JP2018159518A - 調湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿度によらずに、実用的でかつ効率的な除湿を可能にする調湿装置を提供する。【解決手段】実施形態の調湿装置1は、第1の調湿空間に存在する水蒸気を第1の減圧空間に透過させる第1の水蒸気分離体24Aを備える第1の調湿モジュール2Aと、第2の調湿空間に存在する水蒸気を第2の減圧空間に透過させる第2の水蒸気分離体24Bを備える第2の調湿モジュール2Bと、第1の減圧空間又は第2の減圧空間を減圧する減圧ポンプ4と、調湿対象空間Rxの空気を第1の調湿空間又は第2の調湿空間に導入するための第1の通風路5と、第1の減圧空間又は第2の減圧空間を減圧するための第2の通風路9と、調湿対象空間Rxの水蒸気量に応じて、第1の通風路5を第1の調湿空間又は第2の調湿空間に接続すると共に、第2の通風路9を第1の減圧空間又は第2の減圧空間に接続する接続切り替え機構8、12とを具備する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、調湿装置に関する。
家庭用エアコン等の空調技術においては、冷媒及びエネルギー効率の両面で技術が進展し、それに伴ってより快適な生活環境が求められている。このため、温度ばかりでなく、調湿、換気、気流調整、空気清浄等の空気調和機の多機能化が進んできている。エネルギー効率の向上は、ここ最近のエネルギー不足からも最重要課題となっている。高温多湿のアジア諸国においても、生活水準の向上に伴って、調湿、特に除湿は重要と考えられており、これを省エネで行うことで環境負荷の小さい空調が求められている。現在主流となっているコンプレッサー等を用いた冷媒冷却による除湿では、空気を冷却して水蒸気を凝縮すると共に、冷却した空気を再加熱して温度調整するため、多大のエネルギーを要する。このため、消費電力が増加することから、環境負荷の大きさが課題となっている。
デシカント空調等のガス分離装置は、水蒸気を吸着する吸湿材を用いた吸湿器で室内の水分を吸着した後、これを温めて屋外に排出するため、冷媒式の除湿より省エネ性に優れている。吸湿材としては、例えば高分子吸収剤、シリカゲル、吸収繊維、活性炭、ゼオライト等が知られている。しかし、吸湿材は水を吸着し続けることで飽和するため、再生処理が必要となる。吸湿材の再生処理は、吸湿材を加熱して水を排出させることにより行われる。吸湿材の再生処理を冷房と併用することは、非効率的である。
現行の空調方式に代わる省エネで低コストの手法として、再生処理を必要としない水蒸気分離体を用いた連続除湿方式が検討されている。水蒸気分離体を用いた調湿装置の構造としては、ポリエチレンやフッ素樹脂等を用いた2枚の水蒸気透過性膜間に塩化リチウム水溶液等の液体吸収剤を充填したガス分離体を、調湿する室内等の空間と室外等の空間との間に配置した構造が挙げられ、室内の空気と液体吸収剤との間で水蒸気透過性膜を介して水蒸気の授受が行われる。しかしながら、水蒸気透過性膜は破損しやすく、さらにこの方式では水蒸気の移動速度が遅いため、効率的に除湿を行うことが難しい。
また、従来の水蒸気分離体を用いた連続除湿方式は、例えば重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上の比較的高湿度での除湿を目的としており、水蒸気分離体もそのような湿度では除湿に適合するような構成を有している。そのような水蒸気分離体を用いた場合、湿度が低下すると共に除湿速度が遅くなるという課題がある。例えば、重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上の高湿度側では良好な除湿速度が得られる反面、重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満の低湿度側では除湿速度が急速に低下し、到達湿度を重量絶対湿度が0.00488g/gDA以下まで低下させることが難しい。このため、より低湿度が要求される装置、例えば乾燥装置に水蒸気分離体を用いた連続除湿方式を適用した場合、重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満というような低湿度側での除湿速度が問題となる。このような点から、湿度によらずに実用的な除湿性能を得ることができる除湿装置が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、湿度によらずに、実用的でかつ効率的な除湿を可能にする調湿装置を提供することにある。
実施形態の調湿装置は、第1の調湿空間に存在する水蒸気を第1の減圧空間に透過させる第1の水蒸気分離体を備える第1の調湿モジュールと、第2の調湿空間に存在する水蒸気を第2の減圧空間に透過させる第2の水蒸気分離体を備える第2の調湿モジュールと、前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間を減圧する圧力調整機構と、調湿対象空間の空気を前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に導入するための第1の通風路と、前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間を減圧するための第2の通風路と、前記調湿対象空間の水蒸気量に応じて、前記第1の通風路を前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に接続すると共に、前記第2の通風路を前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間に接続する接続切り替え機構とを具備する。
以下、実施形態の調湿装置について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下等の方向を示す用語は、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある。
図1は実施形態の調湿装置の構成を示している。図1に示す調湿装置1は、調湿対象の空間Rx内の空気から水蒸気(水分)を除去する除湿装置として機能するものである。図1において、Rは除湿の対象空間Rxを構成する部屋であり、部屋Rは吸気口Raを有している。除湿装置(調湿装置)1は、空間Rx内の空気から水蒸気(水分)を除去するために、部屋Rに設けられている。空間Rx内の空気は、基本的に水蒸気(水分)と乾燥空気とにより構成されている。除湿装置1は、主として高湿度側で動作させる第1の除湿モジュール2Aと、主として低湿度側で動作させる第2の除湿モジュール2Bと、空間Rx内の空気を撹拌して第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに送る送風機3と、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bの一部を減圧する減圧ポンプ4(圧力調整機構)とを備えている。
送風機3と第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bとは、第1の配管5により接続されている。第1の除湿モジュール2Aは空間Rxと第2の配管6により接続されており、第2の除湿モジュール2Bは空間Rxと第3の配管7により接続されている。第1、第2、及び第3の配管5、6、7は、空間Rxから第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに導入された空気を、第1又は第2の調湿モジュール2A、2Bで調湿して空間Rxに供給(返送)する第1の通風路として機能する。第1の配管5には、第1の切り替えバルブ8が設けられている。第1の切り替えバルブ8は、空間Rx内の湿度(水蒸気量)に応じて、空間Rx内の空気を送り出す送風機4を第1又は第2の調湿モジュール2A、2Bに接続する接続切り替え機構として機能する。第1の切り替えバルブ8を切り替えることによって、空間Rx内の空気は第1又は第2の調湿モジュール2A、2Bに送られる。
減圧ポンプ4と第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bとは、第4の配管9により接続されている。第1の除湿モジュール2Aには外部の空気を取り込む第5の配管10が接続されており、第2の除湿モジュール2Bには外部の空気を取り込む第6の配管11が接続されている。第4の配管9は、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bの一部を減圧するための第2の通風路として機能する。第5及び第6の配管10、11は、第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bの一部に外部空気を導入するための第3の通風路として機能し、これらは必要に応じて設けられ、場合によっては省いてもよい。また、第5及び第6の配管10、11には、流量調整バルブ等を設けてもよい。第4の配管9には、第2の切り替えバルブ12が設けられている。第2の切り替えバルブ12は、空間Rx内の湿度(水蒸気量)に応じて、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bを減圧ポンプ5に接続する接続切り替え機構として機能する。第2の切り替えバルブ12を切り替えることによって、第1又は第2の調湿モジュール2A、2Bが減圧ポンプ5に接続され、減圧ポンプ4に接続された第1又は第2の調湿モジュール2A、2Bで除湿が行われる。このような構成にすることによって、動力を必要とする減圧ポンプ5が1つで済むため、コストが抑えられるという効果もある。
第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bは、後述する水蒸気分離体の水蒸気透過速度やそれを実現する具体的な構成等が相違することを除いて、基本的には同一構成を備えている。図2を参照して除湿モジュール2(2A、2B)の構成を説明する。除湿モジュール2は、除湿空間(調湿空間)S1を構成する除湿室21と、減圧空間S2を構成する減圧室22と、除湿室21と減圧室22とを接続する接続路23と、除湿室21と減圧室22とを仕切るように、接続路23内に配置された水蒸気分離体24とを有している。
除湿室22は吸入口25aと吐出口25bとを有し、吸入口25aは配管5を介して送風機3と接続されている。減圧室23は吸入口26aと吐出口26bとを有し、吐出口26bは配管9を介して減圧ポンプ4と接続されている。分離室2内の除湿空間S1には、送風機3を稼働させることにより、配管5を介して空間Rx内の水蒸気を含む空気が送られる。除湿室22で水分(水蒸気)が分離され、湿度が低減された空気は配管6、7を介して空間Rxに返送される。減圧室23内の減圧空間S2は、減圧ポンプ4を稼働させることにより、除湿室21内の圧力(除湿空間S1の圧力)と減圧室22内の圧力(減圧空間S2の圧力)との間に差が生じるように減圧される。処理空気から分離された水蒸気は、減圧ポンプ4から排出される。分離された水分(減圧室22に透過した水分)は、大気中に放出されたり、必要に応じて回収される。減圧室22の吸入口26aには、減圧室22の内部に外部の空気等を取り込みながら減圧し、加湿された空気の排出を補助するように、配管10、11が接続されている。
図2はあくまでも除湿モジュール2の構成を単独で示すものである。実施形態の除湿装置1は、図1に示したように、第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bを備えており、空間Rx内の空気は第1の切り替えバルブ8を切り替えることにより第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに送られる。減圧ポンプ4も第2の切り替えバルブ12を切り替えることにより第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに接続される。空間Rx内の空気は、その水分量(湿度)に応じて、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに送られて除湿される。すなわち、空間Rx内の空気は、高湿度の場合には第1の除湿モジュール2Aに送られて除湿され、低湿度の場合には第2の除湿モジュール2Bに送られて除湿される。第1の除湿モジュール2Aと第2の除湿モジュール2Bの動作を切り替える湿度の値は、後に詳述する水蒸気分離体24の特性や性能等により決定されるものであり、一律的に決定される値ではないが、代表的な値としては重量絶対湿度の値として0.0244g/gDAが挙げられる。
例えば、空間Rx内の空気の重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上というように高湿度の場合には、第1及び第2の切り替えバルブ8、12を第1の除湿モジュール2A側に切り替える。これによって、空間Rx内の空気は、送風機3及び第1の配管5を介して第1の除湿モジュール2Aの除湿室21に送られる。それと同時に、第1の除湿モジュール2Aの減圧室22は減圧ポンプ4に接続されて減圧される。減圧室22の圧力が除湿室21の圧力より減圧されることによって、水蒸気分離体24を介して配置された除湿室21と減圧室22との間で水蒸気(水分)の移動が起こる。すなわち、除湿室21に送られた空気中の水分が水蒸気分離体24を介して減圧室22内に移動する。除湿室21で水分量が減少された空気は、第2の配管6を通って空間Rx内に返送される。
また、空間Rx内の空気の重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満というように低湿度の場合には、第1及び第2の切り替えバルブ8、12を第2の除湿モジュール2B側に切り替える。これによって、空間Rx内の空気は、送風機3及び第1の配管5を介して第2の除湿モジュール2Bの除湿室21に送られる。それと同時に、第2の除湿モジュール2Bの減圧室22は減圧ポンプ4に接続されて減圧される。減圧室22の圧力が除湿室21の圧力より減圧されることによって、水蒸気分離体24を介して配置された除湿室21と減圧室22との間で水蒸気(水分)の移動が起こる。すなわち、除湿室21に送られた空気中の水分が水蒸気分離体24を介して減圧室22内に移動する。除湿室21で水分量が減少された空気は、第3の配管7を通って空間Rx内に返送される。
水蒸気分離体24は、図3に示すように、細孔(開放気孔)31を有する多孔質体32と、多孔質体32の細孔31内に存在する水(図示せず)とを備えていることが好ましい。細孔31内に存在する水は、水蒸気分離体24にウエットシールを形成する。ウエットシールが形成された水蒸気分離体24を介して、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bの除湿室21から減圧室22に水を移動させることによって、空間Rxから除湿室21内に送られた空気中の水分量を減少させて除湿が行われる。水蒸気分離体24は、多孔質体32の細孔31内に存在する水溶性吸湿剤33を備えていてもよい。水溶性吸湿剤33はウエットシールの形成性を高めるものであり、後に詳述する。
また、別の方法として水を吸着するような非水系液体を共存させることでシールを行い、そのようなシールが形成された水蒸気分離体24を介して除湿室21から減圧室22に水を移動させるようにしてもよい。このような場合にも、空間Rxを除湿することができる。非水系液体としては、イオン性液体(イミダゾリウム型、アンモニウム型、ピリジニウム型)が例示されるが、これに限定されない。細孔31内に存在させる水とは、化学記号H2Oで表される物質、又はそれを含む水和物、付着物、含有物の全てを意味する。例えば、水を含んだイオン性液体やトリエチレングリコール等も含まれる。
多孔質体32は、例えば直方体やペレット等の形状を有し、除湿室21内(除湿空間S1)に露出される第1の面32aと、減圧室22内(減圧空間S2)に露出される第2の面32bと有している。多孔質体32内に設けられた細孔31は、第1の面32aから第2の面32bに通じている。多孔質体32としては、無機材料粒子の多孔質焼結体、多孔質圧粉体、多孔質膜状物等を用いることができる。第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bにおける水蒸気分離体24は、それぞれ独立に選択され、同一の多孔質体で構成してもよいし、異なる多孔質体で構成してもよい。無機材料粒子としては、金属の酸化物、窒化物、炭化物、ケイ酸塩、又はこれらの複合化合物が用いられる。これら化合物を構成する金属としては、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)等が用いられる。無機材料粒子は、ゼオライト粒子等であってもよい。第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bの水蒸気分離体24において、多孔質体を構成する化合物や金属も同様であり、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1の除湿モジュール2Aに用いられる水蒸気分離体24(第1の水蒸気分離体24A)は、例えば重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上というような高湿度側で水蒸気の分離性能及び透過速度に優れるものである。一方、第2の除湿モジュール2Bに用いられる水蒸気分離体24(第2の水蒸気分離体24B)は、例えば重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満というような低湿度側で水蒸気の分離性能及び透過速度に優れるものである。このため、具体的には、第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度は、重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときに500g/h/m2以上であることが好ましく、第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度は、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときに100g/h/m2以上であることが好ましい。さらに、重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときに、第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度が第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度より大きいことが好ましく、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときに、第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度が第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度より大きいことが好ましい。
重量絶対湿度が0.0288g/gDAのとき、第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度が500g/h/m2以上であり、第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度が第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度より大きいことによって、重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上というような高湿度側で水蒸気の分離性能及び透過速度を高めることができる。第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度が500g/h/m2未満であると、高湿度側での水蒸気の透過速度等が低下し、水蒸気の分離性能が低下する。重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときの第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度は1000g/h/m2以上であることがより好ましい。第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度は、後述するように第1の水蒸気分離体24Aを構成する多孔質体32の細孔径等により調整することができる。
重量絶対湿度が0.019g/gDAのとき、第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度が100g/h/m2以上であり、第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度が第1の水蒸気分離体24Aの水蒸気透過速度より大きいことによって、重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満というような低湿度側で水蒸気の分離性能及び透過速度を高めることができる。第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度が100g/h/m2以未満であると、低湿度側での水蒸気の透過速度等が低下し、水蒸気の分離性能が低下する。重量絶対湿度が0.019g/gDAのときの第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度は200g/h/m2以上であることがより好ましい。第2の水蒸気分離体24Bの水蒸気透過速度は、後述するように第2の水蒸気分離体24Bを構成する多孔質体32の細孔径や構成材料等により調整することができる。
さらに、第1の水蒸気分離体24Aは、重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときに、第1の除湿モジュール2Aの調湿空間(第1の調湿空間)S1から減圧空間(第1の減圧空間)S2へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合αが1以上であり、かつ第2の水蒸気分離体24Bは、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときに、第2の調湿空間S1から第2の減圧空間S2へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合αが、第1の水蒸気分離体24Aにおける第1の除湿モジュール2Aの調湿空間(第1の調湿空間)S1から減圧空間(第1の減圧空間)S2へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合αより大きいことが好ましい。これらによって、第1の除湿モジュール2Aによる除湿を妨げることなく、重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満というような低湿度側において、第2の除湿モジュール2Bによる水蒸気の分離性能及び透過速度を高めることができる。
水蒸気透過速度Vは、下記の(1)式で定義される。
V=ΔMliquid/A/Δt …(1)
式(1)において、ΔMliquidは調湿空間S1から減圧空間S2に移動して回収される水蒸気の量[g]であり、Aは水蒸気分離体24の開口面積[m2]、Δtは調湿空間S1から減圧空間S2への移動に要した移動時間[h]である。
また、調湿空間S1から減圧空間S2へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合αは、下記の(2)式で定義される。
α=[(減圧側の水のモル数)/(減圧側の乾燥空気のモル数)]/[(吸気側の水のモル数)/(吸気側の乾燥空気のモル数)]…(2)
V=ΔMliquid/A/Δt …(1)
式(1)において、ΔMliquidは調湿空間S1から減圧空間S2に移動して回収される水蒸気の量[g]であり、Aは水蒸気分離体24の開口面積[m2]、Δtは調湿空間S1から減圧空間S2への移動に要した移動時間[h]である。
また、調湿空間S1から減圧空間S2へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合αは、下記の(2)式で定義される。
α=[(減圧側の水のモル数)/(減圧側の乾燥空気のモル数)]/[(吸気側の水のモル数)/(吸気側の乾燥空気のモル数)]…(2)
多孔質体32の細孔径は、適用する除湿モジュール(2A、2B)に応じて調整することが好ましい。第1の水蒸気分離体24Aを構成する多孔質体32については、細孔31の平均孔径が10nm以上1μm以下であることが好ましい。このような平均孔径の細孔31を有する多孔質体32を用いることによって、高湿度側での水蒸気透過速度、水蒸気の分離性能及び透過速度を高めることができる。第1の水蒸気分離体24Aを構成する多孔質体32の細孔31は、さらに孔径が50nm以上1μm以下の範囲の細孔を50体積%以上含んでいることが好ましく、また細孔31の最大孔径は3μm以下であることが好ましい。上記した平均孔径の範囲外であったり、上記した孔径を有する細孔の量が50体積%未満であったり、また最大孔径が3μmを超えると、高湿度側でのウエットシール性が低下したり、また除湿室21内からの水分の吸収と減圧室22への水分の放出のバランスが低下し、高湿度側での除湿性能を十分に高めることができない。
また、第2の水蒸気分離体24Bを構成する多孔質体32は、細孔31の平均孔径が第1の水蒸気分離体24Aを構成する多孔質体32の細孔31の平均孔径より小さいことが好ましい。具体的には、第2の水蒸気分離体24Bにおける細孔31の平均孔径は0.3nm以上50nm以下であることが好ましい。このような平均孔径の細孔31を有する多孔質体32を用いることで、低湿度側での水蒸気透過速度、水蒸気の分離性能及び透過速度を高めることができる。第2の水蒸気分離体24Bを構成する多孔質体32の細孔31は、さらに孔径が1nm以上10nm以下の範囲の細孔を50体積%以上含んでいることが好ましく、細孔31の最大孔径は100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。上記した平均孔径の範囲外であったり、上記した孔径を有する細孔の量が50体積%未満であったり、また最大孔径が100nmを超えると、低湿度側でのウエットシール性が低下したり、除湿室21内からの水分の吸収と減圧室22への水分の放出のバランスが低下し、低湿度側での除湿性能を十分に高めることができない。
第2の水蒸気分離体24Bを構成する多孔質体32には、複数の第1の無機材料粒子が等方的にネッキング(結合)することにより構成された多孔質マトリクスと、多孔質マトリクス内に不規則に配置された第2の無機材料粒子とを備え、第2の無機材料粒子の平均粒径が第1の無機材料粒子の最大粒子径より3倍以上であると共に、第2の無機材料粒子の体積(V2)の第1の無機材料粒子の体積(V1)に対する割合(V2/V1)が0.001体積%以上10体積%である多孔質セラミックスを用いることができる。小粒子径を有する第1の無機材料粒子で構成された多孔質マトリクス内に大粒子径を有する第2の無機材料粒子を配置した多孔質セラミックスによれば、小粒子径を有する第1の無機材料粒子から期待される孔径、例えば最大孔径が100nm以下の孔径を有する細孔31を安定して得ることができる。従って、低湿度側での除湿性能を高めることができる。
第2の水蒸気分離体24Bを構成する多孔質体32には、多孔質セラミックスの他に、ゼオライトの多孔質圧粉体等を用いることも有効である。ゼオライトは吸湿材として知られており、それ以外にゼオライトの多孔質体は除湿室21から減圧室22へ水分を移動させる水蒸気分離体24Bとしても有効に機能させることができる。ゼオライトの多孔質体は、低湿度側で動作させる第2の除湿モジュール2Bの水蒸気分離体24Bとして有効である。多孔質体32の構成材料としてゼオライト等を用いる場合、ゼオライト粉末を加圧成型して多孔質の圧粉体(32)を作製してもよいし、多孔質支持体上にゼオライト膜を形成して多孔質体32としてもよい。なお、上記した多孔質体32はあくまでも一例であり、これらに限られるものではない。第2の水蒸気分離体24Bには、上述した水蒸気透過速度を有する各種の多孔質体や水蒸気透過材料等を用いることができる。
多孔質体32の体積気孔率(多孔質体32内の細孔31の体積率)は10〜80%の範囲であることが好ましい。多孔質体32の体積気孔率が10%未満であると、細孔31を通過できる水蒸気が減少するため、除湿室21内からの水分の吸収量及び減圧室22への水分の放出量が不十分になるおそれがある。多孔質体32の体積気孔率が80%を超えると、多孔質体32の強度が低下し、除湿装置1の連続運転を妨げるおそれがある。除湿速度の観点から、多孔質体32の体積気孔率は10〜50%の範囲であることがより好ましく、さらに20〜50%の範囲であることが望ましい。ただし、多孔質体32の体積気孔率は、水蒸気分離体24に求められる性質に応じて設定することが好ましい。例えば、除湿速度を高めたい場合には、体積気孔率を比較的高めに設定することが好ましい。一方、水蒸気分離体24の機械的強度等を高めたい場合、あるいは水蒸気分離体24を低コスト化したい場合には、体積気孔率を比較的低めに設定することが好ましい。
なお、多孔質体32の体積気孔率や細孔31の形状(細孔の体積率、平均孔径、最大孔径等)は、基本的には水銀圧入法により測定した値を示すものである。ただし、細孔31の孔径が1nm付近になると、そのような孔径を水銀圧入法では求められないため、そのような場合にはBET法により評価した値を用いるものとする。水蒸気分離体24の特性は、多孔質体32の体積気孔率にも影響されるため、体積気孔率を考慮して細孔31の孔径を設定することが好ましい。
水蒸気分離体24にウエットシールを形成するにあたって、水蒸気分離体24は図3に示したように、多孔質体32の細孔31内に存在する水溶性吸湿剤33を備えていてもよい。水溶性吸湿剤33は水分を吸収して保持するため、水蒸気分離体24にウエットシールを形成しやすくなる。水溶性吸湿剤33としては、第1族元素や第2族元素のクエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物塩、酸化物塩、水酸化物塩、硫酸塩等が用いられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。なお、図3では水溶性吸湿剤33が細孔31内に偏析しているように示しているが、水溶性吸湿剤33の存在形態はこれに限られるものではない。水溶性吸湿剤33は、細孔31の内壁全体又は一部に薄く均一に付着していてもよい。
水溶性吸湿剤33の具体例としては、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、リン酸カリウム(K3PO4)、クエン酸ナトリウム(Na3(C3H5O(COO)3)等)、クエン酸カリウム(K3(C3H5O(COO)3)等)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、硫酸リチウム(Li2SO4)等やこれらの水和物が挙げられる。
水蒸気分離体24の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下のようにして作製される。水蒸気分離体24が水溶性吸湿剤33を備えていない場合には、例えばセラミックスの合成プロセスにしたがって原料粉末を成型した後に焼結して多孔質体32を作製する方法を適用することができる。多孔質体32は、ロックウール、セラミックウール、ガラスウール等の無機繊維を含んでいてもよい。多孔質体32の構成材料としてゼオライト等を用いる場合、原料粉末を加圧成型して多孔質の圧粉体を作製してもよい。水蒸気分離体24が水溶性吸湿剤33を備える場合には、上述した方法で作製した多孔質体32に、水溶性吸湿剤33を水に溶解した水溶液を含浸させてから乾燥させることによって、水蒸気分離体24が得られる。乾燥させるのは取扱上便利なためであり、乾燥させなくてもよい。水蒸気分離体24は、当初から水分を含んでいてもよい。多孔質体32の原料粉末に水溶性吸湿剤17を混ぜた後に、成型及び焼結してもよい。
除湿装置1に用いられる水蒸気分離体24は、図4に示すように、気体を透過する支持体34により支持されていてもよい。図4は一対の支持体34を水蒸気分離体24の両面に沿って配置した状態を示しているが、支持体34は水蒸気分離体24の一方の面のみに沿って配置してもよい。支持体34には、セラミックス材料、金属材料、炭素材料、有機材料、又はこれらの複合材料からなる、開放気孔を有する多孔質体、パンチング材料、メッシュ材料等が用いられる。そのような支持体34の具体例としては、例えば紙、ポリイミド多孔体、パンチングメタル等が例示される。支持体34は、数μm径以上の貫通孔を有していることが好ましいが、これに限定されるものではない。
実施形態の除湿装置1において、第1及び第2の水蒸気分離体24A、24Bは少なくとも除湿装置1の運転時に水分を含んでいる。除湿対象の空間Rx内の空気は、送風機3により第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bの除湿室21内に送られる。送風機3と同時に減圧ポンプ4を稼働させ、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bの減圧室22内を減圧することによって、除湿室21内の圧力と減圧室22内の圧力との間に差を生じさせる。この圧力差によって、減圧室22内の水蒸気圧(減圧室S2の水蒸気圧)が除湿室21内の水蒸気圧(除湿空間S1の水蒸気圧)より小さくなる。この水蒸気圧差と水蒸気分離体24内に存在する水分とによって、水蒸気分離体24を介して配置された除湿室21と減圧室22との間で水蒸気(水分)の移動が起こる。
水蒸気分離体24を介して水蒸気(水分)を移動させるにあたって、減圧室22内の圧力が除湿室21内の圧力に対して−50kPa以下となるように、減圧ポンプ4で減圧室22内を減圧することが好ましい。言い換えると、除湿室21内の圧力と減圧室22内の圧力との差が50kPa以上となるように、減圧室22内を減圧することが好ましい。この圧力差が50kPa未満であると、除湿室21内から減圧室22内への水蒸気(水分)の移動を十分に促進できないおそれがある。さらに、除湿室21と減圧室22との圧力差は100kPa未満であることが好ましい。圧力差が大きすぎると、水蒸気分離体24を構成する多孔質体32が破損するおそれが生じる。除湿室21と減圧室22との圧力差は80〜90kPaの範囲であることがより好ましい。
水蒸気圧が相対的に高い除湿室21内の空気中に含まれる水蒸気(水分)は、水蒸気分離体24内のウエットシールに吸収される。水蒸気分離体24が水溶性吸湿剤33を有する場合、水蒸気(水分)は水溶性吸湿剤33に吸収される。水蒸気分離体24内の水分は、水蒸気圧が相対的に低い減圧室22内に透過する。除湿室21内の水蒸気圧と減圧室22内の水蒸気圧と水蒸気分離体24内の水分量等のバランスによって、除湿室21内の空気中に含まれる水分の水蒸気分離体24による吸収と水蒸気分離体24内の水分の減圧室22内への放出とが連続して起こる。従って、空間Rxから除湿室21内に送られた空気中の水分量を減少させて除湿することができる。除湿された空気は、空間Rxに返送される。減圧室22内に透過した水分は、減圧ポンプ4を介して外部に排出される。減圧室22内に透過した水分は、加湿が必要な部屋等の第3の空間に送るようにしてもよい。実施形態の水蒸気分離体24は、除湿と加湿とを兼ねる装置に使用することもできる。
実施形態の除湿装置1は、主として高湿度側で動作させる第1の除湿モジュール2Aと、主として低湿度側で動作させる第2の除湿モジュール2Bとを備えている。第1の除湿モジュール2Aは高湿度側で良好な水蒸気透過速度を有する第1の水蒸気分離体24Aを有し、第2の除湿モジュール2Bは低湿度側で良好な水蒸気透過速度を有する第2の水蒸気分離体24Bを有している。空間Rx内の空気の湿度に応じて、第1又は第2の除湿モジュール2A、2Bに空間Rx内の空気を送って処理することで、高湿度の空気から低湿度の空気まで良好な除湿速度で除湿することができ、例えば到達湿度を重量絶対湿度が0.00488g/gDA以下まで低下させることが可能になる。従って、空間Rxの内の湿度を求められる湿度、例えば中程度の湿度から低湿度までの様々の湿度に実用的な除湿速度で実現することができる。
第1の除湿モジュール2Aと第2の除湿モジュール2Bとの切り替えは、手動で行ってもよいし、また例えば空間Rx内に湿度計を設置しておき、その測定値に基づいて自動的に切り替えるようにしてもよい。切り替える湿度は、前述したように第1及び第2の水蒸気分離体24A、24Bの特性等に応じて適宜設定することが好ましいが、一例としては重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上の場合には第1の水蒸気分離体24A側に切り替え、重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満の場合には第2の水蒸気分離体24B側に切り替えるようにする。
さらに、実施形態の除湿装置1においては、第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bの水蒸気分離体24(24A、24B)がウエットシールを形成しているため、除湿室21内の空気中に含まれる水分のみを減圧室22内に移動させることができる。従って、再生処理を伴わない連続除湿及びその際の除湿速度を高めることができる。さらに、除湿室21と減圧室22との間では、基本的には空気中の水分のみを移動させ、空気中の乾燥空気はほとんど移動しない。従って、除湿対象の空間Rxの温度をほとんど変動させることがない。空間Rxの温度をほとんど変動させることなく、空間Rx内を除湿することで、例えば空間Rxの冷房と併用する場合においても、熱効率を低下させるおそれがない。除湿装置1を冷房と併用する際の熱効率を高めることができる。
実施形態の除湿装置1の構造は、図1に示す構造に限られない。図1では高湿度側では第1の除湿モジュール2Aに空間Rx内の空気を送り、低湿度側では第2の除湿モジュール2Bに空間Rx内の空気を送る構成を説明したが、低湿度側では第2の除湿モジュール2Bに加えて第1の除湿モジュール2Aにも空間Rx内の空気を送るようにしてもよい。この場合、送風機3を第1の切り替えバルブ8により第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bの両方に接続すると共に、減圧ポンプ4を第2の切り替えバルブ12により第1及び第2の除湿モジュール2A、2Bの両方に接続すればよい。また、空間Rxに求められる重量絶対湿度が0.0244g/gDA程度の場合には、第1の除湿モジュール2Aのみを運転するようにしてもよい。除湿装置1の構成は種々に変更することができる。
次に、実施例とその評価結果について述べる。
(実施例1)
まず、重量絶対湿度が0.03g/gDAのときの水蒸気透過速度が1000g/h/m2で、重量絶対湿度が0.018g/gDAのときの水蒸気透過速度が30g/h/m2である第1の水蒸気分離体を用意した。第1の水蒸気分離体は、平均細孔径が60nmの多孔質アルミナ焼結体にCaCl2の飽和水溶液を含浸して作製したものである。また、重量絶対湿度が0.03g/gDAのときの水蒸気透過速度が300g/h/m2で、重量絶対湿度が0.018g/gDAのときの水蒸気透過速度が200g/h/m2である第2の水蒸気分離体を用意した。第2の水蒸気分離体は、A型ゼオライトをセラミックス多孔質体上に水熱合成で作製した、細孔径が0.3〜0.4nmのゼオライト膜である。
まず、重量絶対湿度が0.03g/gDAのときの水蒸気透過速度が1000g/h/m2で、重量絶対湿度が0.018g/gDAのときの水蒸気透過速度が30g/h/m2である第1の水蒸気分離体を用意した。第1の水蒸気分離体は、平均細孔径が60nmの多孔質アルミナ焼結体にCaCl2の飽和水溶液を含浸して作製したものである。また、重量絶対湿度が0.03g/gDAのときの水蒸気透過速度が300g/h/m2で、重量絶対湿度が0.018g/gDAのときの水蒸気透過速度が200g/h/m2である第2の水蒸気分離体を用意した。第2の水蒸気分離体は、A型ゼオライトをセラミックス多孔質体上に水熱合成で作製した、細孔径が0.3〜0.4nmのゼオライト膜である。
上記した第1の水蒸気分離体と第2の水蒸気分離体とを用いて、図1に示した除湿装置を組み立てた。このような除湿装置を用いて、重量絶対湿度が0.0391g/gDAから0.024g/gDAまでの間は第1の水蒸気分離体を有する第1の除湿モジュールで除湿を行い、重量絶対湿度が0.024g/gDA以下では第2の水蒸気分離体を有する第2の除湿モジュールで除湿を行った。このような条件下で重量絶対湿度が0.0391g/gDAの除湿対象空間の除湿を行った結果として、図5に除湿時間と重量絶対湿度との関係を示す。図5に示すように、除湿時間の経過と共に湿度が低下し、重量絶対湿度が0.00488g/gDA以下(重量絶対湿度が0.00391g/gDA)の湿度を実現することが可能であった。
(比較例1)
実施例1において、第2の水蒸気分離体を有する第2の除湿モジュールを用いずに、第1の水蒸気分離体を有する第1の除湿モジュールのみを用いて、実施例1と同一条件で除湿対象空間の除湿を行った。その結果として、図5に除湿時間と重量絶対湿度との関係を示す。図5に示すように、重量絶対湿度が0.0244g/gDA程度までは除湿時間の経過と共に湿度が低下するものの、低下させることが可能な重量絶対湿度は0.0195g/gDA程度までであった。
実施例1において、第2の水蒸気分離体を有する第2の除湿モジュールを用いずに、第1の水蒸気分離体を有する第1の除湿モジュールのみを用いて、実施例1と同一条件で除湿対象空間の除湿を行った。その結果として、図5に除湿時間と重量絶対湿度との関係を示す。図5に示すように、重量絶対湿度が0.0244g/gDA程度までは除湿時間の経過と共に湿度が低下するものの、低下させることが可能な重量絶対湿度は0.0195g/gDA程度までであった。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…調湿(除湿)装置、2,2A,2B…除湿モジュール、3…送風機、4…減圧ポンプ、5,6,7…配管(第1の通風路)、9…配管(第2の通風路)、10,11…配管(第3の通風路)、8,12…切り替えバルブ、21…除湿室、22…減圧室、23…接続路、24,24A,24B…水蒸気分離体、31…細孔、32…多孔質体、33…水溶性吸湿材、R…部屋、Rx…調湿対象空間、Ra…吸気口、S1…調湿空間、S2…減圧空間。
Claims (12)
- 第1の調湿空間に存在する水蒸気を第1の減圧空間に透過させる第1の水蒸気分離体を備える第1の調湿モジュールと、
第2の調湿空間に存在する水蒸気を第2の減圧空間に透過させる第2の水蒸気分離体を備える第2の調湿モジュールと、
前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間を減圧する圧力調整機構と、
調湿対象空間の空気を前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に導入するための第1の通風路と、
前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間を減圧するための第2の通風路と、
前記調湿対象空間の水蒸気量に応じて、前記第1の通風路を前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に接続すると共に、前記第2の通風路を前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間に接続する接続切り替え機構と
を具備する調湿装置。 - 調湿対象空間の空気を調湿し、前記調湿対象空間に調湿後の空気を供給する調湿装置であって、
第1の調湿空間と、前記第1の調湿空間に通じる第1の減圧空間と、前記第1の調湿空間と前記第1の減圧空間との間を仕切るように設けられ、前記第1の調湿空間に存在する水蒸気を前記第1の減圧空間に透過させる第1の水蒸気分離体とを備える第1の調湿モジュールと、
第2の調湿空間と、前記第2の調湿空間に通じる第2の減圧空間と、前記第2の調湿空間と前記第2の減圧空間との間を仕切るように設けられ、前記第2の調湿空間に存在する水蒸気を前記第2の減圧空間に透過させる第2の水蒸気分離体とを備える第2の調湿モジュールと、
前記第1の減圧空間の圧力を前記第1の調湿空間の圧力より減圧する、又は前記第2の減圧空間の圧力を前記第2の調湿空間の圧力より減圧する圧力調整機構と、
前記調湿対象空間と前記第1の調湿空間及び前記第2の調湿空間とに接続され、前記調湿対象空間から前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に導入された空気を、前記第1の調湿モジュール又は前記第2の調湿モジュールで調湿して前記調湿対象空間に供給するための第1の通風路と、
前記第1の減圧空間及び前記第2の減圧空間と前記圧力調整機構とに接続され、前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間を減圧するための第2の通風路と、
前記調湿対象空間の水蒸気量に応じて、前記第1の通風路を前記第1の調湿空間又は前記第2の調湿空間に接続すると共に、前記第2の通風路を前記第1の減圧空間又は前記第2の減圧空間に接続する接続切り替え機構と
を具備する調湿装置。 - 前記第1の水蒸気分離体は、重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときの水蒸気透過速度が500g/h/m2以上であり、前記第2の水蒸気分離体は、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときの水蒸気透過速度が100g/h/m2以上であり、
重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときに、前記第1の水蒸気分離体の水蒸気透過速度が前記第2の水蒸気分離体の水蒸気透過速度より大きく、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときに、前記第2の水蒸気分離体の水蒸気透過速度が前記第1の水蒸気分離体の水蒸気透過速度より大きい、請求項1又は請求項2に記載の調湿装置。 - 前記第1の水蒸気分離体は、重量絶対湿度が0.0288g/gDAのときに、前記第1の調湿空間から前記第1の減圧空間へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合が1以上であり、かつ前記第2の水蒸気分離体は、重量絶対湿度が0.019g/gDAのときに、前記第2の調湿空間から前記第2の減圧空間へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合が、前記第1の水蒸気分離体における前記第1の調湿空間から前記第1の減圧空間へ透過する水と乾燥空気の透過量の割合より大きい、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の調湿装置。
- 前記接続切り替え機構は、前記調湿対象空間の重量絶対湿度が0.0244g/gDA以上のときに、前記第1の通風路を前記第1の調湿空間に接続すると共に、前記第2の通風路を前記第1の減圧空間に接続し、前記調湿対象空間の重量絶対湿度が0.0244g/gDA未満のときに、前記第1の通風路を前記第2の調湿空間に接続すると共に、前記第2の通風路を前記第2の減圧空間に接続する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に調湿装置。
- 前記第1の水蒸気分離体は、前記第1の調湿空間に露出された第1の面と、前記第1の減圧空間に露出された第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に通じる細孔とを有する第1の多孔質体を備え、
前記第2の水蒸気分離体は、前記第2の調湿空間に露出された第1の面と、前記第2の減圧空間に露出された第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に通じる細孔とを有する第2の多孔質体を備え、
前記第2の多孔質体における前記細孔の平均孔径は、前記第1の多孔質体における前記細孔の平均孔径より小さい、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の調湿装置。 - 前記第1の多孔質体の前記細孔の平均孔径は10nm以上1μm以下であり、前記第2の多孔質体の前記細孔の平均孔径は0.3nm以上50nm以下である、請求項6に記載の調湿装置。
- 前記第1及び第2の多孔質体は、それぞれ独立に、無機材料粒子の多孔質焼結体、多孔質圧粉体、又は多孔質膜状物である、請求項6又は請求項7に記載の調湿装置。
- 前記第1の多孔質体及び第2の多孔質体の少なくとも一方は、前記細孔内に存在する水溶性吸湿材を備える、請求項8に記載の調湿装置。
- 前記第1及び第2の多孔質体を構成する前記無機材料粒子は、それぞれ独立に、酸化物、窒化物、炭化物、及びケイ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項8又は請求項9に記載の調湿装置。
- 前記第1及び第2の多孔質体を構成する前記無機材料粒子は、それぞれ独立に、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、チタン、ジルコニウム、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項10に記載の調湿装置。
- 前記第1の減圧空間及び前記第2の減圧空間には、それぞれ外部の空気を取り込む第3の通風路が接続されている、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の調湿装置。
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