JP2017048304A - 水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用 - Google Patents
水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】良好な歪回復性を有する塗膜を形成可能なポリウレタン水性樹脂分散体の提供。【解決手段】(a)式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基を形成するジオール中の式(2)で表されるジオール由来のOH比率が少なくとも1.0%であり、末端基を形成するジオール中の式(2)で表されるジオールの式(3)で表されるジオールに対する比が3.5〜10.5であり、R1のうち少なくとも1種は、炭素数が5の2価の直鎖脂肪族炭化水素基であるポリカーボネートポリオール、(b)ポリイソシアネート及び(c)酸性基含有ポリオールを構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂水性樹脂分散体。(R1は夫々独立にC2〜12の2価の脂肪族炭化水素基;R2はC1〜9の脂肪族炭化水素基)【選択図】なし
Description
本発明は、水系媒体中にポリウレタン樹脂を分散した水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。また、本発明は、前記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有するコーティング用組成物、塗料用組成物、インク用組成物、及び前記ポリウレタン樹脂分散体を含む組成物を乾燥させて得られるポリウレタン樹脂フィルム、合成皮革に関する。
水性ポリウレタン樹脂分散体は、基材への密着性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐溶剤性等に優れていることから塗料、インク、接着剤、各種コーティング剤として紙、プラスチックス、フィルム、金属、ゴム、エラストマー、繊維製品等に幅広く使用される。
中でも、ポリカーボネートポリオールを原料とした水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得られる塗膜は、耐光性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、耐油性に優れることが知られている(特許文献1参照)。
ポリウレタンの性能を変えるために、様々な種類のポリオールを用いたポリウレタン樹脂が開発されている。ポリオールは、イソシアネート化合物との反応により、ポリウレタン樹脂を製造する原料となる有用な化合物である。
例えば、脂環族ポリカーボネートポリオールを用いた水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得られる塗膜は、耐摩耗性が優れる塗膜を与えることから、コーティング剤、塗料用組成物の原料として使用できることが知られている(特許文献2参照)。
例えば、脂環族ポリカーボネートポリオールを用いた水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得られる塗膜は、耐摩耗性が優れる塗膜を与えることから、コーティング剤、塗料用組成物の原料として使用できることが知られている(特許文献2参照)。
また、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオール又は1,5−ペンタンジオールとを共重合させて得られるポリカーボネートジオールを原料として、柔軟性に富み、耐熱性、耐加水分解性及び接着性優れたウレタンアクリレート接着剤が得られることが知られている(特許文献3参照)。さらに、ポリウレタン等を製造するための反応における重合反応性等を改善するために原料となるポリカーボネートジオールの1級末端OH比率を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)
水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜が使用される各分野(例えば自動車の内外装材、ゴム製品、エラストマー製品、携帯電話筐体、家電製品筐体、パーソナルコンピュータ筐体、加飾フィルム、光学フィルム、フローリング等の床材、インクジェット、グラビア、フレキソ等の印刷形式に対応したインク等の合成樹脂成形体の塗料分野やコーティング剤やインクの分野や合成皮革の分野)において、歪回復性の向上が求められている。しかしながら、従来の水性ポリウレタン樹脂分散体(例えば特許文献1に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体等)では、歪回復性に改良の余地があった。本発明は、歪回復性が良好な塗膜を形成可能な水性ポリウレタン樹脂分散体を提供することを主目的とする。
上記実情に鑑みて、本発明者らが、鋭意検討を行った結果、少なくとも、特定の末端構造を有するポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、及び、酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散している水性ポリウレタン樹脂分散体を使用することで、上記課題を解決できるとの知見を得て、本発明に至った。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
本発明(1)は、少なくとも(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散されており、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物が、下記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの比率を表す特定末端OH比率が少なくとも1.0%であり、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの下記式(3)で表されるジオールに対する比が3.5〜10.5であり、R1のうち少なくとも1種は、炭素数が5の2価の直鎖脂肪族炭化水素基である水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
(式(1)中、R1はそれぞれ独立して炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表
す。式(2)中、R2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を表す。)
す。式(2)中、R2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を表す。)
本発明(2)は、(A)ポリウレタン樹脂は、(A1)ポリウレタンプレポリマーが(B)鎖延長剤により鎖延長されているものであり、(A1)ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とするものである、本発明(1)の水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
本発明(3)は、本発明(1)又は(2)のいずれかの水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、塗料組成物に関する。
本発明(4)は、本発明(1)又は(2)のいずれかの水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、コーティング剤組成物に関する。
本発明(5)は、本発明(1)又は(2)のいずれかの水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、インク組成物に関する。
本発明(6)は、本発明(1)又は(2)のいずれかの水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる、ポリウレタン樹脂フィルムに関する。
本発明(7)は、本発明(1)又は(2)のいずれかの水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる、合成皮革に関する。
本発明によれば、歪回復性の良好な塗膜を形成可能な水性ポリウレタン樹脂分散体を提供することができる。
ここで、本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<水性ポリウレタン樹脂分散体>
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、少なくとも(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散されているものである。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、少なくとも(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散されているものである。
<<(a)特定末端構造を有するポリオール化合物>>
本実施形態の(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、下記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの比率を表す特定末端OH比率が少なくとも1.0%であり、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの式(3)で表されるジオール(1,4−シクロヘキサンジオール)に対する比(式(2)/式(3)、以下「H/C比」ともいう)が、3.5〜10.5である。特定末端OH比率及びH/C比の算出方法については後述する。また、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物に含まれるヒドロキシ基を有する末端基数は特に制限されないが、1分子あたり2個であることが好ましい。
本実施形態の(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、下記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの比率を表す特定末端OH比率が少なくとも1.0%であり、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの式(3)で表されるジオール(1,4−シクロヘキサンジオール)に対する比(式(2)/式(3)、以下「H/C比」ともいう)が、3.5〜10.5である。特定末端OH比率及びH/C比の算出方法については後述する。また、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物に含まれるヒドロキシ基を有する末端基数は特に制限されないが、1分子あたり2個であることが好ましい。
式(1)中、R1はそれぞれ独立して炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。式(2)中、R2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を表す。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端に、特定の比率となるように特定構造のジオールに由来する末端基を導入することにより、これを用いて(A)ウレタン樹脂を調製すると、(A)ポリウレタン樹脂の粘度の上昇が抑制される。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、一般式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含む。一般式(1)においてR1で表される2価の脂肪族炭化水素基は、それぞれ独立して炭素数が2〜12であるが、2〜10であることが好ましく、3〜8であることがより好ましく、4〜6であることが更に好ましく、5又は6であることが特に好ましい。また、R1で表される2価の脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、脂環式構造を含む脂肪族炭化水素基であってもよい。
R1で表される2価の脂肪族炭化水素基のうち、直鎖状のものとしては、例えば、エチレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、2−メチルオクタメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、2,4−ジメチルペンタメチレン基、2,4−ジエチルペンタメチレン基、2−ブチル−2−エチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基等が挙げられる。環状又は脂環構造を含む脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,2−ジメチレンシクロペンタン基、1,3−ジメチレンシクロペンタン基、1,2−ジメチレンシクロヘキサン基、1,3−ジメチレンシクロヘキサン基、1,4−ジメチレンシクロヘキサン基、1,4−ジエチレンシクロヘキサン基、2,7−ノルボルネンジイル基等の炭素数3〜8、好ましくは炭素数5〜6の脂環式構造を含む、炭素数3〜12の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物に含まれるR1で表される2価の脂肪族炭化水素基のうち、少なくとも1種は、炭素数4〜6の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、少なくとも1種は炭素数5又は6の2価の直鎖脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、一般式(1)で表される繰り返し単位を2種のみの組合せで含んでいてもよく、3種以上の組合せとして含んでいてもよい。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は一般式(1)で表される繰り返し単位を、2〜5種の繰り返し単位の組合せとして含むことが好ましく、2〜4種の繰り返し単位の組合せとして含むことがより好ましく、2又は3種の繰り返し単位の組合せとして含むことが更に好ましい。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、一般式(1)で表される2種以上の繰り返し単位を、ランダムで含んでいてもよく、またブロック状に含んでいてもよい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物における一般式(1)で表される2種以上の繰り返し単位の組合せの具体例を、R1の炭素数の組合せとして例示すると、炭素数4及び炭素数6の組合せ、炭素数5及び炭素数6の組合せ、炭素数5及び炭素数4の組合せ、炭素数5及び炭素数8の組合せ、炭素数6及び炭素数8の組合せ、炭素数4、炭素数5及び炭素数6の組合せ等を挙げることができる。これらの中でも、炭素数4及び炭素数6の組合せ、炭素数5及び炭素数6の組合せが好ましい。R1の炭素数の組み合わせとして、炭素数4及び炭素数6の組合せとすることで、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を用いて構成される樹脂の耐溶剤性を容易に向上させることができる。また炭素数5及び炭素数6の組合せとすることで、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を用いて構成される樹脂の有機溶媒への溶解性を容易に向上させることができる。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の式(1)で表される2種以上の繰り返し単位におけるそれぞれの繰り返し単位の含有比は、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、R1が2種の炭素数の組合せの場合、例えば、各炭素数の繰り返し単位のモル比を10/90〜90/10とすることができ、30/70〜70/30とすることが好ましい。
より具体的には、R1の炭素数の組み合わせが炭素数5及び炭素数6の場合、炭素数5の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比を20/80〜80/20とすることができ、30/70〜70/30とすることが好ましい。炭素数5の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比は、50/50を超え(すなわち、1.00を超える)90/10以下(すなわち、9.00以下)であることもまた好ましい。
またR1の炭素数の組み合わせが炭素数4及び炭素数6の場合、炭素数4の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比を30/70〜95/5とすることができ、51/49〜95/5とすることが好ましく、60/40〜95/5とすることがより好ましい。
より具体的には、R1の炭素数の組み合わせが炭素数5及び炭素数6の場合、炭素数5の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比を20/80〜80/20とすることができ、30/70〜70/30とすることが好ましい。炭素数5の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比は、50/50を超え(すなわち、1.00を超える)90/10以下(すなわち、9.00以下)であることもまた好ましい。
またR1の炭素数の組み合わせが炭素数4及び炭素数6の場合、炭素数4の繰り返し単位/炭素数6の繰り返し単位のモル比を30/70〜95/5とすることができ、51/49〜95/5とすることが好ましく、60/40〜95/5とすることがより好ましい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、上記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基中の上記式(2)で表されるジオールに由来する末端基(以下、「特定末端基」ともいう)の比率が少なくとも1.0%である。
ここで式(2)におけるR2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基である。R2で表される脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また、R2で表される脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜9であるが、炭素数1〜6であることが好ましく、炭素数1〜5であることがより好ましく、炭素数1〜3であることが更に好ましい。
ここで式(2)におけるR2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基である。R2で表される脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また、R2で表される脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜9であるが、炭素数1〜6であることが好ましく、炭素数1〜5であることがより好ましく、炭素数1〜3であることが更に好ましい。
R2で表される脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基及びノニル基の直鎖状の脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基等の分岐鎖状の脂肪族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状の脂肪族炭化水素基を挙げることができる。これらの中でも、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(2)で表されるジオールに由来する特定末端基は、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端に配置される。すなわち、式(2)で表されるジオールの2つのヒドロキシ基のいずれか一方が、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端ヒドロキシ基となる。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端ヒドロキシ基を構成するヒドロキシ基が、式(2)で表される構造式のどちらのヒドロキシ基であるかは、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の分子によって異なる。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端ヒドロキシ基を有する末端基を形成するジオール中における式(2)で表されるジオールの比率を表す特定末端OH比率は少なくとも1.0%であるが、(A)ポリウレタン樹脂を調製する場合の粘度上昇抑制の観点から、2.0%以上20.0%以下であることが好ましく、2.0%を超えて18.0%以下であることがより好ましく、2.0%を超えて15.0%以下であることが更に好ましく、8.0%以上15.0%以下であることが特に好ましい。特定末端OH比率が1.0%未満では、(A)ポリウレタン樹脂を調製した場合に、その粘度の上昇を充分に抑制できない傾向がある。また、特定末端OH比率が20.0%以下であると、ポリイソシアネート等の反応剤との反応速度が充分に得られる傾向がある。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物に含まれる式(2)で表されるジオールに由来する末端基の末端基中の比率を表す特定末端OH比率は、特許5132686号公報(WO2009/063768)に記載された「1級末端OH比率」等の計算方法に準じて計算される。具体的に特定末端OH比率とは、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物(70g〜100g)を0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより、該(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の約1〜2質量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー(GC)分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記式により計算した値を意味する。なお、GC分析の条件等は、特許5132686号公報の記載に準じるものとする。
特定末端OH比率(%)=B2÷A×100
A:ジオールを含むアルコール化合物(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B2:式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和
A:ジオールを含むアルコール化合物(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B2:式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和
特定末端OH比率は、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の全末端基に占める式(2)で表されるジオールに由来する末端基の比率である。即ち、上記に示すように、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を0.4kPa以下の圧力下、160℃〜200℃の温度に加熱すると、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端部分がアルコール化合物として外れて蒸発し、留分として得られる。この留分中の全アルコール化合物に含まれる式(2)で表されるジオールのGCのピーク面積基準における比率が、特定末端OH比率である。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの式(3)で表されるジオール(1,4−シクロヘキサンジオール)に対する比(式(2)/式(3)、H/C比)が、3.5〜10.5であり、(A)ポリウレタン樹脂の分子量の分散度を小さくし、(A)ポリウレタン樹脂の塗膜強度を高くする観点から、H/C比は4.0〜10.0であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましい。H/C比が3.5未満であると、(A)ポリウレタン樹脂の分子量の分散度が大きくなる傾向がある。一方、H/C比が10.5を超えると、(A)ポリウレタン樹脂の塗膜強度が充分に得られない傾向があり、また(A)ポリウレタン樹脂の分子量の分散度が大きくなる傾向がある。
(A)ポリウレタン樹脂の分子量の分散度が大きいということは、目的とした分子量から大きく離れた分子量の(A)ポリウレタン樹脂を含有することを意味する。分子量の分散度が小さい(A)ポリウレタン樹脂を用いることで、(A)ポリウレタン樹脂から形成される塗膜の強度に偏りが生じ難くなり、より均一な塗膜強度を有する塗膜が形成される傾向がある。
(A)ポリウレタン樹脂の分子量の分散度が大きいということは、目的とした分子量から大きく離れた分子量の(A)ポリウレタン樹脂を含有することを意味する。分子量の分散度が小さい(A)ポリウレタン樹脂を用いることで、(A)ポリウレタン樹脂から形成される塗膜の強度に偏りが生じ難くなり、より均一な塗膜強度を有する塗膜が形成される傾向がある。
H/C比は、特定末端OH比率と同様に、特許5132686号公報(WO2009/063768)に記載された「1級末端OH比率」等の計算方法に準じて計算される。具体的にH/C比とは、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物(70g〜100g)を0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより、該(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の約1〜2質量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー(GC)分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記式により計算した値を意味する。なお、GC分析の条件等は、特許5132686号公報の記載に準じるものとする。
H/C比=B2÷B3
B2:式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和
B3:式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和
B2:式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和
B3:式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和
H/C比は、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端基に含まれる式(2)で表されるジオールに由来する末端基量の式(3)で表されるジオールに由来する末端基量に対する比である。即ち、上記に示すように、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を0.4kPa以下の圧力下、160℃〜200℃の温度に加熱すると、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端部分がアルコール化合物として外れて蒸発し、留分として得られる。この留分中の式(2)で表されるジオールの式(3)で表されるジオールに対するGCのピーク面積基準における比率が、H/C比である。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、式(2)で表されるジオール以外のその他の2級ジオールに由来する末端基を含んでいてもよい。その他の2級ジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどの1級ヒドロキシ基と2級ヒドロキシ基を有するジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,5−ヘプタンジオールなどの2つの2級ヒドロキシ基を有するジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなど1つの2級ヒドロキシ基と1つの3級ヒドロキシ基を有するジオールが挙げられる。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、これらのジオールに由来する末端基を1種単独で又は2種類以上を組合せて含んでいてもよい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の1級末端OH比率は、特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。1級末端OH比率は、例えば99%以下とすることができ、97%未満であることが好ましく、70%以上97%未満であることがより好ましく、さらに75%以上97%未満、80%以上97%未満、80%以上95%以下であることが好ましい。
1級末端OH比率は、特許5132686号公報(WO2009/063768)に記載された計算方法で、以下の式により計算される値である。具体的に1級末端OH比率とは、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物(70g〜100g)を0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより、該(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の約1〜2質量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー(GC)分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記式により計算した値を意味する。なお、GC分析の条件等は、特許5132686号公報の記載に準じるものとする。
1級末端OH比率は、特許5132686号公報(WO2009/063768)に記載された計算方法で、以下の式により計算される値である。具体的に1級末端OH比率とは、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物(70g〜100g)を0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより、該(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の約1〜2質量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー(GC)分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記式により計算した値を意味する。なお、GC分析の条件等は、特許5132686号公報の記載に準じるものとする。
1級末端OH比率(%)=B÷A×100
A:ジオールを含むアルコール化合物(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
A:ジオールを含むアルコール化合物(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
1級末端OH比率は、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の全末端基中における、両末端が1級OH基であるジオールに由来する末端基の比率である。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物は、式(1)で表される繰り返し単位に加えて、必要に応じてその他の繰り返し単位を含んでいてもよい。その他の繰り返し単位としては、例えば、式(2)で表されるジオールに由来する繰り返し単位、下記式(4)で表される繰り返し単位、ポリブタジエンポリオールに由来する繰り返し単位、ポリエーテルジオールに由来する繰り返し単位、ポリエステルジオールに由来する繰り返し単位、ジカルボン酸ジエステルや環状又は非環状のジカルボン酸エステルに由来する繰り返し単位、1分子中に3つ以上のヒドロキシ基を有するポリオールに由来する繰り返し単位等を挙げることができる。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物がその他の繰り返し単位を含む場合、その他の繰り返し単位は、ランダムに存在していても、ブロック状に存在していてもよい。
式(4)中、R3は炭素数2〜20の炭化水素基を表す。R3としては、炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルテトラメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、イソノナメチレン基、2−メチルノナメチレン基等;炭素数3〜20の置換又は非置換のシクロアルキレン基、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,2−ジメチレンシクロペンタン基、1,3−ジメチレンシクロペンタン基、1,2−ジメチレンシクロヘキサン基、1,3−ジメチレンシクロヘキサン基、1,4−ジメチレンシクロヘキサン基、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン基、2,2−ジシクロヘキシレンプロパン基等;炭素数6〜20の置換又は非置換のアリーレン基、例えば、フェニレン基、1,2−ジメチレンベンゼン基、1,3−ジメチレンベンゼン基、1,4−ジメチレンベンゼン基、ナフチレン基、4,4’−メチレンジフェニレン基、2,2−ジフェニレンプロパン基等が挙げられる。
中でもR3としては、炭素数2〜20の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基及びヘキサメチレン基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ペンタメチレン基が原料の入手性の観点から、より好ましい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物がその他の繰り返し単位を含む場合、その他の繰り返し単位の量は、式(1)で表される繰り返し単位及びその他の繰り返し単位の合計中、例えば35モル%以下であり、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは5モル%以下である。
特に、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物が式(2)で表されるジオールに由来する繰り返し単位を含む場合、式(2)で表されるジオールに由来する成分の総含有率は、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を構成する全ジオール成分の合計量を100モル%とした場合に、0.1モル%以上であることが好ましく、0.2モル%以上35モル%以下であることがより好ましく、0.3モル%以上30モル%以下であることが更に好ましく、0.3モル%以上10モル%以下であることが特に好ましい。なお、式(2)で表されるジオールに由来する成分の総含有率には、末端基として含まれる式(2)で表されるジオールの含有率が含まれる。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の分子量は目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、数平均分子量Mnは500〜5000であり、好ましくは500〜3500であり、より好ましくは500〜3000である。数平均分子量Mnは、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
<<(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法>>
上述した(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は特に制限されず、通常用いられるポリカーボネートポリオールの製造方法から適宜選択することができる。例えば、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は、少なくとも1種の下記式(2)で表されるジオールの存在下で、下記式(1a)で表されるジオールの少なくとも1種(好ましくは、少なくとも2種)と、脂肪族炭酸エステルの少なくとも1種とを反応させる工程(以下、「縮合工程」ともいう)を含むことが好ましい。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は必要に応じて精製工程等のその他の工程を更に含んでいてもよい。
上述した(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は特に制限されず、通常用いられるポリカーボネートポリオールの製造方法から適宜選択することができる。例えば、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は、少なくとも1種の下記式(2)で表されるジオールの存在下で、下記式(1a)で表されるジオールの少なくとも1種(好ましくは、少なくとも2種)と、脂肪族炭酸エステルの少なくとも1種とを反応させる工程(以下、「縮合工程」ともいう)を含むことが好ましい。(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法は必要に応じて精製工程等のその他の工程を更に含んでいてもよい。
式(1a)中、R1は炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。式(1a)におけるR1の詳細及び好ましい態様は式(1)におけるR1と同様である。式(2)中、R2は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を表す。
式(2)で表されるジオールの存在下で、式(1a)で表されるジオール及び脂肪族炭酸エステルを反応させると、式(2)で表されるジオールにおける2級アルコールの反応性が1級アルコールに比べて低いため、ポリカーボネートポリオールの末端に式(2)で表されるジオールに由来する末端基が形成される傾向にある。また、式(2)で表されるジオールの2級ヒドロキシ基が、形成される(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の末端ヒドロキシ基となるように(a)特定末端構造を有するポリオール化合物が形成される傾向がある。
式(1a)で表されるジオールとして具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の側鎖を持たない炭素数2〜12のアルカンジオール;2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等の側鎖を有する炭素数2〜12のアルカンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7−ノルボルナンジオール等の炭素数6〜12の脂環式構造を有するジオールなどが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、式(1a)で表されるジオールの少なくとも1種は、側鎖を持たない炭素数2〜12の直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、炭素数5又は6の直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
また式(1a)で表されるジオールの少なくとも1種は、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも1種であることもまた好ましい。
また式(1a)で表されるジオールの少なくとも1種は、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも1種であることもまた好ましい。
式(2)で表されるジオールとして具体的には、1,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,5−ノナンジオール、1,5−デカンジオール、1,5−ウンデカンジオール等を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、1,5−ヘキサンジオール、1,5−オクタンジオール及び1,5−デカンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、1,5−ヘキサンジオールがより好ましい。
これらの中でも、1,5−ヘキサンジオール、1,5−オクタンジオール及び1,5−デカンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、1,5−ヘキサンジオールがより好ましい。
式(1a)で表されるジオールは、脂肪族炭酸エステルと反応してポリカーボネート鎖を形成する。脂肪族炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭素数1〜4のアルキル基を有する炭酸ジアルキル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステルが挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭酸エステルとしては、不要な副生成物を容易に除去可能である点から、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。脂肪族炭酸エステルは1種単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の製造方法において、式(1a)で表されるジオール及び式(2)で表されるジオールの合計量に対する脂肪族炭酸エステルの使用量のモル比は、例えば0.9〜1.5とすることができ、好ましくは1.0〜1.3である。
式(1a)で表されるジオールに対する式(2)で表されるジオールの使用量のモル比は、目的とする(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の分子量等に応じて適宜選択される。すなわち、式(1a)で表されるジオールに対して、式(2)で表されるジオールの使用量のモル比が0.1モル%〜20.0モル%となるように選択するのが好ましい。
縮合工程における温度は、例えば50〜250℃とすることができ、好ましくは70〜220℃である。縮合工程における圧力は、例えば133kPa以下とすることができ、好ましくは0.01〜101kPaである。反応時間は、例えば5〜48時間とすることができる。
縮合工程は、副生するアルコール等を系外に除きながら行うことが好ましい。その際、脂肪族炭酸エステルが副生するアルコール等と共沸することにより系外へ抜け出る場合には、過剰量の脂肪族炭酸エステルを加えてもよい。
縮合工程は、触媒を使用して行ってもよい。触媒は、公知のエステル交換反応に用いられる触媒から適宜選択して用いることができる。触媒として具体的には例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム等の金属、又はその塩、アルコキシド若しくは有機化合物を使用することができる。特に好ましいのは、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、スズ等の化合物であり、例えば水素化ナトリウム、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキサイド等が挙げられる。触媒の使用量は、ポリカーボネートポリオールの製造における全仕込み量に対して、好ましくは1〜20000質量ppmであり、より好ましくは10〜5000質量ppmであり、20〜4000質量ppmであることが特に好ましい。
縮合工程の終了後、必要に応じて、未反応のジオール等を留去等する精製工程により、所望の(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を得ることができる。
<<(b)ポリイソシアネート化合物>>
(b)ポリイソシアネート化合物としては、特に制限されないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
(b)ポリイソシアネート化合物としては、特に制限されないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子当たりイソシアナト基を2個有するものを使用することができるが、(A1)ポリウレタンプレポリマーがゲル化をしない範囲で、トリフェニルメタントリイソシアネートのような、1分子当たりイソシアナト基を3個以上有するポリイソシアネート化合物も使用することができる。
ポリイソシアネート化合物の中でも、塗膜の耐久性が上がる点、塗膜作製の際に増粘性が高い点から、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、反応の制御が行いやすいという点から、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)が特に好ましい。
ポリイソシアネートは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
<<(c)酸性基含有ポリオール>>
(c)酸性基含有ポリオールは、1分子中に2個以上の水酸基(フェノール性水酸基は除く)と、1個以上の酸性基を含有するものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。(c)酸性基含有ポリオールとして、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシ基を有する化合物を含有するものが好ましい。(c)酸性基含有ポリオールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(c)酸性基含有ポリオールは、1分子中に2個以上の水酸基(フェノール性水酸基は除く)と、1個以上の酸性基を含有するものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。(c)酸性基含有ポリオールとして、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシ基を有する化合物を含有するものが好ましい。(c)酸性基含有ポリオールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(c)酸性基含有ポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸が挙げられる。中でも入手の容易さの観点から、2個のメチロール基を含む炭素数4〜12のジメチルロールアルカン酸が好ましい。ジメチロールアルカン酸の中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸がより好ましい。
本発明において、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、(c)酸性基含有ポリオールと、(d)その他のポリオールとの合計の水酸基当量数は、120〜1,000であることが好ましい。水酸基当量数が、この範囲であれば、得られたポリウレタン樹脂を含む水性樹脂分散体の製造が容易であり、硬度の点で優れた塗膜が得られやすい。得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性と塗布して得られる塗膜の硬度、乾燥性、増粘性の観点から、水酸基当量数は、好ましくは150〜800、より好ましくは200〜700、特に好ましくは300〜600である。
水酸基当量数は、以下の式(1)及び(2)で算出することができる。
各ポリオールの水酸基当量数=各ポリオールの分子量/各ポリオールの水酸基の数(フェノール性水酸基は除く)・・・(1)
ポリオールの合計の水酸基当量数=M/ポリオールの合計モル数・・・(2)
(A)ポリウレタン樹脂の場合、式(2)において、Mは、[〔(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の水酸基当量数×(a)特定末端構造を有するポリオール化合物のモル数〕+〔(c)酸性基含有ポリオールの水酸基当量数×(c)酸性基含有ポリオールのモル数〕+〔(d)その他のポリオールの水酸基当量数×(d)その他のポリオールのモル数〕]を示す。
各ポリオールの水酸基当量数=各ポリオールの分子量/各ポリオールの水酸基の数(フェノール性水酸基は除く)・・・(1)
ポリオールの合計の水酸基当量数=M/ポリオールの合計モル数・・・(2)
(A)ポリウレタン樹脂の場合、式(2)において、Mは、[〔(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の水酸基当量数×(a)特定末端構造を有するポリオール化合物のモル数〕+〔(c)酸性基含有ポリオールの水酸基当量数×(c)酸性基含有ポリオールのモル数〕+〔(d)その他のポリオールの水酸基当量数×(d)その他のポリオールのモル数〕]を示す。
<<(d)その他のポリオール化合物>>
本発明の(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物以外に、(d)その他のポリオール化合物を含んでも良い。(d)その他のポリオール化合物には、高分子量ポリオール又は低分子量ポリオールを用いることができる。ポリオール化合物は、1分子中に2つ以上の水酸基を有していれば、その種類に特に制限はない。
本発明の(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物以外に、(d)その他のポリオール化合物を含んでも良い。(d)その他のポリオール化合物には、高分子量ポリオール又は低分子量ポリオールを用いることができる。ポリオール化合物は、1分子中に2つ以上の水酸基を有していれば、その種類に特に制限はない。
高分子量ポリオールは、特に制限されないが、数平均分子量が400〜8,000であることが好ましい。数平均分子量がこの範囲であれば、適切な粘度及び良好な取り扱い性が得られる。また、ソフトセグメントとしての性能の確保が容易であり、得られたポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて塗膜を形成した場合に、割れの発生を抑制し易い。更に、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と(b)ポリイソシアネート化合物との反応性が充分なものとなり、(A)ポリウレタン樹脂の製造を効率的に行うこともできる。高分子量ポリオールは、数平均分子量が400〜4,000であることがより好ましい。
本明細書において、数平均分子量は、JIS K 1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1,000×価数)/水酸基価 [mgKOH/g]で算出する。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
また高分子量ポリオールには、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造の容易さから、高分子量ジオールを用いることが好ましい。高分子量ジオールとしては、例えば、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール等が挙げられる。ポリウレタン樹脂を含む水性樹脂分散体、及び該水性樹脂分散体から得られる塗膜の耐光性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、耐油性の点から、ポリカーボネートジオールが好ましい。
ポリカーボネートジオールの中でも、ジオール成分が脂肪族ジオール及び/又は脂環族ジオールであることが好ましく、得られた(A)ポリウレタン樹脂の粘度が低く、取り扱いが容易な点、水系媒体への分散性が良好な点、塗膜作成時の乾燥性が高い点等から、ジオール成分が脂環構造を有さない脂肪族ジオールであることがより好ましい。
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリウレタン樹脂を含む水性樹脂分散体、及び該水性樹脂分散体から得られる塗膜の耐光性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、耐油性の点から、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルやホスゲンとを反応させることにより得られる。製造が容易な点及び末端塩素化物の副生成がない点から、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが好ましい。
本発明でいうポリカーボネートポリオールは、その分子中に、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
本発明でいうポリカーボネートポリオールは、その分子中に、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
ポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリオールモノマー、脂環構造を有するポリオールモノマー、芳香族ポリオールモノマー、ポリエステルポリオールモノマー、ポリエーテルポリオールモノマーが挙げられる。
脂肪族ポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール等の分岐鎖状脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコールが挙げられる。
脂環構造を有するポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,7−ノルボルナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等の主鎖に脂環式構造を有するジオールが挙げられる。
芳香族ポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,2−ベンゼンジメタノール、4,4’−ナフタレンジメタノール、3,4’−ナフタレンジメタノールが挙げられる。
ポリエステルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、6−ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール、アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。
炭酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル、ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステルが挙げられる。その他に、ポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲン等も使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオールの製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、ジメチルカーボネートが特に好ましい。
ポリオールモノマー及び炭酸エステルからポリカーボネートポリオールを製造する方法としては、例えば、反応器中に炭酸エステルと、この炭酸エステルのモル数に対して過剰のモル数のポリオールモノマーとを加え、温度160〜200℃、圧力50mmHg程度で5〜6時間反応させた後、更に数mmHg以下の圧力において200〜220℃で数時間反応させる方法が挙げられる。上記反応においては副生するアルコールを系外に抜き出しながら反応させることが好ましい。その際、炭酸エステルが副生するアルコールと共沸することにより系外へ抜け出る場合には、過剰量の炭酸エステルを加えてもよい。また、上記反応において、チタニウムテトラブトキシド等の触媒を使用してもよい。
ポリカーボネートジオールとしては、特に制限されないが、例えば、1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。更に、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等を用いてもよい。
低分子量ポリオールとしては、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造の容易さから、低分子量ジオールを用いることもできる。低分子量ジオールとしては、特に制限されないが、例えば、数平均分子量が60以上400未満のものが挙げられる。低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の炭素数2〜9の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン等の炭素数6〜12の環式構造を有するジオールを挙げることができる。また、前記低分子量ポリオールとして、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコールを用いることもできる。
なお、(d)その他のポリオール化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
<<(A)ポリウレタン樹脂>>
本発明における(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、前記(b)ポリイソシアネート化合物、及び、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とするものであれば特に制限されない。(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、前記(b)ポリイソシアネート化合物、及び、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A1)ポリウレタンプレポリマーが、鎖延長剤(B)により鎖延長されているものであってもよい。また前記(A1)ポリウレタンプレポリマーは、さらに末端停止剤を構成成分とするものであっても良い。
本発明における(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、前記(b)ポリイソシアネート化合物、及び、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とするものであれば特に制限されない。(A)ポリウレタン樹脂は、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、前記(b)ポリイソシアネート化合物、及び、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A1)ポリウレタンプレポリマーが、鎖延長剤(B)により鎖延長されているものであってもよい。また前記(A1)ポリウレタンプレポリマーは、さらに末端停止剤を構成成分とするものであっても良い。
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーが後述する(B)鎖延長剤によって鎖延長される際、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、(c)酸性基含有ポリオール化合物、(B)鎖延長剤、及び場合により末端停止剤の全量を100質量部とした場合に、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の割合は好ましくは30〜80質量部、より好ましくは40〜75質量部、特に好ましくは50〜70質量部である。前記(c)酸性基含有ポリオール化合物の割合は好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは3〜7質量部である。前記(d)その他のポリオールの割合は好ましくは、0〜20重量部である。前記末端停止剤の割合は、所望する(A1)ポリウレタンプレポリマーの分子量等に応じて適宜決定することができる。
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の割合を30質量部以上とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性が高くなる傾向があり、80質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性が向上する傾向がある。
前記(c)酸性基含有ポリオール化合物の割合を0.5質量部以上とすることで、得られるポリウレタン樹脂の水系媒体中への分散性が良好になる傾向があり、10質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性がより高くなる傾向がある。また、水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得た塗膜の耐水性を高くすることができ、得られるフィルムの柔軟性も良好になる傾向がある。
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物の割合を30質量部以上とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性が高くなる傾向があり、80質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性が向上する傾向がある。
前記(c)酸性基含有ポリオール化合物の割合を0.5質量部以上とすることで、得られるポリウレタン樹脂の水系媒体中への分散性が良好になる傾向があり、10質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性がより高くなる傾向がある。また、水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得た塗膜の耐水性を高くすることができ、得られるフィルムの柔軟性も良好になる傾向がある。
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーが後述する(B)鎖延長剤によって鎖延長される場合、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物、場合により(d)その他のポリオール化合物の全水酸基のモル数に対する、(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基のモル数の比は、1.05〜2.5が好ましい。前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物及び前記(c)酸性基含有ポリオール化合物、場合により(d)その他のポリオール化合物の全水酸基のモル数に対する、前記(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基のモル数の比を1.05以上とすることで、分子末端にイソシアナト基を有しない(A1)ポリウレタンプレポリマーの量が少なくなり、(B)鎖延長剤と反応しない分子が少なくなるため、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体を乾燥した後に、フィルムを形成しやすくなる。また、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物及び前記(c)酸性基含有ポリオール化合物、(d)その他のポリオール化合物の全水酸基のモル数に対する、前記(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基のモル数の比を2.5以下とすることで、反応系内に残る未反応の前記(b)ポリイソシアネート化合物の量が少なくなり、前記(b)ポリイソシアネート化合物と前記(B)鎖延長剤が効率的に反応し、水との反応による望まない鎖延長を起こしにくくなるため、水性ポリウレタン樹脂分散体の調製を適切に行うことができ、貯蔵安定性も向上する。また、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性が高くなり、ポリウレタンフィルムの弾性率が低くなる傾向がある。前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物及び前記(c)酸性基含有ポリオール化合物、(d)その他のポリオール化合物の全水酸基のモル数に対する、前記(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基のモル数の比は、好ましくは1.1〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.8である。
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーが後述する(B)鎖延長剤によって鎖延長される際、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、(c)酸性基含有ポリオール化合物、(d)その他のポリオール、後述する(B)鎖延長剤及び、場合により末端停止剤との全量を100質量部とした場合に、(b)ポリイソシアネート化合物の量は、上記モル比の条件を満たす範囲で、(a)、(c)及び(d)の種類又は量に合わせて適宜設定することができる。
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、前記(d)その他のポリオール化合物と(b)ポリイソシアネート化合物とを構成成分として、前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを得る場合には、(a)、(c)、(d)を順不同で(b)と反応させることができる。(a)、(c)及び(d)を同時に(b)と反応させても良い。
前記ポリウレタンプレポリマーを得る反応の際には、触媒を用いることもできる。前記触媒としては、特に制限はされないが、例えば、スズ(錫)系触媒(トリメチル錫ラウリレート、ジブチル錫ジラウリレート等)や鉛系触媒(オクチル酸鉛等)等の金属と有機又は無機酸の塩、並びに有機金属誘導体、アミン系触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等)、ジアザビシクロウンデセン系触媒が挙げられる。中でも、反応性の観点から、ジブチル錫ジラウリレートが好ましい。
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物及び前記(d)その他のポリオール化合物と前記(b)ポリイソシアネート化合物とを反応させる際の反応温度としては、特に制限はされないが、40〜150℃が好ましい。反応温度を40℃以上とすることで、原料が十分に溶解し又は原料が十分な流動性を得て、得られた(A1)ポリウレタンプレポリマーの粘度を低くして充分な撹拌を行うことができる。反応温度を150℃以下とすることで、副反応が起こる等の不具合を起こさずに、反応を進行させることができる。反応温度として更に好ましくは60〜120℃である。
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、前記(d)その他のポリオール化合物と、前記(b)ポリイソシアネート化合物とを構成成分としてポリウレタン樹脂を調製する場合、無溶媒でも有機溶媒を加えて行ってもよい。無溶媒で反応を行う場合には、前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、前記(d)その他のポリオール化合物と、前記(b)ポリイソシアネート化合物の混合物が、液状であることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、β−アルコキシプロピオンアミド(出光興産製エクアミド(登録商標);例えばエクアミドM−100、エクアミドB−100)、酢酸エチルが挙げられる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが、ポリウレタンプレポリマーを水に分散し、鎖延長反応を行った後に加熱又は減圧により除去できるので好ましい。また、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、β−アルコキシプロピオンアミドは、得られた水性ポリウレタン樹脂分散体から塗膜を作製する際に造膜助剤として働くため好ましい。有機溶媒の添加量は、前記(a)ポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、前記(d)その他のポリオール化合物と、前記(b)ポリイソシアネート化合物との全量に対して質量基準で、好ましくは0.1〜2.0倍であり、より好ましくは0.15〜0.8倍である。
本発明において、(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価(AV)は、8〜30mgKOH/gが好ましく、より好ましくは、10〜22mgKOH/gであり、特に好ましくは14〜19mgKOH/gである。(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価を8mgKOH/g以上とすることで、水系媒体への分散性、貯蔵安定性を良くすることができる傾向がある。また、(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価を30mgKOH/g以下とすることで、乾燥性をより向上させることができたり、得られるポリウレタン樹脂の塗膜の耐水性を高め、得られるフィルムの柔軟性を高くすることができる傾向がある。
なお、本発明において、「(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価」とは、(A1)ポリウレタンプレポリマーを製造するにあたって用いられる溶媒及び前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させるための中和剤を除いたいわゆる固形分中の酸価である。
具体的には、(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価は、下記式(3)によって導き出すことができる。
〔(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価〕=〔((c)酸性基含有ポリオール化合物のミリモル数)×((c)酸性基含有ポリオール化合物1分子中の酸性基の数)〕×56.11/〔(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(c)酸性基含有ポリオール化合物、(d)その他のポリオール化合物、及びポリイソシアネート化合物(b)の合計の質量〕・・・(3)
なお、本発明において、「(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価」とは、(A1)ポリウレタンプレポリマーを製造するにあたって用いられる溶媒及び前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させるための中和剤を除いたいわゆる固形分中の酸価である。
具体的には、(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価は、下記式(3)によって導き出すことができる。
〔(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸価〕=〔((c)酸性基含有ポリオール化合物のミリモル数)×((c)酸性基含有ポリオール化合物1分子中の酸性基の数)〕×56.11/〔(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(c)酸性基含有ポリオール化合物、(d)その他のポリオール化合物、及びポリイソシアネート化合物(b)の合計の質量〕・・・(3)
<<(B)鎖延長剤>>
(B)鎖延長剤の例としては、イソシアナト基と反応性を有する化合物が挙げられる。例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水が挙げられ、中でも得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性の観点から、ポリアミン化合物が好ましく、ジアミン化合物がより好ましく、1級ジアミンがさらに好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(B)鎖延長剤の例としては、イソシアナト基と反応性を有する化合物が挙げられる。例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水が挙げられ、中でも得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性の観点から、ポリアミン化合物が好ましく、ジアミン化合物がより好ましく、1級ジアミンがさらに好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(B)鎖延長剤の添加量は、得られるポリウレタンプレポリマー中の鎖延長起点となるイソシアナト基の当量以下であることが好ましく、より好ましくはイソシアナト基の0.7〜0.99当量である。イソシアナト基の当量以下の量で(B)鎖延長剤を添加することで、鎖延長されたウレタンポリマーの分子量を低下させず、得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得た塗膜の強度を高くすることができる傾向がある。(B)鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーの水への分散後に添加してもよく、分散中に添加してもよい。鎖延長は水によっても行うことができる。この場合は分散媒としての水が鎖延長剤を兼ねることになる。
<<水系媒体>>
水性ポリウレタン樹脂分散体においては、(A)ポリウレタン樹脂は水系媒体中に分散されている。水系媒体としては、例えば水や水と有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。
前記水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。中でも入手の容易さや塩の影響で粒子が不安定になること等を考慮して、イオン交換水を用いることが好ましい。
前記親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;N−メチルモルホリン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性の親水性有機溶媒等が挙げられる。
前記水系媒体中の前記親水性有機溶媒の量としては、0〜20重量%が好ましい。
水性ポリウレタン樹脂分散体においては、(A)ポリウレタン樹脂は水系媒体中に分散されている。水系媒体としては、例えば水や水と有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。
前記水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。中でも入手の容易さや塩の影響で粒子が不安定になること等を考慮して、イオン交換水を用いることが好ましい。
前記親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;N−メチルモルホリン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性の親水性有機溶媒等が挙げられる。
前記水系媒体中の前記親水性有機溶媒の量としては、0〜20重量%が好ましい。
(水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法)
次に、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法について説明する。水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法は、
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、(d)その他のポリオール化合物を(b)ポリイソシアネート化合物と反応させて(A1)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(β)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(γ)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーと、前記(A1)ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)を含む。
次に、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法について説明する。水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法は、
前記(a)特定末端構造を有するポリオール化合物と、前記(c)酸性基含有ポリオール化合物と、(d)その他のポリオール化合物を(b)ポリイソシアネート化合物と反応させて(A1)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(β)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(γ)、
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーと、前記(A1)ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)を含む。
前記(A)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)は、不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、大気雰囲気下で行ってもよい。(A1)ポリウレタンプレポリマーを調製する方法は、先に記載したとおりである。
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(β)において、水系媒体中に(A1)ポリウレタンプレポリマーを分散させる方法としては、特に制限されないが、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されている水系媒体中に、(A1)ポリウレタンプレポリマーを添加する方法、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されている(A1)ポリウレタンプレポリマーに水系媒体を添加する方法等がある。
前記工程(β)と前記工程(γ)は、いずれを先に行ってもよい。すなわち、工程(α)で得られた(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体に分散させた後に中和剤を加えてもよく、工程(α)で得られた(A1)ポリウレタンプレポリマーに中和剤を加えた後に水系媒体に分散させても良い。中和剤を水系媒体に分散させた分散媒を予め用意し、当該分散媒に工程(α)で得られた(A1)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体に入れることで、工程(β)と工程(γ)を同時に行うこともできる。(A1)ポリウレタンプレポリマーの水系媒体への分散性が高くなるという点で、(A1)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(γ)を行った後に、工程(β)を行うことが好ましい。
前記(A1)ポリウレタンプレポリマーと、前記(A1)ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)において、前記工程(δ)は冷却下でゆっくりと行ってもよく、また場合によっては60℃以下の加熱条件下で反応を促進して行ってもよい。冷却下における反応時間は、例えば0.5〜24時間とすることができ、60℃以下の加熱条件下における反応時間は、例えば0.1〜6時間とすることができる。
水性ポリウレタン樹脂分散体の製造において、前記工程(β)と、前記工程(γ)とは、どちらを先に行ってもよいし、同時に行うこともできる。前記工程(β)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。また、前記工程(γ)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。分散安定性が向上する点から、前記工程(γ)を行った後に、前記工程(δ)を行うことが好ましい。
更に、前記工程(β)と、前記工程(γ)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。
更に、前記工程(β)と、前記工程(γ)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。
水性ポリウレタン樹脂分散体中のポリウレタン樹脂の割合は、5〜60質量%が好ましく、より好ましくは15〜50質量%である。
本発明のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、通常25,000〜10,000,000程度である。より好ましくは、50,000〜5,000,000であり、更に好ましくは、100,000〜1,000,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものであり、予め作成した標準ポリスチレンの検量線から求めた換算値を使用することができる。重量平均分子量を25,000以上とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥により、良好なフィルムを得ることができる傾向がある。重量平均分子量を1,000,000以下とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性をより高くすることができる傾向がある。
また、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体には、必要に応じて、増粘剤、光増感剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の添加剤を添加することもできる。前記添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの添加剤の種類は当業者に公知であり、一般に用いられる範囲の量で使用することができる。
<塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物>
本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物にも関する。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、上記水性ポリウレタン樹脂分散体以外にも、他の樹脂を添加することもできる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。他の樹脂は、1種以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物にも関する。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、上記水性ポリウレタン樹脂分散体以外にも、他の樹脂を添加することもできる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。他の樹脂は、1種以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、通常、酸成分とアルコ−ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を使用することができる。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度が好ましく、50〜250mgKOH/g程度がより好ましく、80〜180mgKOH/g程度が更に好ましい。前記ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、15〜100mgKOH/g程度がより好ましく、25〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000が好ましく、1,000〜300,000がより好ましく、1,500〜200,000が更に好ましい。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度が好ましく、50〜250mgKOH/g程度がより好ましく、80〜180mgKOH/g程度が更に好ましい。前記ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、15〜100mgKOH/g程度がより好ましく、25〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000が好ましく、1,000〜300,000がより好ましく、1,500〜200,000が更に好ましい。
アクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂が好ましい。水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとを、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の既知の方法によって共重合させることにより製造できる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、アニオン性官能基を有することが好ましい。アニオン性官能基を有する水酸基含有アクリル樹脂については、例えば、重合性不飽和モノマーの1種として、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを用いることにより製造できる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、組成物の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜100mgKOH/g程度がより好ましく、3〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基等の酸基を有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜150mgKOH/g程度がより好ましく、5〜100mgKOH/g程度が更に好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜100,000がより好ましく、更に好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好適である。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、組成物の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜100mgKOH/g程度がより好ましく、3〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基等の酸基を有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜150mgKOH/g程度がより好ましく、5〜100mgKOH/g程度が更に好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜100,000がより好ましく、更に好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好適である。
ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体又は共重合体が挙げられ、例えばポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、ポリオキシブチレン系ポリエーテル、ビスフェノールA又はビスフェノールF等の芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール化合物から製造された重合体が挙げられ、例えばビスフェノールA・ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネートとの反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。
アルキド樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等の多塩基酸と多価アルコールに、更に油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、オレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと通常の重合法に従って重合又は共重合することにより得られるポリオレフィン樹脂を、乳化剤を用いて水分散するか、あるいはオレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと共に乳化重合することにより得られる樹脂が挙げられる。また、場合により、前記のポリオレフィン樹脂が塩素化されたいわゆる塩素化ポリオレフィン変性樹脂を用いてもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、スチレン類等の共役ジエン又は非共役ジエンが挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、スチレン類等の共役ジエン又は非共役ジエンが挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物は、硬化剤を含むことができ、これにより、塗料組成物又はコーティング剤組成物を用いて得られる塗膜又は複層塗膜、コーティング膜や印刷物の耐水性等を向上させることができる。
硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、メラミン樹脂、カルボジイミド等を用いることできる。硬化剤は、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。前記アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有する化合物が挙げられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネートとしては、前述のポリイソシアネートのイソシアナト基にブロック剤を付加することによって得られるものが挙げられ、ブロック化剤としては、フェノール、クレゾール等のフェノール系、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール系、マロン酸ジメチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系、アセトアニリド、酢酸アミド等の酸アミド系、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム等のラクタム系、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム系、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミン等のアミン系等のブロック化剤が挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロールメラミン;これらのメチロールメラミンのアルキルエーテル化物又は縮合物;メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物が挙げられる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、着色顔料や体質顔料、光輝性顔料を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、着色顔料として、酸化チタン及び/又はカーボンブラックを使用することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトが挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、体質顔料として、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を使用することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、着色顔料として、酸化チタン及び/又はカーボンブラックを使用することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトが挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、体質顔料として、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を使用することができる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の添加剤を含有することができる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物の製造方法は、特に制限されないが、公知の製造方法を用いることができる。一般的には、塗料組成物及びコーティング剤組成物は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体と上述した各種添加剤を混合し、更に水系媒体を添加し、適用方法に応じた粘度に調整することにより製造される。
塗料組成物の被塗装材質、コーティング剤組成物の被コーティング材質又はインク組成物の被適用材質としては、金属、プラスチック、無機物、木材等が挙げられる。
塗料組成物の塗装方法又はコーティング剤組成物のコーティング方法としては、例えば、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装が挙げられる。インク組成物の適用方法としては、例えば、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法が挙げられる。
硬化後の塗膜の厚さは、特に制限されないが、1〜100μmの厚さが好ましい。より好ましくは、3〜50μmの厚さの塗膜を形成することが好ましい。
<ポリウレタン樹脂フィルム>
本発明は、更に、上記水性ポリウレタン樹脂分散体から得られるポリウレタン樹脂フィルムにも関する。
本発明は、更に、上記水性ポリウレタン樹脂分散体から得られるポリウレタン樹脂フィルムにも関する。
水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて、ポリウレタン樹脂フィルムを得ることもできる。水性ポリウレタン樹脂分散体を離形性基材に適用し、加熱等の手段により乾燥、硬化させ、続いてポリウレタン樹脂の硬化物を離形性基材から剥離させることで、ポリウレタン樹脂フィルムが得られる。
乾燥、硬化方法の一例として加熱を行う場合、加熱方法としては、例えば型ごと熱風オーブンや電気炉、赤外線誘導加熱炉に入れて加熱する方法等が挙げられる。
また加熱温度としては、40〜200℃であることが好ましく、より好ましくは60〜160℃である。このような温度で加熱することにより、より効率的に乾燥を行うことができる。加熱時間としては、0.0001〜20時間が好ましく、より好ましくは1〜10時間である。このような加熱時間とすることにより、より硬度の高いポリウレタン樹脂フィルムを得ることができる。ポリウレタン樹脂フィルムを得るための好ましい乾燥条件は、例えば、120℃で3〜60秒の加熱が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量の算出方法)
ポリオール化合物の数平均分子量は、下記式により算出した。
数平均分子量=(56100×2)/水酸基価
なお、ポリカーボネートポリオールの水酸基価は、JIS K 1557に準拠して、滴定で求めた。水酸基価の単位は、mgKOH/gである。
ポリオール化合物の数平均分子量は、下記式により算出した。
数平均分子量=(56100×2)/水酸基価
なお、ポリカーボネートポリオールの水酸基価は、JIS K 1557に準拠して、滴定で求めた。水酸基価の単位は、mgKOH/gである。
(1級末端OH比率の測定方法)
70〜100gのポリオール化合物を300mlのナス型フラスコに測り取り、留分回収用のトラップ球を接続したロータリーエバポレーターを用いて、0.4kPa以下の圧力下で、約180℃の加熱浴で加熱し、撹拌して、トラップ球に該ポリカーボネートポリオールの約1〜2重量%に相当する留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得た。これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー分析(以下、GC分析と称す。)して、得られるクロマトグラフのピーク面積の値から、下記式により、1級OH末端比率を計算した。
なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所社製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃から20℃/minで150℃まで昇温させた後、その温度で15.5分間保持し、さらに20℃/minで250℃まで昇温させた後、その温度で15分間保持した。
GC分析における各ピークの同定は、アルコール標準試料との保持時間の比較及び下記GC/MS測定にて行った。カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)を付けたGCmateII(日本電子製)を用い、カラムの昇温プロファイルは、60℃から20℃/minで150℃まで昇温させた後、その温度で15.5分間保持し、さらに20℃/minで250℃まで昇温させた後、その温度で15分間保持した。MSのイオン化法はEI法及びCI法、スキャン範囲m/zは10〜500で行った。
70〜100gのポリオール化合物を300mlのナス型フラスコに測り取り、留分回収用のトラップ球を接続したロータリーエバポレーターを用いて、0.4kPa以下の圧力下で、約180℃の加熱浴で加熱し、撹拌して、トラップ球に該ポリカーボネートポリオールの約1〜2重量%に相当する留分、即ち約1g(0.7〜2g)の留分を得た。これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー分析(以下、GC分析と称す。)して、得られるクロマトグラフのピーク面積の値から、下記式により、1級OH末端比率を計算した。
なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所社製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃から20℃/minで150℃まで昇温させた後、その温度で15.5分間保持し、さらに20℃/minで250℃まで昇温させた後、その温度で15分間保持した。
GC分析における各ピークの同定は、アルコール標準試料との保持時間の比較及び下記GC/MS測定にて行った。カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)を付けたGCmateII(日本電子製)を用い、カラムの昇温プロファイルは、60℃から20℃/minで150℃まで昇温させた後、その温度で15.5分間保持し、さらに20℃/minで250℃まで昇温させた後、その温度で15分間保持した。MSのイオン化法はEI法及びCI法、スキャン範囲m/zは10〜500で行った。
1級末端OH比率(%)=B÷A×100
式中、Aはジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和を表し、Bは両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和を表す。
式中、Aはジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和を表し、Bは両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和を表す。
(特定末端OH比率の測定方法)
上記1級末端OH比率の測定方法において、両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和Bの代わりに、式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和B2を用いて、下記式により特定末端OH比率を算出した。
特定末端OH比率(%)=B2÷A×100
式中、Aはジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和を表し、B2は式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和を表す。
上記1級末端OH比率の測定方法において、両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和Bの代わりに、式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和B2を用いて、下記式により特定末端OH比率を算出した。
特定末端OH比率(%)=B2÷A×100
式中、Aはジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和を表し、B2は式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和を表す。
(H/C比)
上記1級末端OH比率の測定方法において、式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和B2、及び、式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和B3を用いて、下記式によりH/C比を算出した。
H/C比=B2÷B3
式中、B2は式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和を表し、B3は式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和を表す。
上記1級末端OH比率の測定方法において、式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和B2、及び、式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和B3を用いて、下記式によりH/C比を算出した。
H/C比=B2÷B3
式中、B2は式(2)で表されるジオールのピーク面積の総和を表し、B3は式(3)で表されるジオールのピーク面積の総和を表す。
(ポリオール化合物中の式(2)で表されるジオールに由来する成分の含有率の測定方法)
ポリオール化合物約1gをフラスコに精秤し、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて100℃のオイルバスで1時間加熱した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを1〜2滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去し、エタノールで100mlにメスアップしてGC分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後10℃/minで250℃まで昇温、又は70℃から12℃/minで250℃まで昇温させた。検量線法により各ジオール成分を定量し、全ジオール成分の合計量を100モル%として式(2)で表されるジオール成分の含有率(モル%)を計算した。
ポリオール化合物約1gをフラスコに精秤し、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて100℃のオイルバスで1時間加熱した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを1〜2滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去し、エタノールで100mlにメスアップしてGC分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後10℃/minで250℃まで昇温、又は70℃から12℃/minで250℃まで昇温させた。検量線法により各ジオール成分を定量し、全ジオール成分の合計量を100モル%として式(2)で表されるジオール成分の含有率(モル%)を計算した。
(C5/C6の測定方法)
ポリオール化合物約1gをフラスコに精秤し、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて100℃のオイルバスで1時間加熱した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを1〜2滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去し、エタノールで100mlにメスアップしてGC分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後10℃/minで250℃まで昇温、又は70℃から12℃/minで250℃まで昇温させた。検量線法により炭素数が5のジオール(C5)及び炭素数が6のジオール(C6)の含有モル数をそれぞれ定量し、C6の含有量に対するC5の含有量のモル比(C5/C6)を計算した。
ポリオール化合物約1gをフラスコに精秤し、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて100℃のオイルバスで1時間加熱した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを1〜2滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去し、エタノールで100mlにメスアップしてGC分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製、30m、膜厚0.25μm)を付けたガスクロマトグラフGC−2010A(島津製作所製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後10℃/minで250℃まで昇温、又は70℃から12℃/minで250℃まで昇温させた。検量線法により炭素数が5のジオール(C5)及び炭素数が6のジオール(C6)の含有モル数をそれぞれ定量し、C6の含有量に対するC5の含有量のモル比(C5/C6)を計算した。
C5/C6=α÷β
式中、αは炭素数5のジオールのモル数の総和を表し、βは炭素数6のジオールのモル数の総和を表す。
式中、αは炭素数5のジオールのモル数の総和を表し、βは炭素数6のジオールのモル数の総和を表す。
[合成例1]
精留塔、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製丸底フラスコに、ジメチルカーボネートと、1,6−ヘキサンジオールと、1,5−ペンタンジオールと、1,5−ヘキサンジオールとチタンテトラブトキサイドとを仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中でメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、エステル交換反応を行った。この間、留出物の組成がメタノールとジメチルカーボネートとの共沸組成ないしはその近傍となるように調節した。次いで、減圧してメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を更に留去した後、ジオール成分を留去しながら反応させて、ポリカーボネートポリオール1(PCD−1)を得た。
精留塔、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製丸底フラスコに、ジメチルカーボネートと、1,6−ヘキサンジオールと、1,5−ペンタンジオールと、1,5−ヘキサンジオールとチタンテトラブトキサイドとを仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中でメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、エステル交換反応を行った。この間、留出物の組成がメタノールとジメチルカーボネートとの共沸組成ないしはその近傍となるように調節した。次いで、減圧してメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を更に留去した後、ジオール成分を留去しながら反応させて、ポリカーボネートポリオール1(PCD−1)を得た。
得られたポリカーボネートポリオール1(PCD−1)は、特定末端OH比率が2.5%であり、数平均分子量が1010であり、1級末端OH比率が95.0%であった。
得られたポリカーボネートポリオール1(PCD−1)における式(2)で表されるジオールに由来する成分の含有率は1.5モル%であった。
また、得られたポリカーボネートポリオール1(PCD−1)中における炭素数5のジオール成分の炭素数6のジオール成分に対する含有比(C5/C6)を分析したところ、
C5/C6=1.05であった。
得られたポリカーボネートポリオール1(PCD−1)における式(2)で表されるジオールに由来する成分の含有率は1.5モル%であった。
また、得られたポリカーボネートポリオール1(PCD−1)中における炭素数5のジオール成分の炭素数6のジオール成分に対する含有比(C5/C6)を分析したところ、
C5/C6=1.05であった。
[実施例1]
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置で、合成例1で合成したポリカーボネートジオール(214g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(17.0g)と、水素添加MDI(144g)とを、1−メチル−2−ピロリドン(68.257.0g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で5時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、3.96重量%であった。反応混合物を80℃にした後、トリエチルアミン(12.7g)を加え、30分攪拌した。反応混合物のうち、401gを抜き出し、強攪拌しながら水(718g)に入れた後、35%2−メチルペンタンジアミン水溶液(57.9g)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物を得た。
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置で、合成例1で合成したポリカーボネートジオール(214g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(17.0g)と、水素添加MDI(144g)とを、1−メチル−2−ピロリドン(68.257.0g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で5時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、3.96重量%であった。反応混合物を80℃にした後、トリエチルアミン(12.7g)を加え、30分攪拌した。反応混合物のうち、401gを抜き出し、強攪拌しながら水(718g)に入れた後、35%2−メチルペンタンジアミン水溶液(57.9g)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物を得た。
[比較例1]
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UH100(宇部興産製;数平均分子量1010;水酸基価111.1mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、253g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(21.0g)と、水素添加MDI(180g)とを、1−メチル−2−ピロリドン(79.5g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.4g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で5時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、3.96重量%であった。反応混合物を80℃にした後、トリエチルアミン(15.7g)を加え、30分攪拌した。反応混合物のうち、490gを抜き出し、強攪拌しながら水(870g)に入れた後、35%2−メチルペンタンジアミン水溶液(70.7g)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物を得た。
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UH100(宇部興産製;数平均分子量1010;水酸基価111.1mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、253g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(21.0g)と、水素添加MDI(180g)とを、1−メチル−2−ピロリドン(79.5g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.4g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で5時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、3.96重量%であった。反応混合物を80℃にした後、トリエチルアミン(15.7g)を加え、30分攪拌した。反応混合物のうち、490gを抜き出し、強攪拌しながら水(870g)に入れた後、35%2−メチルペンタンジアミン水溶液(70.7g)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物を得た。
(試験片の作製)
実施例1及び比較例1の各水性ポリウレタン樹脂分散体(10g)に1−メチル−2−ピロリドン(0.4g)、BYK−345(BYK−Chemie社製、0.05g)を入れ、混合した。得られた混合液を、PETフィルム上に、乾燥後の厚さが8ミクロンになるように塗布した後、80℃で2時間、120℃で2時間加熱し、ポリウレタンフィルムを得た。
実施例1及び比較例1の各水性ポリウレタン樹脂分散体(10g)に1−メチル−2−ピロリドン(0.4g)、BYK−345(BYK−Chemie社製、0.05g)を入れ、混合した。得られた混合液を、PETフィルム上に、乾燥後の厚さが8ミクロンになるように塗布した後、80℃で2時間、120℃で2時間加熱し、ポリウレタンフィルムを得た。
(歪回復性)
得られた標線間距離20mmのフィルムを引張試験機により、100mm/minで応力が50MPaになるまで引張した。その後、応力を除去し、気温25℃、湿度50%条件で保管した。1時間後に標線間距離を測定した。
L0:引張試験前の標線間距離 =20mm
L1:応力が50MPaとなった際に標線間距離
L2:応力除去1時間後の標線間距離
L3:50MPa伸度:[(L1−L0)/L0]×100(%)
L4:残留歪:[(L2−L0)/L0]×100(%)
歪回復率: [(L3−L4)/L3]×100(%)
得られた標線間距離20mmのフィルムを引張試験機により、100mm/minで応力が50MPaになるまで引張した。その後、応力を除去し、気温25℃、湿度50%条件で保管した。1時間後に標線間距離を測定した。
L0:引張試験前の標線間距離 =20mm
L1:応力が50MPaとなった際に標線間距離
L2:応力除去1時間後の標線間距離
L3:50MPa伸度:[(L1−L0)/L0]×100(%)
L4:残留歪:[(L2−L0)/L0]×100(%)
歪回復率: [(L3−L4)/L3]×100(%)
実施例1と、比較例1とから、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物を使用した水性ポリウレタン樹脂分散体は、より小さい残留歪と高い歪回復性を示すことが分かった。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、塗料、コーティング剤、プライマー、接着剤、インク、フィルム、合成皮革等の原料として広く利用できる。
Claims (7)
- 少なくとも、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とする(A)ポリウレタン樹脂が、 水系媒体中に分散されており、 (a)特定末端構造を有するポリオール化合物が、下記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を含み、両端にジオールに由来するヒドロキシ基を有する末端基を有し、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの比率を表す特定末端OH比率が少なくとも1.0%であり、末端基を形成するジオール中の下記式(2)で表されるジオールの下記式(3)で表されるジオールに対する比が3.5〜10.5であり、R1のうち少なくとも1種は、炭素数が5の2価の直鎖脂肪族炭化水素基である、水性ポリウレタン樹脂分散体。
- (A)ポリウレタン樹脂は、(A1)ポリウレタンプレポリマーが(B)鎖延長剤により鎖延長されているものであり、 (A1)ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも、(a)特定末端構造を有するポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)酸性基含有ポリオール化合物を構成成分とするものである、請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、塗料組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、コーティング剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、インク組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる、ポリウレタン樹脂フィルム。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる、合成皮革。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001090213A1 (fr) * | 2000-05-24 | 2001-11-29 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Diol de polycarbonate ayant une forte concentration de terminaux oh |
JP2009051887A (ja) * | 2007-08-24 | 2009-03-12 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 反応制御が容易なポリカーボネートジオール |
JP2013018805A (ja) * | 2011-07-07 | 2013-01-31 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 水分散性ウレタンプレポリマー、水分散ポリウレタン樹脂とそれを用いた水系塗料組成物 |
JP2013108196A (ja) * | 2011-11-22 | 2013-06-06 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 合成皮革 |
JP2013209492A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Ube Industries Ltd | ポリカーボネートジオール |
JP2014198808A (ja) * | 2012-07-12 | 2014-10-23 | 宇部興産株式会社 | ポリカーボネートジオール |
-
2015
- 2015-09-01 JP JP2015172341A patent/JP2017048304A/ja active Pending
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