JP2017056456A - 水蒸気分離体とそれを用いた除湿装置 - Google Patents

水蒸気分離体とそれを用いた除湿装置 Download PDF

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Koichi Harada
耕一 原田
亮介 八木
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亮介 八木
ひとみ 斉藤
Hitomi Saito
ひとみ 斉藤
奈央 小林
Nao Kobayashi
奈央 小林
米津 麻紀
Maki Yonezu
麻紀 米津
末永 誠一
Seiichi Suenaga
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Abstract

【課題】実用的でかつ効率的な除湿を可能にする水蒸気分離体を提供する。
【解決手段】実施形態の水蒸気分離体は、第1の空間と第2の空間との間に配置され、第2の空間の水蒸気圧を第1の空間の水蒸気圧より低くすることにより、第1の空間内に存在する水蒸気を第2の空間に透過させるために用いられる。実施形態の水蒸気分離体12は、第1の面14aと、第1の面14aと対向する第2の面14bと、第1の面14aから第2の面14bに通じる細孔13とを有する多孔質体14と、多孔質体14の細孔13内に存在する水溶性吸湿剤15とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、水蒸気分離体とそれを用いた除湿装置に関する。
家庭用エアコン等の空調技術においては、冷媒およびエネルギー効率の両面で技術が進展し、それに伴ってより快適な生活環境が求められている。このため、温度ばかりでなく、調湿、換気、気流調整、空気清浄等の空気調和機の多機能化が進んでいる。エネルギー効率の向上は、ここ最近のエネルギー不足からも最重要課題となっている。高温多湿のアジア諸国においても、生活水準の向上に伴って、調湿、特に除湿は重要と考えられており、これを省エネで行うことで環境負荷の小さい空調が実現できる。現在主流となっているコンプレッサー等を用いた冷媒冷却による除湿では、空気を冷却して水蒸気を凝縮すると共に、冷却した空気を再加熱して温度調整するために、多大のエネルギーを要する。このため、消費電力が増加することから、環境負荷の大きさが課題となっている。
これに対して、デシカント空調等の除湿装置は、水蒸気を吸着する吸湿材を用いた吸湿器で室内の水分を吸着した後に、これを温めて屋外に排出するため、冷媒式の除湿より省エネ性に優れている。吸湿材としては、例えば多孔質セラミックスやゼオライト等の多孔質体に、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等の塩化物や臭化物からなる潮解性物質を含浸担持させたものが知られている。しかしながら、吸湿材(調湿材)は水を吸着し続けることで飽和するため、再生処理が必要となる。吸湿材の再生処理は、吸着した水を排出させるために、吸湿材を加熱することにより行われる。このような吸湿材の再生処理を冷房と併用することは、非効率的であると指摘されている。
現行の空調方式に代わる省エネで低コストの手法として、再生処理を必要としない水蒸気分離体を用いた連続除湿方式が検討されている。水蒸気分離体を用いた調湿装置の構造としては、ポリエチレンやフッ素樹脂等を用いた2枚の水蒸気透過性膜間に塩化リチウム水溶液等の液体吸収剤を充填した水蒸気分離体を、調湿する室内等の空間と室外等の空間との間に配置した構造が挙げられ、室内の空気と液体吸収剤との間で水蒸気透過性膜を介して水蒸気の授受が行われる。しかしながら、水蒸気透過性膜は破損しやすく、さらにこの方式では水蒸気の移動速度が遅いため、効率的に除湿を行うことが難しい。
特開2011−143358号公報 特開2012−066157号公報 特開平7−328375号公報
本発明が解決しようとする課題は、実用的でかつ効率的な除湿を可能にする水蒸気分離体とそれを用いた除湿装置を提供することにある。
実施形態の水蒸気分離体は、第1の空間と第2の空間との間に配置され、第2の空間の水蒸気圧を第1の空間の水蒸気圧より低くすることにより、第1の空間内に存在する水蒸気を第2の空間に透過させる水蒸気分離体であって、第1の面と、第1の面と対向する第2の面と、第1の面から第2の面に通じる細孔とを有する多孔質体と、多孔質体の細孔内に存在する水溶性吸湿剤とを具備する。
実施形態の除湿装置は、第1の空間と、第1の空間に通じる第2の空間と、第1の面を第1の空間に露出させ、かつ第2の面を第2の空間に露出させつつ、第1の空間と第2の空間との間を仕切るように設けられた、実施形態の水蒸気分離体と、第2の空間の水蒸気圧が第1の空間の水蒸気圧より低くなるように、第2の空間の水蒸気圧を調整する水蒸気圧調整部とを具備し、第1の空間内に存在する水蒸気を、水蒸気分離体を介して第2の空間に透過させる装置である。
実施形態の除湿装置の構成を示す図である。 図1に示す除湿装置に用いられる水蒸気分離体を示す断面図である。 図2に示す水蒸気分離体の使用例を示す断面図である。 図1に示す除湿装置の第1の変形例を示す図である。 図1に示す除湿装置の第2の変形例を示す図である。
以下、実施形態の水蒸気分離体とそれを用いた除湿装置について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下等の方向を示す用語は、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある。
図1は実施形態の除湿装置の構成を示している。図1において、Rは除湿の対象空間Rxを構成する部屋を示しており、部屋Rは吸気口Raを有している。除湿装置1は、除湿対象の空間Rx内の空気から水蒸気(水分)を除去するために、部屋Rに設けられている。ここで、空間Rx内の空気は、基本的に水蒸気(水分)と乾燥空気とにより構成されている。除湿装置1は、除湿モジュール2と、空間Rx内の空気を除湿モジュール2に送る送風機3と、除湿モジュール2の一部を減圧する減圧ポンプ4とを備えている。空間Rxと送風機3とは配管5により接続され、送風機3と除湿モジュール2とは配管6により接続され、除湿モジュール2と空間Rxとは配管7により接続されている。除湿モジュール2と減圧ポンプ4とは、配管8により接続されている。
除湿モジュール2は、第1の空間S1を構成する除湿室(第1の通風路)9と、第2の空間S2を構成する減圧室(第2の通風路)10と、除湿室9と減圧室10とを接続する接続路11と、除湿室9と減圧室10とを仕切るように、接続路11内に配置された水蒸気分離体12とを有している。除湿モジュール2の除湿室9内には、送風機3を稼働させることにより配管5、6を介して空間Rx内の空気が送られる。除湿室9内で除湿された空気は、配管7を介して空間Rxに返送される。減圧室10は、除湿室9内の圧力(第1の空間S1の圧力)と減圧室10内の圧力(第2の空間S2の圧力)との間に差が生じるように、減圧ポンプ4により排気される。
水蒸気分離体12は、図2に示すように、細孔13を有する多孔質体14と、多孔質体14の細孔13内に存在する水溶性吸湿剤15とを備えている。多孔質体14は、例えば直方体形状を有し、除湿室9内(第1の空間S1)に露出される第1の面14aと、減圧室10内(第2の空間S2)に露出される第2の面14bと有している。多孔質体14内に設けられた細孔13は、第1の面14aから第2の面14bに通じている。水溶性吸湿剤15は、水分を吸収してウエットシールを形成するものである。多孔質体14は、セラミックス材料、金属材料、有機材料、炭素材料、もしくはこれらの複合材料により構成され、開放気孔を有している。水溶性吸湿剤15としては、第1族元素や第2族元素のクエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物塩、酸化物塩、水酸化物塩、硫酸塩等が用いられる。水蒸気分離体12は当初より水分を含んでいてもよいし、水蒸気分離体12の使用時に水分を含ませるようにしてもよい。水蒸気分離体12の構成については、後に詳述する。なお、図2では水溶性吸湿剤15が細孔13内に偏析しているように示しているが、水溶性吸湿剤15の存在形態はこれに限定されるものではなく、細孔13の内壁全体または一部に薄く均一に付着していてもよい。
除湿装置1に用いられる水蒸気分離体12は、図3に示すように、気体を透過する支持体16により支持されていてもよい。図3は一対の支持体16を水蒸気分離体12の両面に沿って配置した状態を示しているが、支持体16は水蒸気分離体12の一方の面のみに沿って配置してもよい。支持体16には、セラミックス材料、金属材料、有機材料、炭素材料、もしくはこれらの複合材料からなる、開放気孔を有する多孔質体、パンチング材料、メッシュ材料等が用いられ、例えば紙、ポリイミド多孔体、パンチングメタル等が例示される。支持体16は、数μm径以上の貫通孔を有していることが好ましいが、これに限定されるものではない。
水蒸気分離体12は、支持体16上に直接形成してもよい。例えば、コールドスプレー法やエアロゾルデポジション法等により多孔質体を形成した後、水溶性吸湿剤を含浸させる等の方法で作製してもよい。また、孔径の大きな生セラミックス基材上に、孔径がより細かい水蒸気分離体12の多孔質体14を形成する生セラミックス材を層状に形成し、これを焼結することで多層の多孔質材としてもよい。ここでの多層多孔質材はセラミックスとしたが、これに限定されるものではなく金属や樹脂で形成してもよい。形状もシート状に限定されるものではなく、ハニカム状やチューブ状であってもよい。
除湿対象の空間Rx内の空気は、上述したように送風機3により除湿モジュール2の除湿室9内に送られる。送風機3と同時に減圧ポンプ4を稼働させ、減圧室10内を減圧することによって、除湿室9内の圧力と減圧室10内の圧力との間に差を生じさせる。この圧力差によって、減圧室10内の水蒸気圧(第2の空間S2の水蒸気圧)が除湿室9内の水蒸気圧(第1の空間S1の水蒸気圧)より小さくなる。この水蒸気圧差と水溶性吸湿剤15に保持されている水分とによって、水蒸気分離体12を介して配置された除湿室9と減圧室10との間で水蒸気(水分)の移動が起こる。
水蒸気分離体12を介して水蒸気(水分)を移動させるにあたって、減圧室10内の圧力が除湿室9内の圧力に対して−50kPa以下となるように、減圧ポンプ4で減圧室10内を減圧することが好ましい。言い換えると、除湿室9内の圧力と減圧室10内の圧力との差が50kPa以上となるように、減圧室10内を減圧することが好ましい。この圧力差が50kPa未満であると、除湿室9内から減圧室10内への水蒸気(水分)の移動を十分に促進できないおそれがある。さらに、除湿室9と減圧室10との圧力差は100kPa未満であることが好ましい。圧力差が大きすぎると、水蒸気分離体12を構成する多孔質体14が破損するおそれが生じる。除湿室9と減圧室10との圧力差は80〜90kPaの範囲であることがより好ましい。
図1に示す除湿装置1においては、減圧室10内を減圧する減圧ポンプ4で除湿室9と減圧室10との間に水蒸気圧差を生じさせているが、水蒸気圧の調整部はこれに限られるものではない。例えば、減圧室10(第2の空間S2)に乾燥空気や加熱空気を導入するようにしてもよい。これらによっても、除湿室9と減圧室10との間に水蒸気圧差を生じさせることができる。図1に示す除湿装置1において、除湿室9と減圧室10との間に水蒸気圧差を生じさせる水蒸気圧調整部は、特に限定されるものではなく、水蒸気圧差を生じさせることが可能な各種の機構を適用することができる。
水蒸気圧が相対的に高い除湿室9内の空気中に含まれる水蒸気(水分)は、水蒸気分離体12内の水溶性吸湿剤15に吸収される。水蒸気分離体12内の水分は、水蒸気圧が相対的に低い減圧室10内に透過する。除湿室9内の水蒸気圧と減圧室10内の水蒸気圧と水蒸気分離体12内の水分量等のバランスによって、除湿室9内の空気中に含まれる水蒸気(水分)の水蒸気分離体12による吸収と水蒸気分離体12内の水分の減圧室10内への放出とが連続して起こる。従って、空間Rxから除湿室9内に送られた空気中の水分量を減少させて除湿することができる。除湿された空気は、空間Rxに返送される。減圧室10内に透過した水分は、配管8および減圧ポンプ4を介して外部に排出される。減圧室10内に透過した水分は、加湿が必要な部屋等の第3の空間に送るようにしてもよい。実施形態の水蒸気分離体12は、除湿と加湿とを兼ねる装置に使用することもできる。
実施形態の除湿装置1においては、水蒸気分離体12がウエットシールを形成しているため、除湿室9内の空気中に含まれる水分のみを減圧室10内に移動させることができる。すなわち、除湿室9と減圧室10との間では、基本的には空気中の水分のみを移動させ、空気中の乾燥空気はほとんど移動しない。従って、除湿対象の空間Rxの温度をほとんど変動させることがない。空間Rxの温度をほとんど変動させることなく、空間Rx内を除湿することによって、例えば空間Rxの冷房と併用する場合においても、熱効率を低下させるおそれがない。除湿装置1を冷房と併用する際の熱効率を高めることができる。
実施形態の除湿装置1の構造は、図1に示す構造に限定されるものではない。図4は減圧室10(第2の空間S2)に外部の空気を取り込む配管20を接続した構造を示している。図4に示す除湿装置1では、減圧室10内に外部の空気を取り込みながら減圧室10内が減圧される。配管20は弁21を有している。実施形態の除湿装置1は、種々に変形することができる。図1および図4では第1の空間S1を除湿モジュール2の除湿室9に設定したが、第1の空間S1はこれに限定されるものではない。図5に示すように、第1の空間S1は除湿対象の空間Rxそのものであってもよい。すなわち、第2の空間S2となる減圧室10を、第1の空間S1となる空間Rxと水蒸気分離体12を介して配置してもよい。この場合、減圧室10を減圧することによって、除湿対象の空間Rx(第1の空間S1)内の空気から水蒸気(水分)が直接除去される。第1の空間S1および第2の空間S2の設定は、種々に変更することができる。
次に、水蒸気分離体12について詳述する。水蒸気分離体12を構成する水溶性吸湿剤14には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)等の第1族元素またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等の第2族元素(以下、元素Aとも言う。)のクエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物塩、酸化物塩、水酸化物塩、硫酸塩等が用いられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。水溶性吸湿剤14の具体例としては、塩化カルシウム(CaCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸カリウム(KPO)、クエン酸ナトリウム(Na(CO(COO))等)、クエン酸カリウム(K(CO(COO))等)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、硫酸リチウム(LiSO)等やこれらの水和物が挙げられる。
多孔質体14は、セラミックス材料、金属材料、有機材料、炭素材料、もしくはこれらの複合材料により構成される。セラミックス材料としては、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)等の元素(以下、元素Bとも言う。)の酸化物、窒化物、炭化物、もしくはこれらの複合化合物が挙げられる。金属材料としては、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ジルコニウム、銅等の金属元素(以下、元素Cとも言う。)やこれらを含む合金が挙げられる。有機材料としては、主鎖または側鎖に不飽和結合を含む樹脂、エステル結合を含む樹脂、ハロゲンを含む樹脂、エーテル環を含む樹脂、アミド結合を含む樹脂、イミド結合を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、ケイ素を含む樹脂、セルロース系樹脂、これらの共重合体、天然繊維等が例示される。有機材料の具体例としては、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、アクリル繊維、木綿、羊毛、レーヨン、アクリル繊維、アセテート繊維等が挙げられる。
多孔質体14の体積気孔率(多孔質体14内の細孔13の体積率)は10〜80%の範囲であることが好ましい。多孔質体14の体積気孔率が10%未満であると、細孔13を通過できる水蒸気が減少するため、除湿室9内からの水分の吸収量および減圧室10への水分の放出量が不十分になるおそれがある。多孔質体14の体積気孔率が80%を超えると、多孔質体14の強度が低下し、除湿装置1の連続運転を妨げるおそれがある。水蒸気分離率や水蒸気透過速度の観点から、多孔質体14の体積気孔率は10〜50%の範囲であることがより好ましく、さらに20〜50%の範囲であることが望ましい。ただし、多孔質体14の体積気孔率は、水蒸気分離体12に求められる性質に応じて設定することが好ましい。例えば、水蒸気分離率や水蒸気透過速度等の除湿特性を高めたい場合には、体積気孔率を比較的高めに設定することが好ましい。一方、水蒸気分離体12の機械的強度等を高めたい場合、あるいは水蒸気分離体12を低コスト化したい場合には、体積気孔率を比較的低めに設定することが好ましい。
多孔質体14の細孔13は、孔径が10nm〜1μmの範囲の細孔を50体積%以上含んでいることが好ましい。細孔13の最大孔径は3μm以下であることが好ましい。上記した孔径を有する細孔の量が50体積%未満(例えば、孔径が1μmを超えるような細孔の体積率が多い)であったり、また最大孔径が3μmを超えると、ウエットシール性が低下したり、また除湿室9内からの水分の吸収と減圧室10への水分の放出のバランスが低下し、除湿性能が低下するおそれがある。上記した孔径を有する細孔の量は70体積%以上であることがより好ましく、さらに100体積%であることが望ましい。細孔13の最大孔径は2μm以下であることがより好ましく、さらに1μm以下であることが望ましい。なお、多孔質体14の体積気孔率や細孔13の形状(細孔の体積率や最大孔径)は、水銀圧入法により測定した値を示すものである。
さらに、細孔13の孔径は水蒸気分離体12に求められる特性に応じて設定することが好ましい。例えば、水蒸気分離体12による水蒸気分離率を高めたい場合、細孔13は孔径が10〜100nmの範囲の細孔を50体積%以上含んでいることが好ましい。この場合、細孔13の最大孔径は300nm以下であることが好ましい。一方、水蒸気分離体12による水蒸気透過速度を高めたい場合、細孔13は孔径が100nm〜1μmの範囲の細孔を50体積%以上含んでいることが好ましい。この場合、細孔13の最大孔径は3μm以下であることが好ましく、さらに2μm以下であることがより好ましい。水蒸気分離体12の特性は、多孔質体14の体積気孔率にも影響されるため、体積気孔率を考慮して細孔13の孔径を設定することが好ましい。
実施形態の水蒸気分離体12において、多孔質体14の細孔13内に存在させる水溶性吸湿剤15の量は、多孔質体14をセラミックス材料や金属材料で構成する場合、セラミックス材料を構成する元素Bまたは金属材料を構成する元素Cに対する水溶性吸湿剤15を構成する元素Aの比(A/BまたはA/C:原子比)が0.004〜0.4の範囲となるように調整することが好ましい。A/B比またはA/C比が0.004未満であると、水溶性吸湿剤15の量が不足する。また、A/B比またはA/C比が0.4を超えるほど、多孔質体14の細孔13内に水溶性吸湿剤15を存在させることは困難である。A/B比またはA/C比は0.008〜0.25の範囲であることがより好ましい。水溶性吸湿剤15は、細孔13の内壁に均一に分布させてもよいし、偏在させてもよい。
水蒸気分離体12の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下のようにして作製される。まず、所望の孔径を有する細孔13を備える多孔質体14を作製する。例えば、アルミナや酸化亜鉛等のセラミックス材料を用いる場合には、原料粉末を成型した後に焼結して多孔質体14を作製する。多孔質体14は、上述した有機繊維、あるいはロックウール、セラミックウール、ガラスウール等の無機繊維を用いて作製してもよい。次いで、水溶性吸湿剤15を水に溶解して水溶液とした後、これを多孔質体に含浸させてから乾燥させることで、水蒸気分離体12を得る。乾燥させるのは取扱上便利なためであり、乾燥させなくてもよい。水蒸気分離体12は、当初から水分を含んでいてもよい。多孔質体14の原料粉末に水溶性吸湿剤15を混ぜた後に、成型および焼結してもよい。
除湿装置1に用いられる水蒸気分離体12は、少なくとも除湿装置1の運転時において、水分を含んでいることが好ましい。水蒸気分離体12に含まれる水分量は、多孔質体14の体積(細孔13の体積を除く多孔質体14の実体積)V1に対する水の体積V2の比(V2/V1)が0.01〜4の範囲となるように設定することが好ましい。体積比V2/V1が0.01未満であると、水蒸気分離体12によるウエットシール性が低下するおそれがある。体積比(V2/V1)が4を超えるほど、多孔質体14中に水分を存在させることは困難である。多孔質体14とそれに含まれる水の体積比(V2/V1)は0.5〜4の範囲であることがより好ましく、さらには0.5〜1の範囲であることが望ましい。なお、水の体積V2とは、水溶性吸湿剤15を含んだ状態での体積を意味している。
実施形態の水蒸気分離体12を用いた除湿装置1によれば、水蒸気分離体12によるウエットシールの安定性を高めた上で、水蒸気分離率αと水蒸気透過速度Vとを両立させることができる。これによって、再生処理を伴わない連続除湿による除湿性能を高めることできる。さらに、水蒸気分離体12は多孔質体14内に水溶性吸湿剤15を存在させることで構成しているため、水蒸気分離体12の機械的強度等を高めることができると共に、水蒸気分離体12の低コスト化を図ることができる。従って、実用的でかつ効率的な除湿装置1を提供することが可能となる。水蒸気分離体12の特性は、求められる除湿性能だけでなく、水蒸気分離体12が設置される環境等に応じて設定することができる。例えば、除湿性能が多少低下しても、水蒸気分離体12が設置される過酷な環境等に対応させたいような場合には、水蒸気分離体12の機械的強度等をより一層高めることが好ましい。さらに、除湿性能に関しても、水蒸気分離率αと水蒸気透過速度Vのいずれが重視されるかによって、水蒸気分離体12の特性を設定することができる。
水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vは、以下のようにして定義される。水蒸気分離率αは、水と乾燥空気の透過量の割合であり、下記(1)式で定義される。
α=(N4water/N4air)/(N3water/N3air) …(1)
式(1)において、(N3water/N3air)は除湿室9(第1の空間S1)に供給させる空気に含まれる水と乾燥空気のモル比、(N4water/N4air)は減圧室10(第2の空間S2)から排出される空気に含まれる水と乾燥空気のモル比である。αが1であれば、除湿側空間S1から減圧側空間S2に水と乾燥空気が同じ割合で流れることを意味する。αが100であれば、除湿側空間S1から減圧側空間S2への水の透過に対して乾燥空気の透過が1/100に低減されることを意味する。
水蒸気透過速度Vは、下記(2)式で定義される。
V=ΔMH2O/A/Δt …(2)
式(2)において、ΔMH2Oは減圧側空間S2で回収される水の量であり、Aは水蒸気分離体12の面積、Δtは時間である。なお、水蒸気透過速度Vの測定に用いた空気は、パブリングにより加湿した。
次に、実施例とその評価結果について述べる。
(実施例1)
平均粒径が0.18μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のポリビニルブチラール(PVB)のアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、さらに1000℃で焼結することによって、厚さ1mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は10〜200nmであり、孔径が10〜100nmの細孔の比率は90体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は100体積%であった。また、焼結多孔質体の体積気孔率は42%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.11であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α>100、水蒸気透過速度V=2000g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.72であった。
(実施例2)
平均粒径が0.15μmの高純度ZnO粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、さらに1000℃で焼結することによって、厚さ1mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は10〜150nmであり、孔径が10〜100nmの細孔の比率は70体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は100体積%であった。また、焼結多孔質体の体積気孔率は35%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Zn比は0.12であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α>100、水蒸気透過速度V=1500g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.54であった。
(実施例3)
実施例1で作製した水蒸気分離体を用いて、図1に示した除湿装置を構成した。第2の空間を減圧することによって、第1の空間に供給される空気中の水分量を減少させた。これによって、部屋内の空間を除湿した。除湿対象の空間は、当初温度が40℃、相対湿度が80%であったが、除湿装置を1時間運転することによって、相対湿度が60%にまで低下した。除湿装置は、第1の空間に対する第2の空間の圧力を−80kPaに設定して運転した。この際、対象空間の温度は40℃±1℃の範囲で安定していた。なお、第1の空間に対する第2の空間の圧力を−100kPaに設定して運転したところ、水蒸気分離体が変形してガス漏れが生じた。
(実施例4)
実施例3で構成した除湿装置において、水蒸気分離体をパンチングメタルにて支持した状態でセットし、同様な除湿実験を行った。除湿装置は、第1の空間に対する第2の空間の圧力を−90kPaに設定して運転した。この状態で除湿装置を1時間運転することによって、相対湿度は80%から50%にまで低下した。この際、対象空間の温度は40℃±1℃の範囲で安定していた。
(実施例5)
実施例1と同様な方法で作製した水蒸気分離体について、乾燥直後に水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定した。除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、測定開始直後は水蒸気分離率α=1、水蒸気透過速度V=400g/h/mであったが、徐々にαが上昇すると共にVが低下し、数分でα>100、水蒸気透過速度V=2000g/h/mとなった。本材料は、乾燥空気を流した場合にはウエットシールが形成されずに、ガス(乾燥空気)がそのまま透過する。このため、測定開始直後はウエットシールが完成しておらず、ガスがほとんどそのまま透過するため、αが小さく、Vが大きいと考えられる。
(比較例1)
厚さが5μm、体積気孔率がほとんど無い緻密膜で、細孔径が0.4〜10nmと予想されるゼオライトを厚さ1mmの多孔質基材上に製膜した。これを水蒸気分離体として用いて、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定した。除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率αは100以上であったが、水蒸気透過速度Vは500g/h/mであった。さらに、比較例1のゼオライトは薄膜であるため、それ自体の機械的強度が低く、また製造コストも高くなる。このため、比較例1のゼオライトでは、実用的な除湿装置を構成することができなかった。なお、薄膜状のゼオライトは、水銀圧入法での評価が困難であるため、SEM像から気孔率を推測し、また文献値とSEM像から細孔径を推測した。
(実施例6)
平均粒径が1μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1300℃で焼結することによって、厚さ1.5mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は20nm〜1μmであり、孔径が10〜100nmの細孔の比率は60体積%、孔径が100nm〜1μmの細孔の比率は40体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は100体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は38%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.2であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α>100、水蒸気透過速度V=2000g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.61であった。
(実施例7)
平均粒径が2μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1350℃で焼結することで、厚さ2mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は100nm〜1.5μmであり、孔径が100nm〜1μmの細孔の比率は70体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は70体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は33%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.2であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α=50、水蒸気透過速度V=3500g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.58であった。
(実施例8)
平均粒径が0.5μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1200℃で焼結することで、厚さ2mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は30nm〜1.3μmであり、孔径が100nm〜1μmの細孔の比率は70体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は80体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は40%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.2であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α=20、水蒸気透過速度V=4000g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.67であった。
(実施例9)
平均粒径が0.18μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)と平均粒径が1.5μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)との混合物に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1200℃で焼結することによって、厚さ1mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は10nm〜1.2μmであり、孔径が10〜100nmの細孔の比率は40体積%、孔径が100nm〜1μmの細孔の比率は50体積%、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は90体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は25%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.2であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α=10、水蒸気透過速度V=3000g/h/mであった。また、数時間試験を行っても、水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vの低下は認められなかった。さらに、1カ月後に同様の測定をしても変化は認められなかった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.33であった。
(実施例10)
実施例8で作製した水蒸気分離体を用いて、図5に示した除湿装置を構成した。第2の空間を減圧することによって、第1の空間に存在する空気中の水分量を減少させた。これによって、部屋内の空間を除湿した。除湿対象の空間は、当初温度が30℃、相対湿度が80%であったが、除湿装置を30分運転することによって、相対湿度が55%にまで低下した。除湿装置は、第1の空間に対する第2の空間の圧力を−80kPaに設定して運転した。この際、対象空間の温度は40℃±1℃の範囲で安定していた。
(実施例11)
実施例8で作製した水蒸気分離体を用いて、図5に示した除湿装置を構成した。第2の空間を減圧することによって、第1の空間に存在する空気中の水分量を減少させた。これによって、部屋内の空間を除湿した。除湿対象の空間は、当初温度が30℃、相対湿度が70%であったが、除湿装置を10分運転することによって、相対湿度が60%にまで低下した。除湿装置は、第1の空間に対する第2の空間の圧力を−80kPaに設定して運転した。この際、対象空間の温度は40℃±1℃の範囲で安定していた。
(参考例1)
市販のアルミナ多孔体を用意した。このアルミナ多孔体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は20〜3000nmであり、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は40体積%であった。アルミナ多孔体の体積気孔率は43%であった。このアルミナ多孔体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、水蒸気分離体を作製した。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α=1、水蒸気透過速度V=4500g/h/mであった。この水蒸気分離体を用いて、実施例10と同様にして除湿試験を行ったところ、除湿は行われなかった。
(実施例12)
平均粒径が0.18μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1350℃で焼結することによって、厚さ3mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は10〜100nm、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は100体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は11%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.02であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α>100、水蒸気透過速度V=150g/h/mであった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.12であった。
(実施例13)
平均粒径が0.18μmの高純度Al粒子(純度99.99%以上)に、濃度5%のPVBのアセトン溶液を添加し、乳鉢で混合した後に、金型に充填して1t/cmの圧力で成型し、1250℃で焼結することによって、厚さ3mmの焼結多孔質体を作製した。焼結多孔質体の細孔形状等を水銀圧入法により測定したところ、細孔径は10〜100nm、孔径が10nm〜1μmの細孔の比率は100体積%であった。焼結多孔質体の体積気孔率は15%であった。
上記した焼結多孔質体にCaClの飽和水溶液を含浸して乾燥させることによって、目的とする水蒸気分離体を得た。水蒸気分離体のCa/Al比は0.02であった。水蒸気分離体の水蒸気分離率αおよび水蒸気透過速度Vを測定したところ、除湿(吸着)側への供給空気の温度が40℃、飽和蒸気の条件において、水蒸気分離率α>100、水蒸気透過速度V=300g/h/mであった。測定後に多孔質体の体積に対する水の体積の比を求めたところ、0.18であった。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…除湿装置、2…除湿ユニット、3…送風機、4…減圧ポンプ、9…除湿室、10…減圧室、11…接続路、12…水蒸気分離体、13…細孔、14…多孔質体、15…水溶性吸湿剤、16…支持体、S1…第1の空間、S2…第2の空間S2。

Claims (14)

  1. 第1の空間と第2の空間との間に配置され、前記第2の空間の水蒸気圧を前記第1の空間の水蒸気圧より低くすることにより、前記第1の空間内に存在する水蒸気を前記第2の空間に透過させる水蒸気分離体において、
    第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に通じる細孔とを有する多孔質体と、前記多孔質体の前記細孔内に存在する水溶性吸湿剤とを具備する水蒸気分離体。
  2. 第1の空間と第2の空間との間に配置され、前記第2の空間の水蒸気圧を前記第1の空間の水蒸気圧より低くすることにより、前記第1の空間内に存在する水蒸気を前記第2の空間に透過させる水蒸気分離体であって、
    第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に通じる細孔とを有する多孔質体と、前記多孔質体の前記細孔内に存在する水溶性吸湿剤と、前記水溶性吸湿剤に保持された水とを具備する水蒸気分離体。
  3. 前記多孔質体の体積気孔率が10%以上80%以下である、請求項1または請求項2に記載の水蒸気分離体。
  4. 前記多孔質体の前記細孔は、孔径が10nm以上1μm以下の細孔を50体積%以上含む、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水蒸気分離体。
  5. 前記多孔質体の前記細孔の最大孔径が3μm以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の水蒸気分離体。
  6. 前記水溶性吸湿剤は、第1族元素または第2族元素からなる第1の元素のクエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物塩、酸化物塩、水酸化物塩、および硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の水蒸気分離体。
  7. 前記多孔質体は、セラミックス材料、金属材料、有機材料、および炭素材料からなる群より選ばれる少なくとも1つを備える、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の水蒸気分離体。
  8. 前記多孔質体は、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、チタン、ジルコニウム、または銅からなる第2の元素の酸化物、窒化物、および炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むセラミックス材料、またはアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ジルコニウム、または銅からなる第3の元素を含む金属材料を備える、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の水蒸気分離体。
  9. 前記第2の元素または前記第3の元素に対する前記第1の元素の原子比が0.004以上0.4以下である、請求項8に記載の水蒸気分離体。
  10. 前記多孔質体の体積に対する前記水の体積の比が0.01以上1以下である、請求項2に記載の水蒸気分離体。
  11. 第1の空間と、
    前記第1の空間に通じる第2の空間と、
    前記第1の面を前記第1の空間に露出させ、かつ前記第2の面を前記第2の空間に露出させつつ、前記第1の空間と前記第2の空間との間を仕切るように設けられた、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の水蒸気分離体と、
    前記第2の空間の水蒸気圧が前記第1の空間の水蒸気圧より低くなるように、前記第2の空間の水蒸気圧を調整する水蒸気圧調整部とを具備し、
    前記第1の空間に存在する水蒸気を、前記水蒸気分離体を介して前記第2の空間に透過させる、除湿装置。
  12. 前記水蒸気圧調整部は、前記第2の空間の圧力を前記第1の空間の圧力より減圧する圧力調整機構を備える、請求項11に記載の除湿装置。
  13. 前記圧力調整機構は、前記第2の空間の圧力が前記第1の空間の圧力に対して−50kPa以下となるように制御される、請求項12に記載の除湿装置。
  14. 前記水蒸気分離体は、気体を透過する支持体により支持されている、請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の除湿装置。
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