JP2017054641A - 回転陽極型x線管及び回転陽極型x線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管及び回転陽極型x線管装置 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却性能の向上が可能な回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管装置を提供する。【解決手段】筒状に形成され、少なくとも第1開口端を有する固定軸と、前記固定軸の周囲で軸受により支持された回転体と、電子を放出する陰極と、前記回転体に接続され、前記陰極から放出された電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲットと、第1取入口と、前記第1開口端につながった第1取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第1流路を有し、前記固定軸に連結されたアダプタと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管装置に関する。
従来、様々な技術分野において、液体に旋回流を発生させる技術が応用されている。
例えば、混合流体が流れる流体通路を有し、流体通路内で混合流体を旋回させることにより、混合流体を複数の流体成分に分離する分離装置が知られている(特許文献1)。
また、例えば、筐体と、筐体の内部に配置された円筒部材と、を備え、あらゆる流体に適応して効率的に高速旋回流を発生させることが可能な旋回流生成装置が知られている。より具体的には、筐体は、少なくとも一方の端部が開口した円筒空間部と、円筒空間部の内周面に開口した流体導入路と、を有している。また、円筒部材は、筐体の開口方向と同一方向の端部が開口した円筒空間部と、その周壁に開口する複数の円形又は楕円形の孔部と、を有している。そして、筐体の流体導入路から円筒空間部へ導入された液状流体は、円筒部材に形成された孔部を介して円筒部材内に流入されることにより、旋回流を生じる(特許文献2)。
特開平11−28389号公報 特許第4981057号公報
本実施形態の目的は、製品寿命の長期化を図ることのできる回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管装置を提供することにある。
一実施形態に係る回転陽極型X線管は、筒状に形成され、少なくとも第1開口端を有する固定軸と、前記固定軸の周囲で軸受により支持された回転体と、電子を放出する陰極と、前記回転体に接続され、前記陰極から放出された電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲットと、外側に開口した第1取入口と、前記第1開口端につながった第1取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第1流路を有し、前記固定軸に連結されたアダプタと、を備える。
一実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、筒状に形成され、少なくとも第1開口端を有する固定軸と、前記固定軸の周囲で軸受により支持された回転体と、電子を放出する陰極と、前記回転体に接続され、前記陰極から放出された電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲットと、外側に開口した第1取入口と、前記第1開口端につながった第1取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第1流路を有し、前記固定軸に連結されたアダプタと、を備える回転陽極型X線管と、前記回転陽極型X線管を収容する筐体と、を備える。
図1は、本実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図2は、図1に示したアダプタを示す斜視図であり、アダプタの一部分の断面形状を示す図である。 図3は、図2に示したアダプタを示す平面図である。 図4は、図2に示したアダプタの第1乃至第3流路を示す図である。 図5は、上記実施形態に係るアダプタの変形例を示す斜視図であり、アダプタの変形例の一部分の断面形状を示す図である。 図6は、図5に示した第1流路が対数螺旋形状に形成された場合に、第1流路を第3方向から見た平面図である。 図7は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置の変形例1を示す断面図である。 図8は、上記実施形態の固定軸の変形例を示す断面図である。 図9は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置の変形例2を示す断面図である。 図10は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置の変形例3を示す断面図である。 図11は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置の変形例4を示す断面図である。 図12は、図11に示した固定軸をアダプタが連結された側から見た図である。
以下に、本発明の一実施形態及び各変形例について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
まず、一実施形態に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図1は、本実施形態に係る回転陽極型X線管装置100を示す断面図である。図1において、軸Aを中心に対称な回転体20の構造には、同一の符号及び名称を付すことができる。
図1に示すように、回転陽極型X線管装置100は、回転陽極型X線管1、磁界を発生させるコイルであるステータコイル2、回転陽極型X線管1及びステータコイル2を収容する筐体3、冷却器4等を備えている。回転陽極型X線管1は、固定軸10と、アダプタADと、回転体20と、陰極60と、陽極ターゲット50と、真空外囲器70と、を備えている。
図1に示すように、固定軸10は、内部に、軸Aに沿った冷却液Lの冷却孔10cを有し、第1開口端10aと、第1開口端10aの反対側に第2開口端10bを有する筒状に形成されている。
固定軸10は、外面に位置した第1ラジアル軸受面S10aを有している。第1ラジアル軸受面S10aは、固定軸10の外面に全周に亘って形成されている。
固定軸10は、鍔部15を有している。鍔部15は、軸Aに平行な方向に第1ラジアル軸受面S10aに並んで設けられ、筒状に形成されている。鍔部15は、この一端に第1スラスト軸受面S15aを有し、この他端に第2スラスト軸受面S15bを有している。第1スラスト軸受面S15a及び第2スラスト軸受面S15bはそれぞれ環状に形成されている。
アダプタADは、一方で固定軸10に連結され、他方で、つまり固定軸10に連結された側と反対側で、パイプP1に連結されている。本実施形態において、アダプタADとパイプP1との連結部にタンクTKが形成されている。図1に示した例では、アダプタADは、1本の第1流路CN1の他、後述する第2流路及び第3流路を有している。例えば、第1流路CN1は、外側に開口し冷却液Lを取り入れる第1取入口CN1aと、固定軸10の第1開口端10aにつながり冷却液Lを取り出す第1取出口CN1bを有している。なお、後述するが、第1流路CN1は、螺旋状に形成されている。また、アダプタADが有する流路の本数は3本に限定されるものではない。アダプタADは、少なくとも1本の流路を有していればよい。このため、アダプタADは、1本の流路を有していてもよく、2本の流路を有していてもよく、4本以上の流路を有していてもよい。
回転体20は、固定軸10の周囲で軸受により支持されている。回転体20は、第1円筒21と、第2円筒22と、第3円筒23と、第4円筒24とを備えている。第1円筒21、第2円筒22、第3円筒23及び第4円筒24は、固定軸10と同軸的に設けられている。
第1円筒21は、両端が開口した筒状に形成されている。第1円筒21は、例えばモリブデン若しくはタングステン、又はこれらを用いた合金にて形成されている。
第2円筒22は、両端が開口した筒状に形成されている。第2円筒22は、第1円筒21の外面及び端部に固定されている。第2円筒22は、例えば鉄合金等の金属材料で形成されている。なお、第2円筒22は、第1円筒21と同一材料で形成されてもよく、第1円筒21と一体に形成されていてもよい。
第3円筒23は、両端が開口した筒状に形成されている。第3円筒23は、第1円筒21の内面及び第2円筒22の内面に固定されている。
第4円筒24は、両端が開口した筒状に形成されている。第4円筒24は、第2円筒22の外面に固定されており、真空外囲器70を挟んでステータコイル2に対向している。第4円筒24は例えば銅又は銅合金等の金属材料で形成されている。第1円筒21と、第2円筒22、第3円筒23、及び第4円筒24との固定方法は特に限定されるものではなく、種々の方法をとることができる。
第1円筒21は、第1ラジアル軸受面S10aに隙間を置いて対向した第2ラジアル軸受面S21aを有している。第2ラジアル軸受面S21aは、第1円筒21の内面に全周に亘って形成されている。第2ラジアル軸受面S21aの内径は、第1ラジアル軸受面S10aの直径より「わずかに」大きい。
第1円筒21は、第1スラスト軸受面S15aに隙間を置いて対向した環状の第3スラスト軸受面S21bを有している。第3円筒23は、第2スラスト軸受面S15bに隙間を置いて対向した環状の第4スラスト軸受面S23aを有している。回転体20及び固定軸10は、軸受面同士が対向した領域を含む全対向領域で、互いに隙間(微小な隙間)を置いて設けられている。
液体金属LMは、固定軸10と回転体20との間の隙間に充填されている。液体金属LMは、Galn(ガリウム・インジウム)合金またはGaInSn(ガリウム・インジウム・錫)合金等の材料を利用することができる。液体金属LMは、常温で液状となる特性を持っている。また、液体金属LMは、蒸気圧が低いという特性も持っている。このため、真空状態の回転陽極型X線管の内部で液体金属LMを使用することができる。
固定軸10、回転体20及び液体金属LMは、軸受B1,B2,B3を形成している。軸受B1,B2,B3は、潤滑剤としての液体金属LMを用いた動圧軸受である。軸受B1は、第1ラジアル軸受面S10aと、第2ラジアル軸受面S21aと、液体金属LMと、を有したラジアル動圧軸受である。軸受B2は、第1スラスト軸受面S15aと、第3スラスト軸受面S21bと、液体金属LMと、を有した第1スラスト動圧軸受である。軸受B3は、第2スラスト軸受面S15bと、第4スラスト軸受面S23aと、液体金属LMと、を有した第2スラスト動圧軸受である。軸受B2及び軸受B3は、固定軸10及び回転体20の軸Aに沿った方向への相対的なズレを規制するものである。また、第3円筒23と固定軸10との間の隙間(クリアランス)は、回転体20の回転を維持するとともに液体金属LMの漏洩を抑制できる値に設定されている。以上のことから、上記隙間は僅かであり、第3円筒23はラビリンスシールリング(labyrinth seal ring)として機能するものである。
図1に示すように、陰極60は、真空外囲器70の内壁に取り付けられている。陰極60は、電子を放出する電子放出源としてのフィラメント61を備えている。
陽極ターゲット50は回転体20に接続されている。陽極ターゲット50は、固定軸10等と同軸的に設けられている。陽極ターゲット50は、円環状に形成され、第1円筒21に接続されている。陽極ターゲット50は、例えばモリブデン又はタングステン、あるいはこれらを用いた合金で形成される。陽極ターゲット50は、回転体20と一体的に回転する。陽極ターゲット50は、円環状のX線放射層51を有している。X線放射層51は、陰極60から放出された電子が衝突することによりX線を発生する。X線放射層51は、融点の高い金属で形成されている。ここでは、X線放射層51は、タングステン合金で形成されている。
なお、図示した例では、陽極ターゲット50は、第1円筒21と同一材料で一体に形成されている。なお、陽極ターゲット50は、第1円筒21の側面に接合されていてもよい。この場合、第1円筒21と陽極ターゲット50とは、同一材料により形成されていてもよく、又は、互いに異なる材料により形成されていてもよい。また、図1に示した陽極ターゲット50の形状は一例であり、陽極ターゲット50は、種々の形状をとることが可能である。
真空外囲器70は、固定軸10、回転体20、陰極60、陽極ターゲット50等を収容している。真空外囲器70は密閉され、内部が真空状態に維持されている。真空外囲器70は、例えば、ガラスで形成されている。真空外囲器70は開口部71、72を有している。真空外囲器70の密閉状態を維持するよう、開口部71は固定軸10の一端部(第1開口端10a側)に気密に接合され、開口部72は固定軸10の他端部(第2開口端10b側)に気密に接合されている。図示した例では、回転陽極型X線管1には、両端支持軸受構造が採用されている。真空外囲器70は、固定軸10の一端部及び他端部を固定している。すなわち、固定軸10の一端部及び他端部は、軸受の両持ち支持部として機能している。
ステータコイル2は、第4円筒24と対向し、真空外囲器70の外側を環状に囲むように設けられている。
X線管装置の動作において、ステータコイル2は第4円筒24に与える磁界を発生するため、回転体20は陽極ターゲット50とともに一体に回転する。また、陽極ターゲット50と陰極60との間には電圧(管電圧)が印加される。陰極60及び陽極ターゲット50に電位差が生じる。フィラメント61から放出された電子は、陽極ターゲット50に向かって加速され、X線放射層51に衝突する。これにより、X線放射層51から発生したX線は、真空外囲器70を透過し真空外囲器70の外部に放出される。
筐体3は、回転陽極型X線管1及びステータコイル2を収容している。筐体3は密閉されている。筐体3は開口部31を有している。図示した例では、筐体3の密閉状態を維持するよう、開口部31はアダプタADに液密に接合されている。
冷却器4は、パイプP1を介して第1取入口CN1aに接続されている。また、冷却器4は、パイプP2を介して筐体3の内部に接続されている。冷却液Lは、回転陽極型X線管1と筐体3との間の空間と、冷却器4やパイプP1及びP2の内部に充填されている。冷却器4は、筐体3の内部から冷却液Lを取出し、冷却器4に設けられた熱交換器4bにより冷却し、冷却された冷却液Lを第1取入口CN1aに吐出する。冷却液Lは冷却器4に設けられたポンプ4aにより、回転陽極型X線管装置100の内部を循環する。
より具体的には、冷却液Lは、冷却器4によって冷却されたあと、アダプタADに接続されたパイプP1を通り、タンクTK内に供給される。その後、冷却液Lは、アダプタADの第1取入口CN1aから取り入れられ、螺旋状の第1流路CN1を通り、アダプタADの第1取出口CN1bから取り出される。この時、冷却液Lは、螺旋状の第1流路CN1を通過したことにより、固定軸10の第1開口端10aにおいて、冷却孔10cの延出方向の運動成分と、第1流路CN1の螺旋の回転方向の運動成分を有する旋回流となる。冷却液Lは、旋回しながら固定軸10の第1開口端10aから冷却孔10cへ流入し、第2開口端10bまで通過する。その後、冷却液Lは、回転陽極型X線管1と筐体3との間の空間に流出し、パイプP2を通り再び冷却器4に供給される。
上記のように、冷却器4は、冷却液Lを循環させることにより、陽極ターゲット50等で発生する熱を冷却液Lを介して、筐体3の外部へ放出する。
なお、図示した例では、アダプタADは、固定軸10の第1開口端10a側に直に連結されているため、冷却液Lは、固定軸10の第1開口端10aから冷却孔10cに流入し、第2開口端10bから流出する。しかし、本実施形態と異なり、アダプタADが固定軸10の第2開口端10b側に連結されていてもよく、この場合には、冷却液Lは固定軸10の第2開口端10bから冷却孔10cに流入し、第1開口端10aから流出する。
また、冷却液Lとしては、絶縁油などの絶縁性の冷却液が用いられる。回転陽極型X線管装置100の構成次第では、冷却液Lとして、水などの水系冷却液が用いられてもよい。
図2は、図1に示したアダプタADを示す斜視図であり、アダプタADの一部分の断面形状を示す図である。また、図3は、図2に示したアダプタADを示す平面図である。なお、アダプタADの面Bは、アダプタADが図1に示した固定軸10に連結される側の面である。図2及び図3に示すように、アダプタADは、図1に示したアダプタADの第1流路CN1だけではなく、第2流路CN2及び第3流路CN3も有している。図2は、アダプタADに形成された第1乃至第3流路の説明のために、第1方向X及び第3方向Zによって規定される平面に沿って一部が切られた断面と、第2方向Yと第3方向Zよって規定される平面に沿って一部が切られた断面と、を含んだ形状を示している。
図2に示した例では、アダプタADは、第1流路CN1と、第2流路CN2と、第3流路CN3の3本の流路を有している。第1乃至第3流路は、それぞれ螺旋状に形成されている。すなわち、第1乃至第3流路は、タンクTK側から面B側に向かって第3方向Zに旋回しながら固定軸へ近づいている。第1流路CN1は、第1取入口CN1aを有している。第2流路CN2は、第2取入口CN2aを有している。第3流路CN3は、第3取入口CN3aを有している。第1乃至第3取入口は、それぞれ外側であるタンクTK側に開口し、冷却液Lを取り入れる機能を有する。
図3に示すように、第1流路CN1は、第1取出口CN1aを有している。第2流路CN2は、第2取出口CN2bを有している。第3流路CN3は、第3取出口CN3bを有している。第1乃至第3取出口は、図1に示したように、固定軸10の第1開口端10aにつながり、冷却液Lを取り出す機能を有する。
第1取出口CN1bは、第1取入口CN1aより小さく形成されている。第2取出口CN2bは、第2取入口CN2aより小さく形成されている。第3取出口CN3bは、第3取入口CN3aより小さく形成されている。
図2に示した例では、第1乃至第3流路の断面は矩形状に形成されている。第1流路CN1は、螺旋の径方向、つまり第3方向Zと垂直な方向に幅wを有している。また、第1流路CN1は、第3方向Zに高さhを有している。第1流路CN1の幅w及び高さhは、それぞれタンクTK側から面B側に近づくに連れて小さくなる。換言すると、第1流路CN1が延在した方向に垂直な第1流路CN1の断面の断面積は、第1流路CN1の幅w及び高さhを掛け合わせて得られるため、第1取入口CN1aから第1取出口CN1bに近づくにつれて小さくなる。なお、第2流路CN2についても同様に、その断面積は、第2取入口CN2aから第2取出口CN2bに近づくにつれて小さくなる。また、第3流路CN3についても同様に、その断面積は、第3取入口CN3aから第3取出口CN3bに近づくにつれて小さくなる。
上記のようなアダプタADの構成により、旋回を伴わずにタンクTK内に供給された冷却液は、面B側から旋回流となって排出される。
図4は、図2に示したアダプタADの第1乃至第3流路を示す図である。
螺旋状に形成された第1流路CN1の螺旋の中心軸をCとし、中心軸Cに垂直な方向における中心軸Cから第1流路CN1までの距離である第1流路CN1の径をrとする。図示した例では、径rは、第1取入口から第1取出口に近づくにつれて小さくなる。第2流路CN2も同様に、その径は、第2取入口から第2取出口に近づくにつれて小さくなる。また、第3流路CN3も同様に、その径は、第3取入口から第3取出口に近づくにつれて小さくなる。
第1流路CN1が第1取入口から第1取出口に向かって旋回する方向は、第2流路CN2が第2取入口から第2取出口に向かって旋回する方向と等しい。また、第1流路CN1が第1取入口から第1取出口に向かって旋回する方向は、第3流路CN3が第3取入口から第3取出口に向かって旋回する方向と等しい。すなわち、冷却液は、第1乃至第3流路をそれぞれ通過した後、同一方向の旋回流となって面B側から排出される。
図1乃至図4に示したように、第1乃至第3流路が螺旋状に形成されることにより、冷却液Lは、螺旋の旋回方向の成分と第3方向Zの成分を有し、冷却孔10c内を通過する。冷却液Lが上記旋回方向の成分を有していない場合と比較し、冷却液Lは,冷却孔10cの内面により接触する。また、アダプタADの第1乃至第3流路の螺旋の進行方向が固定軸10の冷却孔10cでの旋回流の旋回の方向となる。
上記のように構成された一実施形態に係る回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管装置によれば、回転陽極型X線管1は、アダプタADを備えている。アダプタADは、第1流路CN1、第2流路CN2、第3流路CN3を有し、固定軸10に連結されている。第1乃至第3流路は螺旋状に形成されており、それぞれ固定軸10の第1開口端10aにつながっている。このため、冷却液Lは、アダプタADの第1乃至第3流路を通過した後、旋回流となり、固定軸10の冷却孔10cの内面に沿って旋回しながら通過する。よって、冷却液Lと冷却孔10cの内面の熱伝達効率が向上し、軸受B1、B2、B3の冷却効率を向上することが可能となる。つまり、軸受B1、B2、B3が高温になることによる他の部材の腐食を抑制することが可能となるため、回転陽極型X線管1の寿命を延ばすことが可能となる。
さらに、アダプタADは、3本の第1乃至第3流路を有している。アダプタADが複数の流路を有していることから、アダプタADの容積を有効に活用しつつ、冷却孔10cにより強力な旋回流を供給することが可能である。
上記のことから、製品寿命の長期化を図ることのできる回転陽極型X線管1を得ることができる。
なお、アダプタADに形成される流路は、渦巻き状に形成されていてもよく、これにより、旋回流を発生させてもよい。すなわち、流路は、上記実施形態に示したように第3方向Zに延びた螺旋形状ではなく、同一平面上に形成されていてもよい。また、このとき、アダプタADの第3方向Zの長さを短くすることが可能である。また、アダプタADに形成される流路が渦巻き状の場合においても、複数の流路を形成することが可能である。
図5は、上記実施形態に係るアダプタADの変形例を示す斜視図であり、アダプタADの変形例の一部分の断面形状を示す図である。
図5に示すように、本変形例のアダプタADは、図2に示したアダプタADと比較して、1本の第1流路CN1のみを有しているという点で主に相違している。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図6は、図5に示した第1流路CN1が対数螺旋形状に形成された場合に、第1流路CN1を第3方向Zから見た平面図である。具体的には、第1流路CN1の外径が対数螺旋形状に形成されている。ここで、径rは、第1流路CN1の螺旋の中心軸Cからの第1流路CN1の外径を表している。角度θは、第1流路CN1の第1取入口CN1a側の端部からの径rの角度を表している。
図5に示したように、第1流路CN1の幅w及び高さhは、第1取入口CN1aから第1取出口CN1bに近づくにつれて小さくなる。つまり、第1流路CN1の断面は角度θに比例して、常に相似の形状をとりながら縮小する。このため、冷却液が第1流路CN1内を徐々に旋回速度を上げながらなめらかに通過することが可能となる。よって、冷却液が第1流路CN1を通過する際に、冷却液の圧力の損失を抑制することができる。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図7は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置100の変形例1を示す断面図である。図7に示すように、本変形例の回転陽極型X線管1は、図1に示した回転陽極型X線管1と比較して、アダプタADが、さらに、副流路CNBを有しているという点で主に相違している。
副流路CNBは、固定軸10の軸Aに沿ってアダプタADを貫通して形成されている。副流路CNBは、外側であるタンクTK側に開口し、冷却液Lを取り入れる取入口CNBaを有している。また、副流路CNBは、固定軸10の第1開口端10aにつながり、冷却液Lを取り出す取出口CNBbを有している。副流路CNBは、第1流路CN1に囲まれている。冷却液Lは、副流路CNBを通過した後、直進流として、固定軸10の冷却孔10cに供給される。
旋回流は、例えば、冷却孔10cの壁面付近と軸A付近において、異なる速度成分を有する。旋回流の旋回方向の速度は、冷却孔10cの軸Aの付近においては、冷却孔10cの壁面付近と比較して緩やかになる。また、旋回流の軸Aの方向の速度は、冷却孔10cの軸A付近においては、冷却孔10cの壁面付近と比較して大きくなる。ここで、副流路CNBを形成することにより、冷却液Lを冷却孔10cへなめらかに導流することができ、旋回流を維持しつつ、圧力損失を抑制することが可能となる。また、十分な量の冷却液Lを冷却孔10cに導流することができる。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図8は、上記実施形態の固定軸10の変形例を示す断面図である。図8に示す固定軸10は、図1に示した固定軸10の他の構成に相当する。
固定軸10は、冷却孔10cの内面にスパイラル状の溝部Tを有している。アダプタから固定軸に向かう方向において、溝部Tが旋回する方向は、第1流路CN1が第1取入口から第1取出口に向かって旋回する方向と等しい。これにより、旋回流が冷却孔10c内を通過する際に、旋回の形状を維持するのを容易にする。
なお、例えば、旋回流を維持するために、冷却孔10c内に溝部Tを形成する代わりに、軸Aに沿って螺旋形状の部品等を設けてもよい。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図9は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置100の変形例2を示す断面図である。図9に示すように、本変形例の回転陽極型X線管1は、図1に示した回転陽極型X線管1と比較して、固定軸10が第1ラジアル軸受面S10aの反対側の面に、厚肉領域R1、薄肉領域R2及び厚肉領域R3を有しているという点で主に相違している。
固定軸10は、固定軸10の軸Aに沿って並んだ厚肉領域R1、R3と、上記厚肉領域R1、R3より肉厚の薄い薄肉領域R2を有している。固定軸10は、厚肉領域R1と、軸Aに沿って厚肉領域R1に間隔を置いて位置した他の厚肉領域R3と、厚肉領域R1及び厚肉領域R3の間に位置した薄肉領域R2と、を有している。例えば、薄肉領域R2の肉厚T2は、厚肉領域R1の肉厚T1及び厚肉領域R3の肉厚T3の半分又はそれ未満であると望ましい。
薄肉領域R2は、厚肉領域R1,R3と比べて、外部から入力された熱を冷却液Lに伝達し易い。旋回流は、冷却孔10cの内面に沿って通過する。旋回流は、薄肉領域R2の内面にも接触する。このため、固定軸10に薄肉領域R2が形成されることで、固定軸10から冷却液Lへの熱伝達をより促進することができる。回転体20は陽極ターゲット50の熱が伝達される熱伝達領域を有し、薄肉領域R2は上記熱伝達領域と対向している。よって、陽極ターゲット50で発生する熱が冷却液Lに伝わりやすくなり、陽極ターゲット50の冷却効率を向上することが可能となる。
なお、上記のような薄肉領域R2を有する固定軸10において、図8に示したような溝部Tを固定軸10の内面に形成する場合、薄肉領域R2に至るまでの冷却孔10cの内面、つまり、冷却孔10cの第1開口端10aから厚肉領域R3の内面に溝部Tを形成することで、より効果的に旋回流を維持することができる。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図10は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置100の変形例3を示す断面図である。図10に示すように、本変形例の回転陽極型X線管1は、図7に示した回転陽極型X線管1と比較して、副流路CNBが筐体3の内部に開放されている点で相違している。つまり、副流路CNBの取入口CNBaは、筐体3と回転陽極型X線管1との間の空間につながっている。
パイプP1は、第1流路CN1の第1取入口CN1aに接続されている。図示した例では、筐体3の開口部31はパイプP1に液密に接合されている。つまり、パイプP1は、筐体3を貫通し、筐体3に液密に取り付けられている。
旋回流が冷却孔10cを通過することにより、軸Aの付近に冷却液Lを引き込む圧力が発生する。これにより、筐体3と回転陽極型X線管1との間の空間にある冷却液Lが副流路CNBを介して冷却孔10cに引き込まれる。これにより、図7に示した変形例と同様に、副流路CNBを冷却液Lが通過することによって直進流が生じるため、冷却液Lを冷却孔10cへなめらかに導流することができ、旋回流を維持しつつ、圧力損失を抑制することが可能となる。そして、十分な量の冷却液Lを冷却孔10cに導流することができる。
なお、図10に示したような構成は、例えば、ポンプ4aに小型のものを使用する場合や、それほど熱入力を必要としない小型X線管等の冷却効率を向上させる場合に適している。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図11は、上記実施形態の回転陽極型X線管装置100の変形例4を示す断面図である。図11に示すように、本変形例の回転陽極型X線管1は、図10に示した回転陽極型X線管1と比較して、固定軸10の冷却孔10cが真空外囲器70を貫通していないという点と、アダプタADが固定軸10の第2開口端10b側に連結されているという点で主に相違している。また、図12は、図11に示した固定軸10をアダプタADが連結された側から見た図である。
回転体20が備えている第1円筒21は、一方の側が閉塞し、他方の側が開口した筒状に形成されている。固定軸10は、軸Aに沿って並んだ厚肉領域R1と、上記厚肉領域より肉厚の薄い薄肉領域R2とを有している。
固定軸10は、円筒状に形成されている。固定軸10の一端部は、真空外囲器70の開口部72を通り、真空外囲器70の外側に延出している。固定軸10は、真空外囲器70に気密に接続されている。この例において、回転陽極型X線管1は、片端支持軸受構造を採用している。真空外囲器70は、固定軸10の一端部を固定している。すなわち、固定軸10の一端部は、軸受の片持ち支持部として機能している。
回転陽極型X線管1は、固定軸10の内部に管部40を備えている。固定軸10は、管部40とともに冷却液Lの流路を形成している。管部40は、この内部に冷却液Lを取り入れる取入口40aと、冷却液LをアダプタADの副流路CNBに取り出す取出口40bを有している。取入口40aは、固定軸10のアダプタADに連結された側とは反対側の端部に隙間を置いて位置している。取出口40bは、副流路CNBの取出口CNBbにつながっている。
本変形例においては、冷却液Lは、パイプP1から第1流路CN1の第1取出口CN1aへ供給された後、第1流路CN1を通過し、第1取出口CN1bから冷却孔10cの管部40の周りの空間に供給される。図12に示すように、冷却液Lは、旋回流として、冷却孔10cの内部で、管部40の周りの空間を旋回しながら通過する。その後、冷却液Lは、管部40の取入口40aから取り入れられ取出口40bから副流路CNBに供給される。そのため、本変形例においては、冷却液Lは、副流路CNBの取出口CNBbから取り入れられ、副流路CNBの取入口CNBaから取り出される。
このような変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明の実施形態は、上述した回転陽極型X線管1及び回転陽極型X線管装置100に限定されるものではなく、各種の回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管装置に適用可能である。
1…回転陽極型X線管、100…回転陽極型X線管装置
10…固定軸、10a…第1開口端、10b…第2開口端
B1、B2、B3…軸受、20…回転体、
60…陰極、50…陽極ターゲット
CN1a…第1取入口、CN1b…第1取出口
CN2a…第2取入口、CN2b…第2取出口
CN1…第1流路、CN2…第2流路、AD…アダプタ
CNB…副流路、C…中心軸、r…径
T…溝部、3…筐体、P1、P2…パイプ、L…冷却液、4…冷却器

Claims (12)

  1. 筒状に形成され、少なくとも第1開口端を有する固定軸と、
    前記固定軸の周囲で軸受により支持された回転体と、
    電子を放出する陰極と、
    前記回転体に接続され、前記陰極から放出された電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲットと、
    外側に開口した第1取入口と、前記第1開口端につながった第1取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第1流路を有し、前記固定軸に連結されたアダプタと、を備える回転陽極型X線管。
  2. 前記アダプタは、さらに、前記第1流路に囲まれ、前記アダプタを貫通して形成され、前記第1開口端につながった副流路を有する請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  3. 前記第1流路は、螺旋状に形成され、
    前記第1流路の螺旋の中心軸に垂直な方向における、前記中心軸から前記第1流路までの距離は、前記第1取入口から前記第1取出口に近づくに連れて短くなる請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  4. 前記第1流路の外径の形状は、対数螺旋形状である請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  5. 前記第1流路が延在した方向に垂直な前記第1流路の断面積は、前記第1取入口から前記第1取出口に近づくにつれて小さくなる請求項1乃至4の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  6. 前記アダプタは、さらに、外側に開口した第2取入口と、前記第1開口端につながった第2取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第2流路を有し、
    前記第1取入口から前記第1取出口に向かって前記第1流路が旋回する方向と、前記第2取入口から前記第2取出口に向かって前記第2流路が旋回する方向と、は同一である請求項1乃至5の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  7. 前記固定軸は、内面にスパイラル状の溝部を有し、
    前記第1取入口から前記第1取出口に向かって前記第1流路が旋回する方向と、前記アダプタから前記固定軸に向かう方向にて前記溝部が旋回する方向と、は同一である請求項1乃至6の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  8. 前記軸受は潤滑剤を用いた動圧軸受である請求項1乃至7の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  9. 前記固定軸は、前記第1開口端の反対側に第2開口端を有する請求項1乃至8の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  10. 筒状に形成され、少なくとも第1開口端を有する固定軸と、
    前記固定軸の周囲で軸受により支持された回転体と、
    電子を放出する陰極と、
    前記回転体に接続され、前記陰極から放出された電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲットと、
    外側に開口した第1取入口と、前記第1開口端につながった第1取出口と、を有する渦巻き状又は螺旋状の第1流路を有し、前記固定軸に連結されたアダプタと、を備える回転陽極型X線管と、
    前記回転陽極型X線管を収容する筐体と、を備える回転陽極型X線管装置。
  11. 前記アダプタは、さらに、前記第1流路に囲まれた副流路を有し、
    前記第1流路は前記筐体を貫通し前記筐体に液密に取り付けられた管部に接続され、副流路は前記筐体の内部に開放されている請求項10に記載の回転陽極型X線管装置。
  12. 前記回転陽極型X線管と前記筐体との間の空間に充填された冷却液と、
    前記第1取入口と前記筐体の内部とに接続され、前記筐体の内部から前記冷却液を取出し、前記冷却液の熱を外部に放出し、冷却された前記冷却液を前記第1取入口に吐出する冷却器と、をさらに備える請求項10又は11に記載の回転陽極型X線管装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3511972A1 (de) * 2018-01-11 2019-07-17 Siemens Healthcare GmbH Effiziente wärmeabfuhr über gleitlager einer drehanode

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