によって硬化され、塗料硬化層2B(図4(d)参照)が形成される。
そして、後加熱工程においては、図4(d)に示すように、紫外線照射工程において塗料硬化層2Bが形成された被処理体1の表面を加熱する後加熱処理が行われる。
この後加熱工程を経ることにより、塗料硬化層2Bが強固なものとされ、実用上必要とされる十分な耐摩耗性および耐候性を有するものとなる。
図4においては、加熱雰囲気が実線矢印によって示されており、また紫外線放射手段からの光が白抜き矢印によって示されている。
特開2001−340799号公報
このような紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線照射工程に要する時間(具体的には、紫外線照射時間)が数秒〜数分間であるのに対し、後加熱工程に要する時間(具体的には、加熱時間)は10〜20分間と長時間である。
また、後加熱工程において、被処理体に対する後加熱処理は、一般に、当該被処理体を電気炉内に配置すること、および当該被処理体に熱風を吹きつけることなどによって行われる。そのため、後加熱処理における消費電力が大きく、高コストとなる。従って、後加熱工程をできるだけ短時間で行いたい、との要請がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、後加熱工程を短縮化または省略することができて、良好な塗料硬化層を得ることのできる紫外線硬化型塗料のキュアリング方法を提供することにある。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法は、紫外線硬化型塗料を塗布した被処理体の表面に、紫外線放射手段からの紫外線を照射する紫外線照射工程を経ることによって当該紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線硬化型塗料のキュアリング方法において、
前記紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなり、
前記紫外線照射工程において、前記被処理体が加熱され、当該被処理体の温度が制御されることによって一定の温度を維持した状態とされることを特徴とする。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、前記紫外線照射工程を経由した被処理体を後加熱処理する後加熱工程を有することが好ましい。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、前記紫外線照射工程において、被処理体が、前記紫外線硬化型塗料に紫外線か照射されることによって得られる硬化物のガラス転移温度よりも低い温度を維持した状態とされることが好ましい。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、前記紫外線放射手段を構成する非熱線放射型光源は、希ガス蛍光ランプまたはLED素子よりなるものであることが好ましい。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなり、熱線(赤外線)を放射するものでないことから、紫外線放射手段からの光が照射されることに起因して、被処理体が加熱されることがない。そのため、紫外線照射工程において、被処理体を加熱して当該被処理体の温度制御を容易に行うことができ、当該被処理体を、一定の温度を維持した状態とすることができる。その結果、紫外線照射工程において、被処理体自体および形成される紫外線硬化型塗料よりなる塗料硬化層において熱劣化が生じるという弊害を伴うことなく、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる。
従って、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法によれば、後加熱工程を短縮化または省略することができて、良好な塗料硬化層を得ることができる。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法のキュアリング工程の一例を示す説明図である。 本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法を実施するためのキュアリング装置の構成の一例を、表面に塗料塗布層が形成された被処理体と共に示す説明図である。 実験例において用いた紫外線硬化型塗料を構成する光重合開始剤の吸収スペクトル分布と、当該実験例において用いた希ガス蛍光ランプおよびメタルハライドランプの発光スペクトル分布とを共に示すグラブである。 従来の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法のキュアリング工程の一例を示す説明図である。
以下、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法の実施の形態について説明する。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法は、例えば、必要に応じて下地となる着色層が形成された被処理体上に、艶出し用コーティング材料(ハードコート材料)として紫外線硬化型塗料を用い、その紫外線硬化型塗料よりなる塗料硬化層、すなわち艶出し用コーティング層(ハードコート層)を形成する方法である。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法に用いられる紫外線硬化型塗料は、紫外線が照射されることによって硬化(紫外線硬化)するものであり、紫外線硬化に寄与する主な成分として、光重合開始剤、重合性モノマーおよび重合性オリゴマーを含有し、また必要に応じて溶剤および使用用途等に応じた添加剤が含有されたものである。また、紫外線硬化型塗料が艶出し用コーティング材料として用いられる場合には、当該紫外線硬化型塗料を構成する光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーとして、通常、無色透明性の重合体(硬化体)を形成するものが用いられる。このような紫外線硬化型塗料は、照射された紫外線が光重合開始剤に吸収されることによって当該光重合開始剤が活性化してラジカルまたはイオンが生成され、そのラジカルまたはイオンが、重合性モノマーおよび重合性オリゴマーと反応することによって重合反応(硬化反応)が生じることにより、紫外線硬化する。
この紫外線硬化型塗料よりなる塗料硬化層は、当該紫外線硬化型塗料が艶出し用コーティング材料として用いられる場合には、通常、無色(無色透明)のものとされるが、当該紫外線硬化型塗料の使用用途によっては、有色(具体的には、有色透明または有色不透明)のものであってもよい。
また、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法に適用される被処理体は、紫外線硬化型塗料を塗布することのできる形状であれば、如何なる形状を有するものであってもよい。この被処理体は、金属材料および樹脂材料などからなる基体よりなるものであってもよいが、基体の表面に、例えば着色用塗料などによって着色層が形成されたものであってもよい。
この本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法は、紫外線硬化型塗料が塗布された被処理体の表面に、紫外線放射手段からの光(紫外線)を照射する紫外線照射工程を経ることにより、当該紫外線硬化型塗料を硬化させるものである。そして、紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなるものであること、および紫外線照射工程において、紫外線硬化型塗料が塗布されることによって表面に塗料塗布層が形成された被処理体を、一定の温度(設定温度)を維持した状態に加熱処理することを特徴とする。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法において、紫外線放射手段を構成する非熱線放射型光源は、紫外線を放射し、熱線(赤外線)を放射することのないものである。
紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなるものであることにより、紫外線照射工程において、被処理体に熱線(赤外線)が照射されることによって当該被処理体が加熱されることがない。そのため、被処理体を一定の温度を維持した状態となるように加熱処理するための加熱機構の設計の自由度が大きくなることから、被処理体を、紫外線放射手段とは別個に設けられた加熱手段を用いて加熱することにより、被処理体の温度制御を容易に行うことができる。
そして、非熱線放射型光源は、希ガス蛍光ランプまたはLED素子よりなるものであることが好ましい。
ここに、「希ガス蛍光ランプ」とは、例えば、両端に封止部が形成された、石英ガラスなどの透光性を有する誘電体材料よりなる筒状の発光管を有し、この発光管の内部に、キセノン、アルゴンおよびクリプトンなどの希ガスが封入され、当該発光管の内周面に蛍光体層が形成されたものである。そして、発光管の外周面には、一対の外部電極が、当該発光管の管軸方向に沿って互いに離間して設けられている。このような希ガス蛍光ランプにおいては、一対の外部電極に対して高周波電圧を印加することにより、誘電体(石英ガラスよりなる発光管の管壁)が介在された状態の一対の外部電極の間において放電が形成される。その結果、発光管の内部において希ガスエキシマ分子が形成され、この希ガスエキシマ分子が基底状態に遷移する際、エキシマ光が放出される。このエキシマ光により蛍光体層を構成する蛍光体が励起され、当該蛍光体層から紫外線が発生し、その光が発光管の外部に向かって放射される。
また、非熱線放射型光源がLED素子よりなるものである場合には、当該非熱線放射型光源は、例えば、複数のLED素子が、放熱基板上に適宜に配列されてなる構成を有するものとされる。
紫外線放射手段を構成する非熱線放射型光源が希ガス蛍光ランプまたはLED素子よりなることにより、当該紫外線放射手段を、紫外線以外の光を放射することのないものとすることができ、更には、紫外線硬化型塗料の種類(感度波長特性)に応じた所期の光を放射するものとすることができる。その理由は、希ガス蛍光ランプが、希ガスおよび蛍光体層を構成する蛍光体を適宜選択することによって放射光(発光スペクトル分布)を制御することができるものであり、また、LED素子が、構成材料(具体的には、半導体材料および必要に応じて用いられる蛍光塗料等)を適宜選択すること、または異なるピーク波長を有する複数種類のLED素子を適宜選択して組み合わせることによって放射光(発光スペクトル分布)を制御することのできるものだからである。
そして、紫外線放射手段が紫外線以外の光を放射することのないものであることによれば、紫外線照射工程において、紫外線放射手段からの光を高い効率で利用することができる。そのため、紫外線硬化反応を実用的な速度で進行させることができることから、極めて長時間を要することなく塗料硬化層を形成することができる。
また、紫外線放射手段が紫外線硬化型塗料の種類に応じた所期の光を放射するものであることによれば、紫外線放射手段からの光をより一層高い効率で利用することができるため、紫外線照射工程において、工程時間の短縮化を図ることができる。
紫外線放射手段としては、紫外線硬化型塗料の種類(感度波長特性)に応じて適宜のものが用いられるが、紫外線放射手段を構成する希ガス蛍光ランプの具体例としては、図3における曲線(a)に示すような発光スペクトル分布を有する光を放射するものなどが挙げられる。
また、紫外線放射手段を構成するLED素子の具体例としては、中心波長が280nm、300nm、310nm、325nm、340nmなどであるものが挙げられる。
また、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線照射工程において、被処理体が加熱され、当該被処理体の温度が制御されることによって一定の温度(設定温度)を維持した状態とされる。すなわち、被処理体に対して紫外線照射が行われている間には、その紫外線照射実施中において、被処理体は、一定の温度を維持した状態となるように加熱処理される。
紫外線照射工程において、被処理体が加熱され、当該被処理体の温度が制御されることによって一定の温度を維持した状態とされることにより、被処理体が過熱されることによって被処理体自体および得られる塗料硬化層において熱劣化が生じるという弊害を伴うことなく、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる。そのため、紫外線照射工程において得られる塗料硬化層を、耐摩耗性および耐候性を有するものとすることができる。その結果、後加熱工程に要する時間を短縮することができる。また、特に、紫外線照射工程において得られる塗料硬化層が、実用上必要とされる十分な耐摩耗性および耐候性を有するものである場合には、後加熱工程を省略することができる。すなわち、後加熱工程を経ることなしに、塗料硬化層を得ることができる。
被処理体を加熱処理しつつ、紫外線を照射することにより、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる理由は、定かではないが、以下のように推測される。
紫外線の作用による重合反応(紫外線硬化反応)の進行中において、被処理体(塗料塗布層)が加熱されることにより、その重合反応の高速化が図られること、熱の作用によって重合反応(熱硬化反応)が生じ、場合によっては、紫外線の作用による重合反応と熱の作用による重合反応とが相乗的に進行することなどにより、紫外線硬化型塗料の硬化反応が促進されるためであると推測される。
また、被処理体が一定の温度を維持した状態に加熱処理されることによれば、被処理体が、塗料硬化層を形成すべき領域において紫外線放射手段からの光(紫外線)が照射されにくい部分を有する形状のものである場合であっても、紫外線照射工程において所期の塗料硬化層を形成することができる。
具体的に説明すると、被処理体の表面が平面形状でない場合には、その被処理体の形状によっては、塗料塗布層に、紫外線放射手段からの光(紫外線)が十分に照射されず、紫外線硬化型塗料の硬化が不十分となる部分がある。然るに、被処理体を加熱しつつ紫外線を照射することによれば、熱の作用による重合反応が生じることにより、紫外線が十分に照射されない部分においても、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる。
また、形成すべき塗料硬化層が、50μm以上の厚みの大きいものである場合であっても、所期の塗料硬化層を形成することができる。
具体的に説明すると、厚みの大きな塗料硬化層を形成するためには、塗料塗布層の厚みを大きくする必要がある。そして、塗料塗布層の厚みが大きい場合には、紫外線放射手段からの光(紫外線)が当該塗料塗布層の最下面まで到達しないおそれがある。すなわち、塗料塗布層の表面(最上面)に照射された紫外線は、最下面に向かって進行する過程において紫外線硬化型塗料に吸収されることから、最下面に到達する以前に全てが吸収されてしまうおそれがある。そのため、単に紫外線放射手段からの光(紫外線)を照射しただけでは、紫外線が到達することのなかった紫外線硬化型塗料層の深層部分においては紫外線硬化型塗料の硬化が不十分となる。然るに、被処理体を加熱しつつ紫外線を照射することによれば、熱の作用による重合反応が生じることにより、紫外線が十分に照射されない深層部分においても、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる。
この紫外線照射工程において、被処理体の温度、具体的には被処理体の表面(塗料塗布層)の温度は、用いる紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度より低い温度、すなわち得られる塗料硬化層に変形および変質(変色)が生じる温度未満であることが好ましい。
紫外線照射工程において、被処理体の温度が紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度より低い温度を維持した状態とされることにより、得られる塗料硬化層に変形および変質(変色)が生じることを防止できる。
ここに、紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度は、その紫外線硬化型塗料の種類(紫外線硬化型塗料の組成)によって異なるものであることから、実験等によって予め確認しておく必要がある。
このような紫外線照射工程においては、被処理体は紫外線放射手段とは別個に設けられた加熱手段を有する加熱機構によって加熱処理される。
加熱機構は、例えば、ホットプレートなどの加熱手段と、被処理体の温度を測定する温度測定手段と、当該温度測定手段によって測定される被処理体の温度が設定温度となるよう、当該加熱手段に対する電力供給を制御する制御手段とによって構成されてなるものである。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法の具体例としては、後述する、第1のキュアリング方法および第2のキュアリング方法が挙げられる。
第1のキュアリング方法および第2のキュアリング方法のいずれの方法を利用するのかは、被処理体の形状、形成すべき塗料硬化層の厚み、および塗料硬化層の形成に利用することのできる時間などに応じ、紫外線硬化型塗料の種類および紫外線放射手段の種類を考慮して、適宜選択される。
〔第1のキュアリング方法〕
第1のキュアリング方法は、下記の(1−1)〜(1−3)の工程を経るものである。
(1−1)被処理体の表面に紫外線硬化型塗料を塗布する塗布工程
(1−2)塗布工程を経由した被処理体の表面を前加熱処理する前加熱工程
(1−3)前加熱工程を経由した被処理体の表面を加熱処理しつつ、当該被処理体の表面に紫外線放射手段からの紫外線を照射する紫外線照射工程
この第1のキュアリング方法においては、先ず、被処理体と紫外線硬化型塗料とを用意する。そして、用意した紫外線硬化型塗料について、硬化物のガラス転移温度を確認する。
また、紫外線放射手段として、用意した紫外線硬化型塗料の感度波長特性(吸収スペクトル)に応じた発光特性(発光スペクトル分布)を有するものを用意する。
(塗布工程)
塗料塗布工程においては、図1(a)に示すように、被処理体1の表面(図1(a)における上面)における塗料硬化層2B(図1(d)参照)を形成すべき領域の全域に、紫外線硬化型塗料2を塗布することにより、塗料塗布層2A(図1(b)参照)を形成する。
この塗布工程において、紫外線硬化型塗料2の塗布量は、形成すべき塗料硬化層2Bの厚み、および紫外線硬化型塗料2の種類などに応じて適宜の量とされる。
(前加熱工程(プリベーク工程))
前加熱工程においては、図1(b)に示すように、大気雰囲気下において、塗布工程において塗料塗布層2Aが形成された被処理体1の表面を加熱する前加熱処理を行う。
この前加熱工程を経ることにより、塗料塗布層2Aを構成する紫外線硬化型塗料2が溶剤を含有するものである場合には、当該塗料塗布層2Aから紫外線硬化型塗料2に含有されている溶剤が蒸発する。すなわち、前加熱工程においては、塗料塗布層2Aに対して溶剤除去処理が行われる。
図1(b)においては、加熱雰囲気が実線矢印によって示されている。
前加熱工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の加熱条件は、当該被処理体1の構成材料、紫外線硬化型塗料2の種類、および塗料塗布層2Aの厚みなどに応じて適宜設定される。
具体的な加熱条件を挙げると、加熱温度は80℃であり、加熱時間は10分間である。
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程においては、図1(c)に示すように、大気雰囲気下において、前加熱工程において加熱された、塗料塗布層2Aが形成された被処理体1の表面に、紫外線放射手段からの光(紫外線)を照射すると共に、当該被処理体1の表面を加熱処理する。この加熱処理中においては、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の温度が制御されることによって一定の温度(具体的には、例えば紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度より低い温度)を維持した状態とされる。
この紫外線照射工程を経ることにより、溶剤除去処理がなされた塗料塗布層2Aにおいて、紫外線硬化型塗料2が硬化されて、紫外線硬化型塗料2よりなる塗料硬化層2B(図1(d)参照)が形成されて、その塗料硬化2B層が強固なものとされ、必要とされる十分な耐摩耗性および耐候性を有するものとなる。すなわち、紫外線照射工程においては、紫外線硬化型塗料2の硬化処理および塗料硬化層2Bの強固化処理が行われる。
図1(c)においては、加熱雰囲気が実線矢印によって示されており、また紫外線放射手段からの光が白抜き矢印によって示されている。
紫外線照射工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)に照射される紫外線の照度は、例えば10mW/cm2 である。
紫外線照射工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の温度(設定温度)、すなわち被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の加熱温度は、当該被処理体1の構成材料および紫外線硬化型塗料2の種類などに応じて適宜設定されるが、前述のように、紫外線硬化型塗料2の硬化物のガラス転移温度より低い温度、すなわち得られる塗料硬化層2Bに変形および変質(変色)が生じる温度未満であることが好ましい。
また、紫外線照射工程に要する時間、具体的には、被処理体1の表面(塗料塗布層2B)に対する紫外線照射時間および加熱時間は、当該被処理体1の構成材料、紫外線硬化型塗料2の種類、塗料塗布層2Aの厚み、および紫外線放射手段の種類などに応じて適宜設定されるが、例えば8.5分間である。
〔第2のキュアリング方法〕
第2のキュアリング方法は、第1のキュアリング方法において、紫外線照射工程を経由した被処理体の表面を後加熱処理する後加熱工程を有すること以外は、当該第1のキュアリング方法と同様の工程を有するものである。すなわち、第2のキュアリング方法は、下記の(2−1)〜(2−4)の工程を経るものである。
(2−1)被処理体の表面に紫外線硬化型塗料を塗布する塗料塗布工程
(2−2)塗料塗布工程を経由した被処理体の表面を前加熱処理する前加熱工程
(2−3)前加熱工程を経由した被処理体の表面を加熱処理しつつ、当該被処理体の表面に紫外線放射手段からの紫外線を照射する紫外線照射工程
(2−4)紫外線照射工程を経由した被処理体を後加熱処理する後加熱工程
この第2のキュアリング方法においては、第1のキュアリング方法と同様に、先ず、被処理体と紫外線硬化型塗料とを用意する。そして、用意した紫外線硬化型塗料について、硬化物のガラス転移温度を確認する。
また、紫外線放射手段として、用意した紫外線硬化型塗料の感度波長特性(吸収スペクトル)に応じた発光特性(発光スペクトル分布)を有するものを用意する。
(塗布工程)
塗布工程においては、図1(a)に示すように、被処理体1の表面における塗料硬化層2B(図1(d)参照)を形成すべき領域の全域に、紫外線硬化型塗料2を塗布することにより、塗料塗布層2A(図1(b)参照)を形成する。
この塗布工程において、紫外線硬化型塗料2の塗布量は、形成すべき塗料硬化層2Bの厚み、および紫外線硬化型塗料2の種類などに応じて適宜の量とされる。
(前加熱工程(プリベーク工程))
前加熱工程においては、図1(b)に示すように、大気雰囲気下において、塗布工程において塗料塗布層2Aが形成された被処理体1の表面を加熱する前加熱処理を行う。
この前加熱工程を経ることにより、塗料塗布層2Aを構成する紫外線硬化型塗料2が溶剤を含有するものである場合には、当該塗料塗布層2Aから紫外線硬化型塗料2に含有されている溶剤が蒸発する。すなわち、前加熱工程においては、塗料塗布層2Aに対して溶剤除去処理が行われる。
前加熱工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の加熱条件は、当該被処理体1の構成材料、紫外線硬化型塗料2の種類、および塗料塗布層2Aの厚みなどに応じて適宜設定される。
具体的な加熱条件を挙げると、加熱温度は80℃であり、加熱時間は10分間である。
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程においては、図1(c)に示すように、大気雰囲気下において、前加熱工程において加熱された、塗料塗布層2Aが形成された被処理体1の表面に、紫外線放射手段からの光(紫外線)を照射すると共に、当該被処理体1の表面を加熱処理する。この加熱処理中においては、被処理体の表面の温度が制御されることによって一定の温度(具体的には、例えば紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度より低い温度)を維持した状態とされる。
この紫外線照射工程を経ることにより、溶剤除去処理がなされた塗料塗布層2Aにおいて紫外線硬化型塗料2が硬化されて、紫外線硬化型塗料2よりなる塗料硬化層2B(図1(d)参照)が形成される。すなわち、紫外線照射工程においては、紫外線硬化型塗料2の硬化処理が行われる。
紫外線照射工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)に照射される紫外線の照度は、例えば15mW/cm2 である。
紫外線照射工程において、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の温度(設定温度)、すなわち被処理体1の表面の加熱温度は、当該被処理体1の構成材料の種類および紫外線硬化型塗料2の種類などに応じて適宜設定されるが、前述のように、紫外線硬化型塗料2の硬化物のガラス転移温度より低い温度、すなわち得られる塗料硬化層2Bに変形および変質(変色)が生じる温度未満であることが好ましい。
また、紫外線照射工程に要する時間、具体的には、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)に対する紫外線照射時間および加熱時間は、当該被処理体1の構成材料、紫外線硬化型塗料2の種類、塗料塗布層2Aの厚み、および紫外線放射手段の種類などに応じて適宜設定されるが、例えば5分間である。
(後加熱工程(アフタベーク工程))
後加熱工程においては、図1(d)に示すように、大気雰囲気下において、紫外線照射工程において塗料硬化層2Bが形成された被処理体1の表面を加熱する後加熱処理を行う。
この後加熱工程を経ることにより、塗料硬化層2Bが強固なものとされ、その結果、当該塗料硬化層2Bが、実用上必要とされる十分な耐摩耗性および耐候性を有するものとなる。
図2(d)においては、加熱雰囲気が実線矢印によって示されており、また紫外線放射手段からの光が白抜き矢印によって示されている。
後加熱工程において、被処理体1の表面(塗料硬化層2B)の加熱条件は、当該被処理体1の構成材料の種類、紫外線硬化型塗料2の種類、および塗料硬化層2Bの厚みなどに応じて適宜設定されるが、紫外線硬化型塗料1の硬化物のガラス転移温度より低い温度、すなわち塗料硬化層2Bに変形および変質(変色)が生じる温度未満であることが好ましい。
具体的な加熱条件を挙げると、加熱温度は100℃であり、加熱時間は10分間である。
このような本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線放射手段として非熱線放射型光源が用いられ、紫外線照射工程において、被処理体が加熱されて一定の温度に維持されている。そのため、紫外線照射工程においては、被処理体自体および形成される塗料硬化層において熱劣化が生じるという弊害を伴うことなく、紫外線の作用と熱の作用とによって、紫外線硬化型塗料を十分に硬化させることができる。その結果、後加熱工程を短縮化または省略することができ、良好な塗料硬化層を得ることができる。
そして、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法によれば、後加熱工程を短縮化または省略することができるため、紫外線硬化型塗料のキュアリングに要する時間の短縮化を図ることができる。
また、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線照射工程において、被処理体の温度を、紫外線硬化型塗料の硬化物のガラス転移温度より低い温度を維持した状態とすることにより、得られる塗料硬化層に変形および変質(変色)が生じることを防止できる。
また、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、紫外線放射手段を構成する非熱線放射型光源を、希ガス蛍光ランプまたはLED素子よりなるものとすることにより、当該紫外線放射手段を、紫外線以外の光を放射することのないもの、更には、紫外線硬化型塗料の種類(感度波長特性)に応じた所期の光を放射するものとすることができる。そのため、紫外線照射工程において、紫外線放射手段からの光を有効に利用することができる。その結果、紫外線硬化型塗料のキュアリングに要する時間の短縮化を図ることができる。
この本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法は、紫外線放射手段と、この紫外線放射手段とは別個に設けられた加熱手段を有する加熱機構とを備えた装置などによって実施することができる。
図2は、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法を実施するためのキュアリング装置の構成の一例を、表面に塗料塗布層が形成された被処理体と共に示す説明図である。
このキュアリング装置10は、前述の第1のキュアリング方法および第2のキュアリング方法のいずれの方法も実施することのできるものである。
キュアリング装置10は、表面に塗料塗布層2Aが形成された被処理体1を載置するためのステージ11と、このステージ11の被処理体載置面11Aに離間した状態で対向配置された紫外線放射手段15とを備えたものである。
ステージ11は、被処理体載置面11Aに載置された被処理体1を加熱するための加熱機構(図示省略)が設けられたものである。加熱機構は、ステージ11に埋設された加熱手段と、被処理体載置面11Aに載置された被処理体1の温度を測定するための温度測定手段と、温度測定手段によって測定された被処理体1の温度(具体的には、被処理体1の表面(塗料塗布層2A)の温度)に基づいて加熱手段に電力を供給する制御手段とを有するものである。この加熱機構においては、制御手段により、温度測定手段によって測定される被処理体1の温度が所定の温度(設定温度)となるように、加熱手段に対する電力供給が制御される。
この図の例において、加熱機構を構成する加熱手段としては、電熱線よりなるヒータが用いられている。
紫外線放射手段15としては、棒状の希ガス蛍光ランプ、または長尺な矩形平板状の放熱基板上に、複数のLED素子が、当該放熱基板の長手方向に沿って配列されてなるLED素子ユニットが用いられる。
この図の例において、紫外線放射手段15としては、棒状の希ガス蛍光ランプが用いられている。
このようなキュアリング装置10においては、表面に塗料塗布層2Aが形成された被処理体1が、当該塗料塗布層2Aが紫外線放射手段15に対向した状態で被処理体載置面11Aに載置される。ここに、被処理体1と紫外線放射手段15との離間距離(照射距離)は、例えば10mmである。そして、先ず、制御手段を介して加熱手段に電力が供給されることにより、被処理体載置面11Aに載置された被処理体1に対して、所期の条件によって前加熱処理が行われる。次いで、被処理体1(塗料塗布層2A)に対して、所期の条件によって紫外線が照射される。この紫外線照射実施中においては、加熱手段に対する電力供給が制御手段によって制御されており、それにより、被処理体1(塗料塗布層2A)は加熱されて一定の温度を維持した状態とされる。更に、必要に応じて、紫外線放射手段15が消灯された後、制御手段を介して加熱手段に電力が供給され、それにより、被処理体1に対して、所期の加熱条件によって後加熱処理が行われる。
このようにして、被処理体1上において、実用上必要とされる十分な耐摩耗性および耐候性を有する塗料硬化層が形成される。
図2においては、加熱雰囲気が破線矢印によって示されており、また紫外線放射手段15からの光が白抜き破線矢印によって示されている。
本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法においては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法を実施するためのキュアリング装置において、加熱機構は、被処理体が存在する空間に熱風を供給し、雰囲気全体温度を上昇させることによって被処理体を温める構成のもの、すなわち温風によって被処理体を加温する構成のものであってもよい。また、加熱機構は、ハロゲンヒータなどによって被処理体を温める構成のもの、すなわち遠赤外線によって被処理体を温める構成のものであってもよい。
以下、本発明の実験例について説明する。
〔実験例1〕
(実験用キュアリング装置)
図2に基づいて、紫外線放射手段(15)として、図3の曲線(a)に示すような発光スペクトル分布を有する、波長320nmにピーク波長を有する希ガス蛍光ランプを備えた実験用キュアリング装置(以下、「キュアリング装置(A)」ともいう。)を作製した。
このキュアリング装置(A)において、ステージ(11)は、縦横寸法が70mm×10mmの矩形平板状の被処理体(1)を載置することのできる縦横寸法の被処理体載置面(11A)を有するものである。
(紫外線硬化型塗料)
光重合開始剤として、図3の曲線(c)に示すような吸収スペクトル分布を有する光重合開始剤を含有する紫外線硬化型塗料(以下、「塗料(1)」ともいう。)を用意した。
この塗料(1)においては、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーとして、無色透明性の重合体(硬化体)を形成するものが用いられている。
(紫外線硬化型塗料のキュアリング方法)
先ず、70mm(縦寸法)×100mm(横寸法)×1.5mm(厚み)の冷間圧延鋼板(SPCC−SD)よりなる被処理体の表面に、塗料(1)を塗布することにより、厚み50μmの塗料塗布層を形成した(塗布工程)。
次いで、塗料(1)の塗料塗布層が形成された被処理体を、当該塗料塗布層が紫外線放射手段と対向するようにキュアリング装置(A)における被処理体載置面に載置し、加熱温度80℃、加熱時間10分間の加熱条件で前加熱処理した(前加熱工程)。
その後、被処理体の温度を100℃に維持するように加熱しつつ、紫外線放射手段を点灯して、当該被処理体の表面(塗料塗布層)に対して、当該紫外線放射手段からの光を、照射距離(被処理体と紫外線放射手段との離間距離)120mm、照射時間8.5分間の照射条件により照射した(紫外線照射工程)。この紫外線照射工程において、波長313nmに感度のピークを有する照度計を用い、被処理体の表面(塗料塗布層の表面)における放射照度を測定したところ、10mW/cm2 であった。また、この紫外線照射工程において、被処理体の表面温度を測定したところ、100℃であった。
このようにして、塗布工程、前加熱工程および紫外線照射工程をこの順に経ることにより、被処理体上に塗料(1)よりなる塗料硬化層が形成された積層体(以下、「積層体(1)」ともいう。)を得た。
(紫外線硬化型塗料よりなる硬化層の評価)
得られた積層体(1)について、下記の手法により、塗料硬化層における紫外線硬化型塗料の硬化状態、および塗料硬化層の品質(塗料硬化層における熱劣化発生の有無)を確認した。結果を下記の表1に示す。
(硬化層における紫外線硬化型塗料の硬化状態の確認方法)
下記の鉛筆硬度試験およびフーリエ変換赤外分光光度計を用いた反応率評価のいずれにおいても合格の判断がくだされた場合に硬化状態が良好であると評価した。
(1)鉛筆硬度試験
芯先を鋭く研げた鉛筆を用いて、その鉛筆を塗料硬化層に対して45°にあて、芯が折れない程度にできる限り強く塗面(塗料硬化層表面)に押し付けながら、塗料硬化層を引っかき、塗料硬化層(塗膜)の破れまたはキリキズが入る鉛筆の硬さを記録し、基準硬さ以上で合格として硬化状態を判断する。
(2)フーリエ変換赤外分光光度計を用いた反応率評価
紫外線硬化塗料の紫外線照射前とそれ以降の工程完了後のカーボン2重結合(炭素−炭素二重結合)の減少が基準値以上で合格として硬化状態を判断する。
(硬化層品質の確認方法)
光源としてキセノンアークランプを用いた促進試験装置内において、水および水蒸気の作用を含めて、促進耐候性試験、または促進耐光性試験によって、塗料硬化層を暴露して膜ハガレ、硬度低下がないかを確認した。
〔実験例2〕
実験例1の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法において、紫外線照射工程における紫外線の照射時間を5分間としたこと、当該紫外線照射工程中に被処理体を加熱しなかったこと、および当該紫外線照射工程後に加熱処理を行ったこと以外は、当該実施例1と同様にして、被処理体に塗料(1)よりなる塗料硬化層が形成された積層体(以下、「積層体(2)」ともいう。)を得た。
すなわち、先ず、70mm(縦寸法)×100mm(横寸法)×1.5mm(厚み)の冷間圧延鋼板(SPCC−SD)よりなる被処理体の表面に、塗料(1)を塗布することにより、厚み50μmの塗料塗布層を形成した(塗布工程)。
次いで、塗料(1)の塗料塗布層が形成された被処理体を、当該塗料塗布層が紫外線放射手段と対向するようにキュアリング装置(A)における被処理体載置面に載置し、加熱温度80℃、加熱時間10分間の加熱条件で前加熱処理した(前加熱工程)。
その後、紫外線放射手段を点灯して、当該紫外線放射手段からの光を、被処理体の表面(塗料塗布層)に対して、照射距離(被処理体と紫外線放射手段との離間距離)100mm、照射時間5分間の照射条件により照射した(紫外線照射工程)。この紫外線照射工程において、波長313nmに感度のピークを有する照度計を用い、被処理体の表面(塗料層の表面)における放射照度を測定したところ、15mW/cm2 であった。また、この紫外線照射工程において、被処理体の表面温度を測定したところ、50℃であった。
更に、その後、被処理体を、加熱温度100℃、加熱時間10分間の加熱条件で後加熱処理した(後加熱工程)。このようにして、塗布工程、前加熱工程、紫外線照射工程および後処理工程をこの順に経ることにより、積層体(2)を得た。
得られた積層体(2)について、実験例1と同様の手法により、塗料硬化層における紫外線硬化型塗料の硬化状態、および塗料硬化層の品質を確認した。結果を下記の表1に示す。
〔実験例3〕
実験例2において、紫外線放射手段として、図3の曲線(b)に示すような発光スペクトル分布を有するメタルハライドランプを用いたこと以外は、当該実施例2と同様にして、被処理体に塗料(1)よりなる塗料硬化層が形成された積層体(以下、「積層体(3)」ともいう。)を得た。
すなわち、先ず、70mm(縦寸法)×100mm(横寸法)×1.5mm(厚み)の冷間圧延鋼板(SPCC−SD)よりなる被処理体の表面に、塗料(1)を塗布することにより、厚み50μmの塗料塗布層を形成した(塗布工程)。
次いで、塗料(1)の塗料塗布層が形成された被処理体を、当該塗料塗布層が紫外線放射手段と対向するようにキュアリング装置(A)における被処理体載置面に載置し、加熱温度80℃、加熱時間10分間の加熱条件で前加熱処理した(前加熱工程)。
その後、紫外線放射手段を点灯して、当該紫外線放射手段からの光を、被処理体の表面(塗料塗布層)に対して、照射距離(被処理体と紫外線放射手段との離間距離)400mm、照射時間5分間の照射条件により照射した(紫外線照射工程)。この紫外線照射工程において、波長313nmに感度のピークを有する照度計を用い、被処理体の表面(塗料層の表面)における放射照度を測定したところ、45mW/cm2 であった。また、この紫外線照射工程において、被処理体の表面温度を測定したところ、120℃であった。
更に、その後、被処理体を、加熱温度100℃、加熱時間10分間の加熱条件で後加熱処理した(後加熱工程)。このようにして、塗布工程、前加熱工程、紫外線照射工程および後処理工程を経ることにより、積層体(3)を得た。
得られた積層体(3)について、実験例1と同様の手法により、塗料硬化層における紫外線硬化型塗料の硬化状態、および塗料硬化層の品質を確認した。結果を下記の表1に示す。
Figure 2017060907
表1に示されている実験例1〜実験例3の結果から、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法に係る実験例1のキュアリング方法によれば、後加熱工程を経ることなく短時間で良好な塗料硬化層が得られることが明らかである。
一方、実験例2のキュアリング方法においては、紫外線照射工程において処理体を加熱していないことから、塗料硬化層を得るために長い時間を要している。具体的には、実験例1のキュアリング方法に比して、6.5分間長い時間を要している。
また、実験例3のキュアリング方法においては、紫外線放射手段として、メタルハライドランプ、すなわち熱線(赤外線)を放射するランプを用いているため、得られた塗料硬化層は、良好な硬化状態が得られているものの、熱劣化が生じており、品質の悪いものであった。具体的には、被処理体から剥離しやすいものであった。また、塗料硬化層を得るために長い時間を要している。具体的には、実験例1のキュアリング方法に比して、6.5分間長い時間を要している。
従って、本発明の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法によれば、後加熱工程を短縮化または省略することができ、良好な塗料硬化層が得られることが確認された。
1 被処理体
2 紫外線硬化塗料
2A 塗料塗布層
2B 塗料硬化層
10 キュアリング装置
11 ステージ
11A 被処理体載置面
15 紫外線放射手段

Claims (4)

  1. 紫外線硬化型塗料を塗布した被処理体の表面に、紫外線放射手段からの紫外線を照射する紫外線照射工程を経ることによって当該紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線硬化型塗料のキュアリング方法において、
    前記紫外線放射手段が非熱線放射型光源よりなり、
    前記紫外線照射工程において、前記被処理体が加熱され、当該被処理体の温度が制御されることによって一定の温度を維持した状態とされることを特徴とする紫外線硬化型塗料のキュアリング方法。
  2. 前記紫外線照射工程を経由した被処理体を後加熱処理する後加熱工程を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法。
  3. 前記紫外線照射工程において、被処理体が、前記紫外線硬化型塗料に紫外線か照射されることによって得られる硬化物のガラス転移温度よりも低い温度を維持した状態とされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法。
  4. 前記紫外線放射手段を構成する非熱線放射型光源は、希ガス蛍光ランプまたはLED素子よりなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の紫外線硬化型塗料のキュアリング方法。
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