JP2017057987A - 車両用モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 給油構造の簡素化およびコスト低減を図ると共に、潤滑不足による平行軸歯車減速機の損傷を未然に防止する。
【解決手段】 モータ部Aと、複数の歯車30〜33からなる平行軸歯車減速機39で構成された減速機部Bと、その減速機部Bに貯溜された潤滑油による油浴状態で、平行軸歯車減速機39の歯車30〜33の回転による跳ね掛けでもって各歯車30〜33を潤滑するインホイールモータ駆動装置21であって、平行軸歯車減速機39を構成する第4歯車33は、その側面に凹設された油溜まり部56を有し、その油溜まり部56と歯面58との間で連通した油路59を径方向に形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、電動モータの回転駆動力を減速機部に入力し回転数を減速して車輪側に伝達する車両用モータ駆動装置に関する。
従来の車両用モータ駆動装置として、例えば、特許文献1に開示されたインホイールモータ駆動装置がある。この特許文献1のインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する平行軸歯車減速機と、その平行軸歯車減速機からの出力を車輪に伝達する車輪ハブとで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータと平行軸歯車減速機との間に中間プレートを設け、その中間プレートのインボード側に、電動モータを収容するモータハウジングを設けると共に、中間プレートのアウトボード側に、平行軸歯車減速機を収容するギヤハウジングを設けた構造を具備する。
電動モータは、モータハウジングに固定されたステータと、そのステータの内側で回転自在に支持されたロータ軸とで構成されている。また、平行軸歯車減速機は、電動モータのロータ軸に同軸的に連結されたモータ入力歯車と、ギヤハウジングに回転自在に支持されてモータ入力歯車と噛合する第1カウンタ歯車と、第1カウンタ歯車と同軸的に支持された第2カウンタ歯車と、車輪ハブの車軸に設けられて第2カウンタ歯車と噛合する出力歯車とで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置では、電動モータの冷却と、平行軸歯車減速機の冷却および潤滑とを目的として、電動モータおよび平行軸歯車減速機に潤滑油を供給する必要がある。この電動モータおよび平行軸歯車減速機の潤滑構造としては、回転ポンプを内蔵させ、回転ポンプから吐出される潤滑油を軸心給油構造でもって電動モータおよび平行軸歯車減速機に供給し、回転ポンプへ還流させる循環構造が可能である。
特開2014−46742号公報
ところで、特許文献1で開示されたインホイールモータ駆動装置において、軸心給油構造でもって平行軸歯車減速機の各歯車の冷却および潤滑を行う構造を採用した場合、電動モータのロータ軸およびモータ入力歯車の軸に油路を形成すると共に、第1カウンタ歯車および第2カウンタ歯車の軸に油路を形成しなければならない。
このように、電動モータのロータ軸およびモータ入力歯車の軸や、第1カウンタ歯車および第2カウンタ歯車の軸に油路を形成するには、その軸に対して油路径が細い場合、ドリルによる軸孔加工が必要となる。また、このような軸心給油構造では、油路に潤滑油を圧送するための回転ポンプを設置する必要がある。
以上のような油路形成のための軸孔加工や、回転ポンプの設置は、インホイールモータ駆動装置の構造を複雑にすると共に製品コストの低減を困難にする。また、軸心給油構造の油路が長くなると、電動モータの始動時、平行軸歯車減速機に潤滑油を供給できるまでに時間がかかることになり、平行軸歯車減速機の各歯車を損傷するおそれもある。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、給油構造の簡素化およびコスト低減を図ると共に、潤滑不足による平行軸歯車減速機の損傷を未然に防止し得る車両用モータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータ部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、その減速機部に貯溜された潤滑油による油浴状態で、平行軸歯車減速機の歯車の回転による跳ね掛けでもって各歯車を潤滑する車両用モータ駆動装置であって、平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、その側面に凹設された油溜まり部を有し、その油溜まり部と歯面との間で連通する油路を径方向に形成したことを特徴とする。
本発明の車両用モータ駆動装置では、減速機部に貯溜された潤滑油による油浴状態で、平行軸歯車減速機の歯車の回転による跳ね掛けでもって各歯車を潤滑する。この跳ね掛け給油構造において、平行軸歯車減速機の歯車の側面に油溜まり部を凹設し、その油溜まり部と歯面との間で連通する油路を径方向に形成したことにより、油溜まり部に保持された潤滑油を油路を介して歯面に供給することが容易となる。
本発明において、平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、減速機部に貯溜された潤滑油から離隔した部位に配置され、歯車の回転による跳ね掛けでもって飛散した潤滑油を油溜まり部に導き入れる導油板を、歯車の側方に配設した構成が望ましい。このような構成を採用すれば、減速機部に貯溜された潤滑油から離隔した位置に歯車が配置されていても、導油板により潤滑油を油溜まり部に保持することが容易となる。
本発明において、平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、油溜まり部の一部が減速機部に貯溜された潤滑油に浸漬するように配置されている構成が望ましい。このような構成を採用すれば、潤滑油を油溜まり部に確実に保持することができる。
本発明によれば、平行軸歯車減速機の歯車の側面に油溜まり部を凹設し、その油溜まり部と歯面との間で連通する油路を径方向に形成したことにより、油溜まり部に保持された潤滑油を油路を介して歯面に供給することが容易となる。これにより、給油構造の簡素化およびコスト低減が図れると共に、潤滑不足による平行軸歯車減速機の損傷を未然に防止することできる。その結果、減速機部の冷却性能および潤滑性能の向上が図れ、信頼性の高い長寿命の車両用モータ駆動装置を提供することができる。
本発明の実施形態で、インホイールモータ駆動装置の全体構成を示す断面図である。 図1の平行軸歯車減速機を構成する歯車のみをアウトボード側から見た概要図である。 図1の平行軸歯車減速機の第4歯車を示す斜視図である。 図1の平行軸歯車減速機の第4歯車を示す拡大断面図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 平行軸歯車減速機の第4歯車および導油板を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態で、インホイールモータ駆動装置の全体構成を示す断面図である。 インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略構成を示す平面図である。 図8の電気自動車を示す後方断面図である。 オンボードタイプの車両用モータ駆動装置の全体構成を示す断面図である。
本発明に係る車両用モータ駆動装置の1つの実施形態としてインホイールモータ駆動装置を図面に基づいて詳述する。図8は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図9は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図8に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図9に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、独立懸架式の懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現し、ばね下重量を抑えることで、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前に、インホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図1の左側)と称し、中央寄りとなる側をインボード側(図1の右側)と称する。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bからの出力を駆動輪としての後輪14(図8および図9参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備えている。モータ部Aと減速機部Bはケーシング22に収容されて、電気自動車11のホイールハウジング15(図9参照)内に取り付けられる。
モータ部Aは、ケーシング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は、磁性体コアの外周にコイルを巻回することによって構成されている。ロータ24は、永久磁石または磁性体が内部に配置されている。
モータ回転軸25は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部27によりロータ24を保持している。ホルダ部27は、ロータ24が嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸25は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受28に、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受29によって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速機部Bは、入力歯車である第1歯車30と、中間歯車である第2歯車31および第3歯車32と、出力歯車である第4歯車33とからなる平行軸歯車減速機39で構成されている。この平行軸歯車減速機39では、第1歯車30と第2歯車31とが噛合し、第3歯車32と第4歯車33とが噛合することにより、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する。ケーシング22のスペースなどを考慮すると、第1歯車30と第2歯車31からなる第1段の減速比は2〜4程度とし、第3歯車32と第4歯車33からなる第2段の減速比は3〜5程度とすることが好ましい。
第1歯車30は、インボード側に延びる軸部34をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車31は、中間軸35に取り付け固定されている。第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成されている。第4歯車33は、その軸部36を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車30の軸部34は、転がり軸受40によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31が取り付け固定され、第3歯車32が一体的に形成された中間軸35は、転がり軸受41,42によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37が取り付け固定された第4歯車33の軸部36は、転がり軸受43,44によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37のアウトボード側軸部45は、車輪用軸受部Cのハブ輪47にスプライン嵌合で連結され、減速機部Bの出力を後輪14(図8および図9参照)に伝達する。
第1歯車30〜第4歯車33および各歯車の回転軸を図2に基づいて説明する。図2は、図1の平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30〜第4歯車33のみをアウトボード側から見た概要図である。
第1歯車30は、モータ回転軸25(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C1を中心にして回転する。第2歯車31は、中間軸35(図1参照)に取り付け固定され、第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成され、その軸心C2を中心にして回転する。第4歯車33は、減速機出力軸37(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C3を中心にして回転する。なお、モータ回転軸25と減速機出力軸37は同軸上に配置されていることから、それぞれの軸心C1と軸心C3は一致している。
この実施形態では、モータ回転軸25、中間軸35および減速機出力軸37の各軸心C1,C2,C3が直線E−E上に配置され、減速機部Bの径方向のコンパクト化を図っている。ただし、各軸心C1,C2,C3の配置は、この実施形態のような配置に限らず、各歯車30〜33の噛合いを維持した状態で、ケーシング22のスペースなどを考慮して適宜ずらしてもよい。
ここで、第1歯車30〜第4歯車33には、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、モジュールは1〜3程度が好ましい。このように、平行軸歯車減速機39にはすば歯車を用いることで、製造が容易でコストの低減が図れ、性能面でも、静粛かつ効率のよいインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図9参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。例えば、第1歯車30と第2歯車31の第1段での減速比を1/2.5、第3歯車32と第4歯車33の第2段での減速比を1/4.5とすれば、平行軸歯車減速機39の減速比は約1/11となる。このように、大きな減速比を持つ平行軸歯車減速機39を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26と組み合わせることで電動モータ26の小型化が図れ、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を実現できる。
車輪用軸受部Cは、図1に示すように、以下のような構造の車輪用軸受46で構成されている。車輪用軸受46は、減速機出力軸37にトルク伝達可能に連結されたハブ輪47と、ハブ輪47の外周に嵌合された内輪48と、ハブ輪47および内輪48の外側に配置された外輪49と、ハブ輪47および内輪48と外輪49との間に配置された複数の玉50と、複数の玉50を保持する保持器51とを備えた複列アンギュラ玉軸受である。車輪用軸受46の軸方向両端部には、泥水などの侵入防止およびグリースの漏洩防止のためにシール部材52が設けられている。
この車輪用軸受46は、減速機出力軸37のアウトボード側軸部45の端部に形成された雄ねじ部にナット53を螺合させることにより、平行軸歯車減速機39に締め付け固定されている。車輪用軸受46の外輪49は、ケーシング22に取り付け固定されている。車輪用軸受46の内輪48は、減速機出力軸37のフランジ部54に当接することにより抜け止めされている。車輪用軸受46のハブ輪47にハブボルト55で後輪14(図8および図9参照)が連結される。
以上の構成からなるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1に示すように、モータ部Aにおいて、ステータ23に交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けてロータ24が回転する。減速機部Bにおいて、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39の第1歯車30〜第4歯車33によって減速され、減速機出力軸37を介して車輪用軸受部Cに伝達される。この時、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39により減速されて減速機出力軸37に伝達されるので、低トルク、高速回転型の電動モータ26を採用した場合でも、後輪14(図8および図9参照)に必要なトルクを伝達することが可能となる。
この実施形態では、モータ部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。
次に、このインホイールモータ駆動装置21における潤滑構造を説明する。減速機部Bには、平行軸歯車減速機39を冷却および潤滑するために潤滑油が封入されている。図1のX−X線は、インホイールモータ駆動装置21の停止時における減速機部Bでの潤滑油の油面を示す。潤滑油は、減速機部Bにおけるケーシング22の下部に貯溜され、その油面が中間軸35の軸心付近にある。そのため、第2歯車31および第3歯車32の略下半分が潤滑油に浸漬した状態にある。
インホイールモータ駆動装置21の駆動時、減速機部Bでは、ケーシング22の下部に貯溜された潤滑油による油浴状態で、第1歯車30〜第4歯車33の回転による跳ね掛けでもって平行軸歯車減速機39を冷却すると共に潤滑する。なお、モータ部Aの冷却構造については、種々の構造を適用することが可能であり、その構造は任意である。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
平行軸歯車減速機39において、減速機出力軸37に連結された第4歯車33は、他の第1歯車30〜第3歯車32よりも大径であり、ケーシング22の下部に貯溜する潤滑油の油面(図1のX−X線参照)から離隔した部位に配置されている。このことから、インホイールモータ駆動装置21の始動時、例えば、電動モータ26が停止した後に時間をおいて再始動した時などの潤滑が重要である。このモータ再始動時、歯車の回転による跳ね掛けで第4歯車33を潤滑することが困難であると、第4歯車33に焼付きなどの損傷が発生するおそれがある。
そこで、この実施形態では、図3〜図5に示すように、第4歯車33の両側面に環状の油溜まり部56を凹設し、その油溜まり部56の内周面57と第4歯車33の外周面である歯面58との間で連通する油路59を径方向に形成する。この油路59は、油溜まり部56の内周面57に開口すると共に、第4歯車33の歯面58の歯底部分に開口する貫通孔となっている。
この実施形態では、油溜まり部56の周縁部の円周方向4箇所に油路59を等間隔配置した場合を例示しているが、その油路59の数は任意である。また、油溜まり部56および油路59を第4歯車33の両側面に設けた場合を例示しているが、第4歯車33のいずれか一方の側面のみに設けてもよい。さらに、大径の第2歯車31(図1参照)にも、油溜まり部56および油路59を設けるようにしてもよい。
以上のように、第4歯車33の両側面に油溜まり部56を凹設し、その油溜まり部56と歯面58との間で連通する油路59を設けたことにより、減速機部Bに貯溜された潤滑油による油浴状態で、第1歯車30〜第4歯車33の回転による跳ね掛けでもって飛散した潤滑油は、第4歯車33の油溜まり部56に一定量保持される。
この油溜まり部56に保持された潤滑油は、第4歯車33の回転により発生する遠心力でもって油溜まり部56から油路59を介して歯面58に供給される。なお、油溜まり部56の内周面57は、油溜まり部56に保持された潤滑油が遠心力でもって油路59に流入し易いように、油溜まり部56の開口周縁部から油孔59に向けて傾斜した断面テーパ状となっている(図4参照)。
このようにして、油溜まり部56に保持された潤滑油を油路59を介して歯面58に供給することが容易となり、第4歯車33での潤滑が円滑に行われる。また、従来の軸心給油構造における油路形成のための軸孔加工や、油路に潤滑油を圧送するための回転ポンプの設置も不要となるので、歯面給油構造の簡素化およびコスト低減が図れると共に、潤滑不足による平行軸歯車減速機39の損傷を未然に防止することができる。
ここで、第4歯車33は、図1に示すように、減速機部Bに貯溜された潤滑油の油面(図中のX−X線参照)から離隔した部位に配置されていることから、第4歯車33の回転による跳ね掛けでもって飛散した潤滑油を油溜まり部56に導き入れる導油板60を第4歯車33の側方に配設している。
導油板60は、円弧形状をなし(図6参照)、その内周縁部を第4歯車33の油溜まり部56に向けて屈曲させた折曲部61を有する。この導油板60は、第4歯車33の側方に位置するケーシング22に取り付け固定されている。なお、第4歯車33の油溜まり部56の開口周縁部には、導油板60により潤滑油を油溜まり部56に導き入れ易いように、導油板60の折曲部61に沿うテーパ面62を設けている(図4参照)。
このような導油板60を設けたことにより、第4歯車33の回転による跳ね掛けでもって第4歯車33の上方に位置するケーシング22に向けて飛散した潤滑油がケーシング22の内壁面を伝って重力により下部へ移動する時、その潤滑油を導油板60により第4歯車33の油溜まり部56に導き入れる。これにより、減速機部Bに貯溜された潤滑油の油面から離隔した位置に第4歯車33が配置されていても、潤滑油を油溜まり部56に一定量保持することが容易となる。
以上の実施形態では、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する平行軸歯車減速機39に適用した場合を例示したが、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する平行軸歯車減速機についても適用可能である。図7は、第1歯車63および第2歯車64で構成された平行軸歯車減速機65を持つインホイールモータ駆動装置21を例示する。なお、図7において、図1と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図7の実施形態における減速部Bは、入力歯車である第1歯車63と、出力歯車である第2歯車64とからなる平行軸歯車減速機65で構成されている。この平行軸歯車減速機65では、第1歯車63と第2歯車64とが噛合し、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する。第1歯車63と第2歯車64からなる減速比は10〜11程度とすることが好ましい。
第1歯車63は、インボード側に延びる軸部66をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車64は、その軸部67を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車63の軸部66は、転がり軸受68,69によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車64の軸部67は、転がり軸受70,71によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。
第2歯車64は、第1歯車63よりも大径であり、その第1歯車63の下方に配置されている。図7のY−Y線は、インホイールモータ駆動装置21の停止時において、減速機部Bの下部に貯溜された潤滑油の油面を示す。第2歯車64の下部は、減速機部Bに貯溜された潤滑油に浸漬した状態となる。
この実施形態において、第2歯車64の両側面に環状の油溜まり部56を凹設し、その油溜まり部56の内周面57と第2歯車64の外周面である歯面58との間で連通する油路59を径方向に形成する。この実施形態における第2歯車64は、図1に示す実施形態の第4歯車33と同一の構成をなし、同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
以上のように、第2歯車64の両側面に油溜まり部56を凹設し、その油溜まり部56と歯面58との間で連通する油路59を設けたことにより、減速機部Bに貯溜された潤滑油による油浴状態で、第1歯車63および第2歯車64の回転による跳ね掛けでもって第1歯車63および第2歯車64を潤滑する。
この時、減速機部Bに貯溜された潤滑油を第2歯車64の油溜まり部56に確実に保持することができる。この油溜まり部56に保持された潤滑油は、第2歯車64の回転により発生する遠心力でもって油溜まり部56から油路59を介して歯面58に供給される。このようにして、第2歯車64での潤滑が円滑に行われる。
以上の実施形態では、ホイールハウジング15(図9参照)の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けた車両用モータ駆動装置について説明したが、本発明は、図10に示すオンボードタイプと称する車両用モータ駆動装置72にも適用できる。図10において、図1と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。図10は、図1のインホイールモータ駆動装置21を適用した場合を例示するが、図7のインホイールモータ駆動装置21を適用してもよい。
このオンボードタイプの車両用モータ駆動装置72は、図10に示すように、左右のドライブシャフト73を介して後輪14を駆動する。車両用モータ駆動装置72は、平行軸歯車減速機39を有する減速部Bと、減速部Bを回転駆動するモータ部Aを備えている。この車両用モータ駆動装置72は左右にモータ部Aと減速部Bとをそれぞれ2個ずつ備えている。
2個のモータ部Aは、同軸に背中合わせで隣接して配設されている。減速部Bは、モータ部Aと同軸に配設されている。ドライブシャフト73は、後輪14側の固定式等速自在継手74と、減速機側の摺動式等速自在継手75と、両等速自在継手74,75間を連結する中間シャフト76とを主な構成とする。減速機出力軸37は、摺動式等速自在継手75にスプライン嵌合で連結され、減速部Bの出力を後輪14に伝達する。
この実施形態では、図8および図9に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
33 歯車(第4歯車)
39 平行軸歯車減速機
56 油溜まり部
58 歯面
59 油路
60 導油板
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部

Claims (3)

  1. モータ部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、前記減速機部に貯溜された潤滑油による油浴状態で、前記平行軸歯車減速機の歯車の回転による跳ね掛けでもって各歯車を潤滑する車両用モータ駆動装置であって、
    前記平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、その側面に凹設された油溜まり部を有し、前記油溜まり部と歯面との間で連通する油路を径方向に形成したことを特徴とする車両用モータ駆動装置。
  2. 前記平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、前記減速機部に貯溜された潤滑油から離隔した部位に配置され、歯車の回転による跳ね掛けでもって飛散した潤滑油を油溜まり部に導き入れる導油板を、前記歯車の側方に配設した請求項1に記載の車両用モータ駆動装置。
  3. 前記平行軸歯車減速機を構成する少なくとも一つの歯車は、前記油溜まり部の一部が前記減速機部に貯溜された潤滑油に浸漬するように配置されている請求項1に記載の車両用モータ駆動装置。
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