以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
車両診断装置は、稼動している車両の機械動作の良好さや、運転者の運転の良否、特徴、また、機械部品の劣化、不具合などを管理する。車両診断装置は、車両の運転状況をモニタした各種の信号データ、もしくは波形を利用して、信号項目の変化の特徴により、信号項目の異常度合いを判定する。そして、車両診断装置は、機械動作良否、運転特徴、部品不具合を診断し、診断結果を出力する。判定のための管理基準情報および診断のための定義情報は、事前に設定される。
車両診断装置は、信号データより、異常度合いを判定して診断するために、判定、診断、また、そのための分析に必要な程度に信号データを信号特徴量に分割する。信号特徴量とは、横軸を時間、縦軸を信号値とし、記号化して時間範囲を分けた直線分である。車両診断装置は、信号特徴量を集計した集計結果、もしくは信号特徴量そのものを判定する。判定結果は、車両状態、信号項目、特徴分割のアルゴリズムである分割方法、集計方法もしくは信号特徴量、判定結果である信号値の大きさの度合いや異常度合いの状態の組として定義される。
診断の定義情報は、条件と結果との関係で構成される診断ルールである。条件には、特徴を判定した判定結果に対する条件が定義される。判定結果および診断結果には、時系列データである信号に対応する時間範囲が含まれる。
自動車等の移動体(以下、車両と呼ぶことがある)では、運転を制御するためのECU(Electronic Control Unit)が用いられる。車両の各種信号は、例えば、ECUによってモニタされる。具体的には、車両には、安全性向上のための各種センサが搭載され、ECUは、それらの出力信号をモニタする。ECUは、車両を動作させるアクチュエータの信号も同様にモニタする。また、ECUは、車両に搭載されたセンサをモニタし、排気ガスといった燃料管理を行う。小型自動車、普通自動車だけでなく、貨物自動車のトラック、乗合自動車のバスにおいても同様の技術が適用される。建設機械、農耕機械といった産業用の特殊車両においても同様である。
ECUは、対象とする機器を制御するための多用な信号を扱う。ECUは、エンジンだけでなく、トランスミッションや各種シャーシ機器、電装品の制御のためにも搭載される。各種のECUは、互いにCAN(Controller Area Network)を介して協調し、車両の動作を制御する。車両には、多種多用な信号データが存在する。
車両には、各種信号を管理、蓄積するデジタルタコメータやドライブレコーダ、またGPS(Global Positioning System)が搭載される。車両は、無線でデータを遠隔地のサーバに送信し、車両のデータは、大きな容量の記憶装置に蓄積されることも実現される。
信号データは、センサデータとも呼ばれる。信号データは、時間の経過に伴って発生する、時系列データであり、機器の動作の判断は、時間に沿ったデータの変動やパターンを見出すことで可能となる。信号データは、機器の稼動情報であり、値とその変動とにより機器の異常や故障を検知できる。
車両診断装置では、車両の多種多様な信号データを活用して、異常検知、異常度合いの判定を行い、不具合の状況や故障だけでなく、交換すべき部品や整備方法を特定するなどの診断を実現する。ECUには、センサやアクチュエータ、ECU自身の異常を検知する自己診断装置が搭載される。ECUは、信号値を監視し、予めマイコンに設定されている閾値との比較結果に応じて異常を検出する。この場合、故障に相当する異常の検知の正しさは、閾値に依存することとなる。
ECUで信号データの異常検知を行う場合、検知された結果は、ECUに搭載されるメモリといった記憶装置に蓄積される。信号データそのものを蓄積するとしても、記憶装置を大容量化するにはスペース(空間的な大きさ)やコストがかかる。ECUの秒、ミリ秒単位の短い時間刻みの信号データを通信するとしても、通信容量や必要な装置、設備に関するコストがかかる。
車両診断装置は、車両の多種多様な信号データを利用して、異常の有無を判定し、不具合や故障の内容を診断する。処理は、自動化され、診断結果は、レポートとして、例えば、運転者や車両保有の会社、整備などを行うサービス会社に送信される。
車両診断装置は、異常の判定、診断のために、信号データを変化の有無の観点で時間区間における特徴量として分割する。特徴量は、信号値の直接の判定により記号化されるか、集計された集計結果で判定される。車両の状態等は、判定結果より診断される。よって、車両診断装置は、複数の信号の時間の抜けが無い連続的な時系列の特徴量から車両を診断する。従って、車両は、この特徴量を記憶装置に蓄積し、また送信すれば診断されることができることを意味する。
つまり、車両診断装置は、信号データを時系列で時間の情報を失うことなく信号特徴量に分割し、信号データをランク判定する。車両診断装置は、信号特徴量の時間範囲での組合せにより車両状態を判定できる。また、信号特徴量とすることで、車両診断装置は、時間範囲における信号特徴量の出現回数などを集計し、また信号特徴量の長さも判定できる。
車両診断装置は、判定結果を車両状態、信号項目、分割方法、特徴、判定結果である状態の組合せとし、判定結果および診断結果より診断結果を導く診断ルールを定義している。車両診断装置は、信号から異常を検知するための、判定のための情報を管理基準情報とし、ドライバの運転の特徴(癖)や、不具合の内容、故障、整備の内容を診断結果として診断ルールにより判定結果と形式的対応に対応付けることで、診断ノウハウ、知識を形式的に表現できる。形式的な知識のデータとして、追加、編集が可能となる。
車両診断装置は、信号特徴量を用いて異常検知、診断を行う。信号特徴量は、変化の有無を構成要素とするデータであり、信号データよりもデータ容量は削減される。信号特徴量の形式ならば、データの記憶容量は小さくて済み、データ送信の負担も小さくなる。よって、車両診断装置によれば、診断の対象が多くなることが見込まれる車両の診断において、車両外部の記憶装置にデータを記憶し、計算機によって診断することが可能となる。
図1は、本発明に係る車両診断装置を用いた車両診断システムの一例を示した図である。図1に示すように、車両診断システムは、車両診断装置(図示せず)を有するデータセンタ1と、車両2,3と、顧客会社4と、サービス会社5と、ネットワークNとを有している。
通常運行している車両2は、無線によりネットワークNを介して、データセンタ1に信号特徴量を送信する。通常運行の車両2に対しては、データセンタ1では、定期的に計算機(車両診断装置)が診断処理を行い、診断レポートを生成する。
異常発生している車両3も同様に、データセンタ1に信号特徴量を送信する。異常発生の車両3に対しては、データセンタ1では、即時に計算機が診断処理を行い、診断レポートを生成する。
なお、車両2,3からの通信は、無線通信としているが、通信方式は、例えば、携帯電話回線などと、限定されるものではなく、本方式を達成できるデータ送信能力がある通信方式ならば方式は任意である。本発明は、通信方式の限定を受けない。また、無線通信の受発信は、例えば、基地局など任意の場所、施設で行われる。データセンタ1は、必ずしも無線通信をしなくてもよい。データセンタ1、顧客会社4、およびサービス会社5の間の通信は、無線である必要性は無く、インターネット、電話回線、衛生回線であってもよい。ネットワークNの形態は、限定されない。
生成された診断レポートは、顧客会社4へ送信され、車両の所有者、運転者、資産管理者などが内容を確認し、診断結果に応じた判断、行動をとる。
また、診断レポートは、保守、整備、パーツ販売のサービス会社5へ送信される。保守や整備の担当者は、車両の所有者や運転者に問合せなどを行い、修理などの準備を行う。また、サービス会社5は、修理で用いるパーツの在庫の確認や手配を行う。
車両2,3には、後述するデータ取得装置が備えられる。データ取得装置は、ECUなどの信号データを取得して、外部に送信する機能を有する。
データセンタ1には、例えば、計算機の形態において、車両診断装置が設置される。車両診断装置は、車両2,3のデータを取得し、数値的な判定を行って、車両の不具合、故障への対処方法などを診断し、診断レポートを生成する。
図2は、車両2,3に搭載されるデータ取得装置およびデータセンタ1が有する車両診断装置の機能ブロック例を示した図である。図2に示すように、車両2,3に搭載されるデータ取得装置10は、通信処理部11と、信号データ取得部12と、特徴分割処理部13と、信号特徴判定管理基準情報DB(DB:Date Base)14とを有している。
データセンタ1が有する車両診断装置20は、通信処理部21と、判定処理部22と、診断処理部23と、記憶部24と、レポート生成部25とを有している。判定処理部22は、信号特徴集計処理部22aと、運転状態診断処理部22bと、ランク判定処理部22cとを有している。診断処理部23は、判定結果取得部23aと、診断部23bとを有している。記憶部24は、特徴量データDB24aと、ランク判定管理基準情報DB24bと、診断ルール24cと、運転状態判定ルールDB24dとを有している。
データ取得装置10の通信処理部11は、ECUなどの車両内の装置と通信を行う。また、通信処理部11は、車両診断装置20と通信を行う。
信号データ取得部12は、通信処理部11によって受信された、車両の信号データを取得する。
特徴分割処理部13は、信号データ取得部12によって取得された信号データを、信号特徴量に分割する。信号特徴量を分割する処理では、ランク判定により信号を記号化する演算が含まれる。この判定のため、信号特徴判定管理基準情報DB14には、信号データを記号化する情報が記憶されている。記憶装置は、マイコンに組み込まれたフラッシュメモリとしても良く、またマイコンボードに搭載される記憶装置でもよい。
通信処理部11は、特徴分割処理部13によって処理された信号特徴量を、車両診断装置20に送信する。
車両診断装置20の通信処理部21は、データ取得装置10と通信を行う。通信処理部21は、データ取得装置10から送信された信号特徴量を、特徴量データDB24aに記憶(蓄積)する。また、通信処理部21は、顧客会社4およびサービス会社5と通信を行う。
車両の診断に当っては、まず、判定処理部22が、特徴量データDB24aに記憶された信号特徴量のランク判定処理を行う。信号特徴量は、記号化されているデータであるので、信号特徴量を信号項目のランク判定結果として利用もできる。しかし、信号特徴量の分割処理で利用した記号に対し、別の状態の名称を割り当てたい場合は、ランク判定処理部22cにおいてランク判定を行って、状態を判定する。また、ランク判定処理部22cは、特徴量の時間範囲(長さ)についてもランク判定する。ランク判定には、閾値といった管理基準情報が必要であり、閾値は、ランク判定管理基準情報DB24bに記憶されている。
同一の記号の信号特徴量の発生回数や、時間範囲の平均、最大、最小といった集計は、信号特徴集計処理部22aによって行われる。集計値のランク判定は、ランク判定処理部22cによって行われる。
運転状態診断処理部22bは、信号特徴量から、停車中、走行中、加速中、左旋回中、右旋回中といった車両の状態を判定する。これは、後の診断処理の際、運転状態に応じて車両診断するためである。運転状態診断処理部22bは、運転状態に応じて、ランク判定の管理基準を選択してもよい。運転状態診断処理部22bは、運転状態診断の際には、運転状態判定ルールDB24dに記憶されている運転状態判定ルールを参照する。
判定処理部22の処理結果は、信号特徴量そのものか、信号特徴量と信号特徴量の時間範囲のランク判定結果である。また、判定処理部22の処理結果は、信号特徴量の集計結果のランク判定結果に運転情報が付加されたものである。
診断処理部23の判定結果取得部23aは、判定処理部22のランク判定結果を取得する。
診断部23bは、判定結果取得部23aによって取得されたランク判定結果より、車両の不具合や故障といった診断結果を導き出す。診断は、診断ルールを用いた推論処理による。診断ルールは、例えば、IF−THENの形式で定義される。診断ルールは、IF部の条件が満足されるなら、THEN部を結果とする、1階層の論理関係を表現するものである。診断ルールは、判定結果から診断結果を導き出す診断ルール、診断結果から診断結果を導き出す診断ルールであり、診断ルールDB24cに記憶されている。
レポート生成部25は、判定処理部22のランク判定結果および診断処理部23の診断結果に基づいて、診断レポートを生成する。生成された診断レポートは、通信処理部21を介して、顧客会社4またはサービス会社5へ送信される。
なお、判定結果、診断結果、または、診断レポートは、処理の過程において生成される。システムの構成に、これらを記憶、蓄積するデータベースを備えていてもよい。以上より、車両診断装置20は、車両の信号データを用いて、自動的に車両診断を行って、診断レポートを顧客などへ通知できる。
信号特徴量について説明する。
図3は、車両の信号データ例を示した図である。図3の横軸は時間を示し、縦軸はエンジン回転数を示している。図3には、1日の時系列のエンジン回転数が示してある。
図3の信号データは、1分ごとのサンプリングであり、全データ数は、「60×24=1440件」である。グラフより、エンジン回転数は、「500rpm」程度、「800rpm」程度、そして「1500rpm」程度のところに発生が多い。
また、図3のエンジン回転数の例では、小さなばらつきで、ある時間範囲で継続している部分がある。グラフには、大きな変化が起こったところ、大きな変化が無くなったところに縦の破線を示している。
例えば、図3に示す区間A1は、回転数「1500rpm」で1時間半程度の時間範囲で継続的に運転していることを示している。区間A1では、車両は、回転数の高さから、高速走行しているといったことが推測できる。
図4は、図3に示した信号データの度数分布である。図4の横軸は回転数を示し、縦軸は度数を示している。
図4に示すグラフの例では、回転数「1500rpm」の箇所のように、特定の信号値の度数の発生が多い。このような箇所は、例えば、図3において、時間範囲で連続したところである。
つまり、図3の区間A1に示すように、信号の変化の有無により、信号を時間範囲で分割すれば運転の信号の特徴が分かる。ある時間範囲で信号値が一定でなく、様々に変化したとしても、変化した時点で区切れば、変化の多さから運転の特徴を推測できる。そこで、特徴分割処理部13は、信号データを、変化の有無により時間範囲で区切り、信号特徴量とする。
信号データから信号特徴量を得るための信号分割方法を説明する。
図5は、信号分割方法を説明する図のその1である。図5では、信号データの信号特徴判定管理基準による記号化の例について説明する。図5の横軸は時間を示し、縦軸は信号の値を示している。
信号は、図5の矢印A11示すように、時系列では、時点における点で表される信号値である。また、信号は、図5の矢印A12に示すように、時系列で時点間を結べば、線分、または線分の列とみなすことができる。
特徴分割処理部13は、信号値をランク判定することで、記号化する。ここで、信号値をランク判定するランクは、信号特徴判定管理基準情報DB14に記憶されている閾値で設定される。このランク判定のことを、信号特徴ランク判定と言う。以下では、信号特徴ランク判定のランクを、信号特徴ランクと呼ぶことがある。
閾値は、A,B,C,…からIまでの9段階に設定されている。例えば、閾値は、図5の矢印A13に示すように、水平な破線で示される。信号特徴ランクは、各閾値の範囲、すなわち縦軸方向での破線の間となる。
図5では、信号の信号特徴ランク判定した結果を、信号特徴ランク{A,B,C,D,E,F,G,H,I}に対応するアルファベットの小文字で記載している。例えば、信号は、時間順で左から、「a,a,b,b,b,c,f,g,g,i,i,i,h,h,h,c,b,b,b,b,b,e,i,g,a,b,c,h,i,i,i,i,i,i,i,i,i,h,i,i,e,b,b,d,i,i,i,i,i,i」の50個に記号化されている。
図6は、信号分割方法を説明する図のその2である。図6の横軸は時間を示し、縦軸は信号の値を示している。図6では、時系列で記号に変化が無い、連続した範囲(連なり)を取得した場合の結果を示している。
例えば、図6では、図5に対し、同じ記号の連続を点間において、実線で結んでいる。また、図6では、記号が変化したところは一点鎖線で結んでいる。例えば、横軸の左から、「a」が2つ連続するので「a2」という信号列が得られている。また、「a2」の後に続いて「b3」の信号列が得られている。
つまり、図6は、記号とその区間の点数とで、信号列を図示している。図6の矢印A13,A14に示すように、信号列の「b5」や、信号列の「i9」のような信号列が得られている。このように、記号が時系列で連続に並んでいる範囲は、図3の区間A1のような時間範囲の信号であることが分かる。このような変化の無い信号列は、信号特徴量である。この信号波形分割法は、変化無分割である。
図7は、信号分割方法を説明する図のその3である。図7の横軸は時間を示し、縦軸は信号の値を示している。図7では、時系列で記号に変化が有る、連続した範囲(連なり)を取得した場合の結果を示している。
例えば、図7では、図5に対し、時系列で記号が変化した点間を実線で結んでいる。また、図7では、変化の無い同じ記号の連続した部分を、一点鎖線で結んでいる。例えば、横軸の左から、「a」の1点の信号列があり、次に「a」と「b」の2点から構成される「ab2」の信号列がある。そして、「b」の1点の信号列があり、「b」から「g」まで4点で記号が変化し続ける「bg4」の信号列がある。
変化の有る信号列は、開始の記号と終了の記号と、その区間の点数とで表現できる。また、黒く塗りつぶしている点では、上下方向の変化する点であり、その点で信号列を分割する。例えば、図7に示す矢印A15,A16の信号列は、もともと「b,e,i,g,a」であり、記号が変化しているが、「b,e,i」は上昇、「i,g,a」は下降となっている。そこで、矢印A15に示す信号列は、「bi3」とし、矢印A16に示す信号列は、「ia3」とする。同様に、矢印A17に示す信号列は、「ai5」となるが、この最後の「i」の次の記号は「i」であり、変化が無いことで分割される。このような変化の有る信号列も信号特徴量である。この信号分割法は変化有分割である。
図8は、信号分割方法を説明する図のその4である。図8の横軸は時間を示し、縦軸は信号の値を示している。図8は、2点以上の信号列で、全ての信号を分割したものである。すなわち、図8の信号列は、図6の変化無分割と、図7の変化有分割とに示した、全ての1点の信号列を除いて重ね合わせれば得られる。全てのデータは、「a2,ab2,b3,bg4,g2,gi2,i3,ih2,h3,hb3,b5,bi3,ia3,ai5,i9,ih2,hi2,i2,ib3,b2,bi3,i6」の22個の信号特徴量で分割されている。
図9は、信号分割方法を説明する図のその5である。図9の横軸は時間を示し、縦軸は信号の値を示している。図9は、変化の有無の時点のデータだけで、信号を分割したものである。
信号特徴量は、変化なしの場合、1点のデータの繰り返しで決まる線分であり、変化ありの場合、始点と終点までを結ぶ線分である。従って、信号特徴量による信号は、図9に示すような線分の列として表せる。
なお、始点および終点の信号値は、データとして存在するとした。ランクを意味する記号のみの場合、信号値は、例えば、ランクを決める範囲の中心を通る水平な線分と、異なるランクのそれぞれの範囲の中心を結ぶ線分による信号として表される。信号値は、中心でなくても、範囲の下限値、上限値、または予めランク毎に決められた代表的な値としてよい。
以上が信号データからの信号特徴量への信号分割方法である。特徴分割処理部13によって処理された信号データの信号特徴量は、信号特徴判定管理基準情報DB14に記憶される。信号特徴判定管理基準情報DB14に記憶された信号特徴量は、通信処理部11によって、例えば、定期的に車両診断装置20に送信される。
図10は、信号特徴量のデータ構成例を示した図である。信号特徴量は、図10に示すように、「tm,tr|te,c1|c2,vs,ve,is」の組で示される。前記の縦棒「|」は、「いずれか」の選択を意味する。記号「c1」は、変化無しの記号であり、例えば、{A,B,C,…}である。2記号「c2」は、変化有りの記号の組であり、例えば、{AB,AC,…,BA,BC,…}である。2記号は、変化無しも含めて{AA,AB,AC,…,BA,BB,BC,…}であってもよい。信号特徴量が、時間範囲と記号に対応付く代表値とで決まる、とするならば、信号特徴量の最小のデータ構成は、「tm,tr,c1|c2」とすることができる。
信号データが、信号特徴量に分割されれば、車両診断装置20は、記号、記号変化の組合せ、および時間範囲を集計できる。そして、車両診断装置20は、信号データの違いを判定することができる。
図11は、信号データの違いの判定を説明する図である。図11の(a)には、信号データ1が示してある。図11の(b)には、信号データ2が示してある。横軸は時間を示し、単位は「分」である。縦軸は信号を示し、単位系は任意の「a.u.(arbitrary unit)」としている。
図11の(b)に示す信号データ2は、図11の(a)に示す信号データ1を1/4に時間を短縮して、四回繰り返した信号である。信号特徴量は、上記したように、変化の有無で、信号を分割したものである。個々の信号データの信号値の出現数は、バラツキを除けば、信号データ1と信号データ2で同じである。しかし、信号特徴量の出現数は、信号データ1と信号データ2で異なる。車両診断装置20は、信号特徴量を利用することで、定量的に信号データ1,2の違いを判定できる。
図12は、図11の信号データ1を変化無分割により分割した結果を示している。信号値は、「−10」から「110」までの範囲に存在し、閾値は、「−10」から「10」刻みで設定されている。信号特徴ランクであるランクは、信号値の昇順にA,B,CからLまでとなる。信号データ2についても同様に分割できる。
なお、信号データ1,2の、図10に示したような信号特徴量は、上述したように、データ取得装置10の特徴分割処理部13による変化無分割および変化有分割の処理によって得られる。得られた信号データ1,2の信号特徴量は、車両診断装置20へ送信され、車両診断装置20の信号特徴集計処理部22aは、車両診断装置20から送信された信号特徴量を集計処理する。
図13は、信号データ1,2の信号特徴量の集計結果例を示した図である。図13に示す「data1」は、信号データ1の集計結果を示している。「data2」は、信号データ2の集計結果を示している。
図13の各行は、「A」から「L」までの信号特徴ランクの集計結果を示している。図13では、信号特徴ランクの数(count)、信号特徴量の長さの平均(average)、信号特徴量の長さの最大(max)を集計した例を示している。
図13の下限(LOWER)と上限(UPPER)は、信号特徴ランク判定の範囲(以上と未満)を意味する。なお、信号特徴ランクにおいて、信号特徴量が無くて平均を計算できないなど、計算値が求まらないものは「NaN」と記載している。
図14は、図13の集計結果例のうち、信号特徴ランクの数の度数分布(ヒストグラム)を示した図である。
信号データ2(data2)の信号特徴ランクの出現数は、図14に示すように、明らかに信号データ1(data1)の信号特徴ランクの出現数より多い。すなわち、信号データ2の方が、信号データ1より、信号変化が多いことが分かる。
例えば、信号データ1,2が、アクセル踏み込みの信号ならば、頻繁に速度を変化させている、と推測できる。また、図13の「average」および「max」の数値より、信号データ2の方が信号特徴量の長さ、すなわち時間が短いことがわかる。
このように、車両診断装置20の判定処理部22の信号特徴集計処理部22aは、信号特徴量を集計する。これにより、車両診断装置20は、信号特徴量の集計結果により、信号データの違いを判定することができる。つまり、車両診断装置20は、次に説明するように、信号特徴量またはその集計結果に対し、ランク判定(上記の信号特徴ランク判定とは異なる)を行うことができる。
ランク判定について説明する。ランク判定処理部22cは、信号特徴量またはその集計結果をランク判定する。ランク判定結果には、信号特徴ランク判定の結果そのものが含まれてもよい。ランク判定の対象は、信号特徴量の信号特徴ランク判定結果(信号特徴判定管理基準情報によるランク判定結果)と、信号特徴量の時間範囲、もしくは長さである。また、ランク判定の対象は、信号特徴量の開始から終了までの変化量、傾きも対象となる。さらに、ランク判定の対象は、信号特徴ランク判定結果と長さの集計結果も対象となる。
ランク判定処理部22cは、ランク判定を行う際、まず、判定対象の信号特徴量を特定するために、判定の時間範囲を定める。判定処理の開始時点を「Tst」、終了時点を「Ten」とする。インデクスが「#i」の信号特徴量の開始時点「tst #i」、終了時点「ten #i」に対して、例えば、次の式(1)が満足される。
Tst≦tst #i<Ten …(1)
終了時点「ten #i」もこの範囲に含まれるとしてもよい。なお、信号特徴量の時間情報は、開始および終了ではなく、開始時点「tst #i」と、次の式(2)で示される長さで示されてもよい。
len#i=ten #i−tst #i+1 …(2)
信号特徴量の信号特徴ランク判定結果をランク判定する場合、信号特徴ランクの集合に対する、ランク判定結果を対応させればよい。例えば、信号特徴ランクが「A」から「L」のアルファベット{A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L}で定義されているとする。変化無の信号特徴量(例えば、図10に示した記号「c1」)を3つの状態{LOW,MIDDLE,HIGH}にランク判定する場合には、{A,B,C,D}をLOWに、{E,F,G,H}をMIDDLEに、{I,J,K,L}をHIGHにランク判定する、などと設定する。より具体的には、信号特徴量が「a3,d8」ならば「LOW」に、「f10,g8」ならば「HIGH」にランク判定される。
また、例えば、変化有の信号特徴量(例えば、図10に示した記号「c2」)を2つの{NORMAL,LARGE}にランク判定する場合には、{AJ,AK,AL,BK,BL,CL}を「LARGE」に、それ以外を「NORMAL」などと設定する。この場合、信号特徴量が「cd2」なら「NORMAL」、「bk13」なら「LARGE」とランク判定される。
また、開始と終了の信号特徴ランクの直積で集合を決めてもよい。例えば、「開始×終了」の信号特量ランクを{A,B,C}×{J,K,L}とすれば、{AJ,AK,AL,BJ,BK,BL,CJ,CK,CL}を意味する。
信号特徴量の信号特徴ランク判定結果自体が、ランク判定の結果であってもよい。この場合、ランク判定処理部22cは、信号特徴ランク判定結果を記号的に扱えるので、必ずしも信号特徴量のランク判定をしなくてもよい。ランク判定結果は、信号特徴ランク判定結果と同一の記号となる。
ランク判定処理部22cは、信号特徴量の長さ(時間範囲)「len#i」をランク判定する場合、時間の範囲、もしくは連続するデータ点数に対してランク判定結果を対応させる。例えば、時間の単位系を無視し、5未満を「SHORT」、5以上50未満を「MEDIUM」、50以上を「LONG」の{SHORT,MEDIUM,LONG}の3つの状態にランク判定するならば、信号特徴量「a3,cd3」は「SHORT」、「d8,f33」は「MEDIUM」、「bk53,l70」は「LONG」のランク判定結果となる。
信号特徴量の変化は、上側変化と下側変化に分類(ランク判定)される。開始時点の信号特徴ランク判定のランクと、終了時点のランクとの差は、記号の順序の変化の階数で定量化できるので、信号特徴量の変化は、正負で上側と下側とに区別されることができる。このように、信号特徴量の上側変化と下側変化は、定量化されるので数値的にランク判定されることができる。上側変化と下側変化は、開始時点と終了時点の信号値があれば、それらの信号値の差によってもランク判定されることができる。
信号特徴量の傾きは、上向き傾きと下向き傾きに分類される。信号特徴量の傾きは、開始時点の信号特徴ランク判定のランクと、終了時点のランクとの差を、長さ「len#i」で割って定量化されることができる。信号特徴量の傾きは、正負で上向きと下向きとに判定されることができる。信号特徴量の傾きは、開始時点と終了時点の信号値の差を長さ「len#i」で割っても定量化できるので、ランク判定されることができる。
集計結果のランク判定について説明する。まず、信号特徴量の集計計算について説明する。集計計算は、信号特徴集計処理部22aで行われる。集計計算は、例えば、信号特徴ランク判定結果毎の出現数と、信号特徴ランク判定結果毎の信号特徴量の長さ(時間範囲)の平均と、その標準偏差(バラツキ)と、その最小および最大とが対象となる。信号特徴集計処理部22aは、集計処理の際、集計対象となる信号特徴量を式(1)で示される時間範囲に限定する。
集計結果は、例えば、図13に示したようになる。信号データ1と信号データ2における各信号特徴ランク判定結果に対する出現数は、「count」の列に示される。長さの平均は、「average」の列に示され、最大は、「max」の列に示される。長さは、数値であるので、標準偏差および最小も同様に計算される。集計結果は、出現数、平均、標準偏差、最小、および最大に限定されるものではない。例えば、集計結果は、中央値、最頻値、尖度、および歪度などの統計量でもよいし、また、関数により計算されたものでもよい。集計計算の結果の開始時間「tst」および終了時間「ten」は、ランク判定処理の範囲を集計対象範囲とするならば、開始時間「Tst」および終了時間「Ten」となる。
集計結果は、数値である。例えば、出現数を、3つの状態{FEW,NORMAL,MANY}にランク判定する場合、3未満を「FEW」、3以上6未満を「NORMAL」、6以上を「MANY」とすると、出現数「5」は「NORMAL」、出現数「10」は「MANY」のランク判定結果になる。信号特徴量の長さの集計結果に対しては、信号特徴量の長さと同じように設定すればよい。以上がランク判定の説明である。
車両の運転状態について説明する。車両の診断においては、運転中や停止中といった運転の状態にも意味がある。例えば、走行中にブレーキを踏んでも減速しない場合、車両には、不具合があるといえる。また、停止中は、ブレーキを踏むか、ハンドブレーキ、パーキングブレーキにより、停止しているという状態となる。つまり、運転状態は、操作項目から判断できる。また、操作項目は、信号項目として、信号データから取得できる。
操作項目は、例えば、計器で測定される速度といった車の性能と関連付く。また、操作項目は、運転者の運転的特性、状況や環境的な特性、また車両の稼働時間といった運用的な特性と関連付く。
図15は、モニタ項目と操作項目との関連の例を示した図であり、図16は、図15の操作項目と特性との関連の例を示した図である。運転的特性、状況/環境的特性、および運用的特性は、車両の診断の対象である。例えば、「急な加速が多いから燃費悪化の原因となる。」という内容は、運転的特性に関する診断である。これらも鑑み、車両の不具合も診断される。また、図15に示す「モニタ(計器)項目」は、信号項目であり、「操作項目」と同様に車両の診断に活用される。
運転状態は、図16に示す「運転的特性」と特に関係がある。運転者の運転の仕方は、走行中での操作に基づく。また、停車中といった運転状態は、混雑といった環境的な特性とも解釈でき、また、アイドリングといった運用的な特性とも解釈できる。
そこで、車両診断装置20は、車両診断の前に車両の運転状態を診断する。運転状態の診断は、運転状態診断処理部22bによって行われる。運転状態診断処理部22bは、運転状態の診断の際、運転状態判定ルールDB24dに記憶されている運転状態判定ルールを参照する。
運転状態は、停車中、運転中など、運転者による操作で決まる車両の状態であるとする。運転状態は、例えば、運転操作の組合せで判定されることができ、運転操作は、図15および図16に示した「操作項目」の操作の有無で識別されることができる。「操作項目」は、信号項目であり、信号データとして取得されることができる。
従って、車両の運転状態は、信号特徴量より、診断されることができる。操作の有無については、信号特徴ランク判定結果、ランク判定結果より記号的に判定できる。エンジン、ブレーキ、ステアリングの操作の他、変速機のニュートラル速、1速といった段階的な操作も信号として取得できる。
信号データは、必ずしも数値でなくても、文字コードや記号的なデータであってもよい。つまり、運転状態診断処理部22bは、信号特徴量の組合せで運転状態を診断してもよい。このためのルールを、運転状態判定ルールと呼ぶ。
運転状態判定ルールの例を以下に示す。ランク判定の結果は、単に{有,無}としている。以下の例では、「操作項目の有無もしくは運転状態:運転状態」のフォーマットで記載している。「操作項目の有無もしくは運転状態」は、複数であり、全てを満足(論理積)する場合に、運転状態が決まるとする。つまり、「操作項目の有無もしくは運転状態」を条件とし、「運転状態」を結果とする、IF−THENルールの形式である。
(エンジン稼動,有),(ハンドブレーキ,有):停車中
(エンジン稼動,有),(パーキング,有):停車中
(エンジン稼動,有),(ハンドブレーキ,無):走行中
(エンジン稼動,有),(パーキング,無):走行中
走行中,(アクセル踏込み,有):加速中
走行中,(ステアリング右旋回,有):右旋回中
走行中,(バック速,有):バック中
図17は、運転状態の遷移例を示した図である。停車中には、キー抜きの状態、エンジン停止の状態がある。また、停車中には、アイドリングしていて、ハンドブレーキ、パーキング、またはペダルブレーキを使用している状態がある。車両が動くときには、バック走行または前方走行している状態となる。また、ハンドル操作により、右旋回中または左旋回中の状態となる。また、走行中は、変速機の操作によりニュートラルから1速、2速と各段階へ移行する。ブレーキ、アクセル、ステアリングや点灯、ワイパーなどの操作も車両状態と定義してよい。運転状態は、図17に示したものに限定されるものではない。
運転状態判定ルールの不備や、操作に該当する信号項目が無い場合には、運転状態を求める条件が決まらない、満足されないということもあり得る。このような場合には、運転状態は不明などとしておけばよい。運転状態は、診断内容を充実化させるための手段であり、診断において必須ということではない。以上が運転状態の説明である。
判定処理部22が出力するランク判定結果の例について説明する。
図18は、ランク判定結果のデータ構成例を示した図である。ランク判定結果は、組(否定指示、時点、時間範囲|終了時点、運転状態、モニタ項目|操作項目、計算方法、信号特徴、状態)を有する。記号で示せば、ランク判定結果は、(fn,tm,tr|te,sd,im|ia,mc,cs,sj)を有する。縦棒「|」は、「いずれか」の選択的な演算であり、「a|b」ならば「a」か「b」である。組(a|b,c|d)は、(a,b)、(a,c)、(b,c)、(b,d)のいずれかの組である。
否定指示「fn(not flag)」は、ランク判定の結果を示す状態「sj」が肯定されるか、否定されるかを表す識別情報であり、二値のブーリアンである。ランク判定が、例えば、{NORMAL,ABNORMAL}の2ランクの場合、「NORMAL」が肯定されるなら、「ABNORMAL」は否定される。ランク判定では、該当するランクを判定結果とするため、基本的には肯定の結果である。否定の判定結果は、ランク判定で該当しないランクを判定結果として、否定指示「fn」で否定すればよい。否定の判定結果を必要とするかは、診断処理における診断ルールの記載の容易さに依存する。不要なら、肯定の結果のみを判定結果とすればよい。
時点「tm(time)」は、開始時点「tst」を意味する。具体的な時点のデータ形式は、年月日時分秒「yyyy/MM/dd HH:mm:ss.SSS」であっても、基準時点からの所定の単位の数値であってもよい。単位が秒なら、数値は秒数である。整数でも小数でも、桁数が限定されることもあるが、計算機やセンサといった機器やプログラムの実装に依存する。
ランク判定結果の時間の範囲を定めるために、ランク判定結果は、時間範囲「tr(time range)」か、終了時点「te(end time)」のいずれかを含む。時間範囲「tr」は、所定の単位の数値を設定すればよい。終了時点「te」については、時点「tm」と同様のデータ形式でよい。
運転状態「sd(driving status)」は、運転状態診断処理部22bによって得られる。運転状態「sd」は、例えば、図17記載の状態である。
モニタ項目「io(monitored item)」および操作項目「ia(manipulated item)」は、信号項目を意味する。図15および図16に示したモニタ項目および操作項目に対応する。
計算方法「mc(calculation method)」は、変化無分割と変化有分割の合成の信号特徴分割や、個別の変化無分割と変化有分割といった分割方法に関する項目である。信号特徴量は、信号特徴ランク判定によって分割された線分であって、このように分割するには、必ずしも上記した方法でなくてもよい。例えば、信号特徴ランク判定結果に対して、隣接するランクの範囲にある場合は、変化無とするなどである。ランクは、開始時点「tst #i」のランクとしても、開始時点「tst #i」のデータ値と終了時点「ten #i」のデータ値との平均が該当するランクとしてもよい。
信号特徴「cs」は、ランク判定対象を意味する。信号特徴「cs」は、例えば、信号特徴量そのもの、信号特徴量の長さ(時間範囲)、上側変化、下側変化、上向き傾き、下向き傾き、また集計結果の平均、標準偏差、最小、最大、などである。
状態「sj」は、ランク判定結果である。状態「sj」は、信号特徴量そのものの場合には、信号特徴ランク判定結果でもよい。以上がランク判定結果の説明である。
車両診断について説明する。車両診断は、診断処理部23によって行われる。診断処理部23の判定結果取得部23aは、判定処理部22のランク判定結果(例えば、図18)を取得し、診断部23bは、判定結果取得部23aが取得したランク判定結果に基づいて、車両診断を行う。その際、診断部23bは、診断ルール24cに記憶されている診断ルールを用いた推論処理によって、車両診断を行う。
診断ルールは、ランク判定結果および診断結果から診断結果を導き出す、論理的構造を有するルールである。診断部23bは、ランク判定結果から診断結果を導き、さらに診断結果から診断結果を導く推論を行う。論理学において、命題から別の命題を導くことは推論と呼ばれる。すなわち、診断部23bは、ランク判定結果および診断結果を命題として扱う。ただし、ランク判定結果には、ランク判定の結果である状態が伴う。また、診断結果は、不具合などの現象を意味する内容であり、診断内容には不具合の度合いとしての状態が伴う。
診断ルールをIF−THENルールの形式で定義する例を示す。診断ルールは、次の式(3)で示される。診断ルールは、診断ルールDB24cに記憶されている。
式(3)の「A」は判定結果、もしくは診断結果に対する個々の条件であり、「B」は診断結果である。式(3)の「IF」の後の「t_rel」は、信号特徴量の時間関係(time relationship)に関する条件の指定である。時間関係指定、時間関係指示、もしくは時間関係条件とも呼ぶ。式(3)の「THEN」の後ろの部分は、「BもしくはBではない」を意味する。「IF」の部分が条件部であり、「THEN」の部分が結果部である。条件部には1つ以上の条件がある。すなわち「n」は1以上である。全ての条件が満足する場合に、結果が得られる。診断ルールの全ての条件が満足することを発火すると言う。
信号特徴量の時間関係とは、例えば、同一信号項目の2つの信号特徴量の関係ならば、連続か、1つ目の条件は2つ目の条件の時点よりも前といった関係である。異なる信号項目間なら、時間範囲の重複による関係も定義される。複数の条件に対して3連続、4連続、などと定義される。
一つの条件「A」は、ランク判定結果か診断結果である。ランク判定結果は、例えば、図18に示したような組(否定指示、時点、時間範囲|終了時点、運転状態、モニタ項目|操作項目、計算方法、信号特徴、状態)で示され、条件は、ランク判定結果の内容が一致するかを判定できるものであればよい。ランク判定は、数値的に判定されており、値が小さくなる方向、大きくなる方向という範囲を持つ。従って、基準となる基準状態と、以上もしくは以下、もしくは上側、下側の他の状態の状態範囲で、範囲を決めることができる。時間については、判定と同様に、診断の時間範囲は対象とする時間範囲が定められ、ルール自体で範囲を限定することはない。よって、ランク判定結果に対する条件は、組(否定指示、運転状態、モニタ項目|操作項目、計算方法、信号特徴、基準状態、状態範囲)とできる。ランク判定結果の状態を{A,B,C,D,E}とする。基準状態を「C」として状態範囲が以上「NOT_LESS」なら範囲は{C,D,E}、以下「NOT_MORE」なら{A,B,C}、「B」なら{B,C}、「E」なら{C,D,E}となる。「C」なら{C}であり、また基準状態に限定する場合、基準状態を繰り返すか、一致「JUST」を指定する。つまり、「C」もしくは「JUST」なら{C}となる。なお、式(3)では、否定の記号を「A,B」の外側に記述しており、これは組の要素の否定指示を意味する。
診断結果においては、結果として文字記号、文、文章など、内容は、文字列として設定されるとする。他は、判定結果や診断結果の情報を引き継ぐ。診断結果は、組(否定指示、時点、時間範囲|終了時点、運転状態、結果、診断結果状態)となる。このうち、例えば「ブレーキの故障」といった結果は運転状態とは関係がないので、運転状態の中身は空であっても、無くてもよい。診断結果は、不具合や異常についての内容である。よって診断結果の状態は、{NORMAL,NEGLIGIBLE,MARGINAL,CRITICAL,CATASTROPHIC}や{NORMAL,CAUTION,WARNING,ALERT,URGENT,DANGER,CRITICAL}とする。なお、集合は、並びの昇順に度合いが悪い、ひどいというものである。
診断結果に対する条件は、組(否定指示、運転状態、結果、基準診断結果状態、診断結果状態範囲)となる。基準診断結果状態、診断結果状態範囲は、判定結果に対する条件の基準状態と状態範囲と同様である。
診断ルールを適用した結果として、診断結果に診断結果状態が設定される。診断結果だけを条件として診断結果を導出する場合には、条件を満足した診断結果の診断結果状態を導出される診断結果の診断結果状態とできる。しかし、判定結果を条件として診断結果を導出する場合にはランクの状態が異なる。この場合、判定結果の状態に対して、導出される診断結果の診断結果状態を割り当てればよい。例えば、判定結果の状態{LOW,MEDIUM,HIGH}の場合、「LOW」なら「NORMAL」、「MEDIUM」なら「MARGINAL」、「HIGH」なら「CATASTROPHIC」という対応である。よって、診断ルールの結果部には、対応関係の情報を付加する。もしくは結果の診断結果の診断結果状態は固定として設定しておく。もしくは、使用する全てのランクの状態の対応関係の一覧を作成しておき、条件部で該当する判定結果の状態、診断結果の診断結果状態の内で最も度合いの高いものを、結果部の診断結果の診断結果状態に設定する、という方法でもよい。以上が診断ルールの説明である。
車両診断の例について説明する。
図19は、診断対象となる信号特徴量の例を示した図である。データ取得装置10の特徴分割処理部13は、信号データ取得部12によって取得された信号データを、図19に示すように信号特徴量に分割したとする。特徴分割処理部13によって分割された信号特徴量(図19に示す信号特徴量)は、通信処理部11によって、車両診断装置20に送信される。なお、図19に示した信号特徴量の例は、グラフ化したものであり、実際は、図10に示したようなデータ形式で車両診断装置20に送信される。
車両診断装置20に送信された信号特徴量は、判定処理部22によってランク判定処理される。例えば、判定処理部22は、図19に示した信号特徴量から、図18に示したようなデータ形式のランク判定結果を生成する。
なお、図19の右側に示す「A,B,C,D」は、信号特徴ランクを示している。また、図19に示す信号データの信号項目は、エンジン回転数である。
図19に示した信号項目「エンジン回転数」に対し、次の式(4)に示す診断ルールが、診断ルールDB24cに記憶されているとする。
IF () (肯定、走行中、エンジン回転数、信号特徴分割、集計_発生数、URGENT、NOT_LESS) THEN (肯定、走行中、アクセル操作多) …(4)
時間関係指示「t_rel」は、空「()」である。状態の割り当ては、条件に該当する判定結果の状態が引き継がれるとする。
ランク判定の状態{NORMAL,LOW,MEDIUM,HIGH}は、信号特徴ランク判定のランク{A,B,C,D}と一対一で対応するとする(図19の右側参照)。また、信号特徴量の集計結果に対し、信号特徴ランク判定結果「D」の出現数が3回以上、6回未満で「URGENT」のランク判定結果となるとする。また、ランク判定の時間範囲は、集計の時間範囲と同じとし、「Tst=t1」、「Ten=t17」であるとする(図19の横軸「時間」を参照)。この場合、判定処理部22は、例えば、図18に示したデータ形式に従った、次のランク判定結果「R1」を生成する。
(肯定、t1、t17、走行中、エンジン回転数、信号特徴分割、集計_発生数、URGENT) …(R1)
このランク判定結果「R1」を、式(4)の診断ルールに適用すると、次の診断結果が得られる。
(肯定、t1、t17、走行中、アクセル操作多、URGENT)
また、図19に示した信号項目「エンジン回転数」に対し、次の式(5)に示す診断ルールが、診断ルールDB24cに記憶されているとする。
時間関係指示「t_rel」は、3連続である。3連続する「特徴1、特徴2、特徴3」の信号特徴量より、例えば、以下のランク判定結果「R11〜R13」が得られる。
(肯定、t1、t2、走行中、エンジン回転数、信号特徴分割、信号特徴量、NORMAL) …(R11)
(肯定、t2、t3、走行中、エンジン回転数、信号特徴分割、時間範囲、SHORT)
…(R12)
(肯定、t3、t4、走行中、エンジン回転数、信号特徴分割、信号特徴量、HIGH)
…(R13)
このランク判定結果「R11〜R13」を、式(5)の診断ルールに適用すると、次の診断結果が得られる。
(肯定、t1、t4、走行中、急激なアクセル踏込み、ALERT)
なお、図19に示す「特徴13、特徴14、特徴15」についても、同様の診断結果が導かれる。
(肯定、t14、t17、走行中、急激なアクセル踏込み、ALERT)
以上が図19の信号特徴量の例を用いた診断の説明である。
2つの信号項目による車両診断の例について説明する。
図20は、診断対象となる2つの信号項目の信号特徴量の例を示した図である。図20の(a)には、信号項目「速度」の信号特徴量の例が示してあり、図20の(b)には、信号項目「ブレーキ踏込み」の信号特徴量の例が示してある。
速度の信号特徴量は、特徴s1から特徴s9であり、ブレーキ踏込みの信号特徴量は、特徴b1から特徴b10である。ランク判定の状態は、速度では{CRAWL,SLOW,MEDIUM,HIGH}であり、ブレーキ踏込みでは{NORMAL,LOW,MEDIUM,HIGH}である。
図20に示した信号項目「速度」および「ブレーキ踏込み」に対し、次の式(6)に示す診断ルールが、診断ルールDB24cに記憶されているとする。
時間関係指示「t_rel」は、「時間重複」である。図20の(a)の信号項目は「速度」であり、傾きを求めてランク判定する。傾きのランク判定の状態は、{NO_CHANGE,SLIGHT,SMALL,MEDIUM,LARGE}である。特徴s1、特徴s4、特徴s6、特徴s8は、上向き傾きと下向き傾きの両方として「NO_CHANGE」、特徴s2、特徴s5は、上向き傾きとして「LARGE」、特徴s3は、下向き傾きとして「LARGE」、特徴s7、特徴s9は、下向き傾きとして「SLIGHT」である。
まず、式(6)の診断ルールの速度に関する第1の条件を満足するのは、特徴s1、特徴s4、特徴s6、特徴s7、特徴s8、特徴s9である。一方、ブレーキ踏込みに関する第2の条件を満足するのは、特徴b3、特徴b10である。なお、ここでは、特徴b2、特徴b4、特徴b6、特徴b9の変化有の信号特徴量は、「MEDIUM」以上として判定されないとしている。
時間範囲の重複より、以下のランク判定結果「R21」と「R22」の組合せと、「R23」と「R24」の組合せが、式(6)の診断ルールの条件を満足する。
(肯定、t11、t13、走行中、速度、信号特徴分割、下向き傾き、SLIGHT)
…(R21)
(肯定、t11、t12、走行中、ブレーキ踏込み、信号特徴分割、信号特徴量、MEDIUM) …(R22)
(肯定、t16、t17、走行中、速度、信号特徴分割、下向き傾き、SLIGHT)
…(R23)
(肯定、t15、t17、走行中、ブレーキ踏込み、信号特徴分割、信号特徴量、HIGH) …(R24)
さらに時間範囲の重複において「t15<t16」の関係があり、特徴s8と特徴b10のランク判定結果「R25」と「R24」も式(6)の診断ルールを満足する。
(肯定、t13、t16、走行中、速度、信号特徴分割、下向き傾き、NO_CHANGE) …(R25)
以上に示した組合せ順に、次の診断結果「D1〜D3」が得られる。
(肯定、t11、t12、走行中、ブレーキ効き異常、URGENT) …(D1)
(肯定、t16、t17、走行中、ブレーキ効き異常、URGENT) …(D2)
(肯定、t14、t15、走行中、ブレーキ効き異常、URGENT) …(D3)
時間範囲は、例えば、診断結果「D3」では「t14」から「t15」と、ランク判定結果「R25」の「t13」から「t16」と、ランク判定結果「R25」の「t15」から「t17」との重複範囲(積範囲)を取っている。時間範囲を「t13」から「t17」の範囲と、少なくともひとつは条件を満足する範囲(和範囲)を取るとしてもよい。時間範囲指示を時間重複としたが、積範囲時間重複、和範囲時間重複として明確にしてもよい。以上が図20の信号特徴量の例を用いた診断の説明である
診断結果から診断結果を導く診断例について説明する。診断は、機械動作の良好さ、部品の劣化、不具合、故障や、また運転者の運転の良否や特徴を導く必要があり、そのため判定結果からだけでなく、診断結果を組み合わせるなどして診断ルールにより目的に沿った診断結果を導く。
診断結果は、組(否定指示、時点、時間範囲|終了時点、運転状態、結果、診断結果状態)で定まるが、ここの説明においては、診断結果の内容のみの関係が表現できればよい。よって記載を省略する。診断結果「D11」の例を次に示す。
(肯定、ts、te、アクセル量多、CRITICAL) …(D11)
時点「ts」と終了時点「te」、つまり時間情報、および診断結果状態の「CRITICAL」は、変数のように可変の扱いである。時間情報、状態についての、その取り扱いは図19および図20の説明の通りであるとし、内容としては診断結果の結果だけにより診断ルールを示すこととする。診断結果「D11」は「アクセル量が多い」とする。またIF−THENルールの診断ルールを「条件部→結果部」として記載する。否定指示については否定記号で示す。
運転者の特性、癖を診断する診断ルールの例を式(7)〜式(9)に示す。
式(7)〜式(9)のような診断ルールで導かれた診断結果は、不具合への影響となるため、そのような運転を防止するための運転方法のアドバイスを導ける。式(8)の診断ルールならば、徐々に加速して、速度にあった変速を行うことが有効となる。また、このような運転の癖に応じて機械のチューニング、潤滑油といったパーツの選定、メンテナンス時期の推奨も可能となる。式(9)の診断ルールの場合で、車両は業務用であって、街中と高速を交互に頻繁に運転する場合には、点検やメンテナンスの頻度を上げたほうが良い。
機械の不具合、異常を診断する診断ルールの例を式(10)〜式(12)に示す。
車両は、かじ取り(操舵)装置、制動装置、走行装置、緩衝装置、原動機などの系統で構成されており、各装置は、部品で構成される。従って、車両診断装置20は、異常の箇所の特定する診断が出来る。異常を検知できれば、運転者や車両所有者に警告することで、運転者や車両所有者はメンテナンスの要否を判断できる。一方で図1に示した保守、整備、パーツ販売等を行うサービス会社5においては、メンテナンスのスケジュールや整備工場の手配、必要となるパーツの在庫の確認、パーツ調達といった対応ができる。これらのための診断ルールも定義可能である。以上が診断結果から診断結果を導く診断例についての説明である。
診断レポートについて説明する。レポート生成部25は、診断処理部23の診断結果に基づいて、診断レポートを生成する。
図21は、診断レポートの例を示した図である。診断レポートは、例えば、表示装置に表示される。図21に示すように、診断レポートには、判定結果と、診断結果とが含まれる。また、診断レポートには、集計対象期間が含まれる。
判定結果では、項目と区分、値、影響度を列の見出しとした。集計結果のみの表示としている。項目は、信号項目、区分は、集計計算の内容、また影響度は、ランク判定の状態である。診断ルールで診断に用いる、個別の信号特徴量についても表示してよいが、膨大な量となるため、診断レポートに必須とはできない。
診断結果は、車両診断結果に対して割り当てられる文章、もしくは車両診断結果を利用して生成される文章、もしくは車両診断結果の結果を文章としたときには、直接その文章が表示される。診断結果は、運行と車両状態とに分けて表示している。運行は、運転者の癖、車両状態は、機械の不具合に該当する。
運行には、走行距離と燃費の判定結果から導かれた診断結果に対応する文が表示されている。また、運行には、速度の高速頻度と回転数の高頻度、低頻度から導かれた診断結果に対応する文が表示されている。また、運行には、燃料消費の診断結果と、速度変化の診断結果から導かれる診断結果が表示され、その内容は推奨に該当する文である。
車両状態には、走行距離から導かれる診断結果に対応する文が表示されている。また、車両状態には、燃費から導かれる診断結果に対応する文が表示されている。
診断レポートは、以上の項目のみで構成されるわけではなく、運転者や所有者といった顧客の情報、車両情報も記載され得る。また、時系列の変動を確認するためのグラフによる表現も示されても良い。
また、診断レポートは、例えば、アドビ社のpdfファイルやマイクロソフト社のdocファイルのような文章データファイルの出力だけでなく、直接ディスプレイやスマートフォン等の携帯端末に表示される画面であってもよい。以上が診断レポートに関する説明である。
図22は、信号分割法の処理例を示したフローチャートである。図23〜図25は、診断処理例を示したフローチャートである。図23は、診断処理の全体の処理を示したフローチャートである。図23の丸で囲った「1」と「2」の間の処理が図24および図25に示されている。図23の「1」は、図24の「1」につながり、図25の「2」は、図23の「2」につながる。図24と図25は、丸で囲った「3」につながっている。
図26は、車両診断装置20のハードウェア構成例を示した図である。車両診断装置20は、例えば、図26に示すような、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置101と、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置102と、HDD等の補助記憶装置103と、有線又は無線により通信ネットワークと接続するための通信インターフェイス(I/F)104と、マウス、キーボード、タッチセンサーやタッチパネルなどの入力装置105と、液晶ディスプレイなどの表示装置106と、DVD(Digital Versatile Disc)やSSD(Solid State Drive)などの持ち運び可能な記憶媒体に対する情報の読み書きを行う読み書き装置107と、を備えるコンピュータで実現することができる。
車両診断装置20の各部の機能は、例えば、補助記憶装置103などから主記憶装置102にロードされた所定のプログラムを演算装置101が実行することで実現される。また、車両診断装置20の各記憶部は、例えば、演算装置101が主記憶装置102または補助記憶装置103を利用することで実現される。
上記の所定のプログラムは、例えば、読み書き装置107により読み取られた記憶媒体からインストールされてもよいし、通信I/F104を介してネットワークからインストールされてもよい。データ取得装置10も図26に示すハードウェアにより構成されることができる。
以上説明したように、時系列データである車両の信号データを用いた車両診断装置20であって、車両診断装置20は、任意の期間における信号データを、信号項目ごとにランク判定する判定処理部22と、信号項目におけるランク判定結果から、論理的構造を有する診断ルールに基づいて、運転および車両の状態を診断する診断処理部23と、を有する。信号データは、信号特徴量に分割するための信号特徴判定管理基準情報を用いて記号データに変換され、記号データの時系列の連なりに基づく時間範囲を伴う信号特徴量に分割され、車両診断装置20の判定処理部22は、信号特徴量の発生を集計し、集計結果をランク判定管理基準情報を用いてランク判定し、または記号データそのものをランク判定結果とする。これにより、車両診断装置20は、信号データの時系列の変化のパターンを特徴量として抽出し、車両状態を適切に診断することができる。
なお、上記では、データ取得装置10が特徴分割処理部13と信号特徴判定管理基準情報DB14とを有するとしたが、車両診断装置20がこれらを備えていてもよい。この場合、データ取得装置10の通信処理部11は、信号データ取得部12が取得した信号データを、車両診断装置20に送信する。そして、車両診断装置20が、データ取得装置10から送信された信号データを、信号特徴量に分割する。
また、上記では、データセンタ1が有する車両診断装置20が診断レポートを生成するとしたが、車両2,3内で診断レポートの生成および送信までの処理を行っても良い。この場合、図2に示した車両診断装置20は、データ取得装置10の機能ブロックを有する。そして、データ取得装置10の機能ブロックを有した車両診断装置20が、車両2,3に搭載される。
上述したデータ取得装置10および車両診断装置20の機能構成は、データ取得装置10および車両診断装置20の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。データ取得装置10および車両診断装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、データ取得装置10および車両診断装置20は、いわゆるCPUで演算処理を行うことで実行する計算機でなくても、組み込みマイコンボードとして機器に実装されるものであっても良い。
また、上述したフローチャートの各処理単位は、データ取得装置10および車両診断装置20の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。データ取得装置10および車両診断装置20の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、本発明は、データ取得装置10および車両診断装置20の機能を実現するプログラム、および当該プログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。