JP2011076825A - フラッシュランプ及び紫外線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体に安全でかつ低コストで紫外線硬化樹脂を硬化させることができるフラッシュランプ、及び同フラッシュランプを用いた紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】キセノンを主成分とする放電ガス5が封入された発光管2を備えるフラッシュランプ1において、発光管2は270nm近傍の紫外線を遮蔽する耐熱ガラスより形成され、発光管2の電位傾度が単位発光長あたり70V/cm以上150V/cm以下の範囲となる電圧で紫外線を含むパルス光が発生し、このパルス光が320nm以上450nm以下の範囲内でピーク波長を有することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】キセノンを主成分とする放電ガス5が封入された発光管2を備えるフラッシュランプ1において、発光管2は270nm近傍の紫外線を遮蔽する耐熱ガラスより形成され、発光管2の電位傾度が単位発光長あたり70V/cm以上150V/cm以下の範囲となる電圧で紫外線を含むパルス光が発生し、このパルス光が320nm以上450nm以下の範囲内でピーク波長を有することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、フラッシュランプ及びそれを用いた紫外線照射装置に関する。
従来から、特定の波長及び強度を有する光によって重合・硬化する樹脂として光硬化樹脂が広く知られている。特に、紫外線の波長域にて硬化する樹脂は、紫外線硬化樹脂と呼ばれ、その速乾性や低温処理性などの特徴から、半導体素子の回路パターン形成におけるレジスト材やPDP(Plasma Display Panel)のパネル封着材、歯科用光重合レジンなど、様々な産業で使用されている。これに加えて、硬化後の仕上がりの美しさや高い耐摩耗性という特徴から、携帯電話の筐体表面におけるクリアコート材や木材化粧の着色・塗装における木工用塗料材、タイルのコーティング材などにも使用され、その用途は多岐に渡っている。
樹脂硬化への照射光源としては、発光原理によって燃焼、電気抵抗加熱(白熱発光)、ガス放電、EL(Electro Luminescence)、レーザーなどに大別される。紫外線照射においては、ガス放電、EL、レーザー方式が一般的であり、用途に応じて放電ランプやLED(Light Emitting Diode)として応用されている。放電ランプは紫外線照射光源の代表格であり、小工場での現場作業や一般消費者にも普及している。
樹脂硬化への照射光源としては、発光原理によって燃焼、電気抵抗加熱(白熱発光)、ガス放電、EL(Electro Luminescence)、レーザーなどに大別される。紫外線照射においては、ガス放電、EL、レーザー方式が一般的であり、用途に応じて放電ランプやLED(Light Emitting Diode)として応用されている。放電ランプは紫外線照射光源の代表格であり、小工場での現場作業や一般消費者にも普及している。
近年、紫外線照射による殺菌や紫外線硬化樹脂の硬化処理にキセノンフラッシュランプが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらのキセノンフラッシュランプは、主に工業生産ラインで利用されているため大規模かつ高価であると共に、殺菌目的を主眼とするものが多いため、波長が320nm以下の紫外線について発光効率を高めて利用されていることが多い。
しかしながら、これらのキセノンフラッシュランプは、主に工業生産ラインで利用されているため大規模かつ高価であると共に、殺菌目的を主眼とするものが多いため、波長が320nm以下の紫外線について発光効率を高めて利用されていることが多い。
一方、車両の塗装面の補修部における下地処理工程や、プラスチックモデルキットをはじめとした工芸品や民芸品などの表面塗装など、特定の塗装箇所を部分的に塗装する現場作業においては、紫外線照射光源としてキセノンフラッシュランプは用いられていないのが現状である。
このような部分塗装の現場作業に用いられる紫外線硬化塗料に対応した放電ランプとして、320nm〜450nmにピーク波長を有する紫外線を照射する高圧水銀ランプやメタルハライドランプが知られている(例えば、特許文献2参照)。
このような部分塗装の現場作業に用いられる紫外線硬化塗料に対応した放電ランプとして、320nm〜450nmにピーク波長を有する紫外線を照射する高圧水銀ランプやメタルハライドランプが知られている(例えば、特許文献2参照)。
ここで、高圧水銀ランプやメタルハライドランプは急激な温度変化を伴うため、発光管には熱応力が発生する。そしてこの熱応力が発光管の破断応力より大きくなると発光管は破損してしまうため、発生する熱応力をできるだけ抑制するべく、熱膨脹係数の小さな石英ガラス管を使用することが一般的である。
石英ガラスは、分光分析時のセルとして使用されているように波長が200nm程度の紫外線波長域に対しても透過率が高く、波長が270nm近傍の紫外線は透過してしまう。この波長近傍の紫外線は、人体に紅斑効果(日焼け)や眼炎(雪目)などの影響をもたらすため人体に有害な紫外線とされ、有害紫外線と呼ばれている。図1は、有害紫外線の分光感度曲線を示す図である。
石英ガラスは、分光分析時のセルとして使用されているように波長が200nm程度の紫外線波長域に対しても透過率が高く、波長が270nm近傍の紫外線は透過してしまう。この波長近傍の紫外線は、人体に紅斑効果(日焼け)や眼炎(雪目)などの影響をもたらすため人体に有害な紫外線とされ、有害紫外線と呼ばれている。図1は、有害紫外線の分光感度曲線を示す図である。
また、工芸品や民芸品などの塗装作業では、大規模な工業生産ラインとは事情が異なり小工場での現場作業が多く、有害紫外線対策としてメガネや保護具の着用が徹底していない環境にある。このため、有害紫外線を吸収する耐熱ガラス等の紫外線透過材を、メタルハライドランプの前面に設けて人体に安全な紫外線のみを照射させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特定の塗装箇所のみを部分的に塗装する場合、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電ランプが連続光点灯であるため必要以上の照射時間を費やしてしまい、発光管の温度上昇を避けられないなどの問題がある。また、一度消灯すると再点灯できるまでに時間がかかるために使用しないときも点灯させておく必要があり、照射しない間の電力ロスも否めないという問題がある。
さらにパルス光点灯を応用したものとして、カメラのフラッシュライトなどの実用化例はあるが、これらは可視光を利用する照明源であり、人体に安全な紫外線を利用するキセノンフラッシュランプは実用化されていないのが現状である。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、人体に安全でかつ低コストで紫外線硬化樹脂を硬化させることができるフラッシュランプ、及び同フラッシュランプを用いた紫外線照射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るフラッシュランプは、特定の塗装箇所を部分的に塗装する際に使用する小型の紫外線照射装置に備えられたフラッシュランプにおいて、前記フラッシュランプは、キセノンを主成分とする放電ガスが封入された発光管を備え、前記発光管は、波長が270nm近傍の紫外線を遮蔽する耐熱ガラスより形成され、前記発光管の電位傾度が単位発光長あたり70V/cm以上150V/cm以下の範囲となる電圧で紫外線を含むパルス光が発生し、該パルス光が320nm以上450nm以下の範囲内でピーク波長を有することを特徴とする。
また、本発明に係る紫外線照射装置は、請求項1のフラッシュランプを収納した筐体には取手が設けられていること特徴とする。
本発明によれば、人体に安全な紫外線光を利用できると共に、簡単な構造でかつ電力ロスも少ないため低コストで紫外線硬化樹脂を硬化させることができる。
また、本発明によれば、プラスチックモデルキットをはじめとした工芸品や民芸品の表面塗装などの、特定の塗装面を部分的に塗装する現場作業においては、安全な環境で作業できる共に、作業時間の短縮化を図ることができる。
さらに本発明は、汎用性が高く様々な用途に応用ができ、例えばインクジェット式プリンター、パッド印刷などによる小面積の印刷物、ネイルアートなど、瞬時に硬化させたい紫外線硬化塗装や印刷の乾燥に安全で有効な手段を提供することができる。
また、本発明によれば、プラスチックモデルキットをはじめとした工芸品や民芸品の表面塗装などの、特定の塗装面を部分的に塗装する現場作業においては、安全な環境で作業できる共に、作業時間の短縮化を図ることができる。
さらに本発明は、汎用性が高く様々な用途に応用ができ、例えばインクジェット式プリンター、パッド印刷などによる小面積の印刷物、ネイルアートなど、瞬時に硬化させたい紫外線硬化塗装や印刷の乾燥に安全で有効な手段を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図2は、車両の塗装面の補修部における下地処理工程や、工芸品や民芸品などの表面塗装に使用される紫外線硬化塗料の分光感度曲線の一例を示す図である。
これらの用途に使用する紫外線硬化塗料は、その感光波長域が320nm以上450nm以下の範囲内である塗料、特にピーク波長が320nm以上400nm以下の範囲内に存在する塗料が用いられている。本実施形態では一例として、この紫外線硬化塗料の部分塗装に使用するフラッシュランプについて説明する。
図2は、車両の塗装面の補修部における下地処理工程や、工芸品や民芸品などの表面塗装に使用される紫外線硬化塗料の分光感度曲線の一例を示す図である。
これらの用途に使用する紫外線硬化塗料は、その感光波長域が320nm以上450nm以下の範囲内である塗料、特にピーク波長が320nm以上400nm以下の範囲内に存在する塗料が用いられている。本実施形態では一例として、この紫外線硬化塗料の部分塗装に使用するフラッシュランプについて説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプの概略を示す図である。
同図において、フラッシュランプ1は、発光管2は直管型の形状を有し、この発光管2の各両端から電極ロッドがそれぞれ発光管2の内部に挿入され、一対の主電極3として対向配置され、発光管2の外部には、主電極3とは別にトリガー電極4が管外壁面と接するように設けられている。
また、発光管2内には主電極3の周囲を満たすよう放電ガス5が所定の封入圧力で充填されると共に、主電極3の挿入口から外へ漏れないよう気密に封止されている。
同図において、フラッシュランプ1は、発光管2は直管型の形状を有し、この発光管2の各両端から電極ロッドがそれぞれ発光管2の内部に挿入され、一対の主電極3として対向配置され、発光管2の外部には、主電極3とは別にトリガー電極4が管外壁面と接するように設けられている。
また、発光管2内には主電極3の周囲を満たすよう放電ガス5が所定の封入圧力で充填されると共に、主電極3の挿入口から外へ漏れないよう気密に封止されている。
発光管2の構造は用途に応じて直管型、螺旋型、U字型、環型など様々な構造が考えられる。部分塗装用の発光管では、全長50〜250mm程度、管内径3〜15mm程度の直管型が多用されているが、本実施形態の発光管2では一例として全長80mm、管内径4mmを選択した。発光管の材質は、一般的には石英などのシリカガラスが使用されることが多い。石英ガラスは、不純物含有量がppmオーダーと極めて少なく、近赤外線から紫外線に渡る波長領域において高い光透過性を示す。また、熱膨張係数も数ppmと小さく寸法安定性に優れ高い耐熱性を示すと共に、耐薬品性に優れるなどの特徴を有している。
本実施形態の発光管2の材料は、これら硬質ガラスの特性を備えると共に、波長が270nm近傍の紫外線を吸収する特性を有する硬質ガラス、例えばパイレックス(登録商標)やテンパックス(登録商標)、或るいはこれらの同等品により形成されている。
パイレックス(登録商標)は硼珪酸ガラスの一種であり、石英ガラスと同様に耐熱ガラスとして広く一般に普及している。一方、両者の光透過性は異なる特性を示し、石英ガラスが厚さ2mmの場合、波長が270nm近傍の紫外線をほぼ100%透過させるのに対し、パイレックス(登録商標)では、波長が320nmの紫外線で約70%、波長が300nmの紫外線で約25%、波長が270nmの紫外線でほぼ0%の透過率となっている。
本実施形態では、このような波長が270nm近傍の紫外線を吸収する耐熱ガラスより構成されていることにより、図1に示したような分光感度を有する有害紫外線を必要以上に外部に照射させることなく、人体に安全な紫外線を利用することが可能となる。
なお、本実施形態では、発光管2の材料自身にパイレックス(登録商標)を使用することで、発光管2自身に、波長が270nm近傍の紫外線を遮蔽可能な機能を持たせているが、発光管2の材料は石英ガラスを用い、発光管2の周囲にこの機能を有した光透過材を設けて、筐体外では人体に安全な紫外線を利用できる形態としてもよい。
主電極3は、発光管2の両管端において対向する陰極31と陽極32から構成されている。ランプ始動の際は、陰極31から放電プラズマに電子を放出し陽極32へ流入させて主電極3間に放電電流を流す。陰極31側は円錐形状(図示略)として効率よく電子を放出させるよう形成すると共に、陽極側は陰極側よりも電子の衝突頻度が高いことを考慮し、バルク状(図示略)として陰極側よりも対向面積を大きくしている。また、陰極側の材料は、陽極側よりも仕事関数の小さいものを用いることが望ましい。
陰極31、陽極32とも、通常は高融点のタングステンを主成分とする焼結体からなる、外径1〜5mm程度、長さ2〜10mm程度の円筒形状のものが考えられる。本実施形態では一例として外径3mm、長さは3mmを選択した。主電極3間距離は30〜200mm程度の範囲から選択され、例えば50mmである。
トリガー電極4は、発光管2の管外壁に接地されており、ランプ始動の際に、始動パルスを印加して誘電体バリア放電を発生させ、主電極3に高電圧を印加させなくとも主放電を開始させるためのもので、例えば、タングステン、ニッケル、アルミニウム、白金、モリブデンなどが考えられる。外径は0.5〜3.0mm程度のワイヤーまたはリボン状のものが考えられ、本実施形態では、一例として外径1mmのニッケルワイヤーを選択している。
放電ガス5はキセノンを主成分とする希ガスを用い、20〜70kPa程度の封入圧で発光管2内を充填する。一般的に、電極間距離が一定なら封入圧は小さいほど放電に必要な電圧は低くてよいが、封入圧が小さいと発光輝度が低下する。本実施形態では、一例として封入圧を40kPaとしている。キセノンランプの分光分布は、紫外線領域から可視光領域にかけての連続スペクトルを有し、特に可視光領域の分光分布は太陽光に近く演色性に優れている。また、高い輝度を持ち、入力電力変動や寿命中での分光分布の変化が少ないという特徴がある。
また、放電ガス5の封止方法には、ピンチシール、シュリンクシール、グレーデッドシール、フリットシールなど様々な方式が考えられるが、本実施形態では、一例としてグレーデッドシール方式にて封止している。
図4は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプを用いた紫外線照射装置の概略を示す図である。
紫外線照射装置6は、フラッシュランプ1、反射板7、フラッシュランプ1のパルス点灯動作を制御するための点灯制御回路8を筐体9の内部に備え、筐体9外部に延設する電源線10を介して、直流電流を供給する外部バッテリ電源(図示略)に接続されている。
なお、紫外線照射装置6は、人が持ち運びできる程度に小型・軽量なハンディタイプや卓上タイプなどが考えられる。
紫外線照射装置6は、フラッシュランプ1、反射板7、フラッシュランプ1のパルス点灯動作を制御するための点灯制御回路8を筐体9の内部に備え、筐体9外部に延設する電源線10を介して、直流電流を供給する外部バッテリ電源(図示略)に接続されている。
なお、紫外線照射装置6は、人が持ち運びできる程度に小型・軽量なハンディタイプや卓上タイプなどが考えられる。
反射板7の種類は、アルミミラーやコールドミラーなど各種の反射板が考えられる。アルミミラーは、高純度のアルミ板より形成され紫外線を効率よく反射すると共に、可視光線や赤外線も反射する。コールドミラーはガラスを基材としたメタルライズ板より形成され、紫外線は反射し、可視光線や赤外線の一部は透過させるため、被照射物の温度上昇を抑制できる。
また、反射板7の形状は、断面形状が円形や楕円形、放物線形などのものが考えられる。円形や楕円形の反射板7は、紫外線をある一点に集光しその集光点で紫外線の照度を高める場合に有効である。塗装対象面が集光点よりも離れて使用すると、紫外線は拡散し比較的均一に照射される。従って、照射面から塗料までの距離を用途に応じて変えることで、紫外線の照射範囲を変えることができる。一方、断面形状が放物線形の反射板7は、集光点を作らず、平行光を発する。そのため、照射面から塗料までの距離に拠らず照射範囲は一定とすることができる。
点灯制御回路8は、バッテリ電圧を昇圧するDC−DCコンバータ、フラッシュランプ1に瞬時に電荷を放出するための放電コンデンサ、そしてトリガー回路を、それぞれ並列に接続して基本構成としている。
フラッシュランプ1を始動させると、DC−DCコンバータが動作してコンデンサを充電していき、所望の充電電圧まで達すると同時に、トリガー回路のコンデンサも抵抗を通して充電されていく。スイッチを入れるとコンデンサの電荷がトリガートランスの一次側を通して放電し、二次側には数千Vのパルス電圧が発生する。
パルス電圧は、発光管2に近接されたトリガー電極4に伝わり、発生した電界は管壁を通して管内に伝わり、放電ガス5をイオン化させると共に小放電を起こす。これにより電子雪崩現象が起き、主電極3間にアーク放電が発生する。
放電が発生すると、発光管2内はほぼ短絡状態となり放電コンデンサの電荷は陰極より瞬時に放出し主放電が開始される。放電によりコンデンサの電圧が下がると自然に放電は止まり、再びコンデンサが充電されていく。
パルス電圧は、発光管2に近接されたトリガー電極4に伝わり、発生した電界は管壁を通して管内に伝わり、放電ガス5をイオン化させると共に小放電を起こす。これにより電子雪崩現象が起き、主電極3間にアーク放電が発生する。
放電が発生すると、発光管2内はほぼ短絡状態となり放電コンデンサの電荷は陰極より瞬時に放出し主放電が開始される。放電によりコンデンサの電圧が下がると自然に放電は止まり、再びコンデンサが充電されていく。
筐体9は、熱伝導率が高く比重の小さい金属であるアルミや、耐熱性を有する強化プラスチックなどで形成して軽量化を図っている。
また、筐体9には取手(図示略)などを設けて紫外線照射装置6の携帯性を高めている。
また、筐体9には取手(図示略)などを設けて紫外線照射装置6の携帯性を高めている。
これにより、紫外線を照射する方向を自在に制御可能であり、被塗装物の塗装対象面が湾曲している場合においても、紫外線照射装置6を複数準備し複数の照射面方向から照射する必要がなく、現場作業に適し、簡便かつ低コストとすることができる。
また、被塗装物が動かせない物である場合や、塗装対象面の面積が紫外線照射装置6の固有の照射範囲よりも広い場合などにおいては、複数回に分けて塗装対象面の全範囲に照射させるような使用が可能となり汎用性が向上する。
また、被塗装物が動かせない物である場合や、塗装対象面の面積が紫外線照射装置6の固有の照射範囲よりも広い場合などにおいては、複数回に分けて塗装対象面の全範囲に照射させるような使用が可能となり汎用性が向上する。
次に、上記のようなフラッシュランプ1及び同ランプ1を備える紫外線照射装置6を用いた紫外線硬化塗料の部分塗装方法について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプを用いた塗装方法を示すフローチャートである。
塗装方法は、大きく分けて4つの工程から構成されている。第1の工程は、被塗装物の塗装対象面の下地処理を行う工程である(ステップS1)。第2の工程は、塗装対象面に対して紫外線硬化塗料を塗布する工程である(ステップS2)。第3の工程は、塗布された塗料を硬化する工程である(ステップS3)。第4の工程は、硬化後の出来栄えを検査する工程である(ステップS4)。なお、第1〜第4の工程は、塗装の用途や目的に応じて、例えばベースコーティングとトップコーティングなど工程を複数回繰り返してもかまわない。
図5は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプを用いた塗装方法を示すフローチャートである。
塗装方法は、大きく分けて4つの工程から構成されている。第1の工程は、被塗装物の塗装対象面の下地処理を行う工程である(ステップS1)。第2の工程は、塗装対象面に対して紫外線硬化塗料を塗布する工程である(ステップS2)。第3の工程は、塗布された塗料を硬化する工程である(ステップS3)。第4の工程は、硬化後の出来栄えを検査する工程である(ステップS4)。なお、第1〜第4の工程は、塗装の用途や目的に応じて、例えばベースコーティングとトップコーティングなど工程を複数回繰り返してもかまわない。
ステップS1の下地処理工程では、被塗装物の塗装対象面をヤスリやサンドペーパー等を用いて切削・研磨し、塗装対象面を整形すると共に粗面化させる。これによりアンカー効果を与え、被塗装物と塗膜の密着性が向上する。その後、エアブローを施して除塵し不純物を除去する。場合によっては不純物を除去した後に除電する。
ステップS2の塗布行程では、塗装対象面に、着色やコーティングや補修などの目的に応じて、紫外線硬化型の塗料、コーティング材、サーフェーサー材など(以下、塗料と略する)を塗布する。塗料の形態は、液状・ゲル状・フィルム状など各種の形態があり、それぞれの形態に応じて、滴下・刷毛塗り・スプレーガン・スピンドル式など各種の方法を用いて塗布する。塗布厚さは、用途により様々であるが、プラスチックモデルキット外表面へのトップコートの場合、塗布厚は10〜100μm程度である。
ステップS3の硬化工程では、塗布した塗料に対し、本実施形態のフラッシュランプ1を備えた紫外線照射装置6を用いて紫外線を照射する。紫外線照射装置6を用いると、人体に安全な紫外線が照射され、塗料表面に塗膜を形成して硬化させることができる。硬化に必要な時間(以下、硬化時間と略する)は、塗料の塗布厚さや紫外線照射装置6の照射面から塗料までの距離などにも依存するが、本実施形態では、塗料の塗布面積が100〜2500mm2、塗布厚20〜50μm程度の場合、照射からの距離が0.1mで硬化時間は1〜2secで完全硬化する。
硬化後、ステップS4の検査工程で塗装の出来栄えを評価する。この工程では目視や画像処理などの各種の方法を用いて、未塗装箇所や未硬化箇所の有無、塗膜割れ・キズ・不純物の付着の有無などを検査する。
次に、このような実施形態に係る装置を用いて、プラスチックモデルキットへの部分塗装作業を行った評価結果について説明する。
被照射物としての塗料は、UVクリアトップコート及びUVホワイトを用い、プラスチックモデルキットの表面に厚み30μmで塗布した。また、照射光としての紫外線のピーク波長は、発光管に印加する電圧に依存するため、発光長2aあたりの印加電圧、すなわち電位傾度をパラメータとした。
被照射物としての塗料は、UVクリアトップコート及びUVホワイトを用い、プラスチックモデルキットの表面に厚み30μmで塗布した。また、照射光としての紫外線のピーク波長は、発光管に印加する電圧に依存するため、発光長2aあたりの印加電圧、すなわち電位傾度をパラメータとした。
図6は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプより照射された照射光の硬化性能と安全性についての評価結果を示す図である。図7は、本発明の一実施形態に係るフラッシュランプの発光管電位傾度の違いによる照射光の分光分布特性を示す図である。
図6に示すように、電位傾度が70V/cm未満では、照射光のピーク波長は可視光線から赤外線の波長領域付近に移動すると共に照度が小さく、UVクリアトップコート及びUVホワイトとも十分に硬化するには至らなかった。また、電位傾度が150V/cmを超えると、照射光のピーク波長は200nm付近の遠紫外線の波長領域に移動し、UVクリアトップコート及びUVホワイトとも表面は硬化するものの、深部までは紫外線が到達できず未硬化のままであった。
一方、電位傾度が70V/cm以上150V/cm以下の範囲では、照射光のピーク波長は、320nm以上450nm以下の範囲内となり、UVクリアトップコート及びUVホワイトともに、深部まで完全に硬化することができた。なお、このときの有害紫外線量も6μW/cm2と、人体に安全なレベルとなっている。
図6に示すように、電位傾度が70V/cm未満では、照射光のピーク波長は可視光線から赤外線の波長領域付近に移動すると共に照度が小さく、UVクリアトップコート及びUVホワイトとも十分に硬化するには至らなかった。また、電位傾度が150V/cmを超えると、照射光のピーク波長は200nm付近の遠紫外線の波長領域に移動し、UVクリアトップコート及びUVホワイトとも表面は硬化するものの、深部までは紫外線が到達できず未硬化のままであった。
一方、電位傾度が70V/cm以上150V/cm以下の範囲では、照射光のピーク波長は、320nm以上450nm以下の範囲内となり、UVクリアトップコート及びUVホワイトともに、深部まで完全に硬化することができた。なお、このときの有害紫外線量も6μW/cm2と、人体に安全なレベルとなっている。
また、これらの電位傾度の違いにより、図7に示すような照射光の分光分布に違いが生じる。図7中のaは電位傾度20V/cmのとき、bは120V/cmのとき、cは300V/cmのときの分布である。ただしa及びcの発光管は石英管を用い、bの発光管は本実施形態の耐熱ガラスを用いている。
bのグラフからも分かるように、照射光のピーク波長は、320nm以上450nm以下の範囲内となり、かつ270nm近傍の照射強度は、ほぼ0%となっている。
bのグラフからも分かるように、照射光のピーク波長は、320nm以上450nm以下の範囲内となり、かつ270nm近傍の照射強度は、ほぼ0%となっている。
以上のように、本実施形態によるフラッシュランプ1を用いた紫外線射装置6によれば、感光波長域が320nm以上400nm以下の紫外線硬化塗料への硬化性能を備えると共に、波長が270nm近傍の人体に有害な紫外線を遮蔽して、人体に安全な紫外線を利用することができる。
1 フラッシュランプ
2 発光管
2a 発光長
3 主電極
4 トリガー電極
5 放電ガス
6 紫外線照射装置
7 反射板
8 点灯制御回路
9 筐体
10 電源線
2 発光管
2a 発光長
3 主電極
4 トリガー電極
5 放電ガス
6 紫外線照射装置
7 反射板
8 点灯制御回路
9 筐体
10 電源線
Claims (2)
- 特定の塗装箇所を部分的に塗装する際に使用する小型の紫外線照射装置に備えられたフラッシュランプにおいて、
前記フラッシュランプは、キセノンを主成分とする放電ガスが封入された発光管を備え、
前記発光管は、波長が270nm近傍の紫外線を遮蔽する耐熱ガラスより形成され、
前記発光管の電位傾度が単位発光長あたり70V/cm以上150V/cm以下の範囲となる電圧で紫外線を含むパルス光が発生し、該パルス光が320nm以上450nm以下の範囲内でピーク波長を有することを特徴とするフラッシュランプ。 - 請求項1のフラッシュランプを収納した筐体には取手が設けられていること特徴とする紫外線照射装置。
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---|---|---|---|
JP2009225986A JP2011076825A (ja) | 2009-09-30 | 2009-09-30 | フラッシュランプ及び紫外線照射装置 |
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