JP2017053117A - 既設道路の更新施工方法と更新施工された道路 - Google Patents

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【課題】既設道路の更新施工に要する工期の短縮を図ることのできる既設道路の更新施工方法と、この更新施工方法で更新施工された道路を提供すること。【解決手段】二以上の鋼製の主桁1上に鉄筋コンクリート製の床版2が設置されてなる既設道路10の更新方法であって、床版2のうち、主桁上の部分4のみを残置し、他の部分を撤去する第一のステップ、下面に二以上の凹部6aを備えた新設の床版ブロック6を、それぞれの凹部6aが二以上の主桁上の部分4に嵌るようにして設置し、この床版ブロック6の設置を道路の延伸方向に繰り返して更新施工された道路20を施工する第二のステップからなる、既設道路の更新施工方法である。【選択図】図4

Description

本発明は、既設道路の更新施工方法と更新施工された道路に関するものである。
昭和40年代〜50年代にかけて施工された高速道路等の老朽化が顕在化しており、クラック等が入って老朽化した道路の床版を取り換える工事が今後2〜3年ほどで増加することが予測されている。
床版の取り換え工事では少なからず通行止め等の交通規制が余儀なくされ、全国の多くの箇所で交通規制が発生することの社会的影響は計り知れず、工事発注者は通行止め等の交通規制期間を可及的に短縮したいとの思いが強いことは容易に想定される。
高速道路等の既設道路の構造の代表例を挙げると、二以上の鋼製の主桁上に鉄筋コンクリート製の床版が設置されてその全体が大略構成されている。ここで、主桁の上面にはスタッドジベル等のずれ止めが一般に取り付けられており、鉄筋コンクリート製の床版がずれ止めを埋設した状態で施工され、主桁と床版の一体化が図られている。より具体的には、二以上の主桁を設置後、ずれ止めを巻き込むようにして床版用の鉄筋を配筋し、現場にてコンクリートを打設して鉄筋コンクリート製の床版を施工するものである。
従来一般の既設道路の更新方法として、床版から上方に突出するずれ止めを露出させるようにして主桁上のコンクリートを斫り、ずれ止めを含む主桁上方を清掃し、新規にずれ止めを設置し、ずれ止めが挿入される孔を下面に備えた新設の床版ブロック(プレキャストブロック)を主桁上に設置し、これを主桁の長手方向に繰り返しおこなうことで所定延長の既設道路を更新する方法が挙げられる。この従来一般の更新方法では、床版の斫り作業に多大な時間を要しており、これが更新施工に要する工期の長期化に繋がっていた。このように工期が長期化する更新施工方法では、上記するように今後増大するであろう更新施工において、工期が可及的に短縮された施工を実現することはできない。
一方、他の更新施工方法として、主桁の上フランジを切断し、床版と上フランジをまとめて撤去する方法があるが、この施工方法では、更新施工に際して主桁の上フランジを溶接やボルト等で接続して主桁の復旧をおこなう必要があり、この復旧施工に時間を要してしまい、交通規制は軽減できても、やはり更新施工に要する工期の長期化に繋がってしまう。
ここで、特許文献1には、床版解体装置の反力を主桁の下フランジで取り、床版解体装置で床版を支持しながら床版の解体をおこなう方法が開示されているが、上記する課題、すなわち、更新施工に要する工期の長期化を抑制できる技術ではない。
特開2007−100415号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、既設道路の更新施工に要する工期の短縮を図ることのできる既設道路の更新施工方法と、この更新施工方法で更新施工された道路を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による既設道路の更新施工方法は、二以上の鋼製の主桁上に鉄筋コンクリート製の床版が設置されてなる既設道路の更新方法であって、床版のうち、主桁上の部分のみを残置し、他の部分を撤去する第一のステップ、下面に二以上の凹部を備えた新設の床版ブロックを、それぞれの凹部が前記二以上の主桁上の部分に嵌るようにして設置し、この床版ブロックの設置を道路の延伸方向に繰り返す第二のステップからなるものである。
本発明の既設道路の更新施工方法は、主桁を残し、主桁上にある鉄筋コンクリート製の床版を撤去するに当たり、床版の中で主桁上の部分のみを撤去せずに残し、その他の床版を撤去することに特徴を有する施工方法である。
主桁上の床版を撤去しないことから、主桁の上面から突出して床版内に埋設されているずれ止めを露出させるようにして床版を撤去し、主桁の上面を清掃する際に要する多大な斫り時間を解消することができ、従来の更新施工方法に比して施工時間を大幅に短縮することができる。
本発明の更新施工方法では、二以上の主桁において、床版の主桁上の部分のみを残してそれ以外の床版を撤去した後、プレキャスト製の床版ブロックを各主桁に架け渡すようにして設置する。たとえば、主桁が二本の場合は二本の主桁に床版ブロックが架け渡され、主桁が五本の場合は五本の主桁に床版ブロックが架け渡される。この際、前者の形態では床版ブロックの下面の二箇所に凹部が設けてあり、後者の形態では床版ブロックの下面の五箇所に凹部が設けてある。
ここで、床版ブロックはその下面において各主桁上の部分が嵌り込む凹部を備えており、各主桁上の部分をそれぞれ対応する凹部に嵌め込みながら、二以上の主桁への床版ブロックの設置がおこなわれる。
このように、二以上の主桁に対し、それぞれの主桁上の部分を対応する凹部に嵌め込みながら床版ブロックが設置されることから、床版ブロックが主桁の側方へずれる惧れはない。
第二のステップでは、この床版ブロックの設置を道路の延伸方向に繰り返しおこなうことにより、多数の床版ブロックからなる新設道路が施工され、既設道路の更新施工が完了する。
上記するように、主桁上の部分が凹部に嵌り込むことで床版ブロックが主桁の側方にずれる惧れがないことに加えて、道路の延伸方向に多数の床版ブロックが設置されていることから、床版ブロックが道路の延伸方向へずれる惧れもない。
また、本発明による既設道路の更新施工方法の好ましい実施の形態において、前記主桁の上面にずれ止めが取り付けてあり、床版がずれ止めを埋設して既設道路が構成されており、第一のステップで残置される前記主桁上の部分が、主桁上の鉄筋コンクリートのうち、ずれ止めを埋設する中立軸よりも下方の主桁側の部分のみである方法を挙げることができる。
既設床版の主桁上の部分のうち、中立軸よりも上の部分は曲げモーメントによる引張領域(負の曲げモーメントの領域)となっており、この領域ではクラックが生じている。
中立軸よりも下側の領域には、主桁と床版を繋ぐずれ止めが埋設されており、この領域は主桁上の部分の中でも圧縮領域となることから、クラックの発生がなく、健全な領域となっている。そこで、本発明の更新施工方法では、主桁上の部分を残置するものの、主桁上の部分でもクラックが含まれる中立軸よりも上の部分は撤去し、中立軸よりも下の健全な部分を本明細書における「主桁上の部分」として採用し、残置するものである。
このように主桁上の部分の中でも健全な領域のみを残してこの領域と床版ブロックとの一体化を図ることにより、接続構造の構成要素の一方が古い鉄筋コンクリートからなる主桁上の部分であっても、高い接続強度を期待することができる。
また、本発明による既設道路の更新施工方法の好ましい実施の形態において、第二のステップでは、前記主桁上の部分の上に充填材を充填した後に床版ブロックの凹部を該主桁上の部分に嵌めるものである。
充填材を介して主桁上の部分と床版ブロックを接続することにより、既設の主桁上の部分と新設の床版ブロックの接続界面が所定のせん断付着強度を有することとなり、主桁と床版ブロック全体の有効高さを備えた合成梁を形成することができる。より具体的には、このせん断付着強度が接続界面に生じる水平せん断力以上の強度を有していることで、主桁上の部分と床版ブロックが同じ挙動を示す一体化(上記する合成梁の形成)を図ることができる。したがって、たとえば主桁上のずれ止めの有する水平せん断強度と同程度のせん断付着強度を備えた充填材を適用することで、上記する合成梁を形成することができる。
ここで、適用する充填材としては、普通モルタルなどのセメント系充填材、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂モルタルなどのエポキシ系充填材、アクリル樹脂やアクリル樹脂モルタルなどのアクリル系充填材、ポリマー系充填材などを挙げることができる。
また、本発明による既設道路の更新施工方法の好ましい実施の形態は、第二のステップの実施に当たり、前記新設の床版ブロックの上面において、該床版ブロックの長手方向に延びて二以上の凹部に跨る長さの補強材を取り付けておくものである。
床版ブロックがその下面に複数の凹部を備えていることで、床版ブロックの設置に際して該床版ブロックがクレーン等で吊り上げられた際に、凹部を有する箇所が構造弱部となり、床版ブロックが過度に撓んだり、床版ブロックの凹部周辺を起点としたクラックが発生する可能性がある。
そこで、本実施の形態の更新施工方法では、新設の床版ブロックの上面において、該床版ブロックの長手方向(道路の延伸方向に直交する方向)に延びて二以上の凹部に跨る長さの補強材を取り付けておくものである。
この補強材は、H型鋼やI型鋼、棒状のコンクリートブロックなど、所定の剛性を備えたものから形成できる。
また、本発明は更新施工された道路にも及ぶものであり、この道路は、二以上の鋼製の主桁と、主桁上にあって更新されずに残置された鉄筋コンクリート製の部分と、下面に二以上の凹部を備え、凹部が鉄筋コンクリート製の部分に嵌って設置されている新設の床版ブロックと、からなり、複数の前記床版ブロックが道路の延伸方向に併設されているものである。
本発明の更新施工された道路は、既述する本発明の既設道路の更新施工方法にて施工されたものである。
主桁上に更新されずに鉄筋コンクリート製の部分を残置し、ここに床版ブロックの下面の凹部を嵌め込んで双方を一体化することにより、短工期にて更新施工された道路を施工することができる。
また、この更新施工された道路においても、前記主桁の上面にずれ止めが取り付けてあり、残置された鉄筋コンクリート製の部分が、更新前の主桁上の鉄筋コンクリートのうち、ずれ止めを埋設する中立軸よりも下方の主桁側の部分であるのが好ましい。
中立軸よりも下方の主桁側の部分は、クラックのない健全な部分であることより、新旧の鉄筋コンクリート同士の接続部に関し、高い接続強度を期待することができる。
さらに、鉄筋コンクリート製の部分と床版ブロックの凹部の間に充填材が介在しているのが好ましい。
充填材を介して主桁上の鉄筋コンクリート製の部分と床版ブロックを接続することにより、既設の鉄筋コンクリート製の部分と新設の床版ブロックの接続界面が所定のせん断付着強度を有することとなり、主桁と床版ブロック全体の有効高さを備えた合成梁を形成することができ、作用する活荷重に起因する鉛直変位を可及的に小さくすることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の既設道路の更新施工方法と更新施工された道路によれば、主桁上にある鉄筋コンクリート製の床版を撤去するに当たり、床版の中で主桁上の部分のみを撤去せずに残し、その他の床版を撤去し、主桁上の部分に床版ブロックの下面の凹部を嵌め込みながら双方の一体化を図って更新施工された道路を施工することにより、更新施工に要する工期を格段に短縮することができる。
本発明の既設道路の更新施工方法の第一のステップを説明した模式図である。 図1に続いて第一のステップを説明した模式図である。 残置する主桁上の部分を設定する根拠を説明した図である。 既設道路の更新施工方法の第二のステップを説明した模式図である。 更新施工された道路を示した模式図である。 残置された主桁上の部分と床版ブロックの間の界面状態を複数パターンでモデル化し、各モデルにおける活荷重載荷時の鉛直変位を求める解析において使用した、三次元モデルを示した図である。 残置された主桁上の部分と床版ブロックの間の界面状態に関し、複数の界面パターンモデルを説明した図である。 各界面パターンモデルにおいて活荷重載荷時の主桁間の床版の最大変位に関する解析結果を示した図である。 各界面パターンモデルにおける最大変位を比較した図である。
以下、図面を参照して、本発明の既設道路の更新施工方法と更新施工された道路の実施の形態を説明する。なお、図示例は、二つの主桁からなる既設道路および更新施工された道路を示しているが、三以上の主桁を備えた既設道路が更新施工の対象であってもよいことは勿論のことである。
(既設道路の更新施工方法と更新施工された道路の実施の形態)
図1,2は本発明の既設道路の更新施工方法の第一のステップを説明した模式図であり、図3は残置する主桁上の部分を設定する根拠を説明した図であり、図4は第二のステップを説明した模式図である。また、図5は更新施工された道路を示した模式図である。
図1で示す既設道路10は、道路の延伸方向Lに延びる二本の主桁1と、各主桁1に対して一体に施工された鉄筋コンクリート製の既設床版2とから大略構成されている。なお、図1で示す既設道路10は、その延伸方向に延びる道路全体の一部を取り出して図示している。
この既設床版2には、供用期間中に繰り返し受けた活荷重等に起因した曲げモーメント等により、特に主桁1間の床板には多数のクラックや陥没などの損傷が生じている。
損傷した既設床版2を更新施工するに当たり、既設床版2のうち、主桁上の一部の鉄筋コンクリートを残し、他の部分を撤去することにより、図2で示すように主桁1の上に主桁上の部分4のみが残置した状態とする(第一のステップ)。
具体的には、作業員がチェーンソー等の切断機にて主桁上の部分4のみが残るように既設床版2を鉛直斜め方向や水平方向に切断し、切断された既設床版2を撤去することにより、図2の状態を形成する。
ここで、主桁1の上面には多数のずれ止め3が取り付けられており、既設道路10は、このずれ止め3を取り囲むようにして鉄筋が配筋され、コンクリートが現場打設されることでずれ止め3を埋設するようにしてコンクリート製の既設床版2が施工されている。
図2で示すように、第一のステップにて形成された主桁上の部分4には、そのずれ止め3が埋設されている。
すなわち、従来の更新施工方法では、ずれ止めが露出するまで主桁上の部分を斫り、主桁の上方を清掃した後にプレキャスト製の床版ブロックを主桁上に設置する方法が一般的であったが、この方法ではこのずれ止めの斫り出しに多大な時間を要していた。
図示する更新施工方法では、第一のステップにおいて、ずれ止め3を露出するまで斫り出すことなく、鉄筋コンクリート製の主桁上の部分4の内部にずれ止め3が埋設された状態で既設床版2の撤去作業を終了する。このことにより、従来の更新施工方法におけるずれ止めの斫り出しに要していた多大な時間を解消することができる。
ここで、図3を参照して、主桁上の部分4をどの範囲とするか、すなわち主桁上の部分4の範囲の設定方法について説明する。
活荷重を受けた際に、既設道路10には主桁1の上方で負の曲げモーメント(−M)、主桁1間で正の曲げモーメント(+M)が生じており、既設床版2のうち、主桁上の部分4においては、その断面内の中立軸の上方が引張領域となり、下方が圧縮領域となっている。
引張領域においては文字通りコンクリートに引張りが作用することでクラックが生じており、したがってこの引張領域は不健全な領域となっている。
一方、圧縮領域は、コンクリートにクラックが生じていないことから健全な領域と言える。そこで、この健全な領域である中立軸よりも下方の範囲で、かつずれ止め3を包囲する範囲を床版ブロック6と接続する主桁上の部分4として規定し、残置領域とするものである。
図4で示すように、主桁上の部分4の全面に接着性の充填材5を塗布する。ここで、充填材5としては、普通モルタル、無収縮モルタル、繊維入りモルタルなどのセメント系充填材、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂モルタル、エポキシ樹脂グラウトなどのエポキシ系充填材、アクリル樹脂、アクリル樹脂モルタル、アクリル樹脂グラウトなどのアクリル系充填材、ゴムラテックスモルタルなどのポリマー系充填材などが適用できる。
主桁上の部分4の全面に接着性の充填材5を塗布したら、プレキャスト製で下面に凹部6aを備えた床版ブロック6を不図示のクレーンで吊り下げられたワイヤ8で吊り下し、各凹部6aを対応する主桁上の部分4に嵌め込むようにして床版ブロック6を二本の主桁1に架け渡して設置する。
ここで、床版ブロック6は下面に二条の凹部6aを有していることから、この凹部6aの付近の強度が弱く、ワイヤ8にて直接吊り下げられた際に構造弱部である凹部6aの周辺でクラックが発生することが危惧される。
そこで、床版ブロック6の上面には、予めその長手方向に延びて二本の凹部6aに跨る長さの補強材7を取り付けておき、補強材7に取り付けられている留め具7aにワイヤ8を取り付け、床版ブロック6を吊り上げるようにしておく。
なお、補強材7としては、H型鋼やI型鋼、C型鋼、角鋼管等の鋼材、長尺のコンクリートブロックなどを適用できる。
図4で示す床版ブロック6の設置を道路の延伸方向に繰り返して実施することにより、図5で示すように二本の主桁1の上に道路の延伸方向に多数の床版ブロック6が設置されてなる更新施工された道路20が施工され、既設道路の更新施工が完了する(第二のステップ)。
なお、充填材5を介して主桁上の部分4と床版ブロック6を接続することにより、既設の主桁上の部分4と新設の床版ブロック6の接続界面が所定のせん断付着強度を有することとなり、主桁1と床版ブロック6全体の有効高さを備えた合成梁をこの接続箇所に形成することができる。
より具体的には、このせん断付着強度が接続界面に生じる水平せん断力以上の強度を有していることで、主桁上の部分4と床版ブロック6が同じ挙動を示す一体化(上記する合成梁の形成)を図ることができる。
したがって、たとえば主桁1上のずれ止め3の有する水平せん断強度と同程度のせん断付着強度を備えた充填材5を適用することで、上記する合成梁を形成することが可能になる。
また、図示例のように、主桁上の部分4の断面形状を下底に対して上底が短い台形状とし、床版ブロック6の凹部6aをこれに相補的な形状のものとしておくことで、主桁上の部分4に対して凹部6aを嵌め込み易くできる。
(残置された主桁上の部分と床版ブロックの間の界面状態を複数パターンでモデル化し、各モデルにおける活荷重載荷時の鉛直変位を求めた解析とその結果)
本発明者等は、残置された主桁上の部分と床版ブロックの間の界面状態を複数パターンでモデル化し、各モデルにおける活荷重載荷時の鉛直変位を求める解析をおこなった。ここで、図6は解析において使用した三次元モデルを示した図であり、図7は複数の界面パターンモデルを説明した図である。
本解析では、昭和50年2月の道路橋示方書で設計された3径間連続非合成鈑桁橋を解析対象とし、載荷荷重は道路橋示方書で規定されている自動車荷重(L荷重)とした。また、図6で示すように、コンピュータ内において、RC床版はソリッド要素でモデル化し、主桁や垂直補剛材は板要素でモデル化し、対傾構は棒要素でモデル化した。さらに、図7で示すように、充填材を介して接続された主桁上の部分と床版ブロックの界面状態は、完全剛結モデル、引張無視モデル、および界面剥離モデルの3種とした。そして、各界面モデルを形成するための条件設定として、x方向、y方向およびz方向の各バネ定数を適宜に設定し、必要に応じてある方向のばね定数を無限大(∞)としたり、引張方向のバネ定数をゼロとしたりする等の設定をおこなった。
充填材の物性値:EG=2.0×103N/mm2の際の、従来例のケース、界面状態が完全剛結モデルのケース、界面状態が引張無視モデルのケース、および界面状態が界面剥離モデルのケースの4ケースで解析をおこなった。なお、従来例のケースとは、主桁上のずれ止めを巻き込むようにして現場打設コンクリートにて床版が施工されてなる既設道路をモデル化したものである。ここで、図8は各界面パターンモデルにおいて活荷重載荷時の主桁間の床版の最大変位に関する解析結果を示した図であり、図9は各界面パターンモデルにおける最大変位を比較した図である。
図8より、従来例、完全剛結モデル、引張無視モデルの主桁間の最大鉛直変位は同程度であるのに対して、界面剥離モデルの最大鉛直変位は2〜3割程度も増加する結果となっている。
図9は、従来例の最大鉛直変位を基準とし、この基準値で3種の解析結果を正規化して示している。さらに、充填材の物性値:EGが2.0×103N/mm2以外にも、2.0×101N/mm2のケース、2.0×102N/mm2のケース、および2.0×104N/mm2のケースでも解析をおこない、EGが2.0×103N/mm2のケースと同様に、従来例の最大鉛直変位を基準値として他の3種の解析結果を正規化して示している。
図9より、充填材の物性値に関わらず、界面状態が界面剥離モデルのケースにおいて、最大変位は8割程度も大きくなることが分かる。
この解析結果より、主桁上の部分と床版ブロックの間の界面状態において、界面剥離が生じることでこの領域に主桁と床版ブロックの一体化が図られず、このことに起因して合成梁が形成されず、いわゆる重ね梁となっていることで鉛直変位が大きくなることが分かる。
したがって、適用される充填材には、主桁上の部分と新設の床版ブロックの接続界面に界面剥離が生じないようなせん断付着強度を有するものが望ましいことが分かる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…主桁、2…既設床版、3…ずれ止め、4…主桁上の部分(鉄筋コンクリート製の部分)、5…充填材、6…床版ブロック、6a…凹部、7…補強材、8…ワイヤ、10…既設道路、20…更新施工された道路

Claims (7)

  1. 二以上の鋼製の主桁上に鉄筋コンクリート製の床版が設置されてなる既設道路の更新方法であって、
    床版のうち、主桁上の部分のみを残置し、他の部分を撤去する第一のステップ、
    下面に二以上の凹部を備えた新設の床版ブロックを、それぞれの凹部が前記二以上の主桁上の部分に嵌るようにして設置し、この床版ブロックの設置を道路の延伸方向に繰り返す第二のステップからなる、既設道路の更新施工方法。
  2. 前記主桁の上面にずれ止めが取り付けてあり、床版がずれ止めを埋設して既設道路が構成されており、
    第一のステップで残置される前記主桁上の部分が、該主桁上の鉄筋コンクリートのうち、ずれ止めを埋設する中立軸よりも下方の主桁側の部分のみである、請求項1に記載の既設道路の更新施工方法。
  3. 第二のステップでは、前記主桁上の部分の上に充填材を充填した後に床版ブロックの凹部を該主桁上の部分に嵌める、請求項1または2に記載の既設道路の更新施工方法。
  4. 第二のステップの実施に当たり、前記新設の床版ブロックの上面において、該床版ブロックの長手方向に延びて二以上の凹部に跨る長さの補強材を取り付けておく、請求項1〜3のいずれかに記載の既設道路の更新施工方法。
  5. 二以上の鋼製の主桁と、
    主桁上にあって更新されずに残置された鉄筋コンクリート製の部分と、
    下面に二以上の凹部を備え、凹部が鉄筋コンクリート製の部分に嵌って設置されている新設の床版ブロックと、からなり、
    複数の前記床版ブロックが道路の延伸方向に併設されている、更新施工された道路。
  6. 前記主桁の上面にずれ止めが取り付けてあり、
    残置された鉄筋コンクリート製の部分が、更新前の主桁上の鉄筋コンクリートのうち、ずれ止めを埋設する中立軸よりも下方の主桁側の部分である、請求項5に記載の更新施工された道路。
  7. 鉄筋コンクリート製の部分と床版ブロックの凹部の間に充填材が介在している、請求項5または6に記載の更新施工された道路。
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