JP2016154080A - 電解質、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

電解質、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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遼平 津田
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Tadahiko Kubota
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Abstract

【課題】レート特性を向上できる電解質、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供する。【解決手段】電池は、正極と、負極と、電解質とを備える。電解質は、溶媒と、電解質塩と、所定の構造を有する化合物を含有する電解液を含む。【選択図】図1

Description

本技術は、電解質、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末機器などに代表される電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
この二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、電動ドリルなどの電動工具、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システムに代表される多様な用途への適用も検討されている。これらの電源として、高出力且つ高容量の二次電池の開発が進められている。
下記特許文献1〜特許文献2には、二次電池に関連する技術が記載されている。
特開2014−26972号公報 特開2008−300126号公報
電池では、レート特性を向上することが求められている。
したがって、本技術の目的は、レート特性を向上できる電解質、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本技術は、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する電解液を含む電解質である。
Figure 2016154080
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
本技術は、正極と、負極と、電解質とを備え、電解質は、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する電解液を含む電池である。
Figure 2016154080
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の電池を備えるものである。
本技術によれば、レート特性を向上できる
図1は本技術の実施の形態による電池の構成を示す断面図である。 図2は図1に示した巻回電極体の一部を拡大して示す断面図である。 図3は本技術の実施の形態による電池の構成を示す分解斜視図である。 図4は図3に示した巻回電極体の断面図である。 図5は二次電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表す斜視図である。 図6は図5に示した電池パックの構成を表すブロック図である。 図7は本技術の実施の形態による電池パックの回路構成例を示すブロック図である。 図8は本技術の電池を用いた住宅用の蓄電システムに適用した例を示す概略図である。 図9は本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す概略図である。
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(電解液の例)
2.第2の実施の形態(円筒型の電池の例)
3.第3の実施の形態(円筒型の電池の例)
4.第4の実施の形態(ラミネートフィルム型電池の例)
5.第5の実施の形態(電池パックの例)
6.第6の実施の形態(電池パックの例)
7.第7の実施の形態(蓄電システムなどの例)
8.他の実施の形態(変形例)
なお、以下に説明する実施の形態などは本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態などに限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また例示した効果と異なる効果が存在することを否定するものではない。
1.第1の実施の形態
(1−1)電解液
電解液は、液状の電解質であり、例えば、非水溶媒および電解質塩を含む非水電解液である。この電解液は、式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む。これにより、例えばセパレータ等の電極間に配される部材との濡れ性を改善することで、レート特性を改善できると考えられる。
Figure 2016154080
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
R1〜R4のそれぞれは、結合状態によって結合手の数が変化する。R1〜R4のそれぞれは、他の基と結合しないで環を形成していない場合は、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、他の基と互いに結合して環を形成している場合は、2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。
「炭化水素基」とは、CおよびHにより構成される基の総称であり、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を有する分岐状でもよいし、環状でもよい。炭化水素基としては、例えば、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基などである。「飽和炭化水素基」は、炭素間多重結合を有しない脂肪族炭化水素基である。なお、「脂肪族炭化水素基」には、環を持つ脂環式炭化水素基も含まれる。「不飽和炭化水素基」は、炭素間多重結合(炭素間二重結合または炭素間三重結合)を有する脂肪族炭化水素基である。
「ハロゲン化炭化水素基」とは、上記した炭化水素基のうちの少なくとも一部の水素基(−H)がハロゲン基により置換(ハロゲン化)されたものである。ハロゲン基は、例えば、フッ素基(−F)、塩素基(−Cl)、臭素基(−Br)またはヨウ素基(−I)などのいずれか1種類または2種類以上である。
式(1)で表される化合物としては、典型的には、例えば、R1およびR2が同一の基であり、R3およびR4が同一の基であるものなどである。
式(1)で表される化合物としては、例えば、式(1−1)〜式(1−7)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2016154080
(式(1)で表される化合物の少なくとも1種の含有量)
式(1)で表される化合物の少なくとも1種の含有量は、より優れた効果が得られる観点から、電解液の全質量に対する質量百分率で、0.001質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
電解液は、より優れた効果を得ることができる観点から、式(1)で表される化合物の少なくとも1種と共に、式(1)で表される化合物以外の他の化合物を含有していてもよい。他の化合物としては、例えば、ハロゲン化炭酸エステル、不飽和環状炭酸エステル、スルトン(環状スルホン酸エステル)、ジニトリル化合物、イソシアネート化合物、酸無水物などが挙げられる。
(ハロゲン化炭酸エステル)
ハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む炭酸エステルである。ハロゲン化炭酸エステルとしては、例えば、式(2)〜式(3)で表されるハロゲン化炭酸エステルの少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2016154080
(式(2)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R11〜R14のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
Figure 2016154080
(式(3)中、R15〜R20は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R15〜R20のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
式(2)で表されるハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状の炭酸エステル(ハロゲン化環状炭酸エステル)である。式(3)で表されるハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む鎖状の炭酸エステル(ハロゲン化鎖状炭酸エステル)である。
1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基等が挙げられる。1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、ハロゲンアルキル基等が挙げられる。ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素(F)、塩素(Cl)または臭素(Br)が好ましく、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
式(2)で表されるハロゲン化環状炭酸エステルとしては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、の4,5−ジクロロ−1,3−オキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。このハロゲン化環状炭酸エステルには、幾何異性体も含まれる。例えば、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンでは、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。式(3)で表されるハロゲン化鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)または炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。
(不飽和環状炭酸エステル)
不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和炭素結合(炭素間二重結合)を含む環状炭酸エステルである。不飽和環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸メチレンエチレン(4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン)などの式(4)で表される化合物、炭酸ビニレン(VC:ビニレンカーボネート)、炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。
Figure 2016154080
(式(4)中、R21〜R22は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
(スルトン(環状スルホン酸エステル))
スルトンとしては、例えば、式(5)で表される化合物などが挙げられる。式(5)で表される化合物としては、例えば、プロパンスルトンまたはプロペンスルトンなどが挙げられる。
Figure 2016154080
(式(5)中、RnはS(硫黄)およびO(酸素)と共に環を形成している炭素数n個の2価の炭化水素基である。nは2〜5である。環中には不飽和二重結合を含んでいてもよい。)
(ジニトリル化合物)
ジニトリル化合物は、ニトリル基(−CN)を2つ有する化合物である。ジニトリル化合物としては、例えば、式(6)で表される脂肪族ジニトリル化合物および芳香族ジニトリル化合物の少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2016154080
(式(6)中、R31は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでもよい2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
R31の種類は、酸素原子もしくは硫黄原子を含んでもよい2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基であれば、特に限定されない。「酸素原子もしくは硫黄原子を含んでもよい2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基」とは、2価の炭化水素基、2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子もしくは硫黄原子を含む2価の炭化水素基、および、酸素原子もしくは硫黄原子を含む2価のハロゲン化炭化水素基の何れか一つの基のことをいう。
2価の炭化水素基は、例えば、炭素数=1〜12のアルキレン基、炭素数=2〜12のアルケニレン基、炭素数=2〜12のアルキニレン基、炭素数=6〜18のアリーレン基、炭素数=3〜18のシクロアルキレン基、それらの2つ以上が結合された基、またはそれらの少なくとも一部の水素基がハロゲン基により置換された基である。中でも、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基の炭素数は、6以下であることがより好ましい。優れた溶解性および相溶性が得られるからである。
より具体的には、アルキレン基は、例えば、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−C24−)、プロピレン基(−C36−)またはブチレン基(−C48−)などである。アルケニレン基は、例えば、ビニレン基(−CH=CH−)などである。アルキニレン基は、例えば、エチニレン基(−C≡C−)などである。アリーレン基は、例えば、フェニレン基などである。シクロアルキレン基は、例えば、シクロプロピレン基またはシクロブチレン基などである。
「2つ以上が結合された基」とは、例えば、上記したアルキレン基などのうちの2種類以上が全体として2価となるように結合された基であり、例えば、アルキレン基とアリーレン基とが結合された基などである。
「2価のハロゲン化炭化水素基」とは、上記した2価の炭化水素基がハロゲン化されたものである。より具体的には、アルキレン基などがハロゲン化された基は、例えば、ジフルオロメチレン基(−CF2−)などである。
ジニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、フタロニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル、3,3’−チオジプロピオニトリルなどが挙げられる。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物とは、1以上のイソシアネート基を有する化合物である。イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、メタクリル酸−2−イソシアナトエチルなどが挙げられる。
(酸無水物)
酸無水物としては、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物、またはカルボン酸とスルホン酸との無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸または無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸または無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸とスルホン酸との無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸または無水スルホ酪酸などである。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
また、非水溶媒は、例えば、芳香族化合物を含んでいてもよい。芳香族化合物としてはクロロベンゼン、クロロトルエンやフルオロベンゼンなどのハロゲン化ベンゼン化合物、tert−ブチルベンゼン、tert−ペンチルベンゼンやシクロヘキシルベンゼン、水素ビフェニル、水素化ターフェニルなどのアルキル化芳香族化合物が挙げられる。アルキル基はハロゲン化されていてもよく特にフッ素化されているものが好ましい。このような芳香族化合物としては、例えば、トリフルオロメトキシベンゼンなどが挙げられる。その他の芳香族化合物として置換基を持ってもよいアニソール類が挙げられる。その他の芳香族化合物としては、より具体的には、例えば、2,4−ジフルオロアニソール、2,2−ジフルオロベンゾジオキソールなどが挙げられる。
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、以下で説明するリチウム塩などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩)を含んでいてもよい。
電解質塩としては、例えば、リチウム塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。
中でも、電解質塩は、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムの1種類または2種類以上を含んでいることが好ましく、六フッ化リン酸リチウムを含んでいることがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩は、上述したリチウム塩と共に以下説明するリチウム塩などの金属塩の1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。なお、これらの金属塩は、上述したリチウム塩と共に電解質塩に含まれずに、単独で含まれていてもよい。
電解質塩は、式(7)で表されるジフルオロリン酸リチウムおよび式(8)で表されるモノフルオロリン酸リチウムの少なくとも何れかを含んでいることが好ましい。より高い効果が得られるからである。
LiPF22・・・(7)
Li2PFO3・・・(8)
電解質塩は、式(9)〜式(14)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、式(9)中のR33は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(10)中のR41〜R43および式(11)中のR51およびR52についても同様である。
Figure 2016154080
(X31は長周期型周期表における1族元素または2族元素、またはアルミニウムである。M31は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素または15族元素である。R71はハロゲン基である。Y31は−OC−R32−CO−、−OC−C(R33)2−または−OC−CO−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基またはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2または4であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
Figure 2016154080
(X41は長周期型周期表における1族元素または2族元素である。M41は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素または15族元素である。Y41は−(O=)C−(C(R41)2b4−C(=O)−、−(R43)2C−(C(R42)2c4−C(=O)−、−(R43)2C−(C(R42)2c4−C(R43)2−、−(R43)2C−(C(R42)2c4−S(=O)2−、−(O=)2S−(C(R42)2d4−S(=O)2−または−(O=)C−(C(R42)2d4−S(=O)2−である。ただし、R41およびR43は、それぞれ独立して、水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1または2であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
Figure 2016154080
(X51は長周期型周期表における1族元素または2族元素である。M51は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素または15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基またはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−(O=)C−(C(R51)2d5−C(=O)−、−(R52)2C−(C(R51)2d5−C(=O)−、−(R52)2C−(C(R51)2d5−C(R52)2−、−(R52)2C−(C(R51)2d5−S(=O)2−、−(O=)2S−(C(R51)2e5−S(=O)2−または−(O=)C−(C(R51)2e5−S(=O)2−である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1または2であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
なお、長周期型周期表における1族元素とは、水素(H)、リチウム(Li)ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)である。2族元素とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)である。13族元素とは、ホウ素、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびタリウム(Tl)である。14族元素とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)である。15族元素とは、窒素、リン、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびビスマス(Bi)である。
LiN(SO2R53)(SO2R54)…(12)
(式中、R53およびR54はハロゲン基、1価の炭化水素基、または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R53およびR54のうちの少なくとも一方はハロゲン基、または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
Figure 2016154080
(R61は炭素数=2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)・・・(14)
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
式(9)で表される化合物の一例としては、式(9−1)〜式(9−6)で表される化合物などが挙げられる。なお、式(9−1)で表される化合物は、リチウムジフルオロオキサレートボレートである。式(10)で表される化合物の一例としては、式(10−1)〜式(10−8)で表される化合物などが挙げられる。式(11)で表される化合物の一例としては、式(11−1)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2016154080
Figure 2016154080
Figure 2016154080
式(12)で表される化合物は、鎖状のイミド化合物である。この化合物の一例としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO22)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C25SO22)、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C25SO2))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C37SO2))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO22)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(FSO2))などである
式(13)で表される化合物は、環状のイミド化合物である。この化合物の一例としては、式(13−1)〜式(13−4)で表される化合物などが挙げられる。すなわち、式(13−1)の1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウムまたは式(13−2)の1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムである。式(13−3)の1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムまたは式(13−4)の1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムである。
Figure 2016154080
式(14)で表される化合物は、鎖状のメチド化合物である。この化合物の一例としては、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3SO23)などが挙げられる。
2.第2の実施の形態
本技術の第2の実施の形態による電池について説明する。この電池は、上述した電解液を用いたものであり、例えば、非水電解質電池であり、充電および放電可能な二次電池であり、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムイオンの吸蔵および放出により表されるリチウムイオン二次電池である。
(2−1)非水電解質電池の構成
図1および図2は、第2の実施の形態による非水電解質電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。
[非水電解質電池の全体構成]
この非水電解質電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回電極体20および一対の絶縁板12、13が収納されたものである。このような電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)またはそれらの合金などにより構成されている。なお、電池缶11が鉄により構成される場合には、例えば、電池缶の11の表面にニッケル(Ni)などが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12、13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられており、その電池缶11は、密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗が増大する(電流を制限する)ことにより、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、その表面には、例えば、アスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回されたものである。この巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。巻回電極体20では、アルミニウムなどにより構成された正極リード25が正極21に接続されていると共に、ニッケルなどにより構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接などされて電気的に接続されている。
(正極)
正極21は、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレス(SUS)な
どにより構成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤または導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物またはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)またはLieFePO4(e≒1)などがある。
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z・・・(A)
(式中、M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
LiaM2bPO4・・・(B)
(式中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k・・・(C)
(式中、M3は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M4n(2-p)q・・・(D)
(式中、M4は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LirCo(1-s)M5s(2-t)u・・・(E)
(式中、M5は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-wM6wxy・・・(F)
(式中、M6は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM7PO4・・・(G)
(式中、M7は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、上述したリチウム含有化合物の粒子と、この母材となるリチウム含有化合物の粒子の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層とを有する被覆粒子を用いてもよい。このような被覆粒子を用いることで、電池特性をより向上できる。
被覆層は、母材となるリチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有化合物の粒子の表面の少なくとも一部に設けられたものであり、母材となるリチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有化合物の粒子とは異なる組成元素または組成比を有するものである。被覆層としては、例えば、酸化物や遷移金属化合物などを含むものが挙げられる。具体的には、被覆層としては、例えば、リチウム(Li)とニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも一方とを含む酸化物、または、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種と、酸素(O)と、リン(P)とを含む化合物などを含む。被覆層は、フッ化リチウムなどのハロゲン化物または酸素以外のカルコゲン化物を含むようにしてよい。
被覆層の存在は、正極材料の表面から内部に向かって構成元素の濃度変化を調べることで、確認することができる。例えば、濃度変化は、被覆層が設けられたリチウム複合酸化物粒子をスパッタリングなどにより削りながらその組成をオージェ電子分光分析(Auger Electron Spectroscopy ;AES)またはSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry ;二次イオン質量分析)により測定することが可能である。また、被覆層が設けられたリチウム複合酸化物粒子を酸性溶液中などでゆっくり溶解させ、その溶出分の時間変化を誘導結合高周波プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)分光分析などにより測定することも可能である。
この他、正極材料としては、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などが挙げられる。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどである。
もちろん、正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
(結着剤)
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
(導電剤)
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックまたはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などであってもよい。
(負極)
負極22は、例えば、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどにより構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤または導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、結着剤および導電剤に関する詳細
は、例えば、それぞれ正極21の結着剤および導電剤と同様である。
なお、この非水電解質電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、理論上、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっていることが好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛(グラファイト)、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、かつ高容量化が可能な他の負極材料としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、より好ましいのはケイ素(Si)およびスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものであり、特に好ましくは少なくともケイ素を含むものである。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)は、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、コバルト(Co)と、スズ(Sn)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
なお、このSnCoC含有材料は、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素(C)の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素(C)が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti512)などのチタンとリチウムとを含むリチウムチタン酸化物、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどが挙げられる。
負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、塗布法または焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成されてもよい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電解鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。焼成法とは、例えば、塗布法によって塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡(ショート)を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。
セパレータ23は、例えば、樹脂からなる多孔質膜である。樹脂からなる多孔質膜とは、樹脂などの材料が薄く延伸されたものであり、且つ、多孔構造を有するものである。例えば、樹脂からなる多孔質膜は、樹脂などの材料を延伸開孔法、相分離法などで成形することにより得たものである。例えば、延伸開口法では、まず、溶融ポリマーをTダイやサーキュラーダイから押し出し、さらに熱処理を施し規則性の高い結晶構造を形成する。その後、低温延伸、更には高温延伸して結晶界面を剥離させてラメラ間に間隔部分を作り、多孔構造を形成する。相分離法では、ポリマーと溶剤とを高温で混合して調製した均一溶液を、Tダイ法、インフレーション法などでフィルム化した後、溶剤を別の揮発性溶剤で抽出することにより、樹脂からなる多孔質膜を得ることができる。なお、樹脂からなる多孔質膜の製造方法は、これらに限定されるものではなく、従来提案されている方法を広く用いることができる。このようなセパレータ23を構成する樹脂材料は、例えばポリプロピレンもしくはポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂またはナイロン樹脂などを用いることが好ましい。特に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレンなどのポリエチレン、もしくはそれらの低分子量ワックス分、またはポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂は溶融温度が適当であり、入手が容易なので好適に用いられる。また、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造、もしくは、2種以上の樹脂材料を溶融混練して形成した多孔質膜としてもよい。ポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡の低下をいっそう低減することができる。
セパレータ23は、不織布であってもよい。不織布は、繊維を織ったり編んだりしないで、機械的、化学的、若しくは、溶剤、またはこれらを組み合わせて、繊維間を接合若しくは絡合、または接合および絡合によって作られた構造物である。不織布の原料には繊維に加工できるほとんどの物質を使用することができ、繊維長や太さなどの形状を調整することで、目的、用途に応じた機能を持たせることができる。不織布の製造方法は、典型的には、フリースと呼ばれる繊維の集積層を形成する工程と、フリースの繊維間を結合する結合工程との2段階がある。それぞれの段階において、様々な製造方法があり、不織布の原料、目的、用途に応じて選択される。例えば、フリースを形成する工程としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などを用いることができる。フリースの繊維間を結合する結合工程としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法、スチームジェット法などを用いることができる。
不織布としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を用いたポリエチレンテレフタレート透気性膜(ポリエチレンテレフタレート不織布)などが挙げられる。なお、透気性膜とは、透気性を有する膜のことをいう。その他、不織布としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ポリオレフィン繊維、または、ナイロン繊維などを用いたものなどが挙げられる。不織布は、2種以上の繊維を用いたものであってもよい。
(電解液)
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液としては、第1の実施の形態による電解液を用いることができる。
[非水電解質電池の動作]
この非水電解質電池では、充電時において、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この非水電解質電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が、例えば、例えば2.80V以上6.00V以下、3.60V以上6.00V以下、好ましくは4.25V以上6.00V以下、4.20V以上4.50V以下、さらに好ましくは4.30V以上4.55V以下の範囲内になるように設計されていてもよい。完全充電時における開回路電圧が、例えば正極活物質として層状岩塩型リチウム複合酸化物等を用いた電池において4.25V以上とされる場合は、4.20Vの電池と比較して、同じ正極活物質であっても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整され、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
(2−2)非水電解質電池の製造方法
この非水電解質電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、必要に応じて結着剤および導電剤などとを混合して正極合剤としたのち、例えば有機溶剤などに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、複数回に渡って圧縮成型を繰り返してもよい。
次に、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。この場合には、負極活物質と、必要に応じて結着剤および導電剤などとを混合した負極合剤を、例えば有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。こののち、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して負極活物質層22Bを形成したのち、その負極活物質層22Bを圧縮成型する。
なお、正極21とは異なる手順により、負極22を作製してもよい。この場合には、最初に、蒸着法などの気相法を用いて負極集電体22Aの両面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。こののち、必要に応じて、液相析出法などの液相法を用いて酸化物含有膜を形成し、または電解鍍金法などの液相法を用いて金属材料を形成し、または双方を形成して、負極活物質層22Bを形成する。
最後に、正極21および負極22を用いて非水電解質電池を組み立てる。最初に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などして取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接などして取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接などして取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入して、セパレータ23に含浸させる。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。これにより、図1〜図2に示した非水電解質電池が完成する。
3.第3の実施の形態
本技術の第3の実施の形態による電池について説明する。この電池は、上述した電解液を用いたものであり、例えば、非水電解質電池であり、充電および放電可能な二次電池であり、負極の容量がリチウム金属の析出および溶解により表されるリチウム金属二次電池である。この非水電解質電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により構成されていることを除き、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この非水電解質電池は、負極活物質としてリチウム金属を用いており、それにより高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体としても利用して、負極集電体22Aを省略してもよい。
[非水電解質電池の動作]
この非水電解質電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。一方、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この第3の実施の形態による非水電解質電池によれば、負極22の容量がリチウム金属の析出および溶解により表される場合において、上記した電解液を備えている。このため、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様の作用により、レート特性を向上できる。
4.第4の実施の形態
本技術の第4の実施の形態による電池について説明する。この電池は、上述した電解液を用いたものであり、例えば、非水電解質電池であり、充電および放電可能な二次電池であり、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムイオンの吸蔵および放出により表されるリチウムイオン二次電池である。
(4−1)非水電解質電池の構成
図3は、本技術の第4の実施の形態による非水電解質電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV-IV線に沿った断面を拡大して示している。この非水電解質電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。このような外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。ただし、巻回電極体30に対する正極リード31および負極リード32の設置位置や、それらの導出方向などは、特に限定されるわけではない。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどにより構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどにより構成されている。これらの材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
(外装部材)
外装部材40は、例えば、変形性のフィルム状の外装部材であり、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。この場合には、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外縁部同士が融着、または接着剤などにより貼り合わされている。融着層としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのフィルムが挙げられる。金属層としては、例えば、アルミニウム箔などが挙げられる。表面保護層としては、例えば、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムが挙げられる。
中でも、外装部材40としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材40は、アルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
(正極、負極およびセパレータ)
巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ37により保護されている。正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bの構成は、それぞれ第2の実施の形態による非水電解質電池における正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bと同様である。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ第2の実施の形態による非水電解質電池における負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。
なお、セパレータ35の構成は、第2の実施の形態による非水電解質電池におけるセパレータ23の構成と同様である。
(電解質層)
電解質層36は、電解液が高分子化合物により保持されたものであり、必要に応じて、各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層36は、例えば、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に電解液の漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、以下の高分子材料うちの少なくとも1種が挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンまたはポリフッ化ビニルなどが挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートなどが挙げられる。高分子材料としては、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液は、第1の実施の形態による電解液と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液が高分子化合物により保持されたゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
(粒子を含有した電解質層)
電解質層36は、より優れた効果を得ることができる観点から、無機粒子および有機粒子の少なくとも何れかの粒子などを含有したものであってもよい。具体的には、電気絶縁性の無機粒子である金属酸化物、金属酸化物水和物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などを挙げることができる。金属酸化物または金属酸化物水和物としては、酸化アルミニウム(アルミナ、Al23)、ベーマイト(Al232OまたはAlOOH)、酸化マグネシウム(マグネシア、MgO)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO2)、酸化ケイ素(シリカ、SiO2)または酸化イットリウム(イットリア、Y23)、酸化亜鉛(ZnO)などを好適に用いることができる。金属窒化物としては、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)または窒化チタン(TiN)などを好適に用いることができる。金属炭化物としては、炭化ケイ素(SiC)または炭化ホウ素(B4C)などを好適に用いることができる。金属硫化物としては、硫酸バリウム(BaSO4)などを好適に用いることができる。金属水酸化物としては水酸化アルミニウム(Al(OH)3)などを用いることができる。また、ゼオライト(M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O、Mは金属元素、x≧2、y≧0)などの多孔質アルミノケイ酸塩、タルク(Mg3Si410(OH)2)などの層状ケイ酸塩、チタン酸バリウム(BaTiO3)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの鉱物を用いてもよい。また、Li24、Li3PO4、LiFなどのリチウム化合物を用いてもよい。黒鉛、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドなどの炭素材料を用いてもよい。中でも、アルミナ、ベーマイト、タルク、チタニア(特にルチル型構造を有するもの)、シリカまたはマグネシアを用いることが好ましく、アルミナまたはベーマイトを用いることがより好ましい。
これら無機粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。無機粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、繊維状、針状、鱗片状、板状およびランダム形状などのいずれも用いることができる。
有機粒子を構成する材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体またはその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体またはその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体またはその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、全芳香族ポリアミド(アラミド)などのポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、アクリル酸樹脂またはポリエステルなどの融点およびガラス転移温度の少なくとも一方が180℃以上の高い耐熱性を有する樹脂などが挙げられる。これら材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。有機粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、繊維状、針状、鱗片状、板状およびランダム形状などのいずれも用いることができる。
[非水電解質電池の動作]
この非水電解質電池では、充電時において、例えば、正極33からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極34からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
(4−2)非水電解質電池の製造方法
非水電解質電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1の製造方法では、最初に、第2の実施の形態による非水電解質電池における正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。具体的には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液、高分子化合物および溶剤を含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、その溶剤を揮発させてゲル状の電解質層36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を溶接などして取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を溶接などして取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30を作製する。最後に、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて、巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した非水電解質電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とし、ゲル状の電解質層36を形成する。これにより、非水電解質電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体、または多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種または2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成されるため、非水電解質電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法よりも電池膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
この第4の実施の形態による非水電解質電池によれば、負極34の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出により表される場合において、電解質層36が上記した電解質(電解液)を含んでいる。したがって、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様の作用により、レート特性を向上できる。この非水電解質電池に関する他の効果は、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様である。なお、第4の実施の形態による非水電解質電池は、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様の構成を有している場合に限られず、第3の非水電解質電池と同様の構成を有していてもよい。この場合も同様の効果を得ることができる。
5.第5の実施の形態
図5は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表しており、図6は、図5に示した電池パックのブロック構成を表している。なお、図5では、電池パックを分解した状態を示している。
ここで説明する電池パックは、1つの二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆる
ソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器などに内蔵される
。この電池パックは、例えば、図5に示したように、第4の実施の形態と同様のラミネートフィルム型の二次電池である電源211と、その電源211に接続される回路基板216とを備えている。
電源211の両側面には、一対の粘着テープ218,219が貼り付けられている。回路基板216には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module)が形成されている。この回路基板216は、電源211の正極リード212および負極リード213に対して一対のタブ214,215を介して接続されていると共に、外部接続用のコネクタ付きリード線217に接続されている。なお、回路基板216が電源211に接続された状態において、その回路基板216は、ラベル220および絶縁シート231により上下から保護されている。このラベル220が貼り付けられることで、回路基板216および絶縁シート231などは固定されている。
また、電池パックは、例えば、図6に示しているように、電源211と、回路基板216とを備えている。回路基板216は、例えば、制御部221と、スイッチ部222と、PTC223と、温度検出部224とを備えている。電源211は、正極端子225および負極端子227を介して外部と接続可能であるため、その電源211は、正極端子225および負極端子227を介して充放電される。温度検出部224は、温度検出端子(いわゆるT端子)226を用いて温度を検出可能である。
制御部221は、電池パック全体の動作(電源211の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでいる。
この制御部221は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、充電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させて、充電電流を遮断する。
この他、制御部221は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に放電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、放電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させることで、放電電流を遮断する。
なお、二次電池の過充電検出電圧は、例えば、4.20V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、例えば、2.4V±0.1Vである。
スイッチ部222は、制御部221の指示に応じて、電源211の使用状態(電源211と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部222は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。なお、充放電電流は、例えば、スイッチ部222のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部224は、電源211の温度を測定して、その測定結果を制御部221に出力するものであり、例えば、サーミスタなどの温度検出素子を含んでいる。なお、温度検出部224による測定結果は、異常発熱時において制御部221が充放電制御を行う場合や、制御部221が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。
なお、回路基板216は、PTC223を備えていなくてもよい。この場合には、別途、回路基板216にPTC素子が付設されていてもよい。
6.第6の実施の形態
図7は、本技術の第2の実施〜第4の実施の形態による電池(以下、二次電池と適宜称する)を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
また、電池パックは、正極端子321および負極リード322を備え、充電時には正極端子321および負極リード322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極リード322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aは本技術の二次電池である。なお、図7では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極リード322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、例では+側にスイッチ部304を設けているが、−側に設けても良い。
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチ302aのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
ここで、例えば、二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.20V±0.05Vと定められ、過放電検出電圧が例えば2.4V±0.1Vと定められる。
充放電スイッチは、例えばMOSFETなどの半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などからなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値などが予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
7.第7の実施の形態
上述した本技術の第2の実施の形態〜第4の実施の形態による電池および第5の実施の形態〜第6の実施の形態による電池パックは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置などの機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
電子機器として、例えばノート型パソコン、スマートフォン、タブレット端末、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、ウェアラブル端末、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機などが挙げられる。
また、電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などが挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
蓄電装置としては、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源などが挙げられる。
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(7−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本技術の電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図8を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402cなどの集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408などを介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内の発電装置404などの独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅401には、発電装置404、電力消費装置405、蓄電装置403、各装置を制御する制御装置410、スマートメータ407、各種情報を取得するセンサ411が設けられている。各装置は、電力網409および情報網412によって接続されている。発電装置404として、太陽電池、燃料電池などが利用され、発電した電力が電力消費装置405および/または蓄電装置403に供給される。電力消費装置405は、冷蔵庫405a、空調装置であるエアコン405b、テレビジョン受信機であるテレビ405c、バス(風呂)405dなどである。さらに、電力消費装置405には、電動車両406が含まれる。電動車両406は、電気自動車406a、ハイブリッドカー406b、電気バイク406cである。
蓄電装置403に対して、本技術の電池が適用される。本技術の電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ407は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網409は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
各種のセンサ411は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサなどである。各種のセンサ411により取得された情報は、制御装置410に送信される。センサ411からの情報によって、気象の状態、人の状態などが把握されて電力消費装置405を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置410は、住宅401に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社などに送信することができる。
パワーハブ408によって、電力線の分岐、直流交流変換などの処理がなされる。制御装置410と接続される情報網412の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)などの通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fiなどの無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置410は、外部のサーバ413と接続されている。このサーバ413は、住宅401、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ413が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機など)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)などに、表示されても良い。
各部を制御する制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成され、この例では、蓄電装置403に格納されている。制御装置410は、蓄電装置403、家庭内の発電装置404、電力消費装置405、各種のセンサ411、サーバ413と情報網412により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能などを備えていても良い。
以上のように、電力が火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402cなどの集中型電力系統402のみならず、家庭内の発電装置404(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置403に蓄えることができる。したがって、家庭内の発電装置404の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置403に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置403に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置403によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置410が蓄電装置403内に格納される例を説明したが、スマートメータ407内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム400は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(7−2)応用例としての車両における蓄電システム
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図9を参照して説明する。図9に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両500には、エンジン501、発電機502、電力駆動力変換装置503、駆動輪504a、駆動輪504b、車輪505a、車輪505b、バッテリー508、車両制御装置509、各種センサ510、充電口511が搭載されている。バッテリー508に対して、上述した本技術の電池が適用される。
ハイブリッド車両500は、電力駆動力変換装置503を動力源として走行する。電力駆動力変換装置503の一例は、モータである。バッテリー508の電力によって電力駆動力変換装置503が作動し、この電力駆動力変換装置503の回転力が駆動輪504a、504bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置503が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ510は、車両制御装置509を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ510には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
エンジン501の回転力は発電機502に伝えられ、その回転力によって発電機502により生成された電力をバッテリー508に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両500が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置503に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置503により生成された回生電力がバッテリー508に蓄積される。
バッテリー508は、ハイブリッド車両500の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口511を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
以下、実施例により本技術を詳細に説明する。なお、本技術は、下記の実施例の構成に限定されるものではない。
<実施例1−1>
(正極の作製)
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)90質量%と、導電剤としてカーボンブラック5質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%とを混合することにより正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に正極合剤スラリーを塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層を形成した。これを直径16mmの円形状に打ち抜き正極を形成した。
(負極の作製)
負極活物質としてシリコン炭素複合材料96質量%と、結着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体のアクリル酸変性体1.5質量%と、カルボキシメチルセルロース1.5質量%と、適量の水とを攪拌し、負極合剤スラリーを調製した。次いで、この負極合剤スラリーを帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層を形成した。これを直径16mmの円形状に打ち抜き負極を形成した。
セパレータとしてポリエチレン製の微多孔フィルムを準備した
(電解液の調製)
電解液を、以下のように調製した。炭酸エチレン(EC)と、炭酸プロピレン(PC)と、炭酸エチルメチル(EMC)と、炭酸ビニレン(VC)とを質量比(EC:PC:EMC:VC)39:39:20:2の割合で混合して非水溶媒を調製した。次にこの非水溶媒に式(1−1)で表される化合物を添加したのち、電解質塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させた。式(1−1)で表される化合物の含有量は、電解液の全質量に対する質量百分率が1質量%となるように、調整した。以上により目的とする電解液を得た。
(コイン型電池の組み立て)
作製した正極と負極とセパレータを介して積層して、外装カップおよび外装缶の内部に収容させてガスケットを介してかしめることにより、直径20mm、高さ1.6mmのコイン型非水電解質二次電池(コイン型セル)を作製した。なお、このコイン型電池は、正極活物質の量と負極活物質量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.35Vになるように設計されたものである。
<実施例1−2〜実施例1−7>
実施例1−2〜実施例1−7では、式(1−1)で表される化合物に代えて、下掲の表1に示す化合物を添加したこと以外は、実施例1−1と同様にして、コイン型セルを作製した。
<実施例1−8〜実施例1−14>
実施例1−8〜実施例1−14では、下掲の表1に示すように式(1−2)で表される化合物の添加量を変えたこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<実施例1−15〜実施例1−23>
実施例1−15〜実施例1−23では、下掲の表1に示すように、その他の化合物(化合物B)をさらに加えてこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<実施例1−24>
非水溶媒として、炭酸エチレン(EC)と、炭酸プロピレン(PC)と、炭酸エチルメチル(EMC)とを質量比(EC:PC:EMC)40:40:20の割合で混合したものを調製した。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<実施例1−25>
非水溶媒として、炭酸エチレン(EC)と炭酸エチルメチル(EMC)とを質量比(EC:EMC)50:50の割合で混合したものを調製した。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<実施例1−26>
非水溶媒として、炭酸エチレン(EC)と炭酸エチルメチル(EMC)とを質量比(EC:EMC)30:70の割合で混合したものを調製した。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<比較例1−1〜比較例1−10>
比較例1−1〜比較例1−10では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−2、実施例1−15〜実施例1−23と同様にして、コイン型セルを作製した。
(電池評価:1C放電維持率の測定)
23℃にて充電電圧4.35V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて0.1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。23℃にて充電電圧4.35V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。上記操作において、0.1C放電の放電容量および1C放電の放電容量を測定し、以下の式により1C放電維持率を求めた。
1C放電維持率[%]=(1C放電容量[mAh]/0.1C放電容量[mAh])×100
なお、1Cは理論容量を1時間で放電または充電しきる電流値である。
表1に測定結果を示す。なお、表1の非水溶媒の項目内において、かっこ内の比は、非水溶媒を構成する各成分の質量比を示す(以下の表2〜表5においても同様)
Figure 2016154080
表1に示すように、実施例1−1〜実施例1−26では、1C放電維持率を向上することができた。
<実施例2−1>
負極活物質として、グラファイトを用いた。正極活物質の量と負極活物質量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.2Vになるように設計した。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<比較例2−1>
比較例2−1では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして、コイン型セルを作製した。
(電池評価:1C放電維持率の測定)
作製した各電池について、以下のように、1C放電維持率の測定を行った。
23℃にて充電電圧4.2V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて0.1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。23℃にて充電電圧4.2V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。上記操作において、0.1C放電の放電容量および1C放電の放電容量を測定し、以下の式により1C放電維持率を求めた。
1C放電維持率[%]=(1C放電容量[mAh]/0.1C放電容量[mAh])×100
表2に評価結果を示す。
Figure 2016154080
表2に示すように、実施例2−1では、1C放電維持率を向上することができた。
<実施例3−1>
負極活物質として、グラファイトを用いた。正極活物質の量と負極活物質量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.5Vになるように設計した。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<比較例3−1>
比較例3−1では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例3−1と同様にして、コイン型セルを作製した。
(電池評価:1C放電維持率の測定)
作製した各電池について、以下のように、1C放電維持率の測定を行った。
23℃にて充電電圧4.5V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて0.1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。23℃にて充電電圧4.5V、0.1Cの電流で、定電流定電圧充電を行い、その後、10℃にて1Cの電流で3.0Vまで、定電流放電を行った。上記操作において、0.1C放電の放電容量および1C放電の放電容量を測定し、以下の式により1C放電維持率を求めた。
1C放電維持率[%]=(1C放電容量[mAh]/0.1C放電容量[mAh])×100
表3に評価結果を示す。
Figure 2016154080
表3に示すように、実施例3−1では、1C放電維持率を向上することができた。
<実施例4−1>
Li金属箔を直径16mmの円板状に打ち抜き、これを負極とした。以上のこと以外は、実施例1−2と同様にして、コイン型セルを作製した。
<比較例4−1>
比較例4−1では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例4−1と同様にして、コイン型セルを作製した。
(電池評価:1C放電維持率の測定)
作製した各電池について、実施例1−1と同様にして、1C放電維持率の測定を行った。
表4に評価結果を示す。
Figure 2016154080
表4に示すように、実施例4−1では、1C放電維持率を向上することができた。
<実施例5−1>
(正極の作製)
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)90質量%と、導電剤としてカーボンブラック5質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%とを混合することにより正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に正極合剤スラリーを塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層を形成した。こののち、正極集電体の一端に、正極リードを溶接して取り付けた。
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイト96質量%と、結着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体のアクリル酸変性体1.5質量%と、カルボキシメチルセルロース1.5質量%と、適量の水とを攪拌し、負極合剤スラリーを調製した。次いで、この負極合剤スラリーを厚みの帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層を形成した。こののち、負極集電体の一端に、負極リードを溶接して取り付けた。
(ゲル電解質層の形成)
炭酸エチレン(EC)と炭酸プロピレン(PC)とを、質量比50:50で混合した非水溶媒に対して、式(1−2)で表される化合物を添加したのち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/Lの濃度で溶解させることにより、非水電解液を調製した。なお、式(1−2)で表される化合物の含有量は、電解液の全質量に対する質量百分率で1質量%となるように、調整した。
続いて、非水電解液を保持する高分子化合物(樹脂材料)として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、非水電解液と、ポリフッ化ビニリデンと、可塑剤である炭酸ジメチル(DMC)とを混合して、ゾル状の前駆溶液を調製した。
続いて、正極および負極の両面に、前駆溶液を塗布し、乾燥させて可塑剤を除去した。これにより、正極および負極の表面にゲル電解質層を形成した。
(ラミネートフィルム型電池の組み立て)
ゲル電解質層が両面に形成された正極および負極と、セパレータとを、正極、セパレータ(微多孔性ポリエチレンセパレータ)、負極、セパレータの順に積層し、長手方向に多数回、扁平形状に巻回させた後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回電極体を形成した。
次に、巻回電極体をラミネートフィルムで外装し、巻回電極体周辺の正極リードおよび負極リードの導出辺と、他の二辺とを減圧下で熱融着して封止し、密閉した。これにより、図3に示すラミネートフィルム型電池を作製した。なお、このラミネートフィルム型電池は、正極活物質の量と負極活物質量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.50Vになるように設計されたものである。
<実施例5−2>
ゾル状の前駆溶液を調製する際、アルミナ粒子を添加した。その際、ポリフッ化ビニリデンと非水電解液とアルミナ粒子との質量比(ポリフッ化ビニリデン:非水電解液:アルミナ粒子)は、10:90:10とした。以上のこと以外は、実施例5−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例5−1>
比較例5−1では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例5−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例5−2>
比較例5−1では、電解液の調製の際に、式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例5−2と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:1C放電維持率の測定)
作製した各電池について、実施例3−1と同様にして、1C放電維持率の測定を行った。
表5に評価結果を示す。
Figure 2016154080
表5に示すように、実施例5−1〜実施例5−2では、1C放電維持率を向上することができた。
8.他の実施の形態
以上、本技術を各実施の形態および実施例によって説明したが、本技術はこれらに限定されるものではなく、本技術の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセスなどを用いてもよい。
上述の実施の形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。例えば、非水電解質電池は一次電池であってもよい。
本技術の電解質は、角型などの他の電池構造を有する場合についても、同様に適用可能である。第2〜第4の実施の形態において、巻回型の電極体に代えて、積層型の電極体を用いてもよい。例えば、スマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、iGlass(登録商標)などのウェアラブル端末に搭載されるフレキシブル電池などにも適用可能である。
セパレータは、無機粒子、有機粒子などの粒子を含むものであってもよい。例えば、このようなセパレータとしては、基材と、基材の両方の主面のうちの少なくとも一方に表面層が形成されたものなどである。基材は、例えば、樹脂からなる多孔質膜、不織布などである。表面層は、例えば、高分子化合物と、粒子とを含むものなどである。高分子化合物は、例えば、フィブリル化し、フィブリルが相互連続的に繋がった三次元的なネットワーク構造を有していてもよい。
なお、本技術は、以下の構成をとることもできる。
[1]
溶媒と、
電解質塩と、
式(1)で表される化合物の少なくとも1種と
を含有する電解液を含む電解質。
Figure 2016154080
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
[2]
前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種の含有量は、前記電解液に対して、0.001質量%以上50質量%以下である[1]に記載の電解質。
[3]
ハロゲン化炭酸エステル、不飽和環状炭酸エステル、スルトン、ジニトリル化合物、イソシアネート化合物、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウムおよびリチウムジフルオロオキサレートボレートのうちの少なくとも何れかをさらに含む[1]〜[2]の何れかに記載の電解質。
[4]
前記ハロゲン化炭酸エステルは、式(2)で表される化合物の少なくとも1種であり、
前記不飽和環状炭酸エステルは、式(4)で表される化合物の少なくとも1種であり、
前記スルトンは、式(5)で表される化合物の少なくとも1種であり、
前記ジニトリル化合物は、式(6)で表される化合物の少なくとも1種であり、
前記イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートである[3]に記載の電解質。
Figure 2016154080
(式(2)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R11〜R14のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)

Figure 2016154080
(式(4)中、R21〜R22は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
Figure 2016154080
(式(5)中、RnはS(硫黄)およびO(酸素)と共に環を形成している炭素数n個の2価の炭化水素基である。nは2〜5である。環中には不飽和二重結合を含んでいてもよい。)
Figure 2016154080
(式(6)中、R31は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでもよい2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
[5]
前記電解液を保持する高分子化合物と、
粒子と
をさらに含む[1]〜[4]の何れかに記載の電解質。
[6]
正極と、
負極と、
電解質と
を備え、
前記電解質は、溶媒と、
電解質塩と、
式(1)で表される化合物の少なくとも1種と
を含有する電解液を含む電池。
Figure 2016154080
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
[7]
前記負極は、負極活物質として、ケイ素の単体、合金および化合物のうちの少なくとも1種、または、リチウム金属を含む[6]に記載の電池。
[8]
一対の前記正極および前記負極あたりの完全充電状態における開回路電圧が4.20V以上4.50V以下である[6]〜[7]の何れかに記載の電池。
[9]
[6]〜[8]の何れかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
前記電池を内包する外装と
を有する電池パック。
[10]
[6]〜[8]の何れかに記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
[11]
[6]〜[8]の何れかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[12]
[6]〜[8]の何れかに記載の電池を有し、前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[13]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う[12]に記載の蓄電装置。
[14]
[6]〜[8]の何れかに記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される電力システム。
11・・・電池缶、12,13・・・絶縁板、14・・・電池蓋、15A・・・ディスク板、15・・・安全弁機構、16・・・熱感抵抗素子、17・・・ガスケット、20・・・巻回電極体、21・・・正極、21A・・・正極集電体、21B・・・正極活物質層、22・・・負極、22A・・・負極集電体、22B・・・負極活物質層、23・・・セパレータ、24・・・センターピン、25・・・正極リード、26・・・負極リード、30・・・巻回電極体、31・・・正極リード、32・・・負極リード、33・・・正極、33A・・・正極集電体、33B・・・正極活物質層、34・・・負極、34A・・・負極集電体、34B・・・負極活物質層、35・・・セパレータ、36・・・電解質層、37・・・保護テープ、40・・・外装部材、41・・・密着フィルム、211・・・電源、212・・・正極リード、213・・・負極リード、214、215・・・タブ、216・・・回路基板、217・・・コネクタ付きリード線、218、219・・・粘着テープ、220・・・ラベル、221・・・制御部、222・・・スイッチ部、224・・・温度検出部、225・・・正極端子、227・・・負極端子、231・・・絶縁シート、301・・・組電池、301a・・・二次電池、302a・・・充電制御スイッチ、302b・・・ダイオード、303a・・・放電制御スイッチ、303b・・・ダイオード、304・・・スイッチ部、307・・・電流検出抵抗、308・・・温度検出素子、310・・・制御部、311・・・電圧検出部、313・・・電流測定部、314・・・スイッチ制御部、317・・・メモリ、318・・・温度検出部、321・・・正極端子、322・・・負極端子、400・・・蓄電システム、401・・・住宅、402・・・集中型電力系統、402a・・・火力発電、402b・・・原子力発電、402c・・・水力発電、403・・・蓄電装置、404・・・発電装置、405・・・電力消費装置、405a・・・冷蔵庫、405b・・・空調装置、405c・・・テレビジョン受信機、405d・・・風呂、406・・・電動車両、406a・・・電気自動車、406b・・・ハイブリッドカー、406c・・・電気バイク、407・・・スマートメータ、408・・・パワーハブ、409・・・電力網、410・・・制御装置、411・・・センサ、412・・・情報網、413・・・サーバ、500・・・ハイブリッド車両、501・・・エンジン、502・・・発電機、503・・・電力駆動力変換装置、504a・・・駆動輪、504b・・・駆動輪、505a・・・車輪、505b・・・車輪、508・・・バッテリー、509・・・車両制御装置、510・・・センサ、511・・・充電口

Claims (14)

  1. 溶媒と、
    電解質塩と、
    式(1)で表される化合物の少なくとも1種と
    を含有する電解液を含む電解質。
    Figure 2016154080
    (式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種の含有量は、前記電解液に対して、0.001質量%以上50質量%以下である請求項1に記載の電解質。
  3. ハロゲン化炭酸エステル、不飽和環状炭酸エステル、スルトン、ジニトリル化合物、イソシアネート化合物、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウムおよびリチウムジフルオロオキサレートボレートのうちの少なくとも何れかをさらに含む請求項1に記載の電解質。
  4. 前記ハロゲン化炭酸エステルは、式(2)で表される化合物の少なくとも1種であり、
    前記不飽和環状炭酸エステルは、式(4)で表される化合物の少なくとも1種であり、
    前記スルトンは、式(5)で表される化合物の少なくとも1種であり、
    前記ジニトリル化合物は、式(6)で表される化合物の少なくとも1種であり、
    前記イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートである請求項3に記載の電解質。
    Figure 2016154080
    (式(2)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、R11〜R14のうちの少なくとも1つはハロゲン基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
    Figure 2016154080
    (式(4)中、R21〜R22は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基である。)
    Figure 2016154080
    (式(5)中、RnはS(硫黄)およびO(酸素)と共に環を形成している炭素数n個の2価の炭化水素基である。nは2〜5である。環中には不飽和二重結合を含んでいてもよい。)
    Figure 2016154080
    (式(6)中、R31は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでもよい2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
  5. 前記電解液を保持する高分子化合物と、
    粒子と
    をさらに含む請求項1に記載の電解質。
  6. 正極と、
    負極と、
    電解質と
    を備え、
    前記電解質は、溶媒と、
    電解質塩と、
    式(1)で表される化合物の少なくとも1種と
    を含有する電解液を含む電池。
    Figure 2016154080
    (式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。R2およびR4は互いに結合して環を形成してもよい。)
  7. 前記負極は、負極活物質として、ケイ素の単体、合金および化合物のうちの少なくとも1種、または、リチウム金属を含む請求項6に記載の電池。
  8. 一対の前記正極および前記負極あたりの完全充電状態における開回路電圧が4.20V以上4.50V以下である請求項6に記載の電池。
  9. 請求項6に記載の電池と、
    前記電池を制御する制御部と、
    前記電池を内包する外装と
    を有する電池パック。
  10. 請求項6に記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  11. 請求項6に記載の電池と、
    前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を有する電動車両。
  12. 請求項6に記載の電池を有し、前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  13. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う請求項12に記載の蓄電装置。
  14. 請求項6に記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される電力システム。
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