JP2017057712A - ショベルの状態表示装置 - Google Patents

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JP2017057712A JP2016215825A JP2016215825A JP2017057712A JP 2017057712 A JP2017057712 A JP 2017057712A JP 2016215825 A JP2016215825 A JP 2016215825A JP 2016215825 A JP2016215825 A JP 2016215825A JP 2017057712 A JP2017057712 A JP 2017057712A
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方土 古賀
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Abstract

【課題】複数のショベルの分布、及び異常が発生していると推定されるショベルの現在位置を容易に認識することができるショベルの状態表示装置を提供する。【解決手段】ショベルの状態表示装置に表示装置が備えられている。この表示装置は、複数のショベルの各々の機体識別情報、及びショベルの各々の現在位置を受信し、複数のショベルの少なくとも1つのショベルの現在位置を包含する地図を表示し、表示された地図上のショベルの現在位置に対応する箇所に、異常の有無の判定結果に基づく異常の重要度が識別可能な態様で識別符号を表示する。【選択図】図16

Description

本発明は、ショベルの状態表示装置に関する。
ショベル等の作業機械は、様々な建設現場、土木現場等で使用されおり、故障が発生した際には、迅速な故障修理が求められる。作業機械の状態に応じて変動する種々のパラメータに基づいて、異常を検出する評価システムが開発されている(特許文献1、2)。例えば、エンジン回転数、作動油圧等の複数のパラメータに基づいて異常が検出される。一例として、作業機械から収集される各種パラメータの時間積分値等が利用される。時間積分を行うことにより、ノイズの影響を排除することができる。
ショベルの管理及びサービスを行う管理部門、燃料及び作動油を供給する燃料供給部門、油圧ショベルを賃貸するレンタル業者、土工量をチェックし工事の進捗状況を管理する工事現場監督部門等に、ショベルに関する情報を配信する装置情報配信システムが、特許文献3に開示されている。特許文献3に開示された装置情報配信システムにおいては、ショベルに関する情報が、稼働時間の管理に関する情報、稼働場所の管理に関する情報、定期メンテナンスサービスに関する情報、盗難防止に関する情報、消耗品交換サービスに関する情報等に分類されている。
部門ごとに、ショベルに関する情報を表示するモニタディスプレイが設置されている。各部門のモニタディスプレイに、当該部門に有益な情報が表示される。
特開2006−53818号公報 特開2007−257366号公報 特開2002−203066号公報
本発明の目的は、複数のショベルの分布、及び異常が発生していると推定されるショベルの現在位置を容易に認識することができるショベルの状態表示装置を提供することである。
本発明の一観点によると、
表示装置を備えるショベルの状態表示装置であって、
前記表示装置は、
複数のショベルの各々の機体識別情報、及び前記ショベルの各々の現在位置を受信し、
前記複数のショベルの少なくとも1つのショベルの現在位置を包含する地図を表示し、表示された地図上の前記ショベルの現在位置に対応する箇所に、異常の有無の判定結果に基づく異常の重要度が識別可能な態様で識別符号を表示するショベルの状態表示装置が提供される。
ショベルの状態表示装置に表示された情報により、複数のショベルの分布、及び異常が発生していると推定されるショベルの現在位置を容易に認識することができる。
図1は、実施例によるショベルの異常判定方法で用いられる管理装置、判定対象のショベル、及びショベルの状態表示装置のブロック図である。 図2は、実施例による異常判定方法の準備段階のフローチャートである。 図3は、ショベルの既定動作を説明するためのブーム上げ指令パイロット圧、ブーム下げ指令パイロット圧、及びエンジン回転数の時間変化の一例を示すグラフである。 図4Aは、参照波形の一例を示すグラフであり、図4B及び図4Cは、評価対象ショベルから取得された評価波形の一例を示すグラフである。 図5は、参照波形の一例を示すグラフである。 図6Aは、参照波形の特徴量及び代表値の一例を示す図表であり、図6Bは、評価波形の特徴量の一例を示す図表である。 図7は、実施例による異常判定方法のフローチャートである。 図8は、図7に示したステップSB2の詳細なフローチャートである。 図9は、評価波形のマハラノビス距離MDの定義式を示す図である。 図10は、他の実施例による異常判定方法のステップSB2のフローチャートである。 図11は、規格化された複数の参照ベクトル、及び規格化した評価ベクトルの一例を示すグラフである。 図12は、規格化した異常時ベクトル、及び規格化した評価ベクトルの一例を示すグラフである。 図13は、規格化した異常時ベクトル、及び規格化した評価ベクトルの、図12とは異なる例を示すグラフである。 図14は、異常判定結果情報の一例を示す図表である。 図15は、ショベルの状態表示装置の処理装置が実行する処理のフローチャートである。 図16は、ショベルの状態表示装置の表示装置に表示された画像の一例を示す図である。 図17Aは、ショベルの状態表示装置の表示装置に表示された画像の他の例を示す図であり、図17Bは、ショベルのアイコンがタップされた後に表示された画像の一例を示す図である。 図18は、図17Aの状態よりも地図の縮尺を小さくした場合に、表示装置に表示される画像を示す図である。 図19は、表示装置に表示された画像の一例を示す図である。 図20は、表示装置に表示された画像の一例を示す図である。 図21は、因果関係情報を作成する処理のフローチャートである。 図22は、ステップSD1(図21)で取得された運転変数の測定値、及び異常種別の一例を示す図表である。 図23は、運転時間Aのヒストグラムである。 図24は、離散化処理後の運転変数及び異常種別の一覧を示す図表である。 図25は、異常推定モデルの事前確率及び条件付き確率の一例を示す図表である。 図26は、因果関係情報を用いて異常判定を行う方法のフローチャートである。 図27は、算出された事後確率の一例を示す図表である。 図28は、さらに他の実施例によるショベル及びショベル管理装置のブロック図である。
図1に、実施例によるショベルの異常判定方法で用いられる管理装置45、判定対象のショベル30、及びショベルの状態表示装置50のブロック図を示す。
ショベル30に、車両コントローラ31、通信装置32、GPS(全地球測位システム)受信器33、表示装置34、及びセンサ35が備えられている。センサ35は、ショベルの種々の運転変数を測定する。センサ35の測定値が車両コントローラ31に入力される。運転変数には、例えば、運転時間、油圧ポンプ圧力、冷却水温度、油圧負荷、稼働時間等が含まれる。車両コントローラ31は、ショベルの機体識別情報、種々の運転変数の測定値、及びGPS受信器33で算出された現在位置情報を、通信装置32から、通信回線40を介して管理装置45に送信する。さらに、車両コントローラ31は、ショベルに関する種々の情報を表示装置34に表示する。
管理装置45は、通信装置46、処理装置47、記憶装置48、及び表示装置49を含む。ショベル30から通信回線40を経由して送信された種々の情報が、通信装置46を介して処理装置47に入力される。記憶装置48に、処理装置47が実行するプログラム、種々の管理情報が記憶されている。処理装置47は、ショベル30から受信した機体識別情報、種々の運転変数の測定値、現在位置情報、及び記憶装置48に記憶されている管理情報に基づいて、ショベル30の異常判定を行う。異常判定処理において、記憶装置48に記憶されている参照波形等が利用される。異常判定結果が、表示装置49に出力される。さらに、処理装置47は、機体識別情報、現在位置情報、及び異常判定結果情報を、通信装置46から通信回線40を経由して、ショベルの状態表示装置50に送信する。
ショベルの状態表示装置50は、送受信回路51、処理装置52、記憶装置53、表示装置54、及び入力装置55を含む。ショベルの状態表示装置50には、例えばタッチパネル式のタブレット端末が用いられる。この場合には、表示装置54が入力装置55としても機能する。
図2に、実施例による異常判定方法の準備段階のフローチャートを示す。準備段階では、異常判定方法で用いられる参照波形の収集、及び参照波形に付随する種々の数値が算出される。
ステップSA1において、正常な状態のショベル30(図1)の既定動作中に、ショベル30で測定された着目物理量を取得する。具体的には、ショベル30(図1)で検出された着目物理量の検出値が、通信回線40を経由して管理装置45に送信される。既定動作は、ショベルの運転中の種々の動作から選択された一つの動作を意味する。
図3を参照して、既定動作について説明する。図3は、ブーム上げ指令パイロット圧、ブーム下げ指令パイロット圧、及びエンジン回転数の時間変化の一例を示す。時刻t1において、運転キーがオンにされると、エンジンが回転し始める。このときのエンジン回転数は、例えば約1000rpmである。時刻t2において、オペレータがエンジン回転数を1200rpmに設定すると、エンジン回転数が約1200rpmまで上昇する。
時刻t3において、オペレータがブーム上げの操作を行うと、ブーム上げ指令パイロット圧が発生する。時刻t4において操作が停止されると、ブーム上げ指令パイロット圧が初期値に戻る。このとき、エンジン回転数は、例えば1200rpmに維持される。時刻t5において、オペレータがブーム下げの操作を行うと、ブーム下げ指令パイロット圧が発生する。時刻t6において操作が停止されると、ブーム下げ指令パイロット圧が初期値に戻る。時刻t4とt5との間に、エンジン回転数が約1800rpmまで上昇する。エンジン回転数は、ショベルの運転状況に応じて自動調整される。
時刻t1からt2までのアイドリング動作、時刻t3からt4までのブーム上げ動作、及び時刻t5からt6までのブーム下げ動作のうち1つの動作が既定動作として選択される。なお、その他に、油圧リリーフ動作、旋回動作、前進動作、後退動作等を既定動作として選択してもよい。
着目物理量として、例えばエンジン回転数が採用される。その他に、ショベルの動作に応じて変動する他の物理量に着目してもよい。例えば、着目物理量として、油圧ポンプ圧力、ショベルの前進、後退、旋回等を制御する作動圧、ブーム等を制御するための油圧シリンダの作動圧を採用してもよい。
ステップSA2(図2)において、着目物理量の時間変化である参照波形を取得する。着目物理量としてエンジン回転数を採用し、既定動作としてアイドリング動作を選択した場合、アイドリング動作中の期間Ta(図3)におけるエンジン回転数の時間変化を、参照波形として取得する。既定動作としてブーム上げ動作、またはブーム下げ動作を選択した場合には、それぞれブーム上げ動作中の期間Tb(図3)またはブーム下げ動作中の期間Tc(図3)におけるエンジン回転数の時間変化を、参照波形として取得する。参照波形を取得する期間の長さは、例えば10秒程度とする。図4Aに、参照波形の一例を示す。
ステップSA3(図2)において、1つの参照波形に対して、複数の特徴量を算出する。「特徴量」とは、波形の形状を特徴付ける種々の統計量を意味する。上記実施例では、特徴量として、平均値(以下、特徴量Aという。)、標準偏差(以下、特徴量Bという。)、最大波高値(以下、特徴量Cという。)、ピークの数(以下、特徴量Dという。)、信号非存在時間の最大値(以下、特徴量Eという。)を算出する。
図5を参照して、ピークの数(特徴量D)及び信号非存在時間の最大値(特徴量E)について説明する。図5に、参照波形の一例を示す。「ピークの数」は、波形が閾値Pth0を横切る箇所の数と定義される。図5に示した期間においては、交差箇所H1〜H4で、波形が閾値Pth0を横切っている。このため、ピークの数は4と算出される。
波形が閾値Pth1よりも低い区間を信号非存在区間と定義する。図5に示した例では、信号非存在区間T1〜T4が現れている。「信号非存在時間の最大値」は、複数の信号非存在区間の時間幅のうち最大の時間幅を意味する。図5に示した例では、信号非存在区間T3の時間幅が、信号非存在時間の最大値として採用される。一般的に、波形に周期の長いうねりがあると、信号非存在時間の最大値が大きくなる。
図4B及び図4Cに、異常が発生しているときの着目物理量(エンジン回転数)の波形の一例を示す。図4Bに示した波形の標準偏差は、図4Aに示した参照波形の標準偏差より大きい。図4Cに示した波形の信号非存在時間の最大値は、図4Aに示した参照波形の信号非存在時間の最大値よりも大きい。
上記ステップSA1からステップSA3(図2)までを、十分な数の参照波形が取得されるまで繰り返す。
十分な数の参照波形が取得されると、ステップSA4(図2)において、参照波形の各々について算出された複数の特徴量について、それらの代表値及び標準偏差を算出する。「代表値」として、例えば平均値、中央値等が採用される。ステップSA5において、参照波形、特徴量、代表値、及び標準偏差を、記憶装置48(図1)に格納する。
図6Aに、複数の参照波形WF(i)の各々の特徴量A〜特徴量E、及び特徴量ごとの代表値と標準偏差の一例を示す。ここで、パラメータiは自然数である。参照波形WF(i)の特徴量A〜特徴量Eを、それぞれa(i)〜e(i)で表す。特徴量A〜特徴量Eの代表値(例えば、平均値)が、それぞれXa〜Xeで表されている。特徴量A〜特徴量Eの標準偏差が、それぞれσa〜σeで表されている。
図7に、実施例による異常判定方法のフローチャートを示す。ステップSB1において、評価対象ショベルで既定動作を行っている期間に、評価対象ショベルから着目物理量の検出値の時間変化を取得する。評価対象ショベルから取得された着目物理量の検出値の時間変化を、評価波形ということとする。ここで、既定動作、及び着目物理量は、参照波形を取得したときの既定動作、及び着目物理量と同一である。なお、評価波形を取得するときの既定動作と、参照波形を取得するときの既定動作とは、完全に同一の動作であることまでは必要とされない。例えば、既定動作がブーム上げ動作である場合、ブーム上げ速度及びブームの移動角度等が相違していても、この2つの動作は同一の既定動作であるということができる。動作中の種々のパラメータが完全に同一であることまでは必要としないという意味で、評価波形を取得するときの既定動作と、参照波形を取得するときの既定動作とは、相互に類似した動作であるということもできる。また、評価対象ショベルは、参照波形を取得する対象となったショベルと同一型式のものである。
ステップSB2において、記憶装置48(図1)に記憶されている参照波形と、ステップSB1で取得された評価波形とに基づいて、評価対象ショベルの異常の有無を判定する。異常の有無の判定方法については、後に図8を参照して説明する。ステップSB3において、判定結果を表示装置49(図1)に出力する。
図8に、図7に示したステップSB2のフローチャートを示す。ステップSB21において、評価波形の複数の特徴量を算出する。図6Bに示すように、評価波形の特徴量A〜特徴量Eの算出された値を、それぞれao〜eoと表す。
ステップSB22において、複数の特徴量A〜特徴量Eを変数として持つ参照波形を単位空間として、評価波形のマハラノビス距離を算出する。
図9に、評価波形のマハラノビス距離MDの定義式を示す。この定義式において、ao〜eo(図6B)は、それぞれ評価波形の特徴量A〜特徴量Eの値であり、Xa〜Xeは、それぞれ複数の参照波形の特徴量A〜特徴量Eの代表値(例えば、平均値)(図6A)であり、σa〜σeは、それぞれ複数の参照波形の特徴量A〜特徴量Eの標準偏差(図6A)である。r(A,A)〜r(E,E)を要素として含む行列は、参照波形の特徴量A〜特徴量Eの相関行列である。
ステップSB23(図8)において、評価波形のマハラノビス距離と判定閾値とを比較する。判定閾値は、予め記憶装置48(図1)に記憶されている。ステップSB24において、マハラノビス距離と判定閾値との比較結果基づいて、評価対象ショベルの異常の有無を判定する。例えば、マハラノビス距離MDが判定閾値以上であると、評価対象ショベルが異常であると判定し、その他の場合には、正常と判定する。評価対象ショベルが異常であると判定されると、ステップSB25において異常種別の候補を特定した後、ステップSB3(図7)を実行する。評価対象ショベルが正常であると判定されると、ステップSB25を実行することなく、ステップSB3(図7)を実行する。
以下、ステップSB25における異常種別の候補の特定方法の一例について説明する。まず、ショベルが種々の異常の状態における着目物理量の波形、及びその波形の特徴量を、異常種別と関連付けてデータベース化しておく。これらの特徴量を因子として主成分分析を行う。同一の異常状態の波形は、主成分座標系において特定の領域(以下、既知異常集中領域という。)に集中する傾向が見られるであろう。
主成分座標系における評価波形の特徴量の位置が、ある既知異常集中領域に含まれる場合、評価対象ショベルに、当該既知異常が発生していると推定することができる。
例えば、図4Bに示した波形は、その標準偏差が大きいことが一つの要因となって、マハラノビス距離が大きくなる。また、図4Cに示した波形は、信号非存在時間の最大値が大きいことが一つの要因となって、マハラノビス距離が大きくなる。このため、図4B、図4Cに示した波形が取得された評価対象ショベルは、異常であると判定される。
これに対し、図4B、図4Cに示した波形の積分値または平均値は、図4Aに示した波形の積分値または平均値とほぼ等しい。従って、波形の積分値や平均値に基づいて異常の有無の判定を行う場合には、図4B、図4Cの波形が取得された評価対象ショベルを、正常と判定してしまう場合がある。実施例による異常判定方法では、図4B、図4Cに示した波形が取得された評価対象ショベルを、異常と判定することができる。
次に、図10〜図12を参照して、他の実施例による異常判定方法について説明する。以下、図1〜図9に示した実施例との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。図10〜図12に示した実施例による異常判定方法は、図7に示した実施例による異常判定方法のステップSB2を、図10に示したフローチャートに変更したものである。
図10に、本実施例による異常判定方法のステップSB2のフローチャートを示す。ステップSB21において、評価波形の特徴量を算出する。この工程は、図8に示した実施例のステップSB21と同一である。ステップSB221において、参照波形の各々の複数の特徴量を要素とする参照ベクトルを、特徴量のそれぞれについて平均が0になり、標準偏差が1になるように規格化する。規格化された複数の参照ベクトル(規格化参照ベクトル)の平均ベクトルはゼロベクトルになる。図6Aに示した例において、参照波形WF(i)の規格化した特徴量Aは、(a(i)−Xa)/σaで表される。
図11に、複数の規格化参照ベクトルの一例を示す。図11では、規格化参照ベクトルを、特徴量A及び特徴量Bの2つの要素を持つ2次元ベクトルとして表している。規格化参照ベクトルの先端を中空の丸記号で示す。規格化参照ベクトルの平均ベクトルがゼロベクトルであり、各特徴量の標準偏差が1であるたるため、規格化参照ベクトルは、原点の近傍の円形の領域70内に分布する。領域70を、「参照領域」ということとする。
ステップSB222(図10)において、評価波形の特徴量を要素とする評価ベクトルを、参照波形WF(i)の特徴量の平均値及び標準偏差を用いて規格化し、規格化評価ベクトルを生成する。この規格化評価ベクトルと、規格化参照ベクトルの平均ベクトル(すなわち、ゼロベクトル)とを対比する。図11に、規格化評価ベクトル71の一例を示す。図11に示した例では、規格化評価ベクトル71が、参照領域70から大きく外れている。
ステップSB223において、規格化参照ベクトルの平均ベクトル(ゼロベクトル)と、規格化評価ベクトル71(図11)との対比結果に基づいて、評価対象ショベルの異常の有無を判定する。一例として、規格化評価ベクトル71(図11)が、参照領域70(図11)の内側に位置する場合には、評価対象ショベルは正常であると判定し、外側に位置する場合には、評価対象ショベルは異常であると判定する。平均ベクトルと規格化評価ベクトル71との類似度(ユークリッド距離、マンハッタン距離等)に基づいて、評価対象ショベルの異常の有無を判定してもよい。
ステップSB223で異常と判定された場合には、ステップSB224において、異常種別の候補を特定する。その後、ステップSB3(図7)において、判定結果を出力する。ステップSB223で正常と判定された場合には、異常種別の候補を特定することなく、ステップSB3(図7)において、判定結果を出力する。
図12を参照して、ステップSB224(図10)において異常種別の候補を特定する方法の一例について説明する。
予め、異常種別が判明しているショベルから取得された着目物理量の時間変化に基づいて、特徴量を算出し、異常時ベクトルを取得しておく。異常種別が同一の複数の異常時ベクトルは、特定の領域に密集する傾向がある。
図12に、規格化異常時ベクトル、及び規格化評価ベクトルの一例を示す。ある異常種別Xの異常が発生しているショベルから取得された規格化異常時ベクトルは、特定の領域(X異常領域)80に密集し、他の異常種別Yの異常が発生しているショベルから取得された規格化異常時ベクトルは、他の特定の領域(Y異常領域)82に密集している。X異常領域80に密集する規格化異常時ベクトルのベクトル平均を求め、X異常時平均ベクトル81を決定する。同様に、Y異常領域82に密集する規格化異常時ベクトルのベクトル平均を求め、Y異常時平均ベクトル83を決定する。
X異常時平均ベクトル81及びY異常時平均ベクトル83は、予め求められており、記憶装置48(図1)に記憶されている。異常種別X及び異常種別Yのいずれとも異なる種々の異常種別に対応する異常時の平均ベクトルも、予め求められており、記憶装置48(図1)に記憶されている。
規格化評価ベクトル84、85と、種々の異常時平均ベクトルとを比較する。規格化評価ベクトルと異常時平均ベクトルとの差が小さい場合、当該異常時平均ベクトルに対応する異常が発生していると推定される。図12に示した例では、規格化評価ベクトル85とX異常時平均ベクトル81との差が小さい。このため、規格化評価ベクトル85が取得された評価対象ショベルには、異常種別Xの異常が発生していると推定される。
規格化評価ベクトル84は、いずれの異常時平均ベクトルからも離れている。規格化評価ベクトル84が取得された評価対象ショベルには、未知の異常が発生していると推定される。また、規格化評価ベクトル84、85の長さに基づいて、異常判定結果の重要度が判断される。規格化評価ベクトル84、85が長くなるほど、該当の異常の重要度が高くなる。
図10〜図12に示した実施例においても、図1〜図9に示した実施例と同様に、着目物理量の短時間の時間変化の異常を検出することができる。
次に、図13を参照して、さらに他の実施例による異常判定方法について説明する。以下、図10〜図12に示した実施例との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。図13に示した実施例と、図10〜図12に示した実施例とでは、ステップSB224(図10)における異常種別の候補を特定する処理が異なり、その他の処理は同一である。
図12に示した実施例では、X異常領域80、及びY異常領域82の外形が、ほぼ円形であった。実際には、図13に示したように、X異常領域80、Z異常領域90等が、原点を通過する直線に沿った長い外形を有する場合がある。このような場合に、2つの規格化評価ベクトル86、87の異常種別の候補を特定する例について説明する。
図13に示した実施例においては、X異常時平均ベクトル81、及びZ異常時平均ベクトル88の長さを1としたX異常時単位ベクトル81u及びZ異常時単位ベクトル88uが、記憶装置48(図1)に格納されている。同様に、他の異常種別についても、異常時平均ベクトルの長さを1とした異常時単位ベクトルが、記憶装置48に格納されている。これらの異常時単位ベクトルと、規格化評価ベクトル86、87とを比較することにより、異常種別の候補が特定される。
具体的には、X異常時単位ベクトル81uと、規格化評価ベクトル86、87との成す角度を求める。この角度が判定閾値より小さい場合、評価対象のショベルに発生している異常の候補として異常種別Xが挙げられる。図13に示した例では、規格化評価ベクトル86とX異常時単位ベクトル81uとのなす角度が、判定閾値より小さい。このため、規格化評価ベクトル86に対応する評価波形が取得されたショベルに異常種別Xの異常が発生していると推定される。これに対し、他方の規格化評価ベクトル87とX異常時単位ベクトル81uとのなす角度は、判定閾値より大きい。このため、規格化評価ベクトル87に対応する評価波形が取得されたショベルには、異常種別X以外の異常が発生していると推定される。
次に、図13に示した実施例を採用することの効果について説明する。一例として、X異常領域80及びZ異常領域90に、それぞれ異常種別Xの規格化異常ベクトル及び異常種別Zの規格化異常ベクトルが分布している。X異常時平均ベクトル81と規格化評価ベクトル86との差分ベクトルの長さD1と、X異常時平均ベクトル81と他方の規格化評価ベクトル87との差分ベクトルの長さD2とが、ほぼ等しい。規格化評価ベクトル87とZ異常時平均ベクトル88との差分ベクトルの長さD3は、長さD1より長い。規格化評価ベクトル87とZ異常時平均ベクトル88とのなす角度は、判定閾値より小さい。
評価対象である規格化評価ベクトルと、種々の異常時平均ベクトルとの差分ベクトルの長さのみに基づいて異常種別の候補を特定する方法では、規格化評価ベクトル87の異常種別の候補として、異常種別Xが抽出される。種々の異常データを解析したところ、規格化評価ベクトル87は、異常種別Xとはほぼ無関係であり、異常種別Zが発生する予兆を示している場合が多いことがわかった。
図13に示した実施例では、規格化評価ベクトル87と、種々の異常時単位ベクトルとのなす角度に基づいて、異常種別の候補が抽出される。図13に示した例では、規格化評価ベクトル87とX異常時単位ベクトル81uとのなす角度より、規格化評価ベクトル87とZ異常時単位ベクトル88uとのなす角度の方が小さい。このため、規格化評価ベクトル87の異常種別として、異常種別Zが抽出される。このように、図13に示した実施例では、異常種別の候補の抽出精度を高めることができる。
異常種別の候補を抽出した後、Z異常時平均ベクトル88の長さに対する規格化評価ベクトル87の長さの比に基づいて、異常の程度を推定することが可能である。両者の比が小さい場合には、異常の程度が低く、両者の比が大きい場合には、異常の程度が高いと推定することができる。さらに、異常の程度を推定する際に、異常時単位ベクトル81u、88uを用いてもよい。
次に、図14〜図20を参照して、ショベルの状態表示装置50(図1)の処理に関する実施例について説明する。この実施例では、図2〜図13を参照して説明した実施例で算出される異常の程度(重要度)に関する情報が、ショベルの状態表示装置50に表示される。
図14に、異常判定結果情報の一例を示す。異常判定結果情報は、異常種別、件名、異常部位、異常部品、対策、及び異常の重要度を含む。異常種別は、対象のショベル30に発生していると推定される異常を特定する識別符号である。異常の重要度は、例えば「重度」、「中度」、「軽度」、及び「正常」の4段階で表される。一例として、エンジン停止につながる異常が「重度」に分類され、エンジンの著しい性能低下につながる異常が「中度」に分類され、バックアップ機能により稼働を継続することが可能な異常が「軽度」に分類される。異常が発生していない状態が「正常」に分類される。「重度」の異常には、例えばエンジンコントローラ異常等が含まれる。「中度」の異常には、燃料漏れ、燃料詰まり、エンジンハーネス断線等が含まれる。「軽度」の異常には、温度センサ異常、ブースト圧センサ異常等が含まれる。
図15に、ショベルの状態表示装置50(図01)の処理装置52が実行する処理のフローチャートを示す。ショベルの状態表示プログラムが起動されると、ステップSC1において、処理装置52は、管理装置45(図01)から、送受信回路51を介して、管理対象である複数のショベル30の各々の機体識別情報、ショベル30の各々の現在位置情報、及びショベル30の各々の異常判定結果情報(図14)を受信する。
ステップSC2において、処理装置52(図01)は、管理装置45(図01)から受信した複数のショベル30の現在位置情報に基づいて、表示装置54(図01)に表示すべき地図の範囲を決定する。例えば、表示される地図が、管理対象のすべてのショベル30の現在位置を包含するように、地図の縮尺を決定する。なお、管理対象の少なくとも1つのショベル30の現在位置を包含するように、表示すべき地図の範囲を決定してもよい。
ステップSC3において、ショベルの状態表示装置50の表示装置54(図01)に、ステップSC2で決定された範囲の地図を表示する。さらに、表示された地図上の、管理対象のショベル30の現在位置に対応する箇所に、ショベルのアイコンを表示する。ショベルのアイコンは、異常判定結果情報に基づく異常判定結果の重要度が識別可能な態様で表示される。
図16に、ショベルの状態表示装置50(図01)の表示装置54に表示された画像の一例を示す。表示画面に、地図表示領域60、アイコン説明領域61、及びショベル情報表示領域62が確保されている。地図表示領域60に、地図が表示され、ショベルの現在位置に対応する箇所にショベルのアイコン63が表示される。ショベルのアイコン63は、ショベルの外形に対応した平面形状を有し、ショベルに発生していると推定される異常の重要度に応じて色分けされて表示される。例えば、重要度が「重度」、「中度」、「軽度」、及び「正常」のショベルのアイコン63は、それぞれ赤色、桃色、黄色、及び青色に色分けされる。アイコン説明領域61に、ショベルのアイコンの色と、重要度との対応関係が表示される。
異常判定結果の重要度を識別可能にするために、ショベルのアイコンを、色分け以外の態様で表示してもよい。例えば、アイコンを構成する線の太さを異ならせてもよいし、アイコンの大きさを異ならせてもよい。または、異常判定結果が「重度」のショベルのアイコンを点滅させてもよい。
ショベル情報表示領域62に、ショベルの情報が表形式で表示される。例えば、ショベルの情報は、ショベルの型式、機体番号、所在地、アワメータの値、及び異常の重要度が含まれる。さらに、ショベルの機体番号ごとに、詳細情報にリンクするためのボタンが表示される。このボタンがタップ等により選択されると、選択されたボタンに対応する機体番号のショベルの詳細情報が表示される。詳細情報には、図14に示した異常種別、件名、異常部位、異常部品、及び対策に関する情報が含まれる。
保守管理要員は、ショベルの状態表示装置50(図01)に表示された情報により、管理対象のショベルの分布、及び異常が発生していると推定されるショベルの現在位置を容易に認識することができる。
図17Aに、地図表示領域60に表示された画像の他の例を示す。図17Aに示した例では、1つのショベルのアイコン63Aに、吹き出し64が付与されている。吹き出し64内に示された数値は、1つのショベルのアイコン63Aが表示された箇所に存在するショベルの台数を表している。図17Aは、ショベルのアイコン63Aが表示されている地図上の場所に、3台のショベルが存在することを意味している。
地図上の、ある狭い区画内に複数のショベルが存在する場合、すべてのショベルのアイコンを表示すると、アイコンが重なってショベルの台数や、重要度を認識することが困難になる。図17Aに示した例では、狭い区画内に存在する複数のショベルのうち、異常の重要度が最も高いショベルのアイコンが表示され、他のショベルのアイコンの表示が省略されている。他のショベルのアイコンが表示されなくても、異常の重要度が最も高いショベルのアイコンが表示されるため、保守管理要員に対する注意を喚起することが可能である。また、吹き出し64で示された数字により、ショベルの台数を容易に把握することができる。
吹き出し64が付されているショベルのアイコン63Aがタップされると、ショベルのアイコン63Aが表示されている場所を中心として、地図が拡大表示される。
図17Bに、ショベルのアイコン63A(図17A)がタップされた後に、地図表示領域60に表示された画像を示す。図17Aの状態では表示されていなかった2台のショベルのアイコン63B、63Cが表示される。このように、図17Aの状態では表示されていなかったショベルのアイコンを、容易に表示させることができる。これにより、保守管理要員は、すべてのショベルの現在位置及び異常の重要度を認識することができる。
図17Aでは、異常判定結果の重要度の最も高いショベル以外のアイコンの表示を省略したことにより、異常判定結果の重要度の最も高いショベルを、他のショベルに対して容易に識別することが可能である。異常判定結果の重要度の最も高いショベルを、他のショベルに対して容易に識別可能な他の態様でアイコンを表示してもよい。例えば、重要度の低いショベルのアイコンが相対的に下層に配置され、重要度の高いショベルのアイコンが相対的に上層に配置されるように、複数のアイコンを重ねて表示してもよい。
図18に、図17Aの状態よりも地図の縮尺を小さくした場合に、地図表示領域60に表示される画像を示す。地図の縮尺が小さくなると、表示画面上において同一の範囲内に存在するショベルの台数が増加する。図17Aに示したショベルのアイコン63Aと、それに最も近い位置のアイコンとが、小縮尺の地図において、アイコンをまとめて表示すべき同一の区画内に存在することになる。この場合、図18に示した例では、ショベルのアイコン63Aに付された吹き出し64内の数値が、「3」から「4」に増加している。同様に、地図内の他の場所においても、図17Aでは個別に表示されていたショベルの複数のアイコンが、図18では、1つのアイコンで代表され、他のアイコンの表示が省略される場合がある。この場合には、代表されたアイコンに、ショベルの台数を示す吹き出しが表示される。このように、表示する地図の縮尺に応じて、地図上の基準面積の区画内に表示されるショベルのアイコンの個数が調整される。
図19に示すように、地図表示領域60内に、ショベルの保守を担当するサービスカーの現在位置を表示するようにしてもよい。管理装置45(図01)が、サービスカーから現在位置情報を受信する。この現在位置情報が、ショベルの状態表示装置50(図01)に送信される。ショベルの状態表示装置50が、サービスカーの現在位置情報を受信すると、地図表示領域60に表示された地図上の、サービスカーの現在位置に対応する箇所に、サービスカーのアイコン65を表示する。同一の地図には、ショベルのアイコン63A〜63Cも表示されている。これにより、サービスカーに乗っている保守管理要員は、自分の現在位置と、管理対象のショベルの位置との位置関係を容易に把握することができる。このように、広範囲に分散している管理対象の複数のショベルの現在の所在地、及びショベルの状態を、容易に把握することができる。
図20に示すように、サービスカーの現在位置から、特定のショベルの現在位置までの経路66を表示するようにしてもよい。保守管理要員は、目的とするショベルのアイコン63Aをタップする。処理装置52は、ショベルのアイコン63Aがタップされたことを検出すると、サービスカーから、タップされたアイコン63Aで示されるショベルの現在位置までの経路66を求め、地図上に表示する。これにより、保守管理要員は、容易に、目的とするショベルまで移動することができる。
上記実施例では、管理装置45(図1)がショベルの異常判定を行う機能を持ち、ショベルの状態表示装置50が、ショベルに発生している異常の重要度を表示する機能を持つ。他の例として、ショベルの異常判定を行う機能をショベルの状態表示装置50に持たせてもよい。言い換えると、管理装置45に、ショベルの状態表示装置50の機能を持たせ、この管理装置45をタブレット端末等で実現してもよい。
この場合、管理装置45は不要であり、ショベルの状態表示装置50とショベル30との間で、直接通信が行われる。ショベルの状態表示装置50の記憶装置53に、処理装置52が実行するプログラム、種々の管理情報が記憶されている。処理装置52は、ショベル30から受信した機体識別情報、種々の運転変数の測定値、現在位置情報、及び記憶装置53に記憶されている管理情報に基づいて、ショベル30の異常判定を行う。
図21〜図27を参照して、さらに他の実施例によるショベルの異常判定方法について説明する。ショベルの異常判定は、異常判定を行うための因果関係情報を作成する処理と、因果関係情報を用いて異常判定を行う処理とで構成される。
図21に、異常判定を行うための因果関係情報を作成する処理のフローチャートを示す。ステップSD1において、管理装置45(図01)が、管理対象の複数のショベル30(図01)から運転変数の測定値、及びその測定値が収集された期間に発生した異常種別を取得する。
図22に、ステップSD1で取得された運転変数の測定値、及び異常種別の一例を示す。運転変数の測定値及び異常種別の取得は、ショベルの機体番号(機体識別情報)ごとに、かつ一定の収集期間ごとに行われる。収集期間は、例えば1日(24時間)に設定される。1つの機体から、1つの収集期間内に収集された情報群が、1つの評価対象を構成する。
図22では、一例として、評価対象No.1の情報は、2011年7月1日の機体番号aのショベルから取得されたものであり、運転時間Aが24、ポンプ圧力Bが19、冷却水温度Cが15、油圧負荷Dが11、稼働時間Eが14である。「運転時間」は、ショベルの起動スイッチが押されてから、停止スイッチが押されるまでの時間、すなわちショベルが起動していた時間を意味する。「稼動時間」は、操作者がショベルを操作していた時間を意味する。また、評価対象No.1の異常種別XはX1である。これは、2011年7月1日に、機体番号aのショベルに、異常種別X1の異常が発生したことを意味する。図22に示した異常種別X0は、異常が発生していないことを意味する。
次に、ステップSD2(図21)において、運転変数の離散化処理を行い、各運転変数を有限離散型事象に置き換える。
図23を参照して、運転時間Aを、有限離散型事象に置き換える方法について説明する。なお、他の運転変数についても、同様に有限離散型事象に置き換えることができる。
図23は、運転時間Aのヒストグラムの一例を示す。図23の横軸は、運転時間Aを表し、縦軸は、評価対象の数(頻度)を表す。運転時間Aの平均をμ、標準偏差をσとする。μ−3σからμ+3σまでの範囲を3等分する。すなわち、横軸が、μ−3σ〜μ−σ、μ−σ〜μ+σ、μ+σ〜μ+3σの3つの領域に区分される。運転時間Aがμ−σ以下の区画をA1、μ−σ〜μ+σの区画をA2、μ+σ以上の区画をA3とする。
運転時間Aについて、測定値が区画A1内の値を取る事象、区画A2内の値を取る事象、及び区画A3内の値を取る事象のうち、いずれかの事象が生じる。図24に、離散化処理後の運転変数及び異常種別の一覧を示す。運転時間Aを、その測定値が属する区画A1、A2、A3で表している。同様に、他の運転情報も、有限離散型事象に置き換えられている。
次に、ステップSD3(図21)において、因果関係情報を作成し、記憶装置48(図01)に格納する。
図24に示した有限離散型事象の運転変数A、B、C、・・・と、異常種別Xとを関連付けた一覧表は、異常種別Xを原因事象とし、運転変数を結果事象とする因果関係情報といえる。
図25に、異常推定モデルの事前確率及び条件付き確率の一例を示す。異常種別Xを原因事象とし、各運転変数を、原因によって生じたと想定される結果事象とし、図24に示した因果関係情報から、事前確率P(X)を算出することができる。さらに、運転変数A、B、C、・・・の各々について、異常種別Xの各々が起こるという事象を前提条件とした条件付き確率P(A|X)、P(B|X)、・・・を算出することができる。図25に、算出された事前確率P(X)、及び条件付き確率P(A|X)、P(B|X)の一例を示す。
図26に、因果関係情報を用いて異常判定を行う方法のフローチャートを示す。ステップSE1において、管理装置45(図01)が、管理対象のショベル30から、運転変数の測定値を取得する。ステップSE2において、取得した運転変数の離散化処理を行う。この離散化処理は、図21のステップSD2で行った離散化処理と同一の基準に基づいて行う。図27に、離散化処理後の運転変数の一例を示す。例えば、運転時間Aの離散化値がA2、ポンプ圧力Bの離散化値がB3、冷却水温度Cの離散化値がC1、油圧負荷Dの離散化値がD2、稼働時間Eの離散化値がE2である。
ステップSE3(図26)において、図22に示した因果関係情報から得られた事前確率P(X)、条件付き確率P(A|X)等を用いて、異常種別ごとの事後確率を求める(ベイズ推定を行う)。
一例として、運転時間AがA2であるという事象が発生したという条件で、異常種別X1の異常が発生している事後確率P(X=X1|A=A2)(以下、P(X1|A2)と表記する。)は、以下の式で算出することができる。
同様に、異常種別X2、X3等の異常が発生している事後確率P(X2|A2)、P(X3|A2)、・・・を算出することができる。
さらに、算出された事後確率P(X1|A2)、P(X2|A2)、P(X3|A2)・・・を新たに事前確率として扱い、ポンプ圧力Bの離散化値がB3であるという事象が発生したという条件で、異常種別X1の異常が発生している事後確率P(X1|A2,B3)は、以下の式で算出することができる。なお、運転時間Aとポンプ圧力Bとは独立であると仮定している。
右辺のP(B3|X1,A2)は、図22に示した因果関係情報から求めることができる。同様に、異常種別X2、X3等の異常が発生している事後確率P(X2|A2,B3)、P(X3|A2,B3)、・・・を算出することができる。
さらに、冷却水温度C、油圧負荷D、稼働時間E等の他の運転変数を、新たな結果として加えて、事後確率を算出することにより、算出された事後確率の客観性をより高めることができる。
図27に、算出された事後確率の一例を示す。この例では、評価対象となるショベルにおいて、異常が発生していない確率が50%であり、異常種別X1の異常が発生している確率が5%であり、異常種別X2の異常が発生している確率が20%であると推定される。
なお、上記実施例1では、結果となる事象を順次追加して、新たに事後確率を段階的に算出したが、必ずしも、段階的に事後確率を算出する必要はない。図25に示した事前確率P(X)、及び各運転変数の条件付き確率P(A|X)、P(B|X)等を用い、すべての運転変数を結果事象として考慮して、異常種別の事後確率を算出してもよい。
上述のように、図27に示した運転変数の測定値の離散化値を結果事象として、図22に示した因果関係情報を用いてベイズ推論を行うことにより、原因事象である異常種別の事後確率を算出することができる。
次に、ステップSE4(図26)において、推定される異常種別及びその事後確率を、機体番号と関連付けて、記憶装置48(図01)に記憶する。
図26に示した方法では、異常判定により、複数の異常種別が導き出される場合がある。図27に示した例では、異常種別X1の異常が発生している可能性が5%、異常種別X2の異常が発生している可能性が20%と推定される。このように、複数の異常の可能性が導き出された場合、最も事後確率の高い異常の重要度を、当該ショベルに発生していると推定される異常の重要度として採用すればよい。または、事後確率が、ある基準値、例えば20%以上となる異常の重要度のうち、最も高い異常度を、当該ショベルに発生していると推定される異常の重要度として採用してもよい。
図26に示した異常判定を行う方法に代えて、図1〜図9に示した実施例による方法、図10〜図12に示した実施例による方法、図13に示した実施例による方法等を適用してもよい。
図28に、さらに他の実施例によるショベル及びショベル管理装置のブロック図を示す。図1〜図9に示した実施例、及び図10〜図12に示した実施例では、ステップSA1(図2)において、着目物理量の検出値が、通信回線40を経由してショベル30から管理装置45に送信された。図28に示した実施例では、管理装置45がショベル30に搭載されている。ショベル30に搭載された管理装置45が、図1〜図9に示した実施例または図10〜図12に示した実施例による異常判定方法と同一の方法で、ショベル30の異常の有無を判定する。
判定結果が、ショベル30から、通信回線40を経由して、ショベル管理装置25に送信される。ショベル管理装置25は、ショベル30から受信した判定結果を、ショベル30の個体を識別できる態様で、出力装置26に出力する。
図28に示した実施例では、通信回線40を通して送受される情報は、異常の有無の判定結果のみである。このため、着目物理量の検出値を送受信する図1〜図9に示した実施例、及び図1〜図12に示した実施例に比べて、通信回線40を経由して送受信されるデータ量を削減することができる。
また、図28に示した実施例では、ショベル30に搭載された管理装置45から、ショベルの状態表示装置50(図1)に、種々のデータが送信される。また、ショベル30に搭載された管理装置45に、ショベルの状態表示装置50の機能を持たせてもよい。この場合、評価対象である複数のショベルの各々の機体識別情報、及び評価対象の複数のショベルの各々の現在位置が、1つのショベル30の管理装置45で受信される。ショベル30に搭載された管理装置45は、評価対象の複数のショベルの少なくとも1つの現在位置を包含する地図を表示する。さらに、表示された地図上の、評価対象のショベルの現在位置に対応する箇所に、異常の有無の判定結果に基づく異常の重要度が識別可能な態様で、ショベルのアイコンを表示する。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
25 ショベル管理装置
26 出力装置
30 ショベル
31 車両コントローラ
32 通信装置
33 GPS受信器
34 表示装置
35 センサ
40 通信回線
45 管理装置
46 通信装置
47 処理装置
48 記憶装置
49 表示装置
50 ショベルの状態表示装置
51 送受信回路
52 処理装置
53 記憶装置
54 表示装置
55 入力装置
60 地図表示領域
61 アイコン説明領域
62 ショベル情報表示領域
63、63A〜63C ショベルのアイコン
64 吹き出し
65 サービスカーのアイコン
66 経路
70 参照領域
80 X異常領域
81 X異常時平均ベクトル
81u X異常時単位ベクトル
82 Y異常領域
83 Y異常時平均ベクトル
86、87 規格化評価ベクトル
88 Z異常時平均ベクトル
88u Z異常時単位ベクトル
90 Z異常領域

Claims (8)

  1. 表示装置を備えるショベルの状態表示装置であって、
    前記表示装置は、
    複数のショベルの各々の機体識別情報、及び前記ショベルの各々の現在位置を受信し、
    前記複数のショベルの少なくとも1つのショベルの現在位置を包含する地図を表示し、表示された地図上の前記ショベルの現在位置に対応する箇所に、異常の有無の判定結果に基づく異常の重要度が識別可能な態様で識別符号を表示するショベルの状態表示装置。
  2. 前記表示装置に表示された地図の、ある区画内に複数のショベルが存在する場合には、異常判定結果の重要度の最も高いショベルの識別符号を、他のショベルの識別符号よりも識別が容易な態様で表示する請求項1に記載のショベルの状態表示装置。
  3. 前記表示装置に表示された地図の、ある区画内に複数のショベルの存在を1つの識別符号で示す請求項1又は2に記載のショベルの状態表示装置。
  4. 前記表示装置に表示された地図の、ある区画内に表示される前記1つの識別符号の隣接部に前記区画内に存在するショベルの台数を表示する請求項3に記載のショベルの状態表示装置。
  5. 前記表示装置に表示された地図と合わせて識別符号の説明領域が表示される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のショベルの状態表示装置。
  6. 前記表示装置に表示された地図と合わせて、ショベル情報表示領域に機体情報が表示される請求項1乃至5のいずれか1項に記載のショベルの状態表示装置。
  7. 前記機体情報を選択すると異常に関する詳細情報が表示される請求項6に記載のショベルの状態表示装置。
  8. 前記表示装置に表示する地図の縮尺に応じて、前記表示装置に表示する前記識別符号の数を調整する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のショベルの状態表示装置。
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