JP2014231453A - 多孔質複合カーボン材及びその製造方法 - Google Patents

多孔質複合カーボン材及びその製造方法 Download PDF

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Toru Sumiya
透 角谷
威 下村
Takeshi Shimomura
威 下村
鈴木 雅雄
Masao Suzuki
雅雄 鈴木
雅敏 小野
Masatoshi Ono
雅敏 小野
鈴木 敏重
Toshishige Suzuki
敏重 鈴木
敏郎 横山
Toshiro Yokoyama
敏郎 横山
孝之 石坂
Takayuki Ishizaka
孝之 石坂
花岡 隆昌
Takamasa Hanaoka
隆昌 花岡
水上 富士夫
Fujio Mizukami
富士夫 水上
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Abstract

【課題】グラフェンとカーボンナノチューブとからなり、導電性が高く比表面積が大きい多孔質複合カーボン材、及びその多孔質複合カーボン材を簡便に高収率で製造することが可能な製造方法を提供する。【解決手段】グラフェン10と、カーボンナノチューブにアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブ20と、を備え、アミノ化カーボンナノチューブ20の表面にグラフェン10がπ−π相互作用によって結合している多孔質複合カーボン材1。そして、当該多孔質複合カーボン材1を、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とを混合して混合分散液を得て、混合分散液のpHを酸化グラフェンが負にアミノ化カーボンナノチューブ20が正に帯電するように調整して酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対を形成させ、当該イオン対に還元処理を施して酸化グラフェンをグラフェン10に還元することによって製造する。【選択図】図1

Description

本発明は、グラフェンとカーボンナノチューブとからなる多孔質複合カーボン材及びその製造方法に関する。
グラフェンやカーボンナノチューブは、特異な構造と高い導電性とを有することから、電子材料や触媒担体、蓄電材料として注目されている。グラフェンやカーボンナノチューブは、とりわけ、多孔質の炭素材料と電解液との界面に形成される電気二重層の誘電体特性を利用した蓄電デバイスである電気二重層キャパシタ(EDLC)の素材として有望視されている。
EDLCは、2次電池と比べ、エネルギー密度が低いものの、高出力密度と高耐久性とを有し、加えて電気化学反応を伴わないため、高速の充放電が可能なことや充放電サイクルが長寿命なこと等の優位点を持つ。キャパシタのエネルギー密度を高めるためには、電極の比表面積を大きくすることが必要であり、キャパシタの出力密度を高めるためには、電極の導電性を高めることが必要である。現在のところ、EDLCの電極材料として、主に活性炭が用いられている。
グラフェンは、炭素原子1個分の厚さのシートであり、発達した網目構造を有するため活性炭よりも高い導電性を有し、比表面積も極めて大きい。
化学的手法によるグラフェン製造法としては、天然グラファイト又は人工グラファイトを、硫酸、硝酸、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いたHummer法により酸化した後、水溶液中で剥離して分散させ、これをさらに還元してグラフェンとする手法がよく用いられる。しかしながら、一旦分散したグラフェン(グラフェンシート)は、平面のπ−π相互作用により再び積層してスタッキング構造に戻りやすい。スタッキング構造に戻ると、グラフェン(グラフェンシート)同士の間の積層界面部分が利用できず比表面積が小さくなるため、グラフェン(グラフェンシート)の特性が損なわれる。
カーボンナノチューブは、長い筒状の炭素化合物である。カーボンナノチューブとしては、グラフェン(グラフェンシート)と同様の網目構造を持つ炭素層が1層からなるシングルウォールカーボンナノチューブ(SW−CNT)と、多数の炭素層が積層してなるマルチウォールカーボンナノチューブ(MW−CNT)と、が知られており、いずれも導電性に優れている。
近年、EDLC等への利用を目的として、グラフェンとカーボンナノチューブとを複合させ、両者の相乗効果を引き出す試みがなされている。
グラフェンとカーボンナノチューブとは、グラフェンの分散液とカーボンナノチューブの分散液とを混合すれば、ファンデルワールス力に代表される両者の炭素面のπ−π相互作用による親和力によって互いに結合する。しかしながら、グラフェンの分散液とカーボンナノチューブの分散液とを単純に混合するだけでは、グラフェンとカーボンナノチューブとがπ−π相互作用によって結合するのみならず、グラフェン同士やカーボンナノチューブ同士もπ−π相互作用によって結合して凝集体を形成するため、不均一な組成となってしまう。すなわち、グラフェンとカーボンナノチューブとの複合体の収率が低下してしまう。
そこで、グラフェンとカーボンナノチューブとを選択的に結び付けるために、化学修飾によりグラフェンとカーボンナノチューブとの双方に官能基を導入し、相互のエステル結合やアミド結合などの共有結合によって両者を選択的に結び付けることが提案されている(特許文献1参照)。
また、グラファイトを酸化した後、有機アミンを用いて層間拡張し、フラーレンをインターカラントとして層間に封入する方法(特許文献2参照)を適用して、フラーレンの代わりにカーボンナノチューブを層間に封入すれば、グラフェン同士の間にカーボンナノチューブを導入することができるので、少なくともグラフェン同士の凝集体は形成されない。
特開2011−198750号公報 特開2010−53000号公報
しかしながら、特許文献1の方法の場合、エステル化やアミド化をする必要があるが、エステル化やアミド化は脱水を伴うため、水溶液中で行うのは極めて困難であり、定量的な反応が起こりにくい。また、共有結合の形成には、より厳しい反応条件が必要であるため、グラフェン同士やカーボンナノチューブ同士の反応が生じてしまう場合もある。
また、特許文献2の方法を適用した場合、カーボンナノチューブはフラーレンと異なり長尺なので、グラファイトの層間を有機アミンで拡張しても、当該層間に入り込みにくい。グラファイトの層間に入り込んだカーボンナノチューブがグラフェン間を架橋することでグラフェン間が電気的に導通するが、層間に入り込んだカーボンナノチューブの数が少ないと、導通部分が少なくなるため、導電性が低くなってしまう。
本発明の課題は、グラフェンとカーボンナノチューブとからなり、導電性が高く比表面積が大きい多孔質複合カーボン材、及びその多孔質複合カーボン材を簡便に高収率で製造することが可能な製造方法を提供することである。
請求項1に記載の発明は、多孔質複合カーボン材であって、
グラフェンと、
カーボンナノチューブにアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブと、を備え、
前記アミノ化カーボンナノチューブの表面に、前記グラフェンが、π−π相互作用によって結合していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多孔質複合カーボン材において、
前記グラフェンと、複数の前記アミノ化カーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層と、が交互に積層されてなる構造を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多孔質複合カーボン材において、
前記アミノ化カーボンナノチューブには、前記アミノ基として、炭素数が1以上20以下であるアルキルアミノ基が導入されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法であって、
前記グラフェンの酸化物である酸化グラフェンと、前記アミノ化カーボンナノチューブと、を混合して混合分散液を得る混合工程と、
前記混合分散液のpHを前記酸化グラフェンが負に帯電するとともに前記アミノ化カーボンナノチューブが正に帯電するように調整して、前記酸化グラフェンと前記アミノ化カーボンナノチューブとのイオン対を形成させるpH調整工程と、
前記イオン対に還元処理を施すことによって、前記酸化グラフェンをグラフェンに還元する還元工程と、
を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法において、
前記pH調整工程では、前記混合分散液のpHを4.0以上9.0以下となるように調整することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法において、
前記pH調整工程と前記還元工程との間に、前記イオン対が分散する分散液を平面状に展開して乾燥させることによりキャスト膜を形成するキャスト膜形成工程を行うことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4から6の何れか一項に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法において、
前記還元工程の後に、当該還元工程で得られたグラフェンとアミノ化カーボンナノチューブとの複合体に賦活化処理を施す賦活化工程を行うことを特徴とする。
本発明の多孔質複合カーボン材によれば、アミノ化カーボンナノチューブの表面に、グラフェンが、π−π相互作用によって結合しているので、グラフェン自体やカーボンナノチューブ自体の高い導電性を維持することができ、かつ、グラフェン単体やカーボンナノチューブ単体よりも大きな比表面積を有することができる。
また、本発明の製造方法によれば、混合分散液のpHを酸化グラフェンが負に帯電するとともにアミノ化カーボンナノチューブが正に帯電するように調整するだけの簡便な操作で、グラフェンとカーボンナノチューブとを選択的に結び付けることができるので、簡便に高収率で本発明の多孔質複合カーボン材の製造することができる。
(a)は本発明の多孔質複合カーボン材の構造の一例を模式的に示す図であり、(b)は本発明の多孔質複合カーボン材の構造の他の一例を模式的に示す図である。 (a)は従来の方法で製造した多孔質複合カーボン材のSEM画像であり、(b)は本発明の多孔質複合カーボン材のSEM画像である。 本発明の多孔質複合カーボン材の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。 実施例4−1の多孔質複合カーボン材である膜状グラフェン/MW−CNT(7:3)複合体のSEM画像である。 実施例4−3の多孔質複合カーボン材である膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体のSEM画像である。 実施例4−3の多孔質複合カーボン材である膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体のSEM画像である。 実施例4−3の多孔質複合カーボン材である膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体のSEM画像である。
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
<多孔質複合カーボン材>
多孔質複合カーボン材1は、グラフェン10と、カーボンナノチューブにアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブ20と、を備え、アミノ化カーボンナノチューブ20の表面に、グラフェン10が、π−π相互作用によって結合している。
多孔質複合カーボン材1は、導電性材料として用いることもできるし、多孔性材料として用いることもできるし、導電性及び多孔性材料として用いることもできる。具体的には、多孔質複合カーボン材1は、触媒担体、電極素材、センサー素材等として利用することができる。
図1は、本発明の多孔質複合カーボン材1の構造の一例を模式的に示す図である。
具体的には、図1(a)に示す構造は、グラフェン10と、複数のアミノ化カーボンナノチューブ20からなるカーボンナノチューブ層と、が交互に積層されてなる構造である。図1(a)に示す構造の多孔質複合カーボン材の製造過程で生じる酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対(後述)において、複数のアミノ化カーボンナノチューブ20は互いに一定以上の間隔をあけた状態になっていると考えられる。それは、アミノ化カーボンナノチューブ20同士が静電反発した状態で、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対が形成されるためである。
また、図1(b)に示す構造は、複数のグラフェン10が、アミノ化カーボンナノチューブ20の表面に付着してなる構造である。図1(b)に示す構造の多孔質複合カーボン材の製造過程で生じる酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対(後述)において、複数の酸化グラフェンは互いに一定以上の間隔をあけた状態になっていると考えられる。それは、酸化グラフェン同士が静電反発した状態で、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対が形成されるためである。
なお、図1は、本発明の多孔質複合カーボン材1の構造を限定するものではない。例えば、図1では、便宜上、アミノ化カーボンナノチューブ20を直線状としたが、アミノ化カーボンナノチューブ20の形状は直線状に限られない。また、図1(a)では、便宜上、アミノ化カーボンナノチューブ20を整列させたが、アミノ化カーボンナノチューブ20は整列していなくてもよい。
多孔質複合カーボン材1が、図1(a)の構造をとるか、図1(b)の構造をとるか、図1(a)の構造と図1(b)の構造との双方を含む構造をとるかは、多孔質複合カーボン材1の製造のために用意したグラファイトやカーボンナノチューブのサイズ(あるいは、酸化グラフェンやアミノ化カーボンナノチューブの市販品を使用する場合はその市販品のサイズ)や、多孔質複合カーボン材1の製造過程でグラフェン(酸化グラフェンも含む)やカーボンナノチューブ(アミノ化カーボンナノチューブも含む)が砕けたか否かなどによって決まる。
多孔質複合カーボン材1の構造が、図1(a)の構造であっても、図1(b)の構造であっても、図1(a)の構造と図1(b)の構造との双方を含む構造であっても、当該多孔質複合カーボン材1は、多くの導通部分を有すため、グラフェン自体やカーボンナノチューブ自体の高い導電性を維持することができ、かつ、多くの隙間を有するため、グラフェン単体やカーボンナノチューブ単体よりも大きな比表面積を有することができる。
図2(b)に、図1(a)の構造を有する多孔質複合カーボン材1のSEM画像を示す。図2(b)に示す画像から、平面状のグラフェン10に、複数のアミノ化カーボンナノチューブ20が密着していることが分かる。
図2(a)のSEM画像は、比較のために撮影したSEM画像であって、グラフェンとカーボンナノチューブとをエタノールに入れ、超音波照射して混合することによって得た複合体のSEM画像である。図2(a)に示す画像から、平面状のグラフェンにカーボンナノチューブが載っているが、密着はしていないことが分かる。
また、図7に、図1(b)の構造を有する多孔質複合カーボン材1のSEM画像を示す。図7に示す画像から、アミノ化カーボンナノチューブ20の外表面に、複数のグラフェン10が密着していることが分かる。
<多孔質複合カーボン材の製造方法>
図3は、本発明の多孔質複合カーボン材1の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
本発明の多孔質複合カーボン材1の製造方法は、酸化グラフェン準備工程と、アミノ化カーボンナノチューブ準備工程と、混合工程と、pH調整工程と、還元工程と、を少なくとも有する。
《酸化グラフェン準備工程》
酸化グラフェン準備工程は、酸化グラフェンを準備する工程である。
具体的には、当該工程では、グラファイトを、濃硫酸、硝酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過酸化水素等の酸化剤を用いるHummer法によって酸化した後、水溶液中で剥離して1層及び/又は数層(2〜10層程度)に分散させる。
これにより、酸化グラフェンとして、1層の酸化グラフェンシートからなる単層構造のもの、数層(2〜10層程度)の酸化グラフェンシートが積層されてなる多層構造のもの、あるいはこれらが混合したものを得ることができる。
なお、グラファイトとしては、天然グラファイトを用いてもよいし、人工グラファイトを用いてもよい。
また、酸化グラフェンは、市販品を用いてもよい。
グラファイトは、炭素原子1個分の厚さのシートであるグラフェンシートが多数積み重なってなる。したがって、グラファイトの酸化によって、当該グラファイトを構成する各グラフェンシートが酸化されて酸化グラフェンシートになる。グラファイトの酸化物は酸化過程で膨張し、積層している酸化グラフェンシートが水溶液中で剥離して分散しやすい状態となっている。酸化グラフェンシートには、酸化過程でカルボキシル基やフェノール性水酸基などが導入されているが、これらはpH4〜14の領域でプロトンが解離してカルボキシレートやフェノレートなどの形態の陰イオンとなり、酸化グラフェンシートの剥離と分散が促進される。
なお、酸化グラフェンシートの水溶液中での剥離と分散には、超音波照射が効果的に用いられる。
《アミノ化カーボンナノチューブ準備工程》
アミノ化カーボンナノチューブ準備工程は、アミノ化カーボンナノチューブ20を準備する工程である。
具体的には、当該工程では、カーボンナノチューブを、アルキルアミンと反応させることによってアミノ化する。
これにより、カーボンナノチューブにアルキルアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブ20を得ることができる。
カーボンナノチューブとしては、炭素層が1層からなるもの(SW−CNT)を用いてもよいし、多数の炭素層が積層してなるもの(MW−CNT)を用いてもよいし、これらの混合物を用いてもよい。MW−CNTは、既に工業生産され、実用可能な価格帯に近づいている点で好ましい。SW−CNTは、MW−CNTよりも比表面積が大きい点で好ましい。
酸化グラフェンは高い親水性を有する。したがって、酸化グラフェンになじみやすいアミノ化カーボンナノチューブ20、すなわち疎水性の低いアミノ化カーボンナノチューブ20を得るという観点から、カーボンナノチューブと反応させるアルキルアミン(C2n+1NH)としては、アルキル基の炭素数がn=1〜20のものを好ましく用いることができるが、n=5〜10のものがより好ましい。nが5以上だと、アルキルアミンの沸点が高くなるので、高温での反応に好適に用いることができる。また、nが10以下だと、疎水性が十分に低いアミノ化カーボンナノチューブ20を得ることができるので、親水性の高い酸化グラフェンと効率よくイオン対を形成することができる。
カーボンナノチューブのアミノ化反応は、アルキルアミンの沸点付近で行うことが望ましく、100〜200℃で行うことがより望ましい。カーボンナノチューブのアミノ化反応を加圧容器中で行うことで、アルキルアミンの沸点を超えた反応が可能であるが、高温ではアルキルアミンの熱分解が起こるので、反応温度は200℃以下がより望ましい。
《混合工程》
混合工程は、酸化グラフェン準備工程で準備した酸化グラフェンと、アミノ化カーボンナノチューブ準備工程で準備したアミノ化カーボンナノチューブ20と、を混合して混合分散液を得る工程である。
具体的には、当該工程では、酸化グラフェンの分散水溶液と、アミノ化カーボンナノチューブ20の分散水溶液と、を混合して混合分散液を作製する。
《pH調整工程》
pH調整工程は、混合工程で得た混合分散液のpHを、酸化グラフェンが負に帯電するとともに、アミノ化カーボンナノチューブ20が正に帯電するように調整して、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対を形成させる工程である。
酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とを選択的に結び付けるためには、両者が共存した水溶液(混合分散液)中で、一方が正の電荷を、他方が負の電荷を持つためのpH調整が必要である。
酸化グラフェンが有するカルボキシル基は、一般にpHが4.0以上でプロトンが解離して陰イオンとなる。また、アミノ化カーボンナノチューブ20が有するアルキルアミノ基は、一般にpHが9.0以下の領域でプロトンが付加して陽イオンとなる。
したがって、混合分散液中の酸化グラフェンが有するカルボキシル基が陰イオンとなり、混合分散液中のアミノ化カーボンナノチューブ20が有するアルキルアミノ基が陽イオンとなる状態で、両者を共存させるためには、混合分散液のpHを、4.0〜9.0の範囲となるように調整することが好ましく、5.0〜8.0の範囲となるように調整することがより好ましい。これにより、酸化グラフェンが確実に負に帯電するとともに、アミノ化カーボンナノチューブ20が確実に正に帯電するので、両者は選択的に結び付いて良好にイオン対を形成することができる。
酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20との混合比率は、適宜任意に選択可能であるが、電気二重層キャパシタに利用するための多孔質複合カーボン材を製造する場合には、グラフェンのキャパシタとしての特性を生かすために、重量比(酸化グラフェン:アミノ化カーボンナノチューブ)で1:1〜9:1の範囲が望ましい。
《還元工程》
還元工程は、pH調整工程で形成された酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対に還元処理を施すことによって、酸化グラフェンをグラフェン10に還元する工程である。
具体的には、当該工程では、pH調整後の混合分散液に、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を加え、所定温度(例えば、90℃以上)で加熱することによって、酸化グラフェンをグラフェン10に還元する。
これにより、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を得ることができる。
なお、pH調整工程と還元工程との間に、キャスト膜形成工程を行ってもよい。
キャスト膜形成工程は、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対が分散する分散液を平面状に展開して乾燥させることによってキャスト膜を形成する工程である。これにより、膜状の多孔質複合カーボン材1を得ることができる。
pH調整によって、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とがイオン対を形成するが、両者のイオン対形成に伴い混合分散液の粘度が高くなる。その高粘度の分散水溶液を、プラスチック製の容器(トレー)等に注いで平面状に展開し、所定温度(例えば、50℃)で乾燥させると、キャスト膜を作製することができる。このキャスト膜を作製した後に、還元工程を行うことで、膜状に形成されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を得ることができる。
また、還元工程の後に、賦活化工程を行ってもよい。
賦活化工程は、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体に、賦活化処理を施す工程である。これにより、比表面積のより大きい多孔質複合カーボン材1を得ることができる。
賦活化処理の方法は、適宜任意に選択可能である。具体的には、例えば、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体(膜状に形成されていてもよいし、膜状に形成されていなくてもよい)を乾燥させ、所定濃度(例えば、6〜10M)のKOH水溶液中に一夜浸漬させた後、ろ過して乾燥させる。これをセラミックボートに入れ、管状炉において不活性気体の雰囲気下で焼成する。焼成温度は、例えば700〜900℃の範囲の中から、焼成時間は、例えば30分間〜3時間の範囲の中から選ばれる。あるいは、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体をKOHの紛体とよく混合して、焼成してもよい。
ここで、本発明の多孔質複合カーボン材1は、膜状に形成されていないグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体であってもよいし、膜状に形成されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体であってもよい。
また、本発明の多孔質複合カーボン材1は、賦活化処理が施されていないグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体であってもよいし、賦活化処理が施されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体であってもよい。
<実施例>
以下に、製造例ならびに実施例によって本発明を具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
《製造例1》
酸化グラフェンを作製した。
具体的には、まず、攪拌機を取り付けた3つ口フラスコを氷と水とで冷却し、その3つ口フラスコに10gのグラファイトと5gの硝酸ナトリウムとを入れた。
次いで、攪拌しながら、滴下ロートを用いて240mLの濃硫酸を30分かけて滴下した。
次いで、冷却と攪拌とを続けながら、30gの過マンガン酸カリウムの結晶を少量ずつ2時間かけて加え、その後、室温にて一夜攪拌した。
次いで、再び氷と水とで冷却しながら300mLの水を徐々に加えた。その際、発熱があるため40〜50℃を超えないように注意しながら水を加えた。
次いで、発熱が収まったらオイルバスに移し、98℃で加熱攪拌すると、1時間後に黄色のスラリーが得られ、さらに24時間加熱攪拌すると、茶褐色のスラリーが得られた。
次いで、100mLの30%過酸化水素水を徐々に加え、さらに1000mLの水を加えて静置した。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M硫酸に分散させ、再びろ過した。これを4回続けた。
《製造例2−1》
また、アミノ化カーボンナノチューブ20として、アミノ化MW−CNTを作製した。
具体的には、まず、テフロン(登録商標)内容器とステンレス外套容器とからなるオートクレーブに、800mgのマルチウォールカーボンナノチューブ(MW−CNT)と15gのオクチルアミン(沸点175〜177℃)とを加え、170℃の電気炉中で5時間加熱した。
次いで、室温まで冷却した後、エタノールを加えてろ過した。
次いで、1M塩酸に分散してろ過し、水その後にエタノールで十分に洗浄してから、50℃で乾燥させた。
このようにして得られたアミノ化MW−CNTのN(窒素)含有率は1.38%であった。
《製造例2−2》
また、アミノ化カーボンナノチューブ20として、アミノ化SW−CNTを作製した。
具体的には、まず、テフロン(登録商標)内容器とステンレス外套容器とからなるオートクレーブに、200mgのシングルウォールカーボンナノチューブ(SW-CNT)と4gのオクチルアミン(沸点175〜177℃)とを加え、170℃の電気炉中で5時間加熱した。
次いで、室温まで冷却した後、エタノールを加えてろ過した。
次いで、1M塩酸に分散してろ過し、水その後にエタノールで十分に洗浄してから、50℃で乾燥させた。
このようにして得られたアミノ化MW−CNTのN(窒素)含有率は1.27%であった。
《実施例1−1》
次に、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を9:1として、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン900mgを含む水分散液1000mLをpH10に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、製造例2−1で得られたアミノ化MW−CNT100mgを50mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、10gのヒドラジンを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、グラフェン/MW−CNT(9:1)複合体を得た。
得られたグラフェン/MW−CNT(9:1)複合体の比表面積は312m−1、平均細孔直径は5.5nm、 全細孔容積は0.4cm−1であった。
《実施例1−2》
また、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を8:2として、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン1000mgを含む水分散液1000mLをpH10に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、製造例2−1で得られたアミノ化MW−CNT250mgを50mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、10gのヒドラジンを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、グラフェン/MW−CNT(8:2)複合体を得た。
得られたグラフェン/MW−CNT(8:2)複合体の比表面積は259m−1、平均細孔直径は6.6nm、全細孔容積は0.43cm−1であった。
《実施例1−3》
また、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を6:4として、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン600mgを含む水分散液600mLをpH10付近に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、製造例2−1で得られたアミノ化MW−CNT400mgを50mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、10gのヒドラジンを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、グラフェン/MW−CNT(6:4)複合体を得た。
得られたグラフェン/MW−CNT(6:4)複合体の比表面積は360m−1、平均細孔直径は5.0nm、全細孔容積は0.5cm−1であった。
《実施例2》
また、酸化グラフェンとアミノ化SW−CNTとの混合比率を5:5として、グラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン500mgを含む水分散液500mLをpH10付近に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、製造例2−2で得られたアミノ化SW−CNT500mgを50mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、10gのヒドラジンを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、グラフェン/SW−CNT(5:5)複合体を得た。
得られたグラフェン/SW−CNT(5:5)複合体の比表面積は280m−1、平均細孔直径は4.9nm、全細孔容積は0.35cm−1であった。
《実施例3》
また、賦活化処理が施されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。すなわち、還元工程の後に賦活化工程を行った。
具体的には、まず、実施例1−2で得られたグラフェン/MW−CNT(8:2)複合体1.2gをセラミックボートに移し、粉砕したKOH5.0gを加えて混合した。
次いで、管状炉において、毎分1mLの窒素気流下で、2時間かけて800℃まで加熱した。
次いで、800℃に1時間保ち、その後、室温まで放冷した。
次いで、水で洗浄した後、1M塩酸で洗浄し、さらに水で十分に洗浄することにより、KOHを除去した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、賦活化グラフェン/MW−CNT(8:2)複合体を得た。
得られた賦活化グラフェン/MW−CNT(8:2)複合体の比表面積は482m−1、平均細孔直径は4.5nm、全細孔容積は0.49cm−1であった。この結果と、実施例1−2で得られたグラフェン/MW−CNT(8:2)複合体の比表面積や全細孔容積(前述)と、の比較から、賦活化処理を施すことにより、比表面積、細孔容積ともに増大することが分かった。
《実施例4−1》
また、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を7:3として、膜状に形成されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン700mgを含む水分散液1000mLをpH10に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、実施例2−1で得られたアミノ化MW−CNT300mgを50mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、プラスチックトレーに流し込み、乾燥器中に静置して50℃で乾燥させることにより、シート状の積層構造を持つキャスト膜を得た(キャスト膜形成工程)。
次いで、このキャスト膜に、200mLの水及び10gのヒドラジンを加え、95℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、膜状グラフェン/MW−CNT(7:3)複合体を得た。
得られた膜状グラフェン/MW−CNT(7:3)複合体の比表面積は182m−1、平均細孔直径は8.4nm、全細孔容積は0.38cm−1であった。
また、得られた膜状グラフェン/MW−CNT(7:3)複合体のSEM画像を図4に示す。
《実施例4−2》
また、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を5:5として、膜状に形成されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、製造例1で得られた酸化グラフェンを500mgに、製造例2−1で得られたアミノ化MW−CNTを500mgに変更したことを除いては、実施例4−1と同様の方法で、多孔質複合カーボン材1として、膜状グラフェン/MW−CNT(5:5)複合体を得た。
得られた膜状グラフェン/MW−CNT(5:5)複合体の比表面積は185m−1、平均細孔直径は9.7nm、全細孔容積は0.4cm−1であった。
《実施例4−3》
また、酸化グラフェンとアミノ化MW−CNTとの混合比率を5:1として、膜状に形成されたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体を作製した。
具体的には、まず、製造例1で得られた酸化グラフェン1000mgを含む水分散液500mLをpH9に調整し、超音波処理により分散した。
次いで、実施例2−1で得られたアミノ化MW−CNT200mgを200mLのエタノール中で超音波照射により分散したものを加え、室温で1時間攪拌した(混合工程)。
次いで、1M水酸化カリウム溶液でpHを7近辺に調整し、3時間攪拌した(pH調整工程)。
次いで、プラスチックトレーに流し込み、乾燥器中に静置して50℃で乾燥させることにより、シート状の積層構造を持つキャスト膜を得た(キャスト膜形成工程)。
次いで、このキャスト膜に、200mLの水及び20gのヒドラジンを加え、90℃で1時間加熱した(還元工程)。
次いで、ろ過し、得られた固体を1M塩酸と水とで十分に洗浄した。
次いで、エタノールで洗浄してろ過した後、50℃で乾燥させることにより、多孔質複合カーボン材1として、膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体を得た。
得られた膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体の比表面積は70〜80m−1、平均細孔直径は11〜13nmであった。
また、得られた膜状グラフェン/MW−CNT(5:1)複合体のSEM画像を図5〜図7に示す。
以上説明した本実施形態の多孔質複合カーボン材1によれば、グラフェン10と、カーボンナノチューブにアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブ20と、を備え、アミノ化カーボンナノチューブ20の表面に、グラフェン10が、π−π相互作用によって結合している。
したがって、グラフェン自体やカーボンナノチューブ自体の高い導電性を維持することができ、かつ、グラフェン単体やカーボンナノチューブ単体よりも大きな比表面積を有することができる。
また、本実施形態の多孔質複合カーボン材1によれば、グラフェン10と、複数のアミノ化カーボンナノチューブ20からなるカーボンナノチューブ層と、が交互に積層されてなる構造を有することができる。
この構造(例えば、図1(a)に示す構造)の場合、(1)アミノ化カーボンナノチューブ20がスペーサとしてグラフェン10の面間隔を広げるので、電解液の浸透が促進される、(2)アミノ化カーボンナノチューブ20によってグラフェン10間が架橋されるので、電子移動が容易になる等の効果を得ることができる。したがって、この構造の多孔質複合カーボン材1は、特に電気二重層キャパシタの電極材料として好適に用いることができる。
また、本実施形態の多孔質複合カーボン材1によれば、アミノ化カーボンナノチューブ20には、アミノ基として、炭素数が1以上20以下(炭素数=1〜20)であるアルキルアミノ基が導入されていることが好ましい。
カーボンナノチューブに、アミノ基として炭素数が1以上20以下であるアルキルアミノ基を導入することで、親水性の高い酸化グラフェンと効率よくイオン対を形成することができる。
なお、アミノ化カーボンナノチューブ20に導入されているアミノ基は、炭素数が1以上20以下であるアルキルアミノ基に限られず、アミノ基であれば適宜任意に変更可能である。
以上説明した本実施形態の多孔質複合カーボン材1の製造方法によれば、グラフェン10の酸化物である酸化グラフェンと、アミノ化カーボンナノチューブ20と、を混合して混合分散液を得る混合工程と、混合分散液のpHを酸化グラフェンが負に帯電するとともにアミノ化カーボンナノチューブ20が正に帯電するように調整して、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対を形成させるpH調整工程と、イオン対に還元処理を施すことによって、酸化グラフェンをグラフェン10に還元する還元工程と、を有している。
したがって、pHを調整するだけの簡便な操作でグラフェンとカーボンナノチューブとを選択的に結び付けることができるので、簡便に高収率で本発明の多孔質複合カーボン材1の製造することができる。
また、以上説明した本実施形態の多孔質複合カーボン材1の製造方法によれば、pH調整工程では、混合分散液のpHを4.0以上9.0以下(pH=4.0〜9.0)となるように調整することが好ましい。
これにより、酸化グラフェンが確実に負に帯電するとともに、アミノ化カーボンナノチューブ20が確実に正に帯電するので、両者は選択的に結び付いて良好にイオン対を形成することができる。
また、以上説明した本実施形態の多孔質複合カーボン材1の製造方法によれば、pH調整工程と還元工程との間に、酸化グラフェンとアミノ化カーボンナノチューブ20とのイオン対が分散する分散液を平面状に展開して乾燥させることによりキャスト膜を形成するキャスト膜形成工程を行うことも可能である。
これにより、膜状の多孔質複合カーボン材1を得ることができる。
また、以上説明した本実施形態の多孔質複合カーボン材1の製造方法によれば、還元工程の後に、当該還元工程で得られたグラフェン10とアミノ化カーボンナノチューブ20との複合体に賦活化処理を施す賦活化工程を行うことも可能である。
これにより、比表面積のより大きい多孔質複合カーボン材1を得ることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 多孔質複合カーボン材
10 グラフェン
20 アミノ化カーボンナノチューブ

Claims (7)

  1. グラフェンと、
    カーボンナノチューブにアミノ基が導入されてなるアミノ化カーボンナノチューブと、を備え、
    前記アミノ化カーボンナノチューブの表面に、前記グラフェンが、π−π相互作用によって結合していることを特徴とする多孔質複合カーボン材。
  2. 前記グラフェンと、複数の前記アミノ化カーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層と、が交互に積層されてなる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の多孔質複合カーボン材。
  3. 前記アミノ化カーボンナノチューブには、前記アミノ基として、炭素数が1以上20以下であるアルキルアミノ基が導入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質複合カーボン材。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法であって、
    前記グラフェンの酸化物である酸化グラフェンと、前記アミノ化カーボンナノチューブと、を混合して混合分散液を得る混合工程と、
    前記混合分散液のpHを前記酸化グラフェンが負に帯電するとともに前記アミノ化カーボンナノチューブが正に帯電するように調整して、前記酸化グラフェンと前記アミノ化カーボンナノチューブとのイオン対を形成させるpH調整工程と、
    前記イオン対に還元処理を施すことによって、前記酸化グラフェンをグラフェンに還元する還元工程と、
    を有することを特徴とする多孔質複合カーボン材の製造方法。
  5. 前記pH調整工程では、前記混合分散液のpHを4.0以上9.0以下となるように調整することを特徴とする請求項4に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法。
  6. 前記pH調整工程と前記還元工程との間に、前記イオン対が分散する分散液を平面状に展開して乾燥させることによりキャスト膜を形成するキャスト膜形成工程を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法。
  7. 前記還元工程の後に、当該還元工程で得られたグラフェンとアミノ化カーボンナノチューブとの複合体に賦活化処理を施す賦活化工程を行うことを特徴とする請求項4から6の何れか一項に記載の多孔質複合カーボン材の製造方法。
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