本発明の1つの目的は、小型で取り扱い易いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提供することにある。本発明の他の目的は、抵抗が小さい、つまり、高い吸込仕事率を有し、塵埃捕捉(集塵)性能が高いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提供することにある。本発明の更に他の目的は、捕捉した微細塵を飛散しないように確実に保持しておくことができるサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提供することにある。本発明の更に他の目的は、サイクロン分離部から空気を排出する内筒の排気口へのゴミの付着を防ぎ、塵埃を集塵した場合でも掃除機の吸引力や風量の低下を抑えた電気掃除機を提供することにある。本発明の更に他の目的は、使用者が手入れをする個所の数を低減すると共に、手入れをする個所が分かり易いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、電動送風機を内蔵した掃除機本体と、該掃除機本体に設けられ、吸口から吸い込んだ含塵空気を流入口から流入させて遠心分離により除塵するサイクロン分離部と、該サイクロン分離部に設けられた排気口を有する内筒と、該内筒の排気口を通過した空気を濾過するフィルターAと、前記掃除機本体に設けられ、前記サイクロン分離部と連通する開口を有する集塵ケースと、該集塵ケースからの排気を濾過するフィルターBとを有し、前記内筒の排気口に網フィルターを設け、該網フィルターの目開きを前記フィルターAの目開きより大きくしたことにある。また、本発明の特徴とするところは、電動送風機を内蔵した掃除機本体と、該掃除機本体に設けられ、吸口から吸い込んだ含塵空気を流入口から流入させて遠心分離により除塵するサイクロン分離部と、該サイクロン分離部に設けられた排気口を有する内筒と、該内筒の排気口を通過した空気を濾過するフィルターAと、前記掃除機本体に設けられ、前記サイクロン分離部と連通する開口を有する集塵ケースと、該集塵ケースからの排気を濾過するフィルターBとを有し、前記内筒の排気口は多数の微小な穴で形成し、該穴の大きさを前記フィルターAの目開きより大きくしたことにある。さらに本発明の特徴とするところは、前記第1の手段あるいは第2の手段に加え、前記集塵ケースの排気側を覆う蓋体を設け、前記フィルターAと前記フィルターBとは共通の素材を構成されると共に、前記蓋体にインサート成形したことにある。さらにまた本発明の特徴とするところは、前記第1の手段からは第3の手段のいずれかに加え、前記フィルターAと前記フィルターBとを横方向に並列して配置したことにある。
内筒の隔壁を螺旋状に上方に持上げているので、低風量で動作する掃除機でも、塵埃は前記サイクロン分離部内を上昇する強い作用を与えられ、塵埃を集塵ケースへ搬送することが可能である。
また、サイクロン分離部から空気を排出する内筒に設けた排気口へのゴミの付着を防ぎ、塵埃を集塵した場合でも掃除機の吸引力や風量の低下を抑えた電気掃除機を実現できる。さらに、サイクロン分離部から空気を排出する内筒に設けた排気口へのゴミの付着を防げるので、使用者が通常手入れをするのは、塵埃を廃棄する蓋体に設けたフィルターを清掃すればよく、清掃個所の数を低減できる。また、塵埃を廃棄する蓋体に設けたフィルターは塵埃を廃棄する際に開放されるので、使用者が手入れをする個所が分かり易いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を実現できる。
本発明に係る実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例を示す電気掃除機の外観斜視図である。図2は、この掃除機本体の斜視図である。図3は、この掃除機本体の上蓋を開いた状態を示す斜視図である。図4は、この掃除機本体の上蓋を開いて、集塵部103を取り外した状態を示す斜視図である。図5は、この掃除機本体内の空気の流れを示す模式図である。図6は、集塵部103の外観斜視図である。図7は、集塵部103を下流側から見た外観斜視図である。図8は、集塵ケース105からフィルター枠140とフィルター枠163の両者を一緒に開いた外観斜視図である。図9は、集塵部103の縦断面図である。図10は、集塵部103の横断面図である。図11は、内筒131の斜視図である。
この実施の形態における電気掃除機は、図1に示すように、掃除機本体1とホース2と手元操作管3と伸縮継ぎ手管4と吸口5を備え、掃除機本体1と手元操作管3をホース2で接続し、この手元操作管3に伸縮継ぎ手管4を介して吸口5を接続して使用する。
掃除機本体1は、電動送風機107を内蔵し、この電動送風機107の吸気力によって吸口5から吸気することによって該吸気流に乗せて塵埃を吸い込み、吸い込んだ含塵空気を伸縮継ぎ手管4と手元操作管3とホース2を介して掃除機本体1に吸い込ませ、サイクロン分離式の集塵部103で塵埃を捕捉(集塵)した後に機外に排気する。
掃除機本体1は、図2から図4に示すように、下ケース101と上蓋102の間に配置した上ケース150の凹部に、集塵部103を構成するサイクロン分離部104と一体となった集塵ケース105を着脱可能に縦置き装着している。また、下ケース101と上ケース150の間にフィルターケース113を設け、このフィルターケース113に、補助フィルター112と、この補助フィルター112を抑えるフィルターカバー113aとを配置している。なお、この掃除機本体1内には電動送風機107とコードリール(図示せず)とを内蔵する。また、下ケース101は、この掃除機本体1を床面に走行させるための走行車輪208と案内車輪(図示せず)を備えている。さらに、上ケース150の上部にはハンドル207が転回可能に取り付けられており、このハンドル207を持つことにより掃除機本体1を持ち運ぶ事ができる。ここで、集塵部103を掃除機本体1に装着する際に、フィルター枠163と一体となった弾性シール部172がめくれないように、フィルターカバー113aにはガイド113bを設け、集塵部103が正しく装着できるようにしている。
さらに、フィルターケース113の上方には除塵装置164を配置している。除塵装置164に設けた除塵ばね170が回転して、第2のフィルター161を弾いて、第2のフィルター161に堆積した塵埃を除塵する。
上蓋102は、上ケース150の上側後部に転回可能に取り付けている。この上蓋102を閉じた状態において、サイクロン分離部104の流入口115とホース接続口部116とが弾性体部材を介して気密状態に当接し、集塵ケース105とフィルター枠140とが気密状態に当接し、フィルター枠140とフィルター枠163とが気密状態に当接し、フィルター枠163と補助フィルター112が収納されるフィルターケース113との間が気密状態に当接している。さらに、このフィルターケース113と、電動送風機107が弾性体の防振ゴムを介して気密状態に当接している。また、サイクロン分離部104の下部の排気口120と集塵ケース105の側方に設けた連絡通路145とが気密状態に当接している。ここで、サイクロン分離部104の軸方向は鉛直方向を向いているが、鉛直方向でなく斜め方向に傾いていたり、横方向を向いていてもかまわない。
この掃除機本体1は、ホース2を介して含塵空気を流入口115より、サイクロン分離部104に流し入れて、下側から上側に旋回させることにより遠心分離作用で塵埃を分離して、上部の連通口117から開口118を通して集塵ケース105に塵埃を搬送する。サイクロン分離部104からの排気の一部は内筒131を通り、サイクロン分離部104の下部に設けた排気口120から排気される。また、サイクロン分離部104に流入した空気の一部は、集塵ケース105に流れ込み、フィルターB106bによって塵埃を捕捉する。集塵ケース105の排気はフィルターB106bの後方にある集塵ケース排気口144から、第2のフィルター161、補助フィルター112の順に通して電動送風機107に吸込ませる。この時サイクロン分離部104からの排気は前記排気口120から連絡通路145、フィルターA106a、サイクロン部流出口146を介して、集塵ケース排気口144からの排気と合せて、第2のフィルター161、および、補助フィルター112を通して電動送風機107に吸込ませる。この電動送風機107からの排気はフィルター108を介して、一部は排気流路(図示せず)を介し、一部はコードリール(図示せず)に流してこれらを冷却し、その後に機外に放出される。
つまり、サイクロン分離部104で分流した空気流で、排気口120から流出する風量Aの空気流と、集塵ケース排気口144から流出する風量Bの空気流とは、第2のフィルター161の上流側で合流し、この第2のフィルター161に流入する。そして、この空気流は第2のフィルター161で微細塵を集塵された後、電動送風機107に吸引される。
ここで、上蓋102を透明のプラスチック素材で製作しておけば、図2に示すように上蓋102を閉じた際、この上蓋102がサイクロン分離部104や、集塵ケース105を覆う場合でも、塵埃のたまり具合は目視で確認することができる。
また、サイクロン分離部104や、集塵ケース105は帯電防止樹脂剤を用いて成形したり、これらの表面に帯電防止剤を塗布することにより、前記サイクロン分離部104や、集塵ケース105に塵埃が付着しにくくなり、清掃回数を減らすことができる。
次に、掃除機本体1内部の配置について説明する。図2に示すようにホース接続口部116は上方から見て掃除機本体1の幅方向の中央にあり、かつ、前記掃除機本体1の前面に配置している。図10に示すように、サイクロン分離部104の中心軸は幅方向の中央からずらして位置し、サイクロン分離部104の略接線方向に空気を流入させる流入口115とホース接続口部116が直線状になるように配置されている。また、集塵ケース105はサイクロン分離部104の中心軸とは幅方向の反対側に設置される。同様に、電動送風機107はサイクロン分離部104の中心軸とは幅方向の反対側に設置され、その前面には補助フィルター112と、この補助フィルター112を収容するフィルターケース113とが設けられている。コードリール(図示せず)は電動送風機107の横に設置され、幅方向でサイクロン分離部104の中心軸と同じ方向に設置されている。
このように配置したことで、本体の長さを短くでき、小型軽量を達成できる。また、サイクロン分離部104の入口部分に曲りなどを設ける必要が無いため、損失を小さくできる効果が得られる。
ここで、サイクロン分離部104と集塵ケース105の詳細について図6〜図11を用いて説明する。サイクロン分離部104は、下方に向かって開口した開口部を有し、上方あるいは下方から見た形状が略円筒状の外筒135が設けられており、この外筒135内には内筒131が設けられている。内筒131は外筒135の開口部を覆う内筒キャップ152に取付けられており、内筒キャップ152と共に外筒134から着脱自在に構成されている。そして、外筒135には、空気取り入れ口である流入口115が設けられており、第1の集塵室を形成している。サイクロン分離部104には、隣接して集塵ケース105が設けられている。集塵ケース105の内部には、サイクロン分離部104で分離した塵埃を収納する第2の集塵室としての塵埃収納部105aが設けられている。サイクロン分離部104の外筒135には、連通口117が形成されており、また、集塵ケース105には連通口117と連通する開口118が形成されており、サイクロン分離部104で遠心分離された塵埃は、この連通口117及び開口118を通過して塵埃収納部105aに集塵される。
次に、塵埃の流れについて述べる。前記サイクロン分離部104で遠心分離された塵埃が連通口117を通じてサイクロン分離部104から流出する方向は、サイクロン分離部104内での旋回方向で、かつ、サイクロン分離部104の接線方向である。このため、本実施例では、サイクロン分離部104の連通口117と、この連通口117と連通する集塵ケース105の開口118の両者を、前記集塵ケース105に当接したフィルターB106bから最も離れた電気掃除機本体1の前面側(ホース接続口部116側)に配置することができる。ここで、サイクロン分離部104で遠心分離された塵埃は、集塵ケース105の塵埃収納部105a内ではフィルターB106b付近から堆積し、集塵ケース105の開口118および、サイクロン分離部104の連通口117へと順に堆積していくので、前記塵埃収納部105aに塵埃が充填されるまで、塵埃が前記連通口117と前記開口118を塞ぎにくい。つまり、前記塵埃収納部105aの容積を有効利用することができる。
ここで、フィルターA106aと、フィルターB106bとは、メッシュ状の網フィルターとか、金網とか、微小な穴を有する金属板とか、微小な穴を有するプラスチックの平板などで構成されている。塵埃を含んだ空気は、サイクロン分離部104の連通口117から集塵ケース105の上部に設けられた開口118より集塵ケース105に流入し、フィルターB106bで空気中の比較的大きな塵埃がせき止められ、フィルターB106bの手前から堆積していく。フィルターB106bを通過した細かい塵埃は、第2のフィルター161で捕捉され集塵される。ここで、補助フィルター112は、誤って集塵部103を装着せずに掃除機本体1を運転した場合、電動送風機107に塵埃が吸入されないように作用する。
また、フィルターA106aは、内筒131の排気穴133から流出する空気流にのった大きな繊維塵や、紙などの塵埃が吹き抜けるのを防止するように機能する。このフィルターA106a通過したより細かい塵埃は、第2のフィルター161で捕捉され集塵される。
サイクロン分離部104の外筒135には、空気取り入れ口である流入口115が、このサイクロン分離部104の中心軸方向長さの中央より下部に設けられ、略円筒形をなすサイクロン分離部104の略接線方向に空気が入るように設置されている。サイクロン分離部104の中央より上部に連通口117が設けられ、集塵ケース105に塵埃とともに空気を流入させる。サイクロン分離部104の下部には内筒131が設けられ、下部の排気口120につながっている。ここで、排気口120と連絡通路145間は弾性シール部材153を介し、外筒135と内筒131は弾性シール部材151を介して取り付ければ気密を取り易い。なお、これらの弾性シール部材151および、弾性シール部材153を一体で作成し、内筒131に該弾性シール部材を挟み込むように内筒キャップ152をネジなどで取り付けると、内筒131と内筒キャップ152の気密も確保できる。図9〜図11に示すように、内筒131は筒部134と、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132と、流入口115のサイクロン分離部中央側に位置した端部115aと前記筒部134とを結ぶ案内壁137と、前記隔壁132の外周側に配置した外壁139で構成されている。該隔壁132と前記筒部134との接合部は丸みをつけて接合するとともに、前記筒部134の高さは該隔壁132の最も高い部分の高さとほぼ等しいか、または、該隔壁132の最も高い部分の高さより5mm程度しか高くしていない。また、案内壁137の高さは、該隔壁132の最も高い部分の高さと略等しくしている。
ここで、ガイド手段としての案内壁137の断面形状は、流入口115からサイクロン分離部104内に流入した流れを外筒135側へ向けるように、外筒側へ膨らんだ凸形状と、あるいは、変曲部137aを持つ、「く」の字状をしている。また、案内壁137の断面形状の各辺は直線や、あるいは、円弧状にすればよい。また、変曲部137aは、丸みをつけて滑らかに各辺を結ぶようにするのが好ましい。なお、この案内壁137の変曲部137aと外筒135との隙間は、20mm以上に設定すると、爪楊枝などの細長いものを吸い込んでも、引っ掛かりにくいのでより好ましい。
また、筒部134にはサイクロン分離部104の空気の一部を排気する排気穴133を備えている。この排気穴は、内筒131を成形時に内筒131の筒部134に直径が約2mmの多数の穴を成形により設けてもかまわないし、目開きの広い樹脂繊維性の網フィルターを筒部134と一体にインサート成形により構成して設けてもかまわない。なお、目開きとは、網フィルターとか金網の目の大きさ(糸と糸の間の隙間の大きさ)や、金属板とか、プラスチックの板とか、内筒131に設けた微小な穴の大きさとする。
ここで、サイクロン分離部104内に流入した含塵空気は、前記案内壁137により、直接内筒131に設けた排気穴133に流れにくいので、塵埃がこの排気穴133を塞ぐのを防げ、排気穴の流路面積が低下しにくく、掃除機の吸込風量の低下を防げるので、吸引力を持続することができる。
また、サイクロン分離部104内に流入した含塵空気は、前記案内壁137によりサイクロン分離部104の外径側である外筒135側へ偏流することができるので、塵埃はより強い遠心分離作用を受け、連通口117、開口118通じ、集塵ケース105へと搬送され、捕塵性能を向上できる。また、塵埃により、前記排気穴133が塞がれにくいので、サイクロン分離部104から、内筒131に設けた排気穴133を通じ、排気口120から流出する風量Aの空気流の通気抵抗を増加させにくいので、掃除機の吸込風量の低下を防げ、吸引力を持続することができる。
また、前記案内壁137を設けても、サイクロン分離部104の流入口115の流路断面積は減少しないので、サイクロン分離部104への流入速度は増加しないので、流入による損失の増加を防ぐことができ、吸込仕事率は低下させずに、捕塵性能を向上できる。なお、成形によりこの筒部134に排気穴133を設ける際は、型は放射状に移動して筒部134と排気穴133を作成するので、内筒に131の筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132も同時に設けた場合、排気穴133はサイクロン分離部104内の旋回流の流れ方向を向いた開口を有する形となる。このため、本案内壁137を設けることは、より有効である。ここで、この排気穴133がサイクロン分離部104内の旋回流の流れ方向を向いた開口にすると、排気口120から流出する風量Aの空気流が、この排気穴133に流入する際の通気抵抗を低下させることができるので、掃除機の吸込仕事率を向上することができる。
ここで、前記内筒131の筒部134は、前記隔壁132の最も高い部分の高さと略等しく構成しているので、サイクロン分離部104から空気を排出する内筒131の筒部134に毛髪や、犬や猫などのペットの毛、糸くずなどが巻き付くことを防ぐことができる。また、毛髪などの塵埃が内筒の131の筒部134に巻き付こうとしても、この筒部134に一周巻きつくことができず、これらの塵埃はサイクロン分離部104内を上昇する旋回空気流により、上方へ移動し、集塵ケース105へと搬送される。このため、内筒131の排気穴133の有効面積の減少を防げるので、掃除機の吸引力が低下しにくい。さらに、毛髪などの長い塵埃がサイクロン分離部104内にとどまらず、集塵室に搬送されることで、このサイクロン分離部104内の気流の乱れを抑制できるので、掃除機の吸引力を低下しにくくすることできる。
さらに、内筒131の筒部134に毛髪や、犬や猫などのペットの毛、糸くずなどが巻き付くことを防ぐことにより、メンテナンス性能を向上したサイクロン分離式の集塵部103を実現できる。なお、内筒131の構成を以上のようにすれば、サイクロン分離部104の上から下に含塵空気を流入させた場合や、サイクロン分離部104を横置きにし、旋回流の中心軸が略水平方向に配置した場合でも同様の効果が選られる。
ここで、集塵ケース105内の塵埃を廃棄する際や、サイクロン分離部104の内部や、内筒131が汚れた場合は、上蓋102を上に開け、この状態で集塵ケース105の上部の取っ手123を持って、サイクロン分離部104と集塵ケース105を取出す。使用者は、掃除機本体1から前記サイクロン分離部104と前記集塵ケース105を取出した後、前記ボタン142を押して、集塵ケース105からフィルター枠140とフィルター枠163の両者を一緒に開いて、集塵ケース105内の塵埃と、ポケット162内の塵埃を廃棄する。ここで、前記内筒131からの排気が通過するフィルターA106aと、前記集塵ケース105からの排気が通過するフィルターB106bが共通の蓋体であるフィルター枠140に区画されて形成されている。また、前記フィルターA106aおよび、前記フィルターB106bに網フィルターを用いる際は、1インチ当たりのメッシュ数が100から400程度のものを用いると、30μmから200μm程度の目開きに設定することができる。金網や、微小な穴を有する平板などを用いる際も、目開きを30μmから200μm程度に設定すればよい。内筒131に設けた排気穴133は直径約1mmから2mmの穴や、目開きが1mmから2mmの網フィルターを用いている。これは、運転停止時に掃除機本体1を移動するときなどに、集塵ケース105から、塵埃がこぼれ、例えば小石とか、繊維の固まったものなどの比較的大きなゴミが内筒の排気穴133を通じて内筒キャップ152内に入るのを防ぐため、このような大きさの目開きとしている。
このため、内筒131に設けた排気穴133の面積を大きくすることができ、サイクロン分離部104の排気口面積を向上することができるので、サイクロン分離部104から、内筒131に設けた排気穴133を通じ、排気口120から流出する風量Aの空気流の通気抵抗を低下させ、掃除機の吸込仕事率を向上できる。
また、サイクロン分離部104内で遠心分離できずに、内筒131に設けた前記排気穴133へ細かな繊維塵が流れても、この排気穴133は流路面積が大きいので、繊維塵はこの排気穴133を通過し、塵埃により排気穴133が塞がれにくいので、サイクロン分離部104から、内筒131に設けた排気穴133を通じ、排気口120から流出する風量Aの空気流の通気抵抗を増加させにくいので、掃除機の吸込風量の低下を防げ、吸引力を持続することができる。
また、内筒131の排気穴133を吹き抜けた比較的大きな繊維塵埃は、フィルターA106aにより、捕塵することができる。なお、集塵ケース105内の塵埃を廃棄する際に、使用者がフィルター枠140を開放して塵埃を廃棄するので、このフィルターA106aや、フィルターB106bに付着した塵埃や、フィルターの汚れを目視で確認できるので、汚れがひどい場合には清掃を早期に行うことができる。
なお、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bとは、共通の素材を用いてフィルター枠140にインサート成形すると製造し易く、また、コストも低減できる。この際、集塵部103とフィルター枠140間の気密を確保する弾性体シール140aおよび、集塵ケース105を塵埃収納部105aと連絡通路145に分ける壁105bに当接する弾性体シール140b、および、この連絡通路145の下部に設けているポケット162とを区切る壁105cに当接する弾性体シール140cにより、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bを区画することができる。このように流路を区画することで、塵埃収納部105aからサイクロン部流出口146や、ポケット162にゴミが流出するのを防いでいる。
ここで、フィルター枠140の方が内筒131の筒部134よりも面積が大きいので、より細かな目開きのフィルターを配置しても、目詰まりによる流路面積の低下を抑えることができ、掃除機の吸引力を低下しにくくすることができる。
さらに、繊維塵が内筒131の排気穴133を通じて排気口120から連絡通路145に流出する際に急拡大による渦流が生じ、この繊維塵はフィルターA106aの排気口120から遠い方から(この場合フィルターA106aの上方から)塵埃が堆積するので、主流域であるフィルターA106aの排気口120に近い箇所は塵埃が付着しにくい。このため、サイクロン分離部104から、内筒131に設けた排気穴133を通じ、排気口120から流出する風量Aの空気流の通気抵抗を増加させにくいので、掃除機の吸込風量の低下を防げ、吸引力を持続することができるという特長を持つ。
なお、内筒131の排気穴133を抜けた繊維塵などが、フィルターA106aに堆積していく際、これらの繊維塵は流れに押されて、フィルターA106aに圧縮されて堆積した状態になる。この時、これらの繊維塵がある質量以上の固まりになると、塵埃を廃棄するためにフィルター枠140を開いた際に前記繊維塵に衝撃力が働き、前記繊維塵がフィルターA106aから剥離するので、廃棄することができる。この結果、フィルターA106aの通気抵抗が減少し、掃除機の吸込風量が回復し、吸引力が回復するという効果も得られる。
また、サイクロン分離部104から内筒キャップ152と一体になった内筒131を取り外し、清掃用ブラシを用いて清掃することもできるが、内筒131の排気穴133はゴミが付着しにくいので、使用者は、塵埃廃棄時には通常、フィルター枠140に一体となったフィルターA106aや、フィルターB106bを清掃すればよく、省力化が図れる。
また、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bにはゴミの色とは違った色、例えば、黄色に着色することにより、使用者は前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bに塵埃が付着したことを目で確認できるので、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bに繊維塵とか粉塵などが付いて目詰まりしたことを早く見つけることができ、清掃を早期に行うことができる。ここで、フィルターA106aと、前記フィルターB106bに帯電防止処理を施すと、これらのフィルターに付着した塵埃が離れやすく、清掃が容易にできる。また、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bに撥水処理を行えば、前記これらのフィルターを水洗いした場合の清掃性が向上する。また、導電膜であるITO膜(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化薄膜)を蒸着とか、溶着とか、スパッタとかにより、前記フィルターA106aと、前記フィルターB106bの上流側にコーティングすると、これらのフィルターに付着した塵埃が塵埃廃棄時にこれらのフィルターから離れやすくできる。
ここで、内筒131の筒部134が、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132の最下端まで延びている。このため、排気穴133を網フィルターで前記筒部134と一体にインサート成形により構成する場合、前記網フィルターの部材の形状は略長方形とすればよい。このようにすることで、前記筒部134の周方向に一様に前記網フィルター133を構成する部材があるため、成形時に前記筒部134が変形しにくい。また、前記網フィルターの部材の形状を略長方形にできるので、この部材の材料取りがよくなる。
なお、内筒131からの排気が通過するフィルターA106aと、前記集塵ケース105からの排気が通過するフィルターB106bが共通の蓋体であるフィルター枠140に区画されて形成され、これらのフィルターの目開きより内筒131に設けた排気穴133を大きくした構成とすれば、サイクロン分離部104の上から下に含塵空気を流入させた場合や、サイクロン分離部104を横置きにし、旋回流の中心軸が略水平方向に配置した場合でも同様の効果が選られる。
また、サイクロン分離部104の外筒135には、空気取り入れ口である流入口115が、このサイクロン分離部104の中心軸方向長さの中央より下部に設けられているので、前記流入口115に連通するホース接続口部116も、サイクロン分離部104の中心軸方向長さの中央より下部に配置することができる。このため、前記ホース接続口部116は、掃除機本体1の下部に配置することができるので、使用者が手元操作管3を持って、ホース2を介して前記掃除機本体1を引き回した場合、前記掃除機本体1が転倒しにくく、安定して引き回す事ができる。
さらに、前記ホース接続口部116を前記掃除機本体1の下側に配置できるので、前記ホース接続口部116を上ケース150や下ケース101の下部に設ければよく、これらのケースを上方に延長する必要はない。このためホース接続口部116にかかる力を受けるために、下ケース101にかかる曲げモーメントを小さくできるので、下ケースに特別な補強部を設ける必要はなく、小形・軽量化に役立つ。
ここで、前記内筒131の隔壁132は、サイクロン分離部104内の空気の流れを上方に持上げるように、巻き開始位置138から螺旋状に上方に持ち上がっている。このため、流入口115からサイクロン分離部104に流入した塵埃は、この螺旋状の隔壁132に沿って上昇するとともに、前記サイクロン分離部104内を旋回し、遠心分離され、連通口117、開口118を通じて、集塵ケース105へと搬送される。このように、前記隔壁132を螺旋状に上方に持上げているので、塵埃は前記サイクロン分離部104内で強い上昇作用を与えられ、DCコードレス掃除機などの毎分1立方メートル以下の低風量で動作する掃除機でも、塵埃を集塵ケース105へ搬送することが可能である。ここでは、サイクロン分離部104の軸方向は水平方向ではないので、上述の低風量時に、前記サイクロン分離部104内に流入した比重の大きい塵埃が旋回の途中で、旋回できずに落下し、サイクロン分離部104に何度も衝突することを防げ、サイクロン分離部104の傷つきや、破損を防ぐことができる。なお、巻き開始位置138は、案内壁137付近から設けてもかまわない。ここでは、サイクロン分離部104の内部に設けた内筒131の筒部134に、該内筒131の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁132を設け、前記内筒131の外壁139と前記サイクロン分離部131の外筒135の間に、前記隔壁132が螺旋状に変化している部分に隙間147を設けている。この隙間147は前記外筒135の半径方向に5mm程度の間隔を有している。このため、掃除機運転中は前記サイクロン分離部104内に旋回流があり、前記隙間147内にも旋回流が生じており、前記外壁139と前記外筒135の間の前記隙間147にゴミが侵入したとしても、この隙間147にゴミはたまりにくく、集塵ケース105へと搬送される。
また、この隙間147を設けておくと、外筒135と内筒131の外壁139間をシールする弾性シール部材151は、螺旋状の隔壁132に沿う必要はなく、略円筒のシール面を構成すればよいので気密をとりやすい。このため、掃除機の真空度の低下を防げ、吸込仕事率の向上につながる。さらに、前記弾性シール部材151は、外筒135と同形状の略円筒面を構成すればよいので、シール面の長さを短くすることができ、内筒131をサイクロン分離部104から取り外し易いため、前記内筒131を取り外してメンテナンスし易い。なお、弾性シール部材151と弾性シール部材153は一体で構成することもでき、一体で構成した場合は成形を一度で行え、組立ての手間も省略できる。
なお、内筒キャップ152は円形の一部を円の形から変えて、一部に角部を設けた形状で構成すれば、集塵部103との位置あわせが行いやすい。また、位置合わせをする箇所にボタン152aを設けて、サイクロン分離部104から内筒131の取り付け、取り外しを行える。
なお、案内壁137の高さは、流入口115の高さよりも高くすれば、流入口115から流入した空気流れと、サイクロン分離部104内を旋回した空気流れが、干渉や、混合しにくく、これらに付随する乱れを防ぐとともに、流入時の急拡大も防げ、損失を低減することができる。ここで、図には示さないが、螺旋状の隔壁132の勾配が一定でない構成にし、内筒131の排気口120付近までの勾配を大きくすれば、この排気口120の高さ方向寸法を大きくすることができ、この排気口120の面積を大きくすることができ、流速を低減できるため、通気損失を低減することができる。
また、流入口115の断面形状を周囲の角が取れた略長方形の形状とすれば、流入口115からサイクロン分離部104に空気流れが流入する際、外筒135の壁と内筒131の隔壁132に沿って流入できるので、円形断面の流入口115の場合に比べて、サイクロン分離部104に流入する際の急拡大による流れの損失を低減できる。このように、流入口115の断面形状を略長方形の形状とした場合、ホース2の接続部2aの断面形状をホース側の円形から、流入口115の断面形状である略長方形の形状へと緩やかに形状変化することにより、流れの剥離などによる損失を抑えて、サイクロン分離部104に流れを流入することができる。
フィルター枠140には、内筒131と電動送風機107と間の通路に配置され、内筒131からの排気を濾過するフィルターA106a、および、集塵ケース105の排気側に配置したフィルターB106bが設けられている。フィルター枠140はその両面が開口となっていて、下部に設けた開閉軸143を中心として回動するように設けられ、フィルター枠140が閉まったときには、集塵ケース105とフィルター枠140は気密状態を保って当接している。
フィルターA106aおよびフィルターB106bの下流側には、フィルター枠163が設けられ、フィルター枠140とフィルター枠163が閉まったときには、この両者は気密状態を保って当接している。フィルター枠163は、フィルター枠140の下部に設けた開閉軸143中心として、フィルター枠140と同軸で回動するように設けられている。ここで、係止部142aは、バネ(図示せず)により該係止部142aと係合部163aが係止するように付勢されているので、フィルター枠140とフィルター枠163は集塵ケース105側に気密状態を保つように係止している。なお、係止部142aと係合部163aの形状は、鉤状とするとなおよい。
フィルター枠163の上方には、取っ手123付近にボタン142が設けられ、このボタン142を押すことにより、係止部142aが押され、この係止部142aと、フィルター枠163に設けている係合部163aとが開放され、フィルター枠140とフィルター枠163が開放されて、ゴミ捨てが可能となる。ここでは、集塵部103を構成するサイクロン分離部104と集塵ケース105を掃除機本体1に装着したときに、上ケース150や、上蓋102が邪魔となってボタン142を押せないようにするため、該ボタン142は水平方向に動くように設けている。
フィルター枠163には第2のフィルター161が一体に成形されている。第2のフィルター161は、フィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は床面に略垂直方向としている。この第2のフィルター161には洗える不織布、洗えるろ紙材、これらとメルトブロー材またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜との組み合わせなどを用いると微細な塵埃まで捕塵することができる。なお、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を用いる際には、網フィルターを熱溶着や、接着によりPTFE膜の上流側に配置するとPTFE膜を保護すると共に、塵離れも良いため好ましい。さらに、撥水処理を施すと水洗い時の乾燥時間を短くできるので、なお良い。また、第2のフィルター161には下流側の山の頂部にプラスチック製の補強部166が第2のフィルター161と一体に形成されている。なお、補強部166は山部全てに渡って設けているのではなく、除塵装置164の除塵ばね170が当たる部分の近くのみに設けている。これにより、除塵ばね170が与えた第2のフィルター161への振動が第2のフィルター161全体に伝わり易くなるので第2のフィルター161を除塵する能力を高くできる。また、補強部166を山部の一つの端まで、例えば、本実施の形態例では、上側の端まで伸ばせば、多少除塵能力が低下するがかまわない。また、第2のフィルター161下流側の山の頂部にプラスチック製の補強部166を設けているので、フィルターの有効面積の低下を抑えることができ、通気抵抗の増大を防止できる。ここで、補強部166は、除塵ばね170により衝撃力や摩擦力を受けるので、POM(ポリオキシメチレン)を用いると、摩擦摩耗特性に優れているので、長時間の摺動特性や耐疲労性を向上でき、除塵性能の低下を防ぐことができる。
さらに、第2のフィルター161を清掃するときに清掃用ブラシを用いて第2のフィルター161をこすった場合、補強部166があるので、前記第2のフィルター161のフィルター材が図中左右方向に逃げないので、第2のフィルター161を除塵する能力を高めることができる。なお、第2のフィルター161に帯電防止処理を施すと、第2のフィルター161を除塵時に塵埃が剥離し易く、第2のフィルター161を除塵する能力を高めることができる。
また、第2のフィルター161には、内筒131を通じてサイクロン分離部104の排気口120から流出した空気と、集塵ケース排気口144を流出した空気が合流して通過するようにしているので、この第2のフィルター161を各流路に区切る必要はない。つまり、この第2のフィルター161は、一つの除塵部で除塵を行う事ができる。
また、第2のフィルター161には、内筒131及び排気口120から流出した空気と、集塵ケース排気口144を流出した空気が合流して通過するようにしている。これにより、各流路毎に区画したフィルターを設けるよりも、1つの第2のフィルター161を用いる方が流路面積を大きくする事ができ、フィルターの目詰まりを遅らせる事ができる。さらに、集塵ケース105に吸引したゴミの量によって、排気口120から流出した空気の風量と、集塵ケース排気口144を流出した空気の風量の比は変化していく。第2のフィルター161は、フィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は床面に略垂直方向としているので、サイクロン部流出口146を流出した空気は、第2のフィルター161の山と山の間を通過しながらこの第2のフィルター161を通過する事ができる。さらに、これらの各風量が合流して混合してから1つの第2のフィルター161を通過するので、フィルターを通過する空気の流速は過大にならず、通気抵抗の増大や、フィルターの集塵率の低下を防げる。
この除塵装置164には、除塵ばね170が取り付けられ、コードリール(図示せず)に巻き取られた電源コードを引くことにより、除塵装置164が回転し、これにともなって除塵ばね170が第2のフィルター161の補強部166と順次衝突する。ここで、除塵ばね170は、この除塵ばね170の軸を中心とする回転方向に変形しながら、第2のフィルター161の補強部166への衝突、この補強部166を乗り上げ、この補強部166を乗り越して、隣の山に設けた補強部への衝突を繰り返す。この結果、除塵ばね170は、第2のフィルター161に振動を与えて、この振動により第2のフィルター161に付着している塵埃を剥離する。ここで、第2のフィルター161の下面部と接合する部分のフィルター枠163形状は、第2のフィルター161のひだ折りの山谷に概略一致した鋸歯状になっている。さらにこの下部には、フィルター枠163の下流側と下側は閉じられ、上流側は開放された形状となっている。つまり、第2のフィルター161の下端部はフィルター枠140の下端部より、上側になるように設置されている。従って、第2のフィルター161のフィルター面から剥離した塵埃は、第2のフィルター161の山の間を通って、集塵ケース105の下方で、連絡通路145の下部にあるポケット162側に塵埃が移行し易くなっており、このポケット162に塵埃が蓄積する。
なお、ゴミ捨て後に除塵動作をしても良く、この場合は、ポケット162の入口側に落ちた塵埃は、次の掃除機運転時にサイクロン部流出口146を流れる気流によって、ポケット162の入口部に形成される2次流れの渦により、ポケット162の奥に搬送されるとともに、塵埃の舞い上がりを防止できる。なお、塵埃の密度は空気密度より大きいので、慣性によって塵埃は空気流の2次流れによる渦の急転向には追随できずポケット162の奥に飛ばされ、このポケット162の奥から塵埃はたまるようになる。
また、実際の掃除時にも、掃除の前後に、掃除機本体1を移動させるときに、この掃除機本体1に衝撃が加わり、第2のフィルター161から塵埃が剥離するが、この塵埃が下側に落ちてきたときにも、上記で説明したように、次の掃除機運転時にポケット162に搬送されていく。従って、除塵装置164が取り付いていなくても、ポケット162を設けることにより、ポケット162にフィルター面から剥離した塵埃が堆積するので、塵埃が再飛散するのを抑えることができる。なお、このポケット162は連絡通路145と、塵埃収納部105aの下側にあるが、第2のフィルター161側から遠ざかるような方向に奥行きを持たせることにより、高さ方向の寸法を大きくしなくても、塵埃の収容量を大きくできる。第2のフィルター161の清掃は、フィルター枠140とフィルター枠163を開けた状態にして、集塵ケース105を含めて、清掃用ブラシを使って第2のフィルター161の表面をこすることや水洗いすることにより行えばよい。なお、清掃用ブラシ168の刷毛部分の高さを第2のフィルター161のひだ折りの山の高さより高くしておくと、刷毛部分が第2のフィルター161のひだ折りの谷の部分にまで届くので、奥の塵埃を掻き出し易い。
なお、フィルター枠140とフィルター枠163とが同じ開閉軸143を中心として回動でき、かつ、それぞれを個別に外すことができなくすれば、フィルター枠140とフィルター枠163とを付け忘れて運転するのを防げる。
集塵ケース105は、壁105bにより塵埃収納部105aと連絡通路145に分けられ、また、壁105cにより区画されて、塵埃収納部105aと、連絡通路145の下部にはポケット162を設けている。
フィルター枠163の外周側には、フィルター枠163と一体となった弾性シール部172があり、電動送風機107の前に設けられた補助フィルター112を収納するフィルターケース113と気密を保って当接している。なお、集塵ケース105を掃除機本体1に収納したときに、弾性シール部172は垂直方向ではなく、上側が電動送風機107側に傾斜して設けている。このため、集塵ケース105を掃除機本体1に押し込むことで、気密が取れ易くなるとともに、掃除機本体1から集塵ケース105の着脱をし易くする。さらに、フィルター枠163の弾性シール部172はフィルター枠140とも気密も取れるので、シール部材の数を低減できるという効果も有る。
なお、集塵ケース105を掃除機本体1に収納したときに、弾性体シール140bは垂直方向ではなく、上側が電動送風機107側に傾斜して設けられている。このため、集塵ケース105を掃除機本体1に押し込むことで、気密が取れ易くなるとともに、掃除機本体1から集塵ケース105の着脱をし易くする。
掃除機本体1内に入ってきた塵埃は、そのほとんどが集塵ケース105内に溜められるので、ごみ捨ては集塵ケース105を掃除機本体1から取り出して塵埃を廃棄すれば良い。ごみ捨ては集塵ケース105より塵埃があふれないうちに行うのが望ましい。このため、集塵ケース105には、開口118付近の位置にごみ捨てライン155を設けておき、使用者がこれを参考にごみ捨てを行えるようにしている。ごみ捨てライン155は、水平あるいは鉛直を向いているのではなく、集塵ケース105内にごみが溜まっていく時には、開口118に近接した部分が最後にごみで埋まるので、ごみのたまり具合から曲線や、くの字が傾いた形状に設定している。
なお、本実施の形態では、掃除機本体1内の空気の流れを図5に示すように2つの経路に分けているので、集塵ケース105内の塵埃には空気の流れ方向に圧力差を生じ、この圧力差によって塵埃が常時圧縮される。この圧力差は、溜められた塵埃が多くなるほど大きくなるので、塵埃が多くなればなるほど圧縮量が多くなるという特徴を併せ持っている。従って、集塵ケース105の塵埃収納部105aの塵埃は、フィルターB106bの手前で層状に堆積していき、かつ微細な粉塵も一緒に堆積していく。このため、繊維塵の間に粉塵がまぎれ込んでいくので、ごみ捨て時に粉塵が舞い上がりにくくなるという効果も得られる。
さらに、サイクロン分離部104の排気口120を通過する空気流の風量が、集塵ケース排気口144を空気が通過しないときに比べて、少なくなるので、サイクロン分離部104の通気抵抗を小さくできる。従って、掃除機の吸込仕事率をより大きくすることができるという特徴を持っている。
また、サイクロン分離部104内で、サイクロン分離部104の流入口115から該サイクロン分離部104内に含塵空気が流入して該サイクロン分離部104内で旋回することにより塵埃を遠心分離して該サイクロン分離部104内の上の方に持ち上げ、集塵ケース105側に搬送する。この際、前記サイクロン分離部104から、前記集塵ケース105を通じて第1のフィルター106から排気される空気の流れが有るため、前記サイクロン分離部104で遠心分離された塵埃は、前記集塵ケース105側へ流入しやすくなり、塵埃は前記集塵ケース105側へ瞬間分離されるので、捕塵効率を高くできる。
さらに、前記サイクロン分離部104で遠心分離され、前記集塵ケース105側へ搬送された塵埃は、前記サイクロン分離部104へ逆流しにくいので、前記集塵ケース105側へ搬送された塵埃が再飛散すること無く、捕塵効率を高くすることができる。ここで、集塵ケース105内にリブ156や、リブ157を配置して、前記集塵ケース105内に生成される渦を抑制している。このため、前記集塵ケース内105に流入した塵埃が、再びサイクロン分離部104に流入するのを抑えることができる。塵埃がサイクロン分離部104へ再飛散するのを抑えることができるので、捕塵効率を向上することができる。
また、前記集塵ケース105から、第1のフィルター106を通過した前記集塵ケース105からの空気が通過するフィルターB106bの面積を、サイクロン分離部104から内筒131を通過した空気が通過するフィルターA106aの面積より大きくしている。このため、塵埃を多くためた集塵ケース105の塵埃収納部105aと連通するフィルターB106bを通過する空気の流速を小さくすることができる。このため、フィルターB106bからの塵埃の吹き抜けを低減できる。さらに、フィルターB106bを空気が通過する際の圧力損失を低減できるので、掃除機の吸込仕事率をより大きくすることができるという特徴を持っている。
また、集塵ケース105内に溜まる塵埃の量が増えると、集塵ケース105を通過するときの通気抵抗が増えるので、集塵ケース105内を流れる風量が低下する。従って、集塵ケース105内に臭いを発生させ易い塵埃が多くたまった時には、この塵埃を通過する空気の量が減り、臭いを掃除機外に出しにくくなるという効果もある。
また、連絡通路145,ポケット162内が汚れたときも、集塵ケース105を取り出した状態で簡単に清掃することができる。
また、サイクロン分離部104の流入口115と内筒131を下に設けたので、上部にサイクロン分離部104の連通口117と集塵ケース105の開口118を設けることができ、集塵ケース105に入った塵埃は、重力で下に落ちるので、サイクロン分離部104へのこぼれを防止できる。
また、集塵ケース105の開口118は、前記集塵ケース105の前方に配置しているので、掃除機本体1を立てて収納する時には、前記集塵ケース105の開口118は、前記集塵ケース105の上方に配置していることとなる。この結果、前記集塵ケース105に入った塵埃が、前記サイクロン分離部104へこぼれるのを防止できる。
また、集塵ケース105をサイクロン分離部104の側面に配置しているので、掃除機本体1の高さを高くすることなく、サイクロン分離部104の長さ方向を長くできるので、旋回流によるごみの分離能力を高くできるという特徴を持っている。