JP2010212088A - 回転陽極型x線管 - Google Patents

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秀郎 阿武
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Abstract

【課題】陽極ターゲットの冷却率に優れているとともに製品寿命を長くすることができ、かつコンパクトである回転陽極型X線管を提供する。
【解決手段】回転陽極型X線管1は、内部に冷却液20が流れる流路を有する固定体10と、凹部を有し、陽極ターゲットを構成する円盤状の径大部610と、固定体の側面を囲み、一端部で径大部と一体化された径小部620と、を含む回転体600と、液体金属潤滑剤70と、陰極80と、真空外囲器90と、遊動体200、300、400と、を備えている。遊動体は、径大部610及び固定体10の一端部の間に配置され、液体金属潤滑剤70中に浸漬されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、回転陽極型X線管に関する。
一般に、X線管装置は、医療診断システムや工業診断システム等に用いられている。X線管装置は、X線を放射する回転陽極型X線管と、ステータコイルと、これら回転陽極型X線管及びステータコイルを収容した筐体と、を備えている。回転陽極型X線管は、固定シャフトと、この固定シャフトを軸に回転可能に設けられた回転体と、この回転体の端部に継手部を介して設けられた陽極ターゲットと、この陽極ターゲットに対向配置された陰極と、これらを収容した真空外囲器と、この真空外囲器内に充填された冷却液とを有している。固定シャフト及び回転体間の隙間には液体金属が充填されている。
上記X線管装置の動作状態において、ステータコイルは回転体に与える磁界を発生するため、回転体及び陽極ターゲットは回転する。また、陰極は陽極ターゲットに対して電子ビームを照射する。これにより、陽極ターゲットは、電子と衝突するときにX線を放出する。
X線管装置の動作時に、陽極ターゲットは、この陽極ターゲットへの熱入力により高温になる。すなわち、陽極ターゲットは、電子ビームが照射されることにより高温になる。特に、電子が衝突される電子衝撃面(焦点)の温度が高温になる。このため、電子衝撃面の温度は陽極ターゲット材質の溶解温度以下でなくてはならない。
上記したことから、陽極ターゲットを冷却させるための技術が開発されている。例えば、電子衝突面の近くで液体金属を熱伝達流体として用いて陽極ターゲットを冷却する技術が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。上記技術を用いることにより、陽極ターゲットの高冷却が可能となる。
USP5541975 DE3644719
しかしながら、上記開示された技術において、液体金属のシール部は電子衝突面近くに形成されている。電子衝突面より発生した熱はシール部に伝導するため、シール部は高温となり変形してしまう。回転体と固定シャフトとの隙間が変形してしまうため、シール部によるシール性能を十分発揮するための隙間(クリアランス)の維持が困難となるという第1の問題点がある。結果、液体金属の漏れにより、X線管に不良が生じる恐れがある。
また、およそ140mm程度の直径を有し、およそ毎分1万回転で回転する陽極ターゲットを想定した場合、凹部に充填された液体金属の運動は乱流域に達しており、液体金属により発生する摩擦損失はおよそ12kWにも相当する。従って、上記した回転陽極X線管は、回転体を回転駆動するには非常に大型のモータが必要になり、コンパクトな設計と両立させることが困難であるという第2の問題点がある。
このため、上記第1、第2の問題点の解決を図ることが望まれている。少なくとも上記第2の問題点の解決を図る必要がある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、陽極ターゲットの冷却率に優れているとともに製品寿命を長くすることができ、かつコンパクトである回転陽極型X線管を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る回転陽極型X線管は、
側面にラジアルすべり軸受面を有し、内部に冷却液が流れる流路を有する固定体と、
前記固定体の一端部と隙間をおいて嵌合される凹部を有し、陽極ターゲットを構成する円盤状の径大部と、前記固定体の側面を囲み、内面に前記ラジアルすべり軸受面に隙間を置いて対向するラジアルすべり軸受面を有し、一端部で前記径大部と一体化された径小部と、を含む回転体と、
前記隙間に充填された液体金属潤滑剤と、
前記径大部の陽極ターゲットに対向配置された陰極と、
前記固定体、回転体、液体金属潤滑剤及び陰極を収容し、前記固定体を、前記凹部に嵌合される前記固定体の一端部に対して反対側に位置する前記固定体の他端部で固定する真空外囲器と、
前記径大部及び前記固定体の一端部の間に配置され、前記液体金属潤滑剤中に浸漬された遊動体と、を備えている。
この発明によれば、陽極ターゲットの冷却率に優れているとともに製品寿命を長くすることができ、かつコンパクトである回転陽極型X線管を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管装置について詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、回転陽極型X線管装置は、回転陽極型X線管1と、磁界を発生させるコイルとしてのステータコイル2と、図示しないが回転陽極型X線管及びステータコイルを収容した筐体とを備えている。
回転陽極型X線管1は、固定体10と、冷却液20と、管部30と、環部40と、陽極ターゲット50と、回転部60と、液体金属潤滑剤70と、陰極80と、真空外囲器90とを備えている。回転陽極型X線管1は動圧軸受を使っている。
固定体10は、筒部11と、他の筒部としての筒部12と、環部13とを有している。固定体10は、Fe(鉄)やMo(モリブデン)等の材料で形成されている。筒部11は、回転軸aに沿って延出して回転軸aを中心軸として筒状に形成されている。筒部11は、側面にラジアルすべり軸受面S1を有している。筒部12は、回転軸aに沿って延出して回転軸aを中心軸として筒状に形成されている。筒部12の一端部は閉塞されている。筒部12の他端部は、筒部11に密接に連通されている。より詳しくは、環部13が筒部11及び筒部12とそれぞれ密接に接合されて筒部11及び筒部12が連通されている。筒部11、筒部12及び環部13は一体に形成されている。
固定体10の内部は冷却液20で満たされている。この実施の形態において、冷却液20は水である。固定体10は、この内部に冷却液20が流れる流路を形成している。固定体10は、この他端部側に冷却液20を内部に取り入れる取り入れ口10bを有している。
管部30は、固定体10の内部に設けられ、固定体10とともに流路を形成している。管部30の一端部は、固定体10の他端部に形成された開口部10aを通って固定体10の外部に延出している。管部30は、開口部10aに固定されている。管部30の側面は、開口部10aに密接している。
管部30は、この外部に冷却液20を吐き出す吐き出し口30aと、冷却液20を固定体10の内部から管部30の内部に導く導入口30bとを有している。吐き出し口30aは、固定体10の外部に位置している。導入口30bは、固定体10の一端部に隙間を置いて位置している。
環部40は、筒部12の内部に設けられ、管部30の側面を囲むように管部30と一体に形成されている。環部40は、筒部12の内部に隙間を置いて設けられている。管部30及び環部40は、固定体10とともに流路を形成している。
上記したことから、回転陽極型X線管1外部からの冷却液20は、取り入れ口10bから取り入れられ、筒部11及び管部30の間を通り、環部13及び環部40の間を通り、筒部12及び環部40の間を通り、導入口30bより管部30の内部を通って吐出し口30aから回転陽極型X線管1外部に吐出される。
陽極ターゲット50は、陽極51と、この陽極の外面の一部に設けられたターゲット層52とを有している。陽極51は、円盤状に形成され、固定体10と同軸的に設けられている。陽極51は、Mo等の材料で形成されている。ターゲット層52は、W(タングステン)等の材料で輪状に形成されている。ターゲット層52の表面は電子衝突面である。
陽極51は、凹部51aを有している。凹部51aは、回転軸aに沿った方向及び半径方向に延在している。すなわち、凹部51aは、回転軸aに沿った方向に凹んでいる。凹部51aは、円盤状に窪めて形成されている。凹部51aには筒部12が嵌合されている。凹部51aは、筒部12に隙間を置いて形成されている。この隙間は、ターゲット層52に対向する真下の部分において最も近接しており、およそ200μmである。この隙間に潤滑剤70が満たされることにより熱伝達流路100が形成される。ターゲット層52の熱は、陽極51及び潤滑剤70の熱伝達流路100を伝導して固定体10に伝導され、固定体10の内部の流路を流れる冷却液20に伝達される。
上記した熱伝達流路100以外の隙間には、遊動体200、300、400が配置されている。遊動体200、300、400は、陽極ターゲット50及び固定体10の一端部の間に配置され、潤滑剤70中に浸漬されている。
遊動体200は円盤状に形成されている。遊動体200は、回転軸aに沿った方向において、筒部12及び陽極51間に配置され、潤滑剤70中に浸漬されている。遊動体300は円環上に形成されている。遊動体300は、回転軸aに沿った方向において、環部13及び環部62間に配置され、潤滑剤70中に浸漬されている。遊動体400は円形枠状に形成されている。遊動体400は、回転軸aに直交した方向において、筒部12及び陽極51間に配置され、潤滑剤70中に浸漬されている。遊動体200、300、400は、互いに独立して設けられている。
遊動体200の厚みをt2、遊動体300の厚みをt3とし、これらが配置された軸方向の隙間をそれぞれSG2、SG3とすると、SG2−t2およびSG3−t3の大きさはどちらもおよそ200μmである。遊動体400の厚みをt4、これが配置された径方向の隙間をRG4とすると、RG4−t4の大きさはおよそ200μmである。
回転部60は、筒部11より径の大きい筒状に形成されている。回転部60は、固定体10及び陽極ターゲット50と同軸的に設けられている。回転部60は、筒部11より短く形成されている。
回転部60は、FeやMo等の材料で形成されている。より詳しくは、回転部60は、筒部61と、筒部61の一端部の側面を囲むように筒部と一体に形成された環部62と、筒部61の他端部に設けられたシール部63と、筒部64とを有している。
筒部61は、筒部11の側面を囲んでいる。筒部61は、内面に軸受面S1にラジアル軸受隙間RG1を置いて対向したラジアルすべり軸受面S2を有している。ラジアル軸受隙間RG1の大きさはおよそ20μmである。ラジアル軸受面S1及び軸受面S2は、ラジアルすべり軸受B1を形成している。ここで、軸受面S1及び軸受面S2にそれぞれ溝が付いている。回転部60の環部62は陽極ターゲット50と接合されている。回転部60は、固定体10を軸に陽極ターゲット50とともに回転可能に設けられている。
シール部63は、軸受面S2に対して環部62(一端部)の反対側に位置している。シール部63は、筒部61の他端部に接合されている。シール部63は、環状に形成され、固定体10の側面全周に亘って隙間を置いて設けられている。筒部64は、筒部61の側面と接合され、筒部61に固定されている。筒部64は、例えばCu(銅)で形成されている。
潤滑剤70は、筒部12及び凹部51a間の隙間、環部13及び環部62間の隙間、環部13及び筒部61間の隙間、並びに筒部11(軸受面S1)及び筒部61(軸受面S2)間の隙間に充填されている。なお、これらの隙間は全て繋がっている。この実施の形態において、潤滑剤70は、ガリウム・インジウム・錫合金(GaInSn)である。
図1、図3及び図4に示すように、シール部63及び固定体10間の隙間(クリアランス)cは、回転部60の回転を維持するとともに潤滑剤70の漏洩を抑制できる値に設定されている。上記したことから、隙間cはわずかである。この実施の形態において、隙間cは200μm以下である。このため、シール部63は、ラビリンスシールリング(labyrinth seal ring)として機能する。
また、シール部63は、複数の収容部63aを有している。ここでは、シール部63は、4つの収容部63aを有している。収容部63aは、シール部63の内側を円形枠状に窪めてそれぞれ形成されている。収容部63aは、万一隙間cから潤滑剤70が漏れた場合、漏れた潤滑剤70を収容する。
固定体10は、環部14をさらに有している。筒部61は、段差部61aを有している。環部14は、段差部61a及びシール部63で囲まれたスペースに嵌合されている。
環部14は、スラスト軸受面S9を有している。筒部61は、スラスト軸受面S10を有している。軸受面S9及び軸受面S10は、回転軸aに沿った方向に互いにスラスト軸受隙間SG5を保持して対向している。軸受面S9及び軸受面S10は、スラスト軸受B5を形成している。スラスト軸受隙間SG5の大きさはおよそ30μmである。
環部14は、スラスト軸受面S11を有している。シール部63は、スラスト軸受面S12を有している。軸受面S11及び軸受面S12は、回転軸aに沿った方向に互いにスラスト軸受隙間SG6を保持して対向している。軸受面S11及び軸受面S12は、スラスト軸受B6を形成している。スラスト軸受隙間SG6の大きさはおよそ30μmである。
これらスラスト軸受B5、B6は、高温にならず、軸受面S9及び軸受面S10間の隙間、並びに軸受面S11及び軸受面S12間の隙間を一定に維持できるため、陽極ターゲットが高温になってもスラスト軸受B5、B6を正常に機能させることができる。
上記した陽極ターゲット50及び回転部60は、回転体600を形成している。回転体600は、陽極ターゲット50及び回転部60により一体に形成されている。回転体600は、径大部610と、径大部610より径の小さい径小部620とを有している。この実施の形態において、径大部610が陽極ターゲット50であり、径小部620が回転部60である。
図1に示すように、陰極80は、陽極ターゲット50のターゲット層52に間隔を置いて対向配置されている。陰極80は、電子を放出するフィラメント81を有している。
真空外囲器90は、固定体10、冷却液20、管部30、環部40、陽極ターゲット50、回転部60、潤滑剤70及び陰極80を収容している。真空外囲器90は、X線透過窓90a及び開口部90bを有している。X線透過窓90aは、回転軸aに対して直交した方向にターゲット層52と対向している。固定体10の他端部は、開口部90bを通って真空外囲器90の外部に露出されている。開口部90bは、固定体10を固定している。固定体10の側面は、開口部90bに密接している。
陰極80は、真空外囲器90の内壁に取付けられている。真空外囲器90は密閉されている。真空外囲器90の内部は真空状態に維持されている。
ステータコイル2は、回転部60の側面、より詳しくは筒部64の側面に対向して真空外囲器90の外側を囲むように設けられている。ステータコイル2の形状は環状である。
筐体内部に、回転陽極型X線管1及びステータコイル2が収容されている他、図示しない冷却液が充填されている。
上記X線管装置の動作状態において、ステータコイル2は回転部60(特に筒部64)に与える磁界を発生するため、回転体600は回転する。これにより、陽極ターゲット50は回転する。また、陰極80に相対的に負の電圧が印加され、陽極ターゲット50に相対的に正の電圧が印加される。例えば、陰極80に−150kVの電圧が印加される。陽極ターゲット50は接地されている。
これにより、陰極80及び陽極ターゲット50間に電位差が生じる。このため、陰極80は、電子を放出すると、この電子は、加速され、ターゲット層52に衝突される。すなわち、陰極80は、ターゲット層52に電子ビームを照射する。これにより、ターゲット層52は、電子と衝突するときにX線を放出し、放出されたX線はX線透過窓90aを介して真空外囲器90外部、ひいては筐体外部に放出される。
上記したように構成された回転陽極型X線管装置によれば、陽極ターゲット50は、回転軸aに沿った方向および半径方向に延在した凹部51aを有し、固定体10は凹部51aに嵌合されている。ターゲット層52の真下(内側)には潤滑剤70の熱伝達流路100が設けられている。
回転体600が回転すると、遠心力により潤滑剤70が陽極ターゲット50の凹部51aと固定体10の間に流れて充満し、潤滑剤70の層を形成する。例えば回転速度10000rpmで回転すると、陽極ターゲット50の凹部51aと固定体10の間に潤滑剤70に浸漬された状態で配置されている遊動体200、300、400も同じ回転方向に、およそ5000rpmの回転速度で回転をする。
従って回転体600と遊動体との相対回転速度と、遊動体と固定体10との相対回転速度とは、およそ5000rpmとなる。潤滑剤の運動状態は乱流状態にあるため潤滑剤の回転摩擦損失はおよそ相対回転速度の3乗から4乗(本発明についての実験結果は3.6乗)に比例して増大する。このため、上記したような遊動体がある場合に相対回転速度がおよそ1/2となることにより、潤滑剤の回転摩擦損失を、遊動体を入れない場合に比べて1/8乃至1/16くらいに低減させる効果をもたらす。
一方、遊動体を入れない場合に対して、潤滑剤との接触面は2倍になることは潤滑剤の回転摩擦損失を2倍に増大させる効果ももたらす。したがって、総合的には、遊動体があることにより、遊動体を入れない場合に比べて潤滑剤の回転摩擦損失を1/4乃至1/8くらいに低減させる効果をもたらす。
熱伝達流路100には遊動体が配置されていないため、上記した潤滑剤の回転摩擦損失の低減は実現されないが、熱伝達流路100での損失パワーは1.2kWであり、遊動体を入れない場合の全損失パワー12kWの1/10に相当する。潤滑剤の回転摩擦損失を1/6とすると、遊動体を入れることにより、全損失パワーは、1.2+(12−1.2)/6=3kW(遊動体を入れない場合の値12kWの25%)に低減される。その結果、回転体600を回転駆動するためのモータ、ここでは、ステータコイル2及び筒部64(ロータ)のサイズを小さくすることができる。
X線を放出する際、陽極ターゲット50、特にターゲット層52の電子衝突面は高温になるが、ターゲット層52の熱は、陽極51及び潤滑剤70の熱伝達流路100を伝導して固定体10に伝導され、固定体10の内部の流路を流れる冷却液20に伝達される。ターゲット層52から冷却液20の流路までの熱伝導パスが短いことにより、陽極ターゲット50の冷却率の優れた回転陽極型X線管1を得ることができる。
これにより、陽極ターゲット50の溶融等、陽極ターゲット50に生じる不良を抑制することができる。陽極ターゲット50の許容できる熱入力を大きくすることができるため、回転陽極型X線管1の出力を向上させることもできる。さらに、回転陽極型X線管1の製品寿命を長くする効果を得ることができる。
また、冷却液20を水としたことも陽極ターゲット50の冷却率の向上、ひいては回転陽極型X線管1の高出力化に寄与している。すなわち、冷却液20は熱伝達流路100の近傍で沸騰状態となり、冷却に寄与する。このように、沸騰冷却は、沸騰を伴わない冷却より冷却効率が良く、一層ターゲット層52の温度を低減させることができる。上記したことから、陽極ターゲット50の高冷却が可能となる。
シール部63は、軸受面S2に対して環部62(一端部)の反対側に位置している。シール部63はターゲット層52の電子衝突面の近くに設けられていない。シール部63は熱経路上、電子衝突面から遠いため、電子衝突による熱の影響を受けない。すなわち、シール部63が高温となって生じるシール部63の変形を抑制することができる。従って、シール部63の熱変形を無視して隙間cを小さくすることができるとともに、シール部63からの潤滑剤70の漏洩を抑制することができる。
例えば、回転体600が静止状態から回転状態に移行する際に、径大部610付近の隙間での潤滑剤70の移動にともない、潤滑剤70のはねかえりが発生した場合であっても、このはねかえりによる悪影響がシール部63に及ぶことはない。このため、シール部63が潤滑剤70で濡らされることがなく、潤滑剤70の真空空間への漏洩が防止される。
回転陽極型X線管1が固体潤滑剤を使用した玉軸受を採用した場合、潤滑剤(液体金属)が玉軸受内に流入して残留・付着することにより、固体潤滑剤の塑性流動を妨げてしまう恐れがある。しかしながら、上記回転陽極型X線管1は、液体金属潤滑剤70自体を潤滑剤とする動圧軸受を採用している。このため、潤滑性能の低下が生じることはなく、長時間安定に陽極ターゲット50を回転させることができ、回転陽極型X線管1の製品寿命を長くする効果を得ることができる。
上記したことから、陽極ターゲット50の冷却率に優れているとともに製品寿命を長くすることができ、かつコンパクトである回転陽極型X線管1および回転陽極型X線管1を備えた回転陽極型X線管装置を得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、回転陽極型X線管1は、遊動体200、300、400を有している。遊動体300及び遊動体400は、連結され、一体となり、遊動体500を形成している。このため、遊動体500の板厚が上述した第1の実施の形態の遊動体300や遊動体400の板厚と同じ場合でも、遊動体500は、遊動体300や遊動体400よりも強度が高く、変形し難い。これにより、回転陽極型X線管1の信頼性を高めることができる。
上記した実施の形態においても、陽極ターゲット50の冷却率に優れているとともに製品寿命を長くすることができ、かつコンパクトである回転陽極型X線管1および回転陽極型X線管1を備えた回転陽極型X線管装置を得ることができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、冷却液20は、水に限らず、水及び不凍液の混合液(水を主成分とする不凍液)であっても良い。そして、この冷却液20を用いて沸騰冷却を行い、ターゲット層52の温度を低減させることが好ましい。また、用途によっては冷却液20として絶縁油等を
使用して、冷却液20の沸騰を伴わない冷却方法を採用することもできる。
固定体10及び遊動体200、300、400、500は、工具鋼のようなスチールもしくは鉄合金、モリブデン又はモリブデン合金の材料で形成することが好ましい。さらに遊動体200、300、400、500及び固定体10の表面は、潤滑剤70との反応温度の高い高融点金属やセラミクス等で被覆されていればさらに好ましい。潤滑剤70との反応温度の高い物質で被覆して、素材と潤滑剤70との反応生成物を作り出さないようにすることにより、良好な回転特性を長時間維持させることが可能となる。なお、潤滑剤70との反応温度の高い物質の被覆を形成するためには、金属を化学蒸着/物理蒸着又は溶射等の手段を用いて行えば良い。
この発明の第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図。 図1に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、特に、陽極ターゲットの凹部及び遊動体を示す拡大断面図。 図1に示した回転陽極型X線管装置の他の一部を示す拡大断面図であり、特に、シール部を示す拡大断面図。 図1及び図3に示したシール部を示す拡大断面図。 この発明の第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管装置の一部を示す断面図であり、特に、陽極ターゲットの凹部及び遊動体を示す拡大断面図。
1…回転陽極型X線管、2…ステータコイル、10…固定体、11,12…筒部、13,14…環部、20…冷却液、30…管部、40…環部、50…陽極ターゲット、51…陽極、51a…凹部、52…ターゲット層、60…回転部、61…筒部、62…環部、63…シール部、63a…収容部、64…筒部、70…潤滑剤、80…陰極、81…フィラメント、90…真空外囲器、90a…X線透過窓、100…熱伝達流路、200,300,400,500…遊動体、600…回転体、610…径大部、620…径小部、a…回転軸、c…隙間。

Claims (8)

  1. 側面にラジアルすべり軸受面を有し、内部に冷却液が流れる流路を有する固定体と、
    前記固定体の一端部と隙間をおいて嵌合される凹部を有し、陽極ターゲットを構成する円盤状の径大部と、前記固定体の側面を囲み、内面に前記ラジアルすべり軸受面に隙間を置いて対向するラジアルすべり軸受面を有し、一端部で前記径大部と一体化された径小部と、を含む回転体と、
    前記隙間に充填された液体金属潤滑剤と、
    前記径大部の陽極ターゲットに対向配置された陰極と、
    前記固定体、回転体、液体金属潤滑剤及び陰極を収容し、前記固定体を、前記凹部に嵌合される前記固定体の一端部に対して反対側に位置する前記固定体の他端部で固定する真空外囲器と、
    前記径大部及び前記固定体の一端部の間に配置され、前記液体金属潤滑剤中に浸漬された遊動体と、を備えている回転陽極型X線管。
  2. 前記回転体は、前記径小部のラジアルすべり軸受面に対して前記径大部の反対側の前記径小部に設けられ、前記回転体の回転を維持するとともに前記液体金属潤滑剤の漏洩を抑制するシール部を有している請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  3. 前記固定体の内部に設けられ、前記固定体とともに前記流路を形成する管部をさらに備えている請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  4. 前記径大部の内部に設けられ、前記管部の側面を囲むように前記管部と一体に形成された環部をさらに備え、
    前記管部及び環部は、前記固定体とともに前記流路を形成する請求項3に記載の回転陽極型X線管。
  5. 前記冷却液は、水である請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  6. 前記冷却液は、水を主成分とする不凍液である請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  7. 前記固定体及び遊動体は、スチール、鉄合金、モリブデン又はモリブデン合金の材料で形成されている請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  8. 前記固定体及び遊動体の表面の一部は、前記液体金属潤滑剤との反応温度が素材のそれよりも高い金属で被覆されている請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
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