JP2017059346A - 二次電池および組電池 - Google Patents

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直子 月森
雄介 大野
Yusuke Ono
雄介 大野
拓是 森川
Hiroshi Morikawa
拓是 森川
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Abstract

【課題】軸方向に圧縮された際、内部短絡によって大電流が流れることに起因する発熱を抑制する。【解決手段】正極および負極を有する発電要素と、発電要素が収容されると共に電解液が注入され、発電要素の正極および負極の一方に電気的に接続された電池缶と、電池缶に電気的に絶縁された状態で固定され、発電要素の正極および負極の他方に電気的に接続された蓋体と、蓋体に接続され、電池缶に対向して配置された突起を有する板状導電部材とを備える。【選択図】図8

Description

本発明は、二次電池および組電池に関する。
車載用途等の組電池は、例えば、複数の円筒形二次電池をバスバにより電気的に接続し、ホルダにより保持する構造を有する。電池缶の内部に正極および負極を有する発電要素が収容され、電解液が注入されている。電池蓋は、ガスケットを介在して電池缶にかしめられており、内部を外部から密封している。電池蓋は発電要素の正・負極の一方に電気的に接続され、電池缶は発電要素の正・負極の他方に電気的に接続されている。
隣接する円筒形二次電池同士は、相互に、上下を、換言すれば、電池蓋と電池缶の底部とを反転して配置され、バスバの一端を一方の円筒形二次電池の電池蓋に、バスバの他端を他方の円筒形二次電池の電池缶の底部に溶接により接合されている。複数の円筒形二次電池を保持するホルダとして、粘着テープを用いた組電池も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−249400号公報
近年、車両の安全面への配慮が高くなっており、これに伴い、円筒形二次電池において、軸方向からの圧縮を受けた場合に、安全性が確保されていることを確認するための信頼性試験が行われるようになっている。特許文献1に記載された構造では、電池蓋側から軸方向の外力を受けて円筒形二次電池が圧縮された場合、内部短絡が発生する可能性がある。円筒形二次電池の内部抵抗は低いため、内部短絡に伴い大きな電流が流れ、発熱することが懸念される。
本発明の円筒形二次電池は、正極および負極を有する発電要素と、前記発電要素が収容されると共に電解液が注入され、前記発電要素の前記正極および前記負極の一方に電気的に接続された電池缶と、前記電池缶に電気的に絶縁された状態で固定され、前記発電要素の前記正極および前記負極の他方に電気的に接続された蓋体と、前記蓋体に接続され、前記電池缶に離間対向して配置された突起を有する板状導電部材とを備える。
本発明の組電池は、第1の二次電池と、第2の二次電池と、前記第1の二次電池と前記第2の二次電池を接続する板状導電部材とを備え、前記第1の二次電池および前記第2の二次電池は、それぞれ、正極および負極を有する発電要素と、前記発電要素が収容されると共に電解液が注入され、前記発電要素の前記正極および前記負極の一方に電気的に接続された電池缶と、前記電池缶に電気的に絶縁された状態で固定され、前記発電要素の前記正極および前記負極の他方に電気的に接続された蓋体と、を備え、前記第1の二次電池と前記第2の二次電池とは、前記第1の二次電池の前記蓋体と前記第2の二次電池の前記電池缶の底部とを同一面側に向けて配置され、前記板状導電部材は、前記第1の二次電池の前記蓋体と前記第2の二次電池の前記電池缶の底部とを接続した状態で、前記第1の二次電池の前記電池缶に離間対向する突起を有する。
本発明によれば、電気抵抗が大きい電池缶と蓋体とが短絡されるので、短絡により流れる電流が低減され、発熱を抑制することができる。
本発明の実施形態1としての組電池の外観斜視図。 図1に図示された組電池を構成する円筒形二次電池の断面図。 図1に図示された組電池のバスバによる接続構造を示す断面図。 図3に図示されたバスバの拡大図であり、(A)は下方から観たバスバの平面図、(B)〜(D)は、それぞれ、(A)に図示されたバスバの側面図。 図2に示すバスバが変形して、外部短絡が発生した状態を示す断面図。 本発明の実施形態2の断面図。 本発明の実施形態3の断面図。 本発明の実施形態4の断面図。 内部短絡が発生した状態の円筒形二次電池の一例を示す断面図。
−実施形態1−
以下、本発明の実施形態1を、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態1としての組電池の外観斜視図である。
組電池100は、複数個の円筒形二次電池1をホルダ6により保持し、バスバ7により複数個の円筒形二次電池1全体が、直列に接続された構造を有する。以下では、円筒形二次電池1をリチウムイオン二次電池として説明する。また、X方向、Y方向、Z方向を、図1に図示された方向とする。
図1の例では、4個の円筒形二次電池1が、軸方向(X方向)を平行にして二列×二行に配置されている。円筒形二次電池1は、電池蓋3と、電池蓋3と軸方向に対向して配置された底部2cを有する電池缶2とを備えている。隣接する円筒形二次電池1は、電池蓋3と、電池缶2の底部2cとが、軸方向において上下反転して配置されている。4個の円筒形二次電池1は、それぞれ、ホルダ6の円筒形の開口部に挿入され、該ホルダ6により保持されている。
図1に図示されるように、下段側に配列された2個の円筒形二次電池1は、X方向の前面側で、一方の円筒形二次電池1の電池蓋3と他方の円筒形二次電池1の電池缶2の底部2cとが、板状導電部材であるバスバ7により電気的に接続されている。同様に、上段側に配列された2個の円筒形二次電池1は、X方向の前面側で一方の円筒形二次電池1の電池缶2の底部2cと他方の円筒形二次電池1の電池蓋3とが、バスバ7により電気的に接続されている。
組電池100のX方向の後面側は図示されていないが、Y方向の左側に配置された上下の円筒形二次電池1は、バスバ7により電気的に接続されている。また、Y方向の右側に配置された上下の円筒形二次電池1は、それぞれ、バスバ7により、他の組電池100の円筒形二次電池または、負荷に電気的に接続されている。バスバ7と円筒形二次電池1の電池蓋3、およびバスバ7と電池缶2とは、それぞれ、レーザ溶接、TIG溶接等の溶接により接合される。
図2は、図1に図示された組電池を構成する円筒形二次電池の断面図である。
円筒形二次電池1は、底部2cを有し、軸方向の上部が開口された円筒形の電池缶2および電池缶2の上部を封口するハット型の電池蓋3により構成される電池容器4を有する。電池容器4の内部には、以下に説明する発電用の各構成部材が収容され、非水電解液5が注入されている。
円筒形の電池缶2には、上端側に設けられた開口部2bの近傍に電池缶2の内側に突き出した凹部2aが形成されている。
電池缶2の内部には、発電要素10が収容されている。発電要素10は、軸方向に沿う中空部を有する細長い円筒形の軸芯15と、軸芯15の周囲に捲回された正極11および負極12を備えている。正極11および負極12は、セパレータ13を介在して軸芯15の周囲に円筒状に捲回される。円筒形状の軸芯15の中空部は、軸方向の上下端部で形状が異なる。中空部の上方には、内面側に円筒形の凹部15aが形成されている。中空部の下方には、外面側に円筒形の溝である段部15bが形成されている。
上方の凹部15aに円筒状の正極集電リング27が圧入されている。正極集電リング27は、円盤状の基部27aと、この基部27aの内周部において軸芯15側に向かって突出し、軸芯15の内面に圧入される下部筒部27bと、外周縁において電池蓋3側に突出する上部筒部27cとを有する。正極集電リング27はこの下部筒部27bにより軸芯15の上端部に固定されている。
正極11の正極タブ16は、正極集電リング27の上部筒部27cに溶接されている。正極集電リング27は例えばアルミニウム系金属により形成され、上部筒部27cの外周には、正極11の正極タブ16および押え部材28が溶接されている。多数の正極タブ16を、正極集電リング27の上部筒部27cの外周に密着させておき、正極タブ16の外周に押え部材28をリング状に巻き付けて仮固定し、この状態で正極タブ16と押え部材28とが超音波溶接により接合される。
軸芯15の下端部の段部15bに負極集電リング21が圧入されて固定されている。負極集電リング21は、例えば、銅系金属により形成され、円盤状の基部21aに軸芯15の段部15bに圧入される開口部21bが形成され、外周縁に、電池缶2の底部側に向かって突き出す外周筒部21cが形成されている。
負極12の負極タブ17は、負極集電リング21の外周筒部21cに接合される。負極集電リング21の外周筒部21cの外周には、負極12の負極タブ17および押え部材22が溶接されている。多数の負極タブ17を、負極集電リング21の外周筒部21cの外周に密着させておき、負極タブ17の外周に押え部材22をリング状に巻き付けて仮固定し、この状態で負極タブ17と押え部材22が溶接される。負極集電リング21の基部21aには、接続リード板45が、抵抗溶接、或いはレーザ溶接等により接合されている。
多数の正極タブ16が、正極集電リング27に溶接され、多数の負極タブ17が負極集電リング21に溶接されることにより、正極集電リング27、負極集電リング21および発電要素10が一体的にユニット化された発電ユニット20が構成される。電池缶2の内部には、非水電解液5が所定量注入されている。非水電解液5の一例として、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液が挙げられる。
図示はしないが、正極集電リング27の基部27aには、電池内部で発生するガスを放出するための開口部が形成されている。正極集電リング27の中央部には、接続リード板45を電池缶2に溶接するための電極棒(図示せず)を挿通する開口部27dが形成されている。電極棒を正極集電リング27に形成された開口部27dから軸芯15の中空部に差し込み、その先端部で接続リード板45を電池缶2の底部2cの内面に押し付けて抵抗溶接を行う。これにより発電ユニット20は電池缶2の底部2cに固定される。
負極集電リング21に接続されている電池缶2は一方の出力端子として作用し、発電要素10に蓄電された電力を電池缶2から取り出すことができる。
正極集電リング27の基部27aの上面には、複数のアルミニウム箔が積層されて構成されたフレキシブルな接続部材33が、その一端部を溶接されて接合されている。
正極集電リング27の上部筒部27c上には、電池蓋ユニット30が配置されている。電池蓋ユニット30は、リング形状をした絶縁板34、接続板35、ダイヤフラム37および電池蓋3により構成される。ダイヤフラム37と電池蓋3とは、かしめと溶接により一体化され、蓋体38を構成している。
絶縁板34は、円形の開口部を有する絶縁性樹脂材料からなるリング形状を有し、正極集電リング27の上部筒部27c上に載置されている。絶縁板34の開口部内には接続板35が嵌合されている。接続板35の下面には、接続部材33の他端部が溶接により接合されている。
接続板35は、アルミニウム系金属で形成され、中央部を除くほぼ全体が均一でかつ、中央側が少々低い位置に撓んだ、ほぼ皿形状を有している。接続板35の中心には、薄肉でドーム形状に形成された突起部35aが形成されている。図示はしないが、突起部35aの周囲には、電池内部に発生するガスを放出するための複数の開口が形成されている。接続板35の突起部35aはダイヤフラム37の中央部の底面に抵抗溶接または摩擦攪拌接合により接合されている。ダイヤフラム37はアルミニウム系金属で形成され、ダイヤフラム37の中心部を中心とする円形の切込み(図示せず)を有する。切込みはプレスにより上面側をV字形状に押し潰して、残部を薄肉にしたものである。ダイヤフラム37は、電池の安全性確保のために設けられており、電池の内圧が上昇すると、切込みにおいて開裂し、内部のガスを放出する機能を有する。
ダイヤフラム37には、側壁37bが形成されている。側壁37bは、当初、電池蓋3側に向かって垂直に起立している。この側壁37b内に電池蓋3を収容し、側壁37bを電池蓋3の上面側に屈曲するかしめ加工が施される。また、かしめ加工後、ダイヤフラム37の側壁37bは電池蓋3の周縁部に溶接され、ダイヤフラム37と電池蓋3とは、蓋体38として一体化される。
電池蓋3は、全体が炭素鋼等の導電部材で形成され、表裏両面にニッケルめっきが施されており、ダイヤフラム37に接触する円盤状の周縁部3aと、この周縁部3aから上方に突出す筒部3bを有するハット型を有する。筒部3bには開口部3cが形成されている。この開口部3cは、電池内部に発生するガス圧によりダイヤフラム37が開裂した際、ガスを電池外部に放出するためのものである。電池蓋3は一方の電力出力端として作用し、電池蓋3から蓄電された電力を取り出すことができる。
ダイヤフラム37と電池蓋3とのかしめ部を覆って、絶縁部材からなるガスケット43が設けられている。ガスケット43は、樹脂で形成されており、限定する意図ではないが、1つの好ましい材料の例として、フッ素系樹脂をあげることができる。
ガスケット43は、リング状の基部43aの周側縁に、上部方向に向けてほぼ垂直に起立して形成された外周壁部43bを有する形状を有している。
ダイヤフラム37と電池蓋3とは、予め、蓋体38として一体化される。電池缶2の開口部2bの内側にガスケット43を配置し、蓋体38の周縁部を、電池缶2の開口部2bの内側に配置されたガスケット43の外周壁部43bの内側に配置する。そして、プレス等により、電池缶2と共にガスケット43の外周壁部43bを屈曲して基部43aと外周壁部43bにより、ダイヤフラム37と電池蓋3を軸方向に圧接するようにかしめ加工される。これにより、電池蓋3、ダイヤフラム37、絶縁板34および接続板35が一体に形成された電池蓋ユニット30がガスケット43を介して電池缶2に固定される。これと共に、絶縁板34が発電ユニット20の正極集電リング27に当接し、発電ユニット20を電池缶2の缶底側に押しつけている。
なお、発電要素10の正極11は、例えば、アルミニウム箔等の長尺な金属箔の両面に正極合剤が塗布された構成を有する。正極合剤は正極活物質と、正極導電材と、正極バインダとからなる。正極活物質として、コバルト、マンガン、ニッケル等のリチウム酸化物が挙げられる。正極バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。
また、発電要素10の負極12は、銅箔等の長尺な金属箔の両面に負極合剤が塗布された構成を有する。負極合剤は、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とからなる。負極活物質としては、黒鉛炭素が挙げられる。
図3は、図1に図示された組電池のバスバによる接続構造を示す断面図である。
以下では、説明の都合上、適宜、バスバ7により相互に接続される一対の円筒形二次電池の一方を1A、他方を1Bとする。
一方の円筒形二次電池1Aは、電池蓋3を上方にして配置され、他方の円筒形二次電池1Bは、電池缶2の底部2cを上方にして配置される。円筒形二次電池1Aの電池蓋3の上面と円筒形二次電池1Bの電池缶2の底部2cとは、ほぼ水平に、換言すれば、X方向の高さを同一にして配置されている。この状態で、円筒形二次電池1Aの電池蓋3にはバスバ7の一端7aが溶接され、円筒形二次電池1Bの電池缶2の底部2cにはバスバ7の他端7bが溶接される。バスバ7は、一端7aと他端7bとの間である中間部7cが、上方側、すなわち、円筒形二次電池1A、1Bの反対側に突出するように屈曲されている。バスバ7は、一端7aと中間部7cとの境界部および他端7bと中間部7cとの境界部が傾斜部とされている。バスバ7の中間部7cの下面側、すなわち、円筒形二次電池1A側には突起71が設けられている。
なお、後述するが、円筒形二次電池1に軸方向の圧縮荷重が作用して、バスバ7の中間部7cが軸方向と平行に下降するように変形する。このとき、バスバ7の中間部7cの両端側に傾斜部を形成することにより軸方向に対して斜め方向の圧縮荷重が作用した場合でも、バスバ7の中間部7cは、ほぼ軸方向と平行に下降するように変形する(図5参照)という効果がある。仮に、バスバ7の中間部7cの両端側の傾斜部が、中間部7cおよび端部7a、7bに対して直角に屈曲されていると、軸方向に対して斜め方向の圧縮荷重が作用すると、中間部7cは荷重の方向に傾倒する可能性がある。
突起71は、バスバ7と同一材料または別材料の導電性部材により形成されている。突起71は、プレス加工によりバスバ7と一体成形してもよい。突起71は、円筒形二次電池1Aの電池缶2の底部2cと反対側の上部平坦部2dに対向する位置に、該上部平坦部2dから離間して配置されている。上部平坦部2dは、電池缶2と蓋体38とをガスケット43を介在してかしめる際にガスケット43の周縁部の上面側を覆って形成される。
図4(A)〜(D)は、図3に図示されたバスバの拡大図であり、図4(A)は、バスバ7を下方から観た平面図であり、図4(B)〜(D)は、それぞれ、図4(A)に図示されたバスバの側面図である。
バスバ7の突起71は、図4(B)に図示されるようなドーム形状、図4(C)に図示されるような円錐体または多角錐体、図4(D)に図示されるような円錐台または他角錐台の種々の形状を採用することができる。
突起71の外面には、絶縁層72が設けられている。絶縁層72は、電池缶2の上部平坦部2dから離間して配置されている。
図5は、図2に示すバスバが変形して、外部短絡が発生した状態を示す断面図である。
組電池100に、軸方向(X方向)の圧縮荷重が作用すると、バスバ7は、図5に図示されるように中間部7cが変形して、バスバ7の突起71が電池缶2の上部平坦部2dに押し付けられる。これにより、絶縁層72が突起71により突き破られ、バスバ7の突起71と電池缶2の上部平坦部2dとが導通する。つまり、発電要素10の正極11に接続された蓋体38と発電要素10の負極12に接続された電池缶2とが、バスバ7を介して外部短絡する。しかし、電池缶2および蓋体38の抵抗値は、電池缶2内に収容された内部部品よりも大きい。
図9は、内部短絡が発生した状態の円筒形二次電池の一例を示す断面図である。
円筒形二次電池1に軸方向の圧縮荷重が発生すると、電池缶2の凹部2aに応力が集中し、凹部2aが潰れる可能性がある。電池缶2の凹部2aが潰れると、図9に示すように、電池蓋ユニット30が下方に変位する。これにより、正極集電リング27等の導電性部材が、発電要素10の負極タブ17に接触し、内部短絡を生じる可能性がある。この場合、負極タブ17の抵抗値は、電池缶2等に比し、遥かに小さい。このため、内部短絡により大きな電流が流れる。
これに対し、本発明の実施形態1では、円筒形二次電池1の内部短絡に先んじて、蓋体38と電池缶2とがバスバ7を介して外部短絡する。しかし、上述したように、電池缶2および蓋体38の抵抗値は、電池缶2内に収容された内部部品の抵抗値よりも大きい。このため、電池缶2と蓋体38との外部短絡により流れる電流は、内部短絡により流れる電流よりも小さい。従って、外部短絡を発生させることにより内部短絡が生じる場合よりも、短絡により生じる発熱を抑制する効果を奏する。ここで、電池缶2と蓋体38とが外部短絡した後、円筒形二次電池1が凹部2aにおいて変形し、正極集電リング27と発電要素10の負極タブ17とが内部短絡を起こす可能性もある。しかし、電池缶2と蓋体38とが外部短絡することにより、発電要素10に充電されていた電荷が放電される。従って、この後、正極集電リング27と発電要素10の負極タブ17とが内部短絡を起こしても、この時流れる電流は小さいものとなり、発熱を抑制することができる。なお、電池缶2内部には電解液が注入されているため、発熱による影響が懸念される。しかし、本発明の実施形態1のように、外部短絡を発生して発熱を抑制すれば、内部短絡におけるこれに関連する懸念が解消される。
なお、図4(B)〜(D)に図示されるように、突起71は、先端側の面積が小さい形状に形成されている。このため、絶縁層72に作用する応力を面積が小さい突起71の先端部に集中することができ、これにより、絶縁層72が突き破られ易くなっている。
絶縁層72は、通常状態における蓋体38と電池缶2との短絡を防止するために設けられている。つまり、車両等に搭載された組電池100には、走行時の小さな振動や衝撃が作用しており、バスバ7は、軸方向に振動する。このとき、バスバ7の突起71が、電池缶2の上部平坦部2dに当接すると、蓋体38と電池缶2とが短絡してしまう。絶縁層72は、このような、円筒形二次電池1に変形を起こさないような小さい荷重に対する短絡を防止するためのものである。
上記実施形態1によれば、下記の効果を奏する。
(1)円筒形二次電池1Aの蓋体38と、円筒形二次電池1Bの電池缶2とを接続するバスバ7に、電池缶2と対向して離間する突起71を設けた。このため、軸方向に圧縮荷重が作用した場合、突起71が電池缶2に接触する。すなわち、発電要素10の正極11に接続された電池缶2と発電要素10の負極12に接続された蓋体38とがバスバ7を介して外部短絡を起こす。このとき短絡する電池缶2および蓋体38の抵抗値は、電池缶2内に収容された内部部品の抵抗値よりも大きい。従って、円筒形二次電池1A、1Bが変形して内部短絡を起こす場合に比し、短絡時に流れる電流を低減し、これにより、短絡に伴う発熱を抑制することができる。
(2)バスバ7に形成された突起71の外面に絶縁層72を設けた。絶縁層72は、バスバ7の突起71と電池缶2との間に、円筒形二次電池1が変形を生じるような大きな圧縮荷重が作用すると、突起71により突き破られる。つまり、絶縁層72は、小さな振動や衝撃では、突起71により突き破られることはなく、バスバ7の突起71と電池缶2とを絶縁する。これにより、通常状態での信頼性を確保することができる。
−実施形態2−
図6は、本発明の実施形態2の断面図である。
実施形態2では、バスバ7の突起71は、円筒形二次電池1の電池缶2の上部平坦部2dと、該上部平坦部2dの外縁側、すなわち、軸方向に延在する側壁とのコーナー部2eに対向する位置に配置されている。
実施形態2においては、円筒形二次電池1に軸方向の圧縮荷重が作用し、バスバ7が軸方向に変位すると、突起71の外面に設けられた絶縁層72は、電池缶2のコーナー部2eに擦りつけられる。このため、絶縁層72は、突起71の先端部と電池缶2のコーナー部2eとによって破られる。
実施形態2の他の構成は実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態2においても、実施形態1の効果(1)、(2)と同様な効果を奏する。
−実施形態3−
図7は、本発明の実施形態3の断面図である。
実施形態3では、バスバ7が、平坦な板状部材とされている。
図7に図示されるように、円筒形二次電池1は、電池蓋3の筒部3bは、周縁部3aから突出する高さが、実施形態1よりも高い形状に形成されている。これにより、円筒形二次電池1は、電池蓋3の筒部3bの上面と、電池缶2の上部平坦部2dの上面との段差が大きくなっている。
この構造では、バスバ7が平坦な板状部材であっても、突起71と電池缶2の上部平坦部2dとの間に間隙を設けることができる。このようなことから、実施形態3では、バスバ7を平坦な板状部材として、突起71を、電池缶2の上部平坦部2dから離間する構造としたものである。
実施形態3の他の構成は実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態3においても、実施形態1の効果(1)、(2)と同様な効果を奏する。
−実施形態4−
図8は、本発明の実施形態4の断面図である。
図8に図示される円筒形二次電池1は、電子装置の電源装置に単体として搭載される。あるいは、組電池100において、他の組電池100を構成する円筒形二次電池1と接続されたり、負荷に接続されたりする。つまり、図1に図示された組電池100において、Y方向の右側の上段の円筒形二次電池1に適用される。
実施形態1と同様、円筒形二次電池1に接続されるバスバ7は、その一端7aが蓋体38を構成する電池蓋3に溶接されている。また、バスバ7の中間部7cに設けられた突起71は、実施形態1と同様、電池缶2の上部平坦部2dに対向する位置に、該上部平坦部2dから離間して配置されている。しかし、バスバ7の他端は、他の組電池100を構成する円筒形二次電池1と接続されたり、負荷に接続されたりする。あるいは、バスバ7の他端は、単体として設置された他の円筒形二次電池1に接続される。
実施形態4の他の構成は実施形態1と同様である。
実施形態4においても、実施形態1の効果(1)、(2)と同様な効果を奏する。
なお、上記各実施形態では、バスバ7の突起71の外面に絶縁層72を設けた構造として例示した。しかし、円筒形二次電池1が、通常では、振動や衝撃がほとんど作用しない装置に搭載される場合には、バスバ7の突起71の外面に絶縁層72を設けなくてもよい。あるいは、振動や衝撃が作用する装置に搭載する場合でも、通常の振動や衝撃では、突起71が電池缶2の上部平坦部2dとは接触しない位置に配置すれば、バスバ7の突起71の外面に絶縁層72を設ける必要はない。
上記各実施形態では、バスバ7の突起71の絶縁層72が電池缶2の上部平坦部2dから離間している構造として例示した。しかし、バスバ7の突起71の絶縁層72が電池缶2の上部平坦部2dに接している構造としてもよい。
上記各実施形態では、蓋体38が電池蓋3とダイヤフラム37により構成されている構造として例示した。しかし、蓋体38を電池蓋3のみで形成したり、ダイヤフラム37に替えて接続板35を用いたりすることができる。また、電池蓋ユニット30は、単に、一例を示すものであり、異なる構造としたり、異なる部品点数により構成するようにしたり、適宜、変更して適用することができる。
上記各実施形態では、正極集電リング27と発電要素10の負極タブ17とが内部短絡を起こす場合として例示した。しかし、本発明は、内部短絡が他の部位で発生する場合にも適用することができる。
上記各実施形態では、発電要素10の正極11に蓋体38が接続され、発電要素10の負極12に電池缶2が接続された円筒形二次電池1として例示した。しかし、本発明は、発電要素10の負極12に蓋体38が接続され、発電要素10の正極11に電池缶2が接続された円筒形二次電池1に適用することが可能である。
上記各実施形態では、円筒形二次電池としてリチウムイオン二次電池を例示した。しかし、本発明は、ニッケル水素電池またはニッケル・カドミウム電池、鉛蓄電池のように水溶性電解液を用いる円筒形二次電池にも適用が可能である。さらに、本発明は、円筒形二次電池に限られるものではなく、角形二次電池にも適用が可能である。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。上記各実施形態や変形例を組み合わせてもよく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1、1A、1B 円筒形二次電池
2 電池缶
2c 底部
2d 上部平坦部
6 ホルダ
7 バスバ
10 発電要素
11 正極
12 負極
38 蓋体
43 ガスケット
71 突起
72 絶縁層
100 組電池

Claims (6)

  1. 正極および負極を有する発電要素と、
    前記発電要素が収容されると共に電解液が注入され、前記発電要素の前記正極および前記負極の一方に電気的に接続された電池缶と、
    前記電池缶に電気的に絶縁された状態で固定され、前記発電要素の前記正極および前記負極の他方に電気的に接続された蓋体と、
    前記蓋体に接続され、前記電池缶に対向して配置された突起を有する板状導電部材とを備える二次電池。
  2. 請求項1に記載の二次電池において、
    前記突起の表面に絶縁層が設けられている二次電池。
  3. 第1の二次電池と、
    第2の二次電池と、
    前記第1の二次電池と前記第2の二次電池を接続する板状導電部材とを備え、
    前記第1の二次電池および前記第2の二次電池は、それぞれ、
    正極および負極を有する発電要素と、
    前記発電要素が収容されると共に電解液が注入され、前記発電要素の前記正極および前記負極の一方に電気的に接続された電池缶と、
    前記電池缶に電気的に絶縁された状態で固定され、前記発電要素の前記正極および前記負極の他方に電気的に接続された蓋体と、を備え、
    前記第1の二次電池と前記第2の二次電池とは、前記第1の二次電池の前記蓋体と前記第2の二次電池の前記電池缶の底部とを同一面側に向けて配置され、
    前記板状導電部材は、前記第1の二次電池の前記蓋体と前記第2の二次電池の前記電池缶の底部とを接続した状態で、前記第1の二次電池の前記電池缶に対向する突起を有する組電池。
  4. 請求項3に記載の組電池において、
    前記突起の表面に絶縁層が設けられている組電池。
  5. 請求項3に記載の組電池において、
    前記突起は、ドーム形状、錐体形状または錐台形状を有する組電池。
  6. 請求項3乃至5のいずれか一項に記載の組電池において、
    前記第1の二次電池の前記電池缶は、前記第1の二次電池の前記蓋体の周囲に設けられた平坦部を有し、前記突起は、前記電池缶の前記平坦部または前記平坦部の外縁側のコーナー部に対向して配置されている組電池。
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