JP2017054651A - 避雷器縁線抜け防止具 - Google Patents

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Abstract

【課題】避雷器の絶縁カバー内に収容される電線の振動を抑制するとともに、避雷器内に収容される電線が万一疲労により切断した場合でも、電線の端部が絶縁カバーから抜けるのを防止することができる避雷器縁線抜け防止具を提供する。【解決手段】一対の端子を備えた筒型ヒューズを収容する避雷器本体7の上部に設けられる絶縁カバー8内に収容され、一対の端子における線路側端子9に固定される電線13が切れた際に、絶縁カバー8から電線13が抜けて外れるのを防止するための避雷器縁線抜け防止具1であって、絶縁カバー8の内側に収容される電線13に周設されて、電線13の周側面上に膨大部を形成させる係止部材2とを有し、係止部材2は、絶縁材からなり、膨大部の電線13の伸長方向に対する垂直断面径は、絶縁カバー8に形成される電線挿入孔12aの径よりも大きいことを特徴とする避雷器縁線抜け防止具1による。【選択図】図1

Description

本発明は、一対の端子を備えた筒型ヒューズを収容する避雷器本体の上部に設けられる絶縁カバー内に収容される電線の切断を防止するとともに、万一、電線が切断した際に絶縁カバーから電線が抜けて外れるのを防止する避雷器縁線抜け防止具に関する。
従来、絶縁材(例えば、セラミックなど)からなる避雷器本体の内部に筒型ヒューズを収容した避雷器が用いられている。このような避雷器のうち、避雷器本体の上部に中空椀状の絶縁カバーを備えて、この絶縁カバー内に配設される線路側端子に電線の端部を固定して用いるものが知られている。
上述のような避雷器は、絶縁カバーの頂部に電線の端部を挿入するための電線挿入孔を備えており、通常、この電線挿入孔の径は電線の径よりも大きく設定されているので、風などにより電線の端部が揺動すると、その振動が絶縁カバー内の線路側端子に固定される電線の端部に継続的に伝わり、最終的に線路側端子近傍の電線が断線してしまうことがあった。
この場合、断線した電線が絶縁カバーから抜けて外れて短絡事故又は地絡事故等が起きる恐れがあり、電線の切断に伴い避雷器が機能しなくなるという不具合のみならず、二次的な被害が生じる懸念があった。
このような課題に対処するための先行技術としては、特開2012−174545号公報(以下、特許文献1という)や、特開2007−311295号公報(以下、特許文献2という)が知られている。
特許文献1には「避雷器」という名称で、電柱などに設置される避雷器に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、本発明と同一の出願人によるものであり、特許文献1中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、一対の端子を備えた筒型ヒューズを収容する避雷器本体に設けられ、導電材料を用いて形成され、一対の端子のうち電源側に設けられた一方の端子に電気的に接続された端子部材201と、絶縁材料によって形成され、被覆103bを備える電線103の先端部を当該電線103と端子部材201との間における絶縁を確保した状態で保持する絶縁部材202と、導電材料を用いて形成され、絶縁部材202が保持する電線103の被覆103bを貫通するように端子部材201に螺合され、端子部材201と電線103の芯線103aとを電気的に接続する締め付けネジ203と、を備えるものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、高圧引下用絶縁電線との電気的な接続を容易かつ確実に確保しつつ、高圧引下用絶縁電線の切断を防止することができ、長期にわたって安定した避雷性能を発揮させることができるというメリットがある。
また、特許文献2には「カップ部材」という名称で、避雷器に接続する線路側電線が振動などにより接続部で破断してしまうことを防止するものに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明も本発明と同じ出願人によるものであり、特許文献2中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、特許文献2に開示される発明は、配電線に接続されて侵入する落雷を接地側に逃がす機能を備える避雷器100に取り付けられるカップ部材110であって、配電線からの線路側電線Cを差し込む貫通穴111を有して該線路側電線を接続する避雷器本体部101側の接続金具102を覆うように形成されており、その接続金具に線路側電線を接続する接続方向の延長方向に延在するように形成されて該線路側電線を内装する状態で主に円錐部17で支持するキャップ部材10が貫通穴に嵌着されていることを特徴とするものである。
特許文献2に開示される発明によれば、避雷器本体側の接続部からカップ部材の差込部の間に延在する線路側電線が振動しないように、その差込部に連設されている筒形状部内で内装・支持することができ、その線路側電線の導通線材が接続部の近傍で破断してしまうことを防止することができる。したがって、強風などにより線路側電線が振動する環境内でも、故障が少なく頻繁なメンテナンス作業の必要のない避雷器を提供することができるというメリットがある。
特開2012−174545号公報 特開2007−311295号公報
上述の特許文献1,2に開示される発明は、本発明と同じ技術分野に属する発明であるが、いずれも本発明と発明が解決すべき課題が異なっている。
すなわち、特許文献1,2に開示される発明はいずれも電線(リード線)の揺動を防止して、電線の破断を防止するという技術内容であり、万一、電線が絶縁カバー内で切断した際に、絶縁カバーからの電線の抜けを防止することができるよう構成されるものではない。
このため、避雷器の絶縁カバー内に収容される電線の揺動を防止しつつ、万一、電線が切れた場合に、絶縁カバーから切断された電線の端部が抜けて外れるのを防止するための何らかの工夫が必要であった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、避雷器の絶縁カバー内に収容される電線の揺動を防止しつつ、万一、電線が切れた場合に、絶縁カバーから切断された電線の端部が抜けて外れるのを防止することができる避雷器縁線抜け防止具を提供することにある。
上記課題を解決するため第1の発明である避雷器縁線抜け防止具は、一対の端子を備えた筒型ヒューズを収容する避雷器本体の上部に設けられる絶縁カバー内に収容され、一対の端子における線路側端子に固定される電線が切れた際に、絶縁カバーから電線が抜けて外れるのを防止するための避雷器縁線抜け防止具であって、絶縁カバーの内側に収容される電線に周設されて、電線の周側面上に膨大部を形成させる係止部材とを有し、係止部材は、絶縁材からなり、膨大部の電線の伸長方向に対する垂直断面径は、絶縁カバーに形成される電線挿入孔の径よりも大きいことを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、係止部材は、絶縁カバーの内側に収容される電線に周設されて、電線の周側面上に膨大部を形成させるという作用を有する。
また、係止部材を絶縁材により構成することで、係止部材が避雷器の他のパーツに触れた際に、短絡事故を起こすのを妨げるという作用を有する。
さらに、係止部材を装着することで電線に形成される膨大部の電線の伸長方向に対する垂直断面径を、絶縁カバーに形成される電線挿入孔の径よりも大きく設定することで、電線が万一疲労等により断線した際に、膨大部を電線挿入孔に係止させて、絶縁カバーから電線の端部が抜けるのを防止するという作用を有する。
第2の発明である避雷器縁線抜け防止具は、第1の発明である避雷器縁線抜け防止具であって、係止部材の電線との接触面は粘着性又は接着性を有していることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用に加えて、係止部材の電線との接触面が粘着性又は接着性を有していることで、電線の周側面への係止部材の取付けを容易にするという作用を有する。
第3の発明である避雷器縁線抜け防止具は、第1又は第2の発明である避雷器縁線抜け防止具であって、係止部材の電線との接触部分は絶縁シールパテからなることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、係止部材の電線との接触部分に絶縁シールパテを用いることで、係止部材に絶縁性と、電線の周側面への粘着性又は接着性を同時に付与するという作用を有する。
この結果、係止部材を構成するパーツを少なくするという作用を有する。
第4の発明である避雷器縁線抜け防止具は、第3の発明である避雷器縁線抜け防止具であって、係止部材は、電線に周設される絶縁シールパテと、絶縁シールパテをその中空部内に収容する鞘状のカバー部材とを具備し、カバー部材は、電線の伸長方向と平行に配設されるヒンジ具備し、このヒンジを介して二つ折り可能であることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第3の発明と同じ作用に加えて、係止部材を構成する絶縁シールパテは、係止部材に絶縁性と、電線の周側面への粘着性又は接着性を同時に付与するという作用を有する。
また、係止部材を構成する鞘状のカバー部材は、電柱の伸長方向と平行に配設されるヒンジを介して二つ折り可能であるため、カバー部材により電線を挟持することができる。
そして、カバー部材と絶縁シールパテを組み合わせて係止部材を構成することで、変形性を有する絶縁シールパテをワンタッチで電線の周側面上に粘着又は接着して、膨大部を形成させるという作用を有する。
この場合、カバー部材を備えることで、絶縁シールパテを間接的に操作することができるので、絶縁シールパテの取り扱い時に間接活線工具に絶縁シールパテが意図せず付着するのを妨げるという作用を有する。
上述のような第1の発明によれば、絶縁カバー内に収容される電線が絶縁材からなる係止部材を備えることで電線に膨大部が形成される。そして、絶縁カバー内に収容される電線がこのような膨大部を備えることで、万一、電線が疲労等により断線した場合に、この膨大部が絶縁カバーの電線挿入孔に係止されて、絶縁カバーから電線が抜けて外れるのを防止することができる。
この結果、切断された電線が絶縁カバーから抜けて導体物に接触して短絡事故を起こしたり、地面に接触して地絡事故が起こしたりするのを防止することができる。
第2の発明は、第1の発明と同じ効果に加えて、係止部材が電線との接触面に粘着性又は接着性を備えていることで、係止部材の電線への取付け作業を簡素化することができる。つまり、絶縁カバー内に収容される電線に対して、係止部材の取付け作業を行う際に、接着剤を塗布したり、粘着シートを巻き付けたりするなどの作業を行う必要がないので、スムーズに係止部材の取付けを行うことができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、係止部材の電線との接触部分を絶縁シールパテにより構成することで、係止部材に絶縁性を付与するとともに、電線と係止部材とが直接接触する部分に粘着性又は接着性を付与することができる。このように、係止部材の構成として絶縁シールパテを用いることで、1種類のパーツにより絶縁性及び粘着性又は接着性の2種類の性質を担うことができる。
この結果、第3の発明における係止部材の構成をシンプルにすることができる。
これにより、第3の発明における係止部材を廉価に提供できるというメリットがある。
第4の発明は、第3の発明と同じ効果に加えて、係止部材を二つ折り可能な鞘状のカバー部材と、その中空部内に収容される絶縁シールパテとにより構成することで、係止部材により電線を挟持するだけで電線に係止部材を取り付けることができる。つまり、第4の発明によれば、電線に係止部材を迅速に取り付けることができる。
よって、第4の発明を用いる場合は、絶縁カバー内の電線に膨大部を形成する作業を行う際の作業性を向上することができる。
本発明の実施の形態に係る避雷器縁線抜け防止具の使用状態を示す概念図である。 (a)本発明の実施の形態に係る避雷器縁線抜け防止具であり、(b)本発明の実施の形態に係る避雷器縁線抜け防止具の断面図である。 本発明の実施の形態に係る避雷器縁線抜け防止具の使用状態を示す部分拡大図である。
本発明の実施例に係る避雷器縁線抜け防止具について図1乃至図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係る避雷器縁線抜け防止具の使用状態を示す概念図である。また、図2(a)は本発明の実施例に係る避雷器縁線抜け防止具であり、(b)は本発明の実施の形態に係る避雷器縁線抜け防止具の断面図である。なお、図2(b)は図2(a)中のA−A線矢視断面図である。
本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1は、図1に示すように、一対の端子を備えた筒型ヒューズ(図示せず)を収容する避雷器本体7の上端に設けられる絶縁カバー8内に収容され、上述の一対の端子を構成する線路側端子9に固定される電線13に周設されて、電線13の端部近傍に膨大部を形成させるための絶縁材である。
このような実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を避雷器6の絶縁カバー8内に収容される電線13に周設しておくことで、絶縁カバー8内における電線13の揺動や折れ曲がりを抑制して線路側端子9近傍の電線13の断線を防止することができる。
さらに、万一、線路側端子9の近傍において電線13が切れてしまった場合でも、電線13に周設される避雷器縁線抜け防止具1により、電線13に膨大部が形成されるので、絶縁カバー8に形成される電線挿入孔12aから、より具体的には、絶縁カバー8の頂部に取設されるゴムブッシュ12に穿設される電線挿入孔12aから、電線13の端部が抜けて外れるのを好適に防止することができる。
これに対して、避雷器6の絶縁カバー8内に収容される電線13(引下げ線)の端部が、実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を備えない場合は、絶縁カバー8内において電線13が断線した際に、電線13(引下げ線)が絶縁カバー8から抜けて外れてしまう。この場合、切れた電線13が導電体に接触すると短絡事故が発生し、地面に接触すると地絡事故等が起こり、最悪の場合、停電が起こる恐れがあった。
つまり、電線13が切れることにより避雷器が機能しなくなるという不具合のみならず、切れた電線13による二次的な被害が生じる懸念があった。
よって、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を絶縁カバー8内に収容される電線13に装着しておくことで、上述のような二次的な被害が生じるのを確実に防止することができる。
本発明の実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1は、絶縁カバー8内に収容される電線13に電線挿入孔12aから抜けないような膨大部を形成させることができる絶縁体であればどのような形態でもよい。
その一方で、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の電線13の周側面上への取付け容易性を考えると、避雷器縁線抜け防止具1における電線13との接触面は粘着性(又は接着性)を有していることが望ましい。
この粘着性(又は接着性)は、電線13の端部近傍に周設されて膨大部を形成する絶縁材が、その性質の一部として備えるものでもよいし、可撓性を有する絶縁材の電線13との接触面に絶縁性の粘着物(例えば、接着剤等)を別途備える等により付与される性質でもよい。
より具体的には、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1として、例えば、その表面が粘着性を有する絶縁シールパテを用いることができる。あるいは、合成樹脂製の粘着テープを、電線13の所望個所に巻回して膨大部を形成させることによっても目的とする効果を発揮させることができる。
なお、避雷器6の絶縁カバー8内に収容される電線13に避雷器縁線抜け防止具1を周設する作業は、従来公知の間接活線工具を用いて行う必要があるため、間接活線工具を使用する際の作業性を考慮して、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を、例えば、図2に示すような形態としてもよい。
本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1として、例えば、図2(a),(b)に示すような係止部材2を用いることができる。なお、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1は、絶縁カバー8内に収容される電線13に周設されることで膨大部を形成し、この膨大部が絶縁カバー8に形成される電線挿入孔12aに係止させることで電線13が絶縁カバー8から抜けるのを防止するものであるから、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1は、その機能を考慮して表現するならば係止部材2であるとも言える。
このような係止部材2(避雷器縁線抜け防止具1)は、図2(a),(b)に示すように、例えば、合成樹脂材を成型してなる鞘状のカバー本体3aと、このカバー本体3aの内側面上に配設されて電線13の周側面上に粘着又は接着する絶縁シールパテ4と、カバー本体3aを間接活線工具により挟持可能にするための挟持部5とにより構成してもよい。なお、この挟持部5はカバー本体3aの外側面上に突出させておくとよい。
また、カバー本体3aは、例えば、その中空部内に収容する電線13の伸長方向と平行に形成されるヒンジ3bを介して二つ折り可能に構成してもよい。
この場合、例えば、2本のホットスティック(間接活線工具)を用いて電線13への本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の装着を行う際に、一方のホットスティックでカバー本体3aに突設される挟持部5を挟持して係止部材2を電線13の近くに保持し、他のホットスティックを用いて電線13をカバー本体3aごと絶縁シールパテ4で挟持するように二つ折りにすることで、絶縁シールパテ4を電線13に接着させて、係止部材2を電線13に周設することができる。
そして、絶縁シールパテ4が十分な粘着性又は接着性を有している場合は、上述のように絶縁シールパテ4で電線13を挟持するだけで、電線13の周側面上に絶縁シールパテ4が固定されて膨大部が形成される。つまり、絶縁シールパテ4を備えたカバー本体3aで電線13を挟持するだけで電線13への避雷器縁線抜け防止具1の装着を完了できる。
なお、カバー本体3aの他の形態としては、例えば、図2(a),(b)に示すように、カバー本体3aの絶縁シールパテ4を備えない重なり部に嵌合構造3cを予め形成しておき、カバー本体3aを二つ折りにした際に、対向して配設される嵌合構造3c同士による係止関係を利用してカバー本体3aを固定することができるよう構成してもよい。
この場合、カバー本体3aの周縁における重なり部を嵌合構造3cによりしっかりと閉合させることができるので、避雷器縁線抜け防止具1の装着時における絶縁シールパテ4の外れを好適に防止することができる。
また、図2(a)ではカバー本体3aの周縁に嵌合構造3cを3対設ける場合を例に挙げて説明しているが、嵌合構造3cは1対以上の所望数の対だけ設けてよい。
また、請求項に記載される「カバー部材」は、カバー本体3aとヒンジ3bとを総称した概念であり、この「カバー部材」は、挟持部5や嵌合構造3cを備えていてもよい。
また、カバー本体3aに設けられる挟持部5は必須ではなく、例えば、カバー本体3aの外側面に、ホットスティックの挟持部材の先端を挿脱可能なソケットを一体に形成しておき、ホットスティックの挟持部材の閉動作に伴って、カバー本体3aを二つ折りにすることができるよう構成しておいてもよい。この場合、1本のホットスティックで本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の装着作業を行うことができるというメリットがある。
なお、図2では係止部材2が、ヒンジ3bを備えて2つ折り可能に構成される場合を例に挙げて説明しているが、絶縁シールパテ4を備えてなる係止部材2を、ヒンジ3bを設けることなく2つのパーツにより構成し(図示せず)、この2つのパーツからなる図示しない係止部材2により電線13を挟持して、電線13に膨大部を形成してもよい。
この場合、係止部材2を構成する2つのパーツのそれぞれに挟持部5を設けておくとよい。さらに、この場合、係止部材2を構成する2つのパーツのそれぞれが挟持部5を備えることで、間接活線工具による係止部材2の保持を容易にできる。
さらに、この場合、挟持部5に加えて、係止部材2を構成する2つのパーツの互いに対向する側縁に、嵌合構造3cを単数対又は複数対備えていてもよい。嵌合構造3cを備えることで、2つのパーツからなるカバー本体3aの周縁における重なり部を嵌合構造3cによりしっかりと閉合させることができるので、係止部材2の装着時における絶縁シールパテ4の外れを好適に防止することができる。
さらに、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1は、カバー本体3aの内側に絶縁シールパテ4を備えている必要は必ずしもない。電線13に本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を装着する目的は、絶縁カバー8に収容される電線13に膨大部を形成させることであり、この膨大部が電線13の外周面上から容易に外れなければ、係止部材2が中実である必要は特にない。
より具体的には、図2(a),(b)に示す係止部材2において、絶縁シールパテ4を備える代わりに、カバー本体3aを中空状のままとし、カバー本体3aの上下端部を電線13の周側面上に位置ずれすることがないように粘着材又は接着剤でしっかりと接着することによっても目的とする効果を発揮させることができる。
すなわち、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1が、絶縁カバー8内に収容される電線13から容易に外れないようにしっかりと装着されるとともに、電線13に避雷器縁線抜け防止具1を装着することで形成される膨大部の、電線13の伸長方向に対する垂直断面径が、絶縁カバー8に形成される電線挿入孔12aよりも大きくなるよう構成されていれば、本発明の目的とする機能が発揮される。このため、係止部材2が中実であることや、絶縁シールパテ4を用いることが発明の効果を発揮させるのに必要であるというわけではない。
その一方で、絶縁シールパテ4を用いる場合は、その粘着性又は接着性により絶縁カバー8内に収容される電線13に係止部材2をしっかりと確実に固定することができ、しかも、間接活線工具による避雷器縁線抜け防止具1(係止部材2)の取り扱い容易性を大幅に向上できるというメリットがある。
ここで、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の装着状態について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は本発明の実施例に係る避雷器縁線抜け防止具の使用状態を示す部分拡大図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を、単に避雷器6の絶縁カバー8から電線13が抜けて外れるのを防止するための器具として用いる場合は、図3に示す避雷器6の絶縁カバー8内の電線13の所望の位置に係止部材2を周設しておけばよい。ただし、この場合、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1により目的とする効果が確実に発揮されるためには、先にも述べた通り、係止部材2の電線13の伸長方向に対する垂直断面径が、絶縁カバー8の電線挿入孔12aの径より大きく設定されている必要がある。
そして、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を、上述のような目的に加えて、避雷器6の絶縁カバー8内における電線13の揺動(振動)を防止して、電線13の切断を起こり難くするという効果を発揮させるためのものとしても使用する場合は、絶縁カバー8に収容される電線13の全域(略全域の概念を含む)に本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を周設しておく必要がある。
このように、絶縁カバー8に収容される電線13の全域(略全域の概念を含む)に本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1を周設することで、絶縁カバー8に収容される電線13が揺動又は振動する際の折れ曲がりを好適に抑制して、絶縁カバー8に収容される電線13の断線を防止することができる。
さらに、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の避雷器6への取付けは、以下に示すような手順で行うとよい。
まず、避雷器6への電線13の端部の固定作業を行う前に、絶縁カバー8の電線挿入孔12aに電線13を挿通して電線13に予め絶縁カバー8を取り付けておく。
次に、電力線から分岐された電線13の端部における絶縁材を剥離してから、避雷器本体7(図1を参照)の上端に設けられる線路側端子9の電線導入穴9aに電線13の端部を挿入して固定具10である、例えば、ボルトを締めつけて線路側端子9に電線13の端部を固定する。
図3に示すような避雷器6では、線路側端子9に形成される電線導入穴9aの径は電線13の径に対して十分に大きく設定されているので、万一、電線導入穴9a内において電線13が傾いた状態で挿入され、その状態のまま固定具10で電線13を締め付けて固定した場合は、固定具10による電線13の締め付けが不十分になり、使用時に電線導入穴9aから電線13の端部が抜けて外れてしまう恐れがある。
そこで、図3に示す避雷器6では、線路側端子9に電線13を固定する際に、電線導入穴9aの開口部に電線当板11を設けておき、この電線当板11の先端部で電線13を電線導入穴9aの内側面にしっかりと押し付けた状態で固定具10により電線13を締め付けて固定できる構造になっている。
そして、線路側端子9へ電線13の端部の固定が完了した後に、電線13に対して避雷器縁線抜け防止具1の取付けを行う。なお、電線13への避雷器縁線抜け防止具1の取付け手順については先に述べた通りである。
また、本実施例では、電線13への本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1の取付け後に、電線13から避雷器縁線抜け防止具1を取り外すことを想定していないので、電線13の適切な位置に避雷器縁線抜け防止具1をしっかりと装着する必要がある。これは、電線13における避雷器縁線抜け防止具1の装着位置が不適切である場合は、避雷器縁線抜け防止具1が障害となって避雷器本体7の上部に絶縁カバー8を取り付けることができなくなってしまうためである。
このような不具合を回避するための方策としては、例えば、避雷器6の線路側端子9への電線13の固定が完了した時点で、避雷器本体7に絶縁カバー8を一旦仮装着し、絶縁カバー8に形成される電線挿入孔12aの上部開口近傍の電線13にマークするなどして、絶縁カバー8内に収容される電線13の領域を可視化しておいてから避雷器縁線抜け防止具1を電線13に装着する等の方法がある。
あるいは、絶縁カバー8内に収容される電線13の長さが既知である場合は、避雷器縁線抜け防止具1の長さL(図3を参照)が、絶縁カバー8内に収容される電線13の長さに合致するよう予め設定しておくことで、線路側端子9の上端部に可能な限り避雷器縁線抜け防止具1の下端部を近づけながら避雷器縁線抜け防止具1を装着するだけで、避雷器縁線抜け防止具1の装着後に絶縁カバー8を避雷器本体7上に装着できなくなるという不具合を確実に回避することができる。
そして、電線13への避雷器縁線抜け防止具1の装着が完了した後、電線13を挿通させておいた絶縁カバー8を避雷器本体7(図1を参照)の上部にスライドさせて、線路側端子9及び避雷器縁線抜け防止具1さらに避雷器縁線抜け防止具1が周設された電線13を絶縁カバー8内に収容して、その下端部を避雷器本体7の上端部に固定(例えば、螺設等)すればよい。
上述のような本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1によれば、図1,3に示すような避雷器6の絶縁カバー8内に収容される電線13が風などによりあおられて揺動(振動)するのを抑制することができる。この場合、避雷器6の絶縁カバー8内において電線13が切断するリスクを低減できるので、電線13と避雷器6との接続状態を長期間にわたり好適に維持することができる。
また、万一、絶縁カバー8内に収容される電線13が切れた場合でも、係止部材2(避雷器縁線抜け防止具1)がゴムブッシュ12の電線挿入孔12aにおいて抜け防止のためのストッパーとして機能することで、絶縁カバー8から切れた電線13が抜けるのを確実に防止することができる。
つまり、本実施例に係る避雷器縁線抜け防止具1によれば、万一、絶縁カバー8内で電線13が切れた場合の二次災害の発生を確実に防止することができる。この結果、避雷器6使用時の安全性を一層向上できる。
以上説明したように本発明は、避雷器の絶縁カバー内に収容される電線が風などにあおられて振動するのを好適に抑制するとともに、避雷器における線路側端子の上端において万一電線が疲労により断線した場合でも、電線の端部が絶縁カバーから抜けるのを防止することができる避雷器縁線抜け防止具であり、送電設備に関する技術分野において利用可能である。
1…避雷器縁線抜け防止具 2…係止部材 3a…カバー本体 3b…ヒンジ 3c…嵌合構造 4…絶縁シールパテ 5…挟持部 6…避雷器 7…避雷器本体 8…絶縁カバー 9…線路側端子 9a…電線導入穴 10…固定具 11…電線当板 12…ゴムブッシュ 12a…電線挿入孔 13…電線

Claims (4)

  1. 一対の端子を備えた筒型ヒューズを収容する避雷器本体の上部に設けられる絶縁カバー内に収容され、前記一対の端子における線路側端子に固定される電線が切れた際に、前記絶縁カバーから前記電線が抜けて外れるのを防止するための避雷器縁線抜け防止具であって、
    前記絶縁カバーの内側に収容される前記電線に周設されて、前記電線の周側面上に膨大部を形成させる係止部材とを有し、
    前記係止部材は、絶縁材からなり、
    前記膨大部の前記電線の伸長方向に対する垂直断面径は、前記絶縁カバーに形成される電線挿入孔の径よりも大きいことを特徴とする避雷器縁線抜け防止具。
  2. 前記係止部材の前記電線との接触面は粘着性又は接着性を有していることを特徴とする請求項1記載の避雷器縁線抜け防止具。
  3. 前記係止部材の前記電線との接触部分は絶縁シールパテからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の避雷器縁線抜け防止具。
  4. 前記係止部材は、前記電線に周設される前記絶縁シールパテと、前記絶縁シールパテをその中空部内に収容する鞘状のカバー部材とを具備し、
    前記カバー部材は、前記電線の伸長方向と平行に配設されるヒンジを具備し、このヒンジを介して二つ折り可能であることを特徴とする請求項3記載の避雷器縁線抜け防止具。
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KR101932186B1 (ko) * 2018-06-25 2018-12-24 주식회사 천하기술단 가공배전선로용 밴드기구

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