本発明の実施の形態例について、図面を引用して説明する。まず、図1から図4に沿って電気掃除機の概要から説明する。図1は、本発明の一実施の形態例を示す電気掃除機の外観斜視図である。図2は、この掃除機本体の上蓋を開いた状態を示す斜視図である。図3は、この掃除機本体の上蓋を開いて、集塵ケースを取り外した状態を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケースの外観斜視図である。
本実施の形態における電気掃除機1は、図1と図2に示すように、掃除機本体2とホース12と手元操作管13と伸縮継手管14と吸口15を備え、掃除機本体2と手元操作管13をホース12で接続し、この手元操作管13に伸縮継手管14を介して吸口15を接続して使用する。なお、ホース12は接続部12aを掃除機本体2のホース接続口部10に取り付けている。
掃除機本体2は、電動送風機(図示せず)とコードリール(図示せず)とを内蔵する。電動送風機を駆動した際の吸気流により、吸口15から含塵空気を吸い込み、吸い込んだ含塵空気を伸縮継手管14と手元操作管13とホース12を介して掃除機本体2に吸い込ませ、集塵ケース5で塵埃を捕集(集塵)した後に空気を機外に排気する。なお、電気掃除機1の運転モードの切り替えは手元操作管13に設けたスイッチ16により行える。
掃除機本体2は、図2から図3に示すように、下本体ケース3と上蓋8の間に配置した上本体ケース4の凹部に形成した集塵ケース収納部9に、集塵ケース5を着脱可能に装着している。なお、上蓋8は、上本体ケース4の上側後部に転回可能に取り付けている。集塵ケース5の出し入れは、図2に示すように上蓋8を開いて行われ、電気掃除機1を運転中には、上蓋8は閉じられている。
また、下本体ケース3と上本体ケース4の間にフィルターケース17を設け、このフィルターケース17に、保護フィルター18と、この保護フィルター18を抑えるフィルターカバー19とを配置している。さらに、フィルターケース17の上側には除塵ユニット7を配置している。除塵ユニット7に設けた除塵回転体24が回転して、後述するプリーツ状に成形された第2フィルター21を弾いて、この第2フィルター21で捕集した塵埃を除塵する。
また、下本体ケース3は、この掃除機本体2を床面に走行させるための走行車輪11と案内車輪(図示せず)を備えている。さらに、上本体ケース4の上部にはハンドル6が転回可能に取り付けられており、掃除機本体2を持ち運ぶ事ができる。
集塵ケース5に設けた流入口30(流入管)とホース接続口部10に差し込んだホース12の接続部12aとが、弾性体シール部材10aを介して気密状態に当接している。流入口30は、空気の流路が形成される管状の部材で形成される。ここで、集塵ケース5を掃除機本体2に装着した際に、後述する第2フィルター21の枠体に設けた弾性体シール部材62により、集塵ケース5とフィルターケース17の気密が取れるようにしている。さらに、このフィルターケース17と、電動送風機(図示せず)が弾性体の防振ゴム(図示せず)を介して気密状態に当接している。
次に、掃除機本体2内部の配置について説明する。ホース接続口部10は上方から見て掃除機本体2の幅方向の中央にあり、かつ、掃除機本体2の前面に配置している。集塵ケース5の流入口30も同様に集塵ケース5の幅方向の中央にあり、かつ、集塵ケース5の前面に配置している。集塵ケース5を集塵ケース収容部9に装着した状態では、ホース接続口部10と流入口30とが近接または当接するようになる。このように配置したことで、集塵ケース5の入口部分に曲り流路などを設ける必要が無いため、通気損失を小さくできる効果が得られる。
また、集塵ケース5には空気取り入れ口である流入口30が、この集塵ケース5の高さ方向の中央より下部に設けられているので、流入口30に連通するホース接続口部10も、掃除機本体2の高さ方向の中央より下部に配置することができる。このため、ホース接続口部10は、掃除機本体2の下部に配置することができるので、使用者が手元操作管13を持ってホース12を介して掃除機本体2を引き回した場合、掃除機本体2が転倒しにくく安定して引き回す事ができる。
次に図4から図15を参照して集塵ケース5について説明する。図4は、本発明の一実施の形態例を示す、集塵ケース5の外観斜視図である。図5は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5の側面図である。図6は、図4の矢印70方向に見た集塵ケース5の流入口30の中央を含む断面図である。図7は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5の流入口30の中央部分の断面図である。図8は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5の前蓋26(閉塞部材)を開いたところを示した正面図である。図9(a)は、図8に示すA−A断面図である。図9(b),(c)は図9(a)に示すP部拡大図である。図10は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5の前蓋26と第2フィルター21を開いたところを示した正面図である。図11は、図10に示すB−B断面図である。図12は、本発明の一実施の形態例を示す集塵容器20がクランプ部材29(係止手段)により保持されたところを示す斜視図である。図13は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5から取り外した集塵容器20を示した外観斜視図である。図14は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5を背面から示した斜視図である。図15は、本発明の一実施の形態例を示す集塵ケース5から第2フィルター21を開放したところを示した斜視図である。
集塵ケース5は図6から図12に示すように、内部に塵埃を捕集するとともにこの塵埃を収容するための集塵容器20を備え、この集塵容器20は集塵ケース5の開口部25から突き出し可能に設けられている。この集塵容器20は、一部が集塵ケース5の開口部25から突き出した状態においては他の部分が集塵ケース5内に位置している。また、この集塵容器20は、空気と塵埃とを分離する第1フィルター64を備える。集塵容器20は、第1フィルター64により大きめの粗塵を濾過捕集する。
集塵ケース5は、前側に集塵容器20が出没する開口部25を有する。開口部25を開閉する開閉蓋としての前蓋26の下部には回動軸27を設け、前蓋26は回動軸27により集塵ケース5の外周側で前側下部に回動自在に支持される。前蓋26は、塵埃を含んだ含塵空気が流入する流入口30を有し、この流入口30を通過した含塵空気は集塵容器20に流入する。集塵容器20は流入口30側(前側)が開口し、開口とは反対側の奥側(底側)と上下左右側面に第1フィルター64を設けた容器状に形成され、空気の流れから見て上流側が開口し、下流側に第1フィルター64を配置している。集塵容器20の形状は、一つの面が開口したかご形状,箱形状または容器形状であってもよいし、ちりとり形状であってもよい。開口とは反対側の奥側(底側)が曲面で形成されてもよい。つまり、集塵容器20は、開口と反対側に凹んだ形状を有する。集塵容器20の断面形状は、略四角形状であってもよいし、略円形状であってもよいし、略三角形状であってもよい。そして、集塵容器20の開口部は流入口30と対向させるように配置され、流入口30から流入した塵埃を集塵容器20で受け入れるようにしている。そして、集塵容器20は前蓋26を開いたときに、塵埃が流れ込む流入口30に向かって突き出す(飛び出す)ようにしている。すなわち、第1フィルター64を備えた集塵容器20は、集塵ケース5の開口部25から突き出し可能に設けられ、第1フィルター64の上流側で捕集した塵埃を、空気の流れ方向(塵埃を吸込む方向)とは逆向きに、空気の流れ方向上流側に向かって押し出すように排出する。このため、集塵容器20が集塵ケース5の開口部25から突き出す際の動作を阻害することがなく、集塵容器20に収容した塵埃の廃棄を容易に行うことができる。流入口30には、集塵容器20に溜った塵埃が逆流したり、吸引した塵埃が集塵ケース5からこぼれるのを防ぐ逆止弁31が備わる。
集塵ケース5の上部には、前後に延びるハンドル28を設けている。ハンドル28の先端側に閉じられた前蓋26を閉じた状態に拘束する前蓋用拘束手段としてのクランプ部材29(係止手段)を有する。また、前蓋26の上部には係止溝40を設け、クランプ部材29の鉤36と係合して前蓋26を拘束している。この前蓋用拘束手段により、前蓋26は閉じた状態に拘束されており、クランプ部材29を押して鉤36が係止溝40から上方に移動して係止を解くことにより、前蓋26は前側に倒れるように開放される。
なお、前蓋26を閉じれば、この前蓋26が集塵容器20を押して集塵ケース5内の所定の位置に集塵容器20を収納し、クランプ部材29の鉤36が前蓋26の上部に設けた係止溝40に係合して前蓋26を拘束するとともに、この前蓋26により集塵容器20も係止される。つまり、クランプ部材29を開放する一つの動作で、前蓋26と集塵容器20の両方を開放でき、前蓋26を閉じる一つの動作で、前蓋26と集塵容器20を所定の位置に係止できる特徴を備える。なお、前蓋26を閉じて集塵容器20を使用者が押して集塵ケース5内へ収容する際、図8(a)に示す集塵ケース5の鍔部42が、クランプ部材29側の集塵容器20である塵埃収容部片20Aの支骨63を押すので、開いている集塵容器20は閉じる方向に力を受ける。つまり、前蓋26が集塵容器20を押して集塵ケース5内に集塵容器20を戻し入れるとともに、開いていた集塵容器20は閉じながら所定の位置に戻し入れられる。よって、集塵容器20を集塵ケース5に収容する動作は容易に行うことができる。
ここで、クランプ部材29側である集塵容器20の上方に、係止溝37を設けている。このため、集塵ケース5の開口部25から突き出している集塵容器20を集塵ケース5側へ押すと、図11に示すようにクランプ部材29の鉤36がこの係止溝37と係合して、集塵容器20を保持することが可能である。なおこの状態は、集塵容器20が集塵ケース5の開口部25から突き出している状態と、塵埃を吸引する際に集塵ケース5内の所定の位置に係止された場合の間の位置で集塵容器20が保持された状態である。この状態では、集塵容器20内の清掃を行い易くしたり、後述する塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を用いる際に、この塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を配置し易くする特徴を備える。なお、この場合でもクランプ部材29を開放する一つの動作で、前蓋26と集塵容器20の両方を開放できる。また、この状態から前蓋26を閉じると、前蓋26に押されて集塵容器20を集塵ケース5内の所定の位置に収納することも可能である。
集塵容器20は、上下に分割される少なくとも二つの塵埃収容部片20A,20Bを有する。集塵容器20は左右に分割することも可能であるが、ここでは上下に分割された二つの塵埃収容部片20A,20Bに沿って説明する。
図6から図13に示すように上側の塵埃収容部片20Aと、下側の塵埃収容部片20Bとが上下に合わさり集塵容器20が形成され、塵埃廃棄口65は集塵容器20の前側に設けられる。集塵容器20の奥側/後側には回動軸66が設けられ、二つの塵埃収容部片20A,20Bは、この回動軸66で回動自在に連結支持される。回動軸66で回動自在に連結支持された二つの塵埃収容部片20A,20Bは、塵埃廃棄口65を拡げたり、狭めたりすることができる。なお、塵埃廃棄口65を広げるために回動軸66はバネ(図示せず)を用いて付勢してもかまわない。このバネは、つるまきバネや板バネが用いられる。また、鋼線をロの字型に曲げ、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aと塵埃収容部片20Bに引っ掛けて、開放するように付勢してもよい。
ここで図6に示すように、集塵容器20は二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさる状態では、塵埃廃棄口65から奥側(空気の流れ的に見て上流側から下流側)に向かって狭くなる形状であり、二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさる状態では、集塵容器20の側面形状は略D字形状をしている。集塵容器20は、流れに対する断面積が上流側である流入口30側に配置している塵埃廃棄口65から、下流側へ小さくなっている。言い換えれば、集塵容器20は塵埃廃棄口65に向かって拡がっている。また、集塵ケース5と集塵容器20外部との間で構成される流路38の流路は、上流側である前蓋26側から、下流側である第2フィルター21側へと拡大していく形状となっている。
集塵容器20から流出した空気流は、流路38の最下流側である第2フィルター21の上流側では、集塵ケース5に流入した空気流が全て流れるため、流路38の最上流側よりも空気の風量が多い。つまり、第1フィルター64を通過した空気流がこの流路38の上流側から下流側に向かって次第に集まっていくので、流路38を流れる空気流の風量は上流側から下流側へ次第に増える構成となっている。このため、流路38が拡大流路となることで、この流路38内で大きな速度増加を防ぐことができ、通気損失を低減することができる。
また、ホース接続口10と連通する集塵ケース5の吸込口である流入口30の延長上に集塵容器20は配置されており、この集塵容器20は、円弧状に形成し二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさる状態では、図6に示すように集塵容器20の横断面は、円弧とこの円弧と略接する直線部で構成されており、側面形状は略D字形状をしている。また、集塵ケース5の流入口30は、集塵容器20内方に延出される円筒状に形成される。つまり、流入口30の出口端は、集塵容器20の開口よりも集塵容器20の内側に突出して位置する。また、空気の流れが流入口30の出口端で乱れるのを抑制するために、流入口30の出口端は、集塵容器20の内壁面に近接または当接するのが好ましい。そして、集塵ケース5の流入口30の中心軸100は、集塵ケース5の高さ方向の中央、すなわち、集塵容器20の高さ方向の中央より下部に設けられており、下側の塵埃収容部片20Bを構成する直線部200と略平行に沿って形成される。その結果、集塵ケース5の流入口30の中心軸100は、集塵ケース5を集塵ケース収納部9に収納した状態では、電動送風機の中心軸(回転軸)が存在する側へ向かって、上向きに傾斜している。略平行よりもさらに上向きに傾斜していてもよい。さらに、集塵ケース5の流入口30の中心軸100は、集塵ケース5の出口開口近傍(第2フィルター21の出口近傍)において、電動送風機の回転軸の軸方向が掃除機本体の前後方向である横置きの電動送風機の回転軸の軸心または横置きの電動送風機の吸引口の中心を通り掃除機本体の前後方向に沿った直線と交差してもよい。ここで、交差するとは、掃除機本体を横から見たときに交差していればよく、つまり掃除機本体の前後方向および上下方向で交差していればよく、掃除機本体の幅方向では交差せずにずれていてもよい。なお、集塵ケース5の流入口30の中心軸100を流入口30に設けた逆止弁31を用いて形成も可能である。
流入口30の流路断面形状は、略円形状であってもよいし、略半円形状であってもよいし、略楕円形状であってもよいし、略四角形状であってもよい。流入口30の中心軸100は、流路断面の中心を結んだ直線または曲線となる。流入口30は、直線的に延びていてもよいし、湾曲または屈曲して延びていてもよい。流入口30の流路断面形状が軸方向で略同一であれば、流入口30の内壁面の流路方向と流入口30の中心軸100の方向とは略平行である。流入口30の流路断面形状が軸方向で拡大したり縮小したりする場合は、流入口30の内壁面の軸方向の方向と流入口30の中心軸100の方向とは平行ではなく、拡大の場合は流入口30の内壁面の流路方向が流入口30の中心軸100の方向よりも拡がる方向であり、縮小の場合は流入口30の内壁面の流路方向が流入口30の中心軸100の方向よりも狭くなる方向である。直線部200とは、集塵容器20の上下左右の内壁面が、集塵容器20の開口部から奥側壁面に向かって直線部を形成する場合に、その直線部をいう。あるいは、直線部200とは、集塵容器20の上下左右の内壁面が、流入口30の出口端に対応する位置から奥側壁面に向かって直線部を形成する場合に、その直線部をいう。集塵ケース5の流入口30の中心軸100を、直線部200と略平行に沿って形成する代わりに、集塵ケース5の流入口30の内壁面の方向を直線部200と略平行に沿って形成してもよい。特に、集塵ケース5の流入口30を集塵容器20の下寄りに連通する場合は、集塵ケース5の流入口30の下側壁面の流路方向を、集塵容器20の下側壁面の直線部200と略平行に沿って形成するのが好ましい。集塵ケース5の流入口30を集塵容器20の上寄りに連通する場合は、集塵ケース5の流入口30の上側壁面の流路方向を、集塵容器20の上側壁面の直線部200と略平行に沿って形成するのが好ましい。集塵ケース5の流入口30を集塵容器20の左右の何れか寄りに連通する場合は、集塵ケース5の流入口30の左右の何れかの壁面の流路方向を、集塵容器20の左右の何れかの壁面の直線部200と略平行に沿って形成するのが好ましい。集塵容器20の上下左右の内壁面が集塵容器20の開口部から奥側壁面に向かって直線部を形成しない場合は、集塵ケース5の流入口30の中心軸100または集塵ケース5の流入口30の内壁の方向を、流入口30の出口端に対応する位置における集塵容器20の壁面の接線方向に沿って形成するのが好ましい。流入口30が湾曲または屈曲している場合は、流入口30の出口近傍の中心軸100や流入口30の出口近傍の壁面の流路方向を基準とするのが好ましい。流入口30が出口端でも湾曲または屈曲している場合は、流入口30の出口端の中心軸100の接線方向や流入口30の出口端の壁面の接線方向を基準とするのが好ましい。
集塵ケース5の流入口30から集塵容器20に流入し、集塵容器20で捕集されて収容される含塵空気は、塵埃の重さによる慣性によって、流れが直接当たり易い第1フィルター64の最下流付近のみではなく、流入口30から流入口30の延長上にある集塵容器20の円弧に沿って、集塵容器20の前側である前蓋26側にも塵埃を搬送し堆積させていく。
ここで、集塵容器20に流入した空気流は該集塵容器20内で第1フィルター64の最下流側から第2フィルター21上流側へ流れる第1の気流73と、集塵容器20の前側である前蓋26側に流れる第2の気流74を生じている。この第1の気流73は、集塵ケース5の流入口30から、集塵容器20の内に流れる空気流が下側の塵埃収容部片20Bを構成する直線部と略平行に沿って、電動送風機に向かって直線的に流れるため、風の運動エネルギー損失を防止でき、通気損失を低減するとともに、第2の気流74で下側の塵埃収容部片20Bを構成する円弧に沿って集塵容器20の前蓋26側に搬送する含塵空気の流速を増すことができる。この結果、第1の気流73によって速度を増した第2の気流74が、塵埃容器20の前側である前蓋26側に堆積する塵埃の圧縮性を高めることができ、塵埃を多量に蓄積し、掃除機本体2の風量が低下した場合でも吸引力を維持できる。
なお、第2の気流74によって集塵容器20の内、前蓋26に近い第1フィルター64を通過する空気流も生じ、第1フィルター64全体を覆うように塵埃が堆積していく。つまり、集塵容器20に塵埃が溜っていく際にも、第1フィルター64を通過した空気流がこの流路38の上流側から下流側に向かって次第に集まっていくので、流路38を流れる空気流の風量は上流側から下流側へ次第に増える構成となっている。このため、流路38が拡大流路となることで、この流路38内で大きな速度増加を防ぐことができ、通気損失を低減することができる。
また、図7に示すように、集塵ケース5の流入口30の流路内径をホース12の接続部側である上流側から、集塵容器部内方に延出される下流側方向へ向かって拡がっていく形状にすると、流入口30から集塵容器20に空気流が流入する際の、急拡大による通気損失を低減でき、より好ましい。
さらに、流路38の最下流で第2フィルター21へ流入する空気流の流速を減速し、局所的に速い部分の出現を防げるので、この第2フィルター21を通過する際の通気損失の上昇を抑えることができ、吸込仕事率を向上することができる。また、この第2フィルター21へ流入する空気流の分布に、局所的に速い部分の出現を防げるので、第2フィルター21で捕集されずに吹き抜ける塵埃量を少なくすることが可能となる。この結果、集塵ケース5の塵埃の捕集効率を向上することができ、掃除機本体2からの排気を清浄化できるとともに、電動送風機へ微細な塵埃が流入することも抑制でき、電動送風機の電動機部の故障を抑制することができる。
なお、集塵ケース5が上流側である前蓋26側から、下流側である第2フィルター21側へと拡大するように構成されているので、第2フィルター21のフィルター面積を大きくすることもできる。この結果、第2フィルター21を通過する空気流の流速を減速できるので、通気損失を低減することができるとともに、この第2フィルター21での塵埃の捕集効率を向上することができる。
また、集塵容器20の内、通気部である第1フィルター64だけでなく、不通気部である前蓋26側にも塵埃を搬送することができるので、第1フィルター64の塵埃による目詰まりを抑制するとともに、集塵容器20内に収容する塵埃量を向上することも可能となる。
また、集塵容器20の集塵ケース5と集塵容器20外部との間で構成される流路38の上流は前蓋26付近まであるので、集塵容器20内に塵埃を吸い込んでも通気損失の上昇を低くすることができ、電気掃除機1の吸引力の低下を抑制することができるという特徴も備える。なお、集塵容器20の断面形状を円弧の変わりに楕円の一部や、滑らかに変化する曲線を用いて構成してもかまわないし、おわん型としてもかまわない。
集塵ケース5の後側には、波形にプリーツ加工されたフィルターを有する第2フィルター21が備えられ、この第2フィルター21は図14や図15に示すように、回動軸23により集塵ケース5に対して開閉自在に設けられる。第2フィルター21の下部は集塵ケース5の下部に回動軸23により回動自在に支持され、上部は集塵ケース5の上部に設けたフック22に係止されている。フック22を操作する操作ボタン32を押すことにより、このフック22の係止が外されると、第2フィルター21は下部の回動軸23を回動中心として開かれる。第2フィルター21は、例えば、高密度のHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルターとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルターである。
集塵容器20は、第1フィルター64により大きめの粗塵を濾過捕集する。細かな微細塵は、集塵容器20を通過して第2フィルター21で濾過捕集される。除塵ユニット7は、図3に示すように除塵回転体24を有する。この除塵回転体24は、コードリール(図示せず)に巻装された電源コード(図示せず)の巻き解きに伴って回転作動し、第2フィルター21に設けた補強部33をガイド34に沿って弾いて振動させて、第2フィルター21で捕集された微細な塵埃を第2フィルター21から除塵する。この第2フィルター21から除塵された微細な塵埃は下方に落下し、一部は図6に示す第2フィルター21の下方に設けたスロープ68を滑り、第2フィルター21の前方に設けた集塵ケース5の下部に備えた後述する微細塵収容部51に溜められる。なお、この微細塵収容部51は電気掃除機1の運転により集塵ケース5内を空気流が通過する際に、除塵された微細な塵埃が再飛散して、第2フィルター21に再付着するのを防ぐように構成されているのが望ましい。ここでは、前蓋26を閉じた際には、微細塵収容部51の上流側である第2廃棄口67が前蓋26に設けた弾性体シール部材52に覆われるように構成しておけばよい。
集塵容器20は、外郭形状を保つ支骨63と、この支骨63の内壁面に張られた第1フィルター64とを有する。支骨63間は開口している。よって、集塵容器20の上下左右の壁面および奥側壁面も部分的に開口し、集塵容器20の前側開口が前蓋26で閉塞された場合にも、上下左右の壁面および奥側壁面が通気可能である。支骨63は、ABS樹脂などの樹脂やステンレスなどの金属で構成するのが好ましい。よって、支骨63はこのような硬質材料で形成されるため、その形状を維持でき、紙パックのように膨らんだり、大きく変形することはない。この第1フィルター64は、メッシュ状の網フィルターとか、金網とか、微小な穴を有する金属板とか、微小な穴を有するプラスチックの板などで構成されているので、第1フィルター64は粗塵を濾過捕集する。なお、塵離れを良くするために第1フィルター64をステンレス等の通電性の高い金属を用いたり、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維にステンレス等の金属粒子をスパッタリング処理したものを用いたりすると良い。なお、第1フィルター64のうち、流入口30の延長上にある下側の塵埃収容部片20Bの円弧部に設けた箇所は、吸込んだ塵埃が直接当り易いので尖ったもので穴があかないように、この部分の第1フィルター64にステンレス等の金属で構成された網を用いるとなお良い。使用者は、第1フィルター64の内壁面に沿って、ティッシュペーパを装着することも可能である。ティッシュペーパの隅を、集塵容器20の開口部の外縁の支骨63と前蓋16とで挟み込めば、ティッシュペーパを保持可能である。
ここで、集塵容器20に流入した空気流は該集塵容器20内で渦流を生じているが、集塵容器20を通過した流れは、第1フィルター64により整流されて集塵容器20を流出する。つまり、第2フィルター21へ流入する空気流の分布に局所的に速い部分の出現を防げるので、この第2フィルター21を通過する際の通気損失の上昇を抑えることができるとともに、第2フィルター21で捕集されずに吹き抜ける塵埃量を少なくできるので捕集効率を向上できる。
なお、集塵容器20で捕集された綿ゴミなどの軽くてフワフワした繊維塵は、集塵容器20を通過する空気流により、圧縮された固まりとなり易い。電気掃除機1を運転中にはこの集塵容器20内で圧縮されて固まりとなった繊維塵により、集塵容器20は電動送風機(図示せず)側である第2フィルター21側へ押される。集塵容器20に設けた支骨63は第1フィルター64を貼るためだけではなく、集塵容器20の強度を増すので、集塵容器20の変形を抑制することができ、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aと20Bの間から塵埃がこぼれるのを防ぐ効果もある。
加えて、集塵容器20で捕集された綿ゴミなどの繊維塵は、集塵容器20内で圧縮された固まりとなり易いので、この固まりとなった繊維塵により集塵容器20に流入した微細な塵埃の一部も捕集される。これらの、圧縮された塵埃の固まりは、電気掃除機の運転を停止すると空気流による圧縮力が無くなり、圧縮された塵埃の固まりが広がり、塵埃の固まりの体積が大きくなる。
しかし、集塵容器20は、塵埃廃棄口65に向かって拡がっており、しかも溜った塵埃を捨てる際に二つの塵埃収容部片20A,20Bが塵埃廃棄口65を拡げるように開放するので、集塵容器20に収容した圧縮された塵埃の固まりが広がった場合でも塵埃廃棄口65から容易に排出することができる。塵埃を廃棄する際、集塵容器20に吸引された塵埃は空気流により、圧縮された固まりとなり易いので、集塵容器20から塵埃廃棄口65を通じて排出する際も固まり状となって排出され、集塵容器20に設けた第1フィルター64には、塵埃の付着や絡み付きが少なく、目詰まりが生じにくい。このため、集塵容器20に溜った塵埃を捨てるだけで、第1フィルター64の除塵の手間を防ぐことができる。なお、集塵容器20を円弧上に形成しているので、塵埃の付着や絡み付きを抑制することが可能である。
また、集塵容器20内で圧縮されて固まりとなった繊維塵により、集塵容器20に流入した粉塵などの微細な塵埃の一部も捕集され、繊維塵が微細な粉塵を包んでいるので、集塵容器20に溜った塵埃を捨てる際に、細塵の舞い上がりが生じず衛生的である。なお、集塵容器20に流入した粉塵などの微細な塵埃の一部も捕集され、繊維塵が微細な粉塵を包んでいるので、微細な塵埃により集塵容器20に設けた第1フィルター64が目詰まりするのを抑制する。この結果、電気掃除機を運転した際の風量の低下を抑えることができ、吸引力の低下を抑えることができるので、被掃除面の塵埃を吸引する能力の低下を抑えることができる。
なお、集塵容器20の上流側に設けた開口である塵埃廃棄口65は集塵ケース5の流入口30よりも大きくしているので、この流入口30から集塵容器20に流入した塵埃は、集塵容器20から廃棄する際に、塵埃廃棄口65で詰まるのを防げる。また、塵埃廃棄口65を大きくすると、集塵容器20の奥行き方向を短くしても、集塵容器20の容積を大きくすることができるので、掃除機本体2の奥行き(長さ)を小さくでき小型化できる。
図13に示すように、下側の塵埃収容部片20Bは、回動軸41によりベース部品69に回動自在に支持される。なお、集塵容器20とベース部品69とを集塵ケース5内に取り付けた際には、この回動軸41は集塵ケース5内で開口部25が形成されている鍔部42の内側に位置する。この回動軸41と前蓋26の回動軸27は、集塵ケース5の前側に位置し、かつ隣り合う近傍に設けられる。このため、前蓋26と、塵埃収容部片20Bの開閉作動は、一緒に揃って円滑に行われる。なお、前蓋26を開閉自在に支持する前蓋26用支持箇所である回動軸27を集塵ケース5の外周部に配し、集塵容器20を開閉自在に支持するために塵埃収容部片20Bに設けた回動軸41を集塵ケース5の内部に設けている。このように配置しているので、前蓋26と集塵ケース5の気密は、前蓋26に取り付けた弾性体シール部材52を設ければよい。
この弾性体シール部材52が、前蓋26を回動支持する回動軸27をまたぐ必要がないので、集塵ケース5と前蓋26の気密を取る際は、弾性体シール52と当接部53が略同一平面上に構成されるので、気密をとり易い。さらに、弾性体シール部材52は、集塵容器20を回動支持する回動軸41もまたがないように構成できるので、弾性体シール部材52は前蓋26と集塵容器20間をシールする際には、弾性体シール52と塵埃収容部片20Aに設けたA当接部54および、弾性体シール52と埃収容器部片20Bに設けたB当接部55が略同一の平面上に構成されるので、気密をとり易い。さらに、ひとつの弾性体シール52で、前蓋26と集塵ケース5の気密を確保でき、前蓋26と集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aの気密を確保でき、前蓋26と集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Bの気密を確保できる。また、前蓋26に設けた弾性体シール52との当接箇所を略同一の平面上に構成できるので、前蓋26を集塵ケース5側へ付勢する方向のみの力を前蓋26と集塵ケース5間に与えればよく、空気の漏れを起こし難い構造にすることができるので、吸込仕事率の低下やゴミのこぼれを防ぐことができる。また、前蓋26を閉じた状態では、微細塵収容部51の前側である第2廃棄口67が前蓋26に設けた弾性体シール部材52に覆われるように構成しているので、流入口30から流入した塵埃が集塵容器20を通過せずに第2フィルター21に短絡して流れるのも防ぐことができる。また、これらの前蓋26に設けた弾性体シール52との当接箇所を略同一の平面上で共通にすることにより、開閉作動に際し、前蓋26と集塵容器20との間に位置ずれがなく、前蓋26と集塵容器20の開閉動作を更に円滑に行える。
また、上側の塵埃収容部片20Aは、開口部25の内側面に摺動自在に支持されており、この摺動自在なる支持により、塵埃収容部片20Aは滑りながら集塵ケース5を出入するように作動する。このように構成しているので、前蓋26が閉じた状態に拘束されているクランプ部材29の係止を解くことにより、前蓋26は前側に倒れ、二つの塵埃収容部片20A,塵埃収容部片20Bが塵埃廃棄口65を拡げるように開放される。つまり、突き出し付勢バネ43は塵埃収容部片20Bを集塵ケース5の外側に押し出すように付勢するとともに、塵埃廃棄口65を拡げるように二つの塵埃収容部片20A,塵埃収容部片20Bを開放させる解放付勢バネの役割を兼ねることも可能である。なお、突き出し付勢バネに代えてモータや人の操作力により、集塵容器部を外方に向けて押すような突き出し手段を設けることも可能である。
ここで、突き出し付勢バネ43は、図13に示すように、下側の塵埃収容部片20Bの前側下部に設けられる。この突き出し付勢バネ43は、集塵容器20とベース部品69とを集塵ケース5内に取り付けた際には、下側の塵埃収容部片20Bを集塵ケース5の外側に押し出すように付勢している。この突き出し付勢バネ43はつるまきバネで形成され、中央部を下側の塵埃収容部片20Bに設けたバネ係止部で受け、両端はベース部品69に係合されている。この突き出し付勢バネ43により、下側の塵埃収容部片20Bは集塵ケース5から突き出す方向の回転力が付与されている。なお、突き出し付勢バネ43の周囲は隔壁71を用いて塵埃収容部と隔離し、塵埃が付着しにくいようにするとよい。この場合第2廃棄口67が2個になるが、かまわない。このとき微細塵収容部51は、前蓋26側が反対側の第2フィルター21側の開口部に比べて開口面積が狭いので、微細塵収容部51内の塵埃の重さで塵埃を押し出すように排出するので、微細塵収容部51内の微細塵が廃棄しやすく好ましい。
なお、微細塵収容部51に溜められた微細な塵埃は、図8や図9(a)に示すように集塵ケース5から集塵ケース5の前側に設けた前蓋26を開き、微細塵収容部51の開口部である第2廃棄口67を開放して廃棄すると良い。この際、集塵容器20に収容した塵埃の廃棄も一緒に行えるので、塵埃の廃棄を容易にすることができる。ここで、前蓋26を透明な樹脂材などで作成すると、使用者は掃除機本体2の上蓋8を開いて、この前蓋26越しに集塵ケース5内の集塵容器20内に溜った塵埃の量を目視で確認できるので、ゴミ捨ての時期を判断しやすく、より好ましい。また、前蓋26の回動軸27が集塵ケース5の下側についているので、使用者は微細塵が微細塵収容部51から第2廃棄口67を通じて廃棄のする様子を確認しながら、塵埃を廃棄することが可能である。
ここで、微細塵が通過する通路を兼ねる微細塵収容部51が長い場合、第2フィルター24に付着した塵埃を除塵して収容した微細塵収容部51を通じて、集塵ケース5の前側に設けた前蓋26を開放して開口である第2廃棄口67から微細塵を捨てる際に、微細塵が微細塵収容部51の壁面に付着して残る場合には、図10や図11に示すように、第2フィルター24を開放して集塵ケース5の下流側からも、残った微細塵を集塵ケース5から廃棄できる。第2フィルター21の下部は集塵ケース5の下部に回動軸23により回動自在に支持され、上部は集塵ケース5の上部に設けたフック22に係止されており、フック22を操作する操作ボタン32を押すことにより、このフック22の係止が外されると、第2フィルター21は下部の回動軸23を回動中心として開かれる。つまり、集塵ケース5から第2フィルター21を取り外すことなく、第2フィルター側の開口から微細塵を集塵ケース5から廃棄できるので、微細塵の舞い上がりを防げ、衛生的に塵埃を廃棄可能である。
また、この状態で集塵ケース5や微細塵収容部51を水洗いにて手入れすることも可能である。この際、これらの集塵ケース5や微細塵収容部51は前後方向に2つの開口を備えており、さらにこれらの開口の投影面が重なり合うように配置しているので、水洗い時に水が溜らず流れ出て、ゴミが堆積しにくいとともに残りにくいため、容易に洗浄でき、水切れがよく乾燥時間を短くすることができる。
また、集塵容器20と突き出し付勢バネ43とベース部品69は、該ベース部品69に設けた凸部72を前蓋26側へ押すことによって、軸支された状態で一体的に集塵ケース5から取り外すことができるので、簡単に清掃することができる。また、集塵容器20を水洗いしたい場合も、集塵ケース5から取り外した状態で簡単に水洗いが可能で、乾燥する時間も比較的短時間で済む。
脱落防止手段の脱落防止部材45は、上側の塵埃収容部片20Aの外側に取り付けてあり、内側には開口部46があり、掃除機の吸込力を低下させることがなく、細かい塵埃が脱落防止部材45に付着する頻度を減らすことができる。
脱落防止部材45は、集塵容器20を集塵ケース5に取り付けたときに、上側の塵埃収容部片20Aと下側の塵埃収容部片20Bが開いたときに、鍔部42に当接するように構成されている。脱落防止部材45が鍔部42に当接することにより、上側の塵埃収容部片20Aは止められる。上側の塵埃収容部片20Aはそれ以上外側に突き出さないので、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aおよび塵埃収容部片20Bが拡がり、塵埃廃棄口65が拡がっているときは、集塵容器20は集塵ケース5から脱落しない。
また、集塵容器20と突き出し付勢バネ43とベース部品69を、軸支された状態で一体的に集塵ケース5から取り外した場合、この状態から集塵容器20を集塵ケース5の方向へ挿入していくと、図9(b)に示すように脱落防止部材45は、弾性変形して集塵ケースの鍔部42を乗り越える構造になっている。集塵ケース5の鍔部42を乗り越えた脱落防止部材45は、変形が無くなり、図9(c)のように、元の形状に戻るので、逆に回転させても塵埃収容器部片20Aが集塵ケース5から外れることはない。
この脱落防止部材45は、材質がポリアセタール樹脂やABS樹脂からなる射出成形品を用いて弾性変形力としているが、そのほか、金属部品や板バネなど様々な手段を用いても同様の効果が得られる。
すなわち、集塵容器20は、集塵ケース5に取り付けられたベース部品69に下側の塵埃収容部片20Bが回動軸41で回動自在に支持され、上側の塵埃収容部片20Aが開口部25に摺動自在に支持されるので、集塵容器20は集塵ケース5から脱落しないように構成されている。この集塵容器20には、突き出し付勢バネ43により常に集塵ケース5の外側に押し出す力が作用している。前蓋26は、その押し出す力に抗して集塵容器20が突き出すのを止めている。さて、前蓋26用の拘束手段のクランプ部材29を外すと、図9(a)に示すように前蓋26が手前に倒れるように開かれる。前蓋26で抑えられていた集塵容器20は、図9(a)に示すように、集塵ケース5の開口部25から外に突き出す。
この突き出しに伴い、上側の塵埃収容部片20Aと下側の塵埃収容部片20Bが開き、塵埃廃棄口65が拡大する。集塵容器20に溜った塵埃は、拡がった塵埃廃棄口65から一気に放出される。また集塵容器20は、突き出し付勢バネ43により勢いよく集塵ケース5外へ突き出して来たところを脱落防止部材45で急激に止められるので、この衝撃により第1フィルター64に付着した塵埃が剥離しやすく、集塵容器20から塵埃の放出は更に良く行われるとともに、第1フィルター64の目詰まりを防ぐことができるので、吸引力の低下を防ぐことができる。
集塵ケース5は、前側および後側が開口するケース本体からなる。ゴミ捨てを終えた集塵容器20は、図4や図5に示すように、集塵ケース5内に収められる。拡大していた塵埃廃棄口65が狭まるようにして、集塵ケース5に収め戻されるとともに、第2廃棄口67も開口を閉じられる。集塵容器20の収納は、前蓋26を閉じる動作に伴い行われる。前蓋26の開閉軸である回動軸27と、集塵容器20の回転軸である回動軸41が、集塵ケース5に対して同一方向である集塵ケース5の下部に配置しているので、前蓋26と集塵容器20を開閉する際の回転方向を同じにでき、前蓋26を閉じると集塵容器20を閉じることが可能である。すなわち、開口部25と揃って前向きに置かれる塵埃廃棄口65と、第2廃棄口67は、前蓋26と向き合っている。前蓋26を閉じて行くと、前蓋26の内面側が集塵容器20の前面側である塵埃廃棄口65に当接する。前蓋26に押されて集塵容器20は、集塵ケース5内に戻されて行く。
この集塵容器20の押し戻しは、突き出し付勢バネ43に抗して行われる。上側の塵埃収容部片20Aの外面側は、開口部25の内側に押されて摺合っている。このため、上側の塵埃収容部片20Aは集塵ケース5内に入って行くにしたがい、下側の塵埃収容部片20Bに近づいて塵埃廃棄口65が狭まり、集塵容器20は集塵ケース5内に収められる。このように、集塵容器20の出し入れは前蓋26の開け、閉めにより行われるので容易である。また、集塵容器20に触れずに、集塵容器20の出し入れをすることができるので、衛生面でも好都合である。
ここで、集塵ケース5を掃除機本体2に取り付ける前に、前蓋26を開けた状態で集塵容器20の凹部に塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を入れた後、前蓋26を閉じれば、集塵容器20は前蓋26に押されて集塵ケース5内の所定の位置に配置される。なお、塵紙等の使い捨て集塵濾紙の取り付けは図12に示すように、クランプ部材29の鉤36が係止溝37と係合して集塵容器20を保持した状態で、塵紙等の使い捨ての集塵濾紙の一辺をクランプ部材29の鉤36に引っ掛け、対向する一辺を塵埃収容部片20Bの回動軸27側付近で押さえて、塵紙等の使い捨て集塵濾紙の中央付近を集塵容器20の凹部側へ押し入れて取り付けるとよい。また、集塵容器20の断面形状を略D字状に形成しているので、塵紙等の使い捨て集塵濾紙を集塵容器20の凹部側へ押し入れての取り付けが容易にできる。この際、第2廃棄口67も塵紙等の使い捨て集塵濾紙で被うようにしている。
このようにした後、集塵ケース5を掃除機本体2に取り付け、電気掃除機1を運転して清掃を行えば、集塵容器20内に吸引された塵埃は、第1フィルター64の上流に配置した塵紙等の使い捨て集塵濾紙及び、その上流側に吸引された塵埃の大部分が堆積する。この状態で、集塵ケース5を掃除機本体2から取り出して塵埃を廃棄する際について述べる。集塵容器20に吸引された塵埃は、空気流により圧縮された固まりとなり易いので、集塵容器20の上流で、しかも塵埃収容器20の凹部に配した塵紙等の使い捨て集塵濾紙に包まれた状態にある。このため、塵埃廃棄口65を通じて塵埃を排出する際もほとんどの塵埃は、塵紙等の使い捨て集塵濾紙に包まれた固まり状の状態となって排出されるので、細塵の舞い上がりが生じず衛生的である。ここで、集塵容器20の断面形状を略D字状に構成しているので、塵紙等の使い捨て集塵濾紙を廃棄する際に、この塵紙等の使い捨て集塵濾紙が丸まって排出されやすい。よって、細塵の舞い上がりを抑制できるので、より好ましい。また、除塵ユニット7や、第2フィルター21に設けた補強部33を弾いて第2フィルター21から除塵された微細塵は、微細塵収容部51に溜められる。この微細塵を廃棄する際には前蓋26側を下、第2フィルター21側を上にして集塵ケース5のハンドル28を持つ。この際、微細塵収容部51内の微細塵は第2廃棄口67付近の塵紙等の使い捨て集塵濾紙に付着して一緒に廃棄されるので、微細塵の舞い上がりを抑制して廃棄することができる。また、弾性体シール部材52への塵埃の付着を抑制でき、シール性能の低下を抑制することも可能となる。
ここで、前蓋26の回動軸27は開口部25の周囲に設けた当接部53よりも集塵ケース5の奥行き方向である第2フィルター21側に配置している。このため、回動軸27が塵紙等の使い捨て集塵濾紙を挟んで保持しやすい。また、このように前蓋26の回動軸27を配置しているので、回動軸27を開口部25の真下方向に開口部25から離した場合に比べ、集塵ケース5自体の外径寸法が小さくでき、掃除機本体2を小形にすることができる。
さらに、ゴミ捨て前に集塵ケース5を掃除機本体2に取り付けた状態で電気掃除機1を運転し、掃除機本体2に接続したホース(図示せず)等の先から塵紙等の使い捨て集塵濾紙を吸込んで、集塵容器20に吸引堆積した塵埃の上流側・下流側とも塵紙等の使い捨て集塵濾紙で包んだ後に塵埃を廃棄することも可能である。このように、集塵容器20の第1フィルター64の上流側に塵紙等の使い捨て集塵濾紙を配しておけば、第1フィルター64に塵埃が付着しにくいとともに、第1フィルター64の目詰まりを防ぐことができるので、吸引力の低下を防ぐことができる。
このように、掃除機本体に設けた集塵ケース内の空気の流れをスムーズにし、通気損失が小さく、塵埃収容器に溜ったごみの圧縮性を高め、集塵ケースに集塵された塵埃の排出や、手入れを容易にできる電気掃除機を提供することができる。