JP2017057328A - 練り込み型帯電防止剤の製造方法 - Google Patents

練り込み型帯電防止剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な練り込み型帯電防止剤の製造方法の提供を目的とする。さらに熱可塑性樹脂に配合した際、熱可塑性樹脂組成物の成形品の外観を損なうことなく、優れた帯電防止性を付与し、その効果を持続することができる、練り込み型帯電防止剤の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】下記A〜C成分を含有する溶液に、活性エネルギー線を照射して熱可塑性重合体にする工程を含むことを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。A成分:1分子中にポリアルキレングリコールと、アクリロイル基またはメタクリロイル基から選択される重合性官能基を1個含有する重合性単量体B成分:ホウフッ化塩、六フッ化リン酸の金属塩、トリフルオロメタンスルホン酸の金属塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドの金属塩の群から選択される1種または2種以上C成分:光重合開始剤【選択図】 なし

Description

本発明は、製造工程中で溶媒を用いることなく、活性エネルギー線を利用した光重合反応により、熱可塑性重合物を得る工程を含む練り込み型帯電防止剤の製造方法に関する。
現在一般に使用されているプラスチックのほとんどは、電気の伝導性が低く帯電しやすい。プラスチックが帯電すると生産工程上の障害となったり、製品に汚れが付着したり、印刷不良が起きたりするため、帯電防止剤が使用されている。
帯電防止方法としては、帯電防止剤をプラスチック表面に塗布する方法と、プラスチック内部に練り込む方法とに大別される。工程が増えることなく簡便であり、また、効果の持続性も高いことから工業的には練り込む方法による帯電防止剤が主流となっている。練り込み型帯電防止剤の中でも、帯電防止効果が長く持続する永久帯電防止剤と呼ばれる練り込み型帯電防止剤の検討がなされている。
熱可塑性樹脂への練り込み型帯電防止剤に関する従来技術としては、共役ジエン系単量体を50重量%以上含むジエン系共重合体らデックスと、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の群から選ばれる単量体とを特定量をグラフト重合して得られるグラフト重合体と、前記グラフト重合体と相溶性のある熱可塑性樹脂およびパーフルオロアルキル基を有するフッ素アルキル含有化合物の金属塩を特定量含む帯電防止剤樹脂組成物(特許文献1)、特定のポリエーテルエステルアミド、ポリカーボネート樹脂、スチレン系熱可塑性樹を特定量含む熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)、1分子中にポリアルキレングリコールと、アクリロイル基またはメタクリロイル基から選択される重合性官能基を1個含有する重合性単量体、過塩素酸塩、光重合開始剤を含有する溶液に活性エネルギー線を照射して得られる熱可塑性重合体である練り込み型帯電防止剤(特許文献3)、分子構造中にポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物および過塩素酸、チオシアン酸または硝酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる帯電防止剤組成物(先行文献4)などが開示されている。
しかし、上記の従来技術では、一長一短がありより良い練り込み型帯電防止剤の製造方法が望まれていた。
特開昭63−101444号公報 特開昭62−273252号公報 特開2012−211303号公報 特開平02−120370号公報
本発明は、製造工程中で溶媒を用いることなく、簡便な練り込み型帯電防止剤の製造方法の提供を目的とする。さらに熱可塑性樹脂に配合した際、熱可塑性樹脂組成物の成形品の外観を損なうことなく、優れた帯電防止性を付与し、その効果を持続することができる、練り込み型帯電防止剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、UV照射することによって得られる熱可塑性を有する練り込み型帯電防止剤が上記課題を解決することを見出した。本発明者は、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなっている。
[1]下記A〜C成分を含有する溶液に、活性エネルギー線を照射して熱可塑性重合体にする工程を含むことを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
A成分:1分子中にポリアルキレングリコールと、アクリロイル基またはメタクリロイル基から選択される重合性官能基を1個含有する重合性単量体
B成分:ホウフッ化塩、六フッ化リン酸の金属塩、トリフルオロメタンスルホン酸の金属塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドの金属塩の群から選択される1種または2種以上
C成分:光重合開始剤
[2]上記[1]に記載の溶液に、さらに下記D成分を含有することを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
D成分:重合調整剤
[3]上記[1]または[2]に記載の溶液に、さらに下記E成分を含有することを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
E成分:1分子中にアクリルアミド基を1個含有する重合性単量体
本発明によって、製造工程中で溶媒を用いることなく、練り込み型帯電防止剤の簡便な製造方法を提供できる。さらに、得られた練り込み型帯電防止剤は、熱可塑性樹脂成物に練り込むことによって帯電防止性を付与し、その帯電防止機能を持続することが可能である。また、得られた熱可塑性樹脂組成物の成形品は、外観(表面、内層)を損なうことなく、耐屈曲性にも優れている。
[A成分]
本発明で用いられるA成分は、「1分子中にポリアルキレングリコールと、アクリロイル基またはメタクリロイル基から選択される重合性官能基を1個含有する重合性単量体」であり、下記の一般式(1)で示すことができる。
Figure 2017057328
ただし、RはHまたはCH、RはHまたはアルキル
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数(整数)
A成分中に含まれるポリアルキレングリコールのオキシアルキレン基の平均付加モル数(n)に特に制限はないが、好ましくは約4以上、より好ましくは約9以上、さらにより好ましくは約45以上である。前記のような平均付加モル数であると、得られた熱可塑性重合体の分子内の導電性が高まり、また熱可塑性重合体の形状が固形状として得られやすいため好ましい。
A成分としては、具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明においては、これら具体例について、少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。以下の説明においても、同じ意味で用いる。
[B成分]
本発明で用いられるB成分は、「ホウフッ化塩、六フッ化リン酸の金属塩、トリフルオロメタンスルホン酸の金属塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドの金属塩の群から選択される1種または2種以上」であり、下記を例示することができる。
上記のホウフッ化塩としては、例えば、ホウフッ化リチウム、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムなどが挙げられる。中でも、金属イオン半径が小さく導電性が高まるためリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
上記の六フッ化リン酸の金属塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、六フッ化リン酸ナトリウム、六フッ化リン酸アンモニウムなどが挙げられる。中でも、金属イオン半径が小さく導電性が高まるためリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
上記のトリフルオロメタンスルホン酸の金属塩としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。中でも、金属イオン半径が小さく導電性が高まるリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
上記のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの金属塩としては、例えば、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ナトリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。中でも、金属イオン半径が小さく導電性が高まるリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
上記のビス(フルオロスルホニル)イミドの金属塩としては、例えば、リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、ナトリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、カリウム ビス(フルオロスルホニル)イミドなどが挙げられる。中でも、金属イオン半径が小さく導電性が高まるリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
[C成分]
本発明で用いられるC成分は、「光重合開始剤」であり、紫外線などの活性エネルギー線でラジカルを発生する光開裂型や水素引き抜き型の光重合開始剤である。C成分としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。本発明においては、これら具体例について、少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[D成分]
本発明で用いられるD成分は、「重合調整剤」であり、例えば、ラルリルメルカプタン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
D成分は、得られる熱可塑性重合体の重合度をラジカル反応の連鎖移動効果によって調整でき、分子量を下げる効果がある。D成分を併用して得られた練り込み型帯電防止剤は、熱可塑性樹脂に配合することにより得られた熱可塑性樹脂組成物の帯電防止性を向上し、さらに耐屈曲性を改善するという効果を奏する。
[E成分]
本発明で用いられるE成分は、「1分子中にアクリルアミド基を1個含有する重合性単量体」であり、下記の一般式(2)で示すことができる。
Figure 2017057328
ただし、X、Yは任意
E成分としては、具体的には、例えば、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。本発明においては、これら具体例について、少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
E成分を併用して得られた練り込み型帯電防止剤は、熱可塑性樹脂への相溶性を改善することができるため、得られた熱可塑性樹脂組成物の帯電防止性を向上し、さらに外観がきれいな状態になるという効果を奏する。
[本発明の練り込み型帯電防止剤の製造方法]
本発明の練り込み型帯電防止剤の製造方法は、AからC成分を含有する溶液、あるいはAからC成分にさらにD成分および/またはE成分を含有する溶液に、活性エネルギー線を照射して熱可塑性重合体にする工程を含むものである。
上記溶液には、AからC成分、あるいはAからC成分にさらにD成分および/またはE成分の各成分を溶解する溶媒(各種有機溶媒など)が不要である。溶媒を用いる必要がないため、活性エネルギー線を照射して得られた熱可塑性重合体は、溶媒を除去する工程(例えば、遠心分離工程、乾燥工程、濃縮工程など)が不要であり、簡便な工程のみで熱可塑性重合体である練り込み型帯電防止剤を得ることができる。
上記溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を配合することができ、この「他の成分」としては、例えば、A成分およびE成分以外の重合性単量体が挙げられる。この重合性単量体としては、具体的には1分子中にポリアルキレングリコールを持たず、且つアクリロイル基またはメタクリロイル基から選択され重合性官能基を1個含有する重合性単量体[アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート]、1分子中に重合性ビニル基を1個含有する重合性単量体(例えば、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドンなど)などが挙げられる。本発明においては、これら具体例について、少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、1分子中に重合性官能基を2個以上含有する重合性単量体は、本発明の効果を阻害する虞があるので用いることは好ましくない。
上記各成分についての配合量に特に制限はないが、重合性単量体として、A成分の他にE成分を用いる場合、A成分およびE成分の比率としては、好ましくはA:Eが100:0〜30:70であり、より好ましくは100:0〜35:75である。前記範囲であると、得られた熱可塑性重合体の分子内の導電性が高まり優れた帯電防止効果が発揮できるため好ましい。
また、(1)A成分、(2)A成分とE成分とを加えた総重合性単量体、(3)A成分とE成分とその他の重合性単量体を加えた総重合性単量体、または(4)A成分とその他の重合性単量体とを加えた総重合性単量体、のいずれかの100質量部に対し、B成分は約0.2〜5質量部が好ましく、より好ましくは約1〜3質量部である。前記範囲であると、得られた熱可塑性重合体の分子内の導電性が高まり優れた帯電防止効果が発揮できるため好ましい。
そして、C成分は、上記総重合性単量体100質量部に対して、約1〜10質量部が好ましく、より好ましくは約2〜5質量部である。
D成分は、上記総重合性単量体100質量部に対して、約0.01〜2質量部が好ましく、より好ましくは約0.06〜1質量部である。前記範囲であると、得られた練り込み型帯電防止剤を熱可塑性樹脂に練り込み成形した際に、表面や内層の成形性に優れるため好ましい。
練り込み型帯電防止剤の製造方法は、以下の方法を例示することができる。
[混合工程]
A、E、D成分およびその他の成分は固形状あるいは溶液状であり、B、C成分は固形状(粉末状)である。本発明では、A、E、D成分およびその他の成分が固形状の場合、加熱して溶液状にして用いればよい。
(1)A成分またはA成分とE成分、(2)B成分、(3)C成分、および(4)D成分、の各成分、さらに所望によりその他の成分を均一になるように混合することにより、AからC成分を含有する溶液、あるいはAからC成分にさらにD成分および/またはE成分を含有する溶液が得られる。
B、C成分は、A、E、D成分およびその他の成分と混合することにより、溶媒を用いることなく容易に分散、溶解することができる。混合方法としては、公知の混合方法で混合すればよいが、紫外線などを遮断して混合することが好ましい。
[活性エネルギー線照射工程]
得られた溶液に活性エネルギー線を照射して、溶液中の重合性単量体(A、E成分など)がラジカル重合反応することにより熱可塑性を有する練り込み型帯電防止剤が得られる。ここで活性エネルギー線の照射量は、紫外線を用いる場合、好ましくは積算光量約1000〜4000mJ/cmである。活性エネルギー線照射工程では、各成分を含有する混合物が溶液状である必要があるため、前記成分が固形状である場合、加熱などの工程を行って溶液状とすることが好ましい。加熱する場合の温度に特に制限はないが、各成分を含有する混合物が溶液状となり、且つ各成分が劣化しない温度であることが好ましい。
上記各工程を経ることによって得られた練り込み型帯電防止剤は、上記各工程において各成分を溶解するために溶媒を必要としていないため、溶媒を除去する工程を行う必要がない。そのため、上記各工程を行うだけで簡便に熱可塑性を有する練り込み型帯電防止剤を得ることができる。
ここで、一般的な練り込み型帯電防止剤は、熱可塑性樹脂に練り込んで用いるために、熱可塑性であることが必要である。また、その形状が、液状、ゲル状、ペースト状である場合、熱可塑性樹脂に練り込んで均一に混練することが難しく、さらに熱可塑性樹脂組成物を射出成形する場合、上手く射出成形でない虞がある。そのため、練り込み型帯電防止剤の形状は、固形状が好ましい。
本発明で得られた練り込み型帯電防止剤は、熱可塑性を有し、形状が固形状である。そのため、熱を加えながら熱可塑性樹脂と混練することにより均一に練り込むことが可能であり、射出成形などの成形性にも優れている。なお、ここで熱可塑性とは、熱分解が起こる前に流動性を示すことをいう。
本発明で得られた練り込み型帯電防止剤を添加する対象となる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS樹脂などが挙げられ、本発明においては、これらの一般的な熱可塑性樹脂が特別の制限なしで用いられてよい。
熱可塑性樹脂に本発明で得られた練り込み型帯電防止剤を添加して均一に練り込むことにより帯電防止性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。上記熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の添加剤を配合することができ、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、造核剤、滑剤、難燃剤、充填剤、顔料、無機充填剤などを挙げることができる。これらの添加剤の具体例としては、従来公知のものを特別の制限なく挙げることができる。
練り込み型帯電防止剤を熱可塑性樹脂に添加する方法としては、例えば、練り込み型帯電防止剤と熱可塑性樹脂を加熱しながら練り込む方法、あらかじめ熱可塑性樹脂に対して練り込み型帯電防止剤を含有させたマスターバッチを作製し、マスターバッチと熱可塑性樹脂を加熱しながら練り込む方法などが挙げられる。練り込みに用いる装置としては公知の装置を用いることができ、例えば二軸押出機、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
上記したマスターバッチは、練り込み型帯電防止剤を効果的に分散させるために有効であり、その配合は、例えば、マスターバッチ100質量部中の練り込み型帯電防止剤は約5〜40質量部、好ましくは約10〜30質量部が例示することができる。またその作製方法は、例えば二軸押出機、バンバリーミキサー、などにより混練する方法が挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂組成物は、Tダイ、インフレーション、カレンダーなどによりシートあるいはフィルムへ成形することができる。フィルムについては延伸、無延伸のいずれのものでも構わない。また、射出成形機、圧縮成形機などを用いて各種の成形品を得ることもできる。例えば、ブロー成形によりボトルなどを成形する事ができる。
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
<練り込み型帯電防止剤の作製>
(1)原材料
1)A成分
A1:メトキシポリエチレングリコール#4000メタクリレート(商品名:PME−4000;日油株式会社製、n=90)
A2:メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート(商品名:ブレンマーPME−1000;日油社製、n=23)
ただし、上記nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数である。
2)B成分
B1:ホウフッ化ナトリウム(商品名;森田化学工業社製)
B2:六フッ化リン酸リチウム(商品名;森田化学工業社製)
B3:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(商品名;森田化学工業社製)
B4:リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名;和光純薬社製)
B5:リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(商品名:イオネルLF−101;日本触媒社製)
3)C成分
C1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184;BASF社製)
C2:2−メチル−1―[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907;BASF社製)
4)D成分
D1:ラウリルメルカプタン(商品名:チオカルコール20;花王社製)
D2:α−メチルスチレンダイマー(商品名:ブレンマーMSD;日油社製)
5)E成分
E1:N−イソプロピルアクリルアミド(商品名:NIPAM;興人社製)
E2:N,N−ジメチルアクリルアミド(商品名:DMAA;興人社製)
6)A成分とは異なる重合性官能基を1個含有する重合性単量体(「F成分」という。)
F1:イソボルニルアクリレート(商品名:IB−XA;大阪有機化学工業社製)
F2:2−ヒドロキシエシルアクリレート(商品名:HEA;大阪有機化学工業社製)
7)重合性官能基を2個含有する以外はA成分と同じ重合性単量体(「G成分」という。)
G1:ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(商品名:NKエステルA−600;新中村化学工業社製)
(2)配合
上記原材料を用いて作製した練り込み型帯電防止剤の配合組成を表1に示した。
Figure 2017057328
(3)練り込み型帯電防止剤の作製
[実施例1]
表1の配合量の2倍量を遮光容器に量りとり、マグネチックスターラー(型式:SR−350;アドバンテック東洋社製)と5cmの撹拌子を用いて約60rpmで、50℃・30分間撹拌混合した後、プラスチックトレー(25×15×2cm)に移し、紫外線照射機(型式:F300;フュージョンUVシステムジャパン社製)を用いて積算光量2000mJ/cmの紫外線を照射し光重合を行い、練り込み型帯電防止剤(実施例品1)を得た。
[実施例2〜12、比較例1〜3]
実施例1と同様の方法で操作を行ない、練り込み型帯電防止剤(実施例品2〜12、比較例品1〜3)を得た。
ここで、実施例品1〜14、比較例品2はいずれも熱可塑性を有する固形状であり、比較例1は熱可塑性を有するペースト状であった。
しかし、比較例品3は熱可塑性を有しない固形状であり、熱可塑性を有する練り込み型帯電防止剤を得ることができなかった。
[比較例4]
実施例1と同様の方法で操作を行ない、練り込み型帯電防止剤を作製しようとしたが、重合せず液状のままであり練り込み型帯電防止剤を得ることはできなかった。
ここで前記比較例4の性状が、液状であるため、熱可塑性樹脂に練り込んでも均一に混合することができず、さらに射出成型することはできないので、練り込み型帯電防止剤としては不適であると判断した。
得られた練り込み型帯電防止剤の製造性(重合のしやすさ、練り込み型帯電防止剤に適した形状)を目視にて確認し、下記評価基準で評価した。結果を表3に示す。
[評価基準]
◎:非常に重合しやすく、練り込みに適した固形状であり熱可塑性を有する。
○:重合しやすく、練り込みに適した固形状であり、熱可塑性を有する。
△:重合するものの、練り込みに適した固体状にならず、ペースト状であった。熱可塑性を有する。
×:練り込みに適していない状態(液体状あるいはゲル状。熱可塑性を有していない。の1つ以上に該当)。
<熱可塑性樹脂組成物成形品の作製>
[試作品1〜14]
練り込み型帯電防止剤(実施例品1〜12、比較例1〜2)をいずれか50gと、ポリプロピレン樹脂(商品名:プライムポリプロF327;プライムポリマー社製)を950g用意し、両者を混合し、射出成形機(型式:IS−55EPN;東芝機械社製)を用いて温度190℃の条件で平板状(98×79×2mm)の熱可塑性樹脂組成物の成形品(試作品1〜14)を作製した。
<練り込み型帯電防止剤を含む熱可塑性樹脂組成物の評価>
得られた成形品の帯電防止性、外観(表面、内層)および耐屈折性について下記方法で評価した。
(1)帯電防止性の評価(水拭き前)
得られた成形品を恒温槽を用いて、室温20℃、湿度65%RHで24時間エージングし、同条件で極超絶縁計(型式:SM−8000Series;HIOKI社製)を用いて表面固有抵抗を測定した。結果を表3に示す。
(2)帯電防止性の評価(水拭き後)
得られた成形品の表面を25℃の水中で不織布を用いて1分間洗浄した。これを10回繰り返してから水気を除き、60℃2分間乾燥した後に、室温20℃、湿度65%RHで24時間エージングし、同条件で極超絶縁計(型式:SM−8000Series;HIOKI社製)を用いて表面固有抵抗を測定した。
上記の表面固有抵抗の測定は、JIS K6911に準じて測定した。結果を表3に示す。
なお、成形品の表面固有抵抗は、通常1×1016Ω以上であるが、ホコリ付着防止などの効果が期待できる表面固有抵抗値は、1012Ω/□程度以下とされ、その抵抗値が低いほど帯電防止性能として優れている。
(3)成形品の外観(表面の状態)評価
得られた成形品の表面の状態を目視にて表2の評価基準で評価した。結果を表3に示す。
(4)成形品の外観(内層の状態)評価
得られた成形品を蛍光灯の光に透かし、内層の状態(練り込み型帯電防止剤の相溶状態)を目視にて表2の評価基準で評価した。結果を表3に示す。
(5)成形品の耐屈曲性評価
得られた成形品を手で90度折り曲げ、折り曲げた部分の表面および内層の破壊状態、剥離状態を目視にて表2の評価基準で評価した。結果を表3に示す。なお、耐屈曲性が悪いと熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が良くない結果となる。
Figure 2017057328
Figure 2017057328
結果より、実施例品の練り込み型帯電防止剤を用いた熱可塑性樹脂組成物成形品(試作品1〜12)は、製造性に優れ、表面抵抗値は、水洗浄前および水洗浄後の表面固有抵抗のいずれも1012(Ω/□)以下であり、帯電防止性およびその持続性に優れていた。さらに、熱可塑性樹脂組成物成形品(試作品1〜12)の外観(表面、内層)、耐屈折性も良い評価であった。特に熱可塑性樹脂組成物成形品(試作品11、12)は、外観(表面、内層)、耐屈折性も非常に良い評価であった。
一方、比較例品の練り込み型帯電防止剤を用いた熱可塑性樹脂組成物成形品(試作品13、14)は、水洗浄後の表面固有抵抗、または水洗浄前および水洗浄後の表面固有抵抗は、1013(Ω/□)以上であり、帯電防止性に優れていなかった。また、熱可塑性樹脂組成物成形品(試作品13)は、外観(表面、内層)および耐屈曲性が好ましいものではなかった。

Claims (3)

  1. 下記A〜C成分を含有する溶液に、活性エネルギー線を照射して熱可塑性重合体にする工程を含むことを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
    A成分:1分子中にポリアルキレングリコールと、アクリロイル基またはメタクリロイル基から選択される重合性官能基を1個含有する重合性単量体
    B成分:ホウフッ化塩、六フッ化リン酸の金属塩、トリフルオロメタンスルホン酸の金属塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドの金属塩の群から選択される1種または2種以上
    C成分:光重合開始剤
  2. 請求項1に記載の溶液に、さらに下記D成分を含有することを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
    D成分:重合調整剤
  3. 請求項1または2に記載の溶液に、さらに下記E成分を含有することを特徴とする練り込み型帯電防止剤の製造方法。
    E成分:1分子中にアクリルアミド基を1個含有する重合性単量体
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