JP2017050811A - アンテナ装置、icタグ及びicタグ付き物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】交信の安定性に優れるアンテナ装置を提供すること。【解決手段】アンテナ装置100は、可撓性を有する板状の積層体50と、積層体50に巻回されているコイル状のアンテナ20と、を備える。積層体50は、複数の磁性体で構成される磁性層10と、磁性層10を挟むようにして一対の第1樹脂フィルム11,13と、磁性層10と一対の第1樹脂フィルム11,13の間に一対の第1粘着層15a,15bと、一対の第1樹脂フィルム11,13の少なくとも一方の上に、第2粘着層16を介して第2樹脂フィルム12を有する。【選択図】図1
Description
本開示は、アンテナ装置、及びこれを用いたICタグに関する。
無線通信を行うアンテナ装置として、磁性体アンテナを用いたものが知られている。磁性体アンテナは、磁気結合による通信を行うものであり、通常、磁性体コアとコイル導体とを備えている。磁性体アンテナは、通常の共振型のアンテナに比べて、通信距離が短い傾向にある。そこで、特許文献1では、板状の磁性体に導体を巻き付けてアンテナ装置を構成し、通信距離を長くすることが提案されている。
一方、特許文献2では、ICタグを物品に取り付けて、製造管理及びメンテナンス管理等を行うことが提案されている。このようなICタグとして、ICとアンテナとを配設した電子部品が用いられている。
新たな情報を取得したり、取得した情報を一層有効に活用したりするために、種々の分野で安定的に通信を行うことが可能なアンテナ装置が求められている。しかしながら、リジットな磁性体を備えるアンテナ装置の場合、アンテナ装置に衝撃又は外力が加わった場合に、破損してしまうことも懸念される。例えば、磁性体が割れると、磁性体内を通過する磁束が割れ目の影響を受けるため、磁性体の透磁率が変動する。このため、共振する周波数が変化し、交信ができなくなってしまうことが懸念される。また、アンテナ装置に搭載される電子部品とアンテナとの電気的な接続が切れてしまうことも想定される。
そこで、本発明は、一つの側面において、交信の安定性に優れるアンテナ装置を提供することを目的とする。また、そのようなアンテナ装置を備えるICタグ及びICタグ付き物品を提供することを目的とする。
本発明は、一つの側面において、可撓性を有する板状の積層体と、積層体に巻回されているコイル状のアンテナと、を備えるアンテナ装置であって、積層体は、複数の磁性体で構成される磁性層と、磁性層を挟むようにして一対の第1樹脂フィルムと、磁性層と一対の第1樹脂フィルムの間に一対の第1粘着層と、一対の第1樹脂フィルムの少なくとも一方の上に、第2粘着層を介して第2樹脂フィルムを有するアンテナ装置を提供する。
上記アンテナ装置は、板状の積層体が可撓性を有することから、変形して使用することができる。また、外力又は衝撃によって磁性層が破損して共振周波数が変化してしまうことを抑制できる。さらに、第1粘着層を介して第1樹脂フィルム、及び第2粘着層を介して第2樹脂フィルムを備える。このため、外力又は衝撃によってアンテナの電気的な接続が切れてしまうこと抑制できる。また、複数の磁性体によって積層体に表面に凹凸が生じること、及びアンテナ装置が変形したときに複数の磁性体のエッジが突出することを抑制できる。このため、様々な使用環境下において、交信の安定性に優れる。
幾つかの実施形態では、上記磁性体は、フェライト焼結体からなるものであってもよい。フェライト焼結体からなる磁性体で構成される磁性層は、透磁率の実数部(μ’)を大きくするとともに、透磁率の虚数部(μ”)を小さくすることができる。これによって、アンテナの感度を十分に高くすることできる。その結果、交信距離を長くすることができる。
上記アンテナ装置は、幾つかの実施形態において、第1樹脂フィルム上に設けられている第2樹脂フィルムの表面上に、アンテナと電気的に接続される電子部品を備える。このようなアンテナ装置に外力が加わって変形したり衝撃が加わったりしても、第1粘着層、第1樹脂フィルム、第2粘着層及び第2樹脂フィルムの積層構造による緩衝作用によって、電子部品が破損したり、断線したりすることを抑制できる。
上記アンテナ装置は、幾つかの実施形態において、第2樹脂フィルムの表面上に、電子部品を被覆する樹脂を備える。このような樹脂を備えることによって、アンテナ装置に衝撃が加わっても、電子部品の破損及び断線を十分に抑制することができる。
上記アンテナ装置は、幾つかの実施形態において、第2樹脂フィルムの表面上において、電子部品又は電子部品を被覆する樹脂及びアンテナを覆う保護層を備える。保護層を備えることによって、アンテナ装置に外力が加わって変形したり衝撃が加わったりしても、アンテナ及び電子部品の破損及び断線を十分に抑制することができる。
上記アンテナ装置は、幾つかの実施形態において、第1樹脂フィルムと第2粘着層との間に、粘着層と樹脂フィルムとを有する少なくとも一つの積層フィルムをさらに備えていてもよい。これによって、複数の磁性体によって積層体に表面に凹凸が生じること、及びアンテナ装置が変形したときに複数の磁性体のエッジが突出することを一層抑制できる。このため、交信の安定性に一層優れる。通信周波数は13.56MHzであってもよい。
本発明は、別の側面において、上述のアンテナ装置を備えるICタグを提供する。このICタグは、上述のアンテナ装置を備えることから、外力又は衝撃が加わる環境下で使用されても交信の安定性に優れる。したがって、様々な物品に取り付けて用いることができる。例えば、ICタグに外力又は衝撃が加わる用途、及び、ICタグを変形させて取り付けることが必要な用途に特に有用である。
本発明は、さらに別の側面において、物品と当該物品に取り付けられるICタグとを備えるICタグ付き物品であって、ICタグは、上述のアンテナ装置を備えるICタグ付き物品を提供する。このICタグ付き物品は、外力又は衝撃が加わる環境下で使用されても交信の安定性に優れるアンテナ装置を備える。したがって、例えば、メンテナンス管理、製造管理、及び在庫管理等、ICタグを活用した各種管理データの信頼性を十分に高くすることができる。
幾つかの実施形態では、ICタグは、アンテナ装置の積層体を湾曲させた状態で物品に取り付けられる。上記アンテナ装置は、高い外力が加わって変形したり衝撃が加わったりしても、交信の安定性に優れる。このため、アンテナ装置の積層体を湾曲させた状態でICタグを取り付けることが必要な物品であっても、各種管理データの信頼性を十分に高くすることができる。
本発明は、一つの側面において、無線通信の安定性に優れるアンテナ装置を提供することができる。本発明は、別の側面において、そのようなアンテナ装置を備えるICタグ及びICタグ付き物品を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態を説明する。ただし、以下の幾つかの実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、一実施形態であるアンテナ装置100の一部を拡大して示す図である。アンテナ装置100は、板状である積層体50を備える。積層体50は、直方体の外形を呈する磁性層10と、これを挟むようにして一対の第1粘着層15a,15bと、磁性層10及び一対の第1粘着層15a,15bを挟むようにして、一対の第1樹脂フィルム11,13とを備える。積層体50は、さらに、第1樹脂フィルム11の第1粘着層15a側とは反対側に、第2粘着層16を介して第2樹脂フィルム12を備える。第1粘着層15a,15bは、磁性層10と第1樹脂フィルム11,13とを接着する機能を有する。第2粘着層16は、第1樹脂フィルム11と第2樹脂フィルム12とを接着する機能を有する。
アンテナ装置100は、積層体50に巻回されるコイル状のアンテナ20を備える。アンテナ装置100は、第2樹脂フィルム12の表面12aの上に、導体パターン31,35と電子部品40を備える。なお、電子部品40を備えることは必須ではなく、アンテナ装置100をICタグとして利用する際に電子部品40を接続してもよい。
電子部品40は、一対のボンディングワイヤ32を介して導体パターン31,35と電気的に接続されている。すなわち、電子部品40は、導体パターン31,35とボンディングワイヤ32を介して、アンテナ20と電気的に接続されている。
積層体50は、磁性層10と、導体パターン31,35及び電子部品40との間に、第1粘着層15a、第1樹脂フィルム11、第2粘着層16、及び第2樹脂フィルム12を介在させている。したがって、導体パターン31,35、電子部品40、及びアンテナ20の間の断線及び破損を十分に抑制することができる。
積層体50は、第1樹脂フィルム13、第1粘着層15b、磁性層10、第1粘着層15a、第1樹脂フィルム11、第2粘着層16及び第2樹脂フィルム12がこの順で積層された積層構造を有する。積層体50は、例えば0.1〜15mmの厚みを有する。
積層体50は、複数の磁性体10a,10b,10c,10d,10eで構成される磁性層10を備えることから、可撓性を有する。なお、図1には、紙面の都合上、磁性体10a,10b,10c,10d,10eが示されているが、磁性層10は、これらの磁性体以外にも同様の形状又は異なる形状を有する磁性体を有していてもよい。
磁性体10a,10b,10c,10d,10eは、クラック17によって分割されている。すなわち、磁性層10は、積層体50の積層方向とは垂直方向に並ぶように分割されている複数の磁性体によって構成される。なお、図1には、アンテナ装置100の一方の端部側しか示されていないが、他方の端部側の積層体50も同様の構造を有する。
積層体50は可撓性を有する。このため、積層体50は、U字状に湾曲したり、捩じれたりして、変形することができる。積層体50が変形しても、磁性体10a,10b,10c,10d,10eは、一対の第1樹脂フィルム11,13の間に保持される。したがって、積層体50が変形しても、導体パターン30,33又はボンディングワイヤ32が断線したり、アンテナ20又は電子部品40が破損したりしない限り、交信(無線通信)をすることができる。
磁性層10は、板状であり、例えば0.02〜10mmの厚みを有する。反磁界を低減することで高い透磁率を得る観点から、互いに隣り合う磁性体同士は接触していることが好ましい。磁性体10a,10b,10c,10d,10eの形状は特に限定されず、直方体又は立方体のような規則性を有する形状であってもよいし、不規則な形状であってもよい。
磁性体10a,10b,10c,10d,10eとしては、例えばフェライト焼結体が挙げられる。フェライト焼結体としては、例えばNi−Zn系フェライトが挙げられる。フェライト焼結体の組成の一例としては、それぞれの金属元素を酸化物に換算して、Fe2O3を45〜50mol%、NiOを10〜25mol%、ZnOを15〜36mol%、CuOを2〜14mol%、CoOを0.1〜3.5mol%含むものが挙げられる。このような組成を有するフェライト焼結体を用いれば、アンテナ20のインダクタンスを大きくするとともに、損失を小さくすることができる。これによって、アンテナ装置100の交信距離を十分に長くすることができる。
磁性層10は、フェライト焼結体のみから構成されるものであってもよい。これによって、アンテナ装置100の交信距離を一層長くすることができる。
第1樹脂フィルム11,13としては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、及びポリテトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。これらのうち、ポリイミドフィルムを用いれば、耐熱性を向上することができる。一対の第1樹脂フィルム11,13の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1樹脂フィルム11,13は、例えば0.01〜1mmの厚みを有する。第1樹脂フィルム11,13の厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1樹脂フィルム11,13の引張り強度及び伸びは、それぞれ、5MPa以上及び2%以下であってもよい。引張り強度及び伸びは、JIS Z 0237に準拠して測定される。
第1樹脂フィルム11,13は、複数の磁性体から構成される磁性層10の形状を保持する機能を有する。アンテナ装置100に外力が加えられて変形しても、第1樹脂フィルム11,13によって、複数の磁性体の位置関係が変わることを抑制することができる。このため、アンテナ装置100が変形しても、その機能が維持される。
第2樹脂フィルム12としては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、及びポリテトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。これらのうち、ポリイミドフィルムを用いれば、耐熱性を向上することができる。第2樹脂フィルム12の材質は、第1樹脂フィルム11,13の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2樹脂フィルム12は、例えば0.01〜1mmの厚みを有する。第2樹脂フィルム12の厚みは、第1樹脂フィルム11,13の厚みと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
JIS Z 0237に準拠して測定される、第2樹脂フィルム12の引張り強度と伸びは、第1樹脂フィルム11,13と同等であってもよい。例えば、引張り強度は5MPa以上であり、伸びは2%以下であってもよい。
磁性層10と第1樹脂フィルム11,13との間に設けられる第1粘着層15a,15bは、粘着性を有する層であり、複数の磁性体10a,10b,10c,10d,10eと、第1樹脂フィルム11,13とを接着する機能を有する。また、第1粘着層15a,15bは、第1樹脂フィルム11,13とともに、複数の磁性体から構成される磁性層10の形状を保持する機能を有する。また、第1樹脂フィルム11,13と磁性体との間隔が変わること、及び複数の磁性体の位置関係が変わることを抑制する機能を有する。
複数の磁性体は、第1粘着層15a,15bによって固定されている。これによって、隣接する磁性体同士は互いに接している状態で保持される。したがって、磁性層10内を通過する磁束の障壁が低減され、アンテナ装置100の通信距離を一層長くすることができる。
第1粘着層15a,15bは、粘着性を有する樹脂組成物から構成される。このように、第1粘着層15a,15bには、種々の材質のものを用いることができる。第1粘着層15a,15bを構成する粘着剤としては、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、及びウレタン系粘着剤等が挙げられる。第1粘着層15a,15bの材質は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アンテナ装置100の通信の安定性を一層向上させる観点から、第1粘着層15a,15bは高い粘着力を有することが好ましい。第1粘着層15a,15bの粘着力は、例えば、3N/25mmを超えていてもよく、5〜15N/25mmであってもよい。なお、この粘着力は、磁性層10と第1粘着層15a,15bとの間の粘着力であり、第1粘着層15a,15b側を、180°の方向に沿って300mm/minの引き剥がし速度にて引き剥がすことによって測定できる。なお、上記以外の条件に関しては、JIS Z0237:2009に準拠して測定することができる。
第1粘着層15a,15bは、例えば0.01〜0.5mmの厚みを有する。第1粘着層15a,15bの厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2粘着層16は、第1粘着層15a,15bと同様に、粘着性を有する樹脂組成物から構成される。第2粘着層16には、種々の材質のものを用いることができる。第2粘着層16を構成する粘着剤としては、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、及びウレタン系粘着剤等が挙げられる。第2粘着層16の材質は、第1粘着層15a,15bの材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アンテナ装置100の通信の安定性を一層向上させる観点から、第2粘着層16は高い粘着力を有することが好ましい。第2粘着層16の粘着力は、例えば、3N/25mmを超えていてもよく、5〜10N/25mmであってもよい。なお、この粘着力は、第1樹脂フィルム11と第2粘着層16との間の粘着力であり、第2粘着層16側を、180°の方向に沿って300mm/minの引き剥がし速度にて引き剥がすことによって測定できる。なお、上記以外の条件に関しては、JIS Z0237:2009に準拠して測定することができる。
第2粘着層16は、例えば0.01〜0.5mmの厚みを有する。第2粘着層16の厚みは、第1粘着層15a,15bの厚みと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
コイル状のアンテナ20は、銅線などの導体で構成される。例えば、エナメル線等の絶縁被覆がされた導体であることが好ましい。アンテナ20は、板状の積層体50の短手方向にループを形成するように、積層体50に巻回されている。このようにアンテナ20を短手方向にループを形成するように巻き付けることによって、通信距離を一層長くすることができる。ただし、用途等によっては、長手方向にループを形成するように巻き付けられていてもよい。アンテナ20の巻き数は、図1の巻き数に限定されず、例えば10〜20回程度であってもよい。
アンテナ20は、通信相手となるリーダライタ等の親機に搭載されるアンテナが発生する磁束と磁気的に結合し、交信を行うことが可能なように構成される。
第2樹脂フィルム12の表面12a上には、積層体50の一端側に電子部品40と、電子部品40とアンテナ20とを電気的に接続するための導体パターン31,35が形成されている。導体パターン31と導体パターン35とは、積層体50の短手方向に対向するように設けられている。導体パターン31及び導体パターン35は、積層体50の長手方向に沿って延在している。導体パターン31は、積層体50の一端側から他端側にまで延在している。導体パターン35は、導体パターン31よりも短く、積層体50の一端側から中央部付近にまで延在している。
導体パターン31,35の一端側の端子31a,35aには、一対のボンディングワイヤ32によって電子部品40が接続されている。導体パターン35の他端側の端子35bには、ハンダによって、アンテナ20の一端が接続されている。電子部品40と端子35aの接続、及びアンテナ20と端子35bの接続は、ボンディングワイヤ、及びハンダに限定されず、溶着などの別の方法で接続されてもよい。これ以降に説明する接続も同様である。
導体パターン31,35には、導体パターン31,35の一端側において対向するように形成された端子31a,35aに隣接するように、端子31c,35cが対向して形成されている。端子31c,35cは、対向方向には接続されておらず、空き端子となっている。アンテナ装置110に空き端子を設けることによって、アンテナ装置110を例えばICタグとして物品に取り付ける際、又は取り付けた後に、コンデンサ等の電子部品を設置することができる。コンデンサを設置できるようにしておけば、アンテナ装置110の共振周波数を所望の値に容易に調節することができる。
電子部品40は、例えばICチップである。電子部品40は、ICチップに限定されず、例えばコンデンサ又は整合回路であってもよい。
アンテナ装置100は、第2樹脂フィルム12の表面12aの上に、導体パターン31,35と電子部品40を備える。電子部品40は、表面12aの上において、アンテナ20に接続された導体パターン31,35とボンディングワイヤ32によって接続されている。このように、電子部品40は、第2樹脂フィルム12の上に設置されている。これによって、アンテナ装置100に外力又は衝撃が加えられたときに、ボンディングワイヤ32が切断したり、アンテナ20と導体パターン30,33との接続が切れたりすることを抑制することができる。これは、第1粘着層15a及び第2粘着層16によって接着される第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12が、衝撃及び歪を緩衝する作用を有するためである。
積層体50は、複数の磁性体10a,10b,10c,10d,10eで構成される磁性層10と、粘着層を介して磁性層10を挟むように設けられる第1樹脂フィルム11,13及び第2樹脂フィルム12を備える。このような構成を有する積層体50は、可撓性を有するため、外力が加わっても破損することを十分に抑制することができる。また、積層体50が変形した場合、複数の磁性体10a,10b,10c,10d,10eのエッジが突出することを十分に抑制することができる。このため、アンテナ装置100は、外力又は衝撃が加えられる環境下においても、その機能を高い信頼性で維持することができる。したがって、アンテナ装置100は交信の安定性に優れる。
図2は、アンテナ装置100の上面図である。アンテナ20は、積層体50の中央付近から他端までの部分に巻回されている。アンテナ20の他端は、積層体50の他端側において、積層体50の長手方向に沿って延在する導体パターン30の他端側の端子31dとハンダで接続されている。このように、電子部品40とアンテナ20は、導体を介して電気的に接続され、回路を形成している。
本実施形態では、積層体50の一方面側のみに2つの樹脂フィルムが積層されているが、これに限定されない。すなわち、積層体50の他方面側にも、2つ又はそれ以上の樹脂フィルムが積層されてもよい。また、複数の樹脂フィルムの間には、粘着層を設けてもよい。
図3は、別の実施形態であるアンテナ装置110の上面図である。アンテナ装置110は、アンテナ装置100と同様の構造を有する積層体50を備える。第2樹脂フィルム12の表面12a上には、積層体50の一端側に電子部品40と、電子部品40とアンテナ20とを電気的に接続するための導体パターン30,33が形成されている。導体パターン30と導体パターン33とは、積層体50の短手方向に対向するように設けられている。導体パターン30及び導体パターン33は、積層体50の長手方向に沿って延在している。導体パターン30は、積層体50の一端側から他端側にまで延在している。導体パターン33は、導体パターン30よりも短く、積層体50の一端側から中央部付近にまで延在している。
導体パターン30,33の一端側の端子30a,33aには、一対のボンディングワイヤ32によって電子部品40が接続されている。導体パターン33の他端側の端子33bには、ハンダによって、アンテナ20の一端が接続されている。導体パターン30,33は空き端子を有していない点で、アンテナ装置100における導体パターン31,35と異なっている。アンテナ装置110の導体パターン30,33以外の構成は、アンテナ装置100と同様である。
図4は、さらに別の実施形態であるアンテナ装置120の一部を拡大して示す図である。アンテナ装置120は、アンテナ装置100における積層体50の主面50aの上に保護層70を有する積層体52を備える。すなわち、積層体52は、第1樹脂フィルム13、第1粘着層15b、磁性層10、第1粘着層15a、第1樹脂フィルム11、第2粘着層16、第2樹脂フィルム12及び保護層70がこの順で積層された積層構造を有する。積層体52は、例えば0.2〜20mmの厚みを有する。アンテナ装置120では、導体パターン30,33及び電子部品40,42は、積層体52の中に埋設されている。また、アンテナ20の一部は、積層体50の一方の主面50a上において、積層体52の中に埋設されている。
保護層70は、導体パターン30,33、電子部品40及びアンテナ20を保護するとともに、導体パターン30,33の表面を絶縁する機能を有する。保護層70の材質に特に制限はなく、例えば、シリコーン樹脂、又はアクリル樹脂等で構成される樹脂層であってよい。保護層70は、第1樹脂フィルム11,13よりも高い柔軟性を有することが好ましい。これによって、アンテナ装置120を、大きな外力が加わるような用途に用いても、導体パターン31,35、電子部品40及びアンテナ20の断線及び破損を十分に抑制することができる。これによって、交信の安定性を十分に高く維持することができる。
上述の観点から、保護層70は、第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12よりも、高い伸びを有することが好ましい。保護層70の伸びは、例えば50〜500%であってもよい。一方、第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12の伸びは、例えば2%以下であってもよい。これによって、通信の安定性を十分に高く維持することができる。伸びは、JIS Z 0237に準拠して測定される。保護層70は、互いに異なる樹脂を含む複数の層が積層されて構成されていてもよい。
本実施形態のアンテナ装置120は、図1及び図2に示すアンテナ装置100に保護層70を設けているが、これに限定されない。例えば、図3に示すアンテナ装置110の積層体50の一方の主面50a上に保護層70を設けたものであってもよい。このとき、保護層70は、第1樹脂フィルム11,13及び第2樹脂フィルム12よりも、高い伸びを有することが好ましい。
図5は、さらに別の実施形態であるアンテナ装置130の一端側の縦断面を示す断面図である。アンテナ装置130は、アンテナ装置100における積層体50の一方の主面50a上に、電子部品40を覆う樹脂80を備える。樹脂80以外の構成は、アンテナ装置100と同様である。電子部品40を樹脂80で覆うことによって、埃、及び塵等による影響を低減して、電子部品40の長寿命化を図ることができる。樹脂80としては、ウレタン樹脂が挙げられる。電子部品40は、第2樹脂フィルム12の上に設けられていることから、樹脂80によって、電子部品40を覆う工程を容易に行うことができる。
本実施形態のアンテナ装置130は、図1及び図2に示すアンテナ装置100の電子部品40を覆うように樹脂80を設けているが、これに限定されない。例えば、図1に示すアンテナ装置100の電子部品40、又は、図2及び図4に示す電子部品40,42を覆うように設けてもよい。この場合、図4のアンテナ装置120の電子部品40,42を樹脂80で覆った後に、当該樹脂80を覆うように保護層70を設けてもよい。また、第1樹脂フィルム11と第2粘着層16との間に、第1樹脂フィルム11側から、粘着層と樹脂フィルムとを備える積層フィルムをさらに設けてもよい。積層フィルムは複数設けてもよく、この場合、樹脂フィルムと粘着層とが交互に配置されるように設けられる。
次に、上述のアンテナ装置の製造方法の一例を以下に説明する。まず、所定の組成を有するNi−Zn系フェライトの仮焼粉を調製する。仮焼粉に溶剤、可塑剤、樹脂成分等を配合して、スラリーを調製する。スラリーは、例えば、Ni−Zn系フェライトの仮焼粉1000質量部に対し、ポリビニルアルコール樹脂を70〜120質量部、可塑剤としてブチルフタル酸ブチルを15〜50質量部、溶剤を400〜1000質量部の割合で配合して調製される。溶剤としては、グリコールエーテル系、MEK、トルエン、メタノール、エタノール、n−ブタノール等を用いることができる。
次に、調製したスラリーを樹脂製のフィルムに塗布する。塗布方法は特に限定されるものではなく、ロールコータ、又はドクターブレードを用いることができる。フィルム上にスラリーを所望の厚みで塗布した後、80〜130℃で10〜60分間乾燥させて、板状のフェライトグリーンシートを得ることができる。得られたフェライトグリーンシートからフィルムを除去し、フェライトグリーンシートを例えば900〜1100℃で焼成する。これによって、板状のフェライト焼結体が得られる。
得られたフェライト焼結体の上下面に、樹脂フィルム付きの粘着テープを貼り付ける。粘着テープとしては、例えば樹脂フィルムの一方面に、アクリル系又はシリコーン系等の粘着層が形成されたものが挙げられる。これによって、樹脂フィルム/粘着層/フェライト焼結体/粘着層/樹脂フィルムの積層体が得られる。この積層体を、例えばゴムローラーを用いて積層方向に押圧することによって、フェライト焼結体を個片化する。これによって、一対の第1樹脂フィルム11,13間に個片化されたフェライト焼結体からなる磁性層10が形成される。
フェライト焼結体は、一対の第1粘着層15a,15bを介して、一対の第1樹脂フィルム11,13間に保持されている。このため、フェライト焼結体を個片化した後も、フェライト焼結体は、第1樹脂フィルム11,13間に保持される。フェライト焼結体には、個片化を容易にするために、予め切れ込み又は溝等が設けられていてもよい。なお、フェライト焼結体を個片化して複数の磁性体とすることに代えて、第1樹脂フィルム13及び第1粘着層15bの上に、複数のフェライト焼結体をタイル状に敷き詰めて複数の磁性体としてもよい。複数のフェライト焼結体をタイル状に敷き詰めた後、第1粘着層15aと第1粘着層15bとが対向するように、複数のフェライト焼結体の上に第1粘着層15a及び第1樹脂フィルム13を設けてもよい。これによって、樹脂フィルム/粘着層/フェライト焼結体/粘着層/樹脂フィルムの積層体が得られる。
次に、第1樹脂フィルム11の上に樹脂フィルム付きの粘着テープを貼り付ける。これによって、樹脂フィルム/粘着層/フェライト焼結体/粘着層/樹脂フィルム/粘着層/樹脂フィルムの積層体が得られる。
樹脂フィルム付きの粘着テープに代えて、樹脂フィルムと粘着剤として機能する樹脂組成物を用いてもよい。樹脂組成物としては、ポリウレタン系樹脂及び硬化剤を含むもの等が挙げられる。このような樹脂組成物を硬化させて粘着層を形成してもよい。
第2樹脂フィルム12の表面12a上には、めっき、エッチング、蒸着又は印刷法等によって導体パターン31,35を形成する。表面12a上には、ICチップなどの電子部品40を設置し、電子部品40と導体パターン31,35の端子31a,35aとをボンディングワイヤ32によって接続する。また、銅線からなるコイル状のアンテナ20と、導体パターン31,35の端子31d,35bとをハンダで接続する。このようにして、アンテナ装置100を製造することができる。なお、樹脂フィルム付きの粘着テープを用いることに代えて、回路基板(FPC)及び粘着テープを用いて、第2粘着層16、第2樹脂フィルム12及び導体パターン31,35を形成してもよい。すなわち、第2樹脂フィルム12の上に導体パターン31,35が形成された回路基板を、粘着テープを介して第1樹脂フィルム11の上面に貼り付けてもよい。このようにして、アンテナ装置100を製造することができる。
図4に示すアンテナ装置120を製造する場合、上述の製造方法で得られたアンテナ装置100において、電子部品42と端子31c,35cとをハンダで接続する。そして、表面12a上に、導体パターン31,35及び電子部品40を覆うようにして保護層70を設ける。保護層70は、例えば樹脂シートを、粘着テープを介して貼り付けて設けてもよいし、樹脂シートを加熱して表面12aに融着させてもよい。
図5に示すアンテナ装置130を製造する場合、上述の製造方法で得られたアンテナ装置100の一方の表面12a上に、電子部品40を覆う樹脂を設ける。このような被覆樹脂は、ビニル系、アクリル系、又はシリコーン系の樹脂組成物を塗布した後、硬化することによって形成される。
次に、アンテナ装置の通信方法の一例を以下に説明する。
図6は、アンテナ装置100と、アンテナ装置100の通信相手となる親機200との無線通信の一例を示す図である。なお、図6では、アンテナ装置100の積層体50及びアンテナ20以外の構成は省略している。
親機200は、筐体の内部に図6の上下方向にループが形成されるように巻回されたコイル状のアンテナ210を備える。親機200の筐体内には、図示しない基板と、該基板の上に搭載された電子回路及び電源等が設けられている。アンテナ210は、筐体内において、電子回路及び電源等に電気的に接続されている。親機200としては、リーダライタ装置が挙げられる。具体的には、スマートフォン等の携帯端末が挙げられる。
アンテナ210には電流が流れており、磁界が発生している。図6では、アンテナ210のループを下から上に向かって貫通する磁力線が一点鎖線で描かれている。アンテナ装置100は、親機200と磁気結合している。このような状態において、アンテナ装置100を親機200に近づけると、積層体50の内部において、アンテナ装置100のコイル状のアンテナ20を貫通する方向(積層体50の長手方向)の磁束が変化する。これによって、アンテナ20の両端間の起電力Eが変化し、図1,図2に示す電子部品40が作動する。このようにして、アンテナ装置100と親機200とは交信することができる。この場合、アンテナ装置100は受動部品として機能する。
アンテナ20は、短手方向にループを形成するように巻回されていることから、長手方向にループを形成するように巻回される場合よりも、積層体50内の磁気抵抗を高くすることができる。これによって、無線通信の距離を長くすることができる。また、積層体50の位置が図6の位置から左右方向、又は奥行方向に多少ずれても、無線通信をすることができる。
アンテナ装置100を用いた場合の通信方法の一例を上述のとおり説明したが、アンテナ装置110,120,130を用いた場合もアンテナ装置100と同様に通信することができる。
上記各実施形態のアンテナ装置100,110,120,130の電子部品40としては、IC、コンデンサ、整合回路が挙げられる。電子部品40がICを含む場合、アンテナ装置100,110,120,130は、ICタグとして用いることができる。ICタグは、例えば個体識別を行うために用いることができる。
ICタグは、アンテナ装置100,110,120,130のみから構成されていてもよいし、アンテナ装置100,110,120,130と、これを搭載するプリント配線板と、当該プリント配線板に搭載される電子部品から構成されていてもよい。ICタグは、例えば、通信周波数として13.56MHzを用いるパッシブタグである。
図7は、ICタグ付き物品(ICタグ保有体)の一実施形態を示す概略図である。ICタグ付き物品300は、ICタグによって識別対象となる物品(本体部)310と、物品310に取り付けられたICタグ250とを備える。ICタグ250はアンテナ装置100である。
図8は、図7に示すICタグ付き物品300のVIII−VIII線断面図である。図7及び図8に示すように物品310は円柱形状を有する。平板状のアンテナ装置100は、可撓性を有する積層体50を有することから、物品310の円周面に沿うように積層体50を湾曲させた状態で当該円周面上に取り付けられている。したがって、ICタグ250は、例えば接着剤等によって物品310の円周面に密着させることができる。IC200とリーダライタ等とは、無線通信によってICタグ付き物品300を識別し、例えばメンテナンス管理、製造管理、及び在庫管理等を行うことができる。ICタグ付き物品300は、ICタグ250によって識別管理される物品である。
ICタグ付き物品300は、交信の安定性に優れるアンテナ装置100からなるICタグ250を備えることから、外力又は衝撃が加わる環境下で使用されても、安定的に識別管理される。
図9は、ICタグ付き物品の別の実施形態を示す概略図である。ICタグ付き物品400は、ICタグ250によって識別対象となる物品(本体部)410と、物品410に取り付けられたICタグ250とを備える。ICタグ250はアンテナ装置100を備える。物品410は略円環形状を有する。ICタグ250を構成する平板状のアンテナ装置100は、可撓性を有する積層体を有することから、物品410の円周面に沿うように積層体50を湾曲させた状態で当該円周面上に取り付けることができる。ICタグ250は、例えば接着剤等によって物品410の円周面に密着させることができる。
ICタグ付き物品400としては、例えば、装身具が挙げられる。物品410としては、装身具本体が挙げられる。すなわち、装身具は、装身具本体と装身具本体の表面に取り付けられたICタグ250とを備える。ICタグ250(アンテナ装置100)は、装身具本体の表面ではなく、装身具本体の内部に埋め込まれていてもよい。この場合、アンテナ装置100とリーダライタとの交信を可能にするため、アンテナ装置100は、樹脂等の非金属製のもので覆われていてもよい。ICタグ250(アンテナ装置100)は、装身具の装飾として用いてもよい。装身具としては、例えば、腕輪及び指輪等が挙げられる。
ICタグ付き物品400は、交信の安定性に優れるアンテナ装置100からなるICタグ250を備えることから、外力又は衝撃が加わる環境下で使用されても、安定的に識別管理される。なお、アンテナ装置100の代わりに、アンテナ装置110,120又は130を用いてもよい。
ICタグ付き物品は、上述の実施形態に限定されるものではない。ICタグ付き物品は、装身具に限られず、例えば、ゴルフクラブ、バット、竹刀、杖、テニスラケット、又は釣竿等であってもよい。上述の各実施形態のアンテナ装置は、可撓性を有する積層体を備えることから、湾曲させた状態で物品(被着体)に取り付けることができる。物品(本体部)における湾曲面に、いずれかのアンテナ装置を備えるICタグを取り付けることによって、物品を識別し、各種管理又はデータの交信を行うことができる。そして、各実施形態のアンテナ装置は通信の安定性に優れることから、使用時に外力又は衝撃が加わる物品のICタグとして特に好適に用いることができる。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化銅及び酸化コバルトを秤量して、これらと水とを配合し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った。得られた混合スラリーを、濾別して乾燥し、原料混合粉末を得た。原料混合粉末を730℃で3時間焼成して仮焼物を得た。この仮焼物をボールミルで粉砕し、Ni−Zn−Cu−Co系フェライト粉末を得た。
酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化銅及び酸化コバルトを秤量して、これらと水とを配合し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った。得られた混合スラリーを、濾別して乾燥し、原料混合粉末を得た。原料混合粉末を730℃で3時間焼成して仮焼物を得た。この仮焼物をボールミルで粉砕し、Ni−Zn−Cu−Co系フェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末100質量部に対して、結合材料としてポリビニルブチラールを8質量部、可塑剤としてフタル酸ベンジル−n−ブチルを3質量部、溶剤として3メチル−3メトキシ−1ブタノールを50質量部配合し、混合してスラリーを調製した。このスラリーをドクターブレード式コーターによって、PETフィルム上に塗布して塗膜を形成した。塗膜を乾燥して厚さ400μmの平板状のグリーンシートを得た。
グリーンシートの表面に、刃先がV字型である刃型を用いて深さ100μmの溝を2mm間隔で格子状に形成した。その後、グリーンシートを400℃で脱脂した後に、1010℃で2時間焼結して、平板状のNi−Zn−Cu−Co系フェライト焼結体を得た。フェライト焼結体の組成は、各金属元素を酸化物に換算して、Fe2O3:48.2mol%、NiO:25.0mol%、ZnO:16.1mol%、CuO:10.4mol%、CoO:0.3mol%であった。
得られた厚さ0.2mmのフェライト焼結体の一対の主面のそれぞれに市販のテープ(株式会社寺岡製作所製、カプトン(登録商標)テープ 650S #50)を貼り付けた。このテープは、厚さ約0.05mmのポリイミドフィルムの一方面に耐熱性シリコーン粘着剤が塗布されたものである。フェライト焼結体に外力を加えて溝に沿って破断し、フェライト焼結体を個片化した。このようにして、第1樹脂フィルム13/第1粘着層15b/磁性層10/第1粘着層15a/第1樹脂フィルム11からなる積層シートを作製した。
得られた積層シートを、幅5mm×長さ20mmのサイズに切り出してアンテナ装置用の積層体を得た。
導体パターンが形成された市販の回路基板(ポリイミドベースのFPC)に、電子部品(無線タグ用IC、NXP SEMICONCUCTOR社製、商品名:I CODE−SLI)と、チップコンデンサを取り付けた。アンテナ接続後の共振周波数が13.56MHz付近となるように、チップコンデンサの静電容量を選択した。
積層体の一方の第1樹脂フィルム11上に、電子部品(ICチップ)とチップコンデンサを取り付けた回路基板を、日東電工株式会社製の両面接着テープ(商品名:No5919ML)を介して貼り付けて、回路基板を第2樹脂フィルム12、及び両面接着テープを第2粘着層16とする、図1に示す積層体50を得た。得られた積層体の厚みは460μmであった。
積層体50に直径50μmの導線を巻き付けて、アンテナ20とした。アンテナ20の巻き数は20回とした。アンテナ20の両端を、導体パターン31,35の端子31d,35bにそれぞれ接続した。このようにして図1及び図2に示すような構造を有するアンテナ装置を得た。なお、このアンテナ装置は、図2に示すように電子部品40,42(ICチップ,コンデンサ)を有していた。
タカヤ株式会社製のショートレンジリーダライタ(装置名:TR3−D002A)を用いて、作製したアンテナ装置の評価試験を以下の手順で行った。
(貼付試験)
直径30mmのポリプロピレン製の円筒の表面にアンテナ装置を貼り付けて、13.56MHzにおける交信の可否を評価した。アンテナ装置はコイルの軸方向と円筒の軸方向が一致するように貼り付けた。10個のアンテナ装置について同様の試験を行い、下記式によってアンテナ作動率を求めた。結果を表1に示す。
アンテナ作動率=交信できた数(個)/10(個)
直径30mmのポリプロピレン製の円筒の表面にアンテナ装置を貼り付けて、13.56MHzにおける交信の可否を評価した。アンテナ装置はコイルの軸方向と円筒の軸方向が一致するように貼り付けた。10個のアンテナ装置について同様の試験を行い、下記式によってアンテナ作動率を求めた。結果を表1に示す。
アンテナ作動率=交信できた数(個)/10(個)
(プレス試験)
アンテナ装置をPETフィルムに貼り付けて、ロールプレス機の一対のSUS製ロールの間を通過させた。ロールプレス機の線圧は10kgf/cmとした。アンテナ装置の電子部品が配置された側からロール間に進入させ、コイルの軸方向と進行方向とを一致させながらロールプレス機を通過させた。通過後のアンテナ装置について、13.56MHzにおける交信の可否を評価した。10個のアンテナ装置について同様の試験を行い、上記貼付試験と同じ式によってアンテナ作動率を求めた。評価結果を表1に示す。
アンテナ装置をPETフィルムに貼り付けて、ロールプレス機の一対のSUS製ロールの間を通過させた。ロールプレス機の線圧は10kgf/cmとした。アンテナ装置の電子部品が配置された側からロール間に進入させ、コイルの軸方向と進行方向とを一致させながらロールプレス機を通過させた。通過後のアンテナ装置について、13.56MHzにおける交信の可否を評価した。10個のアンテナ装置について同様の試験を行い、上記貼付試験と同じ式によってアンテナ作動率を求めた。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にしてアンテナ装置を作製した。アンテナ装置の回路基板の電子部品を取り付けた面(図1の表面12a)に、厚さ100μmのシリコーンゴムシート(クレハエラストマー社製)を、粘着剤を介して貼り付けた。JIS Z 0237に準拠して測定されるシリコーンゴムシートの伸びは100%であった。このようにして保護層を備えたアンテナ装置を得た。
実施例1と同様にしてアンテナ装置を作製した。アンテナ装置の回路基板の電子部品を取り付けた面(図1の表面12a)に、厚さ100μmのシリコーンゴムシート(クレハエラストマー社製)を、粘着剤を介して貼り付けた。JIS Z 0237に準拠して測定されるシリコーンゴムシートの伸びは100%であった。このようにして保護層を備えたアンテナ装置を得た。
実施例1と同様にして、作成したアンテナ装置の評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にしてフェライト焼結体を作製した。フェライト焼結体の一方の主面に、実施例1で用いた回路基板を日東電工株式会社製の両面接着テープ(商品名:No5919ML)を介して貼り付けた。フェライト焼結体の他方の主面には、市販のテープ(株式会社寺岡製作所製、カプトン(登録商標)テープ 650S #50)を貼り付けた。貼り付け後、フェライト焼結体に外力を加えて溝に沿って破断し、フェライト焼結体を個片化した。
実施例1と同様にしてフェライト焼結体を作製した。フェライト焼結体の一方の主面に、実施例1で用いた回路基板を日東電工株式会社製の両面接着テープ(商品名:No5919ML)を介して貼り付けた。フェライト焼結体の他方の主面には、市販のテープ(株式会社寺岡製作所製、カプトン(登録商標)テープ 650S #50)を貼り付けた。貼り付け後、フェライト焼結体に外力を加えて溝に沿って破断し、フェライト焼結体を個片化した。
このようにして、第1樹脂フィルム13/第1粘着層15b/磁性層10/第1粘着層15a/第1樹脂フィルム11からなる積層シートを得た。得られた積層シートを幅5mm×長さ20mmに切り出してアンテナ用積層体を得た。積層体550の厚みは380μmであった。
積層体550に直径50μmの導線を巻き付けてアンテナ20とした。アンテナ20の巻き数は20回とした。この積層体の一方の表面に、電子部品(無線タグ用IC、NXP SEMICONCUCTOR社製、商品名:I CODE−SLI)と、チップコンデンサを取り付けた。アンテナコイル接続後の共振周波数が13.56MHz付近となるように、チップコンデンサの静電容量を選択した。このようにして、図10に示すようなアンテナ装置500を得た。
実施例1と同様にして、作成したアンテナ装置の評価試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示すとおり、実施例1,2のアンテナ装置は、貼付試験及びプレス試験の両方において、高いアンテナ作動率を示した。このことから、通信の安定性に優れることが確認された。一方、磁性層10の電子部品40,42が設けられる面側に、樹脂フィルムを一つのみ有する比較例1のアンテナ装置のアンテナ作動率は、実施例1,2よりも大幅に低かった。これは、比較例1では、各試験において、電子部品の破損が生じたためである。
本開示によれば、交信の安定性に優れるアンテナ装置を提供することができる。また、そのようなアンテナ装置を備えるICタグ及びICタグ付き物品を提供することができる。
10…磁性層、10a,10b,10c,10d,10e…磁性体、11,13…第1樹脂フィルム、12a…表面、12…第2樹脂フィルム、15a,15b…第1粘着層、16…第2粘着層、17…クラック、20,210…アンテナ、30,31,33,35…導体パターン、32…ボンディングワイヤ、40,42…電子部品、50,52,550…積層体、50a…主面、70…保護層、80…樹脂、100,110,120,130,500…アンテナ装置、200…親機、250…ICタグ、300,400…ICタグ付き物品、310,410…物品。
Claims (10)
- 可撓性を有する板状の積層体と、前記積層体に巻回されているコイル状のアンテナと、を備えるアンテナ装置であって、
前記積層体は、
複数の磁性体で構成される磁性層と、
前記磁性層を挟むようにして一対の第1樹脂フィルムと、
前記磁性層と前記一対の第1樹脂フィルムの間に一対の第1粘着層と、
前記一対の第1樹脂フィルムの少なくとも一方の上に、第2粘着層を介して第2樹脂フィルムを有するアンテナ装置。 - 前記磁性体はフェライト焼結体からなる、請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記第2樹脂フィルムの表面上に、前記アンテナと電気的に接続される電子部品を備える、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
- 前記第2樹脂フィルムの表面上に、前記電子部品を被覆する樹脂を備える、請求項3に記載のアンテナ装置。
- 前記第2樹脂フィルムの前記表面上において、前記電子部品又は前記電子部品を被覆する樹脂及び前記アンテナを覆う保護層を備える、請求項3又は4に記載のアンテナ装置。
- 前記第1樹脂フィルムと前記第2粘着層との間に、粘着層と樹脂フィルムとを有する少なくとも一つの積層フィルムをさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
- 通信周波数が13.56MHzである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のアンテナ装置を備えるICタグ。
- 物品と当該物品に取り付けられるICタグとを備えるICタグ付き物品であって、
前記ICタグは、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアンテナ装置を備えるICタグ付き物品。 - 前記ICタグは、前記アンテナ装置の前記積層体を湾曲させた状態で、前記物品に取り付けられている、請求項9に記載のICタグ付き物品。
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