JP2010218997A - プラズマ発生装置およびプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ発生装置およびプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、放電管の寿命を延ばすことができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】内部にプラズマを発生させる領域を有する放電管と、マイクロ波発生手段から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、プラズマ生成物に含まれる荷電粒子の極性を利用して、前記放電管の内壁からプラズマ生成物を引き離すプラズマ生成物制御手段と、を備えたことを特徴とするプラズマ発生装置が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ発生装置およびプラズマ処理装置に関する。
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体装置の製造、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造に関しては、アッシング、ドライエッチング、薄膜堆積あるいは表面改質などの各種のプラズマ処理が行われている。プラズマを利用したドライプロセスは、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
このようなプラズマ処理を行う装置の代表的なものとして、波長が数100MHz〜数10GHzのマイクロ波によりプラズマを励起する「マイクロ波励起型」のプラズマ処理装置がある。マイクロ波励起型のプラズマ源は、高周波プラズマ源などに比べてプラズマ電位が低いので、被処理物に与える損傷を少なくすることができる。また、バイアス電圧を印加することで異方性エッチングなどに用いることもできる。
ここで、マイクロ波導波管から放電管の内部にマイクロ波を導入し、放電管の内部においてプラズマを発生させた際の高プラズマ密度、高温という条件のもとでは、放電管の内壁がエッチングされてしまうことがある。そして、エッチング量が所定の限界を超えた場合には、放電管の交換が必要となる。
そこで、この様な放電管の交換頻度を低減させるために、矩形断面の導入導波管の短辺側の一対の面を放電管が垂直に貫通するようにした技術が提案されている(特許文献1を参照)。
この特許文献1に開示がされた技術によれば、放電管の内壁がエッチングされる領域を放電管の軸方向に広くすることができる。そのため、同じマイクロ波電力を投入した場合であっても、放電管の内壁がエッチングされる速度を低減させることができるので放電管の長寿命化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1に開示がされた技術は、放電管のエッチング量自体を低減させるものではないため、課題の解決としては不充分であった。
特開平11−162937号公報
本発明は、放電管の寿命を延ばすことができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を提供する。
本発明の一態様によれば、内部にプラズマを発生させる領域を有する放電管と、マイクロ波発生手段から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、プラズマ生成物に含まれる荷電粒子の極性を利用して、前記放電管の内壁からプラズマ生成物を引き離すプラズマ生成物制御手段と、を備えたことを特徴とするプラズマ発生装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、上記のプラズマ発生装置と、プラズマを発生させる領域にプロセスガスを導入するガス導入手段と、導入導波管にマイクロ波を放射するマイクロ波発生手段と、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力にまで減圧する減圧手段と、前記プラズマ発生装置と、前記処理容器と、を連通させるガス搬送管と、前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置台と、を備えたこと、を特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
本発明によれば、放電管の寿命を延ばすことができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置が提供される。
第1の実施形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式断面図である。 第2の実施形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式断面図である。 第3の実施形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式断面図である。 ガス濃度均一化手段の軸方向と直交する方向の模式断面図である。 ガス濃度均一化手段の軸方向に平行な方向の模式部分断面図である。 第4の実施形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式断面図である。 第5の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1の実施形態に係るプラズマ発生装置1を例示するための模式断面図である。なお、図1(a)はプラズマ発生装置1の正面側の模式断面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視模式断面図である。
図1に示すプラズマ発生装置1は、一般に「CDE(Chemical Dry Etching;ケミカルドライエッチング)装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置に用いられるものである。
図1に示すように、プラズマ発生装置1は、放電管2、プラズマ生成物制御手段3、導入導波管4、冷却手段5を備えている。
放電管2は、両端が開放された管状体であり、内部にプラズマPを発生させる領域Eを有する。放電管2の一端は、ガス導入部7と接続されている。また、放電管2の他端は、ガス搬送部9を介してガス搬送管18と接続される(図7を参照)。また、放電管2は、マイクロ波Mに対する透過率が高く、プラズマ生成物によりエッチングされにくい材料から形成されている。例えば、放電管2を石英(SiO)、アルミナ(Al)、イットリア(Y)などの誘電体から形成されるものとすることができる。ただし、これらに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
プラズマ生成物制御手段3は、電極3a、電源3b、切換手段3cを備えている。
電極3aは、放電管2の内部に設けられたプラズマPを発生させる領域Eを放電管2の軸方向に挿通するようにして設けられている。図1に例示をしたものの場合には、放電管2と電極3aとがプラズマPを発生させる領域Eにおいて略同芯となるように設けられている。また、電極3aは、導電体から形成されている。例えば、電極3aをステンレス、アルミニウム、銅などの金属から形成されるものとすることができる。また、電極3aは、プラズマPの発生に影響を与えにくい形状とされている。そのような電極3aの形状としては、例えば、針状や板状などを例示することができる。
電極3aの外周面には被覆部3dが設けられている。被覆部3dは、プラズマ生成物によりエッチングされにくい材料から形成されている。例えば、被覆部3dを石英(SiO)やアルミナ(Al)などの誘電体から形成されるものとすることができる。この場合、プロセスガスGとしてフッ素を含むガス(例えば、CFやNFなど)を用いることを考慮すれば、耐フッ素プラズマ性の高い材料とすることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、アルミナ(Al)、サファイア、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム、酸化イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG;Yttrium Aluminum Garnet)などを例示することができる。この様な材料を用いるものとすれば、反応性が高いフッ素プラズマ生成物により電極3aがエッチングされるのを抑制することができる。ただし、電極3a、被覆部3dの材料として例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
電極3aは、切換手段3cにより電源3bと電気的に接続することができるようになっている。切換手段3cは、電圧の印加と印加の停止との切換を行う。また、電圧の印加を行う際には極性(正または負)の切換も行えるようになっている。また、電圧の印加を停止した場合には、電極3aがいわゆる浮遊電極となるようになっている。
電源3bは、電極3aに所定の極性の電圧を印加できるものとすることができる。例えば、図1に例示をしたもののように、正、負の極性の電圧をそれぞれ印加するための直流電源を備えたものとすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、例えば整流回路などを備え、正、負の極性の電圧を印加することのできる交流電源とすることもできる。
また、電源3bは、プロセス条件などによりプラズマ生成物に含まれる荷電粒子の極性が決まっている場合(例えば、後述する負性ガスを用いる場合など)には、正または負のいずれかの極性の電圧を印加するものであってもよい。また、電極3aを浮遊電極とするだけの場合には、必ずしも電源3bを設ける必要はない。
また、同様に、荷電粒子の極性が決まっている場合や電極3aを浮遊電極とするだけの場合には、必ずしも切換手段3cを設ける必要はない。
なお、電極3aを浮遊電極とするだけの場合には、電極3aを電気的にフローティングすればよい。例えば、絶縁物などを介して放電管2やガス導入部7などに電極3aを保持させればよい。
また、印加する電圧を制御する図示しない電圧制御手段を設けることもできる。
導入導波管4は、後述するマイクロ波発生手段13から放射されたマイクロ波Mを伝播させて、放電管2の内部のプラズマPを発生させる領域Eにマイクロ波Mを導入するためのものである。
導入導波管4には、放電管2が略直交するように挿通している。また、導入導波管4には、放電管2の軸方向と略直交する方向から伝播してきたマイクロ波Mを放電管2に向けて放射するための環状のスロット4aが設けられている。
ここで、図1(b)に示すように、放電管2が導入導波管4を挿通する部分において、放電管2の軸方向と直交する方向で、かつ、マイクロ波Mの進行方向に直交する方向の導入導波管4の内側寸法、すなわち、導入導波管4の内部に設けられた一対のマイクロ波通路の通路幅Wの寸法を、マイクロ波Mの半波長(λ/2)よりも大きくマイクロ波Mの1波長(λ)よりも小さな値とすることが好ましい。通路幅Wの寸法をこのような値に設定すれば、伝播してきたマイクロ波Mは、放電管2内のプラズマPに影響されることなく、放電管2の背面側まで同一のモードで回り込むことができる。そのため、プラズマPの発生を安定させることができるようになる。すなわち、通路幅Wをマイクロ波Mの半波長(λ/2)よりも大きくすることでマイクロ波Mの伝播が可能となり、また、通路幅Wをマイクロ波Mの1波長(λ)より小さくすることで、多モードの電磁界分布の発生を防止することができるようになる。ちなみに、2.45GHzのマイクロ波Mの導波管内波長(λ)が160mmの場合、この通路幅Wは、好ましくは、80mm<通路幅W<160mmとなる。
放電管2の内部は、プラズマ発生室となるが、スロット4aに対向する部分がプラズマPを発生させる領域Eの略中心となる。
冷却手段5の冷却ブロック6は、導入導波管4に放電管2が挿通している部分の周辺において、放電管2の外周面を包囲するようにして設けられている。この冷却ブロック6は、循環する冷却水により冷却されるようになっている。また、放電管2との間には、隙間G1(例えば1mm程度)が形成されている。そして、冷却手段5により放電管2を冷却することができるようになっている。また、放電管2を冷却することで放電管2の内壁がエッチングされるのを抑制することができるようになっている。
冷却ブロック6には、窒素ガスなどの不活性ガスを隙間G1に導入するためのガス導入路8が設けられている。このガス導入路8の断面積は、マイクロ波Mが漏洩しない程度に小さく設定されている。この導入された不活性ガスにより放電管2に対する冷却効果を向上させることができる。すなわち、ガス導入路8に導入された不活性ガスによる冷却効果により放電管2の内壁がエッチングされるのをさらに抑制することができる。また、ガス導入路8に導入された不活性ガスによりパージが行われ大気中の酸素が排除されるので、オゾンの発生をも抑制することができる。
なお、放電管2からの輻射熱を吸収する効果を高めるために、冷却ブロック6の内側に、輻射熱の吸収率の高い導体或いは誘電体を設けるようにしてもよい。また、冷却ブロック6の内壁を黒色に着色することも、輻射熱の吸収効果を高める上で有効である。
冷却手段5の冷却ブロック6内には図示しない導入口から冷却水が導入され、冷却ブロック6内を冷却水が循環して図示しない排出口から排出されるようになっている。なお、冷却水の導入は、図示しない冷却水導入手段により行われる。また、冷却ブロック6からの排水をフィルター、冷却器などを介して再度利用するようにすることもできる。
次に、プラズマ発生装置1の作用について例示をする。
まず、ターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧手段11(図7を参照)により放電管2の内部が所定の圧力にまで減圧される。次に、ガス導入手段12(図7を参照)から所定量のプロセスガスG(例えば、CFやNFなど)が、ガス導入部7を介して放電管2の内部に導入される。この際、プラズマPを発生させる領域EにおけるプロセスガスGの濃度分布が略均一となるようにプラズマ生成物制御手段3の周囲に略均等にプロセスガスGが導入される。なお、プロセスガスGを導入する際に、旋回流などを生じさせるようにすれば、拡散性を向上させることができるので、プロセスガス濃度分布の均一化をさらに図ることができる。
一方、マイクロ波発生手段13(図7を参照)から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管4の内部に放射される。放射されたマイクロ波Mは、導入導波管4内を伝播して環状のスロット4aから放電管2に放射される。放電管2に放射されたマイクロ波Mは、プラズマPを発生させる領域Eに導入される。また、冷却手段5の冷却ブロック6内に冷却水が導入されて放電管2の冷却が行われる。また、ガス導入路8に窒素ガスなどの不活性ガスが導入されて、冷却とオゾン発生の抑制が行われる。
プラズマPを発生させる領域Eに導入されたマイクロ波MによりプラズマPが発生し、プロセスガスGが励起、活性化されてプラズマ生成物(中性活性種、荷電粒子(イオン、電子))が生成される。生成されたプラズマ生成物は、ガス流にのってガス搬送部9を介して処理容器14(図7を参照)内に搬送される。この際、寿命の短いイオンなどは処理容器14にまで到達することができず、寿命の長い中性活性種が処理容器14にまで到達し、被処理物のプラズマ処理(例えば、エッチング処理やアッシング処理など)が行われることになる。
ここで、放電管2の内壁に近い位置にプラズマ生成物があるほど放電管2の損耗が著しくなる。そのため、生成されたプラズマ生成物を放電管2の内壁から引き離すようにすることが好ましい。
本実施の形態においては、プラズマ生成物制御手段3により放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すようにしている。すなわち、プラズマ生成物制御手段3を用いることで、プラズマ生成物に含まれる荷電粒子(正イオン、負イオン、電子)の極性を利用して、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すようにしている。
この場合、例えば、切換手段3cを切り換えることで電圧の印加を停止させて電極3aを浮遊電極とすれば、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すことができる。プラズマP中にある浮遊電極に入射する電子の粒子束はイオンの粒子束よりも大きいため、浮遊電極は負に帯電することになる。そのため、プラズマ生成物である正イオンを電極3a側に引き寄せることができる。すなわち、プラズマ生成物である正イオンを放電管2の内壁から引き離すことができる。
また、切換手段3cを切り換えることで電極3aに負の極性の電圧を印加して積極的に負に帯電させることもできる。そのようにすれば、さらに多くの正イオンを電極3a側に引き寄せることができる。また、図示しない電圧制御手段により印加する負の極性の電圧を制御して引き寄せる正イオンの量や分布を調整することもできる。また、図示しない測定器により、イオンの極性を測定するようにすることもできる。この様な測定器としては、例えば、ラングミュアプローブや分光器などを例示することができる。
プラズマ生成物であるイオンは正イオンである場合が多いが、プロセスガスGとして負性ガスを用いる場合には、負イオンが生成される。負性ガスとは、ガス分子に電子が付着することにより負イオンを生成しやすい気体である。例えば、CF4、SF6、Cl2などのハロゲン系のガスや酸素ガスなどを例示することができる。また、プラズマ生成物には電子も含まれている。
この様に負イオンが生成される場合には、切換手段3cを切り換えることで電極3aに正の電圧を印加して正に帯電させるようにする。そのようにすれば、プラズマ生成物である負イオンや電子を電極3a側に引き寄せることができる。すなわち、プラズマ生成物である負イオンや電子を放電管2の内壁から引き離すことができる。また、図示しない電圧制御手段により印加する正の電圧を制御して引き寄せる負イオンや電子の量、分布を調整することもできる。
また、正イオン、負イオン、電子とが存在する場合には、所定の時間毎に切換手段3cを切り換えて正イオン、負イオン、電子を電極3a側に引き寄せるようにすることもできる。
本実施の形態によれば、プラズマ生成物であるイオンや電子を放電管2の内壁から引き離すことができる。そのため、放電管2の内壁がエッチングされるのを抑制することができるので、放電管2の寿命を延ばすことができる。また、冷却手段5による冷却効果、ガス導入路8に導入された不活性ガスによる冷却効果により放電管2の内壁がエッチングされるのをさらに抑制することができる。また、放電管2の寿命を延ばすことができるので生産性を向上させることができる。
図2は、第2の実施形態に係るプラズマ発生装置10を例示するための模式断面図である。なお、図2(a)はプラズマ発生装置10の正面側の模式断面図であり、図2(b)は図2(a)におけるB−B矢視模式断面図である。
図2に示すように、プラズマ発生装置10は、放電管2、プラズマ生成物制御手段23、導入導波管4を備えている。
プラズマ生成物制御手段23は、電極3e、電源3b、切換手段3cを備えている。
電極3eは、プラズマPを発生させる領域Eに対向させるようにして放電管2の外部に設けられている。図2に例示をしたものの場合には、放電管2の外周面に巻きつけるようにして螺旋状に設けられている。また、図2に例示をしたものは密着させるようにして設けているが間隔を空けて設けるようにすることもできる。間隔を空けて設けるようにすれば、放電管2の軸方向におけるプラズマ生成物の分布を調整することができる。なお、巻きつけ数や巻きつけ方向などには特に限定がなく適宜変更することができる。また、螺旋状に巻きつける場合を例示したが円環状の電極3eを配設するようにしてもよい。
電極3eの断面形状には特に限定はないが、後述する冷却効果や荷電粒子(正イオン、負イオン、電子)を追いやる効果を考慮すると扁平形状とすることが好ましい。また、放電管2に面する側に平面が形成されるような形状とすることがより好ましい。そのようなものとしては、例えば、楕円形状や、三角形や矩形などのような多角形などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、電極3eの内部には冷却水を流通させるための流路が形成されている。そして、電極3eの一端から冷却水が導入され、電極3eの内部を流通して他端から排出されるようになっている。冷却水の導入は、図示しない冷却水導入手段により行われる。また、電極3eからの排水をフィルター、冷却器などを介して再度利用するようにすることもできる。電極3eは、導電性を有し熱伝導率の高い材料から形成されるようにすることが好ましい。そのような材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属を例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
図2に例示をしたものの場合は、電極3eの内部に冷却水の流路を設けているが電極3eと冷却手段とを分離することもできる。例えば、放電管2の外部に帯状の電極を設け、帯状の電極に密着させるようにして内部に冷却水の流路が設けられた冷却手段を設けるようにすることができる。ただし、電極3eの内部に冷却水の流路を設けるようにすれば、新たに冷却手段を設ける必要がないので、プラズマ発生装置の小型化を図ることができる。
なお、放電管2からの輻射熱を吸収する効果を高めるために、放電管2に面する側に、輻射熱の吸収率の高い導体或いは誘電体を設けるようにしてもよい。また、放電管2に面する側の面を黒色に着色することも、輻射熱の吸収効果を高める上で有効である。
また、窒素ガスなどの不活性ガスを放電管2に向けて供給する(例えば、吹き付ける)図示しないガス供給手段を設けるようにすることができる。窒素ガスなどの不活性ガスを放電管2に向けて供給するようにすれば、図1に例示をしたものと同様に放電管2の冷却とオゾン発生の抑制とを行うことができる。
電極3eは、切換手段3cにより電源3bと電気的に接続することができるようになっている。切換手段3cは、電圧の印加と印加の停止との切換を行う。また、電圧の印加を行う際には極性(正または負)の切換も行えるようになっている。また、電圧の印加を停止した場合には、電極3eがいわゆる浮遊電極となるようになっている。
電源3bは、電極3eに正、負の極性の電圧を印加できるものとすることができる。例えば、図2に例示をしたもののように、正、負の極性の電圧をそれぞれ印加するための直流電源を備えたものとすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、例えば、整流回路などを備え正、負の極性の電圧を印加することのできる交流電源とすることもできる。また、印加する電圧を制御する図示しない電圧制御手段を設けることもできる。
次に、プラズマ発生装置10の作用について例示をする。
プラズマ発生装置10においても、図1において例示をしたプラズマ発生装置1と同様にしてプラズマ生成物が生成される。
例えば、まず、ターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧手段11(図7を参照)により放電管2の内部が所定の圧力にまで減圧される。次に、ガス導入手段12(図7を参照)から所定量のプロセスガスGが放電管2の内部に導入され、また、導入導波管4を介して所定のパワーのマイクロ波Mが放電管2内のプラズマPを発生させる領域Eに導入される。そして、プラズマPを発生させる領域Eに導入されたマイクロ波MによりプラズマPが発生し、プロセスガスGが励起、活性化されてプラズマ生成物(中性活性種、荷電粒子(イオン、電子))が生成される。この際、電極3eの内部の流路内に冷却水が導入されて放電管2の冷却が行われる。また、窒素ガスなどの不活性ガスを放電管2に向けて供給することで冷却とオゾン発生の抑制とを行うこともできる。生成されたプラズマ生成物は、ガス流にのってガス搬送部9を介して処理容器14(図7を参照)内に搬送される。この際、寿命の短いイオンなどは処理容器14にまで到達することができず、寿命の長い中性活性種が処理容器14にまで到達し、被処理物のプラズマ処理(例えば、エッチング処理やアッシング処理など)が行われることになる。
本実施の形態においては、プラズマ生成物制御手段23により放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すようにしている。すなわち、プラズマ生成物制御手段23を用いることで、プラズマ生成物に含まれる荷電粒子(正イオン、負イオン、電子)の極性を利用して、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すようにしている。
この場合、例えば、切換手段3cを切り換えることでプラズマ生成物であるイオンや電子の極性と同じ極性となるように電極3eを帯電させれば、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離す(追いやる)ことができる。
また、正イオン、負イオン、電子が混在する場合には、反応性が高い方のイオンの極性と同じ極性となるように電極3eを帯電させるようにする。そのようにすれば、反応性のより高いイオンが放電管2の内壁から引き離される(追いやられる)ことになる。その結果、放電管2の内壁が反応性のより高いイオンによってエッチングされるのを抑制することができる。
また、反応性のより低いイオンが正イオンの場合には切換手段3cを切り換えることで電圧の印加を停止させて電極3eを浮遊電極とすることもできる。そのようにすれば、反応性のより低いイオンが放電管2の内壁側に引き寄せられるので、内壁の近傍における反応性がより高いイオンの割合を少なくすることができる。その結果、放電管2の内壁が反応性のより高いイオンによってエッチングされるのを抑制することができる。
本実施の形態によれば、プラズマ生成物であるイオンや電子を放電管2の内壁から引き離す(追いやる)ことができる。そのため、放電管2の内壁がエッチングされるのを抑制することができるので、放電管2の寿命を延ばすことができる。また、電極3eの流路などに冷却水を流通させたり、放電管2に向けて不活性ガスを供給したりすることで放電管2を冷却し、放電管2の内壁がエッチングされるのをさらに抑制することができる。また、放電管2の寿命を延ばすことができるので生産性を向上させることができる。
なお、図1、図2においてはプラズマ生成物制御手段3、プラズマ生成物制御手段23をそれぞれ備える場合を例示したが、両方を備えるようにすることもできる。そのようにすれば、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離す効果をより高めることができる。
図3は、第3の実施形態に係るプラズマ発生装置30を例示するための模式断面図である。なお、図3(a)はプラズマ発生装置30の正面側の模式断面図であり、図3(b)は図3(a)におけるC−C矢視模式断面図である。
図3に示すように、プラズマ発生装置30は、放電管2、プラズマ生成物制御手段33、プラズマ生成物制御手段43、導入導波管4、ガス濃度均一化手段50を備えている。
プラズマ生成物制御手段33は、電極33a、電源3b、切換手段3cを備えている。
電極33aは、後述するガス濃度均一化手段の内壁に設けられている。すなわち、電極33aは、ガス濃度均一化手段33の内部を軸方向に延設されている。
電極33aは、導電体から形成されている。例えば、電極33aをステンレス、アルミニウム、銅などの金属から形成されるものとすることができる。また、プロセスガスGによる侵食を抑制するための図示しない保護層を電極33aの内壁に設けるようにすることもできる。保護層としては、例えば、フッ素樹脂などから形成されるものを例示することができる。
電極33aは、切換手段3cにより電源3bと電気的に接続することができるようになっている。切換手段3cは、電圧の印加と印加の停止との切換を行う。また、電圧の印加を行う際には極性(正または負)の切換も行えるようになっている。また、電圧の印加を停止した場合には、電極33aがいわゆる浮遊電極となるようになっている。
プラズマ生成物制御手段43は、電極43e、電源3b、切換手段3cを備えている。 電極43eは、プラズマPを発生させる領域Eに対向させるようにして放電管2の外部に設けられている。図3に例示をしたものの場合には、図1において例示をした冷却ブロック6を導電体で形成することで電極43eとしている。そのため、電極43eの内部に設けられる冷却水の流路やガス導入路8、隙間G1などに関しては前述した冷却手段5と同様とすることができる。なお、プラズマ生成物制御手段43の代わりに図2に例示をしたプラズマ生成物制御手段23(電極3e)を設けるようにすることもできる。
ガス濃度均一化手段50は、一端が塞がれ、他端が開放された管状体である。ガス濃度均一化手段50の開放された端部は、ガス導入部7と接続されている。そして、ガス導入部7を介してガス導入手段12からガス濃度均一化手段50の内部にプロセスガスGが導入されるようになっている(図7を参照)。また、ガス濃度均一化手段50は、放電管2の内部に設けられたプラズマPを発生させる領域Eを軸方向に挿通するようにして設けられている。図3に例示をしたものの場合には、放電管2とガス濃度均一化手段50とは、プラズマを発生させる領域Eにおいて略同芯となるように設けられている。
また、マイクロ波Mを導入してプラズマPを発生させる領域Eに面する部分には、プロセスガスGを吐出させるための開口部50aが複数設けられている。すなわち、ガス濃度均一化手段50は、プラズマPを発生させる領域Eを放電管2の軸方向に挿通して設けられ、プラズマPを発生させる領域Eに面する位置にプロセスガスGを吐出する開口部50aを有している。そして、プロセスガスGは、ガス濃度均一化手段50に設けられた複数の開口部50aを介して放電管2の内部に導入されるようになっている。そのため、プラズマPを発生させる領域Eに直接的にプロセスガスGを導入することができる。
ガス濃度均一化手段50は、プラズマ生成物によりエッチングされにくい材料から形成されている。例えば、石英(SiO)やアルミナ(Al)などの誘電体からなるものとすることができる。この場合、プロセスガスGとしてフッ素を含むガス(例えば、CFやNFなど)を用いることを考慮すれば、耐フッ素プラズマ性の高い材料とすることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、アルミナ(Al)、サファイア、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム、酸化イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG;Yttrium Aluminum Garnet)などを例示することができる。この様な材料を用いるものとすれば、反応性が高いフッ素プラズマ生成物によりガス濃度均一化手段50がエッチングされるのを抑制することができる。ただし、例示をした材料に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
図4は、ガス濃度均一化手段の軸方向と直交する方向の模式断面図である。
図4(a)は、図3において例示をしたガス濃度均一化手段50の軸方向と直交する方向の模式断面図である。
図4(a)に示すように、ガス濃度均一化手段50には複数の開口部50aが設けられている。また、開口部50aは、ガス濃度均一化手段50の軸方向と直交する方向の断面において、放射状に設けられている。また、開口部50aは略均等角度となるように設けられている。この様に、開口部50aを略均等角度となるように設ければ、ガス濃度均一化手段50の周囲に略均等にプロセスガスGを吐出させることができる。
図4(b)は、他の実施形態に係るガス濃度均一化手段の軸方向と直交する方向の模式断面図である。
図4(b)に示すように、ガス濃度均一化手段51には複数の開口部51aが設けられている。また、開口部51aは、ガス濃度均一化手段51の軸方向と直交する方向の断面において、開口部51aの軸線とガス濃度均一化手段51の軸線とが交差しないように設けられている。すなわち、開口部51aの軸線がガス濃度均一化手段51の断面中心からオフセットしている。この様にすれば、ガス濃度均一化手段51の周囲に旋回流を生じさせることができるので、拡散性を向上させることができる。その結果、プロセスガス濃度分布の均一化をさらに図ることができる。
図5は、ガス濃度均一化手段の軸方向に平行な方向の模式部分断面図である。
図5(a)は、図3において例示をしたガス濃度均一化手段50の軸方向に平行な方向の模式部分断面図である。
図5(a)に示すように、開口部50aは、ガス濃度均一化手段50の軸方向に平行な断面において、開口部50aの軸線がガス濃度均一化手段50の軸線に対して略直交するように設けられている。また、開口部50aは略均等間隔に設けられている。この様に、開口部50aを略均等間隔に設ければ、ガス濃度均一化手段50の周囲に略均等にプロセスガスGを吐出させることができる。
図5(b)〜図5(d)は、他の実施形態に係るガス濃度均一化手段の軸方向に平行な方向の模式部分断面図である。
図5(b)、図5(c)に示すように、開口部52a、53aは、ガス濃度均一化手段52、53の軸方向の断面において、開口部52a、53aの軸線がガス濃度均一化手段52、53の軸線に対して傾斜して設けられていてもよい。
この様にすれば、ガス濃度均一化手段52、53の周囲にガス流を生じさせることができるので、拡散性を向上させることができる。その結果、プロセスガス濃度分布の均一化をさらに図ることができる。
また、図5(d)に示すように、軸線が異なる方向を向いている開口部50a、52a、53aを適宜組み合わせるようにすることもできる。
なお、開口部を均等に設ける場合を例示したが、プロセスガス濃度分布の均一化を図るために配設間隔、角度、孔径などを変化させてもよい。例えば、ガス濃度均一化手段の先端になるほど配設間隔を短くしたり、孔径を大きくしたりすることもできる。
また、開口部の数、孔径の大きさ、配設位置、配設ピッチ、配設角度などの配設条件は、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。この場合、放電管2の内径、ガス圧や流量などのプロセス条件、プラズマPを発生させる領域Eの大きさや位置などに応じて、プロセスガス濃度分布が均一化されるように開口部の配設条件を決定することもできる。
また、孔状の開口部を設ける場合を例示したが、開口部は孔状のものに限定されるわけではない。例えば、ガス濃度均一化手段を多孔質材料で形成させて、開口部を設けるようにすることもできる。
次に、プラズマ発生装置30の作用について例示をする。
例えば、まず、ターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧手段11(図7を参照)により放電管2の内部が所定の圧力にまで減圧される。次に、ガス導入手段12(図7を参照)から所定量のプロセスガスGが、ガス導入部7、ガス濃度均一化手段50を介して放電管2の内部に導入される。
ここで、プラズマPを発生させる領域EにおけるプロセスガスGの濃度分布が不均一となるとプラズマ生成物の生成効率が悪化するおそれがある。また、濃度の濃い部分に生成された中性活性種が衝突すると散乱が生じて、放電管2の内壁などに中性活性種が衝突することで失活してしまうおそれがある。また、生成されたプラズマ生成物の分布も不均一となるので、放電管2が局部的にエッチングされてしまい、寿命が短くなるおそれがある。
そのため、本実施の形態においては、ガス濃度均一化手段50により略均等にプロセスガスGを導入するようにしている。その結果、プラズマPを発生させる領域EにおけるプロセスガスGの濃度分布を均一化することができる。また、ガス濃度均一化手段50からプロセスガスGを導入する際に、旋回流やガス流を生じさせるようにすれば、拡散性を向上させることができるので、プロセスガス濃度分布の均一化をさらに図ることができる。また、プラズマPを発生させる領域Eに直接的にプロセスガスGが導入されるので、プラズマPを発生させる領域Eにおける濃度分布の制御性を向上させることができる。
一方、マイクロ波発生手段13(図7を参照)から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管4の内部に放射される。放射されたマイクロ波Mは、導入導波管4内を伝播して環状のスロット4aから放電管2に放射される。放電管2に放射されたマイクロ波Mは、プラズマPを発生させる領域Eに導入される。また、電極43e内に冷却水が導入されて、放電管2の冷却が行われ、ガス導入路8から窒素ガスなどの不活性ガスが導入されて、冷却とオゾン発生の抑制が行われる。
プラズマPを発生させる領域Eに導入されたマイクロ波MによりプラズマPが発生し、プロセスガスGが励起、活性化されてプラズマ生成物(中性活性種、荷電粒子(イオン、電子))が生成される。なお、放電管2の内部に導入されたマイクロ波Mがガス濃度均一化手段50の内部にまで導入される場合もある。しかしながら、ガス濃度均一化手段50の内部にはプロセスガスGが供給されているため、放電管2の内部のように内部の圧力が減圧された状態にはない。そのため、ガス濃度均一化手段50の内部においてマイクロ波MによりプラズマPが発生することがなく、プロセスガスGが励起、活性化されてプラズマ生成物が生成されることもない。
生成されたプラズマ生成物は、ガス流にのってガス搬送部9を介して処理容器14(図7を参照)内に搬送される。この際、寿命の短いイオンなどは処理容器14にまで到達できず、寿命の長い中性活性種のみが処理容器14にまで到達し、被処理物のプラズマ処理(例えば、エッチング処理やアッシング処理など)が行われることになる。
本実施の形態においては、プラズマ生成物制御手段33、43により放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すようにしている。
この場合、例えば、切換手段3cを切り換えることで電極33a、電極43eの極性を変えたり、浮遊電極としたりすることで放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すことができる。なお、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離すことに関しては前述したものと同様のため詳細な説明は省略する。
本実施の形態によれば、プラズマ生成物制御手段33、43によりプラズマ生成物であるイオンや電子を放電管2の内壁から引き離すことができる。そのため、放電管2の内壁がエッチングされるのを抑制することができるので、放電管2の寿命を延ばすことができる。また、電極43eの流路などに冷却水を流通させたり、ガス導入路8に不活性ガスを導入したりすることで放電管2を冷却し、放電管2の内壁がエッチングされるのをさらに抑制することができる。また、放電管2の寿命を延ばすことができるので生産性を向上させることができる。
また、ガス濃度均一化手段50によりプラズマPを発生させる領域EにおけるプロセスガスGの濃度分布を均一化することができる。そのため、プラズマ生成物の生成効率を向上させることができる。また、プラズマPを発生させる領域Eに直接的にプロセスガスGを導入することができるので、濃度分布の制御性を向上させることができ、ひいてはプラズマ生成物の生成効率を向上させることができる。
そして、プラズマ生成物の生成効率を向上させることができるので、マイクロ波MのパワーやプロセスガスGの消費量などを抑制することができる。すなわち、省エネルギー化や省資源化などを図ることができる。
また、濃度の濃い部分に生成された中性活性種が衝突することで発生する散乱を抑制することができる。そのため、中性活性種の失活を抑制することができ、その分多くの中性活性種をプラズマ処理に用いることができる。
また、生成されるプラズマ生成物の分布も均一とすることができるので、放電管2の局部的なエッチングを抑制することができ、寿命を延ばすことができる。
また、プラズマ生成物の生成を安定化させることもできるので、プラズマ処理の生産効率、歩留まり、品質などの向上を図ることもできる。
なお、図3においてはプラズマ生成物制御手段33、43を備える場合を例示したが、少なくとも一方を備えるようにすることもできる。ただし、プラズマ生成物制御手段33、43の両方を備えるようにすれば、放電管2の内壁からプラズマ生成物を引き離す効果をより高めることができる。
図6は、第4の実施形態に係るプラズマ発生装置40を例示するための模式断面図である。なお、図6(a)はプラズマ発生装置40の正面側の模式断面図であり、図6(b)は図6(a)におけるD−D矢視模式断面図である。なお、図6(a)中の矢印Xは、ガス濃度均一化手段50の回転方向を表している。
図6に示すように、プラズマ発生装置40は、放電管2、プラズマ生成物制御手段33、プラズマ生成物制御手段43、導入導波管4、ガス濃度均一化手段50を備えている。また、ガス濃度均一化手段50を軸線周りに回転させるための回転手段25がさらに設けられている。
回転手段25は、ガス濃度均一化手段50を放電管2の軸方向に対して平行な軸線の周りに回転させる。そのため、ガス濃度均一化手段50は、開口部50aからプロセスガスGを吐出させつつその軸線周りに回転するようになっている。この場合、回転速度は、放電管2の内径、ガス圧や流量などのプロセス条件、プラズマPを発生させる領域Eの大きさや位置などに応じて、プロセスガス濃度分布が均一化されるように適宜決定することができる。また、回転方向は矢印Xの方向に限定されるわけではなく、逆方向に回転させてもよい。また、回転方向を切り換えたり、回転速度を変化させるようにすることもできる。
本実施の形態によれば、開口部50aの位置を回転方向に変化させつつプロセスガスGを吐出させることができるので、プラズマPを発生させる領域EにおけるプロセスガスGの濃度分布をさらに均一化することができる。
図7は、第5の実施形態に係るプラズマ処理装置100を例示するための模式断面図である。
なお、一例として、図6において例示をしたプラズマ発生装置40を備えるCDE(Chemical Dry Etching;ケミカルドライエッチング)装置の場合を説明する。そのため、図6において例示をしたプラズマ発生装置40の説明は適宜省略する。
図7に示すように、プラズマ処理装置100は、プラズマ発生装置40、減圧手段11、ガス導入手段12、マイクロ波発生手段13、処理容器14、制御手段15などを備えている。
処理容器14は、有底の略円筒形状をしており、その開口端が天板14aで塞がれている。また、処理容器14は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。処理容器14の内部には、ヒータなどの加熱手段や静電チャックなどの保持手段を内蔵した載置台16が設けられ、その上面には被処理物Wf(例えば、ウェーハやガラス基板など)が載置、保持できるようになっている。
処理容器14の底面には、圧力制御器(Auto Pressure Controller、APC)17を介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧手段11が接続されている。減圧手段11は、処理容器14の内部を所定の圧力まで減圧するためのものである。圧力制御器17は、処理容器14の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器14の内圧が所定の圧力となるように制御する。
プラズマ発生装置40の放電管2の一端にはガス導入部7が接続され、ガス導入手段12からガス導入部7、ガス濃度均一化手段50を介して放電管2の内部のプラズマPを発生させる領域EにプロセスガスGが導入されるようになっている。また、プラズマ発生装置40の放電管2の他端にはガス搬送部9が接続され、ガス搬送部9はガス搬送管18により処理容器14と接続されている。すなわち、ガス搬送管18は、プラズマ発生装置40(放電管2)と処理容器14とを連通させている。ガス搬送管18はプラズマ生成物による侵食に耐え得る材料、例えば、石英、ステンレス鋼、セラミックス、フッ素樹脂などから形成されている。
導入導波管4の一端は、マイクロ波発生手段13と接続されている。このマイクロ波発生手段13は、所定周波数(例えば2.45GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管4に向けて放射するようになっている。
ガス導入手段12は、プラズマ発生装置40に設けられたガス濃度均一化手段50を介して放電管2内部のプラズマを発生させる領域EにプロセスガスGを導入する。この場合、例えば、CF、NF、OなどのプロセスガスGが流量制御弁(Mass Flow Controller,MFC)19、ガス導入部7、ガス濃度均一化手段50を介して、ガス導入手段12から放電管2の内部のプラズマPを発生させる領域Eに導入されるようにすることができる。プロセスガスGの導入量は、制御手段15により流量制御弁19を制御することで調整することができる。
制御手段15は、流量制御弁19の制御のみならず、プラズマ処理装置100を構成する各要素の制御をも行う。例えば、圧力制御器17を制御して処理容器14の内部の圧力を調整したり、マイクロ波発生手段13や減圧手段11などの起動・停止などを制御することができる。また、回転手段25を制御してガス濃度均一化手段50の回転の起動・停止、回転方向の切り換え、回転速度の制御などを行うことができる。また、切換手段3cを制御して電極33a、電極43eに電圧を印加したり、電圧の極性を変えたり、浮遊電極としたりすることを行うことができる。
ガス搬送管18は、処理容器14の上部側壁を貫通して、処理容器14内に設けられた散乱抑制手段26に接続されている。
散乱抑制手段26は、一方の端部がガス搬送管18に接続され、この端部に対向する側の端面が載置台16に向けて開口している。すなわち、散乱抑制手段26は、上下端が開口され、その上端部においてガス搬送管18と連通している。
また、上端部の開口寸法よりも下端部の開口寸法の方が大きくなっている。すなわち、載置台16に向かって断面寸法が大きくなるようになっている。
散乱抑制手段26の形状は特に限定されないが、例えば、外観が円錐台となるようにすることができる。散乱抑制手段26の材料は、中性活性種が失活しにくいものとすることが好ましい。そのような材料としては、例えば、フッ素樹脂などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
この様な散乱抑制手段26を設けるものとすれば、処理容器14内における中性活性種の散乱を抑制することができるので、中性活性種の利用効率を向上させることができる。また、散乱抑制手段26の形状を適宜変更することで、中性活性種の面内分布を調整することもできる。例えば、ガスの流速が速い部分においては、流速が抑制されるように散乱抑制手段26の壁面をより垂直に立てたような形状とすることができる。
散乱抑制手段26の下端部の開口と対向させるようにして整流板20が設けられている。この整流板20は、ガス搬送管18から導入された中性活性種を含むガスの流れを整流し、被処理物Wfの処理面上でのプラズマ生成物の量が均一となるようにするためのものである。また、整流板20は、多数のノズル孔21が形成された略円形の板状体であり、処理容器14の内壁に固定されている。
次に、プラズマ処理装置100の作用について例示をする。
なお、前述したプラズマ発生装置40の作用については省略する。
まず、図示しない搬送装置により被処理物Wf(例えば、ウェーハやガラス基板など)が、処理容器14内に搬入され、載置台16上に載置、保持される。次に、処理容器14内が減圧手段11により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御器17により処理容器14内の圧力が調整される。また、処理容器14と連通する放電管2の内部も減圧される。
次に、前述したようにプラズマ発生装置40によりプラズマ生成物が生成され、ガス搬送部9、ガス搬送管18を介して処理容器14内の散乱抑制手段26に導入される。この際、前述したように寿命の長い中性活性種が散乱抑制手段26に導入されることになる。散乱抑制手段26に導入された中性活性種は、散乱抑制手段26により散乱することが抑制され、整流板20で整流されて被処理物Wfの表面に到達する。そして、被処理物Wfの表面に到達した中性活性種によりエッチング処理などのプラズマ処理が行われる。この場合、被処理物Wfは中性活性種により処理されることになるので、等方性の高い処理(例えば、等方性エッチング処理)が行われることになる。処理が終了した被処理物Wfは、図示しない搬送装置により処理容器14外に搬出される。この後、必要があれば、前述のプラズマ処理が繰り返される。
プラズマ処理としては、ウェーハなどのエッチング処理やアッシング処理などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく、例えば、フラットパネルディスプレイの製造におけるパターンのエッチング処理、位相シフトマスクの製造におけるパターンのエッチング処理、太陽電池の製造における反射防止膜のエッチング処理などとすることもできる。また、エッチング処理のみならず、金属部品の表面硬化処理、プラスチック部品の表面活性化処理、無薬剤殺菌処理など、幅広い技術分野において活用されているプラズマ処理とすることができる。
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ発生装置1、プラズマ発生装置10、プラズマ発生装置30、プラズマ発生装置40、プラズマ処理装置100などが備える各要素の形状、寸法、材料、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1 プラズマ発生装置、2 放電管、3 プラズマ生成物制御手段、3a 電極、3b 電源、3c 切換手段、3d 被覆部、3e 電極、4 導入導波管、10 プラズマ発生装置、11 減圧手段、12 ガス導入手段、13 マイクロ波発生手段、14 処理容器、15 制御手段、23 プラズマ生成物制御手段、25 回転手段、30 プラズマ発生装置、33 プラズマ生成物制御手段、33a 電極、40 プラズマ発生装置、43 プラズマ生成物制御手段、43e 電極、50 ガス濃度均一化手段、51〜53 ガス濃度均一化手段、100 プラズマ処理装置、E 領域、G プロセスガス、P プラズマ

Claims (10)

  1. 内部にプラズマを発生させる領域を有する放電管と、
    マイクロ波発生手段から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、
    プラズマ生成物に含まれる荷電粒子の極性を利用して、前記放電管の内壁からプラズマ生成物を引き離すプラズマ生成物制御手段と、
    を備えたことを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 前記プラズマ生成物制御手段は、前記プラズマを発生させる領域を前記放電管の軸方向に挿通して設けられた第1の電極を備えたこと、を特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
  3. 前記プラズマを発生させる領域を前記放電管の軸方向に挿通して設けられ、前記プラズマを発生させる領域に面する位置にプロセスガスを吐出する開口部を有したガス濃度均一化手段をさらに備え、
    前記プラズマ生成物制御手段は、前記ガス濃度均一化手段の内部を軸方向に延設された第2の電極を備えたこと、を特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
  4. 前記プラズマ生成物制御手段は、前記プラズマを発生させる領域に対向させるようにして前記放電管の外部に設けられた第3の電極を備えたこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
  5. 前記ガス濃度均一化手段を前記放電管の軸方向に対して平行な軸線の周りに回転させる回転手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項3または4に記載のプラズマ発生装置。
  6. 前記電極に所定の極性の電圧を印加する電源を備えたこと、を特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
  7. 少なくとも、前記電圧の印加と、前記電圧の印加の停止と、の切り換えを行う切換手段を備えたことを特徴とする請求項6記載のプラズマ発生装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置と、
    プラズマを発生させる領域にプロセスガスを導入するガス導入手段と、
    導入導波管にマイクロ波を放射するマイクロ波発生手段と、
    大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
    前記処理容器の内部を所定の圧力にまで減圧する減圧手段と、
    前記プラズマ発生装置と、前記処理容器と、を連通させるガス搬送管と、
    前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置台と、
    を備えたこと、を特徴とするプラズマ処理装置。
  9. 一方の端部が前記ガス搬送管に接続され、前記端部に対向する側の端面が前記載置台に向けて開口する散乱抑制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記散乱抑制手段は、前記載置台に向かって断面寸法が大きくなることを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理装置。
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