JP2017057681A - コンクリート型枠支持体と地下コンクリート壁の施工方法とセパレータ接続金具と防振止水壁 - Google Patents
コンクリート型枠支持体と地下コンクリート壁の施工方法とセパレータ接続金具と防振止水壁 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】山留壁14とコンクリート壁16の間には弾性壁材32が配置される。山留壁14に取付けられる連結金物26は、弾性壁材32を貫通して、調整パイプ28の一端と連結される。調整パイプ28の他端は、セパレータ金物30の一端と連結される。セパレータ金物30の他端はコンクリートの型枠18に接続される。調整パイプ28とセパレータ金物30の、コンクリート壁16と接触する外周面に鞘管状の弾性材が装着される。弾性壁材32とコンクリート壁16との間には、防水シート33を挟んで、山留壁14からコンクリート壁16に向かって流れ込む地下水を遮断する止水構造が設けられる。調整パイプ28には、パイプ内に流れ込む地下水を遮断する止水仕切46が設けられる。
【選択図】図1
Description
地下施設の山留壁には、高い地下水圧が加わる。この水圧による地下施設への水漏れを防止するために、従来から各種の止水構造が採用されている。山留壁とコンクリート壁との間には防水シートが挟み込まれる。しかし、防水シートをセパレータが貫通するのでその部分の水漏れ防止が必要になる。そこで、これを解決するための技術が開発されている(特許文献3〜6参照)。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、高い防振性と止水性を備え、施工性のよいコンクリート型枠支持体と、これを施設するための地下コンクリート壁の施工方法と、セパレータ接続金具と、この工法により建設された防振止水壁とを提供することを目的とする。
地下の山留壁に沿ってコンクリート壁を施工するために、コンクリートの型枠支持に用いられるものであって、以下の構成を備えたコンクリート型枠支持体。
(1)上記山留壁とコンクリート壁の間には弾性壁材が配置される。
(2)山留壁に取付けられる連結金物は、上記弾性壁材を貫通して、調整パイプの一端と連結される。
(3)上記調整パイプの他端は、セパレータ金物の一端と連結される。
(4)上記セパレータ金物の他端は上記コンクリートの型枠に接続される。
(5)上記調整パイプと上記セパレータ金物の、上記コンクリート壁と接触する外周面に鞘管状の弾性材が装着される。
(6)上記弾性壁材と上記コンクリート壁との間には、上記山留壁から上記コンクリート壁に向かって流れ込む地下水を遮断する止水構造が設けられている。
(7)上記調整パイプには、パイプ内に流れ込む地下水を遮断する止水仕切が設けられている。
以下の構成を備えた構成1に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記止水構造は、上記弾性壁材と上記コンクリート壁との間に配置される防水シートの貫通孔を挟むように配置される。
(2)上記弾性壁材と上記防水シートの間に、上記連結金物を貫通させるワッシャが設けられる。
(3)上記ワッシャは弾性壁材の貫通孔の周囲に密着するように配置される。
(4)上記連結金物は、上記弾性壁材の貫通孔と上記ワッシャと上記防水シートの貫通孔を貫通して上記調整パイプと連結される。
(5)上記ワッシャと上記調整パイプは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置される。
(6)上記調整パイプの上記防水シートと接する部分の外周には、止水リングが填め込まれている。
(7)上記止水リングは、弾性体により構成されている。
(8)上記止水リングと上記ワッシャは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置される。
以下の構成を備えた構成2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部とナット連結金物と両端雄ねじ金物により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部とナット連結金物と連結される連結ねじ部を備える。
(3)上記ナット連結金物は上記連結ねじ部と連結される雌ねじ部と上記両端雄ねじ金物と連結される雌ねじ部とを備える。
(4)上記両端雄ねじ金物の一端は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。
以下の構成を備えた構成2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部とナット連結金物により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部とナット連結金物と連結される連結ねじ部を備える。
(3)上記ナット連結金物は、上記連結ねじ部と連結される雌ねじ部と、上記調整パイプと連結される雄ねじ部とを備える。
(4)上記ナット連結金物の雄ねじ部は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。
以下の構成を備えた構成2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部単体により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部と、上記調整パイプと連結される連結ねじ部とを備える。
(3)上記連結ねじ部は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。
上記ワッシャの内径をdwとし、上記調整パイプの外径をD2としたとき、D2をdwより大きく選定したことを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
上記ワッシャの外径をDwとし、上記止水リングの外径をD1としたとき、D1をDw以上に選定したことを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
上記調整パイプの外径をD2としたとき、装着前の止水リングの貫通孔の内径をd2としたとき、D2をd2より大きく選定したことを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
地下の山留壁に対して、以下の手順でコンクリート型枠支持体を取り付けることを特徴とする地下コンクリート壁の施工方法。
(1)上記山留壁に、上記コンクリート型枠の支持に必要な数の連結金物を固定する。
(2)上記山留壁に固定された上記連結金物に弾性壁材を押し当てて、上記連結金物の一端が上記弾性壁材を突き破るようにして貫通孔を空けて、上記連結金物の一端を上記弾性壁材から突き出させる。
(3)同様の作業を繰り返して、必要数の弾性壁材により上記山留壁の全面を覆う。
(4)上記弾性壁材から突き出した上記連結金物の一端にワッシャをはめる。
(5)上記ワッシャを、上記弾性壁材の貫通孔の周囲に密着するように配置して仮固定する。
(6)上記連結金物の一端に防水シートを押し当てて、上記連結金物の一端が上記防水シートを突き破るようにして貫通孔を空けて、上記連結金物の一端を上記防水シートから突き出させる。
(7)上記防水シートの貫通孔から突き出した上記連結金物の一端に、弾性体により構成された止水リングをはめる。
(8)上記止水リングと上記ワッシャは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置する。上記止水リングの上記防水シートと密着する面には、粘着性止水材を塗布しておく。
(9)上記連結金物の一端に調整パイプを接続する。この調整パイプには、パイプ内に流れ込む地下水を遮断する止水仕切を設けておく。
(10)上記調整パイプの先端が上記止水リングの貫通孔を突き抜けて、上記ワッシャと上記調整パイプとで、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むようにする。
(11)上記調整パイプの他端に、セパレータ金物の一端を連結する。
(12)上記調整パイプと上記セパレータ金物の外周面全体を覆うように鞘管状の弾性材を装着する。
(13)上記セパレータ金物の他端を上記コンクリート型枠に接続する。
連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔から他端を突き出して調整パイプと接続される長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雄ねじ状に構成されており、上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端が螺合する雌ねじ状に構成されている。上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端と螺合させたときに、上記防水シートを介してワッシャと突き当たり、上記調整パイプの一端とワッシャとで上記防水シートを挟む外形を有する。
(5)上記止水リングは、上記調整パイプの上記防水シートと接する部分の外周に填め込まれている。上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。
連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔の内部に他端を配置する長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の、上記防水シート側の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端には、上記連結金物の他端と螺合する雄ねじ部が設けられて おり、上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成されている。
(5)上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。
(6)上記止水リングと上記ワッシャにより、上記防水シートの貫通孔周辺を挟み付ける構成をしている。
連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔から他端を突き出す長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の、上記防水シート側の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端と螺合する雄ねじ部が設けられて おり、上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成され、上記調整パイプの上記雄ねじ部に近い外周面にフランジが設けられている。
(5)上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。
(6)上記止水リングは上記防水シートの貫通孔から突き出した上記連結金物の他端に装着される。
(7)上記止水リングは、上記フランジにより上記防水シートに押しつけられ、上記止水リングと上記ワッシャにより、上記防水シートの貫通孔周辺を挟み付ける構成をしている。
(8)上記フランジは、上記セパレータとともに鞘管状の弾性材により覆われる。
山留壁と弾性壁材と防水シートとコンクリート壁とを順に配置し、コンクリートの型枠の支持に必要な数の、構成1に記載のコンクリート型枠支持体を埋め込んだ防振止水壁。
弾性壁材は山留壁から直接コンクリート壁に伝わる振動およびその振動に起因する音(固体伝搬音)を減衰させる。調整パイプとセパレータ金物の外周面に鞘管状の弾性材を配置したので、コンクリート壁に埋め込まれた型枠支持体を伝わる振動およびその振動に起因する上記の音を減衰させることができる。
<構成2の効果>
調整パイプや止水リングとワッシャとで防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むので、この部分の漏水を確実に阻止することができる。
<構成3の効果>
ナット連結金物と両端雄ねじ金物により、弾性壁材の厚さに応じて、連結金物の長さを自由に調整できる。
<構成4の効果>
ナット連結金物のみにより、弾性壁材の厚さに応じて、連結金物の長さを自由に調整できる。
<構成5の効果>
ビット連結部の連結ねじ部を弾性壁材の厚さに応じて選定して、連結金物の部品構成を簡素化できる。
<構成6の効果>
調整パイプの外径をワッシャの内径より大きくしておけば、調整パイプの先端が防水シートを押しながらワッシャに突き当たり、調整パイプとワッシャとで防水シートの貫通孔周辺を確実に挟み込むことができる。
<構成7の効果>
ワッシャの周囲が防水シートを介して直接コンクリート壁に接していると、連結金物とワッシャを通じてコンクリート壁に振動が伝わりやすい。止水リングの外径をワッシャの外径よりも大きくしておくと、この経路の振動伝搬を抑えられる。
<構成8の効果>
止水リングは弾性体である。止水リングの貫通孔を押し広げるように調整パイプの先端を通すことで、止水リングと調整パイプとが強く密着して、十分な止水効果を得ることができる。
図のように、地下の山留壁14に沿って、コンクリート壁16を施工する。このコンクリート壁16を施工する際に、コンクリートの型枠18を多数のコンクリート型枠支持体12で支持する。破線のように、施工後は、型枠18は除去されるが、多数のコンクリート型枠支持体12はコンクリート壁16に埋め込まれたままになる。この場合に、この実施例の構造は、山留壁14からコンクリート型枠支持体12を通じてコンクリート壁16に伝わる振動を効果的に減衰させる。
まず、図2に示すように、山留壁14に、ビット連結部20をねじ込んで固定する。この実施例では、ビット連結部20は山留壁14に設けられたH形鋼等に固定される。山留壁14は、ビット連結部20が固定できる構造であれば種類を問わない。ビット連結部20が固定できない構造の山留壁14の場合には、後で説明するが、他の構造の任意の連結金具を採用すればよい。弾性壁材32は、例えば、発砲ポリエチレン等の板である。厚みは、例えば、25mm〜100mm程度のものである。縦横1〜2m程度の平板状のもので、山留壁14の内側に沿って隙間なく並べて、山留壁14全面を覆うように配置される。
図3と図4に示すように、ビット連結部20の連結ねじ部24は、ナット連結金物42と連結される。ナット連結金物42は、両端雄ねじ金物44と連結される。ナット連結金物42は、例えば、鉄合金で構成され、両端を雌ネジに切ってあり、ビット連結部20と両端雄ネジ金物44を結合するための部品である。
図5に示すように、まず、弾性壁材32と防水シート33の間には、連結金物26を貫通させるワッシャ36が設けられる。このワッシャ36は、弾性壁材32の貫通孔の周囲に密着するように配置される。図1に示したように、ワッシャ36と調整パイプ28は、防水シート33の貫通孔周辺部を挟むように配置される。
図7に示すように、弾性壁材32にワッシャ36を仮止めした後、その部分を防水シート33で覆ってから、ワッシャ36と止水リング38で防水シート33を挟むように、止水リング38を填め込む。止水リング38は、弾性体、例えば、柔軟なゴムやプラスチックにより構成され、この図の例では、防水シート33と密着する面に、ブチルゴム等の粘着性止水材40が塗布されている。なお、止水リング38は、防水シート33に密着させることができる弾性体であればよく、粘着性があり、施工後も柔軟性を保持しているコーキング材等が適する。
その後、図8と図9に示すように、両端雄ねじ金物44に調整パイプ28を装着する。調整パイプ28は雌ねじを有し、両端雄ねじ金物44はこれに嵌まり合う雄ねじを有している。調整パイプ28を回転させて、その先端が止水リング38の貫通孔を突き抜けて、防水シート33に突き当たるようにする。これにより、ワッシャ36と調整パイプ28は、防水シート33の貫通孔周辺部を両側から挟むように配置される。
図10に示すように、調整パイプ28にセパレータ金物30の一端を接続し、図1に示したように、セパレータ金物30の他端を型枠18に接続する。調整パイプ28とセパレータ金物30の、コンクリート壁16と接触する外周面には、図11に示すように、鞘管状弾性材34が装着される。鞘管状弾性材34は、たとえば筒状の発砲ポリエチレンの材料で構成され、その外周はビニル素材、例えば、ポリエチレンまたは軟質塩化ビニルで覆われているとよい。鞘管状弾性材34は、調整パイプ28とセパレータ金物30の、コンクリート壁16と接触する外周面全体を覆うようにその長さが選定される。
既に説明したように、連結金物26は、山留壁14と調整パイプ28とを接続する構造であればよい。図12の(a)に示した例は、ビット連結部20の連結ねじ部24の部分を延長したもので、連結ねじ部24の先端が弾性壁材32の貫通孔からコンクリート壁16側に突出する。そして、連結ねじ部24に調整パイプ28が直接接続されるから、図1に示したナット連結金物42や両端雄ねじ金物44を必要としない。
弾性壁材32は既に説明したように、例えば、発砲スチロール樹脂等のボードにより構成する。この例では、山留壁14にねじ込み固定したビット連結部20の連結ねじ部24を、図12(a)に示したような十分に長いものにした。ビット連結部20は、図14に示すように、山留壁14に一端を多数固定される。その配置(間隔)の精度はあまり高く無い。従って、予め弾性壁材32に該当する多数の貫通孔を設けておくのは難しい。
以上のような事情から、弾性壁材32の貫通孔も、防水シート33に設けられた貫通孔も、きれいな円形ではない。従って、この貫通孔を塞いで止水処理をする場合の構造にも、細部にわたって工夫が施される。図15(a)に示すように、両端雄ねじ金物44の外径をd0とする。また、ワッシャ36の内径をdwとし、外径をDWとする。止水リング38の外径をD1とし、内径をd2とする。また、調整パイプ28の外径をD2とする。
ワッシャ36の外径DWは、止水リング38の外径D1とほぼ等しいか、あるいは止水リング38の外径D1より小さいことが好ましい。これにより、図16(a)に示すように、ワッシャ36と止水リング38とで防水シート33を両側から均一に挟み付けることができる。止水リング38の防水シート33と接する側の窪みには粘着性止水材40が塗布されている。粘着性止水材40は、常温で粘着性があり流動しないブチルゴムのような材料が好ましい。粘着性止水材40は、防水シート33の貫通孔周辺を覆って高い止水効果を発揮する。ワッシャ36と止水リング38とで防水シート33を両側からは挟み付けると、防水シート33に貫通孔を空けるときに生じた貫通孔周辺の皺が平坦に伸ばされて、止水効果を高める。
上記の構造のコンクリート型枠支持体12を小面積の弾性壁材32に装着して試験用のコンクリート壁16を形成し、シール材60で包囲した試験試料58を作成した。シール材60により、試験試料58の外周面は水密処理がされている。この試験試料58を加圧器56内にセットした。コンプレッサ52で加圧水槽54中の水に、0.2〜0.3MPa(メガパスカル)の水圧をかけて、加圧器56中の試験試料58に地下水圧相当の水圧を24時間かけた。0.3MPaは、地下水位より約30m深い位置の水圧に相当する。試験試料58をセットした加圧器56の底部開口57から漏水がないかを確認した。24時間経過後も漏水が無いことを確認した。図1に示したワッシャ36が無い構造と調整パイプ28中に止水仕切46が無い構造について、それぞれ同様の試験を行ったところ、いずれも漏水が生じていた。
図18(a)に示すように、4本のセパレータ金物(断面図では2本しか表れていない)を模した金属棒57を、模擬山留壁62に弾性壁材32を重ねたものに固定して、止水リング38と鞘管状弾性材34を装着した試験試料58を制作した。この試験試料58を設置した床面を加振ハンマー67で加振した。この床面には、加振ハンマー67による振動の大きさを測定する振動センサー63を固定した。さらに、試験試料58のコンクリート壁16に同様の振動センサー63を固定した。これで、コンクリート壁16に伝わった振動の大きさを測定する。これら一対の振動センサー63の検出信号を、チャージアンプ64を介して振動分析装置65に入力して、両者の比を求める。これで、模擬山留壁62からコンクリート壁16側に伝わった振動伝達率を計測できる。同様の試験を、防振対策を全くしない金属棒57と、先行技術で紹介されたような金属棒57の端部を防振ゴムで支持したものについても行った。鞘管状弾性材34の性能確認のため、金属棒57から止水リング38を除去したものについても試験した。
図19(a)は調整パイプ28の縦断面図である。この図に示すように、この実施例の調整パイプ28の一端(山留壁14側)にボルト66を設けた。調整パイプ28の他端は、セパレータ金物30を連結するためのこれまでの実施例どおりの構造である。即ち、既に説明した両端雄ねじ金物44と調整パイプ28とを一体化した構造のものを使用する。調整パイプ28の内部に止水仕切46を設ける必要はない。調整パイプ28のボルト66側に、図のように予め止水リング38をはめておく。
図20(a)に示すように、この図の例では、調整パイプ28の一端(山留壁14側)にボルト66を設けるとともに、調整パイプ28のボルト66側に、フランジ68を設けた。フランジ68の外径は止水リング38とほぼ等しいか若干小さいことが好ましい。また、止水リング38よりワッシャ36の外径は若干小さいことが好ましい。これは先に説明したとおりである。即ち、フランジ68と止水リング38とワッシャ36とが、いずれも調整パイプ28やナット連結金物42を軸にして、その周囲を囲む環状に配置される。
14 山留壁
16 コンクリート壁
18 型枠
20 ビット連結部
22 タップねじ部
24 連結ねじ部
26 連結金物
28 調整パイプ
30 セパレータ金物
32 弾性壁材
33 防水シート
34 鞘管状弾性材
36 ワッシャ
38 止水リング
40 粘着性止水材
42 ナット連結金物
43 雄ねじ部
44 両端雄ねじ金物
46 止水仕切
50 型枠固定具
52 コンプレッサ
54 加圧水槽
56 加圧器
57 開口
58 試験試料
59 金属棒
60 シール材
61 水
62 模擬山留壁
63 振動センサー
64 チャージアンプ
65 振動分析装置
66 ボルト
67 加振ハンマー
68 フランジ
70 スペーサ
Claims (13)
- 地下の山留壁に沿ってコンクリート壁を施工するために、コンクリートの型枠支持に用いられるものであって、以下の構成を備えたコンクリート型枠支持体。
(1)上記山留壁とコンクリート壁の間には弾性壁材が配置される。
(2)山留壁に取付けられる連結金物は、上記弾性壁材を貫通して、調整パイプの一端と連結される。
(3)上記調整パイプの他端は、セパレータ金物の一端と連結される。
(4)上記セパレータ金物の他端は上記コンクリートの型枠に接続される。
(5)上記調整パイプと上記セパレータ金物の、上記コンクリート壁と接触する外周面に鞘管状の弾性材が装着される。
(6)上記弾性壁材と上記コンクリート壁との間には、上記山留壁から上記コンクリート壁に向かって流れ込む地下水を遮断する止水構造が設けられている。
(7)上記調整パイプには、パイプ内に流れ込む地下水を遮断する止水仕切が設けられている。 - 以下の構成を備えた請求項1に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記止水構造は、上記弾性壁材と上記コンクリート壁との間に配置される防水シートの貫通孔を挟むように配置される。
(2)上記弾性壁材と上記防水シートの間に、上記連結金物を貫通させるワッシャが設けられる。
(3)上記ワッシャは弾性壁材の貫通孔の周囲に密着するように配置される。
(4)上記連結金物は、上記弾性壁材の貫通孔と上記ワッシャと上記防水シートの貫通孔を貫通して上記調整パイプと連結される。
(5)上記ワッシャと上記調整パイプは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置される。
(6)上記調整パイプの上記防水シートと接する部分の外周には、止水リングが填め込まれている。
(7)上記止水リングは、弾性体により構成されている。
(8)上記止水リングと上記ワッシャは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置される。 - 以下の構成を備えた請求項2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部とナット連結金物と両端雄ねじ金物により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部とナット連結金物と連結される連結ねじ部を備える。
(3)上記ナット連結金物は上記連結ねじ部と連結される雌ねじ部と上記両端雄ねじ金物と連結される雌ねじ部とを備える。
(4)上記両端雄ねじ金物の一端は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。 - 以下の構成を備えた請求項2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部とナット連結金物により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部とナット連結金物と連結される連結ねじ部を備える。
(3)上記ナット連結金物は、上記連結ねじ部と連結される雌ねじ部と、上記調整パイプと連結される雄ねじ部とを備える。
(4)上記ナット連結金物の雄ねじ部は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。 - 以下の構成を備えた請求項2に記載のコンクリート型枠支持体。
(1)上記連結金物は、ビット連結部単体により構成される。
(2)上記ビット連結部は、山留壁に固定されるタップねじ部と、上記調整パイプと連結される連結ねじ部とを備える。
(3)上記連結ねじ部は、上記防水シートの貫通孔から上記コンクリート壁側に突き出しており、ここに上記調整パイプが連結される。 - 上記ワッシャの内径をdwとし、上記調整パイプの外径をD2としたとき、D2をdwより大きく選定したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
- 上記ワッシャの外径をDwとし、上記止水リングの外径をD1としたとき、D1をDw以上に選定したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
- 上記調整パイプの外径をD2としたとき、装着前の止水リングの貫通孔の内径をd2としたとき、D2をd2より大きく選定したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のコンクリート型枠支持体。
- 地下の山留壁に対して、以下の手順でコンクリート型枠支持体を取り付けることを特徴とする地下コンクリート壁の施工方法。
(1)上記山留壁に、上記コンクリート型枠の支持に必要な数の連結金物を固定する。
(2)上記山留壁に固定された上記連結金物に弾性壁材を押し当てて、上記連結金物の一端が上記弾性壁材を突き破るようにして貫通孔を空けて、上記連結金物の一端を上記弾性壁材から突き出させる。
(3)同様の作業を繰り返して、必要数の弾性壁材により上記山留壁の全面を覆う。
(4)上記弾性壁材から突き出した上記連結金物の一端にワッシャをはめる。
(5)上記ワッシャを、上記弾性壁材の貫通孔の周囲に密着するように配置して仮固定する。
(6)上記連結金物の一端に防水シートを押し当てて、上記連結金物の一端が上記防水シートを突き破るようにして貫通孔を空けて、上記連結金物の一端を上記防水シートから突き出させる。
(7)上記防水シートの貫通孔から突き出した上記連結金物の一端に、弾性体により構成された止水リングをはめる。
(8)上記止水リングと上記ワッシャは、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むように配置する。上記止水リングの上記防水シートと密着する面には、粘着性止水材を塗布しておく。
(9)上記連結金物の一端に調整パイプを接続する。この調整パイプには、パイプ内に流れ込む地下水を遮断する止水仕切を設けておく。
(10)上記調整パイプの先端が上記止水リングの貫通孔を突き抜けて、上記ワッシャと上記調整パイプとで、上記防水シートの貫通孔周辺部を両側から挟むようにする。
(11)上記調整パイプの他端に、セパレータ金物の一端を連結する。
(12)上記調整パイプと上記セパレータ金物の外周面全体を覆うように鞘管状の弾性材を装着する。
(13)上記セパレータ金物の他端を上記コンクリート型枠に接続する。 - 連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔から他端を突き出して調整パイプと接続される長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雄ねじ状に構成されており、上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端が螺合する雌ねじ状に構成されている。上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端と螺合させたときに、上記防水シートを介してワッシャと突き当たり、上記調整パイプの一端とワッシャとで上記防水シートを挟む外形を有する。
(5)上記止水リングは、上記調整パイプの上記防水シートと接する部分の外周に填め込まれている。上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。 - 連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔の内部に他端を配置する長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の、上記防水シート側の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端には、上記連結金物の他端と螺合する雄ねじ部が設けられて おり、上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成されている。
(5)上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。
(6)上記止水リングと上記ワッシャにより、上記防水シートの貫通孔周辺を挟み付ける構成をしている。 - 連結金物とワッシャと止水リングと調整パイプとを備え、以下の特徴を有するセパレータ接続金具。
(1)上記連結金物は、一端を山留壁に固定し、この山留壁を覆う弾性壁材と防水シートの貫通孔から他端を突き出す長さを有する。
(2)上記ワッシャは上記弾性壁材の貫通孔の、上記防水シート側の周囲に密着させるためのものである。
(3)上記連結金物の他端は雌ねじ状に構成されている。
(4)上記調整パイプの一端は、上記連結金物の他端と螺合する雄ねじ部が設けられて おり、上記調整パイプの他端は、コンクリートの型枠を支持するセパレータと螺合する雌ねじ状に構成され、上記調整パイプの上記雄ねじ部に近い外周面にフランジが設けられている。
(5)上記止水リングは、弾性体により構成され、上記防水シートと密着する面に、粘着性止水材が塗布されている。
(6)上記止水リングは上記防水シートの貫通孔から突き出した上記連結金物の他端に装着される。
(7)上記止水リングは、上記フランジにより上記防水シートに押しつけられ、上記止水リングと上記ワッシャにより、上記防水シートの貫通孔周辺を挟み付ける構成をしている。
(8)上記フランジは、上記セパレータとともに鞘管状の弾性材により覆われる。 - 山留壁と弾性壁材と防水シートとコンクリート壁とを順に配置し、コンクリートの型枠の支持に必要な数の、請求項1に記載のコンクリート型枠支持体を埋め込んだ防振止水壁。
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