JP2017060545A - シートパッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、シートパッドZが座部を構成するクッションパッドでは、図9のように車両後方側に近づくにつれ側方部位23の張出部232が低くなることもあって、該張出部232によるシートフレームFのサポートが難しくなっている。その結果、図10(イ)のごとくパッド本体裏面2bの外縁近くに配されるシートフレームFが、裏当て材3と接するのでなく、シートパッドのパッド本体2が露出する車幅方向外方へずれて、図10(ロ)のごとくパッド露出面29上に載る事態を招く。パッド露出面29を擦って異音を発生させ、ハガレ面28ができ易い。さらに、パッド本体2に直に当たるため亀裂CKを生む。
こうしたことから、上記不具合に取組む発明が提案されている(例えば特許文献1、2)。
また、特許文献2は、不織布を貼着するのをパッド本体のキワに近い凹凸部の領域とするが、裏当て材たる不織布セットの難易度が少し下がる程度で、その作業はシビアできつい。またこの製法は、通常、上型型面に不織布の短冊状部をセットしなければならず、不織布の発泡型へのセット作業はさらに困難なものになっている。
請求項4に記載の発明の要旨は、発泡体からなるパッド本体と、該パッド本体の発泡成形でその裏面に被着一体化されたシート状裏当て材と、を具備する車両用シートパッドにおいて、該裏当て材の周縁の一部に、シート状舌片を外方へ延在させてなるか又は別体の舌片を縫合して外方へ延在させてなる舌片付き裏当て材が形成され、該舌片がその付け根に在る前記パッド本体の一領域からパーティグラインを越えたパッド本体の他領域に突き出し、該舌片の先端部が該他領域のパッド本体部分に係止されてなることを特徴とするシートパッドにある。請求項5の発明たるシートパッドは、請求項4で、舌片の先端部に一対の面ファスナーのうちの一方が取着され、前記先端部が係止される他領域のバッド本体部分に前記面ファスナーの他方が取着されてなることを特徴とする。
シートパッド1は、背もたれ用のバックパッドや着座した乗員の下半身を受け支えるクッションパッドである。本実施形態は図1,図2のようなクッションパッドに適用する。クッションパッドに表皮を被せてシートクッションの形にすれば、公知のバックパッドに表皮を被せたバックレストと公知のヘッドレストとで車両用座席シートを形成する。
シートパッド1は、発泡体からなるパッド本体2と、裏当て材3と舌片4とを具備する。
パッド本体2は、図2のように、乗員の臀部及び大腿部を支えるメイン部21と、該メイン部21の両側で隆起して、臀部及び大腿部の側部を支えるサイド部22とに大別される。
裏当て材3は、パッド本体裏面2bの外縁にまでくまなく綺麗に設けるとなると、シートパッド製造時の型5へのセットに精度を要し且つ作業時間も大幅に増えることから、その大きさがパッド本体2の裏面外周縁よりも一回り小さい。図1のごとく、正常にセットされた裏当て材3の周縁31はパッド本体2の裏面外縁よりもパッド本体2の中央寄りに位置して、裏当て材3の周縁31とパッド本体2の裏面外縁との間に、型セットをし易くする余裕代が設けられる(図1,図2)。小さくした裏当て材3により、裏当て材外周縁31とパッド本体の裏面外周縁(パッド側壁面231)との間にパッド露出面29ができる。符号εは前記余裕代によって現れるパッド露出面29の幅を示す。パッド本体2との一体成形で、裏当て材3をパッド本体裏面2bの形成用型面に精度良く合わせてセットしなくても、型閉じで発泡型5に裏当て材3が挟まれず、作業性向上につながっている。なお、作業性向上につながる一方で、このままでは、車両後方側のシートパッド裏面1bで、余裕代に在るパッド本体2のパッド露出面29にシートフレームFが当たる図10(ロ)のような不具合を招く。
パッド露出面29側へフレームがずれると、既述のごとくハガレ面28や亀裂CKといった問題が発生するが、この問題を舌片4が解決する。
こうして、パッド本体の一領域2Aに付け根41を有する舌片4が、パーティングラインPLを越えてパッド本体の他領域2Bに係止して、異音や亀裂CKを生む不具合発生域のパッド露出面29を覆い、さらに該パッド露出面29を覆っている舌片4に発泡硬化部分がない所望のシートパッド1が得られる。
シートパッドの製造方法は、裏当て材3と舌片4と発泡型5とを用いて、例えば図4〜図8の発泡型5に該舌片4付き裏当て材3をセットした後、発泡原料gの注入及び型閉じを経て、図1〜図3のようなシートパッド1を成形する。尚、図1のごとく舌片4を一つ設けるのでもよいが、図4〜図8では舌片4を二つ設けるシートパッド1用発泡型5としている。
裏当て材3と舌片4は、(1)のシートパッド1で述べたものと同様で、その詳細説明を省く。
図4〜図8に示す本製法では、下型6の型面61でシートパッドの表面1a側が成形され、上型7の型面71でシートパッド1の裏面1b側が成形される。舌片4付き裏当て材3の該舌片4は、その付け根41を折れ部Kにして裏当て材3に折り重ねられて上型7にセットされる。そのため、上型7に図4のごとく舌片設置用段差711を設ける。さらに、折れ部Kが配される上型7の部位に突起75を設ける。上型7への舌片4付き裏当て材3のセットで、折れ部Kの折れ線K1に沿ってあてがう突起75を設け、且つ該折れ部Kと対向する側の該突起75の壁面752を、その突上端751から上型7に取付けセットされた舌片4の折り重ね本体部44へ向けて、カーブを描いて下降傾斜する湾曲面に形成する。本突起75は突上端751に端面を形成し、折れ部Kと対向する壁面752とは反対側の壁753をほぼ垂直面とする。該突起75は、図6の紙面垂直方向に少なくとも舌片4の幅の長さ分が図6の側面視形状で堤状に形成されている。
まず、発泡成形に先立ち、裏当て材3の周縁31の一部に別体の舌片4を縫合して、舌片4付き裏当て材3を作製する(図5のイ)。舌片4は、裏当て材3の周縁31から、該舌片4を倒して図3のようにパーティングラインPLを越えたパッド本体の他領域2Bに達する大きさとする。具体的には、シートフレームFがずれてパッド露出面29に載って生じるハガレ面28や亀裂CKなどの不具合発生域を該舌片4で覆って防止できる矩形大きさにする。矩形舌片4が、その付け根部分に裏当て材3との縫合部Sを図5(イ)のように形成して、該裏当て材3につながる。該縫合部Sが舌片4と裏当て材3の折れ部Kになる。
詳しくは、図6のように取付けセットする。突起75の突上端751と湾曲壁面752とが接する端縁に、図6(イ)のごとく、舌片4の付け根41と該舌片4に縫合された裏当て材周縁31の部分を合わせる。続いて、舌片4の付け根41と該舌片4に縫合された裏当て材周縁31の部分を、他の舌片4付き裏当て材3と共に上型型面71へ押し付けて、上型7に取付けセットする。舌片4が、その付け根41を折れ部Kにして裏当て材3に折り重ねられ、且つ裏当て材3に隠れるようにして、上型7に取付けセットされる(図6のロ)。ここで、折れ部Kと対向する側の突起75の壁面752を、突上端751から上型7に取付けセットされた舌片4の折り重ね本体部44へ向けて下降傾斜する湾曲面に形成しているので、折れ部Kが該湾曲面にあてがわれるようにしてセットされる。舌片4の付け根41及び裏当て材周縁31の部分が、図6(イ)から図6(ロ)へと該湾曲面を擦りながら上型型面71にセットされる。舌片4の付け根41及び裏当て材周縁31の部分が突起75との当接部分8となって、突起75に密着する。尚、図6(ロ)は図面を判り易くするため折り重ね本体部44と湾曲壁面752との間に隙間を設けたが、両者は密着する。
かくして、舌片4周りは上型型面71に向けて少し押し付けて、折れ部K、特に突起75に舌片4の付け根41及び舌片4がある裏当て材周縁31の部分を、突起75の湾曲壁面752に、図6の(イ)から(ロ)へと擦り付けるようにして当接,密着させる。且つフェライトシート片Tを磁石に吸着させて、上型型面71への舌片4付き裏当て材3のセットを終える。
本実施形態は、発泡型5への舌片4付き裏当て材3のセット後、型開状態のまま、下型6のキャビティCを形成する型面61に注入ホースNL等を使用してパッド本体成形用ウレタン発泡原液等の発泡原料gを所定量注入する(図7)。続いて、上型7を作動させ型閉じする(図8)。上型7と下型6との型閉じで、舌片4付き裏当て材3がインサートされたシートパッド1用キャビティCができる。尚、発泡型5への舌片4付き裏当て材3のセット後、発泡原料gを注入し、その後、型閉じしたが、発泡型5に裏当て材3,舌片4をセットした後、型閉じし、その後、発泡原料gを注入することもできる。
このように構成したシートパッド1及びその製造方法によれば、舌片4がその付け根41に在るパッド本体の一領域2AからパーティングラインPLを越えたパッド本体の他領域2Bのパッド本体部分に係止されるので、不具合を引き起こすパッド露出面29を容易に覆うことができる。パッド本体裏面2bで、側方部位23の側壁面231とのキワにあり、対処が難しかったパッド露出面29にシートフレームFが擦って、異音発生させたりハガレ面28,亀裂CKを発生させたりする不具合が解消する。
さらに、縫合部Sが形成されると、裏当て材3に別体の舌片4をつなげることができる。裏当て材3とは別体の舌片4が使用可能になるので、パッド露出面29でのハガレ面28や亀裂CKを有効且つ効果的に解消できる目付けや材質の舌片4を、裏当て材3に制約されずに独自選定できる。長期に亘って、シートフレームF等との擦れによる異音発生防止やパッド本体2の破れ防止に、より優れたシートパッド1を造ることができる。
このように、本シートパッド1及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
2 パッド本体
2A パッド本体の一領域
2B パッド本体の他領域
3 裏当て材
4 舌片
41 付け根
45 先端部
7 上型
75 突起(堤状突起)
752 湾曲壁面(対向壁面)
g 発泡原料
K 折れ部
M 面ファスナー
PL パーティングライン
S 縫合部
Claims (5)
- 車両用座席のシートパッドの製造方法において、
パッド本体の発泡成形でその裏面に被着一体化されるシート状裏当て材の周縁の一部に、舌片を外方へ延在させた舌片付き裏当て材を、型開状態下、該舌片がその付け根を折れ部にして折り重ねられ且つ裏当て材に隠れるようにして、一の分割型にセットした後、パッド本体を該舌片付き裏当て材と一体発泡成形し、その後、脱型し、しかる後、折り重ねられていた該舌片を起こして、前記折れ部に在る前記パッド本体の一領域からパーティングラインを越えたパッド本体の他領域側へと倒し、該舌片の先端部を該他領域のパッド本体に係止することを特徴とするシートパッドの製造方法。 - 前記一の分割型に前記舌片の前記折れ部があてがわれる突起を設け、且つ該折れ部と対向する側の該突起の壁面を、その突上端から該一の分割型にセットした該舌片の折り重ね本体部へ向けて下降傾斜する湾曲面に形成し、該湾曲面に該折れ部があてがわれるようにして、前記舌片付き裏当て材を一の分割型にセットする請求項1記載のシートパッドの製造方法。
- 前記裏当て材と前記舌片とがつながる前記折れ部に縫合部を形成した請求項1又は2に記載のシートパッドの製造方法。
- 発泡体からなるパッド本体と、該パッド本体の発泡成形でその裏面に被着一体化されたシート状裏当て材と、を具備する車両用シートパッドにおいて、
該裏当て材の周縁の一部に、シート状舌片を外方へ延在させてなるか又は別体の舌片を縫合して外方へ延在させてなる舌片付き裏当て材が形成され、該舌片がその付け根に在る前記パッド本体の一領域からパーティグラインを越えたパッド本体の他領域に突き出し、該舌片の先端部が該他領域のパッド本体部分に係止されてなることを特徴とするシートパッド。 - 前記舌片の先端部に一対の面ファスナーのうちの一方が取着され、前記先端部が係止される他領域のバッド本体部分に前記面ファスナーの他方が取着されてなる請求項4記載のシートパッド
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