JP2017056692A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙層とバイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層とシーラント層とが積層された積層体において、クラックの発生を抑制することができる積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも、紙層1、ポリエステル樹脂層2、第1のシーラント層3が積層された積層体10であって、ポリエステル樹脂層2が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含んでなり、前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むポリエステル樹脂層2を構成要素とする積層体10。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関し、より詳細にはバイオマスポリエステル樹脂を用いた積層体に関する。
医薬品、化粧品、食品などの商品を充填するための包装材料の製造には、成形のし易さやコスト等の観点から化石燃料由来の材料であるプラスチックが主として用いられており、これらのプラスチック材料は化石資源である石油から生産されている。包装容器用の材料として汎用されているプラスチック材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが使用されている。中でも、ポリエステル系樹脂は、その機械的特性、化学的安定性、耐熱性、透明性などに優れ、かつ安価であることから、フィルム、シート、包装容器など各種産業用途に広く使用されている。
ポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合して得られ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、エチレングリコールとテレフタル酸とを原料として、両者をエステル化反応させた後に重縮合反応させて製造されている。これらの原料は、化石資源である石油から生産され、例えば、エチレングリコールはエチレンから、テレフタル酸はキシレンから工業的に生産されている。
近年、このような化石燃料由来の材料に対して、環境に配慮して様々な用途で石油代替原料を使用する動きが年々強まってきており、CO排出削減を図るため、化石燃料からの脱却が望まれている。こうした化石燃料の使用削減の試みとして、包装材料として、各種の樹脂の原料の一部にバイオマス原料を用いたバイオマスプラスチックの実用化が進んでいる。一例として、ポリエステル樹脂では、モノマー成分であるエチレングリコールとしてバイオマス由来のものを用いたものが実用化されており、このようなバイオマス由来原料を含むポリエステル樹脂を、包装材料に適用することも提案されている。例えば、特許文献1には、バイオマス由来のエチレングリコールと化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて得られたポリエステル(以下、バイオマスポリエステルとも言う。)を含む樹脂フィルムを基材層とした包装用フィルム等が提案されている。また、特許文献2には、バイオマスポリエステルを50〜95質量%の割合で含む樹脂を用いてフィルムとした場合であっても、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂を用いたフィルムと遜色ない物性が得られることも提案されている。
特開2012−96469号公報 特開2012−97163号公報
ところで、ポリエステル樹脂等を基材層とした包装用フィルムには、内層側にシーラント層が設けられており、外層側(基材層側)からヒートシールすることにより包装体の形態とされる。シールする際に雄型と雌型でフィルムを押圧することもある。本発明者らは、このようなシールを行った場合やフィルムを折り曲げた際、バイオマスポリエステル樹脂を基材層として用いると、フィルムにクラックが発生することに気付いた。そして、鋭意検討した結果、バイオマスポリエステルを構成するジカルボン酸成分として、テレフタル酸に加えてイソフタル酸が含有されることにより、上記したようなクラックの発生が抑制できる、との知見を得た。本発明は係る知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、紙層と、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と、シーラント層とが積層された積層体において、柔軟性を向上させることができる積層体を提供することである。
本発明による積層体は、少なくとも、紙層、ポリエステル樹脂層、第1のシーラント層が順に積層された積層体であって、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含んでなり、
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むことを特徴とするものである。
本発明においては、少なくとも、前記紙層、バリア層、前記ポリエステル樹脂層、および前記第1のシーラント層が積層された積層体であってもよい。
また、本発明においては、少なくとも、第2のシーラント層、前記紙層、前記ポリエステル樹脂層、前記第1のシーラント層が積層された積層体であってもよい。
また、本発明においては、前記第1のシーラント層が、化石燃料由来またはバイオマス由来の樹脂材料を含み、前記樹脂材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ乳酸からなる群より選択される樹脂を含んでいてもよい。
本発明によれば、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂層を備えた積層体において、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸とを含むことにより、柔軟性を向上させることができる積層体を実現することができる。
本発明による積層体の層構成の実施形態を簡略に示す断面図。 本発明による積層体の層構成の他の実施形態を簡略に示す断面図。 本発明による積層体の層構成の他の実施形態を簡略に示す断面図。 本発明による積層体の層構成の他の実施形態を簡略に示す断面図。 液体紙容器の一例を示す斜視図。 紙カップの一部を切除した斜視図。 紙カップの別の実施形態を示す一部を破断した正面図。
[定義]
本明細書において、
「ポリエステル」とは、ジオール単位とジカルボン酸単位との重縮合反応により得られる重合体を意味する。
また、「化石燃料ポリエステル」とは、化石燃料由来のジオールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする重合体を意味する。
また、「バイオマスポリエステル」とは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする重合体を意味する。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体10は、少なくとも、紙層1と、ポリエステル樹脂層2と、第1のシーラント層3とが積層された積層体であり、例えば、図1に示すように、少なくとも、紙層1と、ポリエステル樹脂層2と、第1のシーラント層3とが順に積層された積層体とすることができる。本発明においては、紙層1、ポリエステル樹脂層2、バリア層4、第1のシーラント層3が積層された積層体としてもよい。例えば、図2に示すように、紙層1、バリア層4、ポリエステル樹脂層2、第1のシーラント層3が順に積層された積層体としてもよいし、図示しないが、紙層1、ポリエステル樹脂層2、バリア層4、第1のシーラント層3が順に積層された積層体としてもよい。また、本発明の別の実施形態として、図3に示すように、第2のシーラント層6と、紙層1と、ポリエステル樹脂層2と、第1のシーラント層3とが順に積層された層構成であってもよい。また、図4に示すように、紙層1、接着樹脂層5、バリア層4、ポリエステル樹脂層2、第1のシーラント層3が順に積層された積層体としてもよい。以下、本発明による積層体を構成する各層について説明する。
[ポリエステル樹脂層]
本発明による積層体を構成するポリエステル樹脂層2は、バイオマスポリエステル樹脂を含んでなる。バイオマスポリエステルは、上記したように、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。本発明においては、バイオマスポリエステルの共重合成分であるジカルボン酸単位として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むことに特徴を有している。従来のバイオマスポリエステルは、バイオマス由来のエチレングリコールとテレフタル酸とを重縮合して得られたものであったため、バイオマスポリエステル樹脂を基材層として用いた積層体では、該積層体を用いて包装体を作製するとクラックが発生することがあった。本発明はこの問題に着目し、バイオマスポリエステルの酸成分であるジカルボン酸単位として、テレフタル酸に加えてイソフタル酸を含有させることにより、積層体の柔軟性を向上させることができることを見出した。以下、本発明に使用されるバイオマスポリエステルについて説明する。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法などにより得ることができる。また、販売されているバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から販売されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
ジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸が使用されるが、化石燃料由来のジカルボン酸として、テレフタル酸およびイソフタル酸を必須成分として含む。本発明においては、ジカルボン酸単位としてテレフタル酸に加えてイソフタル酸を含むことにより、得られるバイオマスポリエステルの柔軟性が向上し、その結果、積層体とした場合の耐クラック性が改善されるものと考えられる。イソフタル酸の含有量は、バイオマスポリエステルを構成する全ジカルボン酸単位に対して、0.5〜2.5モル%であることが好ましく、1.0〜2.5モル%であることがより好ましい。イソフタル酸の含有量が0.5モル%未満であると柔軟性が向上しない場合があり、一方、2.5モル%を超えるとバイオマスポリエステルの融点が下がり耐熱性が不十分となる場合がある。
バイオマスポリエステルは、上記したジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。具体的には、上記のジオール単位とジカルボン酸単位とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法、または有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法などによって製造することができる。
バイオマスポリエステルを製造する際に用いるジオール単位の使用量は、ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化および/またはエステル交換反応および/または縮重合反応中の留出があることから、0.1〜20モル%過剰に用いられる。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
得られたバイオマスポリエステルは、固化させた後、さらに重合度を高めたり、環状三量体などのオリゴマーを除去したりするため、必要に応じて固相重合を行ってもよい。具体的には、バイオマスポリエステルをチップ化して乾燥させた後、100〜180℃の温度で1時間〜8時間加熱してバイオマスポリエステルを予備結晶化させ、続いて、190〜230℃の温度で、不活性ガス雰囲気下または減圧下において1時間〜数十時間加熱することにより行われる。
得られるバイオマスポリエステルの固有粘度は、0.5dl/g〜1.5dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.6dl/g〜1.2dl/gである。固有粘度が0.5dl/g未満の場合は、引裂き強度をはじめ、半透過反射フィルム基材としてバイオマスポリエステルフィルムに要求される機械特性が不足する可能性がある。他方、固有粘度が1.5dl/gを超えると、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれる。なお、固有粘度は、オルトクロロフェノール溶液で、35℃において測定される。
バイオマスポリエステルは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、バイオマスポリエステル中の全炭素に対して10〜30%含まれることが好ましい。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、バイオマスポリエステル中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、バイオマスポリエステル中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、下記式(1)のように定義する。
bio(%)=PC14/105.5×100 ・・・(1)
本発明の積層体を構成するポリエステル樹脂層2は、他の成分を含んでいてもよい。ポリエステル樹脂層2は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、ポリエステル樹脂層2中の全炭素に対して10〜30%含まれることが好ましく、15〜25%含まれることがより好ましい。ポリエステル樹脂層2に含まれる他の成分としては、化石燃料由来のポリエステルやリサイクルポリエステル等のポリエステルであってもよく、また、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル樹脂が含有されていてもよい。
上記したような樹脂を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することによりポリエステル樹脂層2を形成することができる。具体的には、上記した樹脂組成物を乾燥させた後、ポリエステルの融点以上の温度(Tm)〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することによりフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
上記のようにして得られたフィルムは2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出されたフィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50〜100℃の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、ポリエステルフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
縦延伸されたフィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して二軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50〜100℃の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合はフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
横延伸のあと、続いて熱固定処理を行うが、好ましい熱固定の温度範囲は、ポリエステルのTg+70〜Tm−10℃である。また、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。さらに熱収縮率の低滅が必要な用途については、必要に応じて熱弛緩処理を行ってもよい。
上記のようにして得られる樹脂フィルムは、延伸フィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5〜100μm程度であり、好ましくは5〜25μmである。このような樹脂フィルムの破断強度は、MD方向で5〜40kg/mm、TD方向で5〜35kg/mmであり、また、破断伸度は、MD方向で50〜350%、TD方向で50〜300%である。また、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1〜5%である。
[第1のシーラント層]
第1のシーラント層3は、包装体とした場合に最内層となるものである。第1のシーラント層3は、熱によって相互に融着し得るヒートシール性樹脂により形成される層である。第1のシーラント層3は、化石燃料由来の樹脂材料を含んでいてもよいし、バイオマス由来の樹脂材料を含んでいてもよい。
第1のシーラント層3を形成する樹脂材料としては、熱によって相互に融着し得る樹脂であれば、特に限定されず、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、ヒートシール性エチレン・ビニルアルコール樹脂、または、共重合した樹脂メチルペンテン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたは環状オレフィンコポリマーなどのポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他などの樹脂などが挙げられる。これらは、単独でも二種以上の混合物として使用してもよい。シーラント層は、上記のような樹脂のフィルムないしシート、あるいはそのコーティング膜などとして使用することができる。
第1のシーラント層3を形成する樹脂材料として、ポリエチレンを用いる場合、その原料として、化石燃料から得られるエチレンの他に、バイオマス由来のエチレンを重合したものを用いてもよい。バイオマス由来のエチレンとしては、具体的には、例えば、特開2012―251006号公報に記載のものを使用することができる。バイオマス由来のエチレンを重合して得られたポリエチレンを、第1のシーラント層3を構成する材料として用いることにより、カーボンニュートラルな材料からなる層で形成できるため、ポリエステル樹脂層2との併用によって、より一層、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
バイオマス由来のエチレンとしては、市販のものを使用してもよく、例えば、ブラスケム社製の「C4LL−LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)」のサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂や「SBC118(d=0.918、MFR=8.1g/10分)」のサトウキビ由来低密度ポリエチレン系樹脂を使用することができる。
なお、本実施形態においては、第1のシーラント層3は一層としているが、第1のシーラント層3は二層以上設けられていてもよい。第1のシーラント層3を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。例えば、シーラント層2を第1の層と第2の層と第3の層が順に積層された3層で構成し、第1の層と第3の層を化石燃料由来の樹脂材料とし、第2の層をバイオマス由来の樹脂材料を含む樹脂材料としてもよい。なお、シーラント層2を2層以上で構成する場合、共押し出し法を用いて積層することができる。
第1のシーラント層3の厚さとしては、20〜200μmが好ましく、30〜130μmがより好ましい。
積層体の一方の面にシーラント層をラミネートする方法としては、例えば、ドライラミネーション法、溶融押出しラミネーション法などが挙げられる。また、上記の積層を行う際に、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理、その他などの前処理をフィルムに施すことができる。中でも、ドライラミネーション法が、接着強度に優れ、より好ましい。また、上記と同様の方法によって、図4に示したような積層体の両面側にシーラント層を設けることができる。
[第2のシーラント層]
第2のシーラント層6は、包装体とした場合に最外層となるものである。第2のシーラント層6は、熱によって相互に融着し得るヒートシール性樹脂により形成される層である。第2のシーラント層6は、第1のシーラント層3と同じ材料を使用することができる。
[紙層]
紙層1としては、所望の剛性などに応じて任意の紙を使用することができ、例えば、上質紙、模造紙、アート紙、コート紙、純白ロール紙、クラフト紙、耐水性を高めたラベル用紙、コップ原紙、カード紙、アイボリー紙、マニラボールなどの板紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、合成紙、クレイコート紙などの公知の紙を使用することができる。
紙層1上に他の層を積層させる前に、紙層の表面にコロナ放電処理、フレーム処理などを施してもよい。これらの処理を施すことで層間の接着強度を向上させることができる。コロナ放電処理は、公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気中に紙基材を通過させることにより行うことができる。フレーム処理は、公知のフレーム処理器を用い、紙基材表面を火で炙ることにより行うことができる。
紙層1の坪量は、約80〜600g/mであり、好ましくは、坪量約150〜450g/mである。
本発明による積層体は、上記したポリエステル樹脂層2、第1のシーラント層3および紙層1以外に、バリア層、支持体層、印刷層などその他の層を備えていてもよい。これら他の層は、ドライラミネーション法により接着剤層を介して、あるいは溶融押出しラミネーション法により接着樹脂層を介して互いに積層することができる。以下、各層について説明する。
[バリア層]
バリア層4は、酸素ガスなどガスの透過を阻止するガスバリア性、あるいは水蒸気などの透過を阻止する水蒸気バリア性を有する層として機能する。バリア層4としては、例えば、アルミニウム箔など金属を圧延して得られた金属箔からなる層、アルミニウムなどの無機物や酸化珪素や酸化アルミニウムなどの無機酸化物を真空製膜することにより得られる薄膜層からなる層、ガスバリア性塗布膜からなる層、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂層などを使用することもできる。バリア層は、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は、特に限定されない。ガスバリア性塗布膜は、1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、ゾルゲル法によって重縮合して得られる膜であり、具体的には、例えば、特開2012―96469号公報に記載のものを使用することができる。バリア層を構成するEVOHとしては、具体的には、例えば、特開2008―307847号公報に記載のものを使用することができる。なお、バリア層4は二層以上設けられてもよい。バリア層4を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。また、バリア層4は、ポリエステル樹脂層2の両面にそれぞれ一層以上設けられてもよい。
[支持体層]
支持体層は、積層体を支持し、積層体の強度特性や耐衝撃性などを向上させることができるものであれば、特に限定されるものではない。支持体層は、化石燃料由来の樹脂材料を含んでいてもよいし、バイオマス由来の樹脂材料を含んでいてもよい。支持体層3を形成する樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミドなどが挙げられる。また、支持体層は延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがさらに好ましい。また、支持体層は、これらの層を一層単独または二層以上を組み合わせて使用することができる。
支持体層を構成する材料として用いることができるポリエステルは、従来公知の化石燃料由来のポリエステルの他、バイオマス由来のポリエステルを用いることができる。また、ポリエステルは、従来の化石燃料由来の原料を含む樹脂材料とバイオマス由来の原料を含む樹脂材料とを混合したものであってもよい。
また、支持体層を構成するバイオマス由来の樹脂材料としてはポリ乳酸を用いてもよく、例えば、三井化学東セロ社から販売されているポリ乳酸フィルムを好適に使用することができる。
支持体層の厚みは、例えば5〜100μmであり、積層体の使用用途によって適宜調整してよく、例えば、剛性が要求される用途の包装材として積層体を使用する場合には、支持体層の厚みを厚くしてもよい。
また、支持体層をバイオマス由来の原料を含む樹脂材料を用いて形成することで、支持体層はカーボンニュートラルな樹脂からなる層となる。このため、ポリエステル樹脂層1との併用によって、より一層、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
支持体層は、例えば、インフレーション法やTダイ法を用いて作製することができる。
[接着層]
ドライラミネーション法により2層を接着する際に設ける接着層は、積層しようとする層の表面に、接着剤層を塗布して乾燥させることにより形成することができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。塗布量としては、0.1g/m〜10g/m(乾燥状態)が好ましく、1g/m〜5g/m(乾燥状態)がより好ましい。
溶融押出しラミネーション法により2層を接着する際に設ける接着層は、熱可塑性樹脂である接着樹脂層を用いて溶融押出しラミネーション法により形成される。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用できることは言うまでもない。例えば、紙層1、接着樹脂層5、バリア層4、ポリエステル樹脂層2、第1のシーラント層3が順に積層された積層体において、バリア層が金属を含む場合、接着樹脂層5をエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)とすることにより、紙層1とバリア層4の接着性を向上させることができる。
接着樹脂層5の厚さとしては、通常、5〜800μm、好ましくは10〜500μmの範囲内で適宜設定することができ、厚い場合には多層構成としてよい。厚さがこの範囲未満では、水分バリア性が不足し、この範囲以上では、過剰品質となり、また成形性も低下する。なお、接着層として、上記したような酸変性ポリオレフィン系樹脂などの極性基を有するポリオレフィン系樹脂を用いて溶融押出しラミネート法によりポリエステル樹脂層の面上に接着層を積層する場合には、アンカーコート剤などの表面処理を行うことなく接着層を積層させることができる。
[印刷層]
印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、紙層1の外面に設けることができる。印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示のために、文字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。
このように、本発明による積層体は、紙層1、ポリエステル樹脂層2および第1のシーラント層3を備えたものであり、ポリエステル樹脂層2が、カーボンニュートラルな材料からなる層で形成され、かつ、イソフタル酸を含んでいる。このため、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、従来のテレフタル酸のみを含むバイオポリエステルよりも柔軟性に優れている。そのため、後述する実施例の仕様において、クラックの発生を抑制することができる。
[用途]
本発明による積層体は、包装袋、紙容器、紙カップ、各種ラベル材料、蓋材、シート成型品、ラミネートチューブ等の用途に好適に使用することができる。包装袋として、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型などの種々の形態が挙げられる。その場合の積層体の厚みは、用途に応じて、適宜決定することができ、例えば、30〜300μm、好ましくは35〜180μmの厚みのフィルムの形態で用いられる。
[紙容器]
本発明による積層体を用いて紙容器を形成した場合について説明する。紙容器20は、例えば、図3に示す積層体に罫線加工を施した後、形成することができる。図5に示すように、紙容器20は、側面を含む四角筒状の胴部21と、四角板状の底部22と、上部23とを有しており、所謂ゲーベルトップ型容器となっている。
上部23は、対向する一対の傾斜板24と、一対の傾斜板24間に位置するとともに傾斜板24間に折込まれる一対の折込部25とを有している。また、一対の傾斜板24は各々の上端に設けられたのりしろ26により互いに接着している。なお、一対の傾斜板24のうちの一方の傾斜板に注出口を取付け、注出口をキャップで密封するようにしてもよい。紙容器20は、例えば、液体紙容器として使用することができる。また、図3に示す積層体を用いて、フラットトップ型容器を形成してもよい。
[紙カップ]
本発明による積層体を用いて紙カップを形成した場合について説明する。紙カップ30は、例えば、図1に示す積層体を用いて形成することができる。図6は、紙カップの一部を切除した斜視図である。図6に示すように、紙カップ30は、上部にフランジ部31を有し、かつ直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部32と、胴部32の下端(一端)に設けられた底部33とを備えている。胴部32は、その上端が外側に丸められたフランジ部31が設けられている。なお、紙カップ30は、内容物を収納した後に、胴部32のフランジ部31に沿って蓋材(図示せず)が貼着されることにより密封される。蓋材はガスバリア性を有していることが好ましい。
また、紙カップ30は、図7に示すように、胴部32の外周に外装体34を備えていてもよい。外装体34としては、例えば、紙を用いることができる。そして、胴部32には凸部35が形成されている。凸部35は、胴部32と外装体34との間に空気層の間隙36を設けるために形成される。凸部35は水平方向に一本以上設けられ、例えば、図7に示すように二本設けることができる。
[柔軟性の評価]
ここで、ポリエステル樹脂1を備えた積層体を用いて柔軟性を評価した結果を示す。
<参考例1>
<積層体1の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のイソフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム1を準備した。ポリエステルフィルム1は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。また、イソフタル酸の含有量は、バイオマスポリエステルを構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.0モル%であり、ポリエステルフィルム1におけるイソフタル酸の含有量は、ポリエステルフィルム1を構成する全ジカルボン酸単位に対して、1.33モル%であった。
上記ポリエステルフィルム1の一方の面にコロナ処理を施し、コロナ処理面に、印刷層(絵柄)を形成した。次に、サンドラミネート法を用いて、ポリエステルフィルム1の印刷面と、アルミニウム箔(厚さ7μm)とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ15μm)を介して貼合した。さらに、サンドラミネート法を用いて、該アルミニウム箔と、化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m、厚さ40μm)とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ15μm)を介して貼合し、ポリエステルフィルム1、印刷層、低密度ポリエチレン、アルミニウム箔、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体1を得た。
<参考例2>
<積層体2の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸のみとバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム2を準備した。ポリエステルフィルム2は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。
上記ポリエステルフィルム1の代わりに上記ポリエステルフィルム2を用いた以外は、参考例1と同様に作製して、ポリエステルフィルム1、印刷層、低密度ポリエチレン、アルミニウム箔、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体2を得た。
<柔軟性評価>
上記積層体1および2を用いて、ポリエステルフィルム1および2の柔軟性(ループスティフネス)を評価した。評価結果を表1に示す。ここで、MD方向はポリエステルフィルムの搬送方向を指し、TD方向はMD方向と直交する方向を指す。
柔軟性は以下のようにして評価した。まず、サンプルを幅15mmおよび長さ165mmに切り出して、それぞれ試験片を得た。そして、この試験片をループ長60mmでループスティフネステスター(テスター産業(株)製)を用いて各積層体の腰強度値(mN/15mm)を測定した。評価結果は表1に示される通りであった。この評価結果は、ポリエステルフィルム1のほうが軟らかいことを示すものである。
Figure 2017056692
<実施例1>
<積層体3の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のイソフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム1を準備した。ポリエステルフィルム1は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。また、イソフタル酸の含有量は、バイオマスポリエステルを構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.0モル%であり、ポリエステルフィルム1におけるイソフタル酸の含有量は、ポリエステルフィルム1を構成する全ジカルボン酸単位に対して、1.33モル%であった。
次に、サンドラミネート法を用いて、上記ポリエステルフィルム1の一方の面と、化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m、厚さ40μm)とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ15μm)を介して貼合した。次に、ドライラミネート法を用いて、ポリエステルフィルム1の他方の面とアルミニウム箔(厚さ7μm)とを貼合した。また、押出しラミネート法を用いて、紙(坪量400g/m)の一方の面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ20μm)を積層した。最後に、サンドラミネート法を用いて、該アルミニウム箔と、紙(坪量400g/m)の他方の面とを化石燃料由来のエチレンメタクリレート(EMAA、厚さ20μm)を介して貼合して、低密度ポリエチレン、紙、エチレンメタクリレート、アルミニウム箔、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体3を得た。そして、雄型と雌型で押圧することにより積層体3に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた後、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにして、図5に示す紙容器を作製した。
<実施例2>
<積層体4の作製>
化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m、厚さ40μm)の代わりにバイオマス由来の低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC118、密度0.918g/m、厚さ40μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作製して、低密度ポリエチレン、紙、エチレンメタクリレート、アルミニウム箔、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが積層された積層体4を得た。そして、雄型と雌型で押圧することにより積層体4に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた後、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにして、図5に示す紙容器を作製した。
<実施例3>
<積層体5の作製>
押出しラミネート法を用いて、上記ポリエステルフィルム1の一方の面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ40μm)を積層した。次に、サンドラミネート法を用いて、紙(坪量270g/m)と、上記ポリエステルフィルム1の他方の面とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ15μm)を介して貼合して、紙、低密度ポリエチレン、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体5を得た。また、紙(坪量250g/m)に印刷層を形成した。そして、積層体5を用いて胴部32および底部33を形成した後、胴部32の外周に印刷層を設けた紙を印刷層が外側になるように巻くことにより、図7に示す紙カップを作製した。
<実施例4>
<積層体6の作製>
最内層の化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m、厚さ40μm)の代わりにバイオマス由来の低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC118、密度0.918g/m、厚さ40μm)を用いた以外は、実施例3と同様に作製して、紙、低密度ポリエチレン、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体6を得た。また、紙(坪量250g/m)に印刷層を形成した。そして、積層体6を用いて胴部32および底部33を形成した後、胴部32の外周に印刷層を設けた紙を印刷層が外側になるように巻くことにより、図7に示す紙カップを作製した。
<比較例1>
<積層体7の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸のみとバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム2を準備した。ポリエステルフィルム2は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。
上記ポリエステルフィルム1の代わりに上記ポリエステルフィルム2を用いた以外は、実施例1と同様に作製して、低密度ポリエチレン、紙、エチレンメタクリレート、アルミニウム箔、ポリエステルフィルム2、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体7を得た。そして、積層体7に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた後、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにして、図5に示す紙容器を作製した。
<クラックの評価>
雄型と雌型で押圧することにより、上記積層体3および上記積層体7に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた。その後、アルコール溶液を収容してブランクを製函して図5に示す紙容器を作製した後、1週間経過後のアルミニウム箔の腐食を目視により観察した。積層体3は、アルミニウム箔の腐食は観察されなかった。一方、ポリエステルフィルム2を用いた積層体7は、アルミニウム箔の腐食が観察された。これは、罫線加工によりポリエステルフィルム2にクラックが発生した結果、低密度ポリエチレンフィルムの面からアルコール溶液がポリエステルフィルム2を通過してアルミニウム箔まで達したことを示すものである。
1 紙層
2 ポリエステル樹脂層
3 第1のシーラント層
4 バリア層
5 接着樹脂層
6 第2のシーラント層
10 積層体
20 液体紙容器
21 胴部
22 底部
23 上部
24 傾斜板
25 折込部
26 のりしろ
30 紙カップ
31 フランジ部
32 胴部
33 底部
34 外装体
35 凸部
36 空隙

Claims (4)

  1. 少なくとも、紙層、ポリエステル樹脂層、第1のシーラント層が積層された積層体であって、
    前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含んでなり、
    前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むことを特徴とする、積層体。
  2. 少なくとも、前記紙層、バリア層、前記ポリエステル樹脂層、および前記第1のシーラント層が積層された請求項1に記載の積層体。
  3. 少なくとも、第2のシーラント層、前記紙層、前記ポリエステル樹脂層、前記第1のシーラント層が積層された請求項1に記載の積層体。
  4. 前記第1のシーラント層が、化石燃料由来またはバイオマス由来の樹脂材料を含み、前記樹脂材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ乳酸からなる群より選択される樹脂を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
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