JP2017054597A - 電解液、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

電解液、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性を向上できる電解液を提供する。【解決手段】電解液は、AO−[CH2−CH2−O]n−Bで表される化合物を含んでいる。但し、式中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基またはリチウム基であり、nは2〜5の整数である。【選択図】図1

Description

本技術は、電解液、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
充放電反応の媒介として機能する電解液については、二次電池の性能に大きな影響を及ぼすことから、さまざまな検討がなされている。サイクル特性の向上に関する電解液の検討としては、例えば以下の報告がある。
特許文献1では、分子内に複数の水酸基を含有し、かつ、これらの水酸基がアルキル基やエステル基、エーテル基で隔てられている直鎖のアルコール化合物を電解液に適量添加することで、サイクル寿命を延ばす技術が報告されている。
特許文献2では、溶媒としてポリエチレングリコールジアルキルエーテルを用い、溶質としてフッ素系ルイス酸リチウム塩を用いることで、Liの電解液に対する安定性を向上し、サイクル寿命を改善する技術が報告されている。
特開2011−86391号公報
特開平1−319269号公報
本技術の目的は、サイクル特性を向上できる電解液、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本技術は、下記式(1)で表される化合物を含む電解液である。
Figure 2017054597
(但し、式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基またはリチウム基であり、nは2〜5の整数である。)
本技術の電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の電解液を備えるものである。
以上説明したように、本技術によれば、サイクル特性を向上できる。
本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す分解斜視図である。 図3のIV−IV線に沿った巻回電極体の断面図である。 本技術の第4の実施形態に係る電池パックおよび電子機器の一構成例を示すブロック図である。 本技術の第5の実施形態に係る蓄電システムの一構成例を示す概略図である。 本技術の第6の実施形態に係る電動車両の一構成を示す概略図である。 図8Aは、ケイ素に対するXPSデプスプロファイルを示すグラフである。図8Bは、フッ素に対するXPSデプスプロファイルを示すグラフである。図8Cは、酸素に対するXPSデプスプロファイルを示すグラフである。 負極表面におけるフッ素および酸素の原子濃度比を示すグラフである。 実施例1〜3、比較例2の電解液のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 図10の破線で囲んだ領域を拡大して示す図である。
本技術の実施形態について以下の順序で説明する。
1 第1の実施形態(電解液の例)
2 第2の実施形態(円筒型電池の例)
3 第3の実施形態(扁平型電池の例)
4 第4の実施形態(電池パックおよび電子機器の例)
5 第5の実施形態(蓄電システムの例)
6 第6の実施形態(電動車両の例)
<1 第1の実施形態>
[電解液の組成]
本技術の第1の実施形態に係る電解液は、いわゆる非水電解液であり、非水溶媒と、電解質塩と、第1添加剤とを含み、電解質塩は、非水溶媒に溶解されている。この電解液が、さらに第2添加剤を含んでいてもよい。この電解液は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質電池に用いて好適なものである。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル(EMC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、以下で説明するリチウム塩などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。但し、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩)を含んでいてもよい。
電解質塩としては、例えば、リチウム塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。
(第1添加剤)
第1添加剤は、下記式(1)で表される化合物の少なくとも1種である。電解液が式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含むことで、式(1)で表される化合物の少なくとも1種に由来する被膜が、正極および負極のうち少なくとも負極に形成される。
Figure 2017054597
(但し、式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基(−H)またはリチウム基(−Li)であり、nは2〜5の整数である。)
式(1)中のnが1であると、サイクル特性を向上できなくなる。一方、式(1)中のnが5を超えると、電解液の粘度上昇によりイオン伝導度が低下し、また被膜の抵抗成分の増大により負荷特性が悪化する。このため、電池特性が悪化する。式(1)中のnは、3または4であることが好ましい。サイクル特性を特に向上できるからである。
規定の電圧範囲内(規定の放電終止電圧以上の電圧範囲)において充放電を繰り返したときのサイクル特性を向上するためには、式(1)中のA、Bのうちの少なくとも一方がリチウム基であることが好ましく、A、Bの両方がリチウム基であることがより好ましい。規定の電圧範囲内において充放電を繰り返したときのサイクル特性のみならず、過放電状態となる電圧範囲(規定の放電終止電圧未満の電圧範囲)において充放電を繰り返したときのサイクル特性も向上するためには、式(1)中のA、Bのうちの少なくとも一方が水素基であることが好ましく、A、Bの両方が水素基であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノリチウム、ジエチレングリコールジリチウム、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノリチウム、トリエチレングリコールジリチウム、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノリチウム、テトラエチレングリコールジリチウム、ペンタエチレングリコール、ペンタエチレングリコールモノリチウム、ペンタエチレングリコールジリチウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
電解液中における第1添加剤の含有量は、好ましくは1×10-4質量%以上0.5質量%以下の範囲内である。上記数値範囲内であると、より優れたサイクル特性を得ることができるからである。ここで、電解液中における第1添加剤の含有量は、電解液の全質量に対する質量百分率を意味する。
電池の電解液内に含まれる第1添加剤の含有量は、例えば次のようにして求めることができる。まず、電池をグローブボックスなどの不活性雰囲気下にて解体し、DMCや重溶媒を用いて電解液成分を抽出する。次に、得られた抽出液にGC−MS(Gas Chromatograph-Mass Spectrometry)測定やNMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定を実施することにより、電解液中における第1添加剤の含有量を求める。
(第2添加剤)
第2添加剤は、ハロゲン化炭酸エステル、不飽和環状炭酸エステル、スルトン(環状スルホン酸エステル)、ニトリル化合物、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF22)、およびモノフルオロリン酸リチウム(Li2PFO3)からなる群より選ばれる1種以上を含んでいる。電解液が第1添加剤および第2添加剤の両方を含んでいることで、第1添加剤および第2添加剤の両添加剤に由来する被膜が、正極および負極のうち少なくとも負極に形成される。
(ハロゲン化炭酸エステル)
ハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む炭酸エステルである。ハロゲン化炭酸エステルとしては、例えば、下記式(2)〜式(3)で表されるハロゲン化炭酸エステルの少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2017054597
(式(2)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R11〜R14のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
Figure 2017054597
(式(3)中、R15〜R20は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R15〜R20のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
式(2)で表されるハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状の炭酸エステル(ハロゲン化環状炭酸エステル)である。式(3)で表されるハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む鎖状の炭酸エステル(ハロゲン化鎖状炭酸エステル)である。
1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基などが挙げられる。1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、ハロゲンアルキル基などが挙げられる。ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素(F)、塩素(Cl)または臭素(Br)が好ましく、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも高い効果が得られるからである。但し、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
式(2)で表されるハロゲン化環状炭酸エステルとしては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−1,3−オキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。このハロゲン化環状炭酸エステルには、幾何異性体も含まれる。例えば、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンでは、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。式(3)で表されるハロゲン化鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)、炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
(不飽和環状炭酸エステル)
不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和炭素結合(炭素間二重結合)を含む環状炭酸エステルである。不飽和環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸メチレンエチレン(4MEC:4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン)などの式(4)で表される化合物、炭酸ビニレン(VC:ビニレンカーボネート)、炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2017054597
(式(4)中、R21〜R22は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
(スルトン(環状スルホン酸エステル))
スルトンとしては、例えば、式(5)で表される化合物などが挙げられる。式(5)で表される化合物としては、例えば、プロパンスルトン(PS:1,3−プロパンスルトン)またはプロペンスルトン(PRS:1,3−プロペンスルトン)などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2017054597
(式(5)中、RnはS(硫黄)およびO(酸素)と共に環を形成している炭素数n個の2価の炭化水素基である。nは2〜5である。環中には不飽和二重結合を含んでいてもよい。)
(ニトリル化合物)
ニトリル化合物とは、1または2以上のニトリル基を有する化合物である。ニトリル化合物としては、例えば、下記式(6)で表されるニトリル化合物の少なくとも1種が挙げられる。下記式(6)で表されるニトリル化合物としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブタンニトリル、バレロニトリル、ドデカンニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリルなどのモノニトリル化合物、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、フタロニトリルなどのジニトリル化合物などのニトリル化合物などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2017054597
(式(6)中、R23は置換基を有してもよい炭素数1〜36のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数2〜36のアルケニレン基、置換基を有してもよい炭素数2〜36のアルキニレン基、または置換基を有してもよい架橋環を表し、pは0以上の整数でR61によって上限が決まる。)
[効果]
第1の実施形態に係る電解液は、添加剤として式(1)で表される化合物を含んでいる。この電解液が用いられたリチウムイオン二次電池などの電池では、電解液中にフッ酸を急激な増加を伴わずに安定的に徐々に発生させて、充放電サイクルを繰り返す間、負極表面の被膜を継続的に修復することができる。したがって、サイクル特性が向上する。
<2 第2の実施形態>
第2の実施形態では、上述の第1の実施形態に係る電解液を備える非水電解質二次電池について説明する。
[電池の構成]
以下、図1を参照しながら、本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例について説明する。この非水電解質二次電池は、例えば、負極の容量が、電極反応物質であるリチウム(Li)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この非水電解質二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、ニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、液状の電解質としての電解液が注入され、正極21、負極22およびセパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、封口ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。封口ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
以下、図2を参照しながら、非水電解質二次電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23、および電解液について順次説明する。
(正極)
正極21は、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質を含んでいる。正極活物質層21Bは、必要に応じて添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、導電剤および結着剤のうちの少なくとも1種を用いることができる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)あるいはLieFePO4(e≒1)などがある。
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z ・・・(A)
(但し、式(A)中、M1は、ニッケル、マンガンを除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
LiaM2bPO4 ・・・(B)
(但し、式(B)中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k ・・・(C)
(但し、式(C)中、M3は、コバルト、マグネシウム(Mg)、アルミニウム、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M4n(2-p)q ・・・(D)
(但し、式(D)中、M4は、コバルト、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LirCo(1-s)M5s(2-t)u ・・・(E)
(但し、式(E)中、M5は、ニッケル、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-wM6wxy ・・・(F)
(但し、式(F)中、M6は、コバルト、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM7PO4 ・・・(G)
(但し、式(G)中、M7は、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、ニオブ(Nb)、銅、亜鉛、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記で例示した正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、それらのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。
(負極)
負極22は、例えば、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の負極活物質を含んでいる。負極活物質層22Bは、必要に応じて結着剤や導電剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
なお、この非水電解質電池では、負極54または負極活物質の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、理論上、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっていることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
また、高容量化が可能な他の負極活物質としては、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素(例えば、合金、化合物または混合物)として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
このような負極活物質としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
負極活物質としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、より好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。このような負極活物質としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、Sn系の負極活物質としては、コバルトと、スズと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン(P)、ガリウムまたはビスマスが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
なお、このSnCoC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
その他の負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti512)などのチタンとリチウムとを含むリチウムチタン酸化物、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどが挙げられる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレンブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースなどの樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。導電剤としては、正極活物質層21Bと同様の炭素材料などを用いることができる。
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの樹脂製の多孔質膜によって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。他にも、化学的安定性を備えた樹脂を、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合またはブレンド化した材料を用いることができる。あるいは、多孔質膜は、ポリプロピレン層と、ポリエチレン層と、ポリプロピレン層とを順次に積層した3層以上の構造を有していてもよい。
また、セパレータ23は、基材である多孔質膜の片面または両面に樹脂層が設けられていてもよい。樹脂層は、無機物が担持された多孔性のマトリックス樹脂層である。これにより、耐酸化性を得ることができ、セパレータ23の劣化を抑制できる。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができ、また、これらの共重合体を用いることも可能である。
無機物としては、金属、半導体、またはこれらの酸化物、窒化物を挙げることができる。例えば、金属としては、アルミニウム、チタンなど、半導体としては、ケイ素、ホウ素などを挙げることができる。また、無機物としては、実質的に導電性がなく、熱容量の大きいものが好ましい。熱容量が大きいと、電流発熱時のヒートシンクとして有用であり、電池の熱暴走をより抑制することが可能になるからである。このような無機物としては、アルミナ(Al23)、ベーマイト(アルミナの一水和物)、タルク、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiOx)などの酸化物または窒化物が挙げられる。
無機物の粒径としては、1nm〜10μmの範囲内が好ましい。1nmより小さいと、入手が困難であり、また入手できたとしてもコスト的に見合わない。10μmより大きいと電極間距離が大きくなり、限られたスペースで活物質充填量が十分得られず電池容量が低くなるからである。
樹脂層の形成方法としては、例えば、マトリックス樹脂、溶媒および無機物からなるスラリーを基材(多孔質膜)上に塗布し、マトリックス樹脂の貧溶媒且つ上記溶媒の親溶媒浴中を通過させて相分離させ、その後、乾燥させることで形成できる。
また、セパレータ23の突き刺し強度としては、100gf〜1000gfの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、100gf〜480gfである。突き刺し強度が低いとショートが発生することがあり、高いとイオン伝導性が低下してしまうからである。
また、セパレータ23の透気度としては、30sec/100cc〜1000sec/100ccの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、30sec/100cc〜680sec/100ccである。透気度が低いとショートが発生することがあり、高いとイオン伝導性が低下してしまうからである。
なお、上述した無機物は、基材としての多孔質膜に含有されていてもよい。
(電解液)
電解液は、上述の第1の実施形態に係る電解液である。
(被膜)
正極21および負極22のうち少なくとも負極22は、式(1)で表される化合物に由来する被膜を活物質層の表面に有する。被膜は、いわゆるSEI(Solid Electrolyte Interface)膜であり、フッ素および酸素を含んでいる。
式(1)で表される化合物を含む電解液を用いたときの被膜中のフッ素原子濃度A1と、式(1)で表される化合物を含まない電解液を用いたときの被膜中のフッ素原子濃度B1とのフッ素原子濃度比(A1/B1)は、0.60以下であることが好ましい。過放電時の被膜の安定性を更に向上し、過放電状態となる電圧範囲において充放電を繰り返したときのサイクル特性を更に向上することができるからである。
式(1)で表される化合物を含む電解液を用いたときの電極表面近傍の被膜中のフッ素原子濃度a1と、式(1)で表される化合物を含まない電解液を用いたときの電極表面近傍の被膜中のフッ素原子濃度b1とのフッ素原子濃度比(a1/b1)は、0.31以下であることが好ましい。皮膜中のフッ素原子濃度比(A1/B1)を0.60以下にした場合と同様に、サイクル特性を更に向上する効果が得られるからである。
式(1)で表される化合物を含む電解液を用いたときの被膜中の酸素原子濃度A2と、式(1)で表される化合物を含まない電解液を用いたときの被膜中の酸素原子濃度B2との酸素原子濃度比(A2/B2)は、1.03以上であることが好ましい。過放電時の被膜の安定性が更に向上し、過放電状態となる電圧範囲において充放電を繰り返したときのサイクル特性を更に向上することができるからである。
式(1)で表される化合物を含む電解液を用いたときの電極表面近傍の被膜中の酸素原子濃度a2と、式(1)で表される化合物を含まない電解液を用いたときの電極表面近傍の被膜中の酸素原子濃度a2との酸素原子濃度比(a2/a2)は、1.35以上であることが好ましい。皮膜中の酸素原子濃度比(A2/B2)を1.03以上にした場合と同様に、サイクル特性を更に向上する効果が得られるからである。
ここで、“電極”とは、負極21、または正極21および負極22の両方を意味する。また、“式(1)で表される化合物を含まない電解液”とは、式(1)で表される化合物を含んでいない点を除いては“式(1)で表される化合物を含む電解液”と同様のものを意味する。
[電池電圧]
この非水電解質電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が、例えば、例えば2.80V以上6.00V以下または3.60V以上6.00V以下、好ましくは4.25V以上6.00V以下または4.20V以上4.50V以下、さらに好ましくは4.30V以上4.55V以下の範囲内になるように設計されていてもよい。完全充電時における開回路電圧が、例えば正極活物質として層状岩塩型リチウム複合酸化物などを用いた電池において4.25V以上とされる場合は、4.20Vの電池と比較して、同じ正極活物質であっても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整され、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
[電池の動作]
上述の構成を有する非水電解質二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
[電池の製造方法]
次に、本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回する。次に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。次に、正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。次に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を封口ガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図2に示した二次電池が得られる。
<3.第3の実施形態>
[電池の構成]
図3は、本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す分解斜視図である。この非水電解質二次電池はいわゆる扁平型または角型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。あるいは、アルミニウム製フィルムを心材として、その片面または両面に高分子フィルムを積層したラミネートフィルムを用いても良い。
図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面図である。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ第2の実施形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液は、第1の実施形態に係る電解液である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
なお、第2の実施形態にてセパレータ23の樹脂層の説明で述べた無機物と同様の無機物が、ゲル状の電解質層36に含まれていても良い。より耐熱性を向上できるからである。
[電池の製造方法]
次に、本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。次に、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図4および図4に示した二次電池が得られる。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付ける。次に、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。次に、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
次に、電解質用組成物を外装部材40内に注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。以上により、図4に示した二次電池が得られる。
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態では、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池を備える電池パックおよび電子機器について説明する。
[電池パックおよび電子機器の構成]
以下、図5を参照して、本技術の第4の実施形態に係る電池パック300および電子機器400の一構成例について説明する。電子機器400は、電子機器本体の電子回路401と、電池パック300とを備える。電池パック300は、正極端子331aおよび負極端子331bを介して電子回路401に対して電気的に接続されている。電子機器400は、例えば、ユーザにより電池パック300を着脱自在な構成を有している。なお、電子機器400の構成はこれに限定されるものではなく、ユーザにより電池パック300を電子機器400から取り外しできないように、電池パック300が電子機器400内に内蔵されている構成を有していてもよい。
電池パック300の充電時には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、充電器(図示せず)の正極端子、負極端子に接続される。一方、電池パック300の放電時(電子機器400の使用時)には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、電子回路401の正極端子、負極端子に接続される。
電子機器400としては、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォンなど)、携帯情報端末(Personal Digital Assistants:PDA)、表示装置(LCD、ELディスプレイ、電子ペーパなど)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機などが挙げられるが、これに限定されるものでなない。
(電子回路)
電子回路401は、例えば、CPU、周辺ロジック部、インターフェース部および記憶部などを備え、電子機器400の全体を制御する。
(電池パック)
電池パック300は、組電池301と、充放電回路302とを備える。組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続して構成されている。複数の二次電池301aは、例えばn並列m直列(n、mは正の整数)に接続される。なお、図6では、6つの二次電池301aが2並列3直列(2P3S)に接続された例が示されている。二次電池301aとしては、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池が用いられる。
充放電回路302は、組電池301の充放電を制御する制御部である。具体的には、充電時には、充放電回路302は、組電池301に対する充電を制御する。一方、放電時(すなわち電子機器400の使用時)には、充放電回路302は、電子機器400に対する放電を制御する。
[変形例]
上述の第4の実施形態では、電池パック300が、複数の二次電池301aにより構成される組電池301を備える場合を例として説明したが、電池パック300が、組電池301に代えて1つの二次電池301aを備える構成を採用してもよい。
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態では、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池を蓄電装置に備える蓄電システムについて説明する。この蓄電システムは、およそ電力を使用するものである限り、どのようなものであってもよく、単なる電力装置も含む。この電力システムは、例えば、スマートグリッド、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、車両など含み、蓄電も可能である。
[蓄電システムの構成]
以下、図6を参照して、第5の実施形態に係る蓄電システム(電力システム)100の構成例について説明する。この蓄電システム100は、住宅用の蓄電システムであり、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102cなどの集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108などを介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104などの独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅101には、家庭内発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、パワーハブ108、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。家庭内発電装置104として、太陽電池、燃料電池などが利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105dなどである。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cなどである。
蓄電装置103は、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池を備えている。スマートメータ107は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数の組み合わせであってもよい。
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサなどである。各種のセンサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態などが把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社などに送信することができる。
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換などの処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)などの通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、Wi−Fiなどの無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、およびサービスプロバイダーのいずれかによって管理されていてもよい。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機など)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)などに、表示されてもよい。
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種のセンサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能などを備えていてもよい。
以上のように、電力が火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102cなどの集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
<6.第6の実施形態>
第6の実施形態では、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池を備える電動車両について説明する。
[電動車両の構成]
図7を参照して、本技術の第6の実施形態に係る電動車両の一構成について説明する。このハイブリッド車両200は、シリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両である。シリーズハイブリッドシステムは、エンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置203で走行する車である。
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208としては、第2または第3の実施形態に係る非水電解質二次電池が用いられる。
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両200が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
バッテリー208は、充電口211を介してハイブリッド車両200の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、非水電解質二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、非水電解質二次電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力をいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(正極の作製)
まず、正極としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電剤としてカーボンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、LiCoO2:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=85:5:10(質量比)で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて正極合剤スラリーとした。
次に、正極合剤スラリーを正極集電体(Al箔)に塗布し、乾燥させて、N−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状の正極を作製した。次に、作製した帯状の正極を直径16mmの円板状に打ち抜いた。
(負極の作製)
まず、負極活物質として黒鉛およびケイ素と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンと、導電剤としてのアセチレンブラックとを、黒鉛:ケイ素:ポリフッ化ビニリデン:アセチレンブラック=35:54.5:10:0.5(質量比)で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて負極合剤スラリーとした。
次に、負極合剤スラリーを負極集電体(Cu箔)に塗布し、乾燥させて、N−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状の負極を作製した。次に、作製した帯状の負極を直径16mmの円板状に打ち抜いた。
(電解液の調製)
まず、炭酸エチレン(EC)と炭酸プロピレン(PC)とを、質量比がEC:PC=1:1となるようにして混合して混合溶媒を調製した。次に、この混合溶媒に、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/kgとなるように溶解させて電解液(以下「ベース電解液」という。)を調製した。
次に、ベース電解液に対して、添加剤としての炭酸ビニレンとジエチレングリコール(C4103)とを添加して添加剤含有電解液(以下単に「電解液」という。)を調製した。ここで、炭酸ビニレンは、電解液中における炭酸ビニレンの含有量が1.0質量%となるようにベース電解液に添加された。ジエチレングリコールは、電解液中におけるジエチレングリコールの含有量が0.5質量%となるようにベース電解液に添加された。
ここで、電解液中における炭酸ビニレンの含有量は、電解液の全質量(すなわちベース電解液、炭酸ビニレンおよびジエチレングリコールの合計質量)に対する質量百分率を意味する。また、電解液中におけるジエチレングリコールの含有量は、電解液の全質量(すなわちベース電解液、炭酸ビニレンおよびジエチレングリコールの合計質量)に対する質量百分率を意味する。
(電池の組み立て)
コイン型のリチウムイオン二次電池は以下のようにして作製された。まず、セパレータとして、円形状、厚み20μm、ポリエチレン製の微多孔フィルム(セルガード社製、#3501)を準備した。次に、正極と負極とセパレータとを、正極、セパレータ、負極の順に積層して積層体とし、この積層体とともに、上述のように調製した電解液を外装カップおよび外装缶の内部に収容させてガスケットを介してかしめた。これにより、2016サイズ(直径20mm、高さ1.6mmのサイズ)のコイン型電池(以下単に「電池」という。)が得られた。この電池の規定の電圧範囲(放電終止電圧および充電終止電圧の範囲)は、4.35V−3.0Vに設定された。
(実施例2)
電解液の調製工程において、ジエチレングリコールに代えてトリエチレングリコール(C6144)を用いる以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(実施例3)
電解液の調製工程において、ジエチレングリコールに代えてペンタエチレングリコール(C10226)を用いる以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(実施例4)
電解液の調製工程において、ジエチレングリコールに代えてトリエチレングリコールジリチウム(C812Li24)を用いる以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(比較例1)
電解液の調製工程において、ジエチレングリコールに代えてトリエチレングリコールジメチルエーテル(C8184)を用いる以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(比較例2)
電解液の調製工程において、添加剤として炭酸ビニレンのみを添加する以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(比較例3)
電解液の調製工程において、ジエチレングリコールに代えてエチレングリコール(C262)を用いる以外のことは実施例1と同様にして電池を得た。
(比較例4)
負極の作製工程において、負極活物質として黒鉛およびケイ素と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンと、導電剤としてのアセチレンブラックとを、黒鉛:ケイ素:ポリフッ化ビニリデン:アセチレンブラック=35:54.5:10:0.5(質量比)で混合した後、添加剤としてのポリエチレングリコールをさらに添加し、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて負極合剤スラリーを調製する以外のことは比較例2と同様にして電池を得た。なお、ポリエチレングリコールは、負極合剤(すなわち負極活物質、結着剤、導電剤および添加剤の混合物)中におけるポリエチレングリコールの含有量が1.0質量%となるように添加された。
(評価)
上述のようにして得られた電池およびそれに用いた電解液について、以下の評価を行った。なお、以下の評価において、充放電時の環境温度(評価温度)は、室温(23℃)とした。
(電圧範囲4.35V−3.0Vのサイクル維持率)
まず、以下の初期サイクルの充放電を行った。なお、初期サイクルは、負極表面に被膜を形成するためのサイクルである。
(1)まず、0.1ItAで4.35Vまで充電し、5分間の休止時間を取った後、0.1ItAで3.0Vまで放電した。
(2)次に、0.2ItAで4.35Vまで充電し、5分間の休止時間をとった後、0.1ItAで3.0Vまで放電した。
次に、以下の式から初回効率を求めた。
初回効率(%)=(初回の放電容量/初回の充電容量)×100
但し、初回の充電容量、放電容量はそれぞれ、(2)のサイクルでの充電容量、放電容量である。
次に、以下のサイクルの充放電を繰り返した。すなわち、0.5ItAで4.35Vまで充電し、10分間の休止時間を取った後、0.5ItAで3.0Vまで放電をする充放電サイクルを100サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量および100サイクル目の放電容量を求めた。次に、以下の式から100サイクル目のサイクル維持率を求めた。
100サイクル目のサイクル維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
(電圧範囲4.35V−2.7Vのサイクル維持率)
各サイクルの終止電圧を2.7Vに変更する以外のことは、“電圧範囲4.35V−3.0Vのサイクル維持率”の求め方と同様にして、100サイクル目のサイクル維持率を求めた。
(XPS測定)
実施例2、比較例2の負極について以下のようにしてXPS測定を実施した。まず、電圧範囲4.35V−3.0Vのサイクル維持率”の求め方と同様にして、初期サイクルの充放電を行ったのち、CCCV(Constant Current Constant Voltage)放電(3.0V、カット電流値:(1/40)C)を行った。次に、非大気暴露の状態で電池を解体し、負極を炭酸ジメチルで洗浄した。洗浄後、非大気暴露のまま下記の測定装置および測定条件にて負極表面から深さ方向のXPS測定を実施し、負極表面におけるケイ素、フッ素および酸素の原子濃度分布を求めた。その結果を図8A〜8Cに示す。
<装置>
メーカー:アルバック・ファイ株式会社
型番:Quantum2000
<測定条件>
測定エリア:Φ200μm
分析深さ:5nm程度
深さ方向:SiO2換算で1.4nm/min
次に、求めたフッ素の原子濃度分布を用いて、実施例2の負極表面のフッ素原子濃度A1と、比較例2の負極表面のフッ素原子濃度B1とのフッ素原子濃度比(A1/B1)を求めた。また、求めた酸素の原子濃度分布を用いて、実施例2の負極表面の酸素原子濃度B1と、比較例2の負極表面の酸素原子濃度B2との酸素原子濃度比(A2/B2)を求めた。それらの結果を図9に示す。
図8Aでは、スパッタ時間16minを超えた位置から急激なSiピークの立ち上がりが見られることから、スパッタ時間16minの位置を負極表面近傍の位置と判断した。すなわち、スパッタ時間0min以上16min以下の範囲には被膜が存在し、16minを超える範囲には負極が存在していると判断した。
図8Bから、実施例2の負極では、被膜の厚さ方向における被膜中のフッ素の原子濃度が、ほぼ一定となる傾向を示すのに対して、比較例2の負極では、被膜の厚さ方向における被膜中のフッ素の原子濃度が、被膜−負極の界面近くにおいて最も高く、そこから離れるに従って減少する傾向を示すことがわかる。また、実施例2の被膜−負極の界面におけるフッ素の原子濃度は、比較例2の被膜−負極の界面におけるフッ素の原子濃度よりも低いことがわかる。
図8Cから、実施例2の負極では、被膜中の厚さ方向における被膜の酸素の原子濃度が、ほぼ一定となる傾向を示すのに対して、比較例2の負極では、被膜の厚さ方向における被膜中の酸素の原子濃度が、被膜−負極の界面から離れるに従って、増加する傾向を示すことがわかる。また、実施例2の被膜−負極の界面における酸素の原子濃度は、比較例2の被膜−負極の界面における酸素の原子濃度よりも高いことがわかる。
図9から、トリエチレングリコールを含む電解液を用いたときの被膜中のフッ素原子濃度A1と、トリエチレングリコールを含まない電解液を用いたときの被膜中のフッ素原子濃度B1とのフッ素原子濃度比(A1/B1)は、0.60以下であることがわかる。
図9から、トリエチレングリコールを含む電解液を用いたときの負極表面近傍の被膜中のフッ素原子濃度a1と、トリエチレングリコールを含まない電解液を用いたときの負極表面近傍の被膜中のフッ素原子濃度b1とのフッ素原子濃度比(a1/b1)は、0.31であることがわかる。なお、フッ素原子濃度比(a1/b1)が低いサンプルほど、規定の電圧範囲内および規定の電圧範囲外で充放電を繰り返したときのサイクル特性が向上する傾向が見られた。したがって、サイクル特性向上の観点からすると、負極表面近傍の被膜中のフッ素原子濃度比(a1/b1)は、0.31以下であることが好ましい。
図9から、トリエチレングリコールを含む電解液を用いたときの被膜中の酸素原子濃度A2と、トリエチレングリコールを含まない電解液を用いたときの被膜中の酸素原子濃度B2との酸素原子濃度比(A2/B2)は、1.03以上であることがわかる。
図9から、トリエチレングリコールを含む電解液を用いたときの負極表面近傍の被膜中の酸素原子濃度a2と、トリエチレングリコールを含まない電解液を用いたときの負極表面近傍の被膜中の酸素原子濃度a2との酸素原子濃度比(a2/b2)は、1.35であることがわかる。なお、酸素原子濃度比(a2/b2)が高いサンプルほど、規定の電圧範囲内および規定の電圧範囲外で充放電を繰り返したときのサイクル特性が向上する傾向が見られた。したがって、サイクル特性向上の観点からすると、負極表面近傍の被膜中の酸素原子濃度比(a2/b2)は、1.35以上であることが好ましい。
(サイクリックボルタンメトリー測定)
実施例1〜3、比較例2の電池に用いた電解液について、以下の条件にてサイクリックボルタンメトリー測定を行った。その結果を図9、10に示す。
作用極:ニッケル電極、対極:リチウム金属、参照極:リチウム金属
掃引速度:2mV/sec
掃引範囲:OCV(Open Circuit Voltage) → 0.0V(vs.Li) → 2.0V(vs.Li) → 0.0V(vs.Li)→初期OCV
サイクリックボルタンメトリーの評価結果から、比較例2では、2サイクル目に電解液由来の分解ピークが明確に観察されるのに対して、実施例1〜3では、2サイクル目に電解液由来の分解ピークが抑制されていることが観察される。このことから、比較例2では、2サイクル目において被膜が安定に存在していないのに対して、実施例1〜3では、2サイクル目において被膜が安定に存在していることがわかる。また、実施例1〜3において、nの値が増すほど、分解抑制効果が高いことがわかる。
表1は、実施例1〜4、比較例1〜4の電池の構成および評価結果を示す。
Figure 2017054597
但し、エチレングリコール(式(1)中、n=1、A、B=H)を電解液に含む電池(比較例3)では、サイクリックボルタンメトリー測定において2サイクル目の電解液分解ピークを抑制することができなかったため、サイクル特性向上の効果は発現しないと判断し、サイクル試験などの電池評価を実施しなかった。このため、表1には比較例3の評価結果が示されていない。また、ポリエチレングリコールを電極に含む電池(比較例4)では、抵抗が高すぎて充放電できなかったため、表1中には比較例4の評価結果が示されていない。
表1から以下のことがわかる。
ジエチレングリコール(式(1)中、n=2、A、B=H)、トリエチレングリコール(式(1)中、n=3、A、B=H)、ペンタエチレングリコール(式(1)中、n=5、A、B=H)またはペンタエチレングリコールジリチウム(式(1)中、n=5、A、B=Li)を電解液に含む電池では、これらのエチレングリコール類を電解液に含んでいない電池に比べて、規定の電圧範囲内(規定の放電終止電圧以上、規定の充電終止電圧以下の電圧範囲)で充放電を繰り返したときのサイクル特性が向上する。
n=2、5のエチレングリコール類を用いた電池においてサイクル維持率がほぼ同様であり、n=3のエチレングリコール類を用いた電池において最も高いサイクル維持率が得られることから、n=3、4のエチレングリコール類を用いた場合に特にサイクル特性が向上すると判断できる。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはペンタエチレングリコールを電解液に含む電池では、規定の電圧範囲外(放電終止電圧未満(過放電)の電圧範囲)で充放電を繰り返したときのサイクル特性も向上する。一方、ペンタエチレングリコールジリチウムを電解液に含む電池では、規定の電圧範囲外で充放電を繰り返したときのサイクル特性が低下する。これは、両末端(A、B)が水素基であるエチレングリコール類に由来する被膜は、両末端(A、B)がリチウム基であるエチレングリコール類に由来する被膜に比べて、過放電時の安定性が高いためと考えられる。
ペンタエチレングリコールジリチウムを電解液に含む電池では、ペンタエチレングリコールを電解液に含む電池に比べて、規定の電圧範囲内で充放電を繰り返したときのサイクル特性が向上する。
トリエチレングリコールジメチルエーテル(式(1)中、n=3、A、B=CH3)を電解液に含む電池では、規定の電圧範囲内で充放電を繰り返したときのサイクル特性がほとんど向上しない。
したがって、規定の電圧範囲におけるサイクル特性を向上するためには、式(1)で示される化合物(但し、式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基またはリチウム基であり、nは2〜5の整数である。)を電解液に添加することが好ましい。
更なるサイクル特性向上の観点からすると、式(1)中のnは、3または4であることが好ましい。
過放電状態となる電圧範囲におけるサイクル特性を向上するためには、式(1)中のA、Bの少なくとも一方が水素基であることが好ましく、A、Bの両方が水素基であることがより好ましい。
規定の電圧範囲におけるサイクル特性を向上するためには、式(1)中のA、Bの少なくとも一方がリチウム基であることが好ましく、A、Bの両方がリチウム基であることがより好ましい。
以上、本技術の実施形態およびその変形例、ならびに実施例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態およびその変形例、ならびに実施例に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態およびその変形例、ならびに実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態およびその変形例、ならびに実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態および実施例では、円筒型、扁平型、角型およびコイン型の電池に本技術を適用した例について説明したが、電池の形状は特に限定されるものではない。例えば、スマートウオッチ、ヘッドマウントディスプレイ、iGlass(登録商標)などのウェアラブル端末に搭載されるフレキシブル電池などについても適用することができる。
また、上述の実施形態および実施例では、巻回構造を有する電池に対して本技術を適用した例について説明したが、電池の構造はこれに限定されるものではなく、正極および負極を折り畳んだ構造、または積み重ねた構造を有する電池などに対しても本技術は適用可能である。
また、上述の実施形態および実施例では、電極が集電体と活物質層とを備える構成を例として説明したが、電極の構成はこれに限定されるもではない。例えば、電極が活物質層のみからなる構成としてもよい。
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
下記式(1)で表される化合物を含む電解液。
Figure 2017054597
(但し、式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基またはリチウム基であり、nは2〜5の整数である。)
(2)
前記nは、3または4である(1)に記載の電解液。
(3)
前記Aおよび前記Bの少なくとも一方は、水素基である(1)または(2)に記載の電解液。
(4)
前記化合物の含有量は、1×10-4質量%以上0.5質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載の電解液。
(5)
正極と、
負極と、
(1)から(4)のいずれかに記載の電解液と
を備える電池。
(6)
前記負極は、前記化合物に由来する被膜を有する(5)に記載の電池。
(7)
前記化合物を含む電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中のフッ素原子濃度a1と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中のフッ素原子濃度b1とのフッ素原子濃度比(a1/b1)は、0.31以下であり、
前記化合物を含む電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中の酸素原子濃度a2と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中の酸素原子濃度b2との酸素原子濃度比(a2/b2)は、1.35以上である(6)に記載の電池。
(8)
前記化合物を含む電解液を用いたときの前記被膜中のフッ素原子濃度A1と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記被膜中のフッ素原子濃度B1とのフッ素原子濃度比(A1/B1)は、0.60以下であり、
前記化合物を含む電解液を用いたときの前記被膜中の酸素原子濃度A2と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記被膜中の酸素原子濃度B2との酸素原子濃度比(A2/B2)は、1.03以上である(6)または(7)に記載の電池。
(9)
前記負極は、負極活物質として金属元素または半金属元素を含む(5)から(8)のいずれかに記載の電池。
(10)
前記金属元素または前記半金属元素は、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を含む(9)に記載の電池。
(11)
(5)から(10)のいずれかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
を備える電池パック。
(12)
(5)から(10)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
(13)
(5)から(10)のいずれかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を備える電動車両。
(14)
(5)から(10)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
(15)
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う(14)に記載の蓄電装置。
(16)
(5)から(10)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電力システム。
(17)
発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される(16)に記載の電力システム。
11 電池缶
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
20 巻回電極体
21 正極
21A 正極集電体
21B 正極活物質層
22 負極
22A 負極集電体
22B 負極活物質層
23 セパレータ
24 センターピン
25 正極リード
26 負極リード

Claims (17)

  1. 下記式(1)で表される化合物を含む電解液。
    Figure 2017054597
    (但し、式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して、水素基またはリチウム基であり、nは2〜5の整数である。)
  2. 前記nは、3または4である請求項1に記載の電解液。
  3. 前記Aおよび前記Bの少なくとも一方は、水素基である請求項1に記載の電解液。
  4. 前記化合物の含有量は、1×10-4質量%以上0.5質量%以下である請求項1に記載の電解液。
  5. 正極と、
    負極と、
    請求項1に記載の電解液と
    を備える電池。
  6. 前記負極は、前記化合物に由来する被膜を有する請求項5に記載の電池。
  7. 前記化合物を含む電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中のフッ素原子濃度a1と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中のフッ素原子濃度b1とのフッ素原子濃度比(a1/b1)は、0.31以下であり、
    前記化合物を含む電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中の酸素原子濃度a2と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記負極表面近傍の前記被膜中の酸素原子濃度b2との酸素原子濃度比(a2/b2)は、1.35以上である請求項6に記載の電池。
  8. 前記化合物を含む電解液を用いたときの前記被膜中のフッ素原子濃度A1と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記被膜中のフッ素原子濃度B1とのフッ素原子濃度比(A1/B1)は、0.60以下であり、
    前記化合物を含む電解液を用いたときの前記被膜中の酸素原子濃度A2と前記化合物を含まない電解液を用いたときの前記被膜中の酸素原子濃度B2との酸素原子濃度比(A2/B2)は、1.03以上である請求項6に記載の電池。
  9. 前記負極は、負極活物質として金属元素または半金属元素を含む請求項5に記載の電池。
  10. 前記金属元素または前記半金属元素は、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を含む請求項9に記載の電池。
  11. 請求項5に記載の電池と、
    前記電池を制御する制御部と、
    を備える電池パック。
  12. 請求項5に記載の電池を備え、
    前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  13. 請求項5に記載の電池と、
    前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を備える電動車両。
  14. 請求項5に記載の電池を備え、
    前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  15. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う請求項14に記載の蓄電装置。
  16. 請求項5に記載の電池を備え、
    前記電池から電力の供給を受ける電力システム。
  17. 発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される請求項16に記載の電力システム。
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