JP5003653B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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本発明は、RF−ID、即ちICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を行う無線通信媒体処理装置、あるいは無線通信媒体そのものに用いられるアンテナ装置であり、電磁誘導方式、マイクロ波方式での通信性を向上させると共に、薄くて低コストのアンテナ装置に関するものである。
従来、RF−ID、即ち非接触型ICカードやICタグにおいて、例えば図4で示すようにループアンテナ101に外部装置であるリーダ・ライター(以下、R/Wと記す)からの磁束を通過させて、ループアンテナ101に電流を発生させ、ループアンテナ101に発生する電流を変調させることで、R/Wとアンテナ装置100との間で通信をおこなっていた(例えば特許文献1参照)。
特開2005−210213号公報
しかし、アンテナ装置を小型にする場合には、アンテナをチップ化する必要があり、アンテナをチップ化するときには、磁性シート上にコイルを巻装してチップアンテナを構成している。そして、チップアンテナの下部に、送受信する信号のレベルを上げるために背面金属板を設置する必要がある。しかしながら、携帯電話等の小型の通信装置に設置する際には、チップアンテナを組み込む携帯電話等の形状あるいは回路配置に応じて、様々にチップアンテナの形状を変化させなければならず、同時に下部に設置する金属板の形状も設置するチップアンテナの形状に合わせて、変える必要があった。この結果、チップアンテナが少量多品種になってしまい、チップアンテナの低コスト化が困難であった。
本発明は、上記の問題に鑑み、電磁誘導方式やマイクロ波方式を用いて通信を行う小型のアンテナ装置において、どのような形状の通信装置においても同一形状でしかも小型のアンテナ装置を提供し、さらに、低コストのアンテナ装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明は、電池を収容し金属面を備える電池パックと、前記金属面上に配置された少なくとも2つの磁性体と、前記少なくとも2つの磁性体それぞれに巻装された少なくとも2つのコイルと、を備え、前記少なくとも2つのコイルは、前記金属面の端部に配置され、前記少なくとも2つのコイルの開口部は前記電池パックの中心を間にしてお互いに対向し、前記金属面に生じる渦電流を得ることにより前記電池パック上の少なくとも2つのコイルを利用して通信を行うようにしたものである。
本発明によれば、携帯電話等の通信装置に必ず備えられている電池パックの上にアンテナ装置を配置することから、どのような携帯電話においても同一形状でしかも小型で低コストのアンテナ装置を提供することができる(電池パックの形状は規格で統一化されている)。また、携帯電話の電池パックの表面に複数のアンテナ装置を配置することにより、電池パック表面に発生する渦電流を効率よくピックアップすることができ、アンテナ装置の通信特性を非常に容易に改善することができる。
さらには、携帯電話の電池パックの表面を銅箔で覆うことにより、効率よく電池パック表面に渦電流を発生させることができることから、アンテナ装置の通信特性を改善する効果が得られる。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、電池を収容し金属面を備える電池パックと、前記金属面上に配置された少なくとも2つの磁性体と、前記少なくとも2つの磁性体それぞれに巻装された少なくとも2つのコイルと、を備え、前記少なくとも2つのコイルは、前記金属面の端部に配置され、前記少なくとも2つのコイルの開口部は前記電池パックの中心を間にしてお互いに対向し、前記金属面に生じる渦電流を得ることにより前記電池パック上の少なくとも2つのコイルを利用して通信を行うものである。
また、本発明の請求項に記載の発明によれば、前記電池パックの表面上を銅箔で覆うようにしたものである。これにより、電池パックの表面を銅箔で覆うことにより、効率よく電池パック表面に渦電流を発生させることができることから、アンテナ装置の通信特性を改善する効果が得られる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
まず、本発明のアンテナ装置1の構成、形状について説明する。図1は、本発明の実施例におけるアンテナ装置1の構成図である。
図1に表されたアンテナ装置1は、磁性体2の上にコイル3がスパイラル状に巻かれているアンテナ素子が2つ形成されており、これら2つのアンテナ素子は電気的に接続され、全体としてアンテナ部4を形成している。
アンテナ部4の背面には携帯電話の電池パック6があり、通信端末に必要な電源を供給する電池を収容する。5はアンテナ部4を接続する導線である。
電池パック6の上に発生する渦電流を効率よくピックアップできる位置にアンテナ素子が配置されている。本実施例では、電池パック6の端部にアンテナ部4を形成しているが、渦電流は金属体の中央部よりも端部のほうが強く発生するためである。
このアンテナ装置1のアンテナ部4の両端子にはチップコンデンサー7があり、アンテナ装置1の共振周波数を所定の周波数(13.56MHz)に合わせこんでいる。この値は規格で定められた値であり、上記値の近傍値を共振周波数としなければならない。
さらに、各部について詳しく説明する。
まず、磁性体2とコイル3からなるアンテナ部4について説明する。
アンテナ部4は、図1に示されているように磁性体2上にコイル3をスパイラル状に巻きつけることで形成される。スパイラルの構造としては、その形状は円形または略矩形または多角形のいずれであってもよい。スパイラル構造とすることで、R/Wからの磁束10を十分に得ることができて、誘導電力の発生と相互インダクタンスによる無線通信媒体と無線通信媒体処理装置との通信を可能とするものである。また、アンテナ部4は2つ以上のアンテナ素子を組合わせたものであってもよく、アンテナ素子が増えれば携帯電話の電池パック6の上に生じる渦電流をピックアップし易くなり、アンテナ装置1の通信特性が向上する。
さらに、アンテナの材質としては、金、銀、銅、アルミ、ニッケル等の導電性の金属製線材、金属製板材、金属製箔材、または金属製筒材等から適宜選択することができ、金属線、金属箔、導電性ペースト、めっき転写、スパッタ、蒸着、もしくは、スクリーン印刷により形成してもよい。
次に、磁性体2について説明する。
磁性材は、フェライトやパーマロイ、センダスト、珪素合板等の金属材料で構成される。
磁性材としては、軟磁性フェライトが好ましく、フェライト粉体を乾式プレス成形し、焼成することにより焼成体、高密度のフェライト焼成体とすることができ、軟磁性フェライトの密度が3.5g/cm3以上であることが好ましい。さらに軟磁性フェライトの磁性体2の大きさが、結晶粒界以上であることが好ましい。また磁性体2は、3×3×10mm程度の大きさで成形される棒状または層状のものである。
軟磁性フェライトとしては、Ni−ZnO3、ZnO、NiO、CuO、または、Fe23、ZnO、MnO、CuOからなっていてもよい。さらにアモルファス合金、パーマロイ、電磁鋼、珪素鉄、Fe−Al合金、センダスト合金のいずれかの磁性体2の単層であってもよく、フェライト、アモルファス箔、パーマロイ、電磁鋼、センダストの積層体であってもよく、また、様々な磁性体2を組み合わせた積層体であってもよい。磁性材を積層する際には、樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂、合成ゴム、両面テープ、粘着層、またはフィルムの少なくとも1つの手段により、磁性材が接着され積層構造となる。
さらに本発明の磁性体2は、フェライト、アモルファス合金、パーマロイ、電磁鋼、珪素鉄、Fe−Al合金、センダスト合金の単体、または積層体を樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂、合成ゴム、両面テープ、粘着層、またはフィルムの少なくとも1つの手段によりコーティングをおこなったものでもよい。
本発明の磁性体2は、単層、多層構造、または固片からなり、樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂、合成ゴム、両面テープ、粘着層、またはフィルムの少なくとも1つの手段によりコーティングを行うことで、柔軟性が高くて耐久性に優れる上、表面抵抗が高く、表面にアンテナ印刷やめっきなどによる回路形成を行うことが容易である。
本実施例における磁性体2は、Ni−Zn系フェライトまたは、Mn−Zn系フェライト材を800℃〜1000℃で焼成したものである。
さらに、磁性体2の形状としては、略三角柱、略四角柱、略円柱、略球等の形状で構成されていてもよい。
次に、導線5について説明する。
導線5は、図2に示されているようにアンテナ素子とをつないでおり、材料としては導電性があるものであればよく、導線5の材質としては、金、銀、銅、アルミ、ニッケル等の導電性の金属製線材、金属製板材、金属製箔材、または金属製筒材等から適宜選択することができ、金属線、金属箔、導電性ペースト、めっき転写、スパッタ、蒸着、もしくは、スクリーン印刷により形成してもよい。
次に、電池パック6について説明する。
電池パック6は、図2に示されているようにアンテナ装置1の背面にくるように設置され、携帯電話において電池パック6を設置する位置および電池パック6の大きさはほぼ固定されている。このことから、電池パック6の上に発生する渦電流をピックアップして通信を行う本発明によるアンテナ装置1では、どのような携帯電話においても同一形状のアンテナ装置1を作製することができる。
また、さらにアンテナ装置1の性能を向上させたい時には、電池パック6の表面に導電性のよい銅箔等を貼り付けてもよい。
次に、チップコンデンサー7について説明する。
チップコンデンサー7は、図2に示されているようにループアンテナ2の終端に実装されており、チップコンデンサー7の静電容量値を変えることでアンテナ装置1の共振周波数の共振点を変化させることができる。チップコンデンサー7は通常1005サイズのものが用いられ、周囲環境により共振周波数が変動する可能性があるため、環境温度に対する静電容量値の変化が少ないものが選択される。
上記内容の構成によりアンテナ装置1は形成される。
また、アンテナ装置1を携帯電話等の小型端末に搭載する際には、アンテナ部4が形成されたアンテナ装置1に両面テープ、接着剤、粘着層、または樹脂等を塗布することで携帯端末の必要な箇所に貼り付ける。
図2は、アンテナ装置1と周辺回路を接続した状態を示す図である。同一番号を付したものは図1で説明した構成と同じものを示す。図2において、8は整流回路であり、9はメインチップである。整流回路8はアンテナ装置1とメインチップ1とのインピーダンスの整合を得るためのものであり、メインチップ9は送受信信号を処理するものである。
従来のアンテナ装置では、R/Wから発せられる磁束をアンテナ装置のコイルにて捕捉し、コイル上に電流を生じさせることで通信をおこなっていた。
一方、本発明のアンテナ装置1においては、図3に示されるようにR/Wから発せられる磁束10(図3[1]参照)を携帯電話等の通信装置内に備えられている電池パック6で磁束10を受ける。この結果、電池パック6の表面に反磁界が発生し、これにより渦電流11が生じる(図3[2]参照)、この渦電流11を本発明のアンテナ装置1にてピックアップすることにより通信を行う(図3[3]参照)。これを可能にしたのは、電池パック6を上記説明したように金属で構成したためである。
携帯電話の電池パック6は、ほぼ大きさおよび形状が規格で定められており、固定されていることから、本発明のアンテナ装置1の形状も一定にすることができる。この結果、少量多品種のアンテナ装置1を製造する必要がなくなることから、アンテナ装置1を低コストにすることができる。
また、磁性体2にコイル3を巻くだけの構造でアンテナ装置1になる為、小型で安価なアンテナ装置1を提供することが可能となる。
さらにアンテナ装置1の性能を上げたい場合は、電池パック6上のアンテナ素子を増やしたり、電池パック6の表面を銅箔で覆うことで可能であるので、容易にアンテナ装置1の性能を向上させることができる。
本発明のアンテナ装置は、商品棚などに収納される非接触ICカードやICタグなどの無線通信媒体に電力と送信データを供給し、無線通信媒体から受信データを負荷変動により取得する無線通信媒体処理装置であって、特に自動で商品管理、書籍管理等が可能となる収納棚、展示棚以外の医薬品管理、危険物管理、貴重品管理システム等々などの、通信範囲を拡大させることが必要な用途にも適用できる。
本発明の実施例におけるアンテナ装置の構成図 本発明の実施例におけるアンテナ装置と周辺回路を示す図 本発明の実施例におけるアンテナ装置の動作原理図 従来の技術におけるアンテナ装置の上面図
符号の説明
1 アンテナ装置
2 磁性体
3 コイル
4 アンテナ部
5 導線
6 電池パック
7 チップコンデンサー
8 整合回路
9 メインチップ
100 アンテナ装置
101 ループアンテナ

Claims (2)

  1. 電池を収容し金属面を備える電池パックと、前記金属面上に配置された少なくとも2つの磁性体と、前記少なくとも2つの磁性体それぞれに巻装された少なくとも2つのコイルと、を備え、
    前記少なくとも2つのコイルは、前記金属面の端部に配置され、前記少なくとも2つのコイルの開口部は前記電池パックの中心を間にしてお互いに対向し、
    前記金属面に生じる渦電流を得ることにより前記電池パック上の少なくとも2つのコイルを利用して通信を行うことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記電池パックの表面上を銅箔で覆うことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
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