JP2017045671A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルからプラズマへ投入される高周波パワーの損失が小さく、かつ構造が簡易でメンテナンス性に優れたプラズマ処理装置を提供する。【解決手段】反応室を有する容器と、反応室内で被処理物を支持するステージと、容器の開口を塞ぐとともにステージと対向する誘電体部材と、反応室内で誘電体部材を覆うように設置されたカバーと、誘電体部材の反応室に対して外側に設置され、反応室内にプラズマを発生させる誘導コイルと、を備え、誘電体部材の反応室に対して外側の面に溝が形成されており、誘導コイルの少なくとも一部が、溝の中に配置されており、カバーの少なくともステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、第1領域の少なくとも一部は、溝と対向している、プラズマ処理装置。【選択図】図1

Description

本発明は、誘導結合プラズマを利用するプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
誘導結合プラズマ(ICP)型のプラズマ処理装置として、反応室の上部が板状の誘電体部材で閉鎖され、誘電体部材の上に高周波電力を投入するための誘導コイルが配置された構成が知られている。反応室内には、誘電体部材を覆うようにカバーが設けられ、高価な誘電体部材をプラズマから保護している。反応室内は減圧されるので、誘電体部材には大気圧を支持する機械的強度を確保するための厚さが求められる。
近年、被処理物である基板の大口径化(直径300mmあるいは直径450mmなど)に対応するため、プラズマ処理装置の反応室が大型化している。これに伴い、反応室内に高周波を導入するための窓となる誘電体部材も大面積化している。そして、大面積化した誘電体部材の機械的強度を確保するため、誘電体部材の厚みも増大している。しかし、誘電体部材の厚さが大きいほど、誘導コイルからプラズマへ投入される高周波パワーの損失が大きくなり、高密度のプラズマを生成することが困難となる。
一方、プラズマを用いてシリコン基板を個片化するプラズマダイシング工法では、スループットを上げるためにシリコンの高速加工(≧10μm/min)が要望されている。シリコンの加工速度を向上させるためには、高いプラズマ密度が必要とされる。また、加工速度の面内均一性を確保するため、高均一なプラズマ分布も必要とされる。
このように、プラズマ処理装置には、大面積、高密度、高均一なプラズマを生成することが求められている。さらに、シリコンだけでなく金属膜、誘電体膜、化合物半導体の加工も必要となる場合があり、それぞれの膜種に適したエッチング条件での処理を可能とするためには、幅広い圧力領域でプラズマを生成できることも求められる。
特許文献1は、梁状構造物により、誘電体部材の下面側を支持することを提案している。これにより、誘電体部材を薄型化し、誘導コイルをプラズマに近接することが可能となり、機械的強度の確保とプラズマ密度の向上とを両立することができる。
しかし、梁状構造物により、誘電体部材の下面側に凹凸が形成されるため、反応室の上部の構造が複雑になり、装置メンテナンスの手間は増大する。また、梁状構造物による凹凸は、プラズマの分布に悪影響を与えることがある。また、プラズマを生成できる圧力領域にも制限がある。
特開2008−306042号公報
本発明は、装置が大型化した場合においても誘導コイルからプラズマへ投入される高周波パワーの損失が小さく、かつ、誘導コイルからプラズマへ投入される高周波パワーが大きい場合であってもプラズマによるカバーの消耗を抑制することができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供するものである。また、本発明によれば、構造が簡易でメンテナンス性に優れたプラズマ処理装置を提供することができる。
本発明の一局面は、反応室を有する容器と、前記反応室内で被処理物を支持するステージと、前記容器の開口を塞ぐとともに前記ステージと対向する誘電体部材と、前記反応室内で前記誘電体部材を覆うように設置されたカバーと、前記誘電体部材の前記反応室に対して外側に設置され、前記反応室内にプラズマを発生させる誘導コイルと、を備え、前記誘電体部材の前記反応室に対して外側の面に溝が形成されており、前記誘導コイルの少なくとも一部が、前記溝の中に配置されており、前記カバーの少なくとも前記ステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、前記第1領域の少なくとも一部は、前記溝と対向している、プラズマ処理装置に関する。
本発明の別の局面は、(i)反応室内に設置されたステージに被処理物を支持する工程と、(ii)前記反応室を仕切る誘電体部材の外側に設置された誘導コイルに、高周波電力を印加して、前記反応室内にプラズマを発生させ、前記被処理物をプラズマ処理する工程と、を備え、前記反応室内には、前記誘電体部材を覆うようにカバーが設置されており、前記誘電体部材の前記反応室に対して外側の面に溝が形成されており、前記誘導コイルの少なくとも一部が、前記溝の中に配置されており、前記カバーの少なくとも前記ステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、前記第1領域の少なくとも一部は、前記溝と対向している、プラズマ処理方法に関する。
本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法によれば、誘導コイルの少なくとも一部が誘電体部材の外側の面に形成された溝の中に配置されているため、誘導コイルからプラズマへ投入される高周波パワーの損失が小さくなる。また、誘電体部材の反応室側の面は、凹凸のない平坦面とすることができるため、メンテナンスが簡単になり、プラズマの分布も良好となる。上記構成においては、溝の直下の反応室内に、プラズマの発生部が局在する。一方、誘電体部材を保護するカバーのステージ側の表面は、溝と対向する部分の少なくとも一部が窒化アルミニウムにより形成されている。よって、カバーの消耗が抑制される。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の構造を模式的に示す断面図である。 第1実施形態に係る誘電体部材とコイルの配置を模式的に示す縦断面図(a)および同誘電体部材の平面図(b)である。 誘電体部材とファラデーシールド(FS)電極を含む電極パターンの一例の構成を模式的に示す縦断面図(a)と、これを縦方向に拡大した縦断面図(b)である。 第1実施形態に係る第1電極パターン(電熱ヒータ)の平面図である。 第1実施形態に係る第2電極パターン(平板電極(FS電極))の平面図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置の構造を模式的に示す断面図である。 放電安定領域の比較実験に用いた誘電体部材の構造を模式的に示す断面図である。 放電安定領域の比較実験の結果を示す図である。
本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置は、反応室を有する容器と、反応室内で被処理物を支持するステージと、容器の開口を塞ぐとともにステージと対向する誘電体部材と、反応室内で誘電体部材を覆うように設置されたカバーと、誘電体部材の反応室に対して外側に設置され、反応室内にプラズマを発生させる誘導コイルと、を備える。誘電体部材の反応室に対して外側の面には溝が形成されており、誘導コイルの少なくとも一部が、溝の中に配置されている。これにより、誘導コイルの溝の中に配置された部分は、プラズマとの距離が近くなるため、高周波パワーの損失が抑制される。一方、溝の直下にはプラズマ発生部が集中するが、カバーの少なくともステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、かつ第1領域の少なくとも一部が溝と対向しているため、カバーの消耗は抑制される。
カバーのステージ側の表面は、第1領域とは異なる第2領域を有してもよい。第2領域は、窒化アルミニウム以外の誘電体材料(例えば、石英やアルミナ)で形成してもよい。これにより、カバーの製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、カバーの少なくとも溝と対向する部分においては、ステージ側の表面から10μm以上の深さまでが、窒化アルミニウムで形成されていればよい。
第1領域は、第2領域に対して、着脱可能であることが好ましい。これにより、プラズマ処理装置のメンテナンスが更に簡単になり、カバーに必要なコストも低減し易くなる。
溝は、コイルの中心と同じ中心を有する環状であることが好ましい。これにより、誘導コイルを溝の中に配置することが容易となる。この場合、第1領域も円形または環状にすることが好ましく、カバーの製造が容易となる。
プラズマ処理装置は、更に、カバーのステージとは反対側に設置されたファラデーシールド電極(FS電極)を備えることが好ましい。これにより、カバーの消耗を抑制しつつ、カバーへの不揮発性物質の付着を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の図面および説明は本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置である誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置10の構成を示す。ドライエッチング装置10は、減圧可能な反応室1aを有する容器1と、反応室1a内で被処理物(ここでは基板15)を支持するステージ2と、容器1の開口を塞ぐとともにステージ2と対向する誘電体部材3と、誘電体部材3の反応室1aに対して外側に設置され、反応室1a内にプラズマを発生させる誘導コイル4と、反応室1a内で誘電体部材3を覆うように設置されたカバー5と、を備える。
容器1は、概ね上部が開口した円筒状であり、上部開口は蓋体である誘電体部材3により密閉される。反応室1a内は、所定の排気装置(図示せず)により排気され、減圧雰囲気に維持される。容器1には基板15を搬入出するためのゲート(図示せず)が設けられている。ステージ2は、下部電極を内蔵しており、下部電極にバイアス電圧が印加される。ステージ2には、基板15を静電吸着により保持する機能や、冷媒の循環流路を設けることができる。
誘電体部材3は、概ね、容器1の開口形状に沿った円形の板状である。誘電体部材3の反応室1aに対して外側の面には、誘電体部材3を部分的に薄くするために溝3aが形成されている。誘導コイル4の少なくとも一部は、溝3aの中に配置される。これにより、誘導コイル4の溝3aの中に配置された部分は、プラズマとの距離が近くなる。よって、高周波パワーの損失が抑制される。一方、溝3aは、板状の誘電体部材3の表面の一部に環状に形成されており、誘電体部材3の中央部には厚みを持たせているため、誘電体部材3の機械的強度は大きく低下しない。なお、溝を形成した誘電体部材と、溝を形成しない誘電体部材との2種類について、誘電体部材の一方の表面に均等な荷重を与えた場合の撓み量の計算を行って比較するシミュレーションを行なったところ、両者の撓み量は、ほぼ同等であるとの知見が得られている。
誘電体部材3は、溝3aが形成されていない状態では平坦な両面を有する。溝3aの無い部分の厚みは、誘電体部材が所定の強度を備えるように設定する必要がある。このため、誘電体部材の一方の表面に均等な荷重を与えた場合の撓み量を計算し、この撓み量が基準値を超えないように、誘電体部材3の溝3aの無い部分の厚みを設定する。この厚みは、例えば、誘電体部材3の直径が540mmの場合、35〜40mmである。
容器1の側壁上端には、カバー5を支持する第1ホルダ17と、誘電体部材3を支持する第2ホルダ18とが設けられている。第1ホルダ17上に第2弾性リング14を介してカバー5が支持されている。カバー5は、窒素アルミニウム(AlN)により形成されている。カバー5の周縁部は、誘電体部材3を支持する第2ホルダ18により固定される。第2ホルダ18上には、第1弾性リング13を介して、誘電体部材3が支持されている。カバー5は、誘電体部材3の反応室1a側の表面をプラズマから保護する役割を果たす。
第2ホルダ18には、所定のガス供給源からプラズマの原料ガス(プロセスガス)を反応室1a内に導入するためのガス導入口8が設けられている。プロセスガスは、誘電体部材3とカバー5との間に形成される微小な隙間8aに滞留した後、カバー5に設けられた複数のガス噴出口9から反応室1a内に噴出される。複数のガス噴出口9は、例えば同心円状に分布させることが好ましい。
図2(a)は、本実施形態に係る誘電体部材3と誘導コイル4の配置を模式的に示している。誘導コイル4を誘電体部材3(の面方向)に対して垂直な方向から見るとき、誘導コイル4は、中心から外周側に向けて螺旋状に延びる導体4aにより形成されている。導体4aは、例えば、リボン状の金属板であってもよいし、金属線であってもよい。誘導コイル4を形成する導体aの数は特に限定されず、誘導コイル4の形状も特に限定されない。例えば、1本の導体4aからなるシングルスパイラル型のコイルであってもよいし、複数の導体4aからなる誘導コイルを並列に接続したマルチスパイラル型のコイルであってもよい。また、誘電体部材3の面と平行な同一平面内で導体4aを螺旋状に延ばして形成した平面型のコイルであってもよいし、導体4aを螺旋状に延ばしながら誘電体部材3の面に対して垂直方向に変化を持たせた立体型のコイルであってもよい。誘導コイル4は、マッチング回路(図示せず)などを介して第1高周波電源11と電気的に接続されている。図1、2では、誘導コイル4の中心付近の誘電体部材3からの距離が外周側よりも大きくなるように形成されているが、誘導コイル4と誘電体部材3との位置関係は、これに限定されない。
図2(b)に示すように、溝3aは、誘導コイル4の中心と同じ中心を有する環状であることが好ましい。これにより、誘導コイル4を溝3aの中に配置することが容易となる。なお、誘導コイル4と環状の溝3aの中心が同じであるとは、必ずしもそれぞれの中心が一致することを意味しない。ここでは、誘導コイル4と環状の溝3aの中心が同じであるとは、誘電体部材3および誘導コイル4を、誘電体部材3に対して垂直な方向から見たときに、それぞれの中心が半径100mmの円内に存在していることを意味する。
溝3aの深さは、特に限定されない。溝3aの深さが小さくても、高周波パワーの損失を抑制する相応の効果は得られる。ただし、溝3aを形成する前の均一な厚さの板状の誘電体部材3の厚さをTとするとき、溝3aの最大深さDは、D=0.14T〜0.71Tとなるように形成することが好ましい。さらに好ましくは、D=0.28T〜0.57Tとなるように形成することが好ましい。このとき、強度確保の観点から、誘電体部材3の溝3aが形成される表面の面積Sのうち、溝3aが掘られる面積sの割合(100s/S(%))は、5〜50%とすることが好ましい。
溝3aは、両面が平坦で均一な厚さの板状の誘電体部材の一方の面を切削するなど、誘電体部材を機械加工することにより形成すればよい。なお、切削加工を行うと、加工面に微小なクラック(マイクロクラック)が形成され、誘電体部材の強度が低下する場合がある。この場合、切削加工を行った後で、ラッピング(研磨)等の後処理を行ってマイクロクラックを除去することが望ましい。
誘導コイル4に高周波電流を流すことにより、反応室1a内の上部の誘導コイル4に近い領域にプラズマ(誘導結合プラズマ)が生成する。誘導コイル4とプラズマとの誘導結合の度合いは、誘導コイル4と反応室1aとの距離を近づけたり、誘導コイル4の密度を高くしたりすることにより、高めることができる。
基板15の表面において面内均一性の良好なプラズマを得るためには、反応室1a内の上部に、外周部のプラズマ密度が中心付近のプラズマ密度より高い分布(ドーナツ状の分布)を有するプラズマを生成し、これを基板上に拡散させることが好ましい。ドーナツ状の分布を持つプラズマを反応室1a内の上部に形成するためには、中心付近の誘導コイル4と反応室1aとの距離を相対的に大きくすればよく、これにより誘導コイル4とプラズマとの結合の程度を低くすることができる。よって、誘導コイル4の中心側は、溝3aの中に配置しなくてもよい。図1、2に示すように、少なくとも誘導コイル4の中心に対応する部分は完全に溝3aの外側に配置してもよい。
一方、誘導コイル4の外周側部分においては、誘導コイル4を溝3aの中に配置し、誘導コイル4と反応室1aとの距離を相対的に近づけることで、誘導コイル4とプラズマとの結合の度合いを高くすることができる。よって、誘導コイル4を形成する長さLの導体4aを、中心から0.5Lまでの中心側部分と、残りの外周側部分とに区分するとき、中心側部分が溝3aの中に配置される割合よりも、外周側部分が溝3aの中に配置される割合を大きくすることが好ましい。また、少なくとも誘導コイル4の最外周に対応する部分は、その少なくとも一部を溝3aの中に配置することが好ましい。更には、少なくとも最外周の端部(巻き終わり)から0.3Lまでの外周側部分は、溝3aの中にその少なくとも一部を配置することが好ましい。
このとき、誘導コイル4において、中心側部分のコイル密度よりも、外周側部分のコイル密度を大きくすることが好ましい。すなわち、誘電体部材3に対して垂直な方向から見たとき、誘導コイル4の中心(巻き始め)に近い部分ほど、隣接する導体4a間の隙間(誘電体部材3の面方向と平行な方向における距離)が広く、外周側に近い部分ほど、隣接する導体4a間の隙間が狭くなっていることが好ましい。これにより、外周部における誘導コイル4とプラズマとの結合の度合いを、より高くすることができる。一方、中心付近においては、誘電体部材3やカバー5がプラズマにより削られて劣化することを抑制することができる。
容器1、第1ホルダ17、第2ホルダ18などを構成する材料としては、アルミニウムやステンレス鋼(SUS)のように、十分な剛性を有する金属材料や、表面をアルマイト加工したアルミニウムなどを使用できる。また、誘電体部材3を構成する材料としては、酸化イットリウム(Y23)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al23)、石英(SiO2)などの誘電体材料を使用できる。一方、カバー5の少なくともステージ2側の表面は、少なくとも窒化アルミニウム(AlN)で形成された第1領域を有する。ただし、第1領域は、誘電体部材3の溝3aと対向する部分の少なくとも一部を含むように形成される。カバー5の第1領域以外には、酸化イットリウム(Y23)、アルミナ(Al23)、石英などの誘電体材料を使用できる。
誘導コイル4の少なくとも一部が誘電体部材3の溝3aの中に配置される場合、プラズマの発生部は溝3aの直下の反応室1a内に局在しやすくなる。これにより、カバー5のステージ2側の表面(内側表面Sa)は、局所的に高密度プラズマに暴露されることになる。内側表面Saの中でも、溝3aと対向する部分ARcvは、特に高密度プラズマに暴露され易く、例えばフッ素系のプラズマによる侵食を受け易い。一方、カバー5を窒化アルミニウムで形成することにより、フッ素系のプラズマの侵食によるカバー5の消耗が顕著に抑制される。カバー5の消耗が抑制されるため、カバー5の交換頻度を少なくすることができ、プラズマ処理装置の生産性を高めることができる。なお、誘電体部材3およびカバー5を、これらの法線方向から見るとき、溝3aと重複する内側表面Saの部分がARcvである。
窒化アルミニウムは、特にプラズマに対する耐性が高く、例えばドライエッチング装置で多用されるフッ素ラジカルに暴露される場合でも侵食を受けにくい。また、窒化アルミニウムは熱衝撃に強く、熱伝導性にも優れている。よって、プラズマから受ける熱を高効率で外部に伝達することができる。これにより、反応室1a内に設置される装置部材の熱による劣化も抑制される。
なお、カバーの第1領域の材料として上述の材料を用いることは、カバーの交換頻度を少なくし、プラズマ処理装置の生産性を高める効果をもたらすだけではない。誘導コイル4の少なくとも一部を誘電体部材3の溝3aの中に配置してプラズマ処理を行う場合、第1領域の材料として上述の材料を用いることにより、プラズマ処理のプロセスの精度にも有利になることが判明している。
従来はカバー全体を石英で形成することが一般的である。溝3aと対向する部分ARcvは、特に高密度プラズマに暴露され易く、プラズマによる侵食を受け易い。そのため、カバーが石英で形成されていると、石英がプラズマに侵食され、石英に含まれる酸素が反応室1a内に放出され、プラズマ処理のプロセスの精度に影響を与える。
具体的には、石英がプラズマに侵食され、反応室1a内の酸素が増えると、反応室1a内に生成されるプラズマ中の酸素ラジカルや酸素イオンの量が増加し、シリコンの加工速度が低下する不具合が生じる。また、レジストマスクを用いて基板15のプラズマ処理を行う場合には、基板15のエッチング速度に対するレジストマスクのエッチング速度が相対的に増加し、所望の加工形状が得られなくなる不具合が生じる。一方、カバー5に窒化アルミニウムを用いることで、酸素の発生も抑制されるため、シリコンの加工速度の低下が起こりにくく、所望の加工形状が得られやすくなり、プロセスの精度が向上することが見出されている。
図1に示されるように、カバー5の全体を窒化アルミニウムで形成してもよいが、窒化アルミニウムは高価である。一方、カバー5の侵食を防止する観点からは、カバー5の内側表面Saのうち、少なくともARcvを窒化アルミニウムで形成すれば十分である。以上より、カバー5の少なくとも内側表面Saが窒化アルミニウムで形成された第1領域AR1を有すればよく、かつ、ARcvの少なくとも一部が第1領域AR1に含まれていればよい。すなわち、誘電体部材3およびカバー5を、誘電体部材3に対して垂直な方向から見るとき、ARcvの少なくとも一部、好ましくは50%以上、さらに好ましくは100%が第1領域AR1の輪郭内に内包されていればよい。
侵食に対する耐性を向上させる観点からは、ARcvにおいて、ステージ2側の表面から10μm以上の深さまでが、窒化アルミニウムで形成されていればよい。カバー5の厚さは、特に限定されないが、通常3〜15mmであり、5〜12mmが好ましく、6〜10mmがよりに好ましい。カバー5の厚さが上記範囲であり、上記深さが10μm以上であれば、十分な厚さの窒化アルミニウムの層を形成することができる。
プラズマ処理においては、誘電体部材3およびカバー5への不揮発性の反応生成物の付着を抑制することも重要である。誘電体部材3およびカバー5に付着した不揮発性物質は、プラズマ処理のプロセス中に剥離し、反応室1a内を浮遊して基板に付着したり、基板上に落下したりすることがある。また、不揮発性物質が導電性を備える場合、誘電体部材3およびカバー5に付着した不揮発性物質は、誘導コイルからの反応室への高周波パワーの伝達を阻害することもある。一方、誘電体部材3およびカバー5の近傍にファラデーシールド(FS)を形成することにより、誘電体部材3およびカバー5への不揮発性物質の付着を抑制することができる。FSを形成するには、カバー5のステージ2とは反対側にFS電極を設けることが望ましい。誘電体部材3に高周波電力を印加することにより、FS電極は反応室1a内のプラズマと容量結合する。これにより、誘電体部材3およびカバー5の近傍にFSが形成され、誘電体部材3およびカバー5への不揮発性物質の付着が抑制される。
誘電体部材3の反応室1a側の面は、凹凸のない平坦面とすることができる。このような平坦面には、所定の電極パターンを含む電極層19を容易に形成することができる。よって、電極パターンとして、誘電体部材3に高周波電力を印加するための平板電極(すなわちFS電極)を形成すればよい。
電極層19は、例えば、電極パターンと、これを被覆する絶縁膜とを具備する。電極パターンは導電性材料により形成される。絶縁膜は、例えば、セラミックス(例えばアルミナ)のような誘電体材料により形成すればよい。絶縁膜は、電極パターンを構成する金属に由来する反応室1a内の金属汚染やパーティクルの発生を抑制する。また、プロセスガスやプラズマによる電極パターンの損傷も抑制する。電極層19は、複数層の電極パターンと絶縁膜との積層体でもよい。
図3(a)は、本実施形態に係る誘電体部材3と電極層19の構成を模式的に示す縦断面図である。図3(b)には、理解を容易にするために、誘電体部材3および電極層19の縦方向(厚さ方向)の寸法を拡大して示す。
図示例の電極層19は、誘電体部材3の反応室1a側の面に形成された第1電極層6と、第1電極層6の反応室1a側の面に形成された第2電極層7と、を具備する複層構造である。第1電極層6は、誘電体部材3の表面にダイレクトに形成された第1電極パターン6bと、これを被覆する第1絶縁膜6cとを具備する。同様に、第2電極層7は、第2電極パターン7bと、これを被覆する第2絶縁膜7cとを具備する。このように、少なくとも1つの電極パターンを誘電体部材3の反応室1a側の面にダイレクトに形成することにより、簡易な構造の電極層19を形成することができる。
以下、第1電極パターン6bが電熱ヒータであり、第2電極パターン7bが平板電極である場合について説明する。
プラズマ処理のプロセスを安定化させるためには、誘電体部材3を所定の温度域に加熱することが望ましい。例えば、誘電体部材3の反応室1aに対して外側の面の全体に接触するように平板状のヒータを配置して、誘電体部材3の温度管理を行うことも可能である。しかし、その場合、誘電体部材3と誘導コイル4との間にヒータを配置することになり、プラズマと誘導コイル4との距離が遠くなり、プラズマと誘導コイル4との誘導結合の度合いが低下し、プラズマ密度が低下する。一方、誘電体部材3の反応室1a側の面に電熱ヒータ6bを設ける場合、電熱ヒータ6bの存在によりプラズマと誘導コイル4との距離が遠くなることがない。よって、プラズマ密度を低下させることなく、プロセスを安定化させることができる。
一方、平板電極7bに高周波電力を印加することにより、誘電体部材3およびカバー5の近傍にFSが形成される。すなわち、誘電体部材3およびカバー5とプラズマとの間にバイアス電圧が生じ、プラズマ中のイオンは被処理物に作用するだけでなく、誘電体部材3およびカバー5にも作用する。これにより、不揮発性物質の誘電体部材3およびカバー5への付着が抑制される。
上記構成によれば、電熱ヒータ6bは、誘電体部材3を直接加熱できるため、少ない電力で効率的に誘電体部材3の温度管理を行うことができる。また、平板電極7bと反応室1aとの距離が近いため、平板電極7bに供給する電力が低くてもバイアス電圧を発生させることが可能であり、かつ不揮発性物質の誘電体部材3およびカバー5への付着を抑制する効果も大きくなる。ただし、上記構成は例示に過ぎず、誘電体部材3の反応室1a側の面にダイレクトに平板電極を第1電極パターンとして設け、電熱ヒータを第2電極パターンとして設けてもよい。
図4に、電熱ヒータ6bの一例を平面図で示す。電熱ヒータ6bは、高抵抗の金属からなるライン状のパターンを含む。ライン状のパターンは、例えば、サーペンタイン型の形状に描かれる。電熱ヒータ6bは、誘電体部材3を貫通するヒータ端子6aと接続されており、ヒータ端子6aは交流電源16と電気的に接続されている。交流電源16からヒータ端子6aに電力を供給することにより、第1電極パターン6bが発熱する。高抵抗の金属としては、例えばタングステン(W)を用いることが好ましい。
図5に、平板電極7bの一例を平面図で示す。平板電極7bは、幅広の金属薄膜からなる平面的なパターンを含む。平板電極7bにも、タングステン(W)を用いることができる。平板電極7bは、誘電体部材3の反応室1a側の面の、例えば50%以上を覆うように形成することが好ましい。これにより、誘電体部材3およびカバー5の大半をシールドすることが可能となる。平板電極7bには、第1高周波電源11およびコイル4から出力される高周波パワーを透過させるための複数のスリット3sが放射状に設けられている。
平板電極7bは、誘電体部材3の中央付近で誘電体部材3を貫通するFS端子7aと接続されており、FS端子7aは第2高周波電源12と電気的に接続されている。第2高周波電源12からFS端子7aに電力を供給することにより、第2電極パターン7bの近傍にバイアス電圧が生じ、不揮発性物質の誘電体部材3およびカバー5への付着が抑制される。
なお、図1では、誘導コイル4には第1高周波電源11が接続され、第2電極層7(平板電極7b)には第2高周波電源12が接続されているが、誘導コイル4と平板電極7bとを並列に、可変チョークまたは可変コンデンサを介して、同じ高周波電源に接続してもよい。また、誘導コイル4には第1高周波電源11を接続し、平板電極7bには可変チョークまたは可変コンデンサを接続し、第1高周波電源11から発振された電力をコイル4から空気を介して平板電極7bに重畳させ、誘導コイル4および平板電極7bに印加される電力比を可変チョークまたは可変コンデンサで調整してもよい。
誘電体部材3をこれに対して垂直な方向から見たとき、電熱ヒータ6bは、図5に破線で示すように、平板電極7bからはみ出さないように配置されていることが好ましい。これにより、スリット3sを透過する高周波パワーの損失を抑制することができる。
電熱ヒータ6bは、第1電極パターンに対応するマスクを介在させて、タングステンのような高抵抗の金属を誘電体部材3の表面に溶射させることにより形成できる。溶射パターンの厚さは、例えば10〜300μmである。あるいは、タングステン線を第1電極パターンの形状に屈曲させ、その後、タングステン線を誘電体部材3の表面に固定してもよい。このとき、溶射パターンまたはその他の手法を用いて形成した電極パターンは、ヒータ端子6aと電気的に接続される。
第1絶縁膜6cは、例えばホワイトアルミナを溶射により誘電体部材3の表面に吹き付けることで形成される。ホワイトアルミナを溶射する前に、誘電体部材3と第1絶縁膜6cとの密着性を高めるために、イットリアのような密着層を誘電体部材3の表面に溶射してもよい。第1電極層6の厚さは、例えば10〜300μmである。
平板電極7bは、第2電極パターンに対応するマスクを介在させて、金属を第1電極層6の表面に溶射させることにより形成できる。このとき、平板電極7bは、放射状に配置された複数のスリット3sを有する形状に形成される。平板電極7bの厚さは、例えば10〜300μmである。あるいは、金属箔もしくは金属板から第2電極パターンの形状の平板電極7bを形成し、その後、平板電極7を第1電極層6の表面に固定してもよい。平板電極7bは、第1絶縁膜6cを介して、電熱ヒータ6bを完全に覆うように配置され、FS端子7aと電気的に接続される。
第2絶縁膜7cも、例えばホワイトアルミナを溶射により第1電極層6の表面に吹き付けることで形成される。第2電極層7の厚さは、例えば10〜300μmである。なお、第1および第2絶縁膜の成膜方法は、特に限定されず、例えばスパッタ、化学気相成長(CVD)、蒸着、塗布などで成膜してもよい。
以下、本実施形態のドライエッチング装置10の動作の一例を説明する。まず、容器1に設けられたゲートから被処理物が搬出され、反応室1a内に設置されたステージに被処理物が支持される。その後、反応室1a内が排気される。反応室1a内は減圧雰囲気であり、誘電体部材3には大気圧とほぼ同じ圧力が付与される。また、誘電体部材3は溝3aを有し、溝3aに対応する部分は薄肉である。ただし、機械的強度が十分に維持されるように溝3aは環状に形成されているため、誘電体部材3が破損することはない。
その後、所定のガス供給源から、ガス導入口8を介してプロセスガスが反応室1a内に導入される。エッチングされる基板15は、エッチングのパターンに応じたレジストマスクを有している。基板15が例えばSiである場合、プロセスガスには例えばフッ素系ガス(SF6など)が使用される。また、基板15がアルミニウムの場合、プロセスガスには例えば塩素系ガス(HClなど)が使用される。
次に、第1高周波電源11から誘導コイル4に高周波電力が投入され、反応室1a内にプラズマが発生する。このとき、基板15を保持するステージ2にも、所定の高周波電源からバイアス電圧が印加される。これにより、プラズマ中のラジカルやイオンが基板15の表面に輸送され、バイアス電圧により加速されて基板15に衝突する。その結果、基板15がエッチングされる。
ここで、誘導コイル4を形成する導体4aのうち、コイル密度の高い外周側部分は、誘電体部材3に形成された環状の溝3aの中に配置されている。よって、比較的小さい電力の投入により、反応室1a側の誘電体部材3の近傍にドーナツ状の高密度プラズマが生成し、これが拡散プラズマとなって基板15に到達する。
一方、誘電体部材3の反応室1a側の面に配置された平板電極7bには、第2高周波電源12から電力が供給され、反応室1a内の平板電極の近傍においてバイアス電圧が生じる。これにより、プラズマ中のイオンの一部は、バイアス電圧により加速され、誘電体部材3(もしくは電極層19)およびカバー5に入射する。その結果、誘電体部材3(もしくは電極層19)およびカバー5への不揮発性物質の付着が抑制される。
エッチングプロセスは、複数の基板15に対して連続的に行われる。そこで、プロセスの安定性を確保するため、交流電源16から誘電体部材3の反応室1a側の面に設けられた電熱ヒータ6bに電力が投入され、誘電体部材3の加熱による温度管理が行われる。
(第2実施形態)
本実施形態に係るプラズマ処理装置は、カバーの構造が異なること以外、第1実施形態と同様である。図6は、本実施形態に係るカバー5Aを具備するドライエッチング装置10Aの構成を示す。第1実施形態の各要素に対応する本実施形態の各要素には、同じ符号を付している。
誘導コイル4の少なくとも一部が誘電体部材3の溝3aの中に配置され、プラズマの発生部が溝3aの直下(すなわちARcvの直下)に局在する場合、それ以外の部分では、プロセスガスのラジカルへの乖離効率が低下する。従って、プロセスガスを反応室1a内に噴出させるガス噴出口9は、カバー5AのARcvの範囲内に選択的に形成することが望ましい。例えば、個数基準でガス噴出口9の50%以上が、ARcvに形成されていることが好ましく、全てのガス噴出口9がARcvに形成されていることが好ましい。
図示例の場合、環状の溝3aに対応して、ARcvの形状も環状になっている。従って、ガス噴出口9は環状のARcvに内包されるように、全てのガス噴出口9が同心円状に設けられることが好ましい。一方、ARcvで囲まれた中央領域には、ガス噴出口9を形成しないことが好ましい。これにより、プラズマ発生部が局在するARcvの直下には、それ以外の空間に比べ、より多くのプロセスガスが供給される。よって、プロセスガスのラジカルへの乖離効率が向上する。
ガス噴出口9の形状は特に限定されず、円形、楕円形、矩形、丸角の矩形等が例示できる。なかでも、形成し易い点で円形であることが好ましい。ガス噴出口9の直径(円形以外の場合は最大径)は、特に限定されないが、形成し易く、原料ガスの供給性能に優れる点で、0.1〜1.5mmであることが好ましく、0.3〜1.0mmであることがより好ましく、0.5〜0.8mmであることが特に好ましい。
プラズマ発生部が局在するARcvの直下でのプロセスガスの滞留時間を長くする観点からは、ARcvの単位面積あたりに形成されるガス噴出口9の数を、従来に比べて多くして、ガス噴出口9の1個あたりのガス流速を抑制することが望ましい。例えば、ARcvの単位面積1cm2あたり、0.1〜10個のガス噴出口9を設けることが好ましい。
より具体的には、ガス噴出口9が円形であり、その直径が0.1〜1.5mmである場合、カバー5Aに形成されるガス噴出口9の数は、48〜60個程度であることが好ましい。また、十分量のプロセスガスをガス噴出口9から反応室1a内に供給する観点から、ガス噴出口9の合計の面積は、カバー5Aの内側表面Saの面積の0.5〜5%程度であることが好ましい。
ARcvの直下でのプロセスガスの滞留時間を長くする観点から、ガス噴出口9の反応室1a側の端部、すなわちガスの出口をデーパー形状に広げてもよい。これにより、噴出直後のプロセスガスの進行方向が水平方向に分散され、鉛直方向の流速が抑制される。ガス噴出口9のテーパー形状の出口の面積は、ガス噴出口9の最も狭い部分のガス流に垂直な断面積の1.1倍〜5倍程度にすることが好ましい。
(第3実施形態)
本実施形態に係るプラズマ処理装置は、カバーの構造が異なること以外、第1実施形態と同様である。図7は、本実施形態に係るカバー5Bを具備するドライエッチング装置10Bの構成を示す。第1実施形態の各要素に対応する本実施形態の各要素には、同じ符号を付している。
カバー5Bは、窒化アルミニウムで形成された第1部分5aと、それ以外の誘電体材料(例えばアルミナ)で形成された第2部分5bとで構成されている。第1部分5aは、円盤状であり、第2部分5bは、第1部分5aの周縁部を支持する枠状体である。すなわち、カバー5Bの内側表面Saは、窒化アルミニウムで形成されている第1領域AR1だけでなく、第2部分に対応する第2領域を有する。これにより、窒化アルミニウムで形成すべき第1部分5aを比較的小さくすることが可能となる。なお、高価な窒化アルミニウムで直径の大きな板状部材を形成するには相当のコストが必要である。
第2部分5bの内側には、第1部分5aの周縁部と当接する縁部Tが設けられている。第1部分5aの周縁部が、第2部分5bの縁部Tと、第2部分5bに対して着脱可能な押さえ板20とで挟まれることにより、第1部分5aが第2部分5bに固定される。第1部分5aは第2部分5bに対して着脱可能(すなわち第1領域AR1は第2領域に対して着脱可能)であり、押さえ板20を第2部分5bから外すことで、第1部分5aを第2部分5bから分離できるようになっている。これにより、カバー5Bのうち、必要に応じて第1領域AR1だけを交換することが可能となる。よって、メンテナンス費用を削減することもできる。
第1領域AR1の外周を囲む第2領域は、ARcvで囲まれた中央領域と同じく、プラズマの密度が相対的に小さく、プラズマの侵食を受けにくい領域である。また、溝3aと対向するARcvは、第1領域AR1に内包されている。よって、例えば第2部分5bを石英やアルミナで形成した場合でも、カバー5B全体を窒化アルミニウムで形成した場合と同様のメリットを享受できる。一方、カバー5Bに必要なコストは低減する。
次に、本発明に係る溝を有する誘電体部材を用いる場合の優位性を検証するための実験を行った。
まず、図8に示すように、誘電体部材3の形状として、構造1(従来の平板型)、構造2(従来の梁3bを有する構造)、構造3(本発明の一実施形態に係る溝3aを有する構造)の3種類を用意した。そして、これら3種類の誘電体部材をプラズマ処理装置に取り付け、それぞれの放電安定領域の評価を行った。
各構造の放電安定領域の評価結果を図9(a)〜(f)に示す。いずれも、横軸が圧力、縦軸が誘導コイルに投入する電力である。図9(a)、(c)および(e)には、それぞれ構造1から構造3の誘電体部材を用いた場合に、放電が得られる領域を○、放電が得られない領域を×で示している。また、図9(b)、(d)および(f)はそれぞれ、構造1から構造3の誘電体部材を用いた場合に、高周波電力を印加した際に誘導コイルの両端に発生するコイル電圧の測定結果である。電圧値に応じて、A(>10000V)、B(8000〜10000V)、C(6000−8000V)、D(4000−6000V)、E(2000〜4000V)、F(<2000V)とランク分けして示している。
構造1では、図9(a)に示すように、広い領域でプラズマを生成可能であった。しかしながら、図9(b)に示すように、誘導コイルに投入する電力を高くすると、コイル電圧が大きくなる傾向が見られた。このことは、誘導コイルとプラズマの結合が弱く、電力損失が大きいことを示している。したがって、誘導コイルに投入した電力を効率よく放電に寄与させることは容易ではなく、高速加工は困難である。
構造2では、図9(c)に示すように、低圧力領域では安定したプラズマ放電を維持できるが、高圧力側では安定した放電が得られなかった。この原因を調べるため、プラズマの発光状態を観察した。その結果、低圧力領域では、反応室内の誘導コイル直下の領域(梁状構造により形成される凹部)に発生したプラズマが、梁状構造により形成される凸部を跨いで、ドーナツ状に繋がっていることが分かった。一方、高圧力領域では、梁状構造により形成される凹部の内側にプラズマが偏在することが分かった。高圧力領域においては、梁状構造により誘電体部材の反応室側の面に形成される凹凸により、誘導コイル直下で発生したプラズマの横方向への拡散が阻害されるため、プラズマが偏在し、誘導コイルとプラズマとの結合が不安定化するものと考えられる。このように、構造2の場合、広い放電安定領域を得ることは困難である。
構造3では、図9(e)に示すように、実験を行った全領域において安定したプラズマ放電を維持できた。また、図9(f)に示すように、実験を行った全領域において、構造1および構造2に比べて、コイル電圧が低下した。すなわち、誘電体部材の一部を薄くすることで、誘導コイルとプラズマとの結合が強化され、電力損失の低減が実現できた。また、構造3では、誘電体部材の反応室側の面を平面にできるため、広い領域にわたって安定して均一なプラズマを維持することができる。よって、ガスの種類や圧力領域の異なる様々なプロセスへの展開が可能となる。
さらに、プラズマダイシングの性能を評価した。プラズマダイシングは、個々のデバイス層をフォトレジスト(PR)や保護膜でマスクして、開口しているストリート部をプラズマにより垂直方向に加工することで、個片化する工法である。処理条件の調整と組合せにより、デバイス毎の要求仕様に応じた個片化が実現できる。また、既存工法に比べて、滑らかな側面形状を得ることができるので、個片化されたチップの抗折強度が向上する。シリコン基板をプラズマダイシングする場合、通常、ボッシュプロセスと呼ばれる、シリコンエッチングステップとポリマー堆積ステップとを交互に繰り返すプロセスにより、垂直方向への加工が行われる。
まず、誘電体部材として構造1と構造3を用いた場合の、シリコン加工速度とポリマー堆積速度とを評価した。構造1の場合、最適化されたシリコン加工速度は20μm/minであり、ポリマー堆積速度は0.5μm/minであった。また、構造3の場合、最適化されたシリコン加工速度は30μm/minであり、ポリマー堆積速度は1.0μm/minであった。すなわち、誘電体部材として構造3を用いることにより、従来比で1.5〜2倍の加工または堆積速度を得ることができた。
次に、最適化されたシリコンエッチング条件とポリマー堆積条件とを用いて、シリコンのプラズマダイシングを行った。評価サンプルとして、レジストマスク厚7μm、ストリート幅20μm、マスク開口率1.0%、直径200mmのシリコン基板を用いた。上述のシリコン加工速度30μm/minのシリコンエッチングステップと、ポリマー堆積速度1.0μm/minのポリマー堆積ステップとを交互に繰り返すことにより、マスク開口部に露出したシリコンを垂直に加工することができた。このときのシリコンダイシング速度は22μm/min、面内均一性は±3.0%であり、高速かつ高均一な加工特性が得られた。
本発明のプラズマ処理装置は、簡易なメンテナンスと高密度プラズマが要求されるプロセスにおいて有用であり、ドライエッチング処理装置、プラズマCVD装置などを含む様々なプラズマ処理装置に適用できる。
1:容器、1a:反応室、2:ステージ、3:誘電体部材、3a:溝、3x:第1溝部、3y:第2溝部、3s:スリット、4:誘導コイル、4a:導体、5:カバー、6:第1電極層、6a:ヒータ端子、6b:第1電極パターン(電熱ヒータ)、6c:第1絶縁膜、7:第2電極層、7a:FS端子、7b:第2電極パターン(平板電極(FS電極))、7c:第2絶縁膜、8:ガス導入口、8a:隙間、9:ガス噴出口、10:ドライエッチング装置、11:第1高周波電源、12:第2高周波電源、13:第1弾性リング、14:第2弾性リング、15:基板、16:交流電源、17:第1ホルダ、18:第2ホルダ、19:電極層、20:押さえ板

Claims (5)

  1. 反応室を有する容器と、
    前記反応室内で被処理物を支持するステージと、
    前記容器の開口を塞ぐとともに前記ステージと対向する誘電体部材と、
    前記反応室内で前記誘電体部材を覆うように設置されたカバーと、
    前記誘電体部材の前記反応室に対して外側に設置され、前記反応室内にプラズマを発生させる誘導コイルと、を備え、
    前記誘電体部材の前記反応室に対して外側の面に溝が形成されており、
    前記誘導コイルの少なくとも一部が、前記溝の中に配置されており、
    前記カバーの少なくとも前記ステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、前記第1領域の少なくとも一部は、前記溝と対向している、プラズマ処理装置。
  2. 前記カバーの前記ステージ側の表面が、前記第1領域とは異なる第2領域を有し、前記第2領域は、窒化アルミニウム以外の誘電体材料で形成されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記第1領域が、前記第2領域に対して、着脱可能である、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記カバーの前記ステージとは反対側に設置されたファラデーシールド電極を更に備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  5. (i)反応室内に設置されたステージに被処理物を支持する工程と、
    (ii)前記反応室を仕切る誘電体部材の外側に設置された誘導コイルに、高周波電力を印加して、前記反応室内にプラズマを発生させ、前記被処理物をプラズマ処理する工程と、を備え、
    前記反応室内には、前記誘電体部材を覆うようにカバーが設置されており、
    前記誘電体部材の前記反応室に対して外側の面に溝が形成されており、
    前記誘導コイルの少なくとも一部が、前記溝の中に配置されており、
    前記カバーの少なくとも前記ステージ側の表面が、窒化アルミニウムで形成された第1領域を有し、前記第1領域の少なくとも一部は、前記溝と対向している、プラズマ処理方法。
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