図1から図4に沿って電気掃除機の概要から説明する。図1は、本発明の一実施例を示す電気掃除機の外観斜視図である。図2は、この掃除機本体の上蓋を開いた状態を示す斜視図である。図3は、この掃除機本体の上蓋を開いて、集塵ケースを取り外した状態を示す斜視図である。図3は、この掃除機本体の上蓋を開いて、集塵ケースを取り外した状態を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施例を示す集塵ケースの外観斜視図である。
この実施例における電気掃除機1を、図1及び図2に示す。図1及び図2において、2は吸引力を発生させる電動送風機(図示せず)、コードリール(図示せず)及び後述する集塵部等を備えた掃除機本体である。掃除機本体2にはホース12の一端が接続部12を介して接続されている。接続部12aは掃除機本体2のホース接続口部10に接続され、ホース12と後述する集塵ケース5とが連通している。ホース12の他端には手元操作管13の一端が接続され、手元操作管13の他端には伸縮継手管14の一端が接続され、伸縮継手管14の他端には吸口15が接続されている。電動送風機を駆動した際の吸気力により、吸口15から含塵空気を吸い込み、吸い込んだ含塵空気を伸縮継手管14と手元操作管13とホース12を介して掃除機本体2に吸い込ませ、集塵ケース5で塵埃を捕集(集塵)した後に空気を機外に排気する。なお、前記電気掃除機1の運転モードの切り替えは手元操作管13に設けたスイッチ16により行える。
掃除機本体2は、図2から図3に示すように、下本体ケース3と上蓋8の間に配置した上本体ケース4の凹部に形成した集塵ケース5を収納する集塵部9に、集塵ケース5を着脱可能に装着している。なお、上蓋8は、上本体ケース4の上側後部に転回可能に取り付けている。集塵ケース5の出し入れは、図2に示すように上蓋8を開いて行われ、電気掃除機1を運転中には、上蓋8は閉じられている。
また、下本体ケース3と上本体ケース4の間にフィルターケース17を設け、このフィルターケース17に、保護フィルター18と、この保護フィルター18を抑えるフィルターカバー19とを配置している。さらに、フィルターケース17の上側には除塵ユニット7を配置している。除塵ユニット7に設けた除塵回転体24が回転して、後述するプリーツ状に成形された第2フィルター21を弾いて、この第2フィルター21に堆積した塵埃を除塵する。
また、下本体ケース3は、この掃除機本体2を床面に走行させるための走行車輪11と案内車輪(図示せず)を備えている。さらに、上本体ケース4の上部にはハンドル6が転回可能に取り付けられており、掃除機本体2を持ち運ぶ事ができる。
集塵ケース5に設けた流入口30とホース接続口部10に差し込んだホース12の接続部12aとが、弾性体シール部材10aを介して気密状態に当接している。ここで、集塵ケース5を掃除機本体2に装着した際に、後述する第2フィルター21と一体となった弾性体シール部材62により、集塵ケース5とフィルターケース17の気密が取れるようにしている。さらに、このフィルターケース17と、電動送風機(図示せず)が弾性体の防振ゴム(図示せず)を介して気密状態に当接している。
次に、掃除機本体2内部の配置について説明する。ホース接続口部10は上方から見て掃除機本体2の幅方向の中央にあり、かつ、前記掃除機本体2の前面に配置している。集塵ケース5の流入口30も同様に集塵ケース5の幅方向の中央にあり、かつ、前記集塵ケース5の前面に配置している。このように配置したことで、集塵ケース5の入口部分に曲り流路などを設ける必要が無いため、通気損失を小さくできる効果が得られる。
また、集塵ケース5には空気取り入れ口である流入口30が、この集塵ケース5の高さ方向の中央より下部に設けられているので、流入口30に連通するホース接続口部10も、掃除機本体2の高さ方向の中央より下部に配置することができる。このため、前記ホース接続口部10は、掃除機本体2の下部に配置することができるので、使用者が手元操作管13を持ってホース12を介して前記掃除機本体2を引き回した場合、前記掃除機本体2が転倒しにくく安定して引き回す事ができる。
次に図4から図14を参照して集塵ケース5について説明する。図4は、本発明の一実施例を示す、集塵ケースの外観斜視図である。図5は、本発明の一実施例を示す集塵ケースの側面図である。図6は、図5のA−A断面図である。図7は、図6のB−B断面図である。図8は、本発明の一実施例を示す集塵容器が集塵ケースから突き出た状態を示す側面図である。図9は、本発明の一実施例を示す集塵ケースと集塵容器の断側面図であり、図9(a)は集塵容器が集塵ケース内に収容された状態を示す図であり、図9(b)は集塵容器が集塵ケースから突き出した状態を示す図である。図10は、本発明の一実施例を示す集塵容器を背面から示した斜視図である。図11は、本発明の一実施例を示す集塵容器が集塵ケースから突き出た状態を示す斜視図である。図12は、本発明の一実施例を示す集塵容器がクランプ部材(係止手段)により保持された状態を示す斜視図である。図13は、本発明の一実施例を示す集塵容器を背面から示す外観斜視図である。図14は、本発明の一実施例を示す集塵ケースからフィルター部を開放した状態を示す斜視図である。
集塵ケース5は図6から図14に示すように、内部に塵埃を捕集するとともにこの塵埃を収容するための塵埃収容部としての集塵容器20(移動部材)を備え、この集塵容器20は集塵ケース5の開口部25から突き出し可能に設けられている。この集塵容器20は、一部が集塵ケース5の開口部25から突き出した状態においては他の部分が集塵ケース5内に位置している。また、この集塵容器20は、空気と塵埃とを分離するフィルターとしての機能を有する第1フィルター64を備える。集塵容器20は、第1フィルター64により大きめの粗塵を濾過捕集する。
集塵ケース5は、前側に集塵容器20が出没する開口部25を有する。開口部25を開閉する開閉蓋としての前蓋26の下部には蝶番27を設け、前蓋26は蝶番27により集塵ケース5の外周側で前側下部に回動自在に支持される。前蓋26は、塵埃を含んだ含塵空気が流入する流入口30を有する。この流入口30を通過した含塵空気は集塵容器20に流入する。集塵容器20は流入口30側(前側)が開口し、奥側と上下左右側面に第1フィルター64を設けた容器状に形成され、空気の流れから見て上流側が開口し、下流側に第1フィルター64を配置している。そして、集塵容器20の開口部は流入口30と対向させるように配置され、流入口30から流入した塵埃を集塵容器20で受け入れるようにしている。そして、集塵容器20は前蓋26を開いたときに、塵埃が流れ込む流入口30に向かって突き出すようにしている。すなわち、第1フィルター64を備えた集塵容器20は、集塵ケース5の開口部25から突き出し可能に設けられ、第1フィルター64の上流側で捕集した塵埃を、空気の流れ方向(塵埃を吸込む方向)に、空気の流れ方向とは逆の上流側に向かって押し出すように排出する。このため、集塵容器20が集塵ケース5の開口部25から突き出す際の動作を阻害することがなく、集塵容器20に収容した塵埃の廃棄を容易に行うことができる。流入口30には、集塵容器20に溜った塵埃が逆流したり、吸引した塵埃が集塵ケース5からこぼれるのを防ぐ逆止弁31が備わる。
集塵ケース5の上部には、前後に延びるハンドル28を有する。ハンドル28の先端側には前蓋26を閉じた状態に拘束する前蓋用拘束手段としてのクランプ部材29(係止手段)を有する。また、前蓋26の上部には係止溝40を設け、クランプ部材29の鉤36と係合して前蓋26を拘束している。この前蓋用拘束手段により、前蓋26は閉じた状態に拘束されており、クランプ部材29を押して鉤36が係止溝40から上方に移動して係止を解くことにより、前蓋26は前側に倒れるように開放される。
なお、前蓋26を閉じれば、この前蓋26が集塵容器20を押して集塵ケース5内の所定の位置に集塵容器20を収納し、クランプ部材29の鉤36が前蓋26の上部に設けた係止溝40に係合して前蓋26を拘束するとともに、この前蓋26により集塵容器20も係止される。つまり、クランプ部材29を開放する一つの動作で、前蓋26と集塵容器20の両方を開放でき、前蓋26を閉じる一つの動作で、前蓋26と集塵容器20を所定の位置に係止できる特徴を備える。なお、図10に示すように、クランプ部材29側の集塵容器20である塵埃収容部片20Aの支骨63にリブ39を設けている。前蓋26を閉じて集塵容器20を押して集塵ケース5内へ収容する際、図9(b)に示す集塵ケース5の鍔部42が塵埃収容部片20Aに設けたリブ39を押すので、開いている集塵容器20は閉じる方向に力を受ける。つまり、リブ39は集塵容器20を集塵ケース5に収容し易くする働きを備えている。
ここで、図11に示すようにクランプ部材29側である集塵容器20の上方に、係止溝B37を設けている。このため、集塵ケース5の開口部25から突き出している集塵容器20を集塵ケース5側へ押すと、図12に示すようにクランプ部材29の鉤36がこの係止溝B37と係合して、集塵容器20を保持することが可能である。なおこの状態は、集塵容器20が集塵ケース5の開口部25から突き出している状態と、塵埃を吸引する際に集塵ケース5内の所定の位置に係止された場合の中間の位置にある。つまり図9(a)と図9(b)に示す間の位置に、集塵容器20が保持された状態である。この状態では、集塵容器20内の清掃が行い易く、また後述する塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を用いる際に、この塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を配置し易くする特徴を備える。なお、この場合でも、クランプ部材29を開放する一つの動作で、前蓋26と集塵容器20の両方を開放できる。また、この状態から前蓋26を閉じると、前蓋26に押されて集塵容器20を集塵ケース5内の所定の位置に収納することも可能である。
集塵容器20は、上下に分割される少なくとも二つの塵埃収容部片20A,20Bを有する。集塵容器20は左右に分割することも可能であるが、ここでは上下に分割された二つの塵埃収容部片20A,20Bに沿って説明する。
上側の塵埃収容部片20Aと、下側の塵埃収容部片20Bとが上下に合わさり集塵容器20が形成され、塵埃廃棄口65は集塵容器20の前側に設けられる。集塵容器20の奥側/後側には蝶番66が設けられ、二つの塵埃収容部片20A,20Bは、この蝶番66で回動自在に連結支持される。蝶番66で回動自在に連結支持された二つの塵埃収容部片20A,20Bは、塵埃廃棄口65を拡げたり、狭めたりすることができる。なお、塵埃廃棄口65を広げるために蝶番66はバネ(図示せず)を用いて付勢してもかまわない。
このバネは、つるまきバネや板バネが用いられる。また、鋼線をロの字型に曲げ、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aと塵埃収容部片20Bに引っ掛けて、開放するように付勢してもよい。
ここで、図6や図7に示すように、集塵容器20は二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさった状態では、塵埃廃棄口65から奥側(空気の流れ的に見て上流側から下流側)に向かって狭くなる形状である。また、図7に示すように二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさった状態では、集塵容器20の側面形状は略D字形状、すなわち奥側が丸みを帯びた円弧状となっており、流路幅がD1からD2へ狭くなるように構成している。
さらに、図6に示すように流路幅がC1からC2へ狭くなるように構成しているので、集塵容器20は、流れに対する断面積が上流側である流入部30側に配置している塵埃廃棄口65から、下流側へ小さくなっている。つまり、集塵容器20は、塵埃廃棄口65に向かって拡がっている。また、集塵ケース5と集塵容器20外部との間で構成される流路38流路幅がA1からA2へ広くなるように、また流路幅がB1からB2へ広くなるように構成している。このように構成しているので、流路38が上流側である前蓋26側から、下流側である第2フィルター21側へと拡大していく形状となっている。
集塵容器20から流出した空気流は、流路38の最下流側である第2フィルター21の上流側では、前記集塵ケース5に流入した空気流が全て流れるため、流路38の最上流側よりも空気の風量が多い。つまり、第1フィルター64を通過した空気流がこの流路38の上流側から下流側に向かって次第に集まっていくので、流路38を流れる空気流の風量は上流側から下流側へ次第に増える構成となっている。このため、流路38が拡大流路となることで、この流路38内で大きな速度増加を防ぐことができ、通気損失を低減することができる。
また、ホース接続口10と連通する集塵容器20の吸込口である流入口30の延長上に集塵容器20は配置されており、この集塵容器20は、円弧状に形成し二つの塵埃収容部片20A,20Bが合わさった状態では、図7に示すように集塵容器20の断面は、円弧と、この円弧と略接する直線部で構成されており、側面形状は略D字形状(円弧状)をしている。この結果、流入部30から集塵容器20に流入し、集塵容器20で捕集されて収容される塵埃は、流れが直接当たり易い第1フィルター64の最下流付近のみに堆積するのではなく、集塵容器20の円弧に沿って集塵容器20の前側である前蓋26側にも搬送されて堆積していく。ここで、集塵容器20に流入した空気流は該集塵容器20内で渦流を生じているので、この渦流により集塵容器20の内、前蓋26に近い第1フィルター64を通過する空気流も生じ、第1フィルター64全体を覆うように塵埃が堆積していく。
つまり、集塵容器20に塵埃が溜まっていく際にも、第1フィルター64を通過した空気流がこの流路38の上流側から下流側に向かって次第に集まっていくので、流路38を流れる空気流の風量は上流側から下流側へ次第に増える構成となっている。このため、流路38が拡大流路となることで、この流路38内で大きな速度増加を防ぐことができ、通気損失を低減することができる。
また、集塵容器20の内、通気部である第1フィルター64だけでなく、不通気部である前蓋26側にも塵埃を搬送することができるので、第1フィルター64の塵埃による目詰まりを抑制するとともに、集塵容器20内に収容する塵埃量を向上することも可能となる。
また、集塵容器20の集塵ケース5と集塵容器20外部との間で構成される流路38の上流は前蓋26付近まであるので、集塵容器20内に塵埃を吸い込んでも通気損失の上昇を低くすることができ、電気掃除機1の吸引力の低下を抑制することができるという特徴も備える。なお、集塵容器20の断面形状を円弧の変わりに楕円の一部や、滑らかに変化する曲線を用いて構成しても良く、また御椀型としても良い。なお、横断面は図6に示すように角部を丸めた略矩形としてもかまわない。
集塵ケース5の後側には、波形のプリーツ加工されたフィルターを有する第2フィルター21が備えられ、この第2フィルター21は図14に示すように、集塵ケース5に対して開閉自在に設けられる。第2フィルター21の下部は集塵ケース5の下部に蝶番23により回動自在に支持され、上部は集塵ケース5の上部に設けたフック22に係止されている。フック22を操作する操作ボタン32を押すことにより、このフック22の係止が外されると、第2フィルター21は下部の蝶番23を支点として開かれる。
集塵容器20は、第1フィルター64により大きめの粗塵を濾過捕集する。細かな微細塵は、集塵容器20を通過して第2フィルター21に濾過捕集される。除塵ユニット7は、図3に示すように除塵回転体24を有する。この除塵回転体24は、コードリール(図示せず)に巻装された電源コード(図示せず)の巻き解きに伴って回転作動し、第2フィルター21に設けた補強部33を弾いて振動させて、第2フィルター21で捕集された微細な塵埃を第2フィルター21から除塵する。この第2フィルター21から除塵された微細な塵埃は下方に落下し、図7に示す集塵ケース5の下部に設けたポケット51に溜められる。なお、このポケット51は電気掃除機の運転により集塵ケース5内を空気流が通過する際に、除塵された微細な塵埃が再飛散して、第2フィルター21に再付着するのを防ぐように構成されている。ポケット51に溜められた微細な塵埃は、図14に示すように集塵ケース5から第2フィルター21を開いて、集塵ケース5の後方に設けた開口部を開放して廃棄すると良い。この際、第2フィルター21に付着している塵埃を刷毛が付いたブラシ35でブラッシングしたり、水洗いにより取り除いてもよい。また、第2フィルター21で捕集される塵埃は大部分が微細な塵埃である。このため、ガイド34に沿って、第2フィルター21の波形のプリーツに設けた補強部33を弾けば、微細な塵埃の除塵を行い易いという特徴も有する。
さらに、流路38の最下流で第2フィルター21へ流入する空気流の流速を減速し、局所的に速い部分の出現を防げるので、この第2フィルター21を通過する際の通気損失の上昇を抑えることができ、吸込仕事率を向上することができる。また、この第2フィルター21へ流入する空気流の分布に、局所的に速い部分の出現を防げるので、第2フィルター21で捕集されずに吹き抜ける塵埃量を少なくすることが可能となる。この結果、集塵ケース5の塵埃の捕集効率を向上することができ、掃除機本体からの排気を清浄化できるとともに、電動送風機へ微細な塵埃が流入することも抑制でき、電動送風機の電動機部の故障を抑制することができる。
なお、前記集塵ケース5が上流側である前蓋26側から、下流側である第2フィルター21側へと拡大するように構成されているので、第2フィルター21のフィルター面積を大きくすることもできる。この結果、第2フィルター21を通過する空気流の流速を低減できるので、通気損失を低減することができるとともに、この第2フィルター21での塵埃の捕集効率を向上することができる。
ここで、前蓋26を透明もしくは半透明な樹脂材などで作成すると、使用者は掃除機本体2の上蓋8を開いて、この前蓋26を通して集塵ケース5内の集塵容器20内に溜まった塵埃の量を目視で確認できるので、ゴミ捨ての時期を判断しやすく、より好ましい。
集塵容器20は、外郭形状を保つ支骨63と、この支骨63に張られた第1フィルター64とを有する。この第1フィルター64は、メッシュ状の網フィルターとか、金網とか、微小な穴を有する金属板とか、微小な穴を有するプラスチックの板などで構成されているので、第1フィルター64は粗塵を濾過捕集する。なお、塵離れを良くするために第1フィルター64をステンレス等の金属を用いたり、ポリエステルにステンレス等の金属粒子をスパッタリング処理したものを用いると良い。なお、第1フィルター64のうち、流入口30の延長上にある下側の塵埃収容部片20Bの円弧部に設けた箇所は、吸込んだ塵埃が直接当り易いので尖ったもので穴があかないように、この部分の第1フィルター64にステンレス等の金属で構成された網を用いるとなお良い。
ここで、集塵容器20に流入した空気流は該集塵容器20内で渦流を生じているが、集塵容器20を通過した流れは、第1フィルター64により整流されて集塵容器20を流出する。つまり、第2フィルター21へ流入する空気流の分布に局所的に速い部分の出現を防げるので、この第2フィルター21を通過する際の通気損失の上昇を抑えることができるとともに、第2フィルター21で捕集されずに吹き抜ける塵埃量を少なくできるので捕集効率を向上できる。
なお、集塵容器20で捕集された綿ゴミなどの軽くてフワフワした繊維塵は、集塵容器20を通過する空気流により、圧縮された固まりとなり易い。電気掃除機1を運転中にはこの集塵容器20内で圧縮されて固まりとなった繊維塵により、集塵容器20は電動送風機(図示せず)側である第2フィルター21側へ押される。集塵容器20に設けた支骨63は第1フィルター64を貼るためだけではなく集塵容器20の強度を増すので、集塵容器20の変形を抑制することができ、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aと20Bの間から塵埃がこぼれるのを防ぐ効果もある。
加えて、集塵容器20で捕集された綿ゴミなどの繊維塵は、集塵容器20内で圧縮された固まりとなり易いので、この固まりとなった繊維塵により集塵容器20に流入した微細な塵埃の一部も捕集される。これらの圧縮された塵埃の固まりは、電気掃除機の運転を停止すると空気流による圧縮力が無くなり、圧縮された塵埃の固まりが広がり、塵埃の固まりの体積が大きくなる。
しかし、集塵容器20は、塵埃廃棄口65に向かって拡がっており、しかも溜った塵埃を捨てる際に二つの塵埃収容部片20A,20Bが塵埃廃棄口65を拡げるように開放するので、集塵容器20に収容した圧縮された塵埃の固まりが広がった場合でも塵埃廃棄口65から容易に排出することができる。塵埃の廃棄の際、集塵容器20に吸引された塵埃は空気流により、圧縮された固まりとなり易いので、集塵容器20から塵埃廃棄口65を通じて排出する際も固まり状となって排出され、集塵容器20に設けた第1フィルター64には、塵埃の付着や絡み付きが少なく、目詰まりが生じにくい。このため、集塵容器20に溜った塵埃を捨てるだけで、第1フィルター64の除塵の手間を防ぐことができる。
なお、集塵容器20を円弧上に形成しているので、塵埃の付着や絡み付きを抑制することが可能である。
また、集塵容器20内で圧縮されて固まりとなった繊維塵により、集塵容器20に流入した粉塵などの微細な塵埃の一部も捕集され、繊維塵が微細な粉塵を包んでいるので、集塵容器20に溜った塵埃を捨てる際に、細塵の舞い上がりが生じず衛生的である。なお、集塵容器20に流入した粉塵などの微細な塵埃の一部も捕集され、繊維塵が微細な粉塵を包んでいるので、微細な塵埃による集塵容器20に設けた第1フィルター64の目詰まりを生じにくい。この結果、電気掃除機を運転した際の風量の低下を抑えることができ、吸引力の低下を抑えることができるので、被掃除面の塵埃を吸引する能力の低下を抑えることができる。
なお、集塵容器20の上流側に設けた開口である塵埃廃棄口65は集塵ケース5の流入口30よりも大きくしているので、この流入口30から前記集塵容器20に流入した塵埃は、集塵容器20から廃棄する際に、塵埃廃棄口65で詰まるのを防げる。また、塵埃廃棄口65を大きくすると、集塵容器20の奥行き方向を短くしても、集塵容器20の容積を大きくすることができるので、掃除機本体1の奥行き(長さ)を小さくでき小型化できる。
次に、下側の塵埃収容部片20Bは、塵埃廃棄口65の端部側の塵埃収容部片20B下部に蝶番41にて回動自在に支持される。なお、この蝶番41は、集塵ケース5内で開口部25が形成されている鍔部42の内側に位置する。この蝶番41と前蓋26の蝶番27は、集塵ケース5の前側に位置し、かつ隣り合う近傍に設けられる。このため、前蓋26と、塵埃収容部片20Bの開閉作動は、一緒に揃って円滑に行われる。なお、前蓋26を開閉自在に支持する前蓋26用支持箇所である蝶番27を集塵ケース5の外周部に配し、集塵容器20を開閉自在に支持するために塵埃収容部片20Bに設けた蝶番41を前記集塵ケース5の内部に設けている。このように配置しているので、前蓋26と集塵ケース5の気密は、前蓋26に取り付けた弾性体シール部材52を設ければよい。
この弾性体シール部材52が、前蓋26を回動支持する蝶番27をまたぐ必要がないので、集塵ケース5と前蓋26の気密を取る際は、弾性体シール52と当接部53が同一平面上に構成されるので、気密をとり易い。さらに、弾性体シール部材52は、集塵容器20を回動支持する蝶番41もまたがないように構成できるので、弾性体シール部材52は前蓋26と集塵容器20間をシールする際には、弾性体シール52と塵埃収容部片20Aに設けたA当接部54および、弾性体シール52と塵埃収容部片20Bに設けたB当接部55が同一平面上に構成されるので、気密をとり易い。さらに、ひとつの弾性体シール52で、前蓋26と集塵ケース5の気密を確保でき、前蓋26と集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aの気密を確保でき、前蓋26と集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Bの気密を確保できる。また、前蓋26に設けた弾性体シール52との当接箇所を同一平面上に構成できるので、前蓋26を集塵ケース5側へ付勢する方向のみの力を前蓋26と集塵ケース5間に与えればよく、空気の漏れを起こし難い構造にすることができるので、吸込仕事率の低下やゴミのこぼれを防ぐことができる。さらに、流入口30から流入した塵埃が集塵容器20を通過せずに第2フィルター21に短絡して流れるのを防ぐことができる。また、これらの前蓋26に設けた弾性体シール52との当接箇所を同一平面上で共通にすることにより、開閉作動に際し、前蓋26と集塵容器20との間に位置ずれがなく、前蓋26と集塵容器20の開閉動作を更に円滑に行える。
ここで、突き出し付勢バネ43は、図10に示すように、下側の塵埃収容部片20Bの前側下部に設けられる。この突き出し付勢バネ43は、下側の塵埃収容部片20Bを集塵ケース5の外側に押し出すように付勢している。この突き出し付勢バネ43はつるまきバネで形成され、中央部を下側の塵埃収容部片20Bに設けたバネ係止部44に係合され、両端は集塵ケース5に係合されている。この突き出し付勢バネ43により、下側の塵埃収容部片20Bは集塵ケース5から突き出す方向の回転力が付与されている。
また、上側の塵埃収容部片20Aは、開口部25の内側面に摺動自在に支持されており、この摺動自在なる支持により、塵埃収容部片20Aは滑りながら集塵ケース5を出入するように作動する。このように構成しているので、前蓋26が閉じた状態に拘束されているクランプ部材29の係止を解くことにより、前蓋26は前側に倒れ、二つの塵埃収容部片20A,塵埃収容部片20Bが塵埃廃棄口65を拡げるように開放される。つまり、突き出し付勢バネ43は塵埃収容部片20Bを集塵ケース5の外側に押し出すように付勢するとともに、塵埃廃棄口65を拡げるように二つの塵埃収容部片20A,塵埃収容部片20Bを開放させる解放付勢バネの役割を兼ねることも可能である。なお、突き出し付勢バネに代えてモータや人の操作力により、集塵容器部を外方に向けて押すような突き出し手段を設けることも可能である。
脱落防止手段の脱落防止部材45は、上側の塵埃収容部片20Aの外側に設けられる。
脱落防止部材45は、集塵ケース5上側の鍔部42に当接するように構成されている。脱落防止部材45が鍔部42に当接することにより、上側の塵埃収容部片20Aは止められる。上側の塵埃収容部片20Aはそれ以上外側に突き出さないので、集塵容器20を構成する塵埃収容部片20Aおよび塵埃収容部片20Bが拡がり、塵埃廃棄口65が拡がっているときは、集塵容器20は集塵ケース5から脱落しない。
すなわち、集塵容器20は、下側の塵埃収容部片20Bが蝶番41で集塵ケース5に回動自在に支持され、上側の塵埃収容部片20Aが開口部25に摺動自在に支持されるので、集塵容器20は集塵ケース5から脱落しないように構成されている。この集塵容器20には、突き出し付勢バネ43により常に集塵ケース5の外側に押し出す力が作用している。前蓋26は、その押し出す力に抗して集塵容器20が突き出すのを止めている。さて、前蓋26用の拘束手段のクランプ部材29を外すと、図8に示すように前蓋26が手前に倒れるように開かれる。前蓋26で抑えられていた集塵容器20は、図8に示すように、集塵ケース5の開口部25から外に突き出す。
この突き出しに伴い、上側の塵埃収容部片20Aと下側の塵埃収容部片20Bが開き、塵埃廃棄口65が拡大する。集塵容器20に溜まった塵埃は、拡がった塵埃廃棄口65から一気に放出される。また集塵容器20は、突き出し付勢バネ43により勢いよく集塵ケース5外へ突き出して来たところを脱落防止手段45で急激に止められるので、この衝撃により第1フィルター64に付着した塵埃が剥離しやすく、集塵容器20から塵埃の放出は更に良く行われるとともに、第1フィルター64の目詰まりを防ぐことができるので、吸引力の低下を防ぐことができる。
ゴミ捨てを終えた集塵容器20は、図4や図5に示すように、集塵ケース5内に収められる。拡大していた塵埃廃棄口65が狭まるようにして、集塵ケース5に収め戻されるのである。
集塵容器20の収納は、前蓋26を閉じる動作に伴い行われる。前蓋26の開閉軸である蝶番27と、集塵容器20の回転軸である蝶番41が、集塵ケース5に対して同一方向である集塵ケース5の下部に配置しているので、前蓋26と集塵容器20を開閉する際の回転方向を同じにでき、前蓋26を閉じると集塵容器20を閉じることが可能である。すなわち、開口部25と揃って前向きに置かれる塵埃廃棄口65は、前蓋26と向き合っている。前蓋26を閉じて行くと、前蓋26の内面側が集塵容器20の前面側である塵埃廃棄口65に当接する。前蓋26に押されて集塵容器20は、集塵ケース5内に戻されて行く。
この集塵容器20の押し戻しは、突き出し付勢バネ43に抗して行われる。上側の塵埃収容部片20Aの外面側は、開口部25の内側に押されて摺合っている。このため、上側の塵埃収容部片20Aは集塵ケース5内に入って行くにしたがい、下側の塵埃収容部片20Bに近づき、塵埃廃棄口65が狭まる。こうして、集塵容器20は、集塵ケース5内に収められる。このように、集塵容器20の出し入れは、前蓋26の開け、閉めにより行われるので容易である。また、集塵容器20に触れずに、集塵容器20の出し入れをすることができるので、衛生面でも好都合である。
集塵容器20のメンテナンスは、図12に示すように、前蓋26を開いて集塵容器20をブラシ35を用いてブラッシングを行えばよい。また、図14に示すように、第2フィルター21を開いて集塵ケース5の内部をブラッシングして掃除等も容易に行うことができる。この際に、ポケット51に溜められた微細な塵埃も廃棄すると良い。
ここで、集塵ケース5を掃除機本体2に取り付ける前に、前蓋26を開けた状態で集塵容器20の凹部に塵紙等の使い捨ての集塵濾紙を入れた後、前蓋26を閉じれば、集塵容器20は前蓋26に押されて集塵ケース5内の所定の位置に配置される。なお、塵紙等の使い捨て集塵濾紙の取り付けは、図12に示すように、クランプ部材29の鉤36が係止溝B37と係合して集塵容器20を保持した状態で、塵紙等の使い捨て式集塵濾紙の一辺をクランプ部材29の鉤36に引っ掛け、対向する一辺を塵埃収容部片20Bの蝶番27側付近で押さえて、塵紙等の使い捨て集塵濾紙の中央付近を集塵容器20の凹部側へ押し入れて取り付けるとよい。また、集塵容器20を円弧上に形成しているので、塵紙等の使い捨て集塵濾紙を集塵容器20の凹部側へ押し入れての取り付けが容易にできる。
このようにした後、集塵ケース5を掃除機本体2に取り付け、電気掃除機1を運転して清掃を行えば、集塵容器20内に吸引された塵埃は、第1フィルター64の上流に配置した塵紙等の使い捨て集塵濾紙及び、その上流側に吸引された塵埃の大部分が堆積する。この状態で、集塵ケース5を掃除機本体2から取り出して塵埃を廃棄する際について述べる。集塵容器20に吸引された塵埃は、空気流により圧縮された固まりとなり易いので、集塵容器20の上流で、しかも集塵容器20の凹部に配した塵紙等の使い捨て集塵濾紙に包まれた状態にある。このため、塵埃廃棄口65を通じて塵埃を排出する際もほとんどの塵埃は、塵紙等の使い捨て集塵濾紙に包まれた固まり状の状態となって排出されるので、細塵の舞い上がりが生じず衛生的である。ここで、集塵容器20が円弧状に構成されているので、塵紙等の使い捨て集塵濾紙を廃棄する際に、この塵紙等の使い捨て集塵濾紙が丸まって排出されやすい。よって、細塵の舞い上がりを抑制できるので、より好ましい。
ここで、蝶番27の回動軸は開口部25の周囲に設けた当接部53よりも集塵ケース5の奥行き方向である第2フィルター21側に配置している。このため、蝶番27が塵紙等の使い捨て集塵濾紙を挟んで保持しやすい。また、このように蝶番27を配置しているので、蝶番27の回動軸を開口部25の真下方向に開口部25から離した場合に比べ、集塵ケース5自体の外径寸法が小さくでき、掃除機本体2を小形にすることができる。
なお、上記では、塵紙等の使い捨て集塵濾紙の取り付けは、集塵ケース5を掃除機本体2から取り外して行ったが、集塵ケース5を掃除機本体2に取り付けた状態で電気掃除機1を運転し、掃除機本体2に接続したホース(図示せず)等の先から塵紙等の使い捨て集塵濾紙を吸込んで、集塵容器20の凹部に配置することも可能である。
さらに、ゴミ捨て前に集塵ケース5を掃除機本体2に取り付けた状態で電気掃除機1を運転し、掃除機本体2に接続したホース(図示せず)等の先から塵紙等の使い捨て集塵濾紙を吸込んで、集塵容器20に吸引堆積した塵埃の上流側・下流側とも塵紙等の使い捨て集塵濾紙で包んだ後に塵埃を廃棄することも可能である。このように、集塵容器20の第1フィルタの上流側に塵紙等の使い捨て集塵濾紙を配しておけば、第1フィルターに塵埃が付着しにくいとともに、第1フィルターの目詰まりを防ぐことができるので、吸引力の低下を防ぐことができる。