JP2017048368A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の粘着シートのサイズや縮尺を正確に表したものではない。
また、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマー(室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマー)のうちの主成分(すなわち、該ゴム状ポリマーの50重量%超を占める成分)をいう。
また、スチレン系ブロック共重合体に占めるジブロック体の割合(以下「ジブロック体比率」または「ジブロック比」ということがある。)は、次の方法により求められる。すなわち、スチレン系ブロック共重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、東ソー(株)製GS5000HおよびG4000Hの液体クロマトグラフ用カラムをそれぞれ2段ずつ計4段を直列につなぎ、移動相にTHFを用いて、温度40℃、流量1mL/分の条件下で高速液体クロマトグラフィを行う。得られたチャートからジブロック体に対応するピーク面積を測定する。そして、全体のピーク面積に対する前記ジブロック体に対応するピーク面積の百分率を算出することにより、ジブロック体比率が求められる。
ここに開示される粘着シート(テープ状等の長尺状の形態であり得る。)は、例えば、図1に示す断面構造を有する両面粘着シートの形態であり得る。この両面粘着シート1は、基材(例えばプラスチックフィルムや不織布)15と、その基材15の両面にそれぞれ支持された第一粘着剤層11および第二粘着剤層12とを備える。より詳しくは、基材15の第一面15Aおよび第二面15B(いずれも非剥離性)に、第一粘着剤層11および第二粘着剤層12がそれぞれ設けられている。使用前(被着体への貼り付け前)の両面粘着シート1は、図1に示すように、前面21Aおよび背面21Bがいずれも剥離面である剥離ライナー21と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。かかる形態の両面粘着シート1は、第二粘着剤層12の表面(第二粘着面12A)が剥離ライナー21の前面21Aにより、第一粘着剤層11の表面(第一粘着面11A)が剥離ライナー21の背面21Bにより、それぞれ保護されている。あるいは、第一粘着面11Aおよび第二粘着面12Aが2枚の独立した剥離ライナーによりそれぞれ保護された形態であってもよい。
(ベースポリマー)
ここに開示される粘着剤層は、ベースポリマーとして、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体を含有する。上記モノビニル置換芳香族化合物とは、ビニル基を有する官能基が芳香環に一つ結合した化合物を指す。上記芳香環の代表例として、ベンゼン環(ビニル基を有しない官能基(例えばアルキル基)で置換されたベンゼン環であり得る。)が挙げられる。上記モノビニル置換芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。上記共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。このようなブロック共重合体は、1種を単独で、または2種以上を併用してベースポリマーに用いることができる。
ここに開示される技術におけるブロック共重合体としては、被着体に対する粘着力(剥離強度)の観点から、ジブロック体比率が30重量%以上(より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、典型的には65重量%以上)のものを好ましく用いることができる。剥離強度の観点から、ジブロック体比率が70重量%以上のブロック共重合体が特に好ましい。また、凝集性等の観点から、ジブロック体比率が90重量%以下(より好ましくは85重量%以下、例えば80重量%以下)のブロック共重合体を好ましく用いることができる。例えば、ジブロック体比率が60〜85重量%のブロック共重合体が好ましく、70〜85重量%(例えば70〜80重量%)のものがより好ましい。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記ベースポリマーがスチレン系ブロック共重合体である。例えば、上記ベースポリマーがスチレンイソプレンブロック共重合体およびスチレンブタジエンブロック共重合体の少なくとも一方を含む態様が好ましい。粘着剤に含まれるスチレン系ブロック共重合体のうち、スチレンイソプレンブロック共重合体の割合が70重量%以上であるか、スチレンブタジエンブロック共重合体の割合が70重量%以上であるか、あるいはスチレンイソプレンブロック共重合体とスチレンブタジエンブロック共重合体との合計割合が70重量%以上であることが好ましい。好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95〜100重量%)がスチレンイソプレンブロック共重合体である。他の好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95〜100重量%)がスチレンブタジエンブロック共重合体である。このような組成によると、ここに開示される技術を適用することの効果がよりよく発揮され得る。
ここに開示される粘着剤層は、上記ベースポリマーに加えて粘着付与樹脂を含む。粘着付与樹脂としては、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、ケトン系樹脂等の、公知の各種粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。
ここに開示される粘着剤層は、上記粘着付与樹脂として、軟化点が100℃以上の粘着付与樹脂THを含有する。凝集性の観点から、粘着付与樹脂THの軟化点は、120℃以上が好ましく、125℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましく、135℃以上(例えば140℃以上)が特に好ましい。また、被着体に対する剥離強度等の観点から、粘着付与樹脂THの軟化点は、200℃以下が適当であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下(例えば160℃以下)である。
[水酸基価の測定方法]
1.試薬
(1)アセチル化試薬としては、無水酢酸約12.5g(約11.8mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を50mLにし、充分に攪拌したものを使用する。または、無水酢酸約25g(約23.5mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を100mLにし、充分に攪拌したものを使用する。
(2)測定試薬としては、0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を使用する。
(3)その他、トルエン、ピリジン、エタノールおよび蒸留水を準備する。
2.操作
(1)平底フラスコに試料約2gを精秤採取し、アセチル化試薬5mLおよびピリジン10mLを加え、空気冷却管を装着する。
(2)上記フラスコを100℃の浴中で70分間加熱した後、放冷し、冷却管の上部から溶剤としてトルエン35mLを加えて攪拌した後、蒸留水1mLを加えて攪拌することにより無水酢酸を分解する。分解を完全にするため再度浴中で10分間加熱し、放冷する。
(3)エタノール5mLで冷却管を洗い、取り外す。次いで、溶剤としてピリジン50mLを加えて攪拌する。
(4)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を、ホールピペットを用いて25mL加える。
(5)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行う。得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
(6)空試験は、試料を入れないで上記(1)〜(5)を行う。
3.計算
以下の式により水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=[(B−C)×f×28.05]/S+D
ここで、
B: 空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
C: 試料に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
f: 0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、
S: 試料の重量(g)、
D: 酸価、
28.05: 水酸化カリウムの分子量56.11の1/2、
である。
ここに開示される粘着剤層は、軟化点100℃未満の粘着付与樹脂TLを含んでもよい。粘着付与樹脂TLの軟化点の下限は特に制限されない。軟化点が40℃以上(典型的には60℃以上)のものを用いることができる。粘着付与樹脂TLの水酸基価や構造(例えば、芳香環の有無、イソプレン単位の有無、テルペン骨格の有無、ロジン骨格の有無等)は特に限定されない。上述した各種の粘着付与樹脂(石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、ケトン系樹脂等)であって軟化点が100℃未満のものを適宜選択して用いればよい。
ここに開示される粘着剤組成物は、さらにイソシアネート化合物を含有し得る。かかる粘着剤組成物によると、より高性能な(例えば、せん断性能や低温耐反撥性に優れた)粘着シートが実現され得る。イソシアネート化合物としては、多官能イソシアネート(1分子当たり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいい、イソシアヌレート構造を有するものを包含する。)が好ましく使用され得る。かかる多官能イソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する各種のイソシアネート化合物(ポリイソシアネート)から選択される1種または2種以上を用いることができる。かかる多官能イソシアネートの例として、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
ここに開示される粘着剤層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、ベースポリマー以外のゴム状ポリマーを1種または2種以上を含んでもよい。かかるゴム状ポリマーは、粘着剤の分野において公知のゴム系、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等の各種ポリマーであり得る。ここに開示される技術は、上記粘着剤層がベースポリマー以外のゴム状ポリマーを実質的に含有しない態様(例えば、ベースポリマー100重量部当たりの含有量が0〜1重量部である態様)で好ましく実施され得る。
好ましい他の一態様において、上記粘着剤組成物は、キレート化合物を実質的に含まない組成であり得る。ここで、上記キレート化合物とは、例えば、アルカリ土類金属の酸化物と、該酸化物が配位可能な官能基(水酸基、メチロール基等)を有する樹脂(アルキルフェノール樹脂等)とのキレート化合物を指す。ここに開示される技術は、上記粘着剤組成物が、このようなキレート化合物を全く含まないか、あるいは該キレート化合物の含有割合が1重量%以下である態様で好ましく実施され得る。かかる態様によると、より粘着力に優れた粘着シートが実現され得る。
ここに開示される粘着剤組成物の形態は特に限定されず、例えば、上述のような組成の粘着剤(粘着成分)を有機溶媒中に含む形態(溶剤型)の粘着剤組成物、粘着剤が水性溶媒に分散した形態(水分散型、典型的には水性エマルション型)の粘着剤組成物、ホットメルト型の粘着剤組成物等であり得る。塗工性および基材の選択自由度等の観点から、溶剤型または水分散型の粘着剤組成物を好ましく採用し得る。より高い粘着性能を実現する観点から、溶剤型の粘着剤組成物が特に好ましい。
粘着剤組成物から粘着シートを得る方法としては、従来公知の種々の方法を適用し得る。例えば、粘着剤組成物を基材に直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を好ましく採用することができる。また、上記粘着剤組成物を剥離性のよい表面(例えば、剥離ライナーの表面、離型処理された支持基材背面等)に付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の、公知ないし慣用のコーターを用いて行うことができる。架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。例えば、凡そ40℃以上(例えば50℃以上、さらには70℃以上)程度であり、また凡そ150℃以下(典型的には120℃以下、さらには100℃以下)程度の乾燥温度を好ましく採用することができる。乾燥時間は特に限定されないが、数十秒から数分程度(例えば凡そ5分以内、好ましくは30秒〜2分程度)とすればよい。その後、必要に応じて追加の乾燥工程を設けてもよい。粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。
特に限定するものではないが、粘着剤層の厚さは、凡そ4μm以上(典型的には20μm以上、例えば30μm以上)程度が適当であり、また凡そ150μm以下(典型的には120μm以下、例えば100μm以下)程度が適当である。低温耐反撥性向上の観点から、粘着剤層の厚さは、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは50μm以上(例えば60μm以上、さらには75μm以上)である。基材付き両面粘着シートの場合、基材の両面それぞれに上記厚さの粘着剤層が設けられた構成とするとよい。各粘着剤層の厚さは同じあってもよく異なっていてもよい。粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。
ここに開示される技術を基材付き両面粘着シートまたは基材付き片面粘着シートに適用する場合、基材としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリクロロプレンフォーム等の発泡体からなる発泡体シート;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布(和紙、上質紙等の紙類を包含する意味である。);アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等を、粘着シートの用途に応じて適宜選択して用いることができる。上記プラスチックフィルム(典型的には非多孔質のプラスチック膜を指し、織布や不織布とは区別される概念である。)としては、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムのいずれも使用可能である。また、基材のうち粘着剤層が設けられる面には、下塗剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、プラスチックフィルムや紙等の基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記基材を表面処理して形成されたものであり得る。
ここに開示される粘着シートは、0℃環境下におけるボールタック試験(低温ボールタック試験)において粘着剤層の粘着面がボールナンバー4以上の特性を有する。かかる特性は、粘着剤層の粘着面は0℃環境下でのボールタック試験におけるボールタックが4以上である、と言い換えることができる。低温環境下において所定以上のボールタックを示す粘着シートによると、貼り合わせ直後から被着体によく接着するので、低温環境下で顕著になりがちなタック不足に起因する剥がれ(めくれや浮き)が防止される。その結果、その後も継続して被着体との接着状態を保持し得るので、優れた低温耐反撥性を示す。上記粘着剤層の粘着面は、上記ボールタック試験においてボールナンバー5以上の特性を有することが好ましく、ボールナンバー6以上の特性を有することがより好ましく、ボールナンバー7以上(例えばボールナンバー8または9以上)の特性を有することがさらに好ましい。低温ボールタック試験は、後述の実施例に記載の方法で行われる。
ここに開示される粘着シートは、各種のOA機器、家電製品、自動車等における部材間の接合(例えば、かかる製品における各種部品の固定用途)に有用である。また、ここに開示される粘着シートは、低温耐反撥性に優れることから、建設現場のような冬場には低温環境となり得る環境(例えば屋外環境)や低温空間内(例えば保冷庫)における各種材料の接合、固定用途に好ましく利用され得る。また、ここに開示される粘着シートは、建物内壁をデコレーションするために用いられる化粧シートを、化粧シート内壁に固定する用途において特に好ましく利用され得る。
(1) ベースポリマーと粘着付与樹脂とを含有する粘着剤層を備える粘着シートであって、
前記ベースポリマーは、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体であり、
前記粘着付与樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10〜60重量部であり、
前記粘着付与樹脂は、100℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂THを含み、
前記粘着付与樹脂THの含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10重量部以上であり、
前記粘着剤層の粘着面は、0℃環境下でのボールタック試験においてボールナンバー4以上の特性を有する、粘着シート。
(2) 前記粘着付与樹脂は、テルペンフェノール樹脂を含み、
前記テルペンフェノール樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10重量部以上である、上記(1)に記載の粘着シート。
(3) 前記テルペンフェノール樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10〜30重量部である、上記(2)に記載の粘着シート。
(4) 前記ベースポリマーはスチレン系ブロック共重合体である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載に記載の粘着シート。
(5) 前記スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は20重量%以下である、上記(4)に記載の粘着シート。
(6) 前記スチレン系ブロック共重合体のジブロック体比率は60重量%以上である、上記(4)または(5)に記載の粘着シート。
(8) 前記粘着付与樹脂は、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂およびケトン系樹からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の粘着シート。
(9) 前記粘着付与樹脂THは、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、重合ロジンおよび重合ロジンのエステル化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の粘着シート。
(10) 前記粘着付与樹脂の実質的に全部が粘着付与樹脂THである、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の粘着シート。
(11) 前記粘着付与樹脂THは、2種以上のテルペンフェノール樹脂を含む、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の粘着シート。
(12) 前記粘着付与樹脂THは、軟化点が120℃以上200℃以下のテルペンフェノール樹脂を含む、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の粘着シート。
(13) 前記粘着付与樹脂THは、粘着付与樹脂TH1としてのテルペンフェノール樹脂と、該粘着付与樹脂TH1よりも軟化点の低い粘着付与樹脂TH2とを含む、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の粘着シート。
(14) 前記粘着付与樹脂TH2はテルペン樹脂を含む、上記(13)に記載の粘着シート。
(15) 前記粘着剤層は、前記粘着付与樹脂THとして、水酸基価が80mgKOH/g以上の粘着付与樹脂THO1を含む、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の粘着シート。
(16) 前記粘着剤層は、粘着付与樹脂THとして、水酸基価が0以上80mgKOH/g未満の粘着付与樹脂THO2をさらに含む、上記(15)に記載の粘着シート。
(17) 前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、イソシアネート化合物を含む、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の粘着シート。
(18) 前記粘着剤層の厚さは30μm以上である、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の粘着シート。
(19) 基材と、該基材の両面にそれぞれ支持された前記粘着剤層としての第一粘着剤層および第二粘着剤層と、を備える、上記(1)〜(18)のいずれかに記載の粘着シート。
(20) 前記基材はプラスチックフィルムまたは不織布である、上記(19)に記載の粘着シート。
試験装置一式(ボールタック台、測定用ボール、洗浄トルエン等)および測定サンプル(粘着シート)を0℃環境下に1時間静置し、同環境下にてJIS Z0237に準じて、傾斜式ボールタック(傾斜角30度)を測定した。保持した最大のボールのボールナンバーをボールタックとして記録した。
粘着シート(典型的には両面粘着シート)を剥離ライナーごと幅10mm、長さ90mmのサイズにカットした。また、幅10mm、長さ90mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板の表面をトルエンで洗浄した。そして、上記粘着シートから1枚目の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着面を上記アルミニウム板の表面に貼り合わせることにより、粘着剤層がアルミニウム板で裏打ちされた試験片を作製した。この試験片を5℃で1日間静置した後、図4(a)に示すように、試験片4のアルミニウム板45側を内側として、直径40mmの円柱状のスクリュー管5の外周に試験片4の長手方向を10秒間沿わせて反らせた。次いで、試験片4の粘着剤層42から2枚目の剥離ライナー44を剥がし、図4(b)に示すように、あらかじめ洗浄した石膏ボード(被着体)46の表面に、5℃にて500gの圧着ローラーで軽圧着した。同温度で5秒経過後、図4(b)に仮想線で示すように、試験片4の両端が被着体46の表面から浮き上がった高さh1,h2を測定し、両端の平均値を試験片4の浮き高さ(浮き距離)として算出した。
この耐反撥性試験では、各例につき3つの試験片を用いて行い(すなわちn=3)、それらの試験片の浮き距離の平均値を記録した。測定結果に基づき、下記の基準で低温初期耐反撥性を評価した。
◎(Excellent):浮き距離が5mm以下であった。
○(Good): 浮き距離が5mmより大きく15mm以下であった。
×(Poor): 耐反撥性が低く浮き距離が15mmより大きかった。
なお、片面粘着シートで試験を実施する場合には、粘着シートの背面を市販の強粘着性両面粘着シート等でアルミニウム板に強固に固定したものにつき、上記と同様の操作を行い、測定対象である粘着面を被着体に軽圧着し、低温初期耐反撥性を測定すればよい。
粘着シート(典型的には両面粘着シート)の第一粘着面(第一粘着剤層の粘着面)に厚さ25μmのPETフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせ、これを幅10mmの帯状にカットすることにより試験片を作製した。上記試験片の第二粘着面(第二粘着剤層の粘着面)を露出させ、室温(23℃)にて、上記試験片を被着体としてのベークライト板(フェノール樹脂板)に幅10mm、長さ20mmの接触面積にて2kgのローラーを1往復させて圧着した。このようにして被着体に貼り付けた試験片を同環境下に30分間放置した後、試験片の長さ方向が鉛直方向となるように被着体を垂下し、該試験片の自由端に500gの荷重を付与し、JIS Z0237に準じて、該荷重が付与された状態で40℃の環境下に2時間放置した。当該放置後の試験片のずれた距離(ズレ距離)を測定した。
なお、片面粘着シートを試験片として試験を実施する場合には、試験片の第一粘着面にPETフィルムを貼り合わせる必要はない。
ベースポリマーとしてのスチレンイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン社製、製品名「クインタック(Quintac)3520」、スチレン含有量15%、ジブロック体比率78%)100部と、テルペンフェノール樹脂10部と、テルペン樹脂8部と、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製品、製品名「コロネートL」)を固形分基準で0.75部と、老化防止剤1部と、溶媒としてのトルエンとを撹拌混合して、NV50%の粘着剤組成物を調製した。
ここで、テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル社製の商品名「YSポリスターS145」(軟化点145℃、水酸基価100mgKOH/g)と、同社製の商品名「YSポリスターT145」(軟化点145℃、水酸基価60mgKOH/g)との二種類を、1:1の重量比で、それらの合計が10部となるように使用した。テルペン樹脂としては、ヤスハラケミカル社製の製品名「YSレジンPX1150N」(軟化点115℃、水酸基価1mgKOH/g未満)を使用した。老化防止剤としては、BASF社製の製品名「IRGANOX CB612」(BASF社製の製品名「IRGAFOS 168」と同社製の製品名「IRGANOX 565」との重量比2:1のブレンド配合物)を使用した。
粘着付与樹脂の種類、使用量を表1に示す内容に変更した他は例1と同様にして各例に係る両面粘着シートを作製した。表中、「ネオポリマー150」は、JX日鉱日石エネルギー社製の芳香族系石油樹脂(製品名「日石ネオポリマー150」、軟化点155℃、水酸基価1mgKOH/g未満)である。
基材として、PETフィルムに替えて不織布(大福製紙社製、商品名「SP−14K」)を使用した他は例1と同様にして本例に係る両面粘着シートを作製した。
粘着付与樹脂の種類、使用量を表2に示す内容に変更した他は例11と同様にして各例に係る両面粘着シートを作製した。
これらの結果から、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤において、粘着付与樹脂の含有量をベースポリマー100重量部に対して10〜60重量部とし、100℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂THの含有量を10重量部以上とし、0℃環境下でのボールタックが4以上の粘着シートによると、優れたせん断性能を保持しつつ、低温耐反撥性が改善されることがわかる。
また、例1〜6(表1)と例11〜16(表2)との比較から、同じ組成の粘着剤を使用した場合であっても、基材として不織布を使用したものは、より優れた低温ボールタック特性とせん断性能とを示す傾向が確認された。これは、基材が不織布であることによって被着体との密着性が向上したためと考えられる。
11 第一粘着剤層
12 第二粘着剤層
15 基材
21,22 剥離ライナー
Claims (20)
- ベースポリマーと粘着付与樹脂とを含有する粘着剤層を備える粘着シートであって、
前記ベースポリマーは、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体であり、
前記粘着付与樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10〜60重量部であり、
前記粘着付与樹脂は、100℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂THを含み、
前記粘着付与樹脂THの含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10重量部以上であり、
前記粘着剤層の粘着面は、0℃環境下でのボールタック試験においてボールナンバー4以上の特性を有する、粘着シート。 - 前記粘着付与樹脂は、テルペンフェノール樹脂を含み、
前記テルペンフェノール樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10重量部以上である、請求項1に記載の粘着シート。 - 前記テルペンフェノール樹脂の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して10〜30重量部である、請求項2に記載の粘着シート。
- 前記ベースポリマーはスチレン系ブロック共重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載に記載の粘着シート。
- 前記スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は20重量%以下である、請求項4に記載の粘着シート。
- 前記スチレン系ブロック共重合体のジブロック体比率は60重量%以上である、請求項4または5に記載の粘着シート。
- 前記ベースポリマーは、スチレンイソプレンブロック共重合体およびスチレンブタジエンブロック共重合体の少なくとも一方を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂は、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂およびケトン系樹からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂THは、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、重合ロジンおよび重合ロジンのエステル化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂の実質的に全部が粘着付与樹脂THである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂THは、2種以上のテルペンフェノール樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂THは、軟化点が120℃以上200℃以下のテルペンフェノール樹脂を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂THは、粘着付与樹脂TH1としてのテルペンフェノール樹脂と、該粘着付与樹脂TH1よりも軟化点の低い粘着付与樹脂TH2とを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与樹脂TH2はテルペン樹脂を含む、請求項13に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層は、前記粘着付与樹脂THとして、水酸基価が80mgKOH/g以上の粘着付与樹脂THO1を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層は、粘着付与樹脂THとして、水酸基価が0以上80mgKOH/g未満の粘着付与樹脂THO2をさらに含む、請求項15に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、イソシアネート化合物を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の厚さは30μm以上である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 基材と、該基材の両面にそれぞれ支持された前記粘着剤層としての第一粘着剤層および第二粘着剤層と、を備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記基材はプラスチックフィルムまたは不織布である、請求項19に記載の粘着シート。
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