JP2017050303A - 導電性ナノセルロース集合体の製造方法 - Google Patents

導電性ナノセルロース集合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンの還元処理の効率が高い導電性ナノセルロース集合体の製造方法を提供する。【解決手段】ナノセルロースとカチオン性高分子電解質と酸化グラフェンとを水中で混合して混合液を得る混合液調製工程と、上記混合液から水を除去しつつ、酸化グラフェンが吸着したナノセルロースの集合体を形成するナノセルロース集合体形成工程と、形成したナノセルロース集合体に水以外の極性溶媒を通過させて溶媒処理を行う溶媒処理工程と、溶媒処理したナノセルロース集合体を乾燥する乾燥工程と、乾燥したナノセルロース集合体に光照射を行いナノセルロースに吸着された酸化グラフェンを還元する光還元工程と、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ナノセルロース集合体の製造方法に関する。
近年、蓄電デバイス等の電極材料として、従来の活性炭電極やカーボンナノチューブ電極に替わり、還元型酸化グラフェン電極に大きな注目が集まっている(特許文献1、2、非特許文献1〜4参照)。還元型酸化グラフェンは、安価なグラファイトを酸処理・剥離して得られる酸化グラフェンを還元処理することで調製される。
還元型酸化グラフェンを蓄電デバイスの電極材料に使用する場合には、還元型酸化グラフェンを紙(セルロースの集合体)に担持させることにより、取り扱いやすく可撓性のある電極を実現できる。電極を薄くし、蓄電デバイス体積あたりの電気容量を向上させるためには、還元型酸化グラフェンをナノセルロースに担持した複合ナノペーパーが有利である(非特許文献1)。
紙に担持された酸化グラフェンの還元処理は、還元剤等の有毒物質を使用する必要が無く、短時間で還元処理が終了することから、光照射(パルス光照射)により行うのが有利である。
しかし、ナノペーパーは、水の乾燥時にナノセルロース間の間隙が詰まりやすく、比表面積が低下するので、ナノセルロースに担持された酸化グラフェンの還元処理の効率が、低下するという問題がある。
特表2013−543640号公報 特表2014−505002号公報
Kezheng Gao, et al., J. Mater. Chem. A, 2013, 1, 63-67 Yan-Ru Kang, et al., Nanoscale, 2012, 4, 3248-3253 Zhe Weng, et al., Adv. Energy Mater. 2011, 1, 917-922 Meryl D. Stoller, et al., Nano Lett., Vol. 8, No. 10, 2008, 3498-3502
本発明の目的は、ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンの還元処理の効率が高い導電性ナノセルロース集合体の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、導電性ナノセルロース集合体の製造方法であって、ナノセルロースとカチオン性高分子電解質と酸化グラフェンとを水中で混合して混合液を得る混合液調製工程と、前記混合液から水を除去しつつ、酸化グラフェンが吸着したナノセルロースの集合体を形成するナノセルロース集合体形成工程と、前記形成したナノセルロース集合体に水以外の極性溶媒を接触させて溶媒処理を行う溶媒処理工程と、前記溶媒処理したナノセルロース集合体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥したナノセルロース集合体に光照射を行い前記ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンを還元する光還元工程と、を備えることを特徴とする。
上記極性溶媒は、炭素原子数4以下のアルコールまたは炭素原子数2〜4のケトンであるのが好適である。
また、上記炭素原子数4以下のアルコールはエタノールであるのが好適である。
また、炭素原子数2〜4のケトンがアセトンであるのが好適である。
また、上記カチオン性高分子電解質はポリエチレンイミンであるのが好適である。
上記光照射をパルス光を用いて行うのが好適である。
本発明によれば、ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンを高い効率で還元することができる。
実施形態にかかる酸化グラフェンを吸着したナノセルロースの拡大模式図である。 実施形態にかかるナノセルロース集合体形成工程及び溶媒処理工程に使用することができる吸引濾過装置の例を示す図である。 パルス光の定義を説明するための図である。 実施例及び比較例にかかる導電性ナノペーパーについて、エタノールの添加量に対する導電率及び電気容量の測定結果を示す図である。 実施例及び比較例にかかる導電性ナノペーパーについて、合計光照射時間に対する導電率及び電気容量の測定結果を示す図である。 実施例及び比較例にかかる導電性ナノペーパーについて、極性溶媒の種類に対する導電率及び電気容量の測定結果を示す図である。 実施例にかかる導電性ナノペーパーを使用した電気二重層キャパシタについて電気容量と電流密度の関係の測定結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
実施形態にかかる導電性ナノセルロース集合体の製造方法は、ナノセルロースとカチオン性高分子電解質と酸化グラフェンとを水中で混合して混合液を得る混合液調製工程と、混合液から水を除去しつつ、酸化グラフェンが吸着したナノセルロースの集合体を形成するナノセルロース集合体形成工程と、形成したナノセルロース集合体に水以外の極性溶媒を接触させて溶媒処理を行う溶媒処理工程と、溶媒処理したナノセルロース集合体を乾燥する乾燥工程と、乾燥したナノセルロース集合体に光照射を行い、ナノセルロースの表面に吸着された酸化グラフェンを還元する光還元工程と、を備えることを特徴とする。
上記酸化グラフェンは、ハマーズ法(Hummer’s method)等の公知の方法で、グラファイト(例えば天然黒鉛の粉など)を酸で処理して酸化することにより製造できる。黒鉛が酸化されると静電反発により剥離し、酸化グラフェンがシート状に剥離し、分散された状態で得られる。
上記ナノセルロースは、植物の繊維を直径3〜100nmまで微細化した極細繊維である。ナノセルロースは、従来公知の方法、例えば高圧ホモジナイザー等により木材その他の植物由来の原料を粉砕したり、上記原料を2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルにより酸化処理(例えばThe Royal Society of Chemistry 2011、Nanoscale, 2011, 3, 71-85参照)した後、超音波処理等により軽微に機械処理することにより製造できる。
上記カチオン性高分子電解質としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、カチオン性ポリアクリルアミド等が挙げられる。
上記混合液調製工程では、以上に述べたナノセルロースとカチオン性高分子電解質と酸化グラフェンとを、水中、室温でスターラーにより5分以上攪拌し、混合する。これにより、ナノセルロースの表面に、カチオン性高分子電解質との静電相互作用により酸化グラフェンを吸着することができる。
図1には、酸化グラフェンを吸着したナノセルロースの拡大模式図が示される。図1において、ナノセルロース10の表面には、酸化グラフェン(GOと表記)12がカチオン性高分子電解質層14を介して静電的に吸着される。
上記混合液におけるナノセルロースの濃度は、0.01〜2.0質量%が好適であり、0.02〜1.0質量%がより好ましく、0.025〜0.5質量%がさらに好ましい。また、カチオン性高分子電解質の濃度は、0.0001〜0.5質量%が好適であり、0.001〜0.1質量%がより好ましく、0.0015〜0.05質量%がさらに好ましい。さらに、酸化グラフェンの濃度は、0.001〜1.0質量%が好適であり、0.003〜0.5質量%がより好ましく、0.005〜0.1質量%がさらに好ましい。
次に、ナノセルロース集合体形成工程では、混合液調製工程で製造した混合液から水を除去しつつ、酸化グラフェンが吸着したナノセルロースの集合体を形成する。この工程は、例えば紙を抄く手順により構成するのが好適である。
次に、溶媒処理工程では、ナノセルロース集合体形成工程で形成したナノセルロース集合体(例えば紙状の集合体)に水以外の極性溶媒を接触させて溶媒処理を行う。
図2には、上記ナノセルロース集合体形成工程及び溶媒処理工程に使用することができる吸引濾過装置の例が示される。なお、ナノセルロース集合体形成工程及び溶媒処理工程を実施する装置は、図2の例に限定されるものではない。
図2において、液体収容容器16の底部には、0.1〜0.2μmの孔径の孔を多数有するフィルター18が配置されている。また、液体収容容器16の下部には、液体収容容器16に収容された液体を、フィルター18を介して吸引する吸引装置20が接続されている。ナノセルロース集合体形成工程では、混合液調製工程で製造した混合液を液体収容容器16に投入し、吸引装置20で溶媒である水を吸引することにより除去して、フィルター18上にナノセルロース集合体としてのナノペーパーを形成する。吸引の条件は、大気圧より低い圧力で、1〜10分程度の吸引である。ナノペーパーを構成するナノセルロースには、上述したように、その表面に酸化グラフェンが吸着されている。なお、ナノセルロース集合体の形状は、ナノペーパーに限定されない。
上記ナノペーパーの形成後、液体収容容器16に水以外の極性溶媒を投入し、吸引装置20によりフィルター18を介して水以外の極性溶媒を吸引する(溶媒処理工程)。この際の吸引の条件は、大気圧より低い圧力で、1〜10分程度の吸引である。また、極性溶媒の使用量は、ナノセルロースの質量に対して1000〜10000倍の質量とする。このように、極性溶媒をナノセルロース集合体(ナノペーパー)に通過させることによりナノペーパーを溶媒処理する。なお、溶媒処理工程は、1回に限らず、複数回実施してもよい。水より表面張力が小さい溶媒により処理することにより、乾燥中に作用するナノセルロースのファイバー間の引付け力を弱め間隙を詰まりにくくする(ナノセルロースファイバーのパッキングを抑制する)ことができる。このため、光還元工程において、ナノペーパー内部に吸着された酸化グラフェンの受光面積が増加して光還元効果を向上することができる。
上記極性溶媒としては、炭素原子数4以下のアルコールまたは炭素原子数2〜4のケトンを好適に使用できる。炭素原子数4以下のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、炭素原子数2〜4のケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられるが、光還元効果向上の面で炭素原子数4以下のアルコールはエタノールが、炭素原子数2〜4のケトンはアセトンがより好適である。
なお、以上に述べたナノセルロース集合体形成工程及び溶媒処理工程では、溶媒である水及び極性溶媒を吸引してフィルター18を通過させているが、これらの工程における水の除去及び溶媒処理を行う方法は、吸引には限定されない。例えば水及び極性溶媒を重力によりフィルター18を通過させてもよい。また、極性溶媒はナノセルロース集合体に接触後濾別ではなく、デカンテーション等によってナノセルロース集合体から分離してもよい。
上記溶媒処理したナノセルロース集合体(ナノペーパー)は、適宜な方法で乾燥する(乾燥工程)。乾燥方法としては限定されないが、例えばホットプレス等による乾燥が好適である。乾燥条件としては圧力0.1〜2.0MPa、温度80〜110℃で10〜60分が好適である。これにより、ナノペーパーに皺を発生させずに乾燥することができる。
乾燥後のナノセルロース集合体には、光照射を行うことによりナノセルロースに吸着された酸化グラフェンを還元する(光還元工程)。この光還元工程により、ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンがグラフェンになり、グラフェンが吸着したナノセルロース集合体、すなわち導電性ナノセルロース集合体を形成できる。
光還元工程で使用する光はパルス光が好適である。本明細書中において「パルス光」とは、光照射期間(照射時間)が数マイクロ秒から数十ミリ秒の短時間の光であり、光照射を複数回繰り返す場合は図3に示すように、第一の光照射期間(on)と第二の光照射期間(on)との間に光が照射されない期間(照射間隔(off))を有する光照射を意味する。図3ではパルス光の光強度が一定であるように示しているが、1回の光照射期間(on)内で光強度が変化してもよい。上記パルス光は、キセノンフラッシュランプ等のフラッシュランプを備える光源から照射される。このような光源を使用して、上記酸化グラフェンが吸着されたナノセルロース集合体(ナノペーパー)にパルス光を照射する。n回繰り返し照射する場合は、図1における1サイクル(on+off)をn回反復する。
また、上記パルス光としては、紫外線から赤外線までの波長の範囲のものを使用でき、具体的には10nm〜1000μmの波長範囲の電磁波を使用することができ、好ましくは200nm〜4000nmの波長範囲の電磁波(近紫外から中赤外まで)、さらに好ましくは250nm〜2000nmの波長範囲の光を使用することができる。なお、酸化グラフェンの還元効率からもこの波長範囲が好適である。
パルス光の1回の照射時間(on)は、光強度にもよるが、100マイクロ秒〜5ミリ秒の範囲が好ましい。100マイクロ秒よりも短いと、酸化グラフェンの還元が進みにくい。また、5ミリ秒よりも長いと酸化グラフェン還元後の凝集が進みやすくなる。より好ましくは500マイクロ秒〜1ミリ秒である。上記理由により、本実施形態では連続光ではなくパルス光を用いる。パルス光の照射は単発で実施しても効果はあるが、上記の通り繰り返し実施することもできる。繰返し実施する場合照射間隔(off)は100ミリ秒〜5秒、より好ましくは500ミリ秒〜2秒の範囲とすることが好ましい。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1
<混合液の調製>
針葉樹溶解サルファイトパルプをスギノマシン社製の湿式微粒化装置(スターバーストHJP−25005E)で処理して得られた幅15〜30nmのナノセルロース50mg、和光純薬工業株式会社製ポリエチレンイミン3mg、株式会社仁科マテリアル製の幅10〜30μm、厚み約1nmの酸化グラフェン10mgを200mLの水に投入し、攪拌・混合して混合液を得た。混合液中のナノセルロース表面には、ポリエチレンイミンを介して酸化グラフェンが吸着される。
<ナノセルロース集合体の形成>
上記混合液を、図2に示す液体収容容器16に投入し、吸引装置20によりフィルター18を介して2分間吸引することにより水を除去し、ナノセルロース集合体であるナノペーパーを形成した。
<溶媒処理>
ナノペーパーの形成後、液体収容容器16にエタノールをナノセルロース質量に対して1600倍量(比重により換算した容量100mL)投入し、6分間吸引装置20によりフィルター18を介してエタノールを吸引することにより、ナノペーパーをエタノールで処理した。
<乾燥>
溶媒処理後のナノペーパーをフィルター18から外し、プレス機(神藤金属工業所社製、圧縮成形機/AYSR−5)によりホットプレスを行って乾燥させた。乾燥条件は、圧力0.28MPa、温度110℃で30分である。乾燥後のナノペーパーの厚さを膜厚測定器(ミツトヨ社製、マイクロメータ/293−230)により測定したところ、20μmであった。
<光還元>
乾燥後の溶媒処理したナノペーパーに、NovaCentrix社製PulseForge(登録商標)3300を使用してパルス光を照射した。パルス光の照射条件は光源の駆動電圧200V、照射時間500μ秒(354mJ/cm)で、ナノペーパーの表裏に各10回ずつ、合計10m秒照射した。この際のパルス光の照射頻度は2Hzとした。
これにより、ナノペーパーを構成するナノセルロースに吸着された酸化グラフェンがグラフェンに還元されてナノペーパーに導電性が発現し、導電性ナノペーパー(導電性ナノセルロース集合体)となる。
比較例1
溶媒処理工程を行わない以外は実施例1と同様にして導電性ナノペーパーを製造した。
実施例1の溶媒処理したナノペーパー及び比較例1の溶媒処理しないナノペーパーについて、乾燥後に自動比表面積/細孔分布測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ社製、NOVA4200eシステム)により比表面積を測定したところ、比較例1のナノペーパーの比表面積が5m/gであったのに対し、実施例1のナノペーパーの比表面積は、100m/gまで増加していた。これは、溶媒処理により、ナノペーパーを構成するナノセルロースのファイバー間の間隙が詰まりにくくなったためと考えられる。
実施例2、3
溶媒処理工程において使用するエタノールの量を50mL(実施例2)、500mL(実施例3)とした以外は実施例1と同様にして導電性ナノペーパーを製造した。
実施例1〜3及び比較例1で製造した導電性ナノペーパーについて、導電率及び電気容量を測定した。導電率は三菱化学アナリテック社製ロレスタ(登録商標)AXにより、電気容量(単位重量当たりの静電容量)は英国ソーラトロン社製電気化学測定システム1255WB−SYSによりそれぞれ測定した。結果を図4に示す。
図4に示されるように、いずれの実施例も比較例に較べて導電率、電気容量ともに向上している。これは、溶媒処理によりナノペーパーの比表面積(空隙)が増大し、受光面積が増加したために、酸化グラフェンの光還元効率が向上したためと考えられる。なお、エタノールの使用量が一定値(図4の場合では100mL)を超えると、受光面積の増加効果が限界に達し、導電率、電気容量の増加がなくなる。このため、図4の例におけるエタノールの使用量としては、100mLが適量である。
実施例4、比較例2
光照射時間を変更し、それ以外の条件を実施例1と同様にして導電性ナノペーパーを製造した。光照射時間は、光源の駆動電圧200V、照射時間500μ秒(354mJ/cm)で、ナノペーパーの表裏に各2回ずつ、合計2m秒照射、各4回ずつ、合計4m秒照射、各6回ずつ、合計6m秒照射、各8回ずつ、合計8m秒照射、各15回ずつ、合計15m秒照射、各20回ずつ、合計20m秒照射とした。また、比較例2は、光照射を行っていない例である。
実施例4及び比較例2で製造した導電性ナノペーパーについて、導電率及び電気容量測定した。結果を図5に示す。なお、図5には、実施例1の結果(各10回ずつ、合計10m秒照射)も示されている。
図5に示されるように、実施例1、4は比較例2に較べて導電率、電気容量ともに向上している。これは、光照射により酸化グラフェンが導電性を有するグラフェンに光還元されたためである。
ただし、得られた導電性ナノペーパーの比表面積を測定したところ光照射時間(上記合計光照射時間)が10m秒を超えると比表面積の減少が認められたことからグラフェンの再凝集が発生し、電気容量が低下することがわかった。
実施例5〜8、比較例3〜6、7
溶媒処理工程に使用する極性溶媒を変更した以外は実施例4と同様にして導電性ナノペーパーを製造した。ただし、合計光照射時間は10m秒を上限とした。極性溶媒としては、t−ブタノール(実施例5)、メタノール(実施例6)、イソプロパノール(実施例7)、アセトン(実施例8)を使用した。
また、比較例3〜6は、上記各極性溶媒を使用し、光照射を行っていない例である。なお、比較例3〜6で使用した極性溶媒は、上記実施例5〜8の順に対応している。
さらに、比較例7は、溶媒として水を使用した場合の例(ナノセルロース集合体形成工程の後に溶媒処理を行わず、合計光照射時間が0、2、4、6、8、10m秒の例)である。
実施例5〜8、比較例3〜6で製造した導電性ナノペーパーについて、導電率及び電気容量を測定した。結果を図6(a)、(b)に示す。なお、図6(a)、(b)には、実施例4及び比較例2の結果(エタノールを使用)も示されている。
図6(a)では、導電率が示され、図6(b)では電気容量が示されている。各実施例の結果は、極性溶媒の種類によって導電性ナノペーパーの導電率及び電気容量に差があるが、比較例3〜7に較べて導電率及び電気容量が向上していることがわかる。
実施例9
実施例1で製造した導電性ナノペーパーを電極に使用し、英国ソーラトロン社製電気化学測定システム1255WB−SYSにより、電気二重層キャパシタ電極としての電気容量と電流密度の関係を測定した。結果を図7に示す。電気二重層キャパシタ電極として十分な性能が得られていることが示唆される。
10 ナノセルロース、12 酸化グラフェン層、14 高分子電解質層、16 液体収容容器、18 フィルター、20 吸引装置。

Claims (6)

  1. ナノセルロースとカチオン性高分子電解質と酸化グラフェンとを水中で混合して混合液を得る混合液調製工程と、
    前記混合液から水を除去しつつ、酸化グラフェンが吸着したナノセルロースの集合体を形成するナノセルロース集合体形成工程と、
    前記形成したナノセルロース集合体に水以外の極性溶媒を接触させて溶媒処理を行う溶媒処理工程と、
    前記溶媒処理したナノセルロース集合体を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥したナノセルロース集合体に光照射を行い前記ナノセルロースに吸着された酸化グラフェンを還元する光還元工程と、
    を備える、導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
  2. 前記極性溶媒が、炭素原子数4以下のアルコールまたは炭素原子数2〜4のケトンである、請求項1に記載の導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
  3. 前記炭素原子数4以下のアルコールがエタノールである、請求項2に記載の導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
  4. 前記炭素原子数2〜4のケトンがアセトンである、請求項2に記載の導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
  5. 前記カチオン性高分子電解質がポリエチレンイミンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
  6. 前記光照射をパルス光を用いて行う、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ナノセルロース集合体の製造方法。
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