以下、本発明の実施例を図面に従い詳細に説明するが、本発明においては複数の実施例を提案している。したがって実施例毎にその詳細な説明を行なうが、本発明はこれらの実施例に限定されることなく本発明の基本的な概念の中で種々の変形例や応用例を含むものである。
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明が適用される電気掃除機の外観斜視図を示しており、図1において、参照番号101は掃除機本体であり、この掃除機本体101にサイクロン方式の集塵装置102が搭載されており、掃除機本体101は吸引ホース103を介して手元ハンドル104と接続され、手元ハンドル104は延長管106を介して吸口体107と連結されている。
また、手元ハンドル104には掃除機本体101に内蔵されている電動送風機や、吸口体107に設けられている電動回転ブラシの駆動制御を行なう手元操作部105が備えられている。
図2に掃除機本体101を略中央で断面した断面図を示しており、掃除機本体101はプラスチック等のような材料で形成された筺体204にホース取り付け口201を形成し、その内部に吸引力を発生する電動送風機202を配置すると共に排気を清浄化する高密度フィルタ203を配置してある。
掃除機本体101の前側上部には集塵装置102が前下がりの傾斜した状態で載置されており、集塵装置102は一方がホース取り付け口201に流体的に接続され、他方が電動送風機202に流体的に接続されている。
ここで、集塵装置102は概ねサイクロン分離部501と集塵室502より構成され、サイクロン分離部501がホース取り付け口201に流体的に接続され、集塵室502が電動送風機202に流体的に接続されるように構成されている。尚、サイクロン分離部501と集塵室502は本実施の形態では一体的に分離できないように構成された実施例として説明してあるが、相互に着脱可能に構成されていても良いものである。
つまり、サイクロン分離部501と集塵室502をフック機構やねじ機構(例えば、サイクロン分離部501と集塵室502とがねじ結合されている構成)とによって着脱可能に構成することで、掃除機本体101からサイクロン分離部501と集塵室502を一体化したまま取り外すことや、集塵室502のみをサイクロン分離部501から取り外して分離できるように構成されていてもよいものである。特に、集塵室502の方だけを取り外してやる構成にすれば、ゴミ捨てのときに使用者に負担をかけずに集塵室から塵挨を廃棄することができる。
以下の説明ではサイクロン分離部501と集塵室502が一体的に構成された実施例について説明するが、分離方式にしてもサイクロン分離部501と集塵室502の夫々が分離されるだけなので実質的に同様の構成となる。
そして、吸口体107から吸引された塵挨を含む空気は図2に示す矢印のようにホース取り付け口201を介して集塵室を流れ、電動送風機202、高密度フィルタ203を経由してプラスチック等で作られた筺体204の外部に排出されるようになっている。尚、図示してはいないが電気掃除機本体101の外郭を形成する筺体204の内側には電力を供給するためのコードリールを設けてある。
そして、手元操作部105に設けられた電源ボタンが使用者によってONされると、電動送風機202が作動して吸引力を発生し、吸口体107から吸込まれた空気及び空気と共に吸込まれた塵埃は、延長管106、吸引ホース103、掃除機本体101の順に導かれる。ホース取りつけ口201から掃除機本体101内に流入した空気および空気と共に吸込まれた塵埃は、集塵装置102を構成するサイクロン分離部501及び集塵室502で塵埃と空気に分離され、塵埃を分離された空気は電動送風機202を経て高密度フィルタ203を通過し、更に微細な塵埃が捕集された清浄な空気となって掃除機本体101より外へ排気される。
図3に集塵装置102を掃除機本体101から取り外した状態での外観を示し、図4に塵挨排出用の開閉蓋302を開放した状態での外観を示している。
図3及び図4において、集塵装置102の上面部(掃除機本体に載置した場合で上側になる面)305には掃除機本体101から集塵装置102を取り外す場合や、集塵装置102を持ち運ぶ場合に使用するハンドル部301、以下に示す開閉蓋(蓋体部)302を閉じ状態に係止する係止クランプを解除するボタン303が設けられている。また、集塵装置102の下面部(掃除機本体に載置した場合で下側になる面)306には塵埃を含む空気の流入口304が設けられている。この流入口304はホース取り付け口201に接続されている。
そして、集塵装置102の上面部305と下面部306の間に存在する円筒形状の側面部307の一部には塵挨を排出する開口部308が設けられており、この開口部308は開閉蓋302によって密閉、開放される構成となっている。この側面部307は上面部305と下面部306の面に対して直交するように形成されており、開閉蓋302は下面部306側の端面302Aがヒンジ機構309によって回転自在に支持されており、このヒンジ機構309を支点にして開閉蓋302が開閉されるものである。
このように、開閉蓋302を下面部306側の端面302Aで回転自在に支持することによって、集塵装置102から塵挨を排出する場合に集塵装置102を傾ければ開閉蓋302が重力方向に垂下するので塵挨を容易に排出することができるものとなる。
尚、本構成とは別に開閉蓋302の回転支点を開閉蓋302の上面部305側の端面302Bや、開閉蓋302の側端面302Cにヒンジ機構309を設けることも可能である。この場合、開閉蓋302を開いた状態に維持するための維持機構を必要に応じて設けてやれば良い。更に、開閉蓋392にヒンジ機構309を設けずに、単に開閉蓋302を着脱するようにしても良いが、この場合は開閉蓋302が掃除中に脱落しないような固定機構、或いは係止機構を設けると良い。
また、開閉蓋302の形状は集塵装置102の円筒形状に沿った円弧状に形成されている。これはヒンジ機構309がサイクロン分離部501に設けられているためである。つまり、サイクロン分離部501がその機能から円筒形状になっていることから、この部分での開閉蓋302の形状が円弧状に形成され、更に製造の観点からこの円弧形状に開閉蓋302の全体形状を合わせたものである。これによって、複雑な金型を用いることなく開閉蓋302を得ることができる。また、サイクロン分離部501にヒンジ機構309を設けることで側面部307に大きな開口部308を形成することができる。
尚、ヒンジ機構309をサイクロン分離部501からずらしてやれば集塵室502の形状を直方体状に形成して平板状の開閉蓋とすることもできるもので、本発明の基本的な概念はこの構成を含むものである。
また、側面部307に形成した周方向の開口部308の面積であるが、これは塵埃の集塵容量によって決められるものであり、集塵室502の長さを一定とした場合では、集塵容量を大きくすると開口部308の周方向の幅が小さくなって塵挨の排出が円滑にいかない場合があることから最適な開口部の面積が決められるものである。これについては図5の説明において詳述する。尚、本実施例において開口部308は開口面積を大きくとるため集塵室の最大径部分(=直径)まで形成されている。ここで、開口部308の周方向の幅を大きくすると塵挨の集塵容量に制限がでてくるが、後述するように集塵室を構成する塵挨収納室(図5の参照番号512)を後述のフィルタ収容室310に側に拡大して集塵容量を大きくすることが可能である。
尚、上述したように集塵室502の形状を直方体状に形成して平板状の開閉蓋とすると開口部の面積は一定となるので集塵容量の決定には有利である。
更に開口部308及び開閉蓋302と反対側の側面には直方体形状のフィルタ収納部310が形成されており、このフィルタ収納部310には電動送風機202に繋がる空気流出開口部が設けられている。このフィルタ収納部310の構成については図5の説明において詳述する。
次に集塵装置102の具体的な構成について図5に基づき詳細に説明するが、図5はサイクロン方式の集塵装置102を略中央で断面した断面図を示している。
図5において、参照番号501は吸気を旋回させることにより生じる遠心力で塵埃と空気を分離するサイクロン分離部であり、この上方側に隣接して分離した塵埃を溜める集塵室502が配置されている。このサイクロン分離部501と集塵室502は分離できないように一体的に構成されているが、上述したように両者を分離可能に構成することも可能である。
サイクロン分離部501を構成するサイクロン分離室503の中央付近には、サイクロン分離室503を形成する分離壁513に取り付けられた円筒形状の塵挨分離内筒514が設けられており、この塵挨分離内筒514の円筒側面に複数の貫通孔515が設けられている。
集塵室502は二つの室を備えており、一方は遠心分離作用により塵埃を多く含んだ空気が流れ込む塵埃収納部512であり,もう一方は,遠心分離作用によって塵埃が分離された吸気の一部(遠心分離後の塵埃が少ない空気)が流れ込むフィルタ収容部310である。
塵挨収容部512とフィルタ収容部310とは分離壁516によって隔絶されており、この分離壁516には多数の開口が設けられている。そして、塵挨収納部512側の分離壁516の面には背面フィルタ504が配置されている。したがって、塵挨収容部512は背面フィルタ504及び分離壁516の開口を介してフィルタ収納部310と接続されている。
フィルタ収納部310は塵挨分離内筒514と接続されており、サイクロン分離部501で分離出来なかった塵挨と空気が流れ込んで後部フィルタ505で塵挨を捕集するようになっている。
この後部フィルタ505は、通気面積を拡大するために断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状(ひだ折り)に折られたフィルタ部材で形成されている。フィルタ部材のひだ折りの折り線方向は、縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。これは、後部フィルタ505の下流側に、後部フィルタ505に衝撃を与える除塵機構を備えた場合、折り方向が略縦方向に設けてあるので、後部フィルタ505に付着した細塵が下方に落下して除去し易いからである。尚、ひだ折りの折り線方向が斜め方向に配置されていても構わない。
また、サイクロン分離室503は連通路形成部518を介して塵挨収容部512と接続されており、この連通路形成部518には掃除機の運転が停止した時に吸引した塵埃がサイクロン分離室503に逆流してくるのを防ぐ逆止弁510が設けられている。
連通路形成部518の対向する塵挨収容部512には空気流偏向部519が配置されており、連通路形成部518から流れてくる空気流を空気流偏向部519で背面フィルタ504が配置されている分離壁516側に向かうように方向転換させるように働くものである。
また、開閉蓋302の内周側は円弧状面を有しているので、連通路形成部518から流れ出た塵挨を含む空気の流れは円弧状面に沿って塵挨収納部512側に方向変換して流すようにしている。この円弧状面は空気の流れを整流するために設けており、この他に断面が台形や三角形となる形状にしても良いものである。つまり、連通路形成部518から流れ出た塵挨を含む空気の流れが塵挨収納部512側に至る間に断面が拡大していく方向に変化していけば良いものである。
開閉蓋302は連通路形成部518から流れ出た塵挨を含む空気流の方向と同一の方向に延びており、この方向にそって開口部308は開口している。つまり、空気流の方向に対して開口部308の開口方向は直交する関係となっている。
この連通路形成部518と空気流偏向部519は開閉蓋302の内周面側に固定的に取り付けられており、開閉蓋302を開放すると開閉蓋302と共に移動するようになる。このため、集塵室502は大きく開放された状態となって塵挨の排出を容易にできるものである。また、開閉蓋302に連通路形成部518と空気流偏向部519を取り付けられるため、両者の位置合わせが容易であるという効果も期待できる。
尚、参照番号511はサイクロン分離部501の略円筒形状の中心軸を表し、参照番号509は塵埃収容部512に堆積した塵挨を示している。
そして、図3、図4に示したように開閉蓋302がサイクロン分離部501と集塵室502に跨るように、サイクロン分離部501と集塵室502の側面部307に開閉可能に取り付けられている。サイクロン分離部501の側面部にはヒンジ機構309が設けられ、このヒンジ機構309を回転中心として開閉蓋302は開放されるものである。開閉蓋302の端面302Bの内側にはクランプ係合部312が取り付けられており、このクランプ係合部312は集塵装置102の上面部305に内蔵したクランプ311と係合、離脱するものであり、ボタン303を押すことによってクランプ311がクランプ係合部12から離脱して開閉蓋302が開放されるものである。
また、開閉蓋302は塵挨収容部512の一部を形成するものであり、開口部308を塞ぐことによって塵挨収納部512が形成される。開閉蓋302と開口部308の間にはゴム等の材料で形成されたパッキングが介装してあり、電動送風機202で発生した負圧を弱めないように機密を保つように構成されている。
更に本実施例においては、開閉蓋302はその形状を円弧状に構成しているが、この構成よって電動送風機202によって発生した開閉蓋302の内側の負圧と開閉蓋302の外側の大気圧との間に生じる力に対して強くなっている。平板状の開閉蓋にすると中央付近が内側に変形する恐れがあり、その分開閉蓋の厚みを増やす設計が必要であるが、本構成の開閉蓋302によれば円弧形状になっているので剛性を高めることがきるので開閉蓋302の厚みを必要以上に厚くすることを回避できる。
説明が前後するが、塵挨分離内筒514の貫通孔515や、分離壁516の開口の代わりに、金属、ナイロン、ポリエステルなどで構成されたメッシュ部材を被覆またはインサート成形などにより貼着されていてもよいもので、このようにすると貫通孔の形成が容易となる効果がある。
また、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀)や抗菌物質(例えば、銀)を含有、あるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成させてもよい。
また、開閉蓋302の全体、或いは一部を塵挨収容部512に堆積した塵挨を目視できる構成、例えば透明なプラスチック材料で構成すれば、堆積した塵埃が掃除機本体前面から視認しやすいという効果がある。
以上において、電動送風機202により発生した吸引力により吸込まれた塵埃を含む空気は、吸口体107、延長管106、ホース103を通り、掃除機本体101の集塵装置102内に流入する。
流入した塵埃を含む空気はサイクロン分離部501のサイクロン分離室503の内周面に沿って流れる様に流入口304より流入し、サイクロン分離部501の内部を矢印506に示すように旋回する。この旋回による遠心分離作用で空気と塵埃とを分離することができる。
遠心分離作用により、サイクロン分離室503の外周側の空気は塵埃が多く含まれ、逆に内周側の空気は塵埃が少ない流れになっている。そして、遠心分離により塵埃を多く含んだ空気は開口蓋302に設けた連通路518を通って集塵室502内に流入し、この流入した塵挨を含む空気は第1の流路である矢印507にあるように流れて塵挨のみが背面フィルタ504で捕集されて順次堆積される。
一方、遠心分離作用によって塵埃が分離された空気(遠心分離後の塵埃が少ない空気)は、第2の流路である矢印508に示すように塵挨分離内筒514に設けられた複数の貫通孔515から塵挨分離内筒514の内部を通ってフィルタ収納部310内に流入する。この矢印508で示す空気の流れは、塵埃収容部512を通過しないので、塵埃収容部512内に蓄積した塵埃509も通過しない。
このため、塵埃収容部512内に塵埃が大量に堆積して矢印507に示す空気の流れが徐々に遮られても、遠心分離作用で塵埃が分離された空気をフィルタ収納部310に継続して流入させ続けることができるため、掃除機全体の吸引力を持続させることができる。
一方、塵挨収容部512にある背面フィルタ504上に堆積した塵埃は吸引力によって圧縮されて順次堆積されて行き、最終的には塵挨収容部512の許容捕集量まで堆積される。
更に、サイクロン分離部501の遠心分離作用によって分離できなかった軽い塵埃や背面フィルタ504で捕集できなかった細かい塵埃は、後部フィルタ505によって捕集され、後部フィルタ505を通過した空気は電動送風機202内に吸引されるようになる。
以上のような動作を行なう電気掃除機において、使用者が堆積した塵埃509を捨てる時は、図4に示すようにハンドル部301をもって集塵装置102を電気掃除機本体101から取り外し、ボタン303を押して開閉蓋302を開放して溜まった塵埃509を排出することができる。開閉蓋302はサイクロン分離部501の略円筒形状の中心軸511に略平行方向に設けてある。
したがって、この実施例においては図5に示した塵挨収容部512のほぼ全体(塵挨収容部512の透視方向で見て)が開放されるようになるので、塵挨収納部512に堆積した塵挨を円滑に排出、廃棄することができる。
そして、この開閉蓋302で開閉される開口部308の面積はおよそ以下のようにして決められている。
ここでは、説明を簡単にするため集塵装置102の形状を直径D、高さLの円柱として考える。この場合、その底面積S1はS1=π×D×D/4、円柱の側面の最大開口面積S2(円柱を中心線と平行に切断した時の面積)はS2=D×Lとなる。この面積の比は、S2/S1=(L/D)×(4/π)となる。
この式より、L>0.8Dならば円柱の底面積S2より、側面の開口面積S1が大きくなる。本実施例では、L=1.07Dであるので、円柱の底面積S2より、側面の開口面積S1が大きくなる。
本実施例では開口部308の開口面積を上記した関係が成立するようにしたが、必要に応じて開口部308の開口面積を適宜必要に応じて決定することができる。すなわち、塵挨捕集量を大きく確保したい場合等は開口部308の開口面積を最大より小さくして対応することができる。この場合でも塵挨収納室512が開放されているため操作者の手によって塵挨を掻き出すことができるので、従来例で述べたように集塵室やサイクロン分離部の内壁や狭隘路部分に引っ掛かる現象をなくすことができる。
以上述べたようにこの第1の実施形態によれば、集塵装置を小型化しても、堆積した塵埃を排出する開口部(開閉蓋部分)の面積を大きくでき、塵埃の排出が容易になるという効果がある。
更に、集塵装置を小型化しても、開口部が塵挨収容部の奥行きに比べ十分大きく塵埃の排出が容易であるため、集塵室の高さLを長くすることができ、塵埃を堆積する集塵室の集塵容積を大きくできるという効果がある。
また、サイクロン分離部にヒンジ機構を設けることで集塵室の側面部に大きな開口部を形成することができる。
また、側面に設けた開口部の開閉蓋に加えて上面部または底面部の一部も開くようにすれば、より塵埃の排出が容易になる。
また本実施例の形態では、サイクロン分離部は塵埃の分離性能を向上させるため、略円筒形状をしているが、集塵室は、後部フィルタ505の配置のしやすさ等を考慮して、略円筒形状と矩形を組み合わせた形状をしている。
また、遠心分離作用により、塵埃が多く含まれる外周側の空気が通る第1の流路と、塵埃が少ない内周側の空気が通る第2の流路を有しているため、塵埃を吸引して集塵収容部に塵埃が溜まっても、掃除機全体の吸引力を持続させることができるという効果がある。
また、堆積した塵埃は、吸引力によって圧縮されるので、より多くの塵埃をサイクロン集塵室に蓄積できるという効果がある。
また、開口蓋部を透明部材で構成すれば、堆積した塵埃が掃除機本体前面から視認しやすいという効果がある。
次に本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、掃除機本体については実施例1と基本的に同様な構成であるので以下では集塵装置について説明する。
図6は本発明の第2の実施形態にあるサイクロン方式の集塵装置601を略中央で断面した断面図を示している。
図6において、集塵装置601は塵挨を含んだ空気を旋回させることにより生じる遠心力で塵埃と空気を分離するサイクロン分離部602と分離した塵埃を溜める集塵室603より構成されている。
図に示すように、サイクロン分離部602の下方側に隣接して分離した塵埃を溜める集塵室603が配置されている。このサイクロン分離部602と集塵室603は分離できないように一体的に構成されている。この場合、集塵室603がサイクロン分離部602より下方にあるため、取り外しに際してはサイクロン分離部602と集塵室603は一体的に取り扱われる。
サイクロン分離部602を構成するサイクロン分離室617の中央付近には、サイクロン分離室617を形成する分離壁618に取り付けられた円筒形状の塵挨分離内筒604が設けられており、この塵挨分離内筒604の円筒側面に複数の貫通孔604aが設けられている。
集塵室603にはサイクロン分離部602で分離された塵挨と空気が流れ込む塵挨収容部616が形成されており、塵挨収容部616とサイクロン分離室617とは分離壁605によって隔絶されており、この分離壁605には多数の開口が設けられている。そして、塵挨収納部616側の分離壁605の面には背面フィルタが配置されている。
ホース取り付け口201から吸い込まれた塵埃を含む空気は流入口607からサイクロン分離室617に流入し、塵挨を含んだ空気は逆流防止弁613を通って塵挨収納部616に流れ、背面フィルタを通って塵挨分離内筒604の内部を介してフィルタ収納部619へと流れる。したがって、背面フィルタ部分に塵挨609が順次堆積していって塵挨が捕集されるものである。
また、サイクロン分離室617で分離出来なかった塵挨と空気は塵挨分離内筒604の円筒側面に設けた複数の貫通孔604aを通ってフィルタ収納部619へと流れる。
フィルタ収納部619は塵挨分離内筒604と接続されており、サイクロン分離部602で分離されなかった塵挨と空気が流れ込んで後部フィルタ606で塵挨を捕集するようになっている。
集塵室603の下面の中心軸線615より幾分だけ外周側に離れた位置にヒンジ機構614が設けられており、このヒンジ機構614に開閉蓋610が回動自在に支持されている。
開閉蓋610は図7にあるように、集塵収容部616の底面部の一部を形成する下面部610Aと、集塵収容部616の側面部620の開口部621を開閉する側面部610Bより構成されている。
ここで、サイクロン集塵室617と集塵収容部616を結ぶ塵挨搬送路613には逆流防止弁622が設けられている塵挨搬送路613及び逆流防止弁622は実施例1とは異なって開閉蓋610に取り付けられておらず、集塵収容部616側に取り付けられている。塵挨搬送路613はサイクロン分離室617で分離された塵挨と空気を塵挨収容部616に搬送するための通路であって、この部分の通路面積は狭くなっている。
そして、開閉蓋610のヒンジ機構614とは反対側の端面は塵挨搬送路613が設けられている部分まで延び、開閉蓋610を開放した時に塵挨搬送路613に詰まっている塵挨を取り除くことができるようになっている。
また、開閉蓋610の側面部610Bの全体、或いは一部を塵挨収容部616に堆積した塵挨を目視できる構成、例えば透明なプラスチック材料で構成すれば、堆積した塵埃が掃除機本体前面から視認しやすいという効果がある。
更に、図6にあるように第2の実施形態によれば、分離壁605は中心軸線615を越えて設けられているので開口部621は最大面積ではない。(最大面積は直径部分)これは集塵収容部616の容量を大きくしたためである。ただ、この場合も塵挨収納室512が開放されているため操作者の手によって塵挨を掻き出すことができるので、従来例で述べたように集塵室やサイクロン分離部の内壁や狭隘路部分に引っ掛かる現象をなくすことができる。
以上において、図1に示す電動送風機202により発生した吸引力により吸い込まれた塵埃を含む空気は、吸口体107、延長管106及びホース103を通って集塵装置601内に流入する。
流入した塵埃を含む空気はサイクロン分離部602の内周面に略沿って流れるように流入口607より流入し、サイクロン分離部602の内部を矢印608で示すように旋回され、この旋回による遠心分離作用で空気と塵埃が分離される。
遠心分離作用により外周側の空気は塵埃が多く含まれ、逆に内周側の空気は塵埃が少なくなっている。そして、遠心分離後の塵埃を多く含んだ空気は第1流路である矢印611で示すように開口蓋610の内周側を通って集塵室603の塵挨収容部616内に流入して塵挨分離内筒604に向けて流れ、この時に塵埃は分離壁605の背面フィルタ付近から順次堆積していく。
一方、遠心分離作用によって塵埃が分離された塵埃が少ない空気は第2流路である矢印612に示すように、塵挨分離内筒604に設けられた複数の貫通孔604aから塵挨分離内筒604の内部を通って上部フィルタ606に流入する。この第2流路の流れは集塵室603内に蓄積した塵埃609を通過しないので、塵埃609が大量に堆積して第1流路の流れ611が徐々に遮られても、第1流路には塵埃の蓄積が少ないので、遠心分離で塵埃が分離された空気を流入させ続けることができるため、掃除機全体の吸引力を持続させることができる。一方、背面フィルタ605上に堆積した塵埃は、吸引力によって圧縮される。
サイクロン分離部602の遠心分離作用によって分離できなかった小さく軽い塵埃や背面フィルタ605で捕集できなかった細かい塵埃は、上部フィルタ606によって捕集される。上部フィルタ606を通過した空気は、電動送風機202内に吸引される。この上部フィルタ606は、通気面積を拡大するために断面形状が略円形状の枠体内にプリーツ状(ひだ折り)に折られたフィルタ部材で形成されている。
また、実施例1と同様に塵挨分離内筒604の貫通孔604aや、分離壁605の貫通孔の代わりに、金属やナイロンやポリエステルなどで構成されたメッシュ部材が、被覆またはインサート成形などにより貼着されていてもよい。また、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀)や抗菌物質(例えば、銀)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成させてもよい。
以上のような動作を行なう電気掃除機において、使用者が堆積した塵埃609を捨てる時は、図7に示すように集塵装置601を電気掃除機本体101から取り外し、開閉蓋610を開放して溜まった塵埃609を排出することができる。開閉蓋302はサ集塵部603の略円筒形状の中心軸615に略平行方向に設けてある。
したがって、この実施例においては図6に示した塵挨収容部616のほぼ全体が開放されるようになるので、塵挨収納部512に堆積した塵挨を円滑に排出、廃棄することができる。
尚、図6にあるように分離壁605は中心軸線615を越えて設けられているので開口部621は最大面積ではないが、塵挨収納室512が開放されているため操作者の手によって塵挨を掻き出すことができるので、従来例で述べたように集塵室やサイクロン分離部の内壁や狭隘路部分に引っ掛かる現象をなくすことができる。
以上述べたように実施例によれば、集塵装置を小型化しても、堆積した塵埃を排出する開口部(開閉蓋部分)の面積を大きくでき、塵埃の排出が容易になるという効果がある。
また、遠心分離作用により、塵埃が多く含まれる外周側の空気が通る第1の流路と、塵埃が少ない内周側の空気が通る第2の流路を有している。この第2流路の流れは塵埃収容部を通過しないので、集塵室内に蓄積した塵埃を通過せず、塵埃が大量に堆積して第1流路の流れが徐々に遮られても、遠心分離で塵埃が分離された吸気を流入させ続けることができるため、掃除機全体の吸引力を持続させることができる。このため掃除機全体の吸引力を持続させることができるという効果がある。
また、堆積した塵埃は吸引力によって圧縮されるので、より多くの塵埃をサイクロン集塵室に蓄積できるという効果がある。
また、開口蓋部を透明部材で構成すれば、堆積した塵埃が掃除機本体前面から視認しやすいという効果がある。
更に、本実施例によれば、集塵室の側面部および底面部の一部が開口出来るので、塵埃の排出がさらに容易になるという効果がある。
更に、集塵室のゴミ搬送路の中で最小流路断面積である搬送口を開口できるで、塵埃が集塵室から溢れた場合や搬送口に引っかかった場合でも、容易に塵埃を取り除く事が出来る。
次に本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、掃除機本体については実施例1と基本的に同様な構成であるので以下では集塵装置について説明する。
図8は本発明の第3の実施形態にあるサイクロン方式の集塵装置801を略中央で断面した断面図を示している。
図8において、集塵装置801は塵挨を含んだ空気を旋回させることにより生じる遠心力で塵埃と空気を分離するサイクロン分離部802と分離した塵埃を溜める集塵室803より構成されている。
図に示すように、サイクロン分離部802の下方側に隣接して分離した塵埃を溜める集塵室803が配置されている。このサイクロン分離部802と集塵室803は分離できないように一体的に構成されている。この場合、集塵室803がサイクロン分離部802より下方にあるため、取り外しに際してはサイクロン分離部802と集塵室803は一体的に取り扱われる。
サイクロン分離部802を構成するサイクロン分離室817の中央付近には、サイクロン分離室817を形成する分離壁818に取り付けられた円筒形状の塵挨分離内筒804が設けられており、この塵挨分離内筒804の円筒側面に複数の貫通孔804aが設けられている。
集塵室803にはサイクロン分離部802で分離された塵挨と空気が流れ込む塵挨収容部816が形成されている。この塵挨収容部816とサイクロン分離室817とは塵挨分離内筒804に固定した傘状の分離壁805によって区画されている。そして、この分離壁805とサイクロン分離室817及び塵挨収容部816を形成する壁面との間に円環状の塵挨搬送路813が形成されている。
塵挨収納部816に開口した傘状の分離壁805の開口部820には必要に応じて背面フィルタ等を設けて塵挨を捕集するようにしても良い。
塵挨収容部816とサイクロン分離室817とは塵挨搬送路813の部分で分割線815に示すように分割されており、両者はヒンジ機構814によって連結されている。したがって、ヒンジ機構814の反対側には両者はフック機構によって係合、離脱できるように構成されている。このため、フック機構を解除すると塵挨収納部816はヒンジ機構814を支点として回動可能であるので、塵挨収納部816は重力方向に垂下して開放されるようになる。
ホース取り付け口201から吸い込まれた塵埃を含む空気は流入口807からサイクロン分離室817に流入し、塵挨を含んだ空気は塵挨搬送路813を通って塵挨収納部816に流れ、分離壁805の開口部820、塵挨分離内筒804の内部を介してフィルタ収納部819へと流れる。
したがって、集塵収容部816に塵挨809が順次堆積していって塵挨が捕集されるものである。この場合、開口部820に背面フィルタを設けるとより捕塵性能を向上できるようになる。
また、サイクロン分離室817で分離されなかった塵挨と空気は塵挨分離内筒804の円筒側面に設けた複数の貫通孔804aを通ってフィルタ収納部819へと流れる。
フィルタ収納部819は塵挨分離内筒804と接続されており、サイクロン分離部802で分離されなかった塵挨と空気が流れ込んで後部フィルタ806で塵挨を捕集するようになっている。
サイクロン分離室817を形成する側面にはヒンジ機構814の一方が固定され、このヒンジ機構814の他方に塵挨収容部816を兼用する開閉蓋810が回動自在に支持されている。したがって、塵挨収容部816の側面部が実施例1や実施例2に示した塵挨収納部512、616の側面部に該当する。
そして、開閉蓋810を開放した時に塵挨搬送路813に詰まっている塵挨を取り除くことができるようになっている。
以上において、電動送風機202により発生した吸引力により吸込まれた塵挨を含む空気は吸口体107、延長管106、ホース103を通って集塵装置801内に流入する。流入した塵挨を含む空気はサイクロン分離部802の内周面に沿う旋回成分を持つように開口している流入口807により、サイクロン分離部802の内部を矢印808で示すように旋回して遠心分離作用で空気と塵埃を分離する。
遠心分離作用により外周側の空気は塵埃が多く含まれ、逆に内周側の空気は塵埃が少なくなっている。遠心分離後の塵埃を含む空気は矢印811に示すように、分離壁805とサイクロン分離部802の内周面との塵挨搬送路813を通って集塵室816内に堆積する。
一方、遠心分離作用によって塵埃が分離された塵埃が少ない空気は矢印808及び矢印812に示すように、塵挨分離内筒804に設けられた複数の貫通孔804aから塵挨分離内筒804の内部を通って上部フィルタ806に流入する。この矢印808の流れは集塵収納部816内の蓄積した塵埃809を通過しないので、塵埃を吸引して集塵収容部816に塵埃800が溜まった状態でも掃除機全体の吸引力を持続させることができる。
サイクロン分離部802の遠心分離作用によって分離できなかった小さく軽い塵埃は、上部フィルタ806によって捕集される。上部フィルタ806を通過した空気は電動送風機202内に吸引される。この上部フィルタ806は、通気面積を拡大するために断面形状が略円形状の枠体内にプリーツ状(ひだ折り)に折られたフィルタ部材で形成されている。
また、実施例1と同様に塵挨分離内筒804の貫通孔の代わりに、金属やナイロンやポリエステルなどで構成されたメッシュ部材が、被覆またはインサート成形などにより貼着されていてもよい。また、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀)や抗菌物質(例えば、銀)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成させてもよい。
使用者が堆積した塵埃809を捨てる時は、図9に示すように集塵装置801を電気掃除機本体101から取り外し、開閉蓋810を開いて溜まった塵埃を排出する。
ここで、分離壁805とサイクロン分離室817及び塵挨収容部816の内周面との間に形成した塵挨搬送路813付近は通過面積が狭いので塵埃が引っ掛かり、溜まりやすい。これに対して、開口蓋810はこの塵挨搬送路813付近で開口するように構成してあるため、の塵挨搬送路813付近に堆積した塵埃も排出しやすいものである。
本実施例では、開閉蓋810とサイクロン分離室817との分割線815は開閉蓋810の底面部と略平行に構成したが、破線で示す分割線821に示すように傾斜した方向でも構わないものであり、この場合部分的に塵挨搬送路813付近の最狭部を含めば塵埃を排出しやすいものである。
以上述べたように実施例によれば、集塵室803のゴミ搬送路の中で最小流路断面積である塵挨搬送路813を開放できるで、塵埃が集塵室803から溢れた場合や塵挨搬送路813に引っ掛かった場合でも容易に塵埃を取り除くことができる。