JP2017052410A - スタビライザ支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】いわゆるシームレス構造のサスペンションメンバにおいて、スタビライザ取付部に入力される垂直荷重によるサスペンションメンバアッパの変形を抑制することができるスタビライザ支持構造を得る。【解決手段】リアクロスメンバ16の交叉部17に設けられた閉断面部38内において、スタビリインフォースメント40がリアクロスアッパ34及びリアクロスロア36に接合され車両上下方向に沿って架け渡されている。これにより、リアクロスアッパ34が車両上下方向で補強される。したがって、スタビライザを介してリアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fに対して、リアクロスアッパ34の変形(面外変形)を抑制することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車のスタビライザ支持構造に関する。
一般に、サスペンションメンバにおいて、スタビライザを取付けるためのスタビライザ取付部には、タイヤからの路面入力により当該スタビライザを介して車両上下方向の垂直荷重が入力される。下記特許文献1には、サスペンションメンバの上部(サスペンションメンバアッパ)のスタビライザ取付部にブラケットが締結されると共に、当該サスペンションメンバアッパには補強部材が結合され、当該補強部材とブラケットを共締めする技術が開示されている。そして、これにより、スタビライザ取付部の補強を図るというものである。なお、この他にも下記特許文献2にスタビライザの取付構造に関する技術が開示されている。
特開2015−101236号公報 特開2015−30380号公報
しかしながら、サスペンションメンバが、サイドレールとクロスメンバとが一体に形成される、いわゆるシームレス構造の場合、サイドレールとクロスメンバを結合させるための接合部が存在しないため、スタビライザ支持構造としてこれらの先行技術を適用するだけでは、サスペンションメンバアッパが変形することが考えられる。
本発明は上記事実を考慮し、いわゆるシームレス構造のサスペンションメンバにおいて、スタビライザ取付部に入力される垂直荷重によるサスペンションメンバアッパの変形を抑制することができるスタビライザ支持構造を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のスタビライザ支持構造は、車両前後方向に沿って配置されるサイドレール部と車両幅方向に沿って配置されるクロスメンバ部とが一体に形成されたサスペンションメンバの車両上下方向の上部を構成し、前記サイドレール部と前記クロスメンバ部との交叉部に車両幅方向を長手方向として配置される棒状のスタビライザを支持するブラケットが締結される第1締結部が設けられたサスペンションメンバアッパと、前記サスペンションメンバの車両上下方向の下部を構成し前記サスペンションメンバアッパとで閉断面部を形成するサスペンションメンバロアと、前記交叉部の前記閉断面部内において、前記サスペンションメンバアッパ及び前記サスペンションメンバロアの双方に接合されると共に両者を車両上下方向に架け渡し、かつ前記第1締結部を介して前記ブラケットと共締めされた補強部材と、を有している。
請求項1に記載のスタビライザ支持構造では、サスペンションメンバが車両前後方向に沿って配置されるサイドレール部と車両幅方向に沿って配置されるクロスメンバ部とが一体に形成されている。つまり、いわゆるシームレス構造のサスペンションメンバであり、サスペンションメンバの車両上下方向の上部はサスペンションメンバアッパで構成され、サスペンションメンバの車両上下方向の下部はサスペンションメンバロアで構成されている。
ここで、サスペンションメンバアッパにおいて、サイドレール部とクロスメンバ部との交叉部には、車両幅方向を長手方向として配置される棒状のスタビライザを支持するブラケットが締結される第1締結部が設けられている。一方、サスペンションメンバアッパとサスペンションメンバロアとで閉断面部が形成されている。サスペンションメンバの交叉部の当該閉断面部内には、サスペンションメンバアッパ及びサスペンションメンバロアの双方に補強部材が接合されており、両者を車両上下方向に架け渡している。
したがって、サスペンションメンバの交叉部は、当該補強部材により車両上下方向で補強され、スタビライザを介してサスペンションメンバアッパに入力される車両上下方向に沿った垂直荷重に対して、サスペンションメンバアッパの変形を抑制することができる。また、補強部材がサスペンションメンバの車両上下方向に架け渡されているため、サスペンションメンバアッパのサスペンションメンバロアに対する車両上下方向の相対変位を抑制することができる。その結果、サスペンションメンバの車両上下方向の変形を抑制することができる。
また、当該補強部材は、サスペンションメンバアッパの第1締結部において、ブラケットと共締めされるようになっている。これにより、サスペンションメンバアッパの第1締結部を補強することができる。したがって、第1締結部に入力される垂直荷重に対して、第1締結部自体の変形を抑制することができる。
請求項2に記載のスタビライザ支持構造は、請求項1に記載のスタビライザ支持構造において、前記第1締結部には、車両前後方向に沿って一対となるように第1締結孔が形成され、前記補強部材には、前記第1締結部と共に前記ブラケットと共締めされる第2締結部に前記第1締結孔と対応して車両前後方向に沿って一対となるように第2締結孔が形成されると共に、前記第2締結部よりも前記サスペンションメンバの車両幅方向の内側に、前記交叉部の前記閉断面部内の車両上下方向、かつ車両前後方向に沿うように縦壁部が形成されている。
請求項2に記載のスタビライザ支持構造では、第1締結部において、車両前後方向に沿って一対となるように第1締結孔が形成されている。一方、補強部材には、第1締結部と共にブラケットと共締めされる第2締結部において、第1締結孔と対応して車両前後方向に沿って一対となるように第2締結孔が形成されている。また、補強部材には、第2締結部よりもサスペンションメンバの車両幅方向の内側に、交叉部の閉断面部内の車両上下方向、かつ車両前後方向に沿うように縦壁部が形成されている。
このように、補強部材において、サスペンションメンバの交叉部の閉断面部内に配設された縦壁部が、車両前後方向に沿って配置されることによって、当該縦壁部は、車両前後方向に沿って一対に設けられた第1締結孔及び第2締結孔と略平行に配置されることになる。このため、サスペンションメンバに対して入力される垂直荷重に対して、当該縦壁部を介してそれぞれ一対の第1締結孔及び第2締結孔の車両前後方向の前部側及び後部側のそれぞれには略均等に分散された垂直荷重が入力される。その結果、第1締結部及び第2締結部自体の変形を抑制することができる。
請求項3に記載のスタビライザ支持構造は、請求項2に記載のスタビライザ支持構造において、前記補強部材は、前記第2締結部から前記サスペンションメンバの車両幅方向の外側へ向かって延出され、先端部が前記サスペンションメンバアッパの上壁部の外縁部から垂下された外壁部又は前記サスペンションメンバロアの下壁部の外縁部から立ち上がる外壁部に接合された延出部をさらに含んで構成されている。
請求項3に記載のスタビライザ支持構造では、補強部材は、第2締結部からサスペンションメンバの車両幅方向の外側へ向かって延出部が延出されており、延出部の先端部は、サスペンションメンバアッパの上壁部の外縁部から垂下された外壁部又は前記サスペンションメンバロアの下壁部の外縁部から立ち上がる外壁部に接合されている。このように、補強部材において、延出部を第2締結部からサスペンションメンバアッパの当該外壁部又はサスペンションメンバロアの当該外壁部に接合させることによって、当該延出部が片持ち支持構造とされた場合と比較して、当該第2締結部において、強度及び剛性を向上させることができる。
請求項4に記載のスタビライザ支持構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のスタビライザ支持構造において、前記サスペンションメンバを車両骨格側に取付けるためのボデーマウントと前記サスペンションメンバアッパとの接合が、水平方向に沿って接合される横接合部と、車両上下方向に沿って接合される縦接合部と、を含んで構成されている。
請求項4に記載のスタビライザ支持構造では、ボデーマウントがサスペンションメンバアッパで接合部において接合されている。当該接合部は、横接合部及び縦接合部を備えており、横接合部では水平方向に沿って接合され、縦接合部では車両上下方向に沿って接合されている。
サスペンションメンバアッパに入力された垂直荷重は、当該サスペンションメンバアッパから横接合部及び縦接合部を介してボデーマウント側へ伝達される。つまり、サスペンションメンバアッパからボデーマウント側へ荷重が伝達される荷重伝達経路を増やすことができ、結果的にサスペンションメンバアッパの面外変形を抑制することができる。
以上、説明したように、本発明に係るスタビライザ支持構造は、いわゆるシームレス構造のサスペンションメンバにおいて、スタビライザ取付部に入力される垂直荷重によるサスペンションメンバアッパの変形を抑制することができる、という優れた効果を有する。
本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造が適用されたサスペンションメンバを右斜め前方側から見て示す斜視図である。 シームレス構造のサスペンションメンバの構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造の構成を示す分解斜視図である。 図1の4−4線に沿って切断したときの断面図である。 本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造を構成するサスペンションメンバロア及びスタビライザリインフォースメントを下方側から見て示す分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造を構成するスタビライザリインフォースメント及びサスペンションメンバロアをサスペンションメンバの車両幅方向の内側かつ上方側から見て示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造を構成するスタビライザリインフォースメント及びサスペンションメンバアッパを下方側から見て示す斜視図である。 (A)は、図1の8(A)−8(A)線に沿って切断したときの断面図であり、(B)は、スタビライザが取付けられたスタビライザ取付部に垂直荷重が入力された状態を示す(A)に対応する断面図である。 本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造を構成するスタビライザリインフォースメント及びサスペンションメンバロアをサスペンションメンバの車両幅方向の外側かつ上方側から見て示す斜視図である。 (A)は、従来構造のサスペンションメンバを示す図4に対応して示す模式的な断面図であり、(B)は、シームレス構造のサスペンションメンバを示す(A)に対応する模式的な断面図である。 (A)、(B)は、図8(A)、(B)にそれぞれ対応する比較例である。
本発明の実施形態に係るスタビライザ支持構造について、図面に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、それぞれスタビライザ支持構造が適用された車両(自動車)の前方向(進行方向)、上方向、車両右方向をそれぞれ示している。
(サスペンションメンバの構成)
本実施の形態に係るスタビライザ支持構造の構成について説明する前に、当該スタビライザ支持構造が適用されるフロントサスペンションメンバ(以下、単に「サスペンションメンバ」という)について説明する。
図1に示されるサスペンションメンバ12は、車体(ボデー)の車両幅方向の外側において車両前後方向に沿って配設されたフロントサイドメンバ(図示省略)に支持されており、平面視で略矩形枠状の骨格体として形成されている。このサスペンションメンバ12は、車両前後方向の前後で分割されており(図2参照)、車両前後方向の前部に配置されたフロントクロスメンバ14と、車両前後方向の後部に配置されたリアクロスメンバ16と、を含んで構成されている。このリアクロスメンバ16側に後述するスタビライザ42が取付けられるようになっている。
フロントクロスメンバ14は、平面視でリアクロスメンバ16側を開口とする略逆U字状を成しており、車両幅方向に沿って配置されるクロスメンバ部14Aと車両前後方向に沿って配置される左右一対のサイドレール部14Bを含んで構成されている。サイドレール部14Bは、クロスメンバ部14Aの車両幅方向の両端部からリアクロスメンバ16側へ向かって屈曲している。一方、リアクロスメンバ16は、平面視でフロントクロスメンバ14側を開口とする略U字状を成しており、車両幅方向に沿って配置されるクロスメンバ部16Aと車両前後方向に沿って配置される左右一対のサイドレール部16Bを含んで構成されている。サイドレール部16Bは、クロスメンバ部16Aの車両幅方向の両端部から車両幅方向の外側かつフロントクロスメンバ14側へ向かって湾曲している。そして、フロントクロスメンバ14のサイドレール部14Bとリアクロスメンバ16のサイドレール部16Bとが互いに結合され、一体化されている(いわゆるシームレス構造)。
例えば、図示はしないが、一般的なサスペンションメンバでは、車両幅方向に沿って配設されるフロントクロスメンバ及びリアクロスメンバの車両幅方向の両端部同士が、車両前後方向に沿って配設される一対のサイドレールによって結合されるようになっている。つまり、この場合、サスペンションメンバは4本の骨格部で構成される(従来構造という)。これに対して、前述のシームレス構造のサスペンションメンバの場合、2本の骨格部で構成される。したがって、シームレス構造のサスペンションメンバを採用すると、従来構造のサスペションメンバと比較して部品点数を削減することができ、作業工数を低減させることができる。さらには、サスペンションメンバの軽量化を図ることができる。
ここで、図2に示されるように、シームレス構造のサスペンションメンバ12を構成するフロントクロスメンバ14及びリアクロスメンバ16は、それぞれ上下で分割されるようになっている。具体的には、フロントクロスメンバ14は、フロントクロスメンバ14の上部を構成するフロントクロスアッパ30と、フロントクロスメンバ14の下部を構成するフロントクロスロア32と、を備えている。また、リアクロスメンバ16は、フロントクロスメンバ14の上部を構成するリアクロスアッパ(サスペンションメンバアッパ)34と、フロントクロスメンバ14の下部を構成するリアクロスロア(サスペンションメンバロア)36と、を備えている。
そして、図1に示されるように、サスペンションメンバ12において、フロントクロスメンバ14のクロスメンバ部14Aとサイドレール部14Bの交叉部15及びリアクロスメンバ16のクロスメンバ部16Aとサイドレール部16Bの交叉部17には、略円筒状を成しボデー(車両骨格)側に取付けるためのボデーマウント20が設けられたボデーマウント支持部22がそれぞれ結合されている。なお、ここでは、リアクロスメンバ16側において、ボデーマウント支持部22を図示しているが、当該ボデーマウント支持部22は、例えば、図2及び図3では図示を省略している。
(スタビライザ支持構造の構成)
以下、本実施の形態に係るスタビライザ支持構造10が適用されるリアクロスメンバ16について説明する。
図2に示されるように、リアクロスメンバ16の上部を構成するリアクロスアッパ34は、その長手方向に対して略直交する幅方向に沿って切断したときの断面形状が下方側を開口とする略逆U字状を成している。そして、このリアクロスアッパ34は、リアクロスアッパ34の本体を構成する上壁部34Aと、当該上壁部34Aの外縁部から垂下された外壁部34Bと、を含んで構成されている。
一方、リアクロスメンバ16の下部を構成するリアクロスロア36は、その長手方向に対して略直交する幅方向に沿って切断したときの断面形状が上方側を開口とする略U字状を成している。そして、このリアクロスロア36は、リアクロスロア36の本体を構成する下壁部36Aと、当該下壁部36Aの外縁部から立ち上がる外壁部36Bと、を含んで構成されている。
このリアクロスアッパ34とリアクロスロア36とが上下で重なり、図4に示されるように、リアクロスロア36の外壁部36Bはリアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合されている(接合部33)。この状態で、リアクロスアッパ34とリアクロスロア36とで閉断面部38が構成され、リアクロスメンバ16の交叉部17において、この閉断面部38内に補強部材としてのスタビライザリインフォースメント(以下、「スタビリインフォースメント」という)40が配設されている。
なお、本実施形態における「接合」には、スポット溶接、アーク溶接、LSW(レーザ・スクリュー・ウェルディング)等による溶接が含まれ、「締結」には、ボルト締結の他、リベット締結、かしめ締結等が含まれる。また、「結合」には、「接合」及び「締結」が含まれる。
ところで、図1及び図3に示されるように、リアクロスアッパ34の上壁部34Aの交叉部17には、スタビライザ42を支持するブラケットとしてのスタビライザサポートブラケット(以下、「スタビブラケット」という)44が取付けられる第1締結部としてのスタビライザ取付部(以下、「スタビ取付部」という)46が設けられている。
このスタビ取付部46には、車両前後方向に沿って一対の締結孔(第1締結孔)48が形成されている。締結孔48には、ボルト50が挿通可能とされている。一方、スタビブラケット44は側面視(車両側方側から見た状態)で下方側を開口とする略逆U字状を成しており、スタビブラケット44の中央部にスタビライザ42を支持する支持部52が設けられている。スタビライザ42の長手方向の両端部側には、ブッシュ54が嵌め込まれており、当該ブッシュ54を介してスタビライザ42が支持部52に支持されるようになっている。
また、支持部52の両端部からは、互いに離間する方向へ向かって外側へ張り出す固定片56が設けられている。固定片56には締結孔56Aが形成されており、当該締結孔56Aにはボルト50が挿通可能とされている。このボルト50が締結孔56A及び締結孔48へ挿通され、当該ボルト50を介して、スタビブラケット44がリアクロスアッパ34の上壁部34A(スタビ取付部46)に固定される。
一方、図3及び図4に示されるように、スタビリインフォースメント40は、側面視(車両前方側から見た状態)で略クランク状を成しており、締結部(第2締結部)57、縦壁部58及び接合片64を含んで構成されている。締結部57はリアクロスアッパ34の上壁部34Aと略平行となるように形成されており、車両幅方向に沿って配置されるように形成されている。
また、締結部57には、縦壁部58と略平行に配置された一対の締結孔(第2締結孔)57Aが形成されている。この締結孔57Aはリアクロスアッパ34の上壁部34Aに形成された締結孔48と対応するように形成されており、締結孔57Aにはボルト50が挿通可能とされている。
締結部57のリアクロスメンバ16の車両幅方向の内側には、当該締結部57に連設されて縦壁部58が形成されている。この縦壁部58は、締結部57に対して略直交するように形成されており、リアクロスメンバ16の上下方向に沿って配置されるように形成されている。
また、縦壁部58は、スタビリインフォースメント40がリアクロスアッパ34の上壁部34Aに固定された状態で車両前後方向に沿って配置されるように形成されている(図6の矢印A参照)。これにより、縦壁部58は、リアクロスメンバ16の閉断面部38内において、リアクロスメンバ16の車両幅方向に対して略直交する方向に配置されることになる。
また、縦壁部58の下端部58Aからは、リアクロスメンバ16の車両幅方向の内側へ向かって折曲された接合片64が延出されており、当該接合片64はリアクロスロア36の下壁部36Aに接合される(接合部35)。
具体的に説明すると、図4及び図5に示されるように、接合片64のリアクロスロア36の下壁部36Aに接合される接合面64Aには、車両前後方向に沿って長手とする長円状の突部65が突設されている。一方、リアクロスロア36には、突部65が当接する部位に長孔部66が形成されている。この長孔部66の内縁部66Aに突部65が当接することによって、リアクロスロア36の接合面64Aに対してスタビリインフォースメント40の接合片64が位置決めされる。そして、長孔部66を介して、接合片64がアーク溶接やレーザ溶接等により接合される(接合部35)。
一方、図3及び図5に示されるように、リアクロスロア36の下壁部36Aにおいて、長孔部66よりもサスペンションメンバ12の車両幅方向の外側には、車両前後方向に沿って一対の締結孔68が形成されている。この締結孔68はスタビリインフォースメント40の締結孔57Aと対応するように形成されており、ボルト50が挿通可能となっている。なお、スタビリインフォースメント40の締結部57とリアクロスロア36の下壁部36Aとの間にはカラー70が介在される。
そして、リアクロスアッパ34の締結孔48にボルト50が挿通された状態で、当該ボルト50はスタビリインフォースメント40の締結孔57Aに挿通される。さらに、本実施形態では、当該ボルト50はカラー70及びリアクロスロア36の下壁部36Aに形成された締結孔68に挿通され、図示しないナットに螺合される。
これにより、スタビブラケット44、リアクロスアッパ34、スタビリインフォースメント40及びリアクロスロア36が互いに締結される。つまり、スタビリインフォースメント40は、スタビブラケット44と共にリアクロスアッパ34の上壁部34Aに共締めされる。そして、この状態で、スタビリインフォースメント40はサスペンションメンバ12の車両上下方向に架け渡される(図4参照)。
また、本実施形態では、図4に示されるように、締結部57のリアクロスメンバ16の車両幅方向の外側からは、当該締結部57の締結面57Bに対して角度θを有するようにして延出部60が延出されている。この角度θは0度以上90度以下とされており、例えば、この図では角度θは約10度とされている。
また、延出部60の先端部には、下方側へ向かって折曲された接合片62が設けられており、当該接合片62は、図4及び図7に示されるように、リアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合されるようになっている(接合部37)。なお、本実施形態では、締結部57と延出部60の間には、締結部57からリアクロスメンバ16の車両幅方向の外側へ向かうにつれて下方側へ傾斜する傾斜部59が設けられている。
さらに、本実施形態では、図8(A)及び図9に示されるように、リアクロスアッパ34は、ボデーマウント20の周壁部20Aの周方向及び軸方向に沿って接合されるようになっている。なお、図9ではリアクロスアッパ34の図を省略しているが、リアクロスアッパ34がボデーマウント20の周壁部20Aの軸方向に沿って接合された接合部が縦接合部72である。また、リアクロスアッパ34がボデーマウント20の周壁部20Aの周方向に沿って接合された接合部が横接合部74であり、横接合部74はスタビリインフォースメント40の接合片62と略同じ高さとなるように設定されている。
(スタビライザ支持構造の作用・効果)
次に、本実施の形態に係るスタビライザ支持構造の作用・効果について説明する。
従来構造のサスペンションメンバでは、前述のように、サスペンションメンバが、フロントクロスメンバ、リアクロスメンバ及び一対のサイドレールによって構成されている。このため、フロントクロスメンバ及びリアクロスメンバの車両幅方向の両端部には結合部が設けられており、この結合部を介して、フロントクロスメンバ及びリアクロスメンバの車両幅方向の両端部が、サイドレールにそれぞれ結合されるようになっている。
具体的に説明すると、図10(A)に示されるように、従来構造のサスペンションメンバ100では、リアクロスメンバ102の結合部102Aでは、閉断面部104内において、サイドレール106の側壁部106Aが上述した縦壁部として配設されることになる。これにより、リアクロスメンバ102の強度及び剛性が得られるようになっている。このため、タイヤからの路面入力により、スタビライザを介して、リアクロスメンバ102の上部を構成するリアクロスアッパ108のスタビ取付部に車両上下方向の垂直荷重が入力されても、リアクロスメンバ102の変形を抑制することができる。
これに対して、いわゆるシームレス構造が採用されたサスペンションメンバでは、例えば、図10(B)に示されるように、サスペンションメンバ200では、従来構造における結合部は存在しない。したがって、図11(A)に示されるように、当該サスペンションメンバ200において、リアクロスメンバ202のスタビ取付部204に垂直荷重Fが入力されると、図11(B)に示されるように、リアクロスロア206に対してリアクロスアッパ208が変形する。これにより、リアクロスアッパ208とボデーマウント210の接合部212において、リアクロスアッパ208とボデーマウント210とで成す角度θ4が大きく変化する(角度θ4<角度θ3(図11(A)参照))。
しかし、本実施形態では、図8(A)、(B)に示されるように、リアクロスメンバ16の交叉部17に設けられた閉断面部38内において、スタビリインフォースメント40がリアクロスアッパ34及びリアクロスロア36に接合され車両上下方向に沿って架け渡されている。
これにより、リアクロスメンバ16が荷重入力方向である車両上下方向に対して補強される。したがって、スタビライザ42(図3参照)を介してリアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fに対して、リアクロスアッパ34の変形(面外変形)を抑制することができる。このように、リアクロスアッパ34の変形を抑制することで、リアクロスアッパ34とボデーマウント20の接合部75において、リアクロスアッパ34とボデーマウント20とで成す角度θ1の角度変化(角度θ1→角度θ2)を抑制することができる(図8(B)参照)。
また、本実施形態では、スタビリインフォースメント40がリアクロスアッパ34及びリアクロスロア36に接合され車両上下方向に沿って架け渡されているため、リアクロスアッパ34のリアクロスロア36に対する車両上下方向の相対変位を抑制することができる。その結果、リアクロスメンバ16の車両上下方向の変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、スタビリインフォースメント40の締結部57は、スタビブラケット44(図3参照)と共にリアクロスアッパ34に締結(共締め)されている。これにより、締結部57及びリアクロスアッパ34のスタビ取付部46が補強され、当該締結部57及びスタビ取付部46の剛性を向上させることができる。そして、当該垂直荷重Fに対して、締結部57及びスタビ取付部46自体の変形(面外変形)を抑制することができる。
以上の構成により、図8(A)、(B)に示されるように、リアクロスメンバ16の変形を抑制することで、サスペンションメンバ12において、シームレス構造が採用されても従来構造におけるサスペンションメンバ200(図11参照)以上の剛性を得ることができる。すなわち、当該サスペンションメンバ12が配設された車両では操縦安定性を向上させることができる。
また、本実施形態では、スタビリインフォースメント40は、縦壁部58が締結部57よりもサスペンションメンバ12の車両幅方向の内側に設けられている。前述のように、図11(A)、(B)に示されるシームレス構造のサスペンションメンバ200では、リアクロスメンバ202のスタビ取付部204に垂直荷重Fが入力されると、スタビ取付部204を介してリアクロスアッパ208はリアクロスロア206に対して変形する。一方、サスペンションメンバ200の車両幅方向の外側は、ボデーマウント210にリアクロスアッパ208が接合されているため、ボデーマウント210からサスペンションメンバ200の車両幅方向の内側へ向かうにつれて変形量は大きくなる。
このため、本実施形態では、図8(A)、(B)に示されるように、スタビ取付部46に配置される締結部57よりもサスペンションメンバ12の車両幅方向の内側に縦壁部58が設けられることによって、リアクロスアッパ34の変形を効果的に抑制することができる。
一方、スタビリインフォースメント40の縦壁部58は、リアクロスメンバ16の閉断面部38内の車両上下方向に沿ってリアクロスアッパ34及びリアクロスロア36に接合されると共に車両前後方向に沿って配置されている(図6参照)。ここで、図3に示されるように、スタビ取付部46の締結孔48及び締結部57の締結孔57Aは、車両前後方向に沿って一対に形成されている。このため、縦壁部58は、一対の締結孔48及び締結孔57Aと略平行に配置されることになる。これにより、サスペンションメンバ12(図8(A)参照)に対して入力される垂直荷重Fに対して、当該縦壁部58を介してそれぞれ一対の締結孔48及び締結孔57Aの車両前後方向の前部側及び後部側のそれぞれには略均等に分散された垂直荷重が入力される。その結果、スタビ取付部46及び締結部57自体の変形を抑制することができる。
さらに、図4に示されるように、本実施形態では、スタビリインフォースメント40は、締結部57のサスペンションメンバ12の車両幅方向の外側から延出部60が延出されている。そして、当該延出部60の先端部に設けられた接合片62は、リアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合されている。これにより、例えば、当該延出部60が片持ち支持構造とされた場合と比較して、締結部57において、強度及び剛性を向上させることができ、当該締結部57における変形を抑制することができる。
また、この延出部60は、締結部57の締結面57Bに対して角度θが約10度となるように設定されている。このように、延出部60が締結部57の締結面57Bに対して角度を有する(交叉して形成される)ことによって、延出部60がリアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合された状態で、当該延出部60がいわゆるブレースと同様の効果を担うことになる。これにより、締結部57の剛性はさらに向上し、リアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fに対して、リアクロスアッパ34の面外変形をさらに抑制することができ、また、車両幅方向の荷重に対して、リアクロスアッパ34の面内変形を抑制することができる。
また、図8(A)及び図9に示されるように、リアクロスアッパ34(図8(A)参照)は、ボデーマウント20の周壁部20Aに対して、周方向に沿って接合する縦接合部72及び軸方向に沿って接合する横接合部74を介して接合されている。このため、リアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fは、リアクロスアッパ34の上壁部34Aから縦接合部72を介してボデーマウント20側へ伝達される(矢印C)と共に、横接合部74を介してボデーマウント20側へ伝達される(矢印B)。
特に、本実施形態では、図4及び図9に示されるように、スタビリインフォースメント40の締結部57がリアクロスアッパ34の上壁部34Aと結合され、当該締結部57の締結面57Bに対して角度θを有する延出部60の先端部の接合片62がリアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合されている(接合部37(図4参照))。
つまり、ここでは、リアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fは、当該リアクロスアッパ34の上壁部34Aからスタビリインフォースメント40の締結部57へ伝達され、リアクロスアッパ34とは別に、締結部57から延出部60、接合片62及び接合部37を介してリアクロスアッパ34の外壁部34Bからボデーマウント20側へ荷重が伝達される(矢印C)。
したがって、本実施形態では、サスペンションメンバ12からボデーマウント20側へ荷重が伝達される荷重伝達経路(矢印B、C)を増やすことができ、結果的にリアクロスアッパ34の面外変形を抑制することができる。また、縦接合部72では、リアクロスアッパ34に入力される垂直荷重Fをせん断方向の荷重として受けるため、当該縦接合部72は剥がれ難い。
また、前述のように、本実施形態では、図4に示されるように、スタビリインフォースメント40において、延出部60は、締結部57の締結面57Bに対して角度θを有するように形成されている。これにより、締結部57と延出部60との間には、稜線Pが形成されることになる。したがって、当該スタビリインフォースメント40の強度及び剛性を向上させ、リアクロスアッパ34の外壁部34Bへ伝達される荷重の荷重伝達効率を上げることができる。
さらに、本実施形態では、スタビリインフォースメント40の締結部57と延出部60の間には、リアクロスメンバ16の車両幅方向の外側へ向かうにつれて下方側へ傾斜する傾斜部59が設けられている。このように傾斜部59を設けることによって、スタビリインフォースメント40の寸法精度のバラツキにより、延出部60の接合片62とリアクロスアッパ34の外壁部34Bとの間で寸法のバラツキが生じたとしても当該バラツキを吸収することができる。これにより、スタビリインフォースメント40のリアクロスアッパ34に対する接合強度のバラツキを小さくすることができる。その結果、リアクロスアッパ34の変形においてバラツキを小さくことができる。
(本実施形態の変形例)
本実施形態では、図2に示されるように、リアクロスアッパ34及びリアクロスロア36の断面形状については、それぞれ略逆U字状、略U字状を成している例について説明したが、リアクロスアッパ34とリアクロスロア36との間で閉断面部38(図4参照)が形成されれば良いため、この形状に限るものではない。
また、本実施形態では、図3及び図4に示されるように、スタビリインフォースメント40は側面視(車両前方側から見た状態)で略クランク状を成し、締結部57、縦壁部58、延出部60及び接合片64を含んで構成されているが、この形状に限るものではない。また、延出部60及び接合片64については必ずしも必要ではない。
さらに、本実施形態では、スタビブラケット44、リアクロスアッパ34、スタビリインフォースメント40及びリアクロスロア36が互いに締結されるようになっている。しかし、スタビリインフォースメント40は、スタビブラケット44及びリアクロスアッパ34に共締めされればよいため、必ずしもリアクロスロア36との締結は必要ではない。
また、本実施形態では、延出部60は、締結部57に対して角度θが約10度となるように設定されているが、この角度は0度以上90度以下であればよい。このため、角度θが0度又は90度であっても差し支えない。角度θが0度の場合は、締結部57と延出部60との間には稜線が形成されないことになる。このため、スタビリインフォースメント40の強度及び剛性を考慮すると、当該角度は0度よりも大きい方がよい。
一方、角度θが90度の場合、延出部60の先端部に設けられた接合片62は、リアクロスロア36側に接合される。つまり、本実施形態では、延出部60の先端部に設けられた接合片62は、リアクロスアッパ34の外壁部34Bに接合されるようになっている(接合部37)が、リアクロスロア36の外壁部36Bや下壁部36A側に接合されてもよい。そして、角度θが90度の場合、縦壁部58に対して略平行な縦壁部がさらに形成されることになり、締結部57の剛性はさらに向上する。
さらに、本実施形態では、リアクロスアッパ34は、ボデーマウント20の周壁部20Aの周方向(横接合部74)及び軸方向(縦接合部72)に沿って接合されるようになっている。しかし、必ずしも接合部はボデーマウント20の周壁部20Aの周方向又は軸方向に沿わせる必要はない。
さらにまた、本実施形態では、スタビライザ支持構造10として、フロントサスペンションメンバ12側に適用された例について説明したが、リアサスペンションメンバ(図示省略)側に適用されても良いのは勿論のことである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 スタビライザ支持構造
12 サスペンションメンバ
16 リアクロスメンバ(サスペンションメンバ)
16A クロスメンバ部
16B サイドレール部
17 交叉部
20 ボデーマウント
34 リアクロスアッパ(サスペンションメンバアッパ)
34A 上壁部
34B 外壁部
36 リアクロスロア(サスペンションメンバロア)
36A 下壁部
36B 外壁部
38 閉断面部
40 スタビリインフォースメント(補強部材)
42 スタビライザ
44 スタビブラケット(ブラケット)
46 スタビ取付部(第1締結部)
48 締結孔(第1締結孔)
57 締結部(第2締結部)
57A 締結孔(第2締結孔)
58 縦壁部
60 延出部
62 接合片(延出部の先端部)
64 接合片
72 縦接合部
74 横接合部
75 接合部
θ 角度

Claims (4)

  1. 車両前後方向に沿って配置されるサイドレール部と車両幅方向に沿って配置されるクロスメンバ部とが一体に形成されたサスペンションメンバの車両上下方向の上部を構成し、前記サイドレール部と前記クロスメンバ部との交叉部に車両幅方向を長手方向として配置される棒状のスタビライザを支持するブラケットが締結される第1締結部が設けられたサスペンションメンバアッパと、
    前記サスペンションメンバの車両上下方向の下部を構成し前記サスペンションメンバアッパとで閉断面部を形成するサスペンションメンバロアと、
    前記交叉部の前記閉断面部内において、前記サスペンションメンバアッパ及び前記サスペンションメンバロアの双方に接合されると共に両者を車両上下方向に架け渡し、かつ前記第1締結部を介して前記ブラケットと共締めされた補強部材と、
    を有するスタビライザ支持構造。
  2. 前記第1締結部には、車両前後方向に沿って一対となるように第1締結孔が形成され、
    前記補強部材には、前記第1締結部と共に前記ブラケットと共締めされる第2締結部に前記第1締結孔と対応して車両前後方向に沿って一対となるように第2締結孔が形成されると共に、前記第2締結部よりも前記サスペンションメンバの車両幅方向の内側に、前記交叉部の前記閉断面部内の車両上下方向、かつ車両前後方向に沿うように縦壁部が形成されている請求項1に記載のスタビライザ支持構造。
  3. 前記補強部材は、前記第2締結部から前記サスペンションメンバの車両幅方向の外側へ向かって延出され、先端部が前記サスペンションメンバアッパの上壁部の外縁部から垂下された外壁部又は前記サスペンションメンバロアの下壁部の外縁部から立ち上がる外壁部に接合された延出部をさらに含んで構成されている請求項2に記載のスタビライザ支持構造。
  4. 前記サスペンションメンバを車両骨格側に取付けるためのボデーマウントと前記サスペンションメンバアッパとの接合が、水平方向に沿って接合される横接合部と、車両上下方向に沿って接合される縦接合部と、を含んで構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のスタビライザ支持構造。
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