JP2017057256A - 導電性粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
生体電極材としては、生体の皮膚表面との優れた密着性や、良好な使用感等が求められる場合が多く、これらの要求に対応し得る生体電極材が提案されている。
特許文献2には、ミラブルウレタンゴムに、表面積が500m2/g以上の導電性カーボンブラックと、表面積が500m2/g未満の導電性カーボンブラックと、架橋剤とを含む組成物の架橋物よりなる電極が開示されている。
特許文献3には、導電性を有する粘着ゲル層と、当該粘着ゲル層に接触して配置された導電性を有する電極部と、粘着ゲル層の電極部が配置された面全体を被覆する通気性を有する保護部材と、当該保護部材の表面に固着され、開口部が形成された補強部材とを有する生体用電極が開示されている。
さらに、特許文献3に記載の生体用電極は、粘着ゲル層を有するため、当該粘着ゲル層中の水分量が、経時により減少し、それに伴い、粘着ゲル層の導電性も低下する傾向にある。また、当該粘着ゲル層は、水等の揮発成分を含有しているために、雑菌等が繁殖し易く、衛生面での問題も有する。
[1]粘着性樹脂と、導電性フィラーとを含む粘着剤層を有する、生体に貼付する用途で使用される導電性粘着シートであって、
当該粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量が5.0質量%未満であり、
当該粘着剤層の表面抵抗率(ρ)が1.0×108Ω/□以下であり、
フェノール樹脂からなる被着体に対する粘着力が5.0N/25mm以上である、生体貼付用導電性粘着シート。
[2]前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ)に対する、80℃、72時間での加熱処理後の前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ’)の変化量〔(ρ’)/(ρ)〕が500以下である、上記[1]に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[3]前記粘着性樹脂が、ゴム系樹脂を含む、上記[1]又は[2]に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[4]前記ゴム系樹脂が、芳香族系ビニル化合物を含む、上記[3]に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[5]前記粘着剤層が、さらに粘着付与樹脂を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[6]前記粘着剤層に含まれる導電性フィラーの含有量が、当該粘着剤層の全質量に対して、0.01〜50質量%である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[7]前記導電性フィラーが、炭素系フィラーである、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[8]前記炭素系フィラーが、カーボンナノチューブである、上記[7]に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[9]前記粘着剤層が、2層以上からなる多層構造を有する、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[10]前記粘着剤層が、2枚の剥離シートに挟持された構成を有する、上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[11]基材の少なくとも一方の表面上に、前記粘着剤層が積層した構成を有する、上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[12]前記粘着剤層中に芯材を含む構成を有する、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
[13]前記芯材が、不織布及び金属メッシュから選ばれる1種以上からなる、上記[12]に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
また、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
さらに、「粘着剤層の表面抵抗率」の値は、当該粘着剤層の粘着性を有し、被着体に貼付する側の表面から、JIS K7194に準拠して測定した値であって、具体的には、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本発明の生体貼付用導電性粘着シート(以下、単に「導電性粘着シート」ともいう)は、粘着性樹脂と導電性フィラーとを含む粘着剤層を有するものであればよく、例えば、剥離シートや基材、芯材等の当該粘着剤層以外の構成部材を有していてもよい。
本発明の導電性粘着シートの一態様としては、例えば、図1(a)に示すような、粘着剤層11が、2枚の剥離シート12a、12bで挟持された構成を有する導電性粘着シート1Aが挙げられる。この導電性粘着シート1Aは、剥離シート12a、粘着剤層11、及び剥離シート12bは、この順で積層した構成を有することが好ましい。
図1(b)の導電性粘着シート1Bのように、本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、2層以上からなる多層構造を有するものであってもよい。
また、図1(b)の導電性粘着シート1Bが有する粘着剤層11a、11bは、同一の粘着剤組成物から形成されていてもよく、互いに異なる粘着剤組成物から形成されていてもよい。なお、例えば、粘着剤層11aを生体に貼付する側とし、粘着剤層11bを機器の電極等に貼付する側とした場合には、粘着剤層11a、11bを形成する粘着剤組成物は、それぞれの被着体に種類に応じて、互いに異なるものを使用することが好ましい。
粘着剤層中に芯材を含むことで、粘着剤層の形状安定性を向上させることができる。
なお、導電性粘着シート1Cは、芯材13によって、粘着剤層11が、第1の粘着剤層11aと第2の粘着剤層11bとに分かれているが、粘着剤層11a、11bは、同一の粘着剤組成物から形成されていてもよく、互いに異なる粘着剤組成物から形成されていてもよい。
なお、このような基材付き導電性粘着シートの態様において、取扱性の観点から、図1(d)の導電性粘着シート2のように、粘着剤層11上に、更に剥離シート12が積層したものであることが好ましい。
さらに、基材付き導電性粘着シートの態様においても、図1(b)及び(c)に示されたように、粘着剤層が2層以上からなる多層構造を有するものであってもよく、粘着剤層中に芯材を含む構成を有するものであってもよい。
・要件(I):導電性粘着シートが有する粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量が5.0質量%未満である。
・要件(II):導電性粘着シートが有する粘着剤層の表面抵抗率(ρ)が1.0×108Ω/□以下である。
・要件(III):フェノール樹脂からなる被着体に対する粘着力が5.0N/25mm以上である。
さらに、本発明の一態様の導電性粘着シートは、上記要件(I)〜(III)と共に、下記要件(IV)も満たすことが好ましい。
・要件(IV):導電性粘着シートが有する粘着剤層の表面抵抗率(ρ)に対する、80℃で72時間の加熱処理後の前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ’)の変化量〔(ρ’)/(ρ)〕が500以下である。
粘着剤層に含まれる揮発成分は、雑菌等の繁殖の要因ともなると共に、経時における表面抵抗率の変化量も大きくなる傾向にある。
つまり、揮発成分の含有量が5.0質量%を超えた粘着剤層を有する導電性粘着シートは、衛生面の観点から、生体貼付用での使用に不向きであり、長時間使用した場合に、粘着剤層中の揮発成分が気化することで、表面抵抗率が上昇し、導電性が低下し易い。
一方、本発明の導電性粘着シートは、要件(I)を満たすために、雑菌等の繁殖を抑制し得、衛生面における懸念が少ない。また、経時による表面抵抗率の値の変化に影響を及ぼす揮発成分の含有量が少ないため、経時による表面抵抗率の変化量が小さく、安定した導電性を発現させることができる。
なお、本発明において、「揮発成分」とは、0〜50℃の環境下で気化する成分を指し、具体的には、水や有機溶媒等が挙げられる。
なお、本発明において、「粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量」は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
・粘着剤層を形成する粘着性樹脂として、非エマルション系のアクリル系樹脂やゴム系樹脂を使用することで、揮発成分の含有量の低減が図れ、特に、ゴム系樹脂を含むことが好ましい。
・粘着剤層の形成材料として、粘着性樹脂や導電性フィラー等の成分を配合し、溶媒を加えず、加熱混練機等を使用して調整した粘着剤組成物を使用することで、揮発成分の含有量が低減できる。
・粘着剤層の形成材料として、粘着性樹脂や導電性フィラー等の成分に溶媒を加えた粘着剤組成物の溶液を使用する場合においても、当該粘着剤組成物の溶液から粘着剤層を形成する過程で、十分に溶媒を除去できる程度の乾燥工程を経ることで、揮発成分の含有量が低減できる。
粘着剤層の表面抵抗率(ρ)が1.0×108Ω/□を超える導電性粘着シートでは、例えば、生体の心電図等の生体電気現象について測定することが難しく、生体貼付用の用途としては不向きである。
そのため、本発明の導電性粘着シートの粘着剤層の表面抵抗率(ρ)は、1.0×108Ω/□以下であるが、好ましくは1.0×107Ω/□以下、より好ましくは1.0×106Ω/□以下、更に好ましくは1.0×105Ω/□以下、より更に好ましくは1.0×104Ω/□以下である。
また、人体に過剰に電流が流れることなく安全性を確保できる観点から、本発明の導電性粘着シートの粘着剤層の表面抵抗率(ρ)は、好ましくは1.0×10−2Ω/□以上、より好ましくは1.0×10−1Ω/□以上、更に好ましくは1.0×100Ω/□以上である。
フェノール樹脂からなる被着体に対する粘着力が5.0N/25mm未満である導電性粘着シートは、生体の皮膚表面等への密着性が不十分となり易く、生体からの汗や熱によって、生体の皮膚表面から剥がれ易く、使用に耐え得るものではない。
そのため、本発明の導電性粘着シートのフェノール樹脂からなる被着体に対する粘着力は、好ましくは7.5N/25mm以上、より好ましくは10.0N/25mm以上、更に好ましくは12.0N/25mm以上であり、また、好ましくは50.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下、更に好ましくは20.0N/25mm以下である。
また、「フェノール樹脂からなる被着体」としては、一般社団法人日本衛生材料工業連合会・全国救急絆創膏工業会が作成した救急絆創膏自主基準に準じたものであればよく、具体的には、実施例において当該粘着力の測定に使用される被着体が挙げられる。
さらに、当該粘着力は、JIS Z0237:2000に準拠して、180°引き剥がし法により測定された値であって、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
要件(IV)のとおり、本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層の表面抵抗率(ρ)に対する、80℃で72時間の加熱処理後の前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ’)の変化量〔(ρ’)/(ρ)〕が500以下であることが好ましい。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、上記要件(I)のとおり、揮発成分の含有量が少ないため、経時による表面抵抗率の変化量が小さく、当該変化量〔(ρ’)/(ρ)〕が500以下となり得、長時間の使用に際しても安定した導電性を発現することができる。
当該変化量〔(ρ’)/(ρ)〕としては、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下であり、また、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上、より更に好ましくは0.1以上である。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、粘着性樹脂と導電性フィラーとを含むものであるが、使用する粘着性樹脂の種類に応じて、さらに粘着付与樹脂や架橋剤を含有することが好ましく、一般的に粘着性樹脂と共に使用される汎用添加剤をさらに含有してもよい。
また、当該粘着剤層は、粘着性樹脂及び導電性フィラーと、必要に応じて、上記の粘着付与樹脂や汎用添加剤とを含む粘着剤組成物から形成された層であることが好ましい。
また、「粘着剤組成物に含まれる有効成分」とは、当該粘着剤組成物に含まれる成分から、水や有機溶媒等の溶媒を除いた成分を指す。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層に含まれる粘着性樹脂は、質量平均分子量(Mw)が1万以上の粘着性を有する樹脂を指す。
粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、導電性粘着シートの粘着力を向上させる観点から、好ましくは1万〜200万、より好ましくは2万〜150万である。
これらの粘着性樹脂は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、粘着性樹脂が、上記要件(I)〜(IV)を満たす粘着剤層を形成する観点から、粘着性樹脂が、ゴム系樹脂及びアクリル系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
また、特に、生体の皮膚表面等への密着力が良好であり、経時による表面抵抗率の変化量が小さい粘着剤層を形成する観点、つまり、上記要件(I)、(III)、及び(IV)を満たす粘着剤層を形成する観点から、粘着性樹脂が、ゴム系樹脂を含むことがより好ましい。
このような粘着剤層の構成であれば、生体の皮膚表面等及び機器の電極等の双方の被着体において、優れた粘着力を発現させることができる。
本発明で用いるゴム系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万〜50万、より好ましくは2万〜40万、更に好ましくは2.5万〜35万、より更に好ましくは3万〜30万である。
当該含有量が20質量%以上であれば、形成される粘着剤層中の揮発成分の含有量が少なく、また、経時による表面抵抗率の変化量が小さいため、上記要件(I)及び(IV)を満たす粘着剤層を形成し易くなる。
また、当該含有量が90質量%以下であれば、導電性フィラーや粘着付与樹脂等の含有量を十分に確保できるため、上記要件(II)及び(III)を満たす粘着剤層を形成し易くなる。
これらの中でも、特に上記要件(I)及び(IV)を満たす粘着剤層を形成する観点から、ゴム系樹脂が、芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。
芳香族ビニル化合物を用いることで、溶媒を使用せずに、樹脂の混練で粘着剤組成物を調製できるため、粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量の低減を図ることができる。
これらの中でも、ゴム系樹脂が、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)を含むことが好ましい。
本発明で用いるアクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万〜150万、より好ましくは15万〜130万、更に好ましくは25万〜110万、より更に好ましくは35万〜90万である。
なお、当該アクリル系共重合体は、モノマー(a1’)及び(a2’)以外のその他のモノマー(a3’)に由来する構成単位(a3)を有していてもよい。
また、上述のモノマー(a1’)〜(a3’)は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、当該アクリル系共重合体の共重合の形態は、特に限定されない。つまり、当該アクリル系共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのモノマー(a1’)の中でも、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらのモノマー(a2’)の中でも、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、及び窒素原子含有環を有するモノマーから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層に含まれる導電性フィラーとしては、導電性を有し、上記要件(II)を満たす粘着剤層を形成することができるものであれば使用することができる。
当該導電性フィラーの平均粒子径(平均長径)としては、好ましくは0.01〜2000μm、より好ましくは0.05〜1000μm、更に好ましくは0.07〜500μm、より更に好ましくは0.1〜100μmである。
当該含有量が0.01質量%以上であれば、導電性を向上させ、上記要件(II)を満たす粘着剤層を形成し易くなる。
また、当該含有量が50質量%以下であれば、粘着力を良好とし、上記要件(III)を満たす導電性粘着シートとすることができる。
これらの中でも、上記要件(II)及び(III)を満たすような粘着剤層を形成する観点、並びに、導電性粘着シートの軽量化の観点から、導電性フィラーが炭素系フィラーであることが好ましい。
また、炭素系フィラーの長辺の長さ(H)とは、対象となる炭素系フィラーの高さ方向(長手方向)の長さを意味し、例えば、カーボンナノチューブのような繊維状の炭素系フィラーであれば「繊維長」に該当する。
一方、炭素系フィラーの短辺の長さ(L)とは、対象となる炭素系フィラーの高さ方向(長手方向)と直交する切断面において、当該断面が円又は楕円であれば、直径又は長径であり、当該断面が多角形であれば、当該多角形の外接円の直径を指す。例えば、カーボンナノチューブのような繊維状の炭素系フィラーであれば「繊維径」に該当する。
なお、本発明において、任意に10個選択した炭素系フィラーの長辺の長さの平均値を、上記の「炭素系フィラーの長辺の長さ(H)」の値とみなすこともできる。
なお、本発明において、任意に10個選択した炭素系フィラーの短辺の長さの平均値を、上記の「炭素系フィラーの短辺の長さ(L)」の値とみなすこともできる。
これらの形状の中でも、上記要件(II)及び(III)を満たす導電性粘着シートを得る観点から、本発明で用いる炭素系フィラーとしては、柱状の炭素系フィラー、筒状の炭素系フィラー、及び繊維状の炭素系フィラーから選ばれる1種以上が好ましい。
これらの中でも、上記要件(II)及び(III)を満たす導電性粘着シートを得る観点から、炭素系フィラーが、カーボンナノ材料であることが好ましく、カーボンナノチューブであることがより好ましい。
これらのカーボンナノ材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンナノチューブには、1層の黒鉛シートが円筒状に閉じた構造を有する単層カーボンナノチューブと、2層の黒鉛シートが円筒状に閉じた構造を有する二層カーボンナノチューブと、黒鉛シートが3層以上同心筒状に閉じた多層構造を有する多層カーボンナノチューブとがあり、これらのうちのいずれか2つ以上を併用することもできる。
芳香族ビニル化合物を用いることで、溶媒を使用せずに、樹脂の混練で粘着剤組成物を調製できる。そのため、炭素系フィラーを分散液の形態として添加する必要が無いため、比較的多くの炭素系フィラーを加えることができる。その結果、上記要件(I)〜(IV)
を満たす粘着剤層を形成し易くなる。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、要件(III)を満たす粘着力を発現させる観点から、さらに粘着付与樹脂を含有してもよい。
特に、ゴム系樹脂を含む粘着剤層を有する導電性粘着シートにおいては、当該粘着剤層には、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。
粘着付与樹脂の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400〜4000、より好ましくは800〜1500である。
なお、本発明において、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
なお、本発明において、粘着付与樹脂は、単独で又は軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、要件(III)を満たす粘着力を発現させる観点から、さらに架橋剤を含有してもよい。
特に、アクリル系樹脂(特に、上述の構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体)を含む粘着剤層を有する導電性粘着シートにおいては、当該粘着剤層には、架橋剤を含有することが好ましい。
これらの中でも、要件(III)を満たす粘着力を発現させる観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲において、使用する粘着性樹脂の種類に応じて、一般的に粘着性樹脂と共に使用される汎用添加剤をさらに含有してもよい。
このような汎用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、防錆剤、顔料、染料、硬化剤、硬化助剤、触媒等が挙げられる。
本発明の導電性粘着シートが有する剥離シートとしては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離シート用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離シート用の基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
本発明の導電性粘着シートが有する基材としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性材料を含む絶縁性基材であってもよく、金属等の導電性材料を含む導電性基材であってもよい。
なお、本発明の導電性粘着シートは、上記要件(II)を満たす、表面抵抗率が低い粘着剤層を有するため、基材として、絶縁性基材を用いる場合でも、優れた導電性を有する導電性粘着シートとすることができる。
なお、プラスチックフィルム又はシート等の基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向あるいは二軸方向に延伸されていてもよい。
また、本発明で用いる基材は、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
なお、導電性基材に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金等が挙げられる。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、粘着剤層との密着性の向上効果や操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。また、プライマー処理を施すこともできる。
本発明の導電性粘着シートが有する芯材としては、例えば、上述の基材として使用し得る、絶縁性基材や導電性基材を用いることができる。
これらの中でも、芯材としては、不織布及び金属メッシュから選ばれる1種以上が好ましい。
不織布及び金属メッシュは、間隙を有しているため、この間隙内に粘着剤層の一部が侵入することで、粘着剤層と芯材とが一体化し、粘着剤層の形状維持性を向上させると共に、良好な粘着力及び導電性を維持することができる。
なお、金属メッシュ層に含まれる金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、プラチナ、アルミニウム、鉄、白金、モリブテン、チタン、クロム、コバルト、亜鉛等が挙げられる。
本発明の導電性粘着シートの製造方法としては、公知の方法により製造することができるが、例えば、下記に示す製造方法(1)及び(2)が挙げられる。
・導電性粘着シートの製造方法(1):粘着性樹脂及び導電性フィラーを加熱混練してコンポジットを調製した後、当該コンポジットを公知の成形法によりシート状に成形して、粘着剤層を形成する工程を有する。
・導電性粘着シートの製造方法(2):粘着性樹脂及び導電性フィラーを含む粘着剤組成物の溶液を調製し、剥離シート又は基材上に当該粘着剤組成物の溶液を塗布し塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させて粘着剤層を形成する工程を有する。
以下、製造方法(1)及び(2)について説明する。
導電性粘着シートの製造方法(1)では、粘着性樹脂及び導電性フィラーを加熱混練してコンポジットを調製した後、当該コンポジットを公知の成形法によりシート状に成形して、粘着剤層を形成する工程を有する。
この製造方法(1)においては、溶媒を使用しないため、形成される粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量を低減させることができ、当該粘着剤層が、上記要件(I)及び(IV)を満たすように調整することが容易となる。
当該加熱混練装置により得られたコンポジットを成形する方法としては、例えば、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられ、圧縮成形法が好ましい。
なお、図1(c)に示すような、芯材13を有する導電性粘着シート1Cは、調製したコンポジットと芯材13とを、同時に、2枚の剥離シートもしくは基材及び剥離シートで挟み込むことで製造することができる。
また、図1(b)に示すような、粘着剤層が2層以上からなる多層構造である導電性粘着シート1Bは、2つの粘着剤層11a、11bを、それぞれ別の剥離シート12a、12b上に形成した後、ラミネート、ヒートプレス、ヒートラミネート等で、2つの粘着剤層付き剥離シートを貼り合わせる方法が挙げられる。
導電性粘着シートの製造方法(2)では、粘着性樹脂及び導電性フィラーを含む粘着剤組成物の溶液を調製し、剥離シート又は基材上に当該粘着剤組成物の溶液を塗布し塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させて粘着剤層を形成する工程を有する。
導電性粘着シートの製造方法(2)において、より具体的には、下記の工程(i)〜(iii)を有することが好ましい。
・工程(i):導電性フィラーを溶媒中に分散させ、導電性フィラーの分散液を調製する工程。
・工程(ii):工程(i)で得た導電性フィラーの分散液と、粘着性樹脂とを混合し、粘着剤組成物の溶液を調製する工程。
・工程(iii):剥離シート又は基材上に、工程(ii)で得た粘着剤組成物の溶液を塗布し塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させて粘着剤層を形成する工程。
工程(i)では、導電性フィラーを溶媒中に分散させ、導電性フィラーの分散液を調製する。
導電性フィラーの分散液の形態とすることで、低粘度の状態で粘着性樹脂と混合することができる。特に、導電性フィラーとして炭素系フィラーを用いる場合には、当該炭素系フィラー同士が近接しやすくなり、炭素系フィラーのネットワークが形成され易くなる。その結果、要件(II)を満たすような、表面抵抗率を低い粘着剤層を形成することができる。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
これらの中でも、工程(iii)の塗布膜を乾燥させる際に、容易に除去し易い溶媒が好適であり、具体的には、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好ましい。
本工程で得られる導電性フィラーの分散液の固形分濃度としては、好ましくは0.01〜60質量%、より好ましくは0.05〜45質量%、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
工程(ii)では、工程(i)で得た導電性フィラーの分散液と、粘着性樹脂とを混合し、粘着剤組成物の溶液を調製する。
導電性フィラーの分散液と粘着性樹脂とを混合後、適宜、撹拌機等を用いて十分に均一に撹拌することが好ましい。
本工程で得られる粘着剤組成物の溶液の固形分濃度(有効成分濃度)としては、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは3〜45質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
工程(iii)では、剥離シート又は基材上に、工程(ii)で得た粘着剤組成物の溶液を塗布し塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させて粘着剤層を形成する。
剥離シート又は基材上への粘着性組成物の溶液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
塗布膜の乾燥条件としては、使用する溶媒等により適宜設定されるが、上記要件(I)及び(IV)を満たす粘着剤層を形成する観点から、80〜130℃で1分〜2時間乾燥することが好ましく、90〜120℃で2分〜1時間乾燥することがより好ましい。
・2枚の剥離シートもしくは基材及び剥離シート上に粘着剤層11a、11bをそれぞれ形成した後、2つの粘着剤層11a、11bを重ね合わせて得る方法。
・第1の粘着剤層11aを形成後に、第1の粘着剤層11a上に第2の粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物を塗布して第2の粘着剤層11bを形成する方法。
・2つの粘着剤層11a、11bの形成材料である粘着剤組成物をそれぞれ、多層ダイコーター等を用いて同時に塗布し、乾燥して、粘着剤層11a、11bを形成する方法。
また、図1(c)に示すような、芯材13を有する導電性粘着シート1Cは、2枚の剥離シートもしくは基材及び剥離シート上に、粘着剤層11a、11bをそれぞれ形成し、芯材を2つの粘着剤層11a、11bの間に挟み込むことで製造することができる。
本発明の導電性粘着シートは、優れた粘着力を有すると共に、経時による表面抵抗率の低下を抑制し得、安定した導電性を発現することができ、且つ、雑菌等の繁殖を抑制し得る。
そのため、本発明の導電性粘着シートは、人体や動物等の生体の皮膚等に貼付する粘着シートとして有用である。
より具体的には、心電図測定器、AED(自動体外式除細動器)、マッサージ機器、低周波治療器、及びこれら機器を小型化したウェアラブル機器等に用いられる、生体の皮膚と電極とに貼付される導電性粘着シートとして好適である。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−H」、「TSK gel GMHXL」(2本)、及び「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、製品名「S−4700」)を用いて、無作為に抽出した導電性フィラーの粒子10個を観察して、それぞれの長辺の長さ及び短辺の長さを測定した。
そして、測定した導電性フィラーの粒子10個の長辺の長さ及び短辺の長さの平均値を、それぞれ、当該導電性フィラーの「長辺の長さ(H)」及び「短辺の長さ(L)」とした。また、当該導電性フィラーのアスペクト比は、「長辺の長さ(H)/短辺の長さ(L)」より算出した。
表1に示す種類及び配合量(固形分比)の各成分を調製し、加熱混練機(株式会社東洋精機製作所製、製品名「30C150」)を用いて、160℃で、50回転/分の速さで、均一になるまで混練し、粘着剤組成物A〜Cをそれぞれ調製した。
そして、調製した粘着剤組成物A〜Cを、それぞれ、基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー」、厚さ50μm)と、剥離シート(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET751130」、厚さ75μm)の剥離処理面との間に挟み込み、ホットプレス機(テスター産業株式会社製、製品名「SA−302」)を用いて、130℃、10MPaの条件下で10分間熱プレスした。
そして、基材、粘着剤層、及び剥離シートをこの順に積層した導電性粘着シートを得た。各導電性粘着シートが有する粘着剤層の厚さは表1に記載のとおりであった。
実施例3で用いた同じ粘着剤組成物Cと、芯材であるニッケルからなる金属メッシュ(厚さ35μm)とを、2枚の剥離シート(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET751130」、厚さ75μm)の剥離処理面の間に挟み込み、上記ホットプレス機を用いて、120℃、10MPaの条件下で10分間プレスした。
そして、粘着剤層が2枚の剥離シートに挟持され、当該粘着剤層に芯材を含む構成を有する導電性粘着シートを得た。当該導電性粘着シートが有する各粘着剤層の厚さは表1に記載のとおりであった。
芯材として、不織布(シンワ株式会社製、製品名「7130−P25」、厚さ180μm)を用いた以外は、実施例4と同様にして、粘着剤層が2枚の剥離シートに挟持され、当該粘着剤層に芯材を含む構成を有する導電性粘着シートを得た。当該導電性粘着シートが有する各粘着剤層の厚さは表1に記載のとおりであった。
(1)粘着剤組成物D〜Fの溶液の調製
表1に示す種類及び配合量(固形分比)の導電性フィラーを酢酸エチル中に添加し、超音波洗浄機を用いて、超音波(42kHz、125W)による振動を1時間与えて、固形分濃度0.5質量%の導電性フィラーの分散液を調製した。
そして、調製した導電性フィラーの分散液に、表1に示す種類及び配合量(固形分比)の各成分を加え、さらに酢酸エチルで希釈し、十分に撹拌して、固形分濃度10質量%の粘着剤組成物D〜Fの溶液を調製した。
(2)粘着シートの作製
調製した粘着性組成物D〜Fの溶液を、それぞれ、剥離シート(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET751130」、厚さ75μm)の剥離処理面上に、塗布して塗布膜を形成し、当該塗膜を90℃で1分間乾燥して、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
さらに、当該粘着剤層の表出した表面上に、基材であるPETフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー」、厚さ50μm)を貼り合わせて、基材、粘着剤層、及び剥離シートをこの順に積層した導電性粘着シートを得た。
<粘着性樹脂>
・ゴム系樹脂(1):日本ゼオン株式会社製、製品名「Quintac(R)3421」、SIS樹脂及びSI樹脂の混合物(SIS/SI=74/26(質量%))、スチレン含有量=14質量%。Mw19万。
・ゴム系樹脂(2):日本ゼオン株式会社製、製品名「Quintac(R)3520」、SIS樹脂及びSI樹脂の混合物(SIS/SI=22/78(質量%))、スチレン含有量=15質量%。Mw16万。
・アクリル系樹脂(1):n−ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリロイルモルホリン(ACMO)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を共重合してなる、Mw100万のアクリル共重合体(構成単位比率:BA/MA/ACMO/HEA=80.0/5.0/14.0/1.0(質量%))。
・アクリル系樹脂(2):n−ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AAc)を共重合してなる、Mw60万のアクリル共重合体(構成単位比率:BA/AAc=90.0/10.0(質量%))。
・アクリル系樹脂(3):n−ブチルアクリレート(BA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を共重合してなる、Mw50万のアクリル共重合体(構成単位比率:BA/HEA=95.0/5.0(質量%))。
・CNT(1):ナノシル社製、製品名「NC 7000」、多層カーボンナノチューブ、平均アスペクト比(H/L):150、長辺の長さ(H):1.5μm、短辺の長さ(L):10nm。
・CNT(2):Korea Kumho Petrochemical社製、製品名「K−nanos 100P」、平均アスペクト比(H/L):200、長辺の長さ(H):2μm、短辺の長さ(L):10nm。
・粘着付与樹脂:ヤスハラケミカル株式会社製、製品名「YSレジンPX1150N」、テルペン系粘着付与樹脂、軟化点=115℃。
・可塑剤:株式会社MORESCO製、製品名「モレスコホワイトP−350P」、流動パラフィン。
・充填材:東海ミネラル株式会社製、製品名「シリカES−D25」、平均粒径25μmのシリカフィラー。
・架橋剤(1):三井化学株式会社製、製品名「タケネートD−110N」、イソシアネート系架橋剤。
・架橋剤(2):東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」、イソシアネート系架橋剤。
導電性粘着シートを25mm×300mmに切断し、剥離シート(実施例4及び5では2枚のうち一方の剥離シート)を除去して、粘着剤層の表面を表出させたものを試験片とし、当該試験片の初期質量(W0)を測定した。
そして、当該試験片の粘着剤層の表面を表出させた状態で、80℃、dryの環境下(超低湿の環境下)で、72時間静置した後の当該試験片の質量(W)を測定し、下記計算式から揮発成分の含有量を算出した。
計算式:揮発成分の含有量(質量%)=[初期質量(W0)−質量(W)]/初期質量(W0)×100
なお、当該試験片が有する粘着剤層以外の構成部材である「基材」、「剥離シート」、「芯材」についても、それぞれ単独で、上記の方法で揮発成分の含有量を測定したが、いずれもほぼ0質量%であり、揮発成分は含まれていないことを確認した。そのため、上記計算式から算出された「試験片の揮発成分の含有量」は、「粘着剤層の揮発成分の含有量」とみなすことができる。
導電性粘着シートを20mm×40mmに切断し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置したものを試験片として使用した。
当該試験片の剥離シート(実施例4及び5では2枚のうち一方の剥離シート)を除去して、表出した粘着剤層の表面に対して、低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名「ロレスタGP MCP−T610型」)を用いて、JIS−K7194に準拠して、表面抵抗率を3回測定し、その平均値を当該導電性粘着シートの初期の表面抵抗率(ρ)とした。
さらに、上記と同じ別の試験片を80℃で72時間の加熱処理をし、当該試験片の剥離シート(実施例4及び5では2枚のうち一方の剥離シート)を除去して、表出した粘着剤層の表面に対して、上述と同じ方法にて、当該導電性粘着シートの加熱後の表面抵抗率(ρ’)の値を得た。
なお、表2中の「表面抵抗率の変化量」は、上記の表面抵抗率(ρ’)と表面抵抗率(ρ)との比[ρ’/ρ]から算出した値である。
導電性粘着シートを20mm×20mmに切断し、剥離シート(実施例4及び5では2枚のうち一方の剥離シート)を除去して、表出した粘着剤層の表面を被着体であるフェノール樹脂板(利昌工業株式会社製、製品名「リソライトPS1143S」)に2kgのローラーを用いて貼付し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置した。
なお、実施例4及び5においては、被着体に貼付後、他方の剥離シートを除去し、表出した粘着剤層の表面に、当該粘着剤層と同じ大きさのPETフィルムを2kgのローラーを用いて貼付した後、上記と同じ環境下で、24時間静置した。
上記の環境下で24時間静置後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、粘着力を測定した。
市販品である、EMS機器用ゲルパッド(クルールラボ株式会社製、製品名「CL−SP−920PAD」)を試験片とし、上述の測定法に従い、当該ゲルパッドが有する粘着剤層の「揮発成分の含有量」、「表面抵抗率」、及び「粘着力」の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
なお、「粘着力」の測定に際しては、12.5mm幅で測定した実測値を、25mm幅の値に換算したものを「粘着力」として表2に記載している。
市販品である、低周波治療器用ゲルパッド(積水化成品工業株式会社製、製品名「SR−5090」)の電極部分を取り除いたものを試験片とし、上述の測定法に従い、当該ゲルパッドが有する粘着剤層の「揮発成分の含有量」、「表面抵抗率」、及び「粘着力」の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
なお、「粘着力」の測定に際しては、12.5mm幅で測定した実測値を、25mm幅の値に換算したものを「粘着力」として表2に記載している。
また、当該導電性粘着シートが有する粘着剤層の揮発成分の含有量が少なく、雑菌等の発生が抑制し得るため、当該導電性粘着シートは、人体や動物等の生体の皮膚等に貼付する粘着シートとして有用である。
11、11a、11b 粘着剤層
12、12a、12b 剥離シート
13 芯材
14 基材
Claims (13)
- 粘着性樹脂と、導電性フィラーとを含む粘着剤層を有する、生体に貼付する用途で使用される導電性粘着シートであって、
当該粘着剤層に含まれる揮発成分の含有量が5.0質量%未満であり、
当該粘着剤層の表面抵抗率(ρ)が1.0×108Ω/□以下であり、
フェノール樹脂からなる被着体に対する粘着力が5.0N/25mm以上である、生体貼付用導電性粘着シート。 - 前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ)に対する、80℃で72時間の加熱処理後の前記粘着剤層の表面抵抗率(ρ’)の変化量〔(ρ’)/(ρ)〕が500以下である、請求項1に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着性樹脂が、ゴム系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記ゴム系樹脂が、芳香族系ビニル化合物を含む、請求項3に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着剤層が、さらに粘着付与樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着剤層に含まれる導電性フィラーの含有量が、当該粘着剤層の全質量に対して、0.01〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記導電性フィラーが、炭素系フィラーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記炭素系フィラーが、カーボンナノチューブである、請求項7に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着剤層が、2層以上からなる多層構造を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着剤層が、2枚の剥離シートに挟持された構成を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 基材の少なくとも一方の表面上に、前記粘着剤層が積層した構成を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記粘着剤層中に芯材を含む構成を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
- 前記芯材が、不織布及び金属メッシュから選ばれる1種以上からなる、請求項12に記載の生体貼付用導電性粘着シート。
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