JP2017059367A - 二次電池、二次電池用電解液 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安価であって、エネルギー密度が高く、常温でも作動して省エネルギーな新たな原理で作動する二次電池及びその二次電池用電解液を提供する。【解決手段】本発明に係る二次電池1は、正極活物質として金属を含む正極11と、負極集電体を有する負極12と、電解液13とを備える。電解液13は電解質を含有し、その電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれておいる。そして、二次電池1では、充電完了時において、負極12を構成する負極集電体に、イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが金属析出物として析出している。【選択図】図1
Description
本発明は、二次電池及び二次電池等電解液に関するものであり、新しい充放電反応に基づいて作動する二次電池、及びその二次電池に用いられる電解液に関する。
二次電池は、携帯機器、ノート型パソコン、ポータブル機器等の様々な電子機器に用いられている。特に、リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度と高い電圧を有し、また充放電時に完全に放電される前に充電を行うと次第に電池容量が減少していく現象、いわゆるメモリ効果がないことから、電子機器の電源として多く用いられている。
現在、地球温暖化防止の対策として、世界規模でCO2排出抑制の取り組みが行われている。そのような中、石油依存度が低く、CO2削減に寄与することができる、プラグインハイブリッド自動車や電気自動車等の次世代クリーンエネルギー自動車の開発と普及が急務とされている。例えば、リチウムイオン電池は、このような次世代クリーンエネルギー自動車の駆動力としても期待されている。
具体的に、リチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、及び非水電解液を有している(例えば、特許文献1参照)。正極は、アルミニウム箔等の集電体に、正極活物質と結着剤と導電剤とを含有する合剤層が設けられて構成されている。また、負極は、銅箔等の集電体に、負極活物質と結着剤と導電剤とを含有する合剤層が設けられて構成されている。正極活物質としては、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムのようなリチウム遷移金属複合酸化物等が用いられ、負極活物質としては、黒鉛や各種合金材料等が用いられている。リチウムイオン電池では、充電時において、正極活物質に含まれるリチウムイオンが正極から放出(脱離)されて、負極に吸蔵される。一方、放電時においては、その逆の動きが生じる。リチウムイオン電池では、このように正極と負極との間でリチウムイオンの吸蔵・放出が繰り返されることによって、電気エネルギーが作り出される。
しかしながら、このようなリチウムイオン電池に使用されているリチウム遷移金属複合酸化物は、特殊な化合物であり、しかも高価であるという難点がある。
一方、リチウムイオン電池以外の二次電池として、ゼブラバッテリー等の溶融塩電池も提案されている。ゼブラバッテリーは、正極がニッケル(Ni)で、負極が融解ナトリウム(Na)で構成されており、電解質として塩化アルミニウムナトリウム(融点約160℃)が用いられ、250℃程度の温度で作動する。
しかしながら、このような溶融塩電池は、常温では作動せず、省エネルギーな二次電池としては十分なものではない。
そのほか、二次電池として、特許文献2〜4のような技術が提案されている。
本発明は、安価であって、エネルギー密度が高く、常温でも作動して省エネルギーな新たな原理で作動する二次電池及びその二次電池用電解液を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1の発明は、正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とを備え、前記電解液は電解質を含有し、該電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれており、充電完了時において、前記負極集電体に、前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが金属析出物として析出していることを特徴とする二次電池である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記負極は、負極活物質を含まない二次電池である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記イオン性化合物MXは、前記電解液中に溶解している、又は、前記電解液中に固体として設けられている二次電池である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記正極の少なくとも一部、又は前記正極の前記電解液の側とは反対側の面に、導電性物質が設けられている二次電池である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記電解質には、アルミニウム元素が含まれている二次電池である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムから選ばれるいずれかである二次電池である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、(I)充電時には、前記イオン性化合物MXから解離した陰イオン物質Xと、前記正極活物質から電離した金属のイオン物質Bとが前記正極で結合することによって、化合析出物BXが生成するとともに、該イオン性化合物MXから解離した金属イオン物質Mが前記負極で還元されることによって、前記負極集電体上に前記金属析出物が析出し、(II)放電時には、前記充電により生成した前記化合析出物BXから陰イオン物質Xが電離して前記電解液中に戻り、かつ、該化合析出物BXから金属Bのイオン物質が電離して前記正極で還元されることによって金属に戻るとともに、前記充電により前記負極集電体上に析出した前記金属析出物から金属イオン物質Mが電離して前記電解液中に戻る、二次電池である。
(8)本発明の第8の発明は、正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とにより構成される二次電池に用いられる電解液であって、電解質を含有し、該電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれており、前記二次電池の充電完了時において、前記負極集電体に、前記イオン性化合物Mを構成する金属イオン物質Mが金属析出物として析出することを特徴とする二次電池用電解液である。
(9)本発明の第9の発明は、第8の発明において、前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムから選ばれるいずれかであり、前記電解液が非水電解液である二次電池用電解液である。
本発明によれば、安価であって、しかもエネルギー密度が高く、常温でも作動して省エネルギーである新たな原理作動する新規な二次電池及びその二次電池用電解液を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
<1.二次電池>
本発明に係る二次電池は、正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とを備えるものであり、電解液は電解質を含有し、その電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれている。そして、この二次電池においては、充電完了時において、負極集電体に、電解質であるイオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、金属析出物Mdとして析出している。
本発明に係る二次電池は、正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とを備えるものであり、電解液は電解質を含有し、その電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれている。そして、この二次電池においては、充電完了時において、負極集電体に、電解質であるイオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、金属析出物Mdとして析出している。
なお、本明細書において「金属」とは、単体金属及び合金を意味し、またそれらの単体金属や合金に他の元素がドープされたものが含まれる。
具体的に、図1は、本発明に係る二次電池の構成の一例を示す概略構成図である。この二次電池1は、正極11と、負極12と、電解液13とを備えて構成される。
正極11は、例えば図1に示すようにシート状に形成されており、図示しない正極集電体と、その正極集電体に貼り合わされた正極活物質とにより構成されている。なお、正極活物質としては、金属Bを含む。
負極12は、同様に図1に示すようにシート状に形成されており、負極集電体からなっている。二次電池1において、この負極12には、負極活物質を備えない。このように、負極活物質を備えないことにより、負極12を薄くすることができ、延いては二次電池1のサイズをより小さくすることができ、エネルギー密度を高めることができる。
また、電解液13は、電解質と、その電解質を溶解させる溶媒とを含む。そして、この二次電池1では、電解質に、イオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)を含む。なお、この電解液13において、イオン性化合物MXがイオン液体である場合には、必ずしも溶媒を含んでいなくてもよい。
このような構成からなる二次電池1においては、例えば図1〜図4に示すようにして、充電と放電の反応が生じ、その反応によって作動して電気エネルギーを作り出す。
すなわち、(I)充電時には、イオン性化合物MXから解離した陰イオン物質Xと、正極11に含まれる正極活物質から電離した金属Bのイオン物質とが正極11で結合することによって、化合析出物BXが生成する。またそれとともに、イオン性化合物MXから解離した金属イオン物質(陽イオン物質)Mは、負極12で還元されることによって、金属析出物Mdとなる。
なお、この二次電池1においては、負極12が負極活物質を有しないため、金属イオン物質Mが格納されることはなく、金属イオン物質Mが還元されてメタル化した析出物Mdは負極集電体上に析出する。ここで、「格納」とは、金属イオン物質が金属ではない状態、すなわちイオンの状態のまま化合物となることをいう。
一方で、(II)放電時には、充電によって正極11で生成した化合析出物BXから陰イオン物質Xが電離して電解液13中に戻り、また、その化合析出物BXから金属Bのイオン物質が解離し、解離したその金属イオン物質が正極11で還元されることによって金属Bに戻る。一方で、充電によって負極12で析出生成した金属析出物Mdは、電離することによって金属イオン物質Mとして電解液13中に戻り、あるいは電解液13中に戻らずとも負極12上で陰イオン物質Xと化合してイオン性化合物MXに戻る。
本発明に係る二次電池1では、高価な活物質を用いることなく、このような新しい反応メカニズムにより、充電、放電が行われる。なお、化合析出物BXの一部は溶解していてもよい。
また、二次電池1においては、その内部に、金属塩化合物を固体として設けてもよい。例えば、充電前に、電解質に含まれるイオン性化合物MXを固体の金属塩化合物として設けることができる。また、充電後には、正極活物質の金属Bから電離したイオン物質と、電解質に含まれるイオン性化合物MXから電離した陰イオン物質Xとの塩を固体の金属塩化合物として設けることができる。さらに、放電後には、再び、電解質に含まれるイオン性化合物MXを固体の金属塩化合物として設けることができる。このように、充放電の反応メカニズムに関与する金属塩化合物を固体として設けることによって、金属塩化合物の溶媒への溶解度を超える量の金属化合物を充放電の反応メカニズムに関与させることでき、それによって電池の容量を向上させることができる。
以下では、二次電池1の各構成についてより具体的に説明する。
<2.正極>
[正極の構成]
正極11は、正極活物質を含んで構成されている。正極活物質は、例えば、シート状の正極集電体に貼り合せて、あるいは正極集電体に塗布する等して接合されて設けられる。なお、正極11は、それ自体が集電体と活物質とを兼ね備えるものであってもよい。
[正極の構成]
正極11は、正極活物質を含んで構成されている。正極活物質は、例えば、シート状の正極集電体に貼り合せて、あるいは正極集電体に塗布する等して接合されて設けられる。なお、正極11は、それ自体が集電体と活物質とを兼ね備えるものであってもよい。
正極11は、正極活物質として金属Bを含んでいる。その金属Bの標準電極電位は、電解質に含まれるイオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mの標準電極電位に比べて大きく、電解液13中には自然溶出しない。具体的に、そのような金属Bとしては、標準電極電位が約−0.25Vのニッケル(Ni)や、そのニッケルよりも貴(標準電極電位が−0.25V以上)な金属が好ましく挙げられる。例えば、ニッケル(Ni、−0.25V)、銅(Cu、+0.340V)、銀(Ag、+0.799V)、白金(Pt、+1.188V)、金(Au、+1.520V)等が挙げられる。その中でも、コスト等の観点から、ニッケル、銅が好ましい。
正極11において、正極集電体を設ける場合には、電極反応を起こさない材質からなるものを適用することができる。このような正極集電体としては、正極活物質に含まれる金属Bよりも貴な金属、導電性ポリマー、炭素等を挙げることができる。正極集電体は、上述した正極活物質と接合されて正極11を構成する。なお、正極活物質との接合手段や接合態様については、特に限定されない。
正極11の形状としては、特に限定されず、例えば、シート状でもよく、粒状であってもよいが、シート状であることが好ましい。ここで、シート状とは、厚さや硬さ、幅、長さ等を限定するものではなく、例えば金属箔によって任意の厚みを有する長方形状等に形成されていることをいい、それ自体によって「層」を形成し得るものをいう。また、金属箔のような箔状に限られず、膜状、フィルム状、板状等も、シート状の概念に含まれる。また、正極11は、多孔質であってもよい。また、正極11の大きさや厚さについても、特に限定されず、二次電池1の所望とする大きさに応じて適宜決定することができる。
また、正極11の少なくとも一部、又は、図4に示すように正極11の電解液13の側とは反対側の面に、導電性物質が設けられていてもよい。なお、図4に示す構成においては、正極11に設けられた導電性物質を「導電性物質15」と表記して説明する。この導電性物質は、正極1に接するように設けられており、正極1の多くが反応に使われた場合等に、集電機能を補完するために集電体のように作用する。特に、正極活物質に含まれる金属Bとして、ニッケルや銅を用いた場合に好適に使用することができる。
導電性物質は、正極11の電解液13側とは反対側の面(片面)すべてに設けられてもよく、その片面の一部に設けられてもよい。特に、電解液13中の電解質に含まれるイオン性化合物MXと、正極活物質に含まれる金属Bとが直接反応する場を増やし、集電体としての機能を果たすという観点からすると、片面すべてに設けられることが好ましい。例えば、図4では、シート状の正極11の片面すべてに、シート状の導電性物質15が積層されて設けられている例を示している。なお、その他の例として、図示しないが、正極11を構成する粒子の多数と、導電性物質の粒子の多数とが混合され、全体としてシート状になって構成されているものでもよく、このようにして正極11の少なくとも一部に導電性物質が設けられていてもよい。
導電性物質としては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどのカーボン、ポリアニリンなどの導電性高分子、金などの金属等が挙げられる。この導電性物質は、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂バインダーを含むNMP(N−メチル−2−ピロリドン)等の溶媒に混ぜて導電性ペーストとし、その導電性ペーストを正極11に塗布して形成することができる。溶媒としては、NMP、MEK(メチルエチルケトン)、IPA(イソプロピルアルコール)、水等が挙げられ、得られた導電性ペーストを正極11上に塗布した後に乾燥することによって、その全てあるいは殆どを揮発除去することができる。なお、導電性ペーストには、導電性をあまり低下させない程度のバインダー成分が含まれていてもよく、バインダー成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
[正極での反応メカニズム]
正極11では、充電時には、図1、図2に示すように、電解液13中のイオン性化合物MX(例えば「LiCl」)から解離した陰イオン物質X(例えば「Cl−」)と、正極11の正極活物質に含まれる金属B(例えば「Cu」)のイオン物質とが結合し、正極11に化合析出物BX(例えば「CuCl」)が生成する。すなわち、二次電池1では、金属Bのイオン物質が、陰イオン物質Xと化合して正極11で化合析出物BXとなり、その化合析出物BXを正極11に保持することにより充電状態を保持する。したがって、この金属Bのイオン物質によって、充電状態が長時間保持されることになる。なお、図2は、イオン性化合物MXとしてLiClを用いた場合の一例を示すものである。
正極11では、充電時には、図1、図2に示すように、電解液13中のイオン性化合物MX(例えば「LiCl」)から解離した陰イオン物質X(例えば「Cl−」)と、正極11の正極活物質に含まれる金属B(例えば「Cu」)のイオン物質とが結合し、正極11に化合析出物BX(例えば「CuCl」)が生成する。すなわち、二次電池1では、金属Bのイオン物質が、陰イオン物質Xと化合して正極11で化合析出物BXとなり、その化合析出物BXを正極11に保持することにより充電状態を保持する。したがって、この金属Bのイオン物質によって、充電状態が長時間保持されることになる。なお、図2は、イオン性化合物MXとしてLiClを用いた場合の一例を示すものである。
例えば、図2に示すように、金属BがCuであり、陰イオン物質XがCl−である場合、化合析出物BXとしてCuCl(塩化銅)又はCuCl2(塩化第二銅)が正極11に生成する。また、金属BがNiであり、陰イオン物質XがCl−である場合、化合析出物BXとしてNiCl2(塩化ニッケル)が正極11に生成する。そして、生成した化合析出物BXである塩化銅や塩化ニッケルは、その金属Bである銅やニッケルの作用によって、正極11に化合析出物BXとして保持され、充電状態が保たれる。
なお、正極11に生成した、塩化銅や塩化ニッケル等の化合析出物BXは、充電状態を保っている状態で、その一部又は全部を、電解液13中に溶解させてもよい。化合析出物BXを電解液13中に溶解させることで、放電反応の進行を速くすることができる。
一方、放電時には、図1、図2に示すように、正極11に生成している化合析出物BX(例えば「CuCl」)から陰イオン物質X(例えば「Cl−」)が電離して飛び出し、電解液13中に戻る。さらに、化合析出物BX(例えば「CuCl」)から金属Bのイオン物質が電離し、電離した金属Bのイオン物質(例えば「Cuイオン」)が正極11で還元されて金属(例えば「Cu」)に戻るとともに、負極12で還元されて生成した金属析出物Mdから電離した金属イオン物質M(例えば「Li」)が電解液13中に戻る。
正極11では、このような従来とは異なる、新たな反応メカニズムにより、充電反応と放電反応とが起こる。
<3.負極>
[負極の構成]
負極12は、負極集電体により構成されている。
[負極の構成]
負極12は、負極集電体により構成されている。
負極12を構成する負極集電体は、電解液13中に自然溶出せず、電解液13中に含まれるイオン性化合物MXの金属イオン物質Mを還元反応により金属析出物Mdとして析出させることができる材料からなるものである。そのような負極集電体の標準電極電位は、イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mの標準電極電位に比べて大きいものであり、電解液13中には自然溶出しない。
具体的に、負極集電体としては、標準電極電位が−0.25Vのニッケル(Ni)や、そのニッケルよりも貴(標準電極電位が−0.25V以上)である金属からなる。例えば、ニッケル(Ni、−0.25V)、銅(Cu、+0.340V)、銀(Ag、+0.799V)、白金(Pt、+1.188V)、金(Au、+1.520V)等の金属により構成され、その中でも、コスト等の観点から、ニッケル、銅からなるものが好ましい。
負極12においては、負極活物質を含有しない。より具体的には、電解質に含まれるイオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mをイオンの状態で格納する負極活物質を含有しない。従来の例えばリチウムイオン電池等の場合では、負極においてカーボン等の負極活物質を含み、充電によって、正極活物質から放出されたリチウムイオンが負極活物質を構成するカーボンにイオンの状態のまま格納される。しかしながら、本発明に係る二次電池1では、負極12において、イオンを格納する負極活物質を有しないことから、充電時においてイオン性化合物MXから解離した金属イオン物質Mは、負極12にイオンの状態で格納されることはなく、金属イオン物質Mが還元されて生成した金属析出物Mdとして負極集電体上に析出生成されることになる。
負極12の形状としては、特に限定されず、例えば、シート状であっても、粒状であってもよいが、シート状であることが好ましい。また、負極12は、多孔質であってもよい。また、負極12の大きさや厚さについても、特に限定されず、二次電池1の所望とする大きさに応じて適宜決定することができる。
[負極での反応メカニズム]
負極12では、充電時には、図1、図2に示すように、電解液13中のイオン性化合物MX(例えば「LiCl」)から金属イオン物質M(例えば「Li」)がイオン化して金属イオン(例えば「Liイオン」)となり、その金属イオンは、負極12で還元されて金属析出物Md(例えば「金属Li」)としてその負極12上に析出する。
負極12では、充電時には、図1、図2に示すように、電解液13中のイオン性化合物MX(例えば「LiCl」)から金属イオン物質M(例えば「Li」)がイオン化して金属イオン(例えば「Liイオン」)となり、その金属イオンは、負極12で還元されて金属析出物Md(例えば「金属Li」)としてその負極12上に析出する。
例えば、図2に示すように、負極12がCuであり、イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質MがLiである場合、そのLiイオンがCu電極(負極12)上で還元されてメタル化し、金属リチウム(金属Li)となってその負極集電体上に析出する。また、負極12がNiであり、イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質がLiである場合、そのLiイオンがNi電極(負極12)上で還元されて金属Liとなって析出する。
一方で、放電時には、負極12に析出している金属析出物Md(例えば「金属Li」)が電解液13中に金属イオン(例えば「Liイオン」)として溶出し、正極11からイオン化して飛び出してきた陰イオン(例えば「Clイオン」)と化合して、イオン性化合物MX(例えば「LiCl」)に戻る。
負極12では、このような従来とは異なる新たな反応メカニズムにより、充電反応と放電反応とが起こる。
ここで、充電前の負極12には、あらかじめ、金属析出物Md(例えば「金属Li」)と同種の金属M’を固体で配置しておいてもよい。このように固体の金属M’を配置しておくことで、充電時、特に初期充電時における金属イオン物質Mの負極12上への析出量が不足した場合等に、その金属M’でもって補うことができる。
また、負極12には、図3に示すように、電解質14が固体として設けられていてもよい。固体として設けられる好ましい電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、特に、塩化ナトリウムが好ましい。なお、これらの電解質は、電気絶縁性であることが多く、カーボン粒子等の導電性材料と混ぜて利用することが好ましい。
例えば、電解液としてAlCl3を炭酸プロピレンや炭酸エチレン等の混合溶媒に溶かしたものを用いて二次電池を構成した場合、負極12上に設けたこれらの電解質(例えば「NaCl」)14は、充電時には、金属イオン物質MであるNaイオンが負極12上に金属Na(金属析出物Md)として析出し、放電時には、析出したNaがNaClとして電解質の化合物に戻る。また同時に、陰イオン物質XであるClイオンは、充電時には、電解液13中に放出され、正極11側の金属Bと反応して化合析出物BXを形成し(例えば「CuCl」)、放電時には、CuClから解離して電解液13中に放出され、負極12に析出している金属析出物Mdである金属Naと反応して塩化ナトリウムに戻る。
このようにして、負極12に固体状の電解質14を設けることで、その電解質14が上述した挙動をとるようになるため、その電解質を構成する金属イオン物質M(例えば「Na」)が負極12から動かなくなり、デンドライトの発生を抑えることができる。これにより、安全性が高くなり寿命が改善される。
なお、固体状の電解質14としては、厚さ0.01mm〜0.5mmで設けることが好ましい。電解質14の厚さが0.01mm未満であると、薄すぎて十分な容量が得られ難いことがあり、一方で、厚さが0.5mmを超えると、反応が遅くなることがある。また、固体状の電解質14は、各種の成膜方法により負極12上に設けることができる。
<4.電解液>
電解液13は、電解質と、その電解質を溶解させる溶媒とを含有する。また、その電解質は、イオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)を含んでいる。なお、イオン性化合物MXが、上述のように固体状として負極12に隣接して設けられている場合においても、電解液13に含まれる電解質である。
電解液13は、電解質と、その電解質を溶解させる溶媒とを含有する。また、その電解質は、イオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)を含んでいる。なお、イオン性化合物MXが、上述のように固体状として負極12に隣接して設けられている場合においても、電解液13に含まれる電解質である。
イオン性化合物MXは、上述したメカニズムに基づく充電反応と放電反応とを生じさせるものである。例えば、イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mとしては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、及び亜鉛(Zn)等から選択されるいずれかを挙げることができる。なお、これらの金属イオン物質Mと同じ挙動を示すものであれば、ここで列挙しない他の金属イオン物質Mであってもよい。また、陰イオン物質Xとしては、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、PF6、TFSI(トリフルオロメタンスルフォニルイミド)、BF4等を挙げることができる。
具体的なイオン性化合物MXとしては、LiCl、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、及びLiBr等の無機リチウム塩、LiB(C6H5)4、LiN(SO3CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiOSO2CF3、LiOSO2C2F5、LiOSO2C4F9、LiOSO2C5F11、LiOSO2C6F13、及びLiOSO2C7F15などの有機リチウム塩等を挙げることができる。
電解液13中には、イオン性化合物MXとともに、ルイス酸性化合物が含まれていることが好ましい。具体的には、イオン性化合物MXを構成する陰イオン物質Xに対して、その陰イオン物質Xと正極活物質である金属Bのイオン物質とが結合した化合物BXよりも強いルイス酸性を有する化合物が含まれていることが好ましい。このようなルイス酸性化合物は、充放電反応時におけるイオン性化合物MXの反応を補助するように作用する。ルイス酸性化合物としては、正極活物質である金属Bとイオン性化合物MXを陰イオン物質Xとが結合した化合析出物BXとの関係によって決定されるものであるが、例えば、AlCl3、CuCl、ZnCl2等が挙げられ、特にアルミニウム化合物が好ましい。
例えば、正極活物質としての金属Bとして銅(Cu)を用い、電解質であるイオン性化合物MXとしてLiCl(M:Li、X:Cl)を用いた場合、上述したメカニズムにより、充電によって正極11には化合析出物BXとしてCuClが生成する。
上述したように、充電時においては、イオン性化合物MXであるLiClがLi+とCl−とに解離して、Li+はLi+→Liの反応により負極12上に金属Liとして析出し、Cl−は正極活物質の金属のCuと結合してCuClの化合析出物となって正極11に蓄積される。一方で、放電時において、析出した金属LiがLi+として溶出するとともに、正極11で蓄積されていたCuClからCl−が飛び出す。なお、Cu+→Cuとなる。ところが、イオン性化合物MXであるLiClは有機溶媒中ではルイス塩基として振る舞うのに対して、正極11に析出したCuClはルイス酸であるため、両者は反応してLi+とCuCl2 −となり、Cuは正極11から溶け出しやすい状態となる。
負極12側ではLi⇔Li+の反応が起き、負極12に蓄積したLiの量が充電容量と等しくなるが、正極11において生成したCuClからCuがイオン化(CuCl2 −)して電解液13中に溶出すると、そのCuイオンが負極12に移行して、析出している金属LiがCuに置き換わる反応が生じてしまう。すると、蓄積したLi量の低下に伴って充電容量が減少し、充電したはずの分が放電できなくなる。またそればかりか、負極12にCuが蓄積されることによって短絡の原因となる。
このとき、電解液13中にルイス酸性化合物を含有させておくことにより、化合析出物であるCuClの溶出を効果的に防ぐことができる。すなわち、電解液13中にルイス酸性化合物としてAlCl3を含有させることにより、ルイス塩基として振る舞うLiClに対して、含有させたAlCl3の方が、正極11の化合析出物であるCuClよりも優先的に反応するようになる。つまり、AlCl3が、ルイス塩基であるLiClとの反応媒体となる。すると、LiClとAlCl3との反応によりAlCl4 −が生成する一方で、正極11の化合析出物CuClの反応が抑えられることになり、その結果、電解液13中へのCuイオンの溶出が抑制される。これにより、充電容量の高めることができる。
溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、及び鎖状エーテル類等が挙げられる。具体的には、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、クラウンエーテル、炭酸エチレン、炭酸プロプレン、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。
なお、電解質であるイオン性化合物MXがイオン液体である場合には、必ずしも、電解液13中に溶媒が含まれていなくてもよい。
電解液13を構成するイオン性化合物MXと溶媒との配合割合としては、特に限定されないが、全量を100質量%としたとき、イオン性化合物MXを30質量%以上で配合させることが好ましく、80質量%以上の割合で配合させることがさらに好ましい。このような割合で配合させて電解液13を調整することで、良好な充放電を実現することができる。
なお、電解液は、レドックスフロー電池を構成する電解液のように、循環させても構わない。電解液を循環させることにより、電池容量、電池寿命を大きくすることができる。また、電解液は、ポリマー等のゲル化剤が混合されることによって、ポリマーゲル等のゲルになっていてもよい。ゲル状の電解液によれば、流動性が低下するため、外装容器等からの滲み出しが抑制されて正極11と負極12との短絡を防ぐことができ、電池の安全性を向上させることができる。
また、電解質として、図3で示したように、負極12に設けられる固体状の電解質14である場合、その好ましい電解質としては、上述したように、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、特に、塩化ナトリウムが好ましい。また、このときの電解液13中の溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチレンカーボネートであることが好ましい。また、固体状の電解質には、その作用を阻害しない範囲で、炭素や導電性高分子等の導電性物質が含まれていることが好ましく、これにより、充電や放電の速度を上げることができる。
なお、図3は、負極12上に固体状の電解質14が設けられている例を示しているが、その固体状の電解質を、同様にして、正極11上あるいは電解液13中に設けるようにしてもよい。また、セパレータ上、外装容器上等に設けることもできる。このように、固体状の電解質は、二次電池の内部で電解液を構成する溶媒と接触する箇所に設けることができる。具体的に、その固体状の電解質を配置する箇所については、充放電時間を短縮させるために、電解液13中に含む電解質であるイオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mの溶媒中での移動速度と、陰イオン物質Xの溶媒中での移動速度とを考慮して決定することができる。例えば、金属イオン物質Mの溶媒中での移動速度が、陰イオン物質Xの溶媒中での移動速度よりも遅い場合には、負極12上や、その固体状の電解質と負極12との距離の方が固体状の電解質と正極11との距離よりも短くなるような電池内の箇所に設けることができる。また、陰イオン物質Xの溶媒中での移動速度が、金属イオン物質Mの溶媒中での移動速度よりも遅い場合には、正極11上や、その固体状の電解質と正極11との距離の方が固体状の電解質と負極12との距離よりも短くなるような電池内の箇所に設けることができる。
以上のように、本発明に係る二次電池1は、電解液13中に電解質としてイオン性化合物MXを含み、上述した新しい充放電メカニズムを生じさせて電気エネルギーを作り出す二次電池(蓄電池)である。具体的に、例えばLiClのような金属イオン塩をイオン性化合物MXとして用い、LiイオンとClイオンとの解離に基づいて充電、放電を行う。このとき、銅等の正極活物質としての金属Bは、充電状態を保つために、解離したClイオンを固定するように働く。このような充放電メカニズムで作動する二次電池1は、種々の金属塩を適用することができ、従来のような高価な正極活物質を用いたものよりも安価な電池とすることができる。また、エネルギー密度が高いという利点がある。
<4.その他の構成>
二次電池1は、上述した正極11と、負極12と、電解液13とにより構成された単セル構造を複数積層して電圧や電流を高めるようにしてもよい。例えば、セパレータを間に挟むことによって、単セル構造を積層させることができる。具体的には、正極11とセパレータ(図示しない)と負極12との積層体は、板状のまま外装容器内に収容されてもよく、渦巻状に巻き回した状態で外装容器内に収容されてもよい。
二次電池1は、上述した正極11と、負極12と、電解液13とにより構成された単セル構造を複数積層して電圧や電流を高めるようにしてもよい。例えば、セパレータを間に挟むことによって、単セル構造を積層させることができる。具体的には、正極11とセパレータ(図示しない)と負極12との積層体は、板状のまま外装容器内に収容されてもよく、渦巻状に巻き回した状態で外装容器内に収容されてもよい。
また、正極11及び負極12には、それぞれ図示しないリード線が接続されている。正極11に接続されたリード線は、通常、外装容器の正極端子に接続されており、負極12に接続されたリード線は、通常、外装容器の負極端子に接続されている。
セパレータは、正極11と負極12とを解離する機能を有し、そのセパレータとして特に制限されず、二次電池の分野で従来公知のセパレータを適宜選択して使用することができる。なお、セパレータは必須の構成ではなく、例えばゲル状の電解液を用いることによって、セパレータを使用しない態様とすることもできる。
また、隔膜として、一般的に用いられている固体電解質等を用いてもよい。このような隔膜は、電池の短絡を効果的に防止することができ、安全性を高めることができる。
以下、本発明の実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
電解質としてLiClを使用し、銅箔(負極集電体)/セパレータ/銅箔(正極活物質)/ニッケル箔(正極集電体)をこの順番で並べてラミネートした、2極式のソフトパッケージセルを組み立てた。
電解質としてLiClを使用し、銅箔(負極集電体)/セパレータ/銅箔(正極活物質)/ニッケル箔(正極集電体)をこの順番で並べてラミネートした、2極式のソフトパッケージセルを組み立てた。
具体的には、正極の集電体としてニッケル箔(厚さ8μm)を用い、正極活物質としての銅箔(厚さ10μm)をそのニッケル箔に貼り合せた。また、負極の集電体として銅箔(厚さ10μm)を用いた。なお、負極活物質は使用しなかった。また、セパレータとして不織布(日本バイリーン株式会社製、OA−0711)を用いた。
電解質として、塩化リチウム(LiCl)を用い、その電解質を含む電解液は、アルゴンガスの充填されたグローブボックス内で調製した。すなわち、先ず、塩化アルミニウム10質量部、EC(炭酸エチレン)30質量部、PC(炭酸プロピレン)30質量部、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド30質量部をそれぞれ準備し、それらを混合して30℃で24時間攪拌した。次に、その液体70重量部に対して塩化リチウムを30重量部の割合で混合し、電解液を調製した。
このようにして準備した正極、負極、及び電解液により、ソフトパッケージセルを組み立てた(銅箔(負極集電体)/セパレータ/銅箔(正極活物質)/ニッケル箔(正極集電体))。なお、電極の大きさは4cm角とし、セパレータは5cm角とし、注液量は0.5gとした。セル組み立て時の注液作業も、アルゴンガスの充填されたグローブボックス内で行った。
組み立てたソフトパッケージセルを、充電試験と放電試験に供した。充電は、5mAの定電流制御下において、4.3Vの電圧まで充電した。その後、300秒間の休止をした。続いて、5mAの定電流制御下において、0Vの電圧まで放電した。
その結果、充電電圧が約3.1Vで充電され、放電電圧が約2.6Vで放電された。X線回折(XRD)測定から、充電完了時において負極(負極集電体)に析出した析出物は金属リチウムであり、正極のニッケル集電体上に析出した析出物は塩化銅(CuCl)であった。さらに、続く放電が完了した段階において、負極集電体の上には塩化リチウムが確認され、正極集電体の上には塩化リチウムと銅とが確認された。
このことは、電解質である塩化リチウムが、充電時にはリチウムイオンと塩素イオンとに分かれ、塩素イオンは正極側の銅イオンと結合して塩化銅となり、一方で、リチウムイオンは、負極にて還元されて負極上に金属リチウムとして析出したことを示している。また、放電時には、逆の反応が起こり、塩化リチウムに戻ることを示している。
[実施例2]
実施例2では、電解質としてLiClの代わりにNaClを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソフトパッケージセルを組み立てた。
実施例2では、電解質としてLiClの代わりにNaClを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソフトパッケージセルを組み立てた。
組み立てたソフトパッケージセルを、充電試験と放電試験に供した。充電は、5mAの定電流制御下において、4.0Vの電圧まで充電した。その後、300秒間の休止をした。続いて、5mAの定電流制御下において、0Vの電圧まで放電した。
その結果、充電電圧が約3.1Vで充電され、放電電圧が約2.6Vで放電された。XRD測定から、充電完了時において負極(負極集電体)に析出した析出物は金属ナトリウムであり、正極のニッケル集電体上に析出した析出物は塩化銅(CuCl)であった。さらに、続く放電が完了した段階において、負極集電体の上には塩化ナトリウムが確認され、正極集電体の上には塩化ナトリウムと銅とが確認された。
このことは、電解質である塩化ナトリウムが、充電時にはナトリウムイオンと塩素イオンとに分かれ、塩素イオンは正極側の銅イオンと結合して塩化銅となり、一方で、ナトリウムイオンは、負極にて還元されて負極上に金属ナトリウムとして析出したことを示している。また、放電時には、逆の反応が起こり、塩化ナトリウムに戻ることを示している。
[実施例3]
実施例3では、電解液を以下の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてソフトパッケージセルを組み立てた。
実施例3では、電解液を以下の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてソフトパッケージセルを組み立てた。
具体的には、電解質として塩化ナトリウム(NaCl)を用い、その電解質を含む電解液をアルゴンガスの充填されたグローブボックス内で調製した。すなわち、先ず、EC(炭酸エチレン)50質量部、DEC(炭酸ジエチル)40質量部、塩化リチウム10質量部をそれぞれ準備し、それらを混合して30℃で24時間攪拌した。次に、その液体70重量部に対して塩化ナトリウムを30重量部の割合で混合し、電解液を調製した。
組み立てたソフトパッケージセルを、充電試験と放電試験に供した。充電は、5mAの定電流制御下において、4.0Vの電圧まで充電した。その後、300秒間の休止をした。続いて、5mAの定電流制御下において、0Vの電圧まで放電した。
その結果、充電電圧が約3.7Vで充電され、放電電圧が約2.0Vで放電された。XRD測定から、充電完了時において負極(負極集電体)に析出した析出物は金属ナトリウムであり、正極のニッケル集電体上に析出した析出物は塩化銅(CuCl)であった。さらに、続く放電が完了した段階において、負極集電体の上には塩化ナトリウムが確認され、正極集電体の上には塩化ナトリウムと銅とが確認された。
このことは、電解質である塩化ナトリウムが、充電時にはナトリウムイオンと塩素イオンとに分かれ、塩素イオンは正極側の銅イオンと結合して塩化銅となり、一方で、ナトリウムイオンは、負極にて還元されて負極上に金属ナトリウムとして析出したことを示している。また、放電時には、逆の反応が起こり、塩化ナトリウムに戻ることを示している。
1 二次電池
11 正極
12 負極
13 電解液
14 電解質(固体状の電解質)
15 導電性物質
11 正極
12 負極
13 電解液
14 電解質(固体状の電解質)
15 導電性物質
Claims (9)
- 正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とを備え、
前記電解液は電解質を含有し、該電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれており、
充電完了時において、前記負極集電体に、前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが金属析出物として析出している
ことを特徴とする二次電池。 - 前記負極集電体は、前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mを還元して金属化する材質からなる
請求項1に記載の二次電池。 - 前記イオン性化合物MXは、前記電解液中に溶解している、又は、前記電解液中に固体として設けられている
請求項1又は2に記載の二次電池。 - 前記正極の少なくとも一部、又は前記正極の前記電解液の側とは反対側の面に、導電性物質が設けられている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池。 - 前記電解液には、前記イオン性化合物MXを構成する陰イオン物質Xに対して、該陰イオン物質Xと前記正極活物質である金属Bのイオン物質とが結合した化合物BXよりも強いルイス酸性を有する化合物が含まれている
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池。 - 前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムから選ばれるいずれかである
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次電池。 - 充電時には、前記イオン性化合物MXから解離した陰イオン物質Xと、前記正極活物質から電離した金属のイオン物質Bとが前記正極で結合することによって、化合析出物BXが生成するとともに、該イオン性化合物MXから解離した金属イオン物質Mが前記負極で還元されることによって、前記負極集電体上に前記金属析出物が析出し、
放電時には、前記充電により生成した前記化合析出物BXから陰イオン物質Xが電離して前記電解液中に戻り、かつ、該化合析出物BXから金属Bのイオン物質が電離して前記正極で還元されることによって金属に戻るとともに、前記充電により前記負極集電体上に析出した前記金属析出物から金属イオン物質Mが電離して前記電解液中に戻る
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の二次電池。 - 正極活物質として金属を含む正極と、負極集電体を有する負極と、電解液とにより構成される二次電池に用いられる電解液であって、
電解質を含有し、該電解質にはイオン性化合物MX(M:金属イオン物質、X:陰イオン物質)が含まれており、
前記二次電池の充電完了時において、前記負極集電体に、前記イオン性化合物Mを構成する金属イオン物質Mが金属析出物として析出する
ことを特徴とする二次電池用電解液。 - 前記イオン性化合物MXを構成する金属イオン物質Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムから選ばれるいずれかであり、
前記電解液が、非水電解液である
請求項8に記載の二次電池用電解液。
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-
2015
- 2015-09-15 JP JP2015182162A patent/JP2017059367A/ja active Pending
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