JP2017057620A - 鞄掛けを備える墓 - Google Patents
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Abstract
Description
また、スライド石は石材で形成されているため、その設置にコストがかかる上に、手間も非常にかかる。さらに、石材で形成されるスライド石は重たいため、出し入れ作業に大きな力を必要とする。そのため、スライド石を前後に平行移動させるガイドレールだけでなく、ボールベアリング等の部材も必要となる。
また、建立済みの既存の墓石に、このようなスライド石を、追加的に設置する場合、墓の形態を大きく変えなければならず、墓を大きく損傷させる可能性が高く、その設置は不可能に近い実状があった。
さらに、鞄掛けは、引っ張り棒の一端に設けられる取手部材を有することが好ましい。
鞄掛けは、墓の前面に引き出し可能であることが好ましい。
鞄掛けは、ステンレスからなることが好ましい。
また、安価で、手間をかけることなく、墓参りに訪れた人の手荷物の置場を設けることができる。また、既存の墓でも、安価で、容易に、手荷物の置場を設けることができる。
まず、本実施の形態に係る鞄掛けに係る墓の概要を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る墓1の概略構成を示す斜視図である。図1は、骨壺が収納される納骨室(カロート)2、納骨室2の上にスラブ前3aと、スラブ後3bとからなる天板3と、天板3の上に順に載置される上台石4及び棹石5からなり、墓石(天板3)に鞄掛け6を備える墓1を示している。なお、周知のように、前記棹石5の前面には家名などの彫刻文字(図示を省略)が配されている。
各石材の厚さは、墓の大きさに応じて適宜変更することが可能であるが、鞄掛け6を設置する天板3(スラブ前3a)の厚さは、空洞を形成しても割れやひびが入りにくい厚さであることが好ましい。具体的には、図3(C)に示すような、少なくとも40mm以上の厚さL5を有することが好ましい。
図2(A)〜(C)は、本実施の形態にかかる鞄掛け6の断面図である。
図3(A)は、スラブ前3aの斜視図を示すものであり、図3(B)は、上面図を示し、図3(C)は,側面図を示す。
外管部材7は、中空の円筒状の形態を有し、図3に示すスラブ前3aに形成された空洞10に嵌着されるものであり、また、引っ張り棒部材8の一端と当接して、引っ張り棒部材8が外管部材7から抜け出ることを防ぐストッパー14を備える。
外管部材7をスラブ前3a内に形成された空洞10内に接着する方法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、接着剤13及び接着補強部材11aや11bを用いて、空洞10内に外管部材7を固定することができる。具体的に言えば、接着剤13にはセラミックボンド及びクイックボンドやコーキングボンド、石材用弾力性接着剤、墓石用シーリング接着剤、石材用接着剤(対候、耐水)等を充填して外管部材7と空洞10を接着する。このとき接着剤13と接着補強部材11aや11bを噛ませることで接着力をより強固にし、外管部材7のストッパー14により引っ張り棒部材8への接着剤13の侵食を防止する。
また、外管部材7の材料としては、ステンレスを使用する。ステンレスを用いれば、さびにくく、強度に優れた外管部材7を提供することができる。なお、外管部材7の材料は、所定の強度があれば、特に限定されず、例えば、プラスチック、セラミック、特殊加工を施した鋼材等を用いることができる。また、外管部材7の形状や幅径も、所定の強度があれば、特に限定されない。なお、十分な耐荷重量が得られる点から、205N/mm2以上の強度を有していることが好ましい。
引っ張り棒部材8は、ステンレスで形成される。ステンレスを用いることにより、引っ張り棒部材は、錆びにくく、強度に優れる。また、石材に比べステンレスは軽いため、扱いやすい等の効果も有する。なお、この材料は、所定の強度があれば、特に限定されず、例えば、プラスチック、セラミック、特殊加工を施した鋼材等を用いることができる。また、引っ張り棒部材8の形状や幅径も、所定の強度があれば、特に限定されない。なお、十分な耐荷重量が得られる点から、205N/mm2以上の強度を有していることが好ましい。
引っ張り棒部材8の形状は、荷物を載置することができれば、特に限定されない。
取手部材9の幅は、特に限定されないが、図2(A)及び(C)に示すように、空洞10及び外管部材7の幅L1よりも広い幅L3を有することが好ましい。このように形成することにより、外管部材7の目隠しとなる。なお、更に、平板リング状の目隠し部材16を外管部材7と取手部材9との間に位置する天板表面に配置すれば、外管部材7内への雨水や虫などの異物の侵入を防ぐことができ、外管部材7と空洞10の接着に用いられている接着剤13の劣化を抑制することができる。
取手部材9の材料も、外管部材7及び引っ張り棒部材8と同様の理由により、ステンレスで形成されるが、把持しやすく、所定の強度があれば、例えば、石材やプラスチック等を用いることもできる。外観の観点から言えば、他の石材や天板の材質に合わせた石材を用いることが好ましい。
図2(A)は、引っ張り棒部材8が外管部材7に収納され、取手部材9のみが墓の外部に存在する初期状態を示す。また、図2(B)は、荷物を掛けるために、引っ張り棒部材8が外管部材7から引き出され、墓の外部に露出された状態を示す。
引っ張り棒部材8は、所定の長さL4引き出され、外管部材7のストッパー14と、引っ張り部材8の当接部15が当接したとき、その位置で係止するように支持される。
図3(C)に示すように、空洞10は、スラブ前3aの正面側、且つ、中央部を外した位置に設けられることが好ましい。このような位置に鞄掛け6を設ける方が、機能性の理由から好ましい。個人により鞄の持ち手は異なるので鞄掛け6の設置位置は左寄り右寄りのいずれでも構わない。
また、空洞10の直径L1及び長さL2は、天板3に空洞10を形成することにより、割れやひびが入りにくい大きさであれば、特に限定されず、墓の大きさに応じて適宜変更することができるものであるが、直径L1は33〜36mm、長さL2は200〜250mmであることが好ましい。このサイズであれば、一般的なサイズの墓における天板(一般的な天板の厚さ90mm〜180mm)に割れ等を生じさせることなく、容易に空洞を形成することができる。
スラブ前3aに空洞10を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、石材用穴掘機を使用しコアドリルにてボーリングする方法を用いることができる。なお、既存墓石に設置する場合には、ハンドドリルにて穴あけ加工するのが好ましい。墓石に割れが生じにくいからである。
上記実施の形態においては、鞄掛け6を墓の正面側に備えているが、これに限定されず、墓の側面、すなわち、墓の上下面を除く面に形成することができる。
上記実施の形態においては、鞄掛け6を天板3(スラブ前3a)に設けたが、墓の回りを囲う外柵や芝台、拝石、親柱、羽目、均、腰石、根石等に鞄掛け6を設けてもよい。
上記実施の形態においては、引っ張り棒部材8に引っ掛けるものを鞄としたが、鞄に限定されず、引っ張り棒部材8に引っ掛けることができるものであれば、特に限定されない。
本実施の形態の墓によれば、石材中に鞄掛け6が設けられているため、納骨室へ雨水等の侵入を完全に防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、安価で容易に、鞄掛け6を墓に設けることができる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る鞄掛けを備える墓の斜視図である。
実施の形態1においては、鞄掛け6の取手部材9が墓の外部に露出していたが、実施の形態2においては、取手部材が墓の外部に露出しないように備え付けられている構成を示す。実施の形態2においては、鞄掛けを除く構造は実施の形態1と同様である。
図6は、実施の形態2にかかる鞄掛けの断面図であり、初期状態にある鞄掛け、すなわち、鞄掛けが墓の外部に露出していない状態を示すものである。
図7(A)は、スラブ前3aの斜視図を示すものであり、図7(B)は、上面図を示し、図7(C)は,側面図を示す。
図8は、本実施の形態の取手部材の形状を示す斜視図である。
本実施の形態の鞄掛け56は、取手部材59の形状、及び、空洞70の形状以外、実施の形態1と同じである。
この取手部材59a及び59bは、石材で形成されるが、同じ材料でなく、それぞれ異なる材料で形成されてもよい。経済性の観点から見れば、プラスチックで形成されることが好ましく、強度の観点から見れば、ステンレスで形成されることが好ましく、外観の観点から見れば、墓石に合わせた石材で形成することが好ましい。
また、空洞70の幅は、図6及び7に示すように、外管部材7を覆う空洞70の幅L8、取手部分59aを覆う空洞の幅L9及び取手部材59aを覆う空洞の幅L10の順に広くなっている。このように、取手部分59を覆う空洞70の幅を段階的に大きくした形状にすることにより、取手部材59を把持しやすくし、また、引っ張り棒部材8をスラブ前3aから引き出し易くすることができる。
このように、取手部材59も墓の石材内部に設けることにより、取手部材の浸食等も防ぐことができ、凹凸のない見栄えよい墓石を造形することができる。また、取手部材が天板前面より突出しない為、墓参人の引っ掛かりを防止できる。
上記2つの実施の形態においては、墓の天板に空洞を形成し、鞄掛けを備え付けるものであるが、同様に、既存の墓石に小さな円管状の空洞を精密に形成し、鞄掛けを設けることは、既存の墓石の強度等の理由から難しい場合がある。
そこで、本発明の第3の実施の形態では、形成が困難な円管状の空洞を設けるのではなく、図9(A)または(B)に示すような鞄掛けを備える角材80Aまたは80Bを単体で形成し、天板上面等墓石本体に接着する。
また、図9(B)に示す角材80Bの幅(及び高さ)L13及び長さL14も、墓の大きさに応じて適宜変更するものであるが、幅L13は90〜100mm程度、長さL14は300〜360mm程度であることが好ましい。このようなサイズの角材であれば、扱いやすく、容易に形成することができ、安価で行えるのに対し、このサイズより大きな角材になると、扱いにくく、形成に手間がかかり、コストがかかってしまうからである。
角材80Aおよび80Bを天板上に固定する方法としては、角材の前面Fと、墓の正面側の天板(スラブ前)3aの前面とが揃うように角材を配置し、接着剤を用いて固定する方法が挙げられる。接着剤としては、セラミックボンド及びクイックボンドやコーキングボンド、石材用弾力性接着剤、墓石用シーリング接着剤、対候性や耐水性を備える石材用接着剤等を使用することができる。
また、安全性を高めるために、更にボルトで角材を天板に固定することが望ましい。ボルトは、角材部材80Aまたは80Bの空洞10または70を避けるようにして、角材80Aまたは80Bを天板に固定する。具体的には、角材80Aまたは80Bの長手方向の両端部、または、短手方向の両端部をボルトでそれぞれ固定する。
天板上における角材の配置場所は、スラブ前3aの正面側、且つ、中央部を外した位置に設けられることが好ましい。このような位置に鞄掛け6を設ける方が、機能性の理由から好ましい。個人により鞄の持ち手は異なるので鞄掛け6の設置位置は左寄り右寄りのいずれでも構わない。
本実施の形態によれば、建立済みであり、長い年月がたっている墓であっても、容易に、安価で、優れた強度を有する鞄掛けを石材に形成することができる。
2、92 納骨室(カロート)
3、93 天板(スラブ)
4、94 上台石
5、95 棹石
6、56 鞄掛け
7 外管部材
8 引っ張り棒部材
9、59 取手部材
10、70 空洞
11、12 接着補強部材
13 接着剤
14 ストッパー
15 当接部
16 目隠し部材
80 鞄掛けを備える角材
96 花立
97 香炉
98 羽目石
Claims (6)
- 墓の側面に引き出し可能な鞄掛けを備え、前記鞄掛けは、石材内に設けられていることを特徴とする墓。
- 前記鞄掛けは、前記石材内に嵌着される外管部材と、前記外管部材内において摺動可能に引き出される引っ張り棒と、を有し、
前記外管部材は、石材内に嵌着されている請求項2に記載の墓。 - さらに、前記鞄掛けは、前記引っ張り棒の一端に設けられる取手部材を有する請求項2に記載の墓。
- 前記鞄掛けを備える前記石材は、天板である請求項1〜3のいずれか1項に記載の墓。
- 前記鞄掛けは、墓の前面に引き出し可能である請求項1〜4のいずれか1項に記載の墓。
- 前記鞄掛けは、ステンレスからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の墓。
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