従来の技術として、特許文献1には、塵埃分離室の下側に塵埃収容室を配置し、塵埃分離室内の吸気筒外側の含塵空気が塵埃収容室に流入し、塵埃収容室内で質量の大きい砂ごみなどが除去された後に、吸気筒下端の第1フィルタを介して吸気筒下端開口から吸い込まれて吸気筒内を通って第2フィルタを介して電動送風機に吸引される電気掃除機が記載されている。さらに、吸気筒の同心円上に外筒を設け、その下端に圧縮板を設け、外筒を圧縮板と共に下降させると塵埃収容室内に堆積した塵埃は圧縮板によって圧縮され、外筒の内周面に設けたブラシ毛は吸気筒に形成されたフィルタに付着した塵埃を掻き落とすことが記載されている。
特許文献2には、集塵ケース内に分離室と塵埃収容部とを並列に配置し、分離室内の内筒外の空気が分離室から塵埃収容部に流入し、分離室内の内筒内の空気と合流して、メッシュ状の網フィルタおよびプリーツ状のフィルタを介して、電動送風機に吸引される電気掃除機が記載されている。さらに、メッシュ状の網フィルタに堆積し吸気によって圧縮された塵埃を捨てる際には、メッシュ状の網フィルタおよびプリーツ状のフィルタが下端を軸として回動して開くことが記載されている。
特許文献3には、集塵ケース内部に塵埃を捕集するための塵埃収容器を設け、塵埃収容器に堆積し吸気によって圧縮された塵埃を捨てる際に、塵埃収容器が下端を軸として回動しながら集塵ケースから飛び出すと共に上下に割れる電気掃除機が記載されている。
特許文献4には、円筒状のサイクロンボディの一側には、汚染空気を軸方向に吸入するための吸入口が形成され、他側には浄化した空気を軸方向に排出させる空気排出口が形成され、そして、サイクロンボディの内部には、軸方向に吸入した空気を接線方向に回転させる回転力付与手段が設けられ、排出口側には、遠心力により分離された汚染物を接線方向に案内する汚染物排出口が設けられ、前記汚染物排出口の一端には集塵箱が脱着可能に設けられる順方向サイクロン集塵装置が記載されている。
特許文献5には、サイクロン部内部で発生する旋回流の回転軸がほぼ水平方向に延びるように横置きに配置したサイクロン集塵器を備えた電気掃除機が記載されている。そして、特許文献5には、床用吸込口から塵埃を含んだ空気がサイクロン集塵器の吸込口から蓋の半周分の流路を通るときに旋回流となって開口を介してサイクロン部に導入され、ついでサイクロン集塵器の内周壁に沿って中筒の傘状の仕切板により塵埃は空気と分離され、集塵部に集塵され、一方、前述の旋回流によって浄化された空気は、1次メッシュフィルタを通過してさらに浄化され、ついで中筒内部を通過して2次フィルタへいたり、また、塵埃とともに集塵部へ入り込んだ空気は、1次メッシュフィルタを通過する際に集塵部内部の塵埃を圧縮し、1次メッシュフィルタを通過して浄化された空気は、2次フィルタへいたり、そののち、中筒内外を通過する空気は、2次フィルタでろ過されたのち、電動送風機にいたることが記載されている。
特許文献6には、外ケースおよび内ケースという2つのケースを組み合わせることによって、旋回流路,バイパス流路および集塵空間を形成した電気掃除機用の塵埃容器が記載されている。そして、特許文献6には、内ケースには、吸気口から入る空気を受け入れるバッファ空間、バッファ空間の空気を時計回りに誘導する旋回流路形成部、および、旋回流路形成部の内側に前方向きに突設された半柱状の凸部が含まれ、半柱状凸部の周面で、旋回方向下流寄りの周面には多数の通気用小孔が穿設され、吸気口からバッファ空間に入った空気および塵挨は、主として旋回流路形成部に沿って右回りに旋回しながら下流側へと流れ、凸部を中心に旋回し、旋回する空気の一部は、凸部に多数形成された通気用小孔を通って背面側へと流れることが記載されている。
特許文献7には、ケース本体の内壁面の吸入口の下流側の吸入口と対向する位置に、吸引された空気と塵埃の旋回方向に沿って、下流側が下方に傾斜する風向板を設けた電気掃除機が記載されている(図5〜図8)。また、特許文献7には、ケース本体の内壁に、吸入口の一方の側の近傍を始端とし、吸入口から吸引された空気と塵埃の遠心力による旋回方向に沿って徐々に下方に向って傾斜し、吸入口の他方の側の近傍を終端とする風向板を兼ねたガイド板を設けた電気掃除機が記載されている(図9〜図11)。
本発明は、本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備えた掃除機本体と、掃除機本体の本体吸気口と電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを備えた電気掃除機において、集塵装置は、流入した流れを旋回させ、遠心分離作用によって塵埃と空気とを分離し、集塵装置は、本体吸気口に連通する流入口(例えば、入口管)と、電動送風機に連通する排出口とを備え、排出口は、旋回する流れのうち外周側の流れが排出される第1の排出口(例えば、外側流路)と、旋回する流れのうち内周側の流れが排出される第2の排出口(例えば、内側流路)とを含み、集塵装置は、流入口からの流れの一部を第1の排出口へ誘導すると共に流入口からの流れの他部に当該集塵装置内の旋回を継続させる部材(例えば、整流板)を、流入口から第1の排出口に至るまでの間に備えたことを特徴とする。そして、流入口からの流れの一部を第1の排出口へ誘導すると共に流入口からの流れの他部に当該集塵装置内の旋回を継続させる部材を、流入口から第1の排出口に至るまでの間に備えたことにより、流路の開口面積を広げた場合でも、第1の排出口を過ぎたあたりの流れの淀み領域の発生を低減し、流れの旋回性を向上できる。
本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備えた掃除機本体と、掃除機本体の本体吸気口と電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを備えた電気掃除機において、集塵装置は、流入した流れを旋回させ、遠心分離作用によって塵埃と空気とを分離し、集塵装置は、本体吸気口に連通する流入口(例えば、入口管)と、電動送風機に連通する排出口とを備え、排出口は、旋回する流れのうち外周側の流れが排出される第1の排出口(例えば、外側流路)と、旋回する流れのうち内周側の流れが排出される第2の排出口(例えば、内側流路)とを含み、集塵装置は、屈曲した板部材(例えば、整流板)を流入口から第1の排出口に至るまでの間に備えたことを特徴とする。そして、屈曲した板部材を流入口から第1の排出口に至るまでの間に備えたことにより、流路の開口面積を広げた場合でも、第1の排出口を過ぎたあたりの流れの淀み領域の発生を低減し、流れの旋回性を向上できる。
本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備えた掃除機本体と、掃除機本体の本体吸気口と電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを備えた電気掃除機において、集塵装置は、流入した流れを旋回させ、遠心分離作用によって塵埃と空気とを分離し、集塵装置は、本体吸気口に連通する流入口(例えば、入口管)と、電動送風機に連通する排出口と、整流板とを備え、排出口は、旋回する流れのうち外周側の流れが排出される第1の排出口(例えば、外側流路)と、旋回する流れのうち内周側の流れが排出される第2の排出口(例えば、内側流路)とを含み、整流板は、流れが旋回する流路のうち流入口から第1の排出口に至るまでの間の外周側の壁面の一部の位置に形成され、整流板は、軸方向第1の排出口側とは反対側(例えば、軸方向先端側)へ向かって傾斜して形成される第1の部分と、軸方向第1の排出口側(例えば、軸方向根元側)へ向かって傾斜して形成される第2の部分とを有することを特徴とする。そして、整流板を、流れが旋回する流路のうち流入口から第1の排出口に至るまでの間の外周側の壁面の一部の位置に形成し、さらに、整流板を、軸方向第1の排出口側とは反対側へ向かって傾斜して形成される第1の部分と、軸方向第1の排出口側へ向かって傾斜して形成される第2の部分とで構成したことにより、流路の開口面積を広げた場合でも、第1の排出口を過ぎたあたりの流れの淀み領域の発生を低減し、流れの旋回性を向上できる。
以下、本発明の実施例1,実施例2,実施例3を説明する。
本発明の実施例1の電気掃除機は、電動送風機28を備えた掃除機本体1と、掃除機本体1に着脱自在な集塵装置2とを備え、集塵装置2は、吸い込んだ空気を旋回させて空気から塵埃を分離する分離部(例えば、塵埃分離部4)と、分離部に連通し塵埃を収容する収容部(例えば、塵埃収容部5)とを備え、分離部と収容部とは、軸方向に配列され、収容部は、分離部と連通する側に開口し分離部と連通する側とは反対側に凹んだ形状を有するフィルタ(例えば、集塵かご12)を備え、分離部の旋回流の外側の空気は、収容部内のフィルタ内に流入し、分離部の旋回流の内側の空気は、収容部内でかつフィルタの外側に流入することを特徴とする。
そして、本発明の実施例1によれば、分離部と収容部とを軸方向に配列して連通し、そして、分離部の旋回流の外側の空気を収容部内の凹んだ形状を有するフィルタ内に流入し、分離部の旋回流の内側の空気を収容部内でかつ凹んだ形状を有するフィルタの外側に流入することにより、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、堆積した塵埃を使用者が容易に排出でき、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。
または、本発明の実施例1の電気掃除機は、本体吸気口21と吸引力を発生する電動送風機28とを備えた掃除機本体1と、掃除機本体の本体吸気口21と電動送風機28との間に着脱自在な集塵装置2とを備え、集塵装置2は、略円筒形状を有し本体吸気口21に連通可能な第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と、第1の集塵部の軸方向端部に連通しかつ電動送風機28に連通する第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)とを備え、第1の集塵部は、円周面に複数の貫通孔33を有する内筒7を略円筒形状内に内包し、第2の集塵部は、第1の集塵部と連通する側に開口し第1の集塵部と連通する側とは反対側に凹んだ形状を有する通気部材(例えば、集塵かご12)を内包し、第1の集塵部の内筒7の外側は、第2の集塵部内の凹んだ形状を有する通気部材の開口に連通し、第1の集塵部の内筒7の内側は、第2の集塵部内でかつ凹んだ形状を有する通気部材の外側に連通することを特徴とする。
そして、本発明の実施例1によれば、第2の集塵部を第1の集塵部の軸方向端部に連通し、そして、第1の集塵部の内筒7の外側を第2の集塵部内の凹んだ形状を有する通気部材の開口に連通し、第1の集塵部の内筒7の内側を第2の集塵部内でかつ凹んだ形状を有する通気部材の外側に連通することにより、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、堆積した塵埃を使用者が容易に排出でき、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。
図1に、本発明の実施例の掃除機本体1の側面から見た断面図を示す。電気掃除機の使用状態では、掃除機本体1が横置きとなり、電気掃除機の収納状態では、掃除機本体1が縦置きとなるのが好ましい。電気掃除機の使用状態において、本体吸気口21側を前方(上流側)、本体排気口30側を後方(下流側)とすると、電気掃除機の収納状態では、本体吸気口21が重力作用方向上側となり本体排気口30が重力作用方向下側となる。掃除機本体1が横置きされた場合は、掃除機本体1の下面が、掃除機本体1が置かれた面(例えば、床面)に対して平行になり、重力作用方向に対して垂直となる。
まず、掃除機本体1の構造を説明する。吸い込んだ空気から塵埃を捕集する集塵装置2は、掃除機本体1の前側に着脱自在に配置される。集塵装置2の長手方向(軸方向)を重力作用方向(縦型配置)とすると、掃除機本体1の高さが高くなる。一方、集塵装置2内の旋回流の軸方向(集塵装置2の軸方向)が重力作用方向に近いほど遠心分離作用による分離効果が大きくなり、集塵装置2内の旋回流の軸方向が重力作用方向に対して45度を超えると遠心分離作用による分離効果が極端に低下する。そこで、掃除機本体1の高さを小さくすると共に遠心分離作用による分離効果の低下を抑制するために、本実施例では、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40度〜45度程度とする。ただし、遠心分離作用による分離効果を高くするには、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40度よりも小さくてもよい(例えば、0度)。塵埃分離部(旋回部)4を下側に配置し、塵埃収容部5を上側に配置する代わりに、塵埃分離部4を上側に配置し、塵埃収容部5を下側に配置してもよい。この場合は、入口管3は、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面に接続されるのが好ましい。
集塵装置2は、吸い込んだ空気を旋回させ、遠心分離作用(サイクロン方式)によって塵埃を分離する塵埃分離部4と、塵埃分離部4に連通し、塵埃分離部4で分離された塵埃を収容する塵埃収容部5を備える。塵埃分離部4と塵埃収容部5とは、集塵装置2の軸方向に配列され、それぞれの軸方向端部で接続され、連通する。つまり、塵埃分離部4は、掃除機本体1の前側に配置され、塵埃収容部5は、塵埃分離部4に対して掃除機本体1の前側に配置される。使用者が塵埃分離部4と塵埃収容部5とを容易に分離可能なように、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが連結されている。掃除機本体1の前端に、管状の本体吸気口21を備える。塵埃分離部4の軸方向の前側端面の一部は、開口しており、その開口部が入口管3に接続される。塵埃分離部4の軸方向の前側端面ではなく、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面が、入口管3に接続されてもよい。入口管3は、掃除機本体1の幅方向の中央に形成されるのが好ましい。内筒7および凹み部8も、掃除機本体1の幅方向の中央に形成されるのが好ましい。
塵埃分離部4は、中空の略円筒状の外筒6と、外筒6と同心軸で外筒6に内包される中空の略円筒状の内筒7を備える。旋回流の軸心が重力によって重力作用方向にずれることによって遠心分離作用による分離効果が低下するのを抑制するために、塵埃分離部4の軸方向が重力作用方向に対して傾いている場合には、内筒7の軸心を外筒6の軸心に対して下方向にずらしてもよい。図3(A)に示すように、外筒6の軸方向一端面(前側端面)は、入口管3に接続される開口を除き閉塞されおり、外筒6の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。外筒6は、使用者から塵埃の堆積が見えるようにまたは外筒6外に設けたセンサが塵埃の堆積を検出できるように、透明または半透明のプラスチックや樹脂で構成されるのが好ましい。内筒7の軸方向一端面(前側端面)は閉塞されており、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。図3(A)に示すように、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分の中央に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部8が形成される。入口管3は、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分、つまり凹み部8に対向している。図3(A)に示すように、凹み部8の一部は、内筒7の外周端まで達している。空気の圧力損失を低減するために、凹み部8の開口方向は、下方向であるのが好ましい。ただし、凹み部8の開口方向は、上方向でも横方向でもよい。図3(A)に示すように、凹み部8の内筒7の外周端部では、凹み部8が内筒7の半径方向に真っ直ぐに向くのではなく、やや円周方向に傾いている。図1に示すように、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向の長さの略半分程度である。ただし、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向のほぼ全長にわたってもよい。この場合は、内筒7の円筒部分のほぼ全長にわたって内筒7の円周面の一部に凹み部8の開口が形成されることになる。さらに、凹み部8の外周端部に、案内管38が接続される。案内管38の断面は略1/2円形状であり、内筒7の外周面に沿って形成され、内筒7の外周面も流路の内壁面の一部を形成する。案内管38は内筒7の外周面に、円周方向に数cm程度形成される。よって、入口管3によって軸方向に流入した空気は、凹み部8によって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に変えられ、さらに案内管38で円周方向に変えられる。また、凹み部8は凹凸がなく、曲面で形成されるのが好ましい。これによって、圧力損失を抑制しつつ空気を十分に旋回させることができる。案内管38は、なくても構わない。内筒7の軸方向他端面(後側端面)の外周に、外筒6へ向かって延びる外延部34が形成される。つまり、図3(A)に示すように、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、内筒7の内側が開口した円環状となっている。
図3(A)に示すように、外延部34の円周方向の一部は、開口している。この開口によって、内筒7外の空気が、塵埃収容部5に流入することができる。内筒7は、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀,銅)や抗菌物質(例えば、銀,銅)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成されるのが好ましい。ただし、内筒7は、円筒部分も含め樹脂で構成されてもよい。そして、図3(A)に示すように、外筒6の軸方向他端面から内筒7が軸方向へ挿入されることによって、外延部34の外周端が外筒6の内周に当接され、その結果、外筒6の軸方向他端面が閉塞される。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結される。内筒7の円周面に、複数の貫通孔33を備える。複数の貫通孔33によって、内筒7はフィルタ機能を有する。この貫通孔33によって、大きなごみが内筒7内へ流入することなく、内筒7外側から内筒7内側へ空気が流入することができる。吸込力にもよるが、1円玉以上の重さのごみは、外筒6内を吸い上げられることができず、外筒6内に残ることがある。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結することによって、使用者は、外筒6と内筒7とを容易に分離でき、外筒6内に堆積したごみを容易に排出でき、また、内筒7の貫通孔33にひっかかった髪の毛や糸くずを容易に除去することができる。
塵埃分離部4と塵埃収容部5との接続部の気密を保つために、内筒7の軸方向他端面に、パッキング9を備える。パッキング9は、外延部34に設けられるだけでなく、内筒7の軸方向にも突出している。よって、内筒7の内側は、完全な中空ではなく、パッキング9によって一部閉塞空間が存在する。さらに、パッキング9の内筒7の内側へ突出した部分に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部39が形成される。凹み部39は把手の機能を有する。これにより、使用者が凹み部39に指を挿入して、塵埃分離部4あるいは内筒7を保持することができる。外延部34の上側の一部は、開口しており、前蓋11の外側流路35に連通する。つまり、外筒6の内側であって内筒7の円筒部分の外側が、前蓋11の外側流路35に連通する。図3(A)に示すように、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面は、円周方向に案内管38の開口に対向する側の壁面が高く、円周方向に案内管38の開口側の壁面が低いのが好ましい。例えば、塵埃分離部4を前方から見た場合に案内管38の開口方向が反時計回り方向だとすると、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面のうち左側の壁面が高く、右側の壁面が低い。つまり、外延部34の上側の一部が開口しているため、外延部34の円周方向は、内筒7の外周の一周分には満たないが、らせん状にずれている。よって、内筒7外の旋回流は、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の高い壁面にぶつかって、スムーズに軸方向へ向きを変えることができ、旋回流に含まれる塵埃も塵埃収容部5へ流れやすくなる。一方、内筒7の内側は、前蓋11の内側流路36に連通する。
塵埃収容部5は、軸方向一端面(前側端面)と軸方向他端面(後側端面)とが開口し、横断面で略逆三角形状の中空のケース10を備える。ケース10の軸方向一端面は、開閉可能な前蓋11によって閉塞される。前蓋11の下端部に軸31を備え、軸31はケース10の下端部によって支持される。前蓋11は、軸31を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。前蓋11の上端部のケース10側には、爪が突出している。一方、ケース10の前側上部に、使用者が押下することが可能なボタン17(レバーでもよい)を備え、ボタン17に、ケース10の前側に延びる伝達棒(ロッド)18が連結されている。伝達棒18の一端は、ボタン17に連結され、伝達棒18の他端は、爪状に形成されている。伝達棒18の他端の爪は、前蓋11の上端部の爪に係合可能である。ケース10に前蓋11が閉じられた状態では、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪とが係合して、前蓋11が開くのを防止することができる。そして、使用者がボタン17を押下すると伝達棒18が前側へスライドして(上側に回動してもよい)、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪との係合が解除され、重力によってケース10から前蓋11を開くことができる。把手16の形成方向が水平であるのに対して、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の法線方向は、水平方向に対して45度〜50度傾斜している。つまり、使用者が把手16を握って塵埃収容部5を持ち上げた際には、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)は、下方向(重力作用方向)を向いている。よって、重力によってケース10から前蓋11が開くことができる。尚、後述するが、集塵かご(集塵容器)12が、バネ(弾性体)によってケース10の前側へ飛び出すように付勢されていれば、集塵かご12が前蓋11の後面を押すため、使用者がボタン17を押下すると、集塵かご12の押す力によってスムーズにケース10から前蓋11が開くこともできる。換言すると、集塵かご12の開口面が前蓋11の後面によって押さえ受けられることによって、集塵かご12がケース10内に収納され、その収納状態が維持される。
ケース10の軸方向他端面は、開閉可能なフィルタ15によって閉塞される。フィルタ15の下端部に軸32を備え、軸32はケース10の下端部によって支持される。フィルタ15は、軸32を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。フィルタ15は、断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材79が形成される。図4(B)に示すように、フィルタ部材79の波方向は縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ15は、例えば、高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。フィルタ15のケース10の反対側の面に、パッキング25を備えていてもよい。パッキング25によって、塵埃収容部5の軸方向他端面と掃除機本体1(特に吸気ダクト27入口)との気密を保持できる。尚、軸31と軸32は、共用されてもよい。また、軸32は、フィルタ15の下端部ではなく、フィルタ15の上端部に備えられてもよい。
ケース10に、集塵かご12を内包する。集塵かご12の形状は、一つの面が開口したかご形状,立体的形状,箱形状または容器形状であってもよいし、ちりとり形状であってもよい。つまり、集塵かご12は、開口と反対側に凹んだ形状を有する。集塵かご12の断面形状は、略四角形状であってもよいし、略円形状であってもよいし、略三角形状であってもよい。集塵かご12の断面形状は、開口面から底面へ向かって、小さくなるのが好ましい。これによって、塵埃が排出される側(開口側)に向かって断面積が拡がるため、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。集塵かご12の形状は、枠体(支骨)によって形成される。集塵かご12の開口面以外の底面,上下左右面に、金属やナイロンなどで構成されたメッシュ部材が被覆または貼着されているのが好ましい。集塵かご12の底面だけでなく、上下左右面にも通気性を持たせることによって、集塵かご12の底面に塵埃が堆積しても流路を確保することができ、吸い込み空気の圧力損失を低減し、吸引力の低下を抑制することができる。このメッシュ部材は、通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有する。通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有するものであれば、メッシュ部材の代わりに使い捨てのティッシュペーパでもよいし、メッシュ部材とティッシュペーパとを組み合わせてもよい。例えば、メッシュ部材の上に使用者がティッシュペーパを装着してもよい。集塵かご12の開口面は、ケース10の軸方向一端面(前側端面)の開口面に一致する。つまり、集塵かご12の開口方向と、ケース10の軸方向一端面の開口方向とが同一である。そして、図6に示すように、集塵かご12の開口面の外周端の上側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接し、集塵かご12の開口面の外周端の下側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接していない。集塵かご12の下部に軸14を備える。軸14は、ケース10内に支持される。よって、集塵かご12は下部の軸14を支点として、ケース10の軸方向前後に回動可能である。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、重力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。ケース10に対する軸14の形成位置は、ケース10に対する軸31の形成位置と同じ側(下側)であるため、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、前蓋11によって阻害されることなく、塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。さらに、軸14に、集塵かご12を前蓋11側に押し出す方向に弾性力が作用するつるまきバネを備えてもよい。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、バネの弾性力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が勢いよく飛び出すことができ、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。さらに、集塵かご12は、上下に2分割されており、つまり上半分の枠体(支骨)と下半分の枠体(支骨)という2つの構造物からなるのが好ましい。2分割された集塵かご12は、集塵かご12の底面の外側に形成された軸13によって連結される。よって、図4(A)に示すように、集塵かご12は、底面の中間を支点として、集塵かご12の開口面が上下に割れる。特に、集塵かご12の一部が塵埃収容部5から飛び出した際に、集塵かご12が上下に割れる。これによって、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができる。特に、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃も容易にはがし落とすことができる。ただし、集塵かご12の上下2分割の構成は、必須ではない。また、上述したように、ケース10の前側は重力作用方向に対し40度〜45度傾いていることに加え、集塵かご12は塵埃収容部5から30度傾いて飛び出すため、集塵かご12内に堆積した塵埃を略重力方向に排出することができる。
前蓋11内には、軸方向に貫通する外側流路35および内側流路36が形成される。そして、外側流路35は、前蓋11の上側に形成され、外側流路35の一端は塵埃分離部4の特に外筒6と内筒7の筒部の間にあたる外延部34の開口に連通し、外側流路35の他端はケース10の特に集塵かご12の開口に連通する。電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の他端は集塵かご12の開口のうち半分よりも上側あるいは上端近傍に連通するのが好ましい。ただし、外側流路35の他端は、集塵かご12の開口の中央部に連通してもよい。さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の内部または他端部に、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。逆止弁は、上端を支点として、集塵かご12へ回動する。ただし、逆止弁は必須の構成ではない。外側流路35の断面積は、外側流路35の一端から他端へ向けて拡大している。外側流路35の形成方向は、外側流路35の一端から他端へ向けて前蓋11の外側から中心側へ向かう方向である。つまり、集塵かご12の外側から中心側へ向かう方向である。外側流路35から集塵かご12へ流入する空気の乱れを抑制するため、外側流路35の形成方向は、集塵かご12の外側流路35が連通する側の壁面(上側壁面)の方向であるのが好ましい。内側流路36は、前蓋11の中央から下側にかけて形成され、内側流路36の一端は塵埃分離部4の特に内筒7の軸方向他端開口(内筒7内)に連通し、内側流路36の他端はケース10の特に集塵かご12の外側に連通する。内側流路36の他端は、集塵かご12の外部下側に連通するのが好ましい。内側流路36は、外側流路35を避けて形成される。内側流路36の断面積は、外側流路35とは逆に、内側流路36の一端から他端へ向けて縮小している。
塵埃収容部5の上部外側には、水平方向に延びる使用者が握ることが可能な把手16を備える。使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1に残したまま、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すことができる。尚、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを連結していれば、使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げれば、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外すこともできる。図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向他端面(フィルタ15部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃収容部5の軸方向他端面の上部よりも下部がケース10側に近いのが好ましい。また、図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に40度〜45度程度傾斜している。つまり、塵埃収容部5の軸方向一端面の上部よりも下部がケース10側に近い。これによって、塵埃収容部5の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となる。これによって、使用者が塵埃収容部5を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃収容部5を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。そして、使用者は、塵埃収容部5の取り外し後に、凹み部39を持って、塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。図1に示すように、塵埃分離部4の軸方向一端面(入口管3部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりは外筒6側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃分離部4の軸方向他端面の上部よりも下部が外筒6側に近いのが好ましい。これによって、使用者が塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。また、使用者が塵埃分離部4を取り外す場合だけでなく、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外す際も、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
本体吸気口21には、ホース継手管20が挿入され、ホース継手管20を保持可能である。本体吸気口21の一端に、パッキング22を備える。これによって、ホース継手管20と入口管3との気密を保持できる。掃除機本体1の前方下端(集塵装置2の下側)に、キャスタを支持するためのキャスタ支持部23を備える。掃除機本体1内の後方上側に、掃除機本体1の前後方向に延びる吸気ダクト27を備える。吸気ダクト27の延設方向一端の開口は、フィルタ15に対向する。吸気ダクト27の一端の開口付近に、補助フィルタ26を備える。これによって、集塵装置2外に残った塵埃を電動送風機28が吸い込むのを抑制することができる。吸気ダクト27の延設方向他端は閉塞されており、吸気ダクト27の延設方向他端近傍の下部、つまり、電動送風機28側が開口している。掃除機本体1の吸気ダクト27の一端の開口の上部に、フィルタ15に接触する位置に、フィルタ15に付着した塵埃を除去する除塵装置24を備える。除塵装置24は回転体の外周にらせん状のバネ(弾性体)を備える。除塵装置24はモータによってまたはコードリールの引き出しによって回転し、らせん状のバネがフィルタ15のフィルタ部材79を弾くことによって、フィルタ15に付着した塵埃を振るい落とす。上述したように、フィルタ15の波方向は縦方向のため、振るい落とされた塵埃は重力作用方向に落ちやすくなっている。フィルタ15から振るい落とされた塵埃は、ケース10内に堆積することとなる。これによって、フィルタ15の目詰まりを抑制し、空気の圧力損失の低下を抑制し、吸引力の低下を抑制することができる。掃除機本体1内の後方下側に、吸引力を発生する電動送風機28を備える。電動送風機28は、電動送風機28の吸込口が上方を向く縦置きで設置される。電動送風機28の下流側かつ電動送風機28よりも前側に、電動送風機28の排気口に連通する排気ダクト40を備える。さらに、排気ダクト40の下流側かつ排気ダクト40よりも前側に、排気ダクト40に連通するフィルタ29を備える。フィルタ29は、断面形状が略四角形の枠体78内にプリーツ状に折られたフィルタ部材79が形成される。フィルタ部材79の波方向は縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ15は、例えば、高密度のULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)である。ULPAフィルタは、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタであり、HEPAフィルタの粒子捕集効率よりも高い粒子捕集効率を有する。そして、掃除機本体1の後端面に、本体排気口30を備える。
次に、電気掃除機の動作時(使用時)の空気の流れを説明する。図1中の矢印は、空気の流れを示す。使用者が電気掃除機の電源をONにすると、電動送風機28が作動し、吸引力を発生する。ホース継手管20から吸い込まれた空気は、入口管3を通って、外筒6内に流入し、凹み部8にぶつかって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に向きを変え、さらに案内管38で円周方向に向きを変える。この結果、空気は、外筒6の軸心を中心として外筒6を旋回する。つまり、旋回流となる。
空気の旋回に伴う遠心分離作用によって、空気に含まれる重い塵埃は旋回流の外側に集まる。空気に含まれる軽い塵埃は旋回流の外側だけでなく、内側にも残る。ただし、一般家庭での掃除において、塵埃の大部分は旋回流の外側に集まり、旋回流の内側にはあまり塵埃が残らない。内筒7外の空気は重い塵埃と共に、外側流路35を通って、集塵かご12へ流入する。塵埃は集塵かご12によって捕集され、堆積し、さらに吸引力によって圧縮される。塵埃は吸引力によって自動的に圧縮されるため、使用者の手を煩わすことなく、多くの塵埃を保持できる。空気は集塵かご12の底面および上下左右面を通過して、フィルタ15に到達する。一方、旋回流の内側空気は、内筒7の貫通孔33から内筒7内に流入する。貫通孔33よりも大きな塵埃は、貫通孔33を通過することができず、内筒7外に残る。内筒7内の空気は軽い塵埃および小さい塵埃と共に、内側流路36を通って、ケース10内で集塵かご12の外部下側へ流入し、フィルタ15に到達する。集塵かご12内を通過した空気と集塵かご12内を通過しなかった空気は、フィルタ15の手前で合流して、フィルタ15を通過する。よって、集塵かご12は、ケース10内を、外側流路35に連通する空間と内側流路36に連通する空間とに区画している(仕切っている)。あるいは、集塵かご12は、ケース10内を、外側流路35に連通する空間とフィルタ15に面している空間とに区画している(仕切っている)。フィルタ15では、軽い塵埃および小さい塵埃その他空気に含まれる塵埃が捕集される。フィルタ15を通過して塵埃をほとんど含まない空気は、補助フィルタを通過して吸気ダクト27に流入し、吸気ダクト27の下部の開口を通り電動送風機28の上部の吸込口から吸い込まれる。電動送風機28の側部の排出口から排出された空気は、排気ダクト40を通って、フィルタ29に到達し、フィルタ29によって残った塵埃が捕集される。フィルタ29を通過した空気は、電動送風機28の周りやコードリール室(図示せず)、掃除機本体1の下部のすき間などを通って、本体排気口30から掃除機本体1外部へ排出される。特に、フィルタ29は、空気清浄機に搭載されるフィルタと同程度またはそれ以上の集塵効率を有するため、掃除機本体1から外部へ排出される空気は、空気清浄機と同程度またはそれ以上に清浄化されている。図2(A)に、本発明の実施例の集塵装置2の斜視図を示し、図2(B)に、本発明の実施例の集塵装置2の側面から見た断面図を示す。使用者は、把手16を握って集塵装置2を上方へ持ち上げることによって、掃除機本体1から集塵装置2を取り外すことができる。ただし、塵埃分離部4を掃除機本体1に残して、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すようにしてもよい。図2(A)に示すように、軸方向から見た塵埃分離部4の断面の外形状は、略円形状である。塵埃収容部5の断面の外形状は、前蓋11の部分では略円形状であるが、前蓋11の部分以降では略四角形状であり、フィルタ15の部分でも略四角形状である。図2(B)に示すように、ケース10の軸方向一端の開口方向とケース10の軸方向他端の開口方向とは一直線上になく、45度〜50度程度異なる。つまり、塵埃収容部5の軸方向は、中間よりも少し前側で、曲がっている。上述したが、集塵装置2の軸方向一端面(入口管3の部分)は、わずかに下方向(重力作用方向)を向き、集塵装置2の軸方向他端面(フィルタ15の部分)も、わずかに下方向(重力作用方向)を向いており、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
図3(A)に、本発明の実施例の内筒7および外筒6の斜視図を示し、図3(B)に、本発明の実施例の内筒7の裏側の斜視図を示す。外筒6の一端面は、入口管3の形成部分を除き、閉塞し、外筒6の他端面は、開口する。内筒7は、円筒部分の一端に、円環状の外延部34を有する。図3(A)に示すように、外筒6内に軸方向に内筒7の円筒部分から挿入されることによって、外筒6の他端面の外周端が外延部34の外周端に当接して、外筒6内に内筒7が形成される。図3(A)に示すように、入口管3の開口方向と凹み部8の開口とは対向している。凹み部8の内筒7の外周端部への開口方向は略下向きであり、案内管38の円周方向の開口方向は、反時計周りである。尚、案内管38の円周方向の開口方向は、時計回りであってもよい。そして、外延部34の上部に、軸方向に貫通する孔を備え、つまり外延部34の上部が開口している。開口の左壁面は、右壁面に比較して高くなっている。つまり、案内管38の円周方向の開口方向に対向する外延部34の上部の開口の壁面(左壁面)が他の壁面(右壁面)より高くなっている。そして、外延部34の表面はらせん状になっており、空気を外延部34の上部の開口に滑らかに導く流路の機能を有する。図3(B)に示すように、内筒7内の上側略半円部分に、内筒7の内側へ向かって凹み閉塞した凹み部39を備え、下側略半円部分は、内筒7内に開口している。集塵かご12に塵埃が堆積していない状態において内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、内筒7内の開口面積よりも外延部34上部の開口面積を大きくしてもよい。内筒7内への開口に比較して凹み部39の領域を多くしてもよいし、凹み部39に比較して内筒7内への開口の領域を多くしてもよい。そして、使用者は凹み部39に指を入れて、容易に塵埃分離部4あるいは内筒7を持つことができる。
内筒7の円筒部を抗菌効果のある金属材料で形成する場合は、先ず、金属の薄板に、直径0.1mm〜0.4mm程度の複数の貫通孔33をエッチング加工し、その後、両端を接合して円筒形状にする。貫通孔33はパンチング加工でもよい。抗菌効果のある金属材料として、例えば、ステンレス,銀,銅などがある。ステンレス,銀,銅に限らず、銀や銅を含むまたは銀や銅が表面析出した合金であればよい。金属の薄板の厚さは1mm以下であり、加工性を向上するには0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。金属薄板の厚さが薄い場合には、強度や真円度を向上するために、円筒状の金属薄板の軸方向の両端を、成形性のよい樹脂で固定するのが好ましい。具体的には、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部の形状および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部の形状が形成された形状に、円筒状の金属薄板をセットし、その後、型に樹脂を流し込むことによって、インサート成型する。インサート成型による場合、金属薄板は両端を接合して円筒形状にしなくてもよい。こうして、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部を樹脂で構成した、内筒7の円筒部分のみを金属材料で構成することができる。インサート成型によって、製造過程を簡素化できる。
図4(A)に、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を開いた状態の斜視図を示し、図4(B)に、本発明の実施例の塵埃収容部5の後部フィルタを開いた状態の斜視図を示す。図4(A)に示すように、軸31を支点として前蓋11が下方向へ回動して開くと、軸14を支点として集塵かご12も下方向へ回動して飛び出す。この際に、集塵かご12は、軸13を支点として上下に2分割される。塵埃収容部5から飛び出した際の集塵かご12の開口は、塵埃収容部5内に収納されていた際の集塵かご12の開口に比較して拡がる。これによって、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃を容易にはがし落とすことができる。尚、使用者が、集塵かご12の内面に沿ってティッシュペーパを装着した際には、ティッシュペーパの端を集塵かご12の開口部の枠体と前蓋11の外周端とで挟みこめば、ティッシュペーパがずれたり外れたりするのを抑制できる。図4(B)に示すように、軸32を支点としてフィルタ15も下方向へ回動して開く。これによって、使用者は、ケース10内で集塵かご12外部に堆積した塵埃を容易に排出することができ、さらに、フィルタ15のケース10側面に付着した塵埃も容易に除去することができる。
図5(A)は、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を塵埃収容部外側から見た正面図であり、図5(B)は、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を塵埃収容部内側から見た正面図である。尚、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。前蓋11の下端に、ケース10に回動自在に支持される軸31を備える。前蓋11は、略円形状をしている。図5(A)に示す斜線部分の外側の略円部分は、塵埃分離部4の軸方向他端面の外周端に当接可能である。図5(A)に示す斜線部分の内側の略円部分は、塵埃分離部4の内筒7の軸方向他端面の外周端に当接可能である。前蓋11の上側つまり軸31と反対側で、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間に、外側流路35の開口が形成される。外側流路35の表側(塵埃収容部5外側)の開口位置は、前蓋11の左右側や下側でもよいが、外側流路35の裏側(塵埃収容部5内側)の開口位置を前蓋11の上側とする場合は、外側流路35の長さを短くして空気の圧力損失を低減するために、外側流路35の表側の開口位置も、前蓋11の上側であるのが好ましい。一方、内筒7の内側に内側流路36の開口が形成される。図5(A)の正面図では、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが大きいが、内筒7内の上側略半円部分は、凹み部39が形成されているので、内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、実質的な流路面積としては、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが小さい。尚、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間の外側流路35の開口が形成されていない部分は、閉塞されている。図5(B)に示す斜線部分の外側の略円部分は、ケース10の軸方向一端面の外周端および集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。図5(B)に示すように、前蓋11の上下方向中心線よりも上側に、外側流路35の開口が形成される。これによって、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。ただし、前蓋11の上下方向中心線を含む中央部に、外側流路35の開口が形成されてもよい。さらに、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。これによって、さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。一方、前蓋11の下端近傍に、内側流路36の開口が形成される。ただし、内側流路36の開口位置は、外側流路35の開口位置に対して、下側でもよいし、左右側または上側でもよい。尚、内側流路36の開口の上側の斜線部分は、集塵かご12の開口の外周端の下端に当接する。
そして、図5(B)に示すように、前蓋11の裏側(塵埃収容部5の内側)では、内側流路36の開口面積よりも外側流路35の開口面積のほうが大きい。さらに、図5(A)と図5(B)に示すように、外側流路35の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、外側流路35の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも大きい。つまり、外側流路35は、一端から他端へ向かって拡がっている。一方、図5(A)と図5(B)に示すように、内側流路36の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、内側流路36の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも小さい。つまり、内側流路36は、一端から他端へ向かって狭まっている。
図6に、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を除いたときの塵埃分離部側から見た正面図を示す。尚、図5と同様に、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。略円形状の斜線部分は、前蓋11の外周端に当接する。図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の外周端は、集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。また、図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の80%以上は、集塵かご12の開口が占めている。そして、ケース10の開口の集塵かご12の開口以外の領域(残り20%程度以下)は、内側流路36の開口に対向し、内側流路36に連通する。
図7は、本発明の実施例の電気掃除機の概観図である。電気掃除機は、掃除機本体1以外に、吸口を有する吸込具50と、一端が吸込具50に連通し伸縮自在な継手管(延長管)51と、一端が継手管51の他端に連通し使用者が握る把手53や操作ボタン/スイッチを有する操作管52と、一端が操作管52の他端に連通し他端にホース継手管20が形成されるホース54とを備える。掃除機本体1の本体吸気口21にホース継手管20が挿入され、保持可能である。また、掃除機本体1の両側面に車輪55を備える。そして、使用者から操作ボタン/スイッチへの操作によって電気掃除機の電源がONされると、電動送風機28が作動して吸引力を発生する。吸込具50の吸口から吸い込まれた空気は、継手管51,操作管52,ホース54,ホース継手管20の順に通過して、掃除機本体1に流入する。
図8は、本発明の実施例の掃除機本体1の斜視図である。掃除機本体1の上面の中央付近には、一端が掃除機本体1に回動可能に軸によって支持された集塵装置2用の上カバー56を備え、掃除機本体1の上面のカバー56よりも後側には、掃除機本体1に回動可能に軸によって支持され使用者が掃除機本体1を持ち上げるための把手37を備える。
本発明の実施例によれば、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、圧縮され堆積した塵埃を使用者が容易に排出し、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。上カバー56は、閉じた状態で集塵装置2の把手16を覆う大きさおよび位置に形成されるのが好ましい。さらに、上カバー56は、掃除機本体1の作動中は開かないように、その回動がロックされる、または上カバー1が開いた場合掃除機本体1の作動が停止するのが好ましい。上カバー56により、掃除機本体1の作動中に使用者が集塵装置2を取り外すのを防止することができ、電気掃除機の安全性を向上することができる。
実施例1の内筒7の詳細を、実施例2として説明する。
本発明の実施例2の電気掃除機は、集塵装置2が円周面に複数の貫通孔33を有する内筒7を内包し、内筒7の軸方向の一端が閉塞され、内筒7の軸方向の他端が開口して電動送風機28側へ連通し、内筒7の軸方向の一端が、集塵装置2の入口管3の出口側開口に対向した位置に形成される。そして、内筒7の軸方向の一端が、集塵装置2の入口管3から吸い込まれた空気を円周方向へ旋回させるよう構成されることを特徴とする。
または、本発明の実施例2の電気掃除機は、内筒7の軸方向の一端の閉塞部が、集塵装置2の入口管3から吸い込まれた空気を円周方向へ旋回させる機能を持つ形状を有することを特徴とする。
または、本発明の実施例2の電気掃除機は、内筒7の軸方向の一端の閉塞部が、内筒7の軸方向の内側へ凹んだ形状を有し(例えば、凹み部8)、凹んだ形状の一部は、内筒7の円周面に開口することを特徴とする。
そして、本発明の実施例2によれば、内筒7の一端に旋回機能を持たせることによって、幅を大きくすることなく集塵装置2の軸方向の長さを短くでき、電気掃除機をコンパクトにできる。
図9は、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た正面図である。内筒7の円筒部分は、中空の半円柱形状の円柱部分57と中空円錐台形状の円錐台部分58とから構成される。円柱部分57は、内筒7の円筒部分の先端側に位置し、円錐台部分58は、内筒7の円筒部分の根元側に位置する。円錐台部分58の根元は、外延部34の内周端に接合している。円錐台部分58によって、円柱部分57と外延部34との接合部がなだらかになり、空気の流れの剥離や乱流の発生を抑制し、吸い込んだ空気のエネルギー損失を低減し、また騒音も抑制できる。内筒7は、外延部34と案内管38(ガイド部材)と円柱部分57と円錐台部分58とが一体成形されるのが好ましい。円筒部分は、円柱部分57と円錐台部分58とから構成されるのではなく、円柱部分57のみまたは円錐台部分58のみで構成されてもよい。つまり、円柱部分57は円柱形状であってもよいし、円錐台形状であってもよい。
R1は円柱部分57の外形半径、R2は円錐台部分58の外形半径、R3は外延部34の外形半径、R4は案内管38の外形半径である。外延部34の外形は略真円である。円柱部分57の半円も、略真円である。外延部34と円柱部分57と円錐台部分58とは、同心軸上に形成され、R1<R2<R3の関係である。例えば、R1は3cm程度で、R2は5cm程度で、R3は、6.5cm程度である。案内管38の軸心は、円柱部分57の軸心に対して図9では左側にずれて位置し、R1<R4<R2の関係である。例えば、R4は4cm程度である。円柱部分57の円周方向の一端(図9の下側)は終端し、他端(図9の上側)は案内管38に接合する。案内管38の側壁は、円柱部分57の他端から案内管終端部59の手前に至るまで、曲率半径R4で半円形状になだらかに湾曲し、案内管終端部59の側壁でも、円柱部分57の外側で円柱部分57の外周に沿って(円錐台部分58の外周に沿って)なだらかに湾曲する。つまり、案内管38は、一端が凹み部8の開口に連結され、他端が円柱部分57の外側で円柱部分57の外周に沿った方向(円錐台部分58の外周に沿った方向)に向き、その間180°転向するように、略半円形状になだらかに湾曲する。凹み部8自身は、凹み部8の側壁から底部中心に向かって段差なく、なだらかに球状に形成されるのが好ましく、凹み部8から案内管38の接合部も、段差なく、なだらかに形成されるのが好ましい。これによって、吸い込んだ空気のエネルギー損失を低減し、また騒音も抑制できる。
円柱部分57の厚さD1(外形R1と凹み部8の側壁との間)は3mm程度であり、3mm程度の厚さD1の内側は、中空となっており、その空間は貫通孔33に連通する。円柱部分57の一端部は、空気の流れがほぼ180度転向する流路の内壁を形成するため、厚いほうが、騒音を低減できる。そこで、円柱部分57の厚さD1が3mm程度であるのに対して、円柱部分57の一端部での厚さを6mm程度と厚くするのが好ましい。つまり、円柱部分57の一端部の曲率半径を3mm程度とするのが好ましい。これによって、騒音を低減できる。尚、円柱部分57の厚さD1も厚くすると、塵埃がつまり易くなるため、円柱部分57の厚さD1は3mm程度であるのが好ましい。凹み部8の半径(R1−D1)は、入口管3の出口開口の内側半径に一致または若干(1mm以内)大きいほうが好ましい。凹み部8の半径が、入口管3の出口開口の内径よりも小さいと、塵埃がつまったり、空気のエネルギー損失が大きくなったり、騒音が増加する恐れがあるからである。
貫通孔33は、円錐台部分58や案内管38には形成されず、円柱部分57の外周面にのみ形成されるのが好ましい。ただし、貫通孔33は、円柱部分57の外周面だけでなく、円錐台部分58や案内管38にも形成されてもよい。貫通孔33の直径は2mm程度であってもよい。貫通孔33の直径を2mm程度とすると、貫通孔33の数は100個程度であるのが好ましい。
案内管38の一部である案内管終端部59は、半径方向から見ると、案内管終端部59の円周方向根元部60から案内管終端部59の円周方向先端部61へ向かって略「く」の字形状を有する。図9に示すように、案内管終端部59と円柱部分57とは、半径方向から見ると重複している。案内管38の終端(案内管終端部59)が円柱部分57の一端と重複する位置まで延びて形成されることによって、吸い込んだ空気に十分な旋回力を与えることができる。案内管終端部59に対して円周方向の反対側(180度反対側)に、外側流路35の一端開口(外延部34の上部の開口)が形成される。貫通孔33は、少なくとも案内管終端部59から外側流路35の一端開口までの間に形成されていればよい。外側流路35に塵埃が流れ易くするために、外側流路35の一端開口の円周方向の長さは長いほうが好ましい。外側流路35の一端開口の下流側壁面65(左壁面)が上流側壁面66(右壁面)より高くなっており、下流側壁面65は、軸方向から見ると内周側から外周側へ向かって傾斜または湾曲しており、内周側よりも外周側が上流側壁面6へ向かって円周方向に長い。これは、万が一髪の毛や糸くずなどの長さのあるごみが下流側壁面65に引っ掛かった場合、外周側を円周方向に長くすることで、これらのごみを内周側へ導く力が働き、徐々にバランスを崩し、塵埃収容部5にごみを収めるためである。塵埃収容部5に蓄積された塵埃が前蓋11の外側流路35の他端開口からこぼれ落ちるのを抑制するために、外側流路35の一端開口は、上側に配置されるのが好ましい。そこで、遠心分離距離を長くしたい場合には、外側流路35の一端開口の位置はそのままにして、凹み部8の開口の形成位置および案内管終端部59の形成位置は、時計回り方向で外側流路35の一端開口に近い位置、図9では左側の位置にすればよい。
図10も、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た正面図である。図10中の矢印は、吸い込んだ空気の流れ方向を示す。凹み部8に略軸方向に流入した空気は、凹み部8によって半径方向に転向し、案内管38によって円周方向に転向し、内筒7と外筒6との間を半周程度(つまり案内管終端部59から外側流路35の一端開口まで)円周方向および軸方向へ流れ(旋回し)、流入した空気の大部分が外側流路35の一端開口に流れ込む(流れ64)。よって、凹み部8と案内管38は、略軸方向に流入した空気を旋回させる機能を有する。内筒7と外筒6との間を半周程度(つまり案内管終端部59から外側流路35の一端開口まで)円周方向および軸方向へ流れる(旋回する)空気の一部は、貫通孔33から内筒7内へ流れ込む(流れ63)。また、外側流路35の一端開口に流れなかった空気は、案内管38と外筒6との間を半周程度(つまり外側流路35の一端開口から案内管終端部59まで)円周方向に流れ(流れ64)、案内管38から出てきた空気と合流する。本発明の実施例2では、内筒7の外側を旋回した空気は、外側流路35を通って、電動送風機28に連通する塵埃収容部5に流れ込むため、遠心分離距離を長くする必要はなく、半周程度でよい。よって、内筒7の高さひいては塵埃分離部4の軸方向長さを短くでき、集塵装置2の軸方向長さを短くでき、掃除機本体1をコンパクトにできる。塵埃分離部4の外形直径は、内筒7の外形直径すなわち外延部34の外形直径2R3にほぼ相当する。塵埃分離部4の軸方向長さ(入口管3は含まず)は、内筒7の軸方向高さH5にほぼ相当する。そして、H5<2R3の関係を有する。よって、塵埃分離部4の軸方向高さは、塵埃分離部4の上下幅あるいは左右幅よりも小さい。例えば、2R3は13cm程度であり、H5は7cm程度である。外側流路35の一端開口に流れ込む空気(流れ62)の流量を流量V1、貫通孔33から内筒7内へ流れ込む空気(流れ63)の流量を流量V2、外側流路35の一端開口に流れなかった空気(流れ64)の流量を流量V3とすると、V1>V2>V3の関係を有する。また、入口管3での流速に比較して、案内管38での流速が高く、案内管38での流速に比較して、外側流路35での流速が高い。つまり、流れ62は、案内管38で加速し、外側流路35でも加速して、2段階に加速する。よって、入口管3の流路断面に比較して、案内管38の流路断面が小さく、案内管38の流路断面に比較して、外側流路35の流路断面が小さい。
半径方向の流路幅Wは、案内管38の案内管終端部59での流路幅W1に対して、案内管38を出た位置での流路幅W2は拡がり、案内管終端部59の出口から外側流路35の一端開口まで一定(流路幅W2)であり、外側流路35の一端開口から案内管終端部59までは徐々に流路幅W2から流路幅W3まで狭くなり、案内管終端部59では流路幅W3となる。そしてW2>W1>W3の関係を有する。W3が小さすぎると、塵埃がつまる恐れがあるため、例えば、W3は、1.0cm程度である。例えば、W2は、R3−R1であり、4cm程度である。W1は、W2−W3−(案内管終端部59の半径方向の厚み)であり、3cmよりも若干小さい。
図11は、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た斜視図である。案内管終端部59の側壁は、円周方向に対して垂直に終端しているのではなく、2段階に屈曲した略「く」の字形状に終端している。具体的には、案内管終端部59の軸方向先端部から軸方向中間部までは円周方向に対する垂線に近い角度で終端し、案内管終端部の案内管終端部59の軸方向根元部までは円周方向に対する垂線よりもかなり傾斜して終端している。例えば、案内管終端部59の側壁が、案内管終端部59の円周方向根元部60の位置で、円周方向に対して垂直に終端すると、十分な旋回力を与えることができず、十分に塵埃を分離できない。一方、案内管終端部59の円周方向先端部61の位置で、円周方向に対して垂直に終端すると、旋回力が強すぎ、旋回の一周目で外側流路35に流れ込む空気が少なくなり、外側流路35に塵埃(特に比重の大きい塵埃)が吸い込まれず、塵埃分離部4内に塵埃が残る場合がある。特に、本発明では、塵埃分離部4の入口側が重力方向下に位置に、出口側が重力方向上に位置するため、外側流路35に塵埃が吸い込まれず、塵埃分離部4内に塵埃が残るのが顕著である。そこで、案内管終端部59を略「く」の字形状に終端することによって、凹み部8に流入した空気に、必要十分な旋回力を与えることができる。さらに、凹み部8に流入した空気は、軸方向の下流側へ向かって流れることになるため、案内管終端部59で見ると、案内管終端部59の軸方向先端側よりも軸方向根元側の流量が多くなる(圧力が高くなる)。そこで、案内管終端部59の軸方向先端側よりも軸方向根元側を円周方向に長くすることによって、流量の多い案内管終端部59の軸方向根元側に十分な旋回力を与えることができる。尚、案内管終端部59を略「く」の字形状にする代わりに、案内管終端部59の側壁を軸方向先端側から軸方向根元側に向かって1段階で円周方向に徐々に傾斜していてもよい。
図12は、本発明の実施例2の内筒7を外延部裏側から見た上面図である。図13は、本発明の実施例2の内筒7を外延部裏側から見た斜視図である。パッキング9(シール部材)は、3本のネジ67(取付部材)によって、外延部34の裏側に取り付けられている。パッキング9は、外周側に位置する円環状のリップ68(張り出し部)と内周側に位置する円環状のリップ69(張り出し部)を備える。リップ68は、外側流路35における内筒7と前蓋11との気密を保持するために設けられており、リップ69は、内側流路36における内筒7と前蓋11との気密を保持するために設けられている。そして、リップ68およびリップ69は、内周側から外周側へ向かって延びて形成される。よって、集塵分離部4に対して集塵収容部5が取り付けられた場合に、リップ68およびリップ69が集塵収容部5の前蓋11に当接し、弾性変形して、気密を保持する。さらに、電動送風機28が作動して、吸引力が発生すると、集塵収容部5に集塵分離部4が吸い寄せられて、リップ68およびリップ69がさらに弾性変形して、気密を保持する。よって、電動送風機28が停止している場合に比較して電動送風機28が作動している場合は、集塵収容部5と集塵分離部4との間の気密の保持力が増す。ただし、リップ69は、外周側から内周側へ向かって延びて形成されるのが好ましい、リップ69が、内周側から外周側へ向かって延びて形成されると、外側流路35の終端の内周側の部分100に、外側流路35からの塵埃が引っかかったり、漏れたりする。リップ69を、外周側から内周側へ向かって延びて形成することにより、塵埃が引っかかったり、漏れたりするのを抑制できる。尚、パッキング9は、リップ68およびリップ69を含めゴムなどの弾性材料によって一体に成形されるのが好ましい。
円筒部分の内周側(リップ69の内周側)の略上半分は、円筒部分の軸方向内側に凹んだ凹み部39を有するパッキング9によって閉塞され、円筒部分の内周側(リップ69の内周側)の略下半分は、パッキング9によって閉塞されずに開口している。この開口は、内側流路36を形成している。パッキング9によって閉塞された部分の面積は、開口している部分の面積と同一であってもよいし、小さくてもよい。パッキング9によって閉塞された部分の面積を、開口している部分の面積よりも小さくすることによって、内側流路36を流れる空気のエネルギー損失や騒音を低減できる。
図14は、本発明の実施例2の内筒7を上側から見た側面図である。外側流路35の一端開口の下流側壁面65(左壁面)が上流側壁面66(右壁面)より高くなっており、この高さの差分dHだけ開口している。これによって、円筒部分の外側の流れは、下流側壁面65に沿ってスムーズに軸方向へ向きを変えることができ、旋回流に含まれる塵埃も塵埃収容部5へ流れやすくなる。外側流路35の内壁面101は、外側流路35の入口である下流側壁面65から外側流路35の出口である内筒7の軸方向他端面に向かって、円周方向に傾斜または湾曲して形成される。これによって、塵埃が外側流路35内をスムーズに流れることができる。尚、外側流路35の内壁面101が傾斜または湾曲しているため、外側流路35から出た空気の流れには、軸方向の成分だけでなく、円周方向の成分(旋回成分)も残る。
図15は、本発明の実施例2の内筒7を右側から見た側面図である。外延部34は、外側流路35へ向かって(下側から上側へ向かって)、軸方向の高さが低くなっている。外延部34の表面は、1周分では、外側流路35へ向かってらせん状に形成される。円柱部分57の高さをH1、円錐台部分58の最も高い位置での高さをH2とすると、H1>H2の関係を有する。また、案内管38の最も高い位置での高さをH3とすると、H3>H1の関係を有する。貫通孔33は、少なくとも案内管終端部59から外側流路35の一端開口までの間に形成されていればよいが、その中でも、外側流路35側よりも案内管終端部59側に集中して形成されていればよい。外側流路35側では、貫通孔33に流れ込む流量よりも外側流路35に流れ込む流量が多くなるため、外側流路35側に貫通孔33を形成する意味がないためである。
図16は、本発明の実施例2の内筒7を右側から見た断面図である。凹み部8の軸方向で最も深い部分での深さをH4とすると、H4<H1の関係を有する。つまり、凹み部8の深さは、円柱部分57の高さよりも浅い。立体的に見ると、凹み部8は半球状であり、凹み部8の断面形状は、図14に示すようにほぼ半円である。よって、凹み部8の深さH4は、円柱部分57の外形半径R1あるいは凹み部8の開口部の半径にほぼ等しい。よって、凹み部8の軸方向の形成位置は、貫通孔33の軸方向の形成位置にオーバーラップする。凹み部8の深さH4が深すぎると、貫通孔33から吸い込まれる空気の流量が少なくなり、一方、凹み部8の深さH4が浅すぎると、凹み部8に塵埃がつまる恐れがあるからである。射出成形の容易さも考慮して、凹み部8は半球状とするのが好ましい。ただし、凹み部8は半球状に限定されるのではなく、半球状よりも浅い楕円形状あるいは深い楕円形状であってもよい。そして、案内管38の底面の一端は、凹み部8の底面に段差なくなだらかに接合され、案内管38の底面の他端は、外延部34の表面に段差なくなだらかに接合され、案内管38の底面は、案内管38の底面の一端から案内管38の底面の他端に至るまで段差なくなだらかに傾斜するのが好ましい。尚、半球状の凹み部8の半分から案内管38が連結されるので、案内管38の部分を除くと実際には凹み部8は1/4球状となる。
そして、円筒部分の外側を旋回した空気は、外側流路35から排出される(流れ62)。貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気は、円筒部分内の空間および外延部34内の空間を、小さく旋回しながら、内側流路36から排出される(流れ63)。貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気は、円筒部分の外側を旋回した空気に比較して、エネルギー損失がかなり大きくなるが、塵埃収容部5に塵埃が堆積していない状態において、貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気の流量は、円筒部分の外側を旋回した空気の流量に比較してかなり少ないため、全体として見るとエネルギー損失は少ない。
図17(A)は、本発明の実施例2の塵埃分離部を正面から見た斜視図であり、図17(B)は、本発明の実施例2の塵埃分離部を右側側面から見た側面図である。図17中の矢印は、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部との当接範囲を示す。円柱部分57の半円形状の軸方向先端部が、入口管3の出口端部と当接している。組立精度の問題から、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部とは完全に当接せずに、多少の間隙(1mm以下)があってもよい。ただし、間隙があると空気が漏れ、エネルギー損失が増加し、また騒音も大きくなる。よって、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部とを気密にする場合は、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部との間にパッキング(シール部材)を介在させてもよい。
一方、断面拡大図に示すように、外筒6の軸方向端面の内側に、案内管38の軸方向先端部の全長にわたって、案内管38の軸方向先端部に沿って段差を形成する。外筒6の軸方向端面の厚さをD2とし、外筒6の軸方向端面の案内管38の軸方向先端部に対応する部分よりも内周側の厚さをD3とすると、D2>D3の関係を有することから、(D3−D2)の段差が生じる。例えば、D2は3mm程度であり、D3は2mm程度である。よって、段差は、1mm程度である。よって、外筒6の軸方向端面の内側は、案内管38の軸方向先端部に対応する部分よりも内周側で薄くなる。そして、断面拡大図に示すように、この段差に案内管38の軸方向先端部が当接するように内筒7および外筒6を組み合わせる。この段差は、外筒6の軸方向端面の内側と案内管38の軸方向先端部との間のシール機能を有するため、この段差によって、空気のエネルギー損失を低減し、または騒音を低減できる。加工精度や組立精度が悪かったり、電動送風機が28が稼動して、内筒7が塵埃収容部5側に吸い寄せられて、案内管38の軸方向先端部が、外筒6の軸方向端面の内側に完全に当接しない場合にも、段差が空気の漏れを抑制できる。案内管38の軸方向先端部の厚さは、円柱部分57の軸方向先端部の厚さD1に比較して、薄く、パッキングなどのシール部材を形成するのが困難なため、段差によってシール機能を実現するのが好ましい。尚、入口管3は、外筒6と一体に成形されるのが好ましい。
外筒6の内周面(側壁面)で、かつ、外筒6の軸方向端面(上面)に近い側で、かつ、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間に、整流板102(リブ,羽根,フィン)を形成する。整流板102の形成位置は、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間の中央付近でもよいし、中央よりも案内管38の出口開口側であってもよい。整流板102は板形状で、円周方向に延びて形成される。整流板102は円周方向の長さは、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまで距離よりも極めて小さい。図17(B)に示すように、整流板102の形成方向は、整流板102の形成位置から外側流路35の入口開口に向かう方向である。整流板102は1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。整流板102と外延部34との間には大きな隙間があり、この大きな隙間には当然に空気が流れる。整流板102と外筒6の軸方向端面の内側との間にも小さい隙間があり、この大きな隙間にも空気が流れる。この整流板102と外筒6の軸方向端面の内側との間にも小さい隙間を形成し、空気の流れを形成することによって、整流板102の両面に流れが発生するため、整流板102の下流端での乱流の発生を抑制できる。そして、この整流板102によって、旋回流を外側流路35の入口開口へ向かわせることができる。よって、案内管38から流れ込んだ空気が、外筒6内を何周も旋回することなく、外側流路35へ導かれるため、空気のエネルギー損失を低減できる。また、流速の遅い内周側(内筒7の外周面)ではなく、流速の早い外周側(外筒6の内周面)に形成するため、整流板102の形状が小さくても、旋回流を転向させる効果がある。整流板102を小さくできるため、空気の流れの乱れを小さくでき、空気のエネルギー損失を低減できる。
本発明の実施例2によれば、内筒7の先端部に凹み部8を形成して旋回機能を持たせることによって、集塵装置2の軸方向の長さを短くでき、掃除機本体1をコンパクトにできる。
実施例2の整流板102の変形例を、実施例3として説明する。実施例2の整流板102の形状が直線状であるのに対し、実施例3の整流板201(リブ,羽根,フィン)の形状が略「へ」の字に屈曲している点で相違する。また、実施例2の整流板102の位置が軸方向先端側(外側流路35から遠い側)であるのに対し、実施例3の整流板201の位置が軸方向根元側(外側流路35に近い側)である点で相違する。
流れを旋回させる流路(旋回流路)の開口面積は、円柱部分57の円周方向の終端部(図9の下側)と案内管終端部59の円周方向根元部60との間で最も狭いため、流れの速度も速く、騒音(主に流体音)を発生しやすい。この円柱部分57の円周方向の終端部(図9の下側)と案内管終端部59の円周方向根元部60との間の開口面積を広くすると、騒音は低減するが、図17に示すように、流れの速度が低下し、外側流路35の入口開口を過ぎたあたりに流れの淀み領域200が発生する。この流れの淀み領域200では、逆流が発生しており、流れの旋回性が低下し、空気と塵埃を分離する遠心分離能力も低下する。そこで、実施例3では、整流板201の形状を略「へ」の字に屈曲すると共に、整流板201の位置を軸方向根元側(外側流路35に近い側)とした。
図18(A)に本発明の実施例3の塵埃分離部を正面から見た斜視図を示し、図18(B)に本発明の実施例3の塵埃分離部を右側側面から見た側面図を示す。図19(A)に本発明の実施例3の外筒を背面から見た背面図を示し、図19(B)に本発明の実施例3の外筒をA−A方向から見た断面図を示す。図20に本発明の実施例3の外筒を斜め背面から見た斜視図を示す。尚、図18では、貫通孔33から内筒7内へ流れ込む流れ63の図示を省略してある。
図18〜図20に示すように、外筒6の内周面(側壁面)で、かつ、外筒6の軸方向根元側(外側流路35の入口開口に近い側)で、かつ、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間に、整流板201を形成する。図19(A)に示すように、軸方向から見た整流板201の形成位置は、旋回流路の外周側であり、整流板201と円柱部分57との間は空いている。整流板201は、外筒6と同一材料で一体に成形されてもよい。図19(A)に示すように、軸方向から見た整流板201の円周方向の形成位置は、左右中心線よりも下側であるが、旋回流路に沿った形成位置では、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間のほぼ中央である。図18(B)に示すように、整流板201の軸方向(旋回流路の高さ方向)の形成位置は、軸方向根元側(外側流路35の入口開口に近い側)であり、つまり旋回流路の高さ方向の中央よりも下側である。整流板201の軸方向の形成位置が軸方向先端側に近いと、整流板201の軸方向先端側を流れる流れ64の風量が低下し、淀みを低減できないためである。
整流板201は板形状(板厚は1mm程度)で、円周方向に延びて形成される。ただし、図19(B)に示すように、半径方向から見ると整流板201は、略「へ」の字に屈曲している。整流板201は、軸方向先端側に凸で、軸方向先端側に凹である。図19(B)に示すように、円周面(旋回流路の形成方向)を基準にすると、整流板201の前部201a(屈曲前)は軸方向根元から軸方向先端に向かって傾斜して形成され、整流板201の後部201b(屈曲後)は軸方向先端から軸方向根元に向かって傾斜して形成される。つまり、円周面を基準にすると、整流板201の前部201aの形成方向と整流板201の後部201bの形成方向とは逆向きである。円周面に対する整流板201の前部201aの傾斜角度と円周面に対する整流板201の後部201bの傾斜角度とは略等しい。円周面に対する整流板201の前部201aの傾斜角度および円周面に対する整流板201の後部201bの傾斜角度を大きくすると、整流板201の後部201bで流れの剥離し、乱流や逆流が発生することから、円周面に対する整流板201の前部201aの傾斜角度および円周面に対する整流板201の後部201bの傾斜角度は、45度以下、好ましくは30度程度とする。尚、図19(B)に示すように、整流板201の前部201aは、下側に位置し、案内管38の出口開口に近い上流側に位置し、整流板201の後部201bは、上側に位置し、外側流路35の入口開口に近い下流側に位置する。図19(B)に示すように、整流板201の前部201aは、整流板201の後部201bよりも長い。図19(A)に示すように、整流板201の円周方向の長さは、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの距離よりも極めて小さい。また、図20に示すように、整流板201の幅は、屈曲部で最も広く、前部201aおよび後部201bに向かって次第に狭くなっている。整流板201は1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。整流板201の形状は、軸方向先端側に凹で、軸方向先端側に凸となった逆「へ」の字形状であってもよい。整流板201の形状は、前部201aが後部201bまで延びて形成された略「Y」の字形状であってもよい。整流板201の前部201aの長さと整流板201の後部201bの長さは同程度であってもよい。
そして、図18(B)に示すように、整流板201と外筒6の軸方向端面の内側との間にも大きな隙間があり、この大きな隙間にも空気が流れる(流れ64)。整流板201と外延部34との間には小さな隙間があり、この小さな隙間にも空気が流れる(流れ62)。つまり、案内管38から出た流れ62は、整流板201によって、外側流路35の入口開口へ向かう流れ62と円柱部分57の周囲を旋回する流れ64へ分離される。整流板201の前部201aで、流れ64を軸方向先端側(外側流路35の入口開口とは反対側)へ押し付け、誘導し、流れの淀み領域200の発生を低減する。整流板201の後部201bで、流れ64を軸方向根元側(外側流路35の入口開口側)へ押し付け、誘導する。これによって、外側流路35の入口開口を過ぎたあたりに流れの淀み領域200が発生するのを低減し、流れ64の旋回流の風量を増幅させ、その結果、一定量(例えば、21s程度)のべレット旋回時間を得ることができる。
尚、図18(B)に示すように、外延部34の裏面には、回動可能なハンドル202が形成される。また、外筒6に対して外延部34は、蝶番203(ヒンジ)によって回動可能である。外延部34は、蝶番203とは反対側に形成されたボタン204によって、外筒6に係止可能である。
実施例3は、少なくとも、空気が塵埃分離部4内を旋回し、遠心分離作用によって塵埃と空気とが分離し、塵埃を多く含む空気と塵埃をあまり含まない空気とを異なる流路(外側流路35と内側流路36)へ導くものに適用可能である。よって、実施例3は、円柱部分57がなく外延部34の中心部に貫通孔が設けられて内側流路36を形成するものにも適用可能である。実施例3は、内筒7の軸方向先端部に凹み部8がなく、入口管3が外筒6の軸方向先端側の円周面に接続されたものにも適用可能である。実施例3は、外側流路35が外筒6の軸方向根端側の円周面に接続されたものにも適用可能である。実施例3は、塵埃収容部5のないものにも適用可能である。実施例3は、塵埃分離部4の軸方向先端側が掃除機本体1の上側に位置し、塵埃分離部4の軸方向根元側が掃除機本体1の下側に位置するものにも適用可能である。